JP2010276681A - 電子写真現像剤用コートキャリア及び該コートキャリアの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐磨耗性に優れる電子写真現像用キャリアを提供することを課題とする。
【解決手段】コア粒子と該コア粒子を被覆するコート層を備え、該コート層が硬質粒子を単粒子層状に含んでなる樹脂層であることを特徴とする電子写真現像剤用コートキャリアにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用される二成分現像剤用のコートキャリア及び該コートキャリアの製造方法に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置においては、高画質化を図るために、体積平均粒径が5μm〜7μmのトナーと、体積平均粒径が30μm〜40μmのキャリアとからなる二成分現像剤が使用されるようになってきている。キャリアとしては、フェライト粒子や、バインダー樹脂中に1μm以下の磁性体を分散した磁性体分散樹脂粒子が使用される。トナーの帯電性向上や、電気抵抗や帯電性の湿度依存性を抑えるために、表面にコート層が設けられたキャリア(コートキャリア)が一般的になってきている。
ところが、二成分現像剤を現像装置内で長時間攪拌すると、磨耗によりコート層の層厚が小さくなり、電気抵抗などのキャリア特性が変化するという問題があった。
この問題に対して、例えば特許文献1では、熱硬化型シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を、コート層に使用することにより耐磨耗性を向上させている。
特開平8−44118号公報
しかしながら、熱硬化性樹脂をコート層に使用した場合であっても、長期間の使用によりコート層が削れ、キャリア特性が変化する問題は残っている。
この問題に対しては、コート層の層厚を厚くすることによって、コート層の磨耗によるキャリア特性の変化を小さくする方法が考えられるが、熱硬化性樹脂を被覆する際にキャリア同士が凝集し、凝集したキャリアを解砕するとクレーター状の解砕面(コート層の破断面)を生じるなど、コート層の層厚を厚くすればする程、均一な厚みに制御するのが難しいといった課題があった。
本発明の目的は、耐磨耗性に優れる電子写真現像用キャリアを提供することである。
したがって、本発明は、コア粒子と該コア粒子を被覆するコート層を備え、該コート層が硬質粒子を単粒子層状に含んでなる樹脂層であることを特徴とする電子写真現像剤用コートキャリアを提供する。
また、本発明は、コア粒子の表面に第1樹脂層を形成する第1樹脂層形成工程と、該第1樹脂層の表面に硬質粒子を半埋没状態で被覆する硬質粒子被覆工程と、前記硬質粒子及び該硬質粒子間の前記第1樹脂層の表面に第2樹脂層を形成する第2樹脂層形成工程とを含んでなることを特徴とする電子写真現像用コートキャリアの製造方法を提供する。
本発明によれば、キャリアは、コート層中に硬質粒子を含むので、キャリア同士又はキャリアと現像装置の部材との摩擦によるコート層の磨耗の進行が遅延し、よって耐摩耗性に優れる。
本発明のキャリアの一形態を表す概念図である。
本発明の電子写真現像剤用コートキャリアは、コア粒子と該コア粒子を被覆するコート層を備え、該コート層が硬質粒子を単粒子層状に含んでなる樹脂層であることを特徴とする。
本明細書において、「コート層が硬質粒子を単粒子層状に含んでなる」とは、コート層が、その厚さ方向に1個の硬質粒子を含むことを規定するためだけの用語であり、面方向について何らの限定も意図するものではない。したがって、コート層中で面方向に隣り合う硬質粒子同士は必ずしも接触又は近接していることを要さず、離間していてもよい。また、コート層中で硬質粒子は面方向に散在していてもよいし偏在していてもよい。
1つの実施形態では、コート層は、コア粒子を被覆し且つ熱硬化樹脂を含んでなる第1樹脂層と、第1樹脂層に半埋没した硬質粒子と、硬質粒子及び第1樹脂層を被覆する第2樹脂層を含んで構成される。
本明細書において、硬質粒子と第1樹脂層との関係において「半埋没(状態)」とは、硬質粒子の一部(例えば1/8〜2/3、好ましくは1/4〜1/2)が第1樹脂層に埋没していることを意味する。
この実施形態によれば、硬質粒子が熱硬化樹脂層(第1樹脂層)に半埋没していることにより固定化されているので、キャリア同士又はキャリアと現像装置の部材との摩擦によるキャリア表面からの硬質粒子の離脱を防ぐことができ、耐剥離性に優れるコートキャリアが提供される。
別の実施形態では、コート層は、硬質粒子の粒径と等しい層厚を有する。
本明細書において、コート層の層厚と硬質粒子の粒径との関係において「等しい」とは、完全に等しいのみならず、ほぼ等しいことも包含する。硬質粒子の粒径にほぼ等しいコート層の層厚は、例えば、硬質粒子の粒径の2/3倍〜4/3倍、好ましくは3/4倍〜5/4倍、より好ましくは4/5倍〜6/5倍の範囲内にあり得る。
この実施形態によれば、コート層の層厚にバラツキが少ない(層厚がより均一な)コートキャリアが提供される。
別の実施形態では、硬質粒子は硬化樹脂粒子である。
この実施形態によれば、硬化樹脂粒子とコート層(又は第1樹脂層)との接着性が高く、耐剥離性に更に優れるコートキャリアが提供される。
更に別の実施形態では、硬質粒子は、個数平均粒径の0.8倍以上1.2倍以下の粒径である粒子を90個数%以上含む。
この実施形態によれば、コート層の層厚にバラツキが更に少ない(層厚が更により均一な)コートキャリアが提供される。
以下、本発明のコートキャリアの構成及びその製造方法について説明する。
図1は、本発明のコートキャリアの一形態の構成を示す概念図である。コートキャリア50は、コア粒子40の表面に、第1樹脂層41と硬質粒子42と第2樹脂層43とからなるコート層44を備える。
第1樹脂層41は、コア粒子40の表面を被覆すると共に、硬質粒子42を保持するものである。
第2樹脂層43は、第1樹脂層41の表面を被覆すると共に、硬質粒子42の隙間を埋めることにより、硬質粒子のバインディング力を高め、コートキャリア50の表面を平滑化するものである。
<コア粒子>
コア粒子には公知の磁性粒子が使用できるが、フェライト成分を含む粒子(フェライト系粒子)が好ましい。フェライト系粒子は、飽和磁化が高く、密度の小さいコートキャリアを得ることができるので、現像剤におけるその使用により、感光体へのコートキャリア付着が起こり難く、ソフトな磁気ブラシが形成されてドット再現の高い画像が得られる。
フェライト系粒子としては公知のものを使用でき、例えば、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、ニッケル-亜鉛系フェライト、マンガン-マグネシウム系フェライト、銅-マグネシウム系フェライト、マンガン-亜鉛系フェライト、マンガン-銅-亜鉛系フェライトなどの粒子が挙げられる。
フェライト系粒子は、公知の方法で作製できる。例えば、Fe23やMg(OH)2などのフェライト原料を混合し、この混合粉を加熱炉で加熱して仮焼する。得られた仮焼品を冷却後、振動ミルでほぼ1μm程度の粒子となるように粉砕し、粉砕粉に分散剤と水を加えてスラリーを作製する。このスラリーを湿式ボールミルで湿式粉砕し、得られる懸濁液をスプレードライヤーで造粒乾燥することによって、フェライト系粒子が得られる。
コア粒子の体積平均粒径は、20〜60μmが好ましく、30〜50μmがより好ましい。コア粒子の体積平均粒径の定義は以下に記載する。
コア粒子は、ブリッジ法で測定した時、1×106〜1×1011Ω・cmの体積抵抗率を有することが好ましい。この範囲の体積抵抗率を有するフェライト系粒子は、安価であるため一般に使用されている。体積抵抗率が低くなると電気絶縁性不良によりトナー画像にカブリを生じることがある。一方、体積抵抗率が高くなるとキャリア表面に残るカウンターチャージにより、ベタ画像において、周辺部のエッジ効果や画像濃度低下が起こり易くなる。体積抵抗率は、1×108〜5×1010Ω・cmの範囲がより好ましい。体積抵抗率の定義は以下に記載する。
<コート層>
コート層は、硬質粒子を単粒子層状に含んでなる樹脂層である。
コート層の層厚は、特に限定されないが、硬質粒子の粒径と略等しいことが好ましく、具体的には1μm〜5μmの層厚が適している。
本発明のコートキャリアのコート層を構成する樹脂としては、アクリル樹脂やシリコーン樹脂など、コート層に使用できる任意の樹脂を使用できる。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ含フッ素アクリレート、スチレン-メタクリレート共重合体、スチレン-ブチルメタクリレート共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体などが例示される。
市販の商品名では、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールSE-5437、積水化学工業製エスレックPSE-0020、三洋化成工業ハイマーST95、三井化学製FM601などが挙げられる。
シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンワニス(東芝社製:TSR115、信越化学社製:KR271)アルキッド変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR184)、エポキシ変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR194)、ポリエステル変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR187)、アクリル変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR170)、ウレタン変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR175)、反応性シリコーン樹脂(信越化学社製:KA1008)などが挙げられる。
特に、ストレートシリコーン樹脂(アルキル置換シリコーン樹脂)の層を備えたコートキャリアは、その表面にトナー成分(バインダー樹脂)が付着(フィルミング)し難く、長期に渡ってトナーの帯電付与能力を維持できるので好ましい。
硬化性樹脂としては特に制限されず、この分野で常用される任意の硬化性樹脂を使用できる。このうち、硬化性シリコーン樹脂は、例えば、下記に示すように、Si原子に結合する水酸基同士又は水酸基と基-OXとが加熱脱水反応などによって架橋して硬化するシリコーン樹脂である。
Figure 2010276681
〔式中、複数のRは同一または異なって一価の有機基を示す。基-OXはアセトキシ基、アミノキシ基、アルコキシ基、オキシム基などである。〕
熱硬化性シリコーン樹脂を架橋させるには、該樹脂を200〜250℃程度に加熱する方法や、有機酸やジブチルスズなどの触媒を用いて、前記温度より低い100〜200℃程度に加熱する方法がある。
架橋性シリコーン樹脂の中でも、Rで示される一価の有機基がメチル基であるものが好ましい。Rがメチル基である架橋性シリコーン樹脂は架橋構造が緻密であることから、該架橋性シリコーン樹脂を用いてコート層を形成すると、撥水性、耐湿性などの良好なコートキャリアが得られる。
ただし、架橋構造が緻密になりすぎると、コート層が脆くなる傾向があるので、熱架橋性シリコーン樹脂の分子量の選択が重要である。
架橋性シリコーン樹脂中の珪素と炭素の重量比(Si/C)は0.3〜2.2であることが好ましい。Si/Cが0.3未満では、コート層の硬度が低下し、コートキャリア寿命などが低下するおそれがある。Si/Cが2.2を超えると、コートキャリアのトナーに対する電荷付与性が温度変化による影響を受けやすくなり、コート層が脆化するおそれがある。
熱硬化性樹脂としては、上記の熱硬化性シリコーン樹脂の他に、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
コート層が第1樹脂層及び第2樹脂層を含んで構成される場合には、第1樹脂層は、熱硬化性樹脂を熱硬化させた熱硬化樹脂を含んでなることが好ましい。第1樹脂層が熱硬化樹脂層を含んでなることにより、硬質粒子がより強固に固定化され、耐剥離性に更に優れる。また、製造時には、第2樹脂層を塗布する際に、硬質樹脂の脱離及び/又は第1樹脂層の剥がれを防止できる。
第1樹脂層の層厚としては、硬質粒子の粒径の1/4〜1/2が好ましく、具体的には0.5〜1μmの層厚が適している。
第1樹脂層には、コートキャリアの電気抵抗を調整するためにカーボンブラックなどの導電剤を添加することができる。第1樹脂層への導電剤の添加量は、例えば、樹脂100重量部に対して1〜10重量部である。
第2樹脂層を構成する樹脂としては、特に制限はなく、第1樹脂層を構成する樹脂として例示したものを同様に使用できる。第2樹脂層を構成する樹脂と第1樹脂層を構成する樹脂とは同じであってもよいし、異なってもよいが、第1樹脂層との接着性を考慮して、第1樹脂層に使用する樹脂と同じ成分の樹脂を用いるのが好ましい。
第2樹脂層の層厚としては、硬質粒子をほぼ被覆する程度の層厚であるのが好ましい。
また、第2樹脂層には、キャリアの電気抵抗や帯電性を調整するためにカーボンブラックなどの導電剤や帯電制御剤を添加することが好ましい。第2樹脂層への導電剤の添加量は、例えば、樹脂100重量部に対して1〜20重量部であり、第2樹脂層への帯電制御剤の添加量は、例えば、樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部である。
更に、第2樹脂層には、カップリング剤が添加されていてもよい。第2樹脂層中のカップリング剤の添加量は、例えば、樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部である。
硬質粒子としては、耐摩耗性に優れた硬化樹脂粒子や無機粒子が使用できるが、硬化樹脂粒子がコート層を構成する樹脂との接着性に優れる点で好ましい。
硬化樹脂粒子は、架橋樹脂成分を有する樹脂粒子のことであり、例えば、架橋性モノマー(例えば、ジビニルベンゼンなど)を用いて重合性モノマー(例えば、スチレンやアクリルモノマーなどのビニル系モノマー)を懸濁重合、乳化重合又は分散重合させるなどの公知の方法により製造できる。架橋樹脂成分の含有率を高くすることによって、硬度が高くなり、耐摩耗性が増大する(また、製造時には、溶剤に対する耐侵食性も高くなる)ので、架橋樹脂成分の含有率としては、モノマー成分のモル比で5%〜15%が好ましい。
硬質粒子の粒径としては、コート層の所望する膜厚に応じて選択されるが、例えば、個数平均粒径として1.5〜5μmの粒子が使用できる。
硬質粒子は、その粒度分布がシャープであるほど、コート層の層厚のバラツキが小さくなるので、個数平均粒径の0.8倍以上1.2倍以下の粒径を有する粒子を、90個数%以上含むことが好ましい。
コア粒子(又は第1樹脂層)の表面に対する硬質粒子の被覆率としては、30%〜70%が好ましい。30%未満では、コート層(又は第2樹脂層)の膜厚が不均一になりやすく、70%を超えると、硬質粒子を被覆するコート層(又は第2樹脂層)に空隙が生じ、強度が低下しやすくなる。被覆率は、例えば添加量、撹拌羽根回転数やジャケット温度などの被覆条件を適宜設定することによって調整することができる。
<コートキャリアの諸物性>
コートキャリアの体積平均粒径は、特に制限されないが、20〜60μmが好ましく、30〜50μmが更に好ましい。体積平均粒径が小さすぎると、現像時に現像ローラから感光体ドラムにコートキャリアが移動し易くなり、得られる画像に白抜けが発生することがある。逆に、体積平均粒径が大きすぎるとドット再現性が悪くなり、画像が粗くなることがある。ここで、キャリアの体積平均粒径とは、コア粒子とコート層との合計の粒径を意味し、具体的な体積平均粒径の定義は以下に記載する。
コートキャリアの飽和磁化は、低いほど感光体ドラムと接する磁気ブラシが柔らかくなるので、静電潜像に忠実な画像が得られる。しかし、飽和磁化が低すぎると、感光体ドラム表面にコートキャリアが付着し、白抜け現象が発生し易くなる。一方、飽和磁化が高すぎると、磁気ブラシの剛直化により、静電潜像に忠実な画像が得られ難くなる。したがって、コートキャリアの飽和磁化は、30〜100emu/gの範囲内が好ましく、50〜80emu/gの範囲内がより好ましい。飽和磁化の定義は以下に記載する。
コートキャリアの体積抵抗率は、3×109〜5×1012Ω・cmの範囲が好ましく、2×1010〜5×1011Ω・cmの範囲がより好ましい。体積抵抗率が3×109Ω・cmより低くなると感光体へのキャリア付着が生じて得られる画像にカブリが発生し易くなり、体積抵抗率が5×1012Ω・cmより高くなるとトナー帯電量の上昇が起こって画像濃度が低下し易くなる。体積抵抗率の定義は以下に記載する。
コートキャリアの製造方法
本発明のコートキャリアの製造方法は、コア粒子の表面に第1樹脂層を形成する第1樹脂層形成工程と、該第1樹脂層の表面に硬質粒子を半埋没状態で被覆する硬質粒子被覆工程と、前記硬質粒子及び該硬質粒子間の前記第1樹脂層の表面に第2樹脂層を形成する第2樹脂層形成工程とを含んでなることを特徴とする
この製造方法によれば、解砕面の発生を抑えつつ、コート層の層厚が厚くバラツキの少ないコートキャリアを容易に製造できる。
<第1樹脂層形成工程>
コア粒子の表面に第1樹脂層を形成する方法としては、コートキャリアのコート層を形成するために使用される公知の方法が採用できる。例えば、樹脂及び必要により添加剤(上記「コート層」の項を参照)を溶剤に溶解又は分散させることにより第1樹脂層形成用塗布液を調製し、その塗布液中にコア粒子を浸漬させる浸漬法がある。
上記方法の他には、第1樹脂層形成用塗布液をコア粒子に噴霧するスプレー法や、コア粒子を流動エアにより浮遊させた状態で第1樹脂層形成用塗布液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でコア粒子と第1樹脂層形成用塗布液とを混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法が挙げられる。浸漬法は、膜形成が容易である点で好ましい。
コア粒子としては、本発明のキャリアに関して「コア粒子」の項で言及したコア粒子を使用でき、第1樹脂層を形成するために被覆する樹脂としては、「コート層」の項で言及した樹脂を使用できるが、熱硬化性樹脂が好ましい。
第1樹脂層形成用塗布液中の溶剤としては、使用する樹脂を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、高級アルコール類のような有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種を用いても、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
第1樹脂層形成用塗布液中の樹脂は、塗布液100重量部に対して、例えば5〜50重量部の範囲、好ましくは10〜30重量部の範囲であり得るが、塗布の作業性などを考慮して適切に決定すればよい。樹脂量が低すぎると、コア粒子表面の樹脂層の形成に時間がかかり、一方多すぎると、樹脂の分散性が悪くなる。
<硬質粒子被覆工程>
第1樹脂層で被覆されたコア粒子と硬質粒子とを攪拌することにより、第1樹脂層の表面に硬質粒子を半埋没状態で被覆(固定化)できる。
撹拌には、攪拌羽根を備える攪拌装置や、V型混合機などを使用できる。攪拌羽根やV型混合機の回転速度は、コア粒子が破壊されない範囲で、第1樹脂層に硬質粒子を半埋没状態で固定化できる剪断力を与えることができる回転速度であればよく、例えば、1分間に20〜60回転の回転速度で実施される。
硬質粒子は、上記「コート層」の項で言及した硬質粒子を使用できる。硬質粒子の材質は、後述する第2樹脂層形成用塗布液中の溶剤に溶解しないことが必要である。
硬質粒子として、個数平均粒径の0.8倍以上1.2倍以下の粒径である粒子を90個数%以上含む硬質粒子を使用することが、後述する第2樹脂層の層厚のバラツキを小さくすることができる(結果的に、コート層全体の層厚のバラツキも小さくてきる)点で好ましい。
第1樹脂層表面への硬質粒子の半埋没を容易にするため、第1樹脂層中に溶剤がある程度(例えば、溶剤の含有率50〜200ppm)残留する状態で、被覆工程を行うことが好ましい。
また、第1樹脂層表面への硬質粒子の固定化を強固にするために、表面に硬質粒子が半埋没した状態で第1樹脂層を硬化させることが好ましい。これにより、硬質粒子がより強固に固定化され、耐剥離性に更に優れるキャリアを製造できる。また、第2樹脂層を塗布する際に、溶剤による硬質樹脂の脱離及び/又は第1樹脂層の剥がれを防止できる。
第1樹脂層の硬化は、樹脂の種類に応じて適切な手順を選択することができる。熱硬化性樹脂の場合、種類に応じて、例えば200〜250℃程度で加熱するか、又は硬化触媒を用いてより低い温度(例えば100〜200℃程度)に加熱する。常温硬化性樹脂である場合は、必ずしも加熱を要しないが、形成される樹脂層の機械的強度を向上させること、硬化時間を短縮することなどを目的として、例えば150〜280℃程度で加熱してもよい。
<第2樹脂層形成工程>
硬質粒子及び硬質粒子間の第1樹脂層の表面に第2樹脂を形成する方法としては、コートキャリアのコート層を形成するために使用される公知の方法が採用できる。例えば、樹脂及び必要により添加剤(上記「コート層」の項を参照)を溶剤に溶解又は分散させることにより第2樹脂層形成用塗布液を調製し、その塗布液中に上記2工程を経たコア粒子を浸漬させる浸漬法がある。
上記方法の他には、第2樹脂層形成用塗布液をコア粒子に噴霧するスプレー法や、コア粒子を流動エアにより浮遊させた状態で第2樹脂層形成用塗布液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でコア粒子と第2樹脂層形成用塗布液とを混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法が挙げられる。浸漬法は、膜形成が容易である点で好ましい。
第2樹脂層を形成するために被覆する樹脂としては、「コート層」の項で言及した樹脂を使用できる。第2樹脂層を構成する樹脂と第1樹脂層を構成する樹脂とは同じであってもよいし、異なってもよいが、第1樹脂層との接着性を考慮して、第1樹脂層に使用する樹脂と同じ成分の樹脂を用いるのが好ましい。
溶剤としては、使用する樹脂を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、第1樹脂層形成用塗布液について言及した溶剤が挙げられる。溶剤は、1種を用いても、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
第2樹脂層形成用塗布液中の樹脂は、塗布液100重量部に対して、例えば5〜50重量部の範囲、好ましくは10〜30重量部の範囲であり得るが、塗布の作業性などを考慮して適切に決定すればよい。
形成した第2樹脂層は、硬化させてもよい。硬化は、第1樹脂層について言及した方法により行うことができる。
二成分現像剤
本発明のキャリアは、任意の電子写真現像剤用トナーと混合して二成分現像剤とされ得る。
キャリアとトナーとの混合割合は、一般に、キャリア100重量部に対してトナー3〜15重量部の割合である。混合方法は、V型ミキサ、ナウターミキサなどの混合機で攪拌する方法が挙げられる。
<トナー>
トナーは、特に限定されず、公知のトナーをいずれも使用できる。例えば、以下で説明するトナーが使用できる。
トナーは、着色樹脂粒子と、必要に応じて着色樹脂粒子の表面に付着する外添剤とを備えている。外添剤は、トナーの凝集を防ぐことで、感光体ドラムから記録媒体へ転写する際の転写効率が低下を防ぐ観点から、トナーに含まれていることが好ましい。
着色樹脂粒子の体積平均粒径は、5〜7μmの範囲内のものが好ましい。この範囲内であれば、ドット再現性に優れ、カブリやトナー飛散の少ない、高画質画像が得られる。体積平均粒径の定義は以下に記載する。
着色樹脂粒子は、混練粉砕法や重合法などの公知の方法によって作製できる。一例として、混練粉砕法においては、バインダー樹脂及び着色剤、任意に、帯電制御剤や離型剤その他の添加剤を、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、Q型ミキサなどの混合機により混合する。得られた原料混合物を二軸混練機、一軸混練機などの混練機により、100〜180℃程度の温度で溶融混練する。得られた混練物を冷却固化し、固化物をジェットミルのようなエア式粉砕機により粉砕する。得られた粉砕物を、必要に応じて分級などの粒度調整を行うことにより着色樹脂粒子を作製できる。
トナーに使用し得るバインダー樹脂としては、公知の各種スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂などが使用できる。特に線形又は非線形のポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、機械的強度(微粉が発生し難い)、定着性(定着後に紙から剥離し難い)、及び耐ホットオフセット性を同時に充足できる点で優れている。
ポリエステル樹脂は、二価以上の多価アルコールと多塩基酸からなるモノマー組成物を重合することにより得られる。
ポリエステル樹脂の重合に用いられる二価のアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、その他を挙げることができる。
二価の多塩基酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、これらの酸の無水物や低級アルキルエステル、又はn-ドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類を挙げることができる。
必要に応じて、モノマー組成物中に三価以上の多価アルコール及び/又は多塩基酸を添加してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、蔗糖、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることができる。
三価以上の多塩基酸としては、例えば1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、及びこれらの無水物などを挙げることができる。
トナーに使用し得る着色剤としては、トナーに一般に用いられている公知の顔料や染料を使用できる。
具体的には、黒トナー用として、カーボンブラックやマグネタイトなどが例示できる。
イエロートナー用としては、C.I.ピグメント・イエロー1、同3、同74、同97、同98などのアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12、同13、同14、同17などのアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー93、同155などの縮合モノアゾ系黄色顔料;C.I.ピグメント・イエロー180、同150、同185などのその他黄色顔料、C.I.ソルベント・イエロー19、同77、同79、C.I.ディスパース・イエロー164などの黄色染料などが例示できる。
マゼンタトナー用としては、C.I.ピグメント・レッド48、同49:1、同53:1、同57、同57:1、同81、同122、同5、同146、同184、同238;C.I.ピグメント・バイオレット19などの赤色又は紅色顔料;C.I.ソルベント・レッド49、同52、同58、同8などの赤色系染料などが例示できる。
シアントナー用としては、C.I.ピグメント・ブルー15:3、同15:4などの銅フタロシアニン及びその誘導体の青色系染顔料;C.I.ピグメント・グリーン7、同36(フタロシアニン・グリーン)などの緑色顔料などが例示できる。
着色剤の含有量としては、バインダー樹脂100重量部に対して1〜15重量部程度であることが好ましく、より好適には2〜10重量部の範囲である。
トナーには、トナーをより安定に帯電させるために帯電制御剤を添加してもよい。トナーに使用できる帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤が使用できる。
具体的には、負帯電性を付与する帯電制御剤としては、例えば、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸又はその誘導体のクロム/亜鉛/アルミニウム/ホウ素錯体又は塩化合物、ナフトール酸又はその誘導体のクロム/亜鉛/アルミニウム/ホウ素錯体又は塩化合物、ベンジル酸又はその誘導体のクロム/亜鉛/アルミニウム/ホウ素錯体又は塩化合物、長鎖アルキル カルボン酸塩、長鎖アルキル スルフォン酸塩などを挙げることができる。(上記で、「クロム/亜鉛/アルミニウム/ホウ素錯体又は塩化合物」は、クロム錯体又はクロム塩化合物、亜鉛錯体又は亜鉛塩化合物、アルミニウム錯体又はアルミニウム塩化合物、又はホウ素錯体又はホウ素塩化合物を意味する。)
正帯電性を付与する帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料又はその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩などの誘導体などを挙げることができる。
トナーにおける帯電制御剤の含有量としては、バインダー樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の範囲内が好ましく、0.5重量部〜10重量部の範囲内がより好ましい。
トナーには、定着ローラ又は定着ベルトに対する離型性を高め、定着時の高温・低温オフセットを防止するために、離型剤を添加してもよい。トナーに使用できる離型剤としては、当該分野でトナー用離型剤として一般に使用されているいずれのものも使用できる。
トナーに使用し得る離型剤としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成ワックスやパラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体などの石油系ワックス及びその変成ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどの植物系ワックスなどを挙げることができる。
離型剤の添加量は特に制限されないが、一般には、バインダー樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下である。
外添剤としては、個数平均粒径が7nm〜100nmのシリカ、酸化チタン、アルミナなどからなる無機粒子が使用できる。また、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルで表面処理することによって疎水性が付与された無機粒子であってもよい。疎水性を付与した無機粒子は、高湿下において電気抵抗や帯電量の低下が少なくなるので好ましい。特に、シランカップリング剤としてヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSと呼ぶこともある)を用いて、表面にトリメチルシリル基を導入したシリカ粒子は、疎水性や絶縁性に優れている。このシリカ粒子を外添したトナーは、高湿環境下においても、優れた帯電性を提供できる。
具体的な外添剤には、日本アエロジル社製のアエロジル50(個数平均粒径:約30nm)、アエロジル90(個数平均粒径:約30nm)、アエロジル130(個数平均粒径:約16nm)、アエロジル200(個数平均粒径:約12nm)、アエロジル300(個数平均粒径:約7nm)、アエロジル380(個数平均粒径:約7nm)(以上、いずれもシリカ)、デグサ社製のアルミナムオキサイドC(アルミナ;個数平均粒径:約13nm)、チタニウムオキサイドP-25(酸化チタン;個数平均粒径:約21nm)、MOX170(シリカ・アルミナ混合物;個数平均粒径:約15nm)、石原産業社製TTO-51(個数平均粒径:約20nm)、TTO-55(個数平均粒径:約40nm)(共に酸化チタン)、キャボット社製のシリカ(個数平均粒径:約115nm)、(個数平均粒径:約85nm)、信越化学工業社製のシリカX-24(個数平均粒径:約110nm)などがある。個数平均粒径の定義は以下に記載する。
外添剤の添加量は、0.2〜3重量%が好ましい。0.2重量%未満では、トナーに十分や流動性を与えられないことがある。逆に3重量%を超えると、トナーの定着性が低下することがある。
外添剤は、着色樹脂粒子と、例えばヘンシェルミキサのような気流混合機を用いて混合することによって外添される。
(定義)
以下に、本発明に関して使用する用語「体積抵抗率」、「個数平均粒径」、「体積平均粒径」、「飽和磁化」、「被覆率」の定義を記載する。
コートキャリアの「体積抵抗率」
本明細書において、コートキャリアに関して、「体積抵抗率」は、常温・常湿環境下において、対向する電極間距離1mm、測定電極エリア面積40×16mm2のブリッジ抵抗測定治具を用いて測定した電気抵抗値から求めた値とする。
より具体的には、電気抵抗値(キャリア抵抗値)の測定は次の手順に従う。0.2mgのコートキャリアを上記ブリッジ抵抗測定治具の対向する電極間の均一に充填し(例えば、充填後に5〜6回程度タッピングする)、電極の外側に配置した磁石を用いて対向電極間にコートキャリアのブリッジを形成した後、両電極間に電圧を印加して4×103(V/cm)の電界強度を生じさせ、このときに電極間に流れる電流値をデジタルエレクトロンメータ(アドバンテスト社:R8340)を用いて測定する。
コア粒子の「体積抵抗率」
本明細書において、コア粒子に関して「体積抵抗率」は、電極間に1×103(V/cm)の電界強度を生じさせること以外は、上記のコートキャリアに関する「体積抵抗率」と同様にして測定した電気抵抗値(コア粒子抵抗値)から求めた値とする。
硬質粒子の「個数平均粒径」
本明細書において、硬質粒子に関して「個数平均粒径」は、100個の硬質粒子について走査型電子顕微鏡を用いて測定した粒径の個数平均値とする。
コア粒子及びコートキャリアの「体積平均粒径」
コア粒子及びコートキャリアに関して「体積平均粒径」は、レーザ回折式粒度分布測定装置HELOS(SYMPATEC社製)に乾式分散装置RODOS(SYMPATEC社製)を用いて、分散圧3.0barの条件下で測定した値とする。
「飽和磁化」
本明細書において、「飽和磁化」は、東英工業株式会社製のVSMP-1によって測定した値とする。
「被覆率」
本明細書において、被覆率は、次の方法で算出された値を意味する。すなわち、コートキャリア表面に金などの導電剤を蒸着しないまま、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、加速電圧2.0eVの電子線で観察する。コートキャリア中、コート層はチャージアップにより白く観察される。キャリア全面積に対する白色領域面積の割合を算出する。この算出をコートキャリア100個について行ない、得られた値の平均値を被覆率とする。
着色樹脂粒子及びトナーの「体積平均粒径」
本明細書において、着色樹脂粒子及びトナーに関して「体積平均粒径」は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)で100μmのアパーチャを用いて測定した値を意味する。具体的には、測定装置としては、コールターカウンターTA-II型あるいはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いた。電解液は一級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R-II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
測定法は次のとおりである:電解液水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散機で約1〜3分間分散処理して測定用懸濁液を調製する。この測定用懸濁液中のトナーの体積及び個数を、前記測定装置で100μmアパーチャを用いて測定し、体積分布と個数分布を得る。体積分布より堆積平均粒径を求める。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<キャリア>
実施例及び比較例のコートキャリアは、次に示す方法により作製した。
(コア粒子)
フェライト原料として、酸化鉄50mol%、酸化マンガン35mol%、酸化マグネシウム14.5mol%、及び酸化ストロンチウム0.5mol%(いずれもKDK社製)をボールミルで4時間粉砕し、得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、得られた真球状の粒子をロータリーキルンにて930℃で2時間仮焼した。得られた仮焼粉を、湿式粉砕機(粉砕媒体としてスチールボール使用)により平均粒径2μm以下にまで微粉砕した。
このスラリーにPVAを2重量%添加し、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて、温度1100℃、酸素濃度0体積%で4時間、本焼成を行った。その後、解砕、分級を行うことによって、体積平均粒径が39μm、体積抵抗率が2×109Ω・cmのフェライト成分からなるコア粒子を得た。
(第1樹脂層形成工程)
第1樹脂層形成用塗布液として、東レダウコーニング社製熱硬化性シリコーン樹脂SR2411(40重量部)を、トルエン(160重量部)中に溶解してシリコーン樹脂20%溶液を作製した。
上記コア粒子(1000重量部)と、上記シリコーン樹脂20%溶液(200重量部)とを、加熱ジャケットと攪拌羽根を備える攪拌機に投入し、攪拌羽根を1分間30回転の速さで回転させて混合した。減圧及び加熱下にてトルエンを除去し、コア粒子表面に第1樹脂層を形成した。この時点で、第1樹脂層中の残留トルエン含有率は2000ppmであった。
(硬質粒子の作製)
硬質粒子として、架橋樹脂粒子を下記方法により作製した。
3Lのセパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール1600g、水400g、ポリアクリル酸20gを溶解し、これにスチレン180g、ジビニルベンゼン20g、スチレンスルホン酸ナトリウム25g及びアゾビスイソブチロニトリル10gを加え、窒素気流下150rpmで攪拌しながら、80℃で12時間重合反応を行った。
重合反応後の溶液を遠心分離機にかけて粒子を分離し、乾燥させることによって、白色の硬質粒子P1を得た。得られた硬質粒子P1は、個数平均粒径3μm、個数平均粒径の0.8倍以上1.2倍以下の粒径を有する粒子の含有率は95%であった。
硬質粒子P1と同様の方法で、表1に示す硬質粒子P2〜P4を作製した。
Figure 2010276681
(硬質粒子被覆工程)
次に、上記硬質粒子(P1)4重量部と第1樹脂層を有するコア粒子1000重量部を、加熱ジャケットと攪拌羽根を備える攪拌機に投入し、ジャケット温度を50℃に保持して、攪拌羽根を1分間60回転の速さで回転させて混合し、硬質粒子を第1樹脂層表面に被覆(固定化)した。
その後、200℃で1時間に加熱し、第1樹脂層を硬化させて、第1樹脂層表面への硬質粒子の固定化を強固にした。
この時、硬質粒子層を電子顕微鏡で観察すると、硬質粒子(P1)は第1樹脂層表面に半埋没状態で固定化されており、被覆率は52%であった。
(第2樹脂層形成工程)
下記材料をトルエン(320重量部)中に溶解又は分散させて第2樹脂層形成用塗布液を作製した。
・熱硬化性シリコーン樹脂 商品名:SR2411(東レダウコーニング(株)製)シリコーン樹脂 80重量部
・導電剤 商品名:VULCANXC72(キャボット(株)製)導電性カーボンブラック 5重量部
・帯電制御剤 商品名:LR-147(日本カーリット(株)製)負帯電性帯電制御剤20重量部
・カップリング剤 商品名:SH6020(東レダウコーニング(株)製)1重量部
具体的には、導電剤(導電性粒子)については分散剤を用いてトルエン溶媒中に分散させた分散液を予め作製し、電荷制御剤及びカップリング剤については各々の溶液を作製した後、シリコーン樹脂を溶解させたトルエンに混合・分散させ、これを更に5分間スリーワンモータを用いて攪拌して、塗布液を調製した。
上記硬質粒子被覆工程を経たコア粒子(1000重量部)と上記第2樹脂層形成用塗布液(426重量部)とを、加熱ジャケットと攪拌羽根を備える攪拌機に投入し、攪拌羽根を1分間30回転の速さで回転させて混合した。減圧及び加熱下にてトルエンを除去し、第2樹脂層を形成した。
230℃で1時間に加熱して第2樹脂層を硬化させた後、100メッシュのふるいにかけてコートキャリアC1を製造した。この時点で、コートキャリアC1中の残留トルエン含有率は50ppm以下であった。
コートキャリアC1を電子顕微鏡で観察すると、コートキャリア表面は第2樹脂層で平滑な被覆されており、被覆率は100%であった。コートキャリアC1の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、コート層の層厚は3μmの均一な厚みを有しており、コート層内には単層の硬質粒子層が形成されていた。
コートキャリアC1は、体積平均粒径が45μm、体積抵抗率が2×1011Ω・cm、飽和磁化65emu/gであった。
表2に示すように、硬質粒子の種類及び添加量、並びに第1樹脂層及び第2樹脂層の形成用塗布液の添加量が異なる以外はコートキャリアC1と同様にして、コートキャリアC2〜C10を作製した。
Figure 2010276681
<トナー>
トナーは以下に示す方法で作製した。
トナー材料を下記する。
・バインダー樹脂(ビスフェノールAプロピレンオキサイド、テレフタル酸又は無水トリメリット酸を単量体として重縮合して得られるポリエステル樹脂:ガラス転移温度60℃、軟化温度125℃;藤倉化成工業社製) 100重量部
・着色剤(カーボンブラック:MA100;三菱化学社製) 5重量部
・帯電制御剤(ホウ素化合物:LR-147;日本カーリット社製) 2重量部
・離型剤(ポリプロピレンワックス:三洋化成社製550P) 3重量部
上記トナー材料をヘンシェルミキサにて10分間混合した後、混練分散処理装置(ニーディックスMOS140-800;三井鉱山社製)で溶融混練分散処理した。その混練物をカッティングミルで粗粉砕した後、ジェット式粉砕機(IDS-2型;日本ニューマチック工業社製)によって微粉砕した。微粉砕物を、風力分級機(MP-250型;日本ニューマチック工業社製)を用いて分級することによって、体積平均粒径が6.5μmの着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子100重量部に、個数平均粒径が12nmのヘキサメチルジシラザンで表面を処理したシリカ粒子(デグサ社製)1重量部と個数平均粒径が110nmのシリカX-24(信越化学工業社製)1重量部とを加えて、攪拌羽根の先端速度を15m/秒に設定した気流混合機(ヘンシェルミキサ;三井鉱山社製)で2分間攪拌することによって負帯電性のトナーT1を作製した。
<二成分現像剤>
コートキャリアC1〜C10をトナーT1と混合することによって、実施例及び比較例の二成分現像剤を作製した。二成分の混合は、トナー6重量部とコートキャリア94重量部とをナウターミキサ(商品名:VL-0、ホソカワミクロン社製)に投入し、20分間攪拌混合することによって行った。
<評価方法>
作製した二成分現像剤について、デジタル複合機MXM-350(シャープ社製)を用いて50K枚の連続プリントテストを行い、以下の評価項目に関して評価した。なお、試験紙として、A4サイズの電子写真用紙(マルチレシーバー;シャープドキュメントシステム社製)を使用した。
評価項目ごとに、評価方法について説明する。
(画像濃度)
一辺が3cmの正方形のベタ画像(100%濃度)を紙上の中央部1ヶ所にプリントする連続プリントにおいて、初期から50K枚まで5K枚ごとに採取した画像サンプルについて、プリント部分の画像濃度を、反射濃度計(RD918;マクベス社製)を用いて測定した。
全ての画像サンプルで画像濃度が1.3以上(紙の繊維がトナーで完全に覆われた状態)であれば「良好」とし、いずれかの画像サンプルで画像濃度が1.2以上1.3未満であれば「やや不良」とし、いずれかの画像サンプルで画像濃度が1.2未満(紙の繊維がトナーで不十分にしか覆われていない状態)であれば「不良」とした。
(カブリ)
上記の画像サンプルにおいて、非画像部(0%濃度)の濃度を次の手順により算出した。白度計(Z-Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM;日本電色工業(株)製)を用いて、プリント前の紙の白色度W1及びプリント後の紙の非画像部における白色度W2を測定し、両者の白色度の差(W1-W2)をカブリ度として求めた。
全ての画像サンプルでカブリ濃度が0.6未満(肉眼ではカブリがほとんど見えない状態)であれば「良好」とし、いずれかの画像サンプルで0.6以上1.0未満であれば「やや不良」とし、いずれかの画像サンプルで1.0以上(肉眼ではカブリが明確に見える状態)であれば「不良」とした。
(耐摩耗性)
上記連続プリントテストで使用したコートキャリアを電子顕微鏡で観察して、コート層が剥がれてコア粒子が露出していないかどうかを調べた。
(結果)
表2に評価結果を示す。
実施例1〜6のキャリアにおいては、解砕面の発生が少なく、コート層(第1樹脂層+第2樹脂層)の層厚のバラツキが小さいコートキャリアが得られた。
また、連続プリントテストにおいても、コート層の剥離や磨耗がなく、長期に渡って安定した画像が得られた。
一方、比較例1〜2のキャリアにおいては、解砕面の発生が見られ、コート層の層厚にバラツキが大きいコートキャリアが得られた。
また、連続プリントテストにおいても、コート層の剥離や磨耗が見られ、画像濃度の低下やカブリの発生が見られた。
比較例3〜4のコートキャリアにおいては、解砕面の発生は見られなかったものの、コート層の層厚にバラツキが大きいコートキャリアが得られた。
また、連続プリントテストにおいても、コート層の剥離や磨耗が見られ、画像濃度の低下やカブリの発生が見られた。
40 コア粒子
41 第1樹脂層
42 硬質粒子
43 第2樹脂層
44 コート層
50 コートキャリア

Claims (9)

  1. コア粒子と該コア粒子を被覆するコート層を備え、該コート層が硬質粒子を単粒子層状に含んでなる樹脂層であることを特徴とする電子写真現像剤用コートキャリア。
  2. 前記コート層が、前記コア粒子を被覆し且つ熱硬化樹脂を含んでなる第1樹脂層と、該第1樹脂層に半埋没した前記硬質粒子と、該硬質粒子及び前記第1樹脂層を被覆する第2樹脂層とを含んでなる請求項1に記載のコートキャリア。
  3. 前記コート層が前記硬質粒子の粒径と等しい層厚を有する請求項1又は2に記載のコートキャリア。
  4. 前記硬質粒子が硬化樹脂粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のコートキャリア。
  5. 前記硬質粒子が、個数平均粒径の0.8倍以上1.2倍以下の粒径である粒子を90個数%以上含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のコートキャリア。
  6. 前記コア粒子がフェライト系粒子であり、前記第1及び第2の樹脂層が熱硬化シリコーン樹脂を含んでなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のコートキャリア。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のコートキャリアとトナーとを含んでなる二成分現像剤。
  8. コア粒子の表面に第1樹脂層を形成する第1樹脂層形成工程と、該第1樹脂層の表面に硬質粒子を半埋没状態で被覆する硬質粒子被覆工程と、前記硬質粒子及び該硬質粒子間の前記第1樹脂層の表面に第2樹脂層を形成する第2樹脂層形成工程とを含んでなることを特徴とする電子写真現像用コートキャリアの製造方法。
  9. 前記硬質粒子が、個数平均粒径の0.8倍以上1.2倍以下の粒径である粒子を90個数%以上含む請求項8に記載の製造方法。
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