JP2010276131A - 遊星ローラ機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊星ローラ機構における伝達トルク変動及び振動を抑制する。
【解決手段】周方向に沿って並べられたピニオンローラ23の個数P、及び周方向に沿って並べられたカムローラ30の個数Cに関して、P≠C/k、且つP≠k×Cが任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在する。これによって、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係が変化しても、各ピニオンローラ23の押付力のスカラー和及びベクトル和の両方が変動しない。
【選択図】図5
【解決手段】周方向に沿って並べられたピニオンローラ23の個数P、及び周方向に沿って並べられたカムローラ30の個数Cに関して、P≠C/k、且つP≠k×Cが任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在する。これによって、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係が変化しても、各ピニオンローラ23の押付力のスカラー和及びベクトル和の両方が変動しない。
【選択図】図5
Description
本発明は、サンローラとリングローラとの間に複数のピニオンローラが挟持された遊星ローラ機構に関する。
この種の遊星ローラ機構の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1の遊星ローラ機構においては、ハウジングに固定された固定輪(リングローラ)と、上記固定輪の内側に同軸状にかつ回転自在に挿通された第1の軸(サンローラ)との間に、上記第1の軸と独立して回転しうるように上記固定輪の内側に同軸状に配置された第2の軸のキャリア部に回転自在に支持された複数の遊星ローラ(ピニオンローラ)が圧接状態に配設されている。そして、上記固定輪が、上記遊星ローラの個数と異なる数のボルトを軸方向に挿通させることにより、上記ハウジングに固定されている。固定輪をこれを挿通するボルトで固定する場合、ボルト穴が形成された部分において、固定輪の半径方向の肉厚が薄くなる。このため、遊星ローラが、円周方向に関して、固定輪のボルト穴の部分に移動してきたときに、薄肉になっている固定輪のボルト穴の部分が撓み、その遊星ローラとの間の圧接力(押圧力)が小さくなって、その遊星ローラによる伝達トルクが低下する。特許文献1においては、固定輪を固定するためのボルトの数が遊星ローラの数と異なるため、ある1つの遊星ローラが固定輪のボルト穴の部分に移動してきたとき、残りの遊星ローラが全てボルト穴の部分に位置していることはなく、全ての遊星ローラの部分で同時に伝達トルクが低下することはない。したがって、遊星ローラとボルトが同数である場合と比べて、ボルト穴による全体の伝達トルクの低下が小さくなる。
遊星ローラ機構においては、ローラ同士の油膜を介した接触部に押圧力(法線方向の力)が作用することで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によってトルク伝達を行うことが可能であるが、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないようにトルク伝達に必要な押圧力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。ただし、リングローラをその周方向位置のそれぞれ異なる複数箇所で押圧することで、リングローラと複数のピニオンローラとの各接触部に押圧力を作用させる場合には、各接触部に作用する押圧力の大きさは、ピニオンローラの周方向位置とリングローラの押圧箇所との相対関係に応じて変動する。より具体的には、リングローラとピニオンローラとの接触部に作用する押圧力の大きさは、周方向に関してピニオンローラの位置とリングローラの押圧箇所が一致しているとき、つまりピニオンローラがリングローラの押圧箇所の直下に位置しているときに最も大きくなり、周方向に関するピニオンローラの位置とリングローラの押圧箇所との相対距離が増大するほど小さくなる。ピニオンローラの周方向位置とリングローラの押圧箇所との相対関係の変化に応じて各接触部に作用する押圧力の大きさの総和(各押圧力の方向を考慮しないスカラー和)が変動すると、遊星ローラ機構における伝達トルクが変動する。また、ピニオンローラの周方向位置とリングローラの押圧箇所との相対関係の変化に応じて各接触部に作用する押圧力の合成力(各押圧力の方向を考慮した合成ベクトル)の方向が変動すると、複数のピニオンローラからリングローラに作用する押圧力の合成力(合成ベクトル)の方向が変動し、リングローラの振動の原因となる。なお、サンローラをその周方向位置のそれぞれ異なる複数箇所で押圧することで、サンローラと複数のピニオンローラとの各接触部に押圧力を作用させる場合においても、ピニオンローラの周方向位置とサンローラの押圧箇所との相対関係の変化に応じて各接触部に作用する押圧力の大きさの総和(スカラー和)が変動することで、遊星ローラ機構における伝達トルクが変動し、ピニオンローラの周方向位置とサンローラの押圧箇所との相対関係の変化に応じて各接触部に作用する押圧力の合成力(合成ベクトル)の方向が変動することで、サンローラの振動の原因となる。
特許文献1では、リングローラを固定するボルトの数とピニオンローラの個数を異ならせることで、キャリアの回転に伴ってリングローラと複数のピニオンローラとの各接触部に作用する押圧力の大きさの総和(スカラー和)が変動するのを抑制している。しかし、キャリアの回転に伴って各接触部に作用する押圧力の合成力(合成ベクトル)の方向は変動するため、複数のピニオンローラからリングローラに作用する押圧力の合成力(合成ベクトル)の方向が変動することでリングローラに発生する振動は抑制できていない。
本発明は、遊星ローラ機構における伝達トルク変動及び振動を抑制することを目的とする。
本発明に係る遊星ローラ機構は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る遊星ローラ機構は、リングローラと、リングローラの内側に配置されたサンローラと、リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、リングローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにリングローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がリングローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、を備える遊星ローラ機構であって、ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P≠C/k、且つP≠k×C
が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在することを要旨とする。
P≠C/k、且つP≠k×C
が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在することを要旨とする。
本発明の一態様では、P=6、且つC=4が成立する、または、P=4、且つC=6が成立することが好適である。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、リングローラと、リングローラの内側に配置されたサンローラと、リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、リングローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにリングローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がリングローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、を備える遊星ローラ機構であって、ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P=k×C、且つC≧2
を満たす2以上の整数kが存在することを要旨とする。
P=k×C、且つC≧2
を満たす2以上の整数kが存在することを要旨とする。
本発明の一態様では、P=6、且つC=3が成立することが好適である。
本発明の一態様では、押圧機構は、リングローラとカムディスクとの位相差に応じてリングローラを押圧するカムローラを前記押圧部材として有することが好適である。
本発明の一態様では、リングローラの内周面には、リング側テーパ面が形成され、ピニオンローラの外周面には、リング側テーパ面と接触するピニオン側テーパ面が形成され、各押圧部材は、リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に押圧力を作用させるようリングローラにその軸線方向の推力を作用させることで、リングローラにピニオンローラ側への押付力を作用させることが好適である。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、リングローラと、リングローラの内側に配置されたサンローラと、リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、サンローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにサンローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がサンローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、を備える遊星ローラ機構であって、ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P≠C/k、且つP≠k×C
が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在することを要旨とする。
P≠C/k、且つP≠k×C
が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在することを要旨とする。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、リングローラと、リングローラの内側に配置されたサンローラと、リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、サンローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにサンローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がサンローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、を備える遊星ローラ機構であって、ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P=k×C、且つC≧2
を満たす2以上の整数kが存在することを要旨とする。
P=k×C、且つC≧2
を満たす2以上の整数kが存在することを要旨とする。
本発明によれば、周方向に関する各ピニオンローラと各押圧部材との相対位置関係が変化しても、各ピニオンローラの押付力の大きさの総和が変動するのを抑制することができるとともに、各ピニオンローラの押付力の合成力の方向が変動するのを抑制することができる。その結果、遊星ローラ機構における伝達トルク変動及び振動を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「基本構成」
図1,2は遊星ローラ機構12の基本構成を示す図であり、図1は斜視図を示し、図2はリングローラ22−1,22−2の中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。遊星ローラ機構12は、一対のリングローラ22−1,22−2と、リングローラ22−1,22−2の内側(径方向内側)に配置されたサンローラ21と、リングローラ22−1,22−2の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21とリングローラ22−1,22−2との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数のピニオンローラ(遊星ローラ)23と、各ピニオンローラ23を回転自在に支持するキャリア24と、を有する。図1,2は、遊星ローラ機構12がシングルピニオン型遊星ローラ機構である例を示している。サンローラ21、リングローラ22−1,22−2、及びキャリア24の中心軸(軸線)は一致しており、ピニオンローラ23が自転するときの回転中心軸(軸線)はリングローラ22−1,22−2の中心軸と平行である。なお、図1では、リングローラ22−1,22−2及び一部のピニオンローラ23を切断して図示しており、キャリア24の図示を省略している。
図1,2は遊星ローラ機構12の基本構成を示す図であり、図1は斜視図を示し、図2はリングローラ22−1,22−2の中心軸(軸線)と直交する方向から見た図を示す。遊星ローラ機構12は、一対のリングローラ22−1,22−2と、リングローラ22−1,22−2の内側(径方向内側)に配置されたサンローラ21と、リングローラ22−1,22−2の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21とリングローラ22−1,22−2との間にこれらと接触して挟持(挟圧保持)された複数のピニオンローラ(遊星ローラ)23と、各ピニオンローラ23を回転自在に支持するキャリア24と、を有する。図1,2は、遊星ローラ機構12がシングルピニオン型遊星ローラ機構である例を示している。サンローラ21、リングローラ22−1,22−2、及びキャリア24の中心軸(軸線)は一致しており、ピニオンローラ23が自転するときの回転中心軸(軸線)はリングローラ22−1,22−2の中心軸と平行である。なお、図1では、リングローラ22−1,22−2及び一部のピニオンローラ23を切断して図示しており、キャリア24の図示を省略している。
一対のリングローラ22−1,22−2は、その軸線方向に互いに間隔をおいて対向配置されており、リングローラ22−1がリングローラ22−2よりも軸線方向の一方側(図2の左側)に配置されている。リングローラ22−1の内周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側(図2の左側から右側)にかけて内径が徐々に増大するリング側テーパ面(円錐面)32−1が形成されており、リングローラ22−2の内周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて内径が徐々に減少するリング側テーパ面(円錐面)32−2が形成されている。リング側テーパ面32−1のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは、リング側テーパ面32−2のテーパ角度の大きさと等しく、リング側テーパ面32−1の内径の最大値及び最小値は、リング側テーパ面32−2の内径の最大値及び最小値とそれぞれ等しい。
複数のピニオンローラ23は、リングローラ22−1,22−2の周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。各ピニオンローラ23の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に増大するピニオン側テーパ面(円錐面)33−1と、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に減少するピニオン側テーパ面(円錐面)33−2と、が軸線方向に互いに間隔をおいて形成されており、ピニオン側テーパ面33−1がピニオン側テーパ面33−2よりも軸線方向の一方側に配置されている。ピニオン側テーパ面33−1のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは、ピニオン側テーパ面33−2のテーパ角度の大きさと等しく、ピニオン側テーパ面33−1の外径の最大値及び最小値は、ピニオン側テーパ面33−2の外径の最大値及び最小値とそれぞれ等しい。ピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさは、リング側テーパ面32−1,32−2のテーパ角度の大きさと等しいか若干異なる。各ピニオン側テーパ面33−1はリング側テーパ面32−1と接触し、各ピニオン側テーパ面33−2はリング側テーパ面32−2と接触する。さらに、各ピニオンローラ23の外周面には、ピニオン側円筒面33−3が形成されている。ピニオン側円筒面33−3は、軸線方向に関してピニオン側テーパ面33−1,33−2間に配置され、ピニオン側テーパ面33−1,33−2よりも径方向外側に張り出して形成されている。各ピニオン側円筒面33−3は、サンローラ21の外周面(サン側円筒面)31と接触する。
トルクカム機構25は、軸線方向に関してリングローラ22−1と間隔をおいて対向配置されたリング状のカムディスク29と、リングローラ22−1の周方向に沿って並べられ、各々が軸線方向に関してリングローラ22−1とカムディスク29との間に挟まれた複数の円筒状のカムローラ30と、を含む。カムディスク29は、リングローラ22−1よりも軸線方向の一方側に配置されており、図2,3に示すように、軸線方向の一方側に関するリングローラ22−1の側面には、複数のカム面22−1bが周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)形成されており、各カム面22−1bがカムディスク29と対向している。ここで、図3は、リングローラ22−1及びカムディスク29を周方向に沿って展開して図示している。そして、軸線方向の他方側に関するカムディスク29の側面には、複数のカム面29bが周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)形成されており、各カム面29bが各カム面22−1bとそれぞれ対向している。各カムローラ30は、軸線方向に関してこれらのカム面22−1b,29bの間に挟まれて配設されている。つまり、複数のカムローラ30は、リングローラ22−1の周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。
リングローラ22−1に作用するトルクによってリングローラ22−1とカムディスク29との間に位相差が発生すると、各カムローラ30がカム面22−1b,29bに沿って転動することで、カムディスク29に対するリングローラ22−1の相対回転が抑制される。それとともに、各カムローラ30がリングローラ22−1を周方向位置のそれぞれ異なる箇所にて軸線方向の他方側へ押圧することで、リングローラ22−1に軸線方向の他方側への推力(図1のF11)が作用する。この推力によりリングローラ22−1が軸線方向の他方側(ピニオン側テーパ面33−1の外径が増大する方向)へ移動すると、リングローラ22−1のリング側テーパ面32−1が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−1を径方向内側へ押し付ける力(図1のF12)が発生する。これによって、各ピニオン側テーパ面33−1とリング側テーパ面32−1との接触部28−1、及び各ピニオン側円筒面33−3とサン側円筒面31との接触部27に押圧力が作用する。さらに、各ピニオンローラ23が軸線方向の他方側へ移動すると、リングローラ22−2のリング側テーパ面32−2が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−2を径方向内側へ押し付ける力(図1のF14)が発生する。これによって、各ピニオン側テーパ面33−2とリング側テーパ面32−2との接触部28−2、及び各ピニオン側円筒面33−3とサン側円筒面31との接触部27に押圧力が作用する。このように、各カムローラ30がリングローラ22−1を周方向位置のそれぞれ異なる箇所にて軸線方向の他方側へ押圧することで、リングローラ22−1,22−2にピニオンローラ23側への押付力を作用させることができる。リングローラ22−1に作用する軸線方向の他方側への推力は、リングローラ22−1とカムディスク29との間の位相差(リングローラ22−1に作用するトルク)に応じて変化し、この位相差(リングローラ22−1に作用するトルク)の増大に対して増大する。そのため、接触部27,28−1,28−2に作用する押圧力(法線力)は、リングローラ22−1に作用するトルクに応じて変化し、リングローラ22−1に作用するトルクの増大に対して増大する。なお、カムディスク29はリングローラ22−2に連結され、リングローラ22−1は軸線方向に移動可能な状態で支持され、各ピニオンローラ23は若干の径方向の移動及び軸線方向の移動が許容される状態でキャリア24に支持される。
遊星ローラ機構12においては、ローラ同士の油膜を介した接触部に押圧力(法線方向の力)が作用することで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によってトルク伝達を行うことが可能である。トルク伝達を行う際には、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないように、トルク伝達に必要な押圧力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。本実施形態では、リングローラ22−1にその軸線方向の推力を作用させるトルクカム機構25により、各接触部27,28−1,28−2に押圧力(法線力)を付加することが可能となる。これによって、接触部27,28−1,28−2にトラクション力を発生させることができ、サンローラ21と各ピニオンローラ23との間、及び各ピニオンローラ23とリングローラ22−1,22−2との間でトルク伝達を行うことができる。さらに、トルクカム機構25により、各接触部27,28−1,28−2に付加する法線力を伝達トルクに応じて変化させることも可能となる。
遊星ローラ機構12については、変速機構として用いることが可能である。例えばカムディスク29及びリングローラ22−2を図示しないケーシングに固定してリングローラ22−1,22−2の回転を拘束することで、サンローラ21とキャリア24との間で動力を変速して伝達することができる。その場合に、サンローラ21からキャリア24へ動力を伝達するときは、遊星ローラ機構12は、サンローラ21からキャリア24へ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。一方、キャリア24からサンローラ21へ動力を伝達するときは、遊星ローラ機構12は、キャリア24からサンローラ21へ動力を増速して伝達する増速機構として機能する。また、キャリア24を図示しないケーシングに固定してその回転を拘束することで、サンローラ21とリングローラ22−1,22−2との間で動力を変速して伝達することもできる。また、サンローラ21を図示しないケーシングに固定してその回転を拘束することで、キャリア24とリングローラ22−1,22−2との間で動力を変速して伝達することもできる。このように、遊星ローラ機構12は、キャリア24とサンローラ21とリングローラ22−1,22−2とのうち、いずれか1つの回転を拘束することで残りの2つの間でトルク伝達を行うことが可能である。
「実施形態」
次に、本発明の実施形態に係る遊星ローラ機構12の構成について説明する。以下の実施形態の説明では、図1〜3に示した基本構成と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については基本構成と同様である。
次に、本発明の実施形態に係る遊星ローラ機構12の構成について説明する。以下の実施形態の説明では、図1〜3に示した基本構成と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については基本構成と同様である。
本実施形態に係る遊星ローラ機構12は、基本構成と比較して、周方向に沿って並べられたピニオンローラ23の個数Pと、周方向に沿って並べられたカムローラ30の個数Cとの関係に特徴がある。より具体的には、ピニオンローラ23の個数P、及びカムローラ30の個数Cに関して、以下の(1)式及び(2)式を満たす2以上の整数kの値が存在する。この条件を満たす遊星ローラ機構12の構成例を図4に示す。図4は、P=6、且つC=3(k=2)の例を示している。ただし、ピニオンローラ23の個数P及びカムローラ30の個数Cは、図4に示すP=6且つC=3の例に限られるものではない。なお、以下の説明において、P個のピニオンローラ23を区別する必要があるときは、以降23−1,23−2,〜,23−Pの符号を用いて説明する。
P=k×C (1)
C≧2 (2)
C≧2 (2)
あるいは、本実施形態に係る遊星ローラ機構12は、ピニオンローラ23の個数P、及びカムローラ30の個数Cに関して、以下の(3)式及び(4)式が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCとの間に2以上の公約数が存在する。この条件を満たす遊星ローラ機構12の構成例を図5に示す。図5は、P=4、且つC=6(PとCの最大公約数が2)の例を示している。ただし、ピニオンローラ23の個数P及びカムローラ30の個数Cは、図5に示すP=4且つC=6の例に限られるものではない。
P≠C/k (3)
P≠k×C (4)
P≠k×C (4)
各ピニオンローラ23とリングローラ22−1,22−2との接触部28−1,28−2に作用する押付力の大きさは、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係に応じて変化し、リングローラ22−1,22−2とキャリア24との相対回転に伴って変化する。より具体的には、接触部28−1,28−2に作用する押付力の大きさは、周方向に関してピニオンローラ23の位置とカムローラ30の位置が一致しているとき、つまりピニオンローラ23がリングローラ22−1の押圧箇所の直下に位置しているときに最も大きくなり、周方向に関するピニオンローラ23の位置とカムローラ30の位置(リングローラ22−1の押圧箇所)との相対距離が増大するほど小さくなる。リングローラ22−1,22−2とキャリア24との相対回転により、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係に応じて各接触部28−1,28−2に作用する押付力の大きさの総和(各押付力の方向を考慮しないスカラー和)が変動すると、遊星ローラ機構12における伝達トルクが変動する。また、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係に応じて各接触部28−1,28−2に作用する押付力の合成力(各押圧力の方向を考慮した合成ベクトル)の方向が変動すると、各ピニオンローラ23からリングローラ22−1,22−2に作用する押付力の合成力(合成ベクトル)の方向が変動し、リングローラ22−1,22−2が径方向に振動(揺動)する原因となる。
ここで、比較例として、ピニオンローラ23の個数P及びカムローラ30の個数Cに関して、以下の(5)式を満たす1以上の整数kの値が存在する場合を考える。この条件を満たす遊星ローラ機構12の構成例を図6に示す。図6は、P=4、且つC=4(k=1)の例を示している。
P=C/k (5)
図6に示す比較例では、各ピニオンローラ23−1〜23−4がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力F1〜F4の大きさは、リングローラ22−1,22−2に対するキャリア24の回転角θが変化するのに応じて図7に示すように変動する。図7では、各押付力F1〜F4の振幅をa、平均値をbとし、キャリア24の回転角θに対する各押付力F1〜F4の変動を余弦関数(a・cos(C・θ)+b)で表している(以下の説明でも同様)。そして、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係が図6に示す状態であるときのキャリア24の回転角θを0radとしている。図7に示すように、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4の大きさは、キャリア24の回転角θの変化に対して互いに同位相で変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4の大きさの総和(スカラー和)は、キャリア24の回転角θの変化に応じて変動する。その結果、遊星ローラ機構12における伝達トルクが、キャリア24の回転角θの変化に応じて変動する。
さらに、図6の左右方向をx方向、図6の上下方向をy方向とする直交座標系を定義すると、図6に示す比較例では、各ピニオンローラ23−1〜23−4がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力のx方向成分F1x〜F4x及びy方向成分F1y〜F4yは、キャリア24の回転角θが変化するのに応じて図8に示すように変動する。図8(a)に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3の押付力のx方向成分F1x,F3xが互いに逆位相で変動し、各ピニオンローラ23−2,23−4の押付力のx方向成分F2x,F4xが互いに逆位相で変動する。同様に、図8(b)に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3の押付力のy方向成分F1y,F3yが互いに逆位相で変動し、各ピニオンローラ23−2,23−4の押付力のy方向成分F2y,F4yが互いに逆位相で変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4の合成力(合成ベクトル)の方向は、キャリア24の回転角θが変化しても変動しない。
このように、図6に示す比較例では、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4のベクトル和は変動しないものの、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4のスカラー和が変動するため、遊星ローラ機構12における伝達トルクが変動する。なお、図6に示すP=4且つC=4以外の場合であっても、上記の(5)式を満たす1以上の整数kの値が存在する場合は、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1〜23−Pの押付力のベクトル和は変動しないものの、各ピニオンローラ23−1〜23−Pの押付力のスカラー和が変動する。
また、他の比較例として、ピニオンローラ23の個数P、及びカムローラ30の個数Cに関して、上記の(3)式及び(4)式が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCとの間に2以上の公約数が存在しない場合を考える。この条件を満たす遊星ローラ機構12の構成例を図9に示す。図9は、P=4、且つC=5の例を示している。
図9に示す比較例では、各ピニオンローラ23−1〜23−4がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力F1〜F4の大きさは、リングローラ22−1,22−2に対するキャリア24の回転角θが変化するのに応じて図10に示すように変動する。図10では、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係が図9に示す状態であるときのキャリア24の回転角θを0radとしている。図10に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3の押付力F1,F3の大きさが互いに逆位相で変動し、各ピニオンローラ23−2,23−4の押付力F2,F4の大きさが互いに逆位相で変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4の大きさの総和(スカラー和)は、キャリア24の回転角θが変化しても変動しない。
さらに、各ピニオンローラ23−1〜23−4がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力のx方向成分(図9の左右方向成分)F1x〜F4x及びy方向成分(図9の上下方向成分)F1y〜F4yは、キャリア24の回転角θが変化するのに応じて図11に示すように変動する。各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力のx方向成分F1x〜F4xを合成した結果を図12(a)に示し、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力のy方向成分F1y〜F4yを合成した結果を図12(b)に示す。図12に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力のx方向成分F1x〜F4xの合成和が変動し、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力のy方向成分F1y〜F4yの合成和が変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4の合成力(合成ベクトル)の方向は、キャリア24の回転角θの変化に応じて変動する。その結果、各ピニオンローラ23−1〜23−4がリングローラ22−1,22−2を押圧する合力の方向の変動に起因する径方向の振動がリングローラ22−1,22−2に発生する。
このように、図9に示す比較例では、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4のスカラー和は変動しないものの、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4のベクトル和が変動するため、押付力F1〜F4の合力の方向が変動することによる径方向の振動がリングローラ22−1,22−2に発生する。なお、図9に示すP=4且つC=5以外の場合であっても、上記の(3)式及び(4)式が任意の1以上の整数kに対して成立し、且つPとCとの間に2以上の公約数が存在しない場合は、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4のスカラー和は変動しないものの、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4のベクトル和が変動する。
これに対して図4に示す本実施形態の構成例では、各ピニオンローラ23−1〜23−6がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力F1〜F6の大きさは、リングローラ22−1,22−2に対するキャリア24の回転角θが変化するのに応じて図13に示すように変動する。図13では、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係が図4に示す状態であるときのキャリア24の回転角θを0radとしている。図13に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3,23−5の押付力F1,F3,F5の大きさが互いに同位相で変動し、各ピニオンローラ23−2,23−4,23−6の押付力F2,F4,F6の大きさが互いに同位相で変動する。さらに、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3,23−5の押付力F1,F3,F5の大きさと、各ピニオンローラ23−2,23−4,23−6の押付力F2,F4,F6の大きさとが互いに逆位相で変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−6の押付力F1〜F6の大きさの総和(スカラー和)は、キャリア24の回転角θが変化しても変動しない。
さらに、図4に示す本実施形態の構成例では、リングローラ1周をカムローラ30の個数Cで等分(図4に示す例では3等分)したときの各領域は、キャリア24の回転角θが変化しても、ピニオンローラ23の配置に関して常に回転対称性があり、押付力の大きさや方向に関しても常に回転対称性がある。各ピニオンローラ23−1〜23−6がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力のx方向成分(図4の左右方向成分)F1x〜F6x及びy方向成分(図4の上下方向成分)F1y〜F6yは、キャリア24の回転角θが変化するのに応じて図14に示すように変動する。図14(a)に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、ピニオンローラ23−1,23−3の押付力のx方向成分の合成和F1x+F3xと、ピニオンローラ23−5の押付力のx方向成分F5xとが互いに逆位相で変動し、ピニオンローラ23−2,23−4の押付力のx方向成分の合成和F2x+F4xと、ピニオンローラ23−6の押付力のx方向成分F6xとが互いに逆位相で変動する。同様に、図14(b)に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、ピニオンローラ23−1,23−3の押付力のy方向成分の合成和F1y+F3yと、ピニオンローラ23−5の押付力のy方向成分F5yとが互いに逆位相で変動し、ピニオンローラ23−2,23−4の押付力のy方向成分の合成和F2y+F4yと、ピニオンローラ23−6の押付力のy方向成分F6yとが互いに逆位相で変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−6の押付力F1〜F6の合成力(合成ベクトル)の方向は、キャリア24の回転角θが変化しても変動しない。
このように、図4に示す本実施形態の構成例では、リングローラ22−1,22−2に対するキャリア24の回転角θ(周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係)が変化しても、押付力F1〜F6のスカラー和の変動及び押付力F1〜F6のベクトル和の変動をともに抑制することができる。したがって、押付力F1〜F6のスカラー和が変動することによる遊星ローラ機構12での伝達トルク変動を抑制することができるとともに、押付力F1〜F6の合力の方向が変動することによるリングローラ22−1,22−2の径方向の振動を抑制することができる。なお、図4に示すP=6且つC=3以外の場合であっても、上記の(1)式及び(2)式を満たす2以上の整数kの値が存在する場合は、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1〜23−Pの押付力のスカラー和及びベクトル和の両方が変動しない。
また、図5に示す本実施形態の構成例では、各ピニオンローラ23−1〜23−4がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力F1〜F4の大きさは、リングローラ22−1,22−2に対するキャリア24の回転角θが変化するのに応じて図15に示すように変動する。図15では、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係が図5に示す状態であるときのキャリア24の回転角θを0radとしている。図15に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3の押付力F1,F3の大きさが互いに同位相で変動し、各ピニオンローラ23−2,23−4の押付力F2,F4の大きさが互いに同位相で変動する。さらに、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3の押付力F1,F3の大きさと、各ピニオンローラ23−2,23−4の押付力F2,F4の大きさとが互いに逆位相で変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4の大きさの総和(スカラー和)は、キャリア24の回転角θが変化しても変動しない。
さらに、図5に示す本実施形態の構成例では、リングローラ1周をPとCの最大公約数で等分(図5に示す例では2等分)したときの各領域は、キャリア24の回転角θが変化しても、ピニオンローラ23の配置に関して常に回転対称性があり、押付力の大きさや方向に関しても常に回転対称性がある。各ピニオンローラ23−1〜23−4がリングローラ22−1,22−2を押圧する押付力のx方向成分(図5の左右方向成分)F1x〜F4x及びy方向成分(図5の上下方向成分)F1y〜F4yは、キャリア24の回転角θが変化するのに応じて図16に示すように変動する。図16(a)に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3の押付力のx方向成分F1x,F3xが互いに逆位相で変動し、各ピニオンローラ23−2,23−4の押付力のx方向成分F2x,F4xが互いに逆位相で変動する。同様に、図16(b)に示すように、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1,23−3の押付力のy方向成分F1y,F3yが互いに逆位相で変動し、各ピニオンローラ23−2,23−4の押付力のy方向成分F2y,F4yが互いに逆位相で変動する。そのため、各ピニオンローラ23−1〜23−4の押付力F1〜F4の合成力(合成ベクトル)の方向は、キャリア24の回転角θが変化しても変動しない。
このように、図5に示す本実施形態の構成例でも、キャリア24の回転角θが変化しても、押付力F1〜F4のスカラー和の変動及び押付力F1〜F4のベクトル和の変動をともに抑制することができる。したがって、押付力F1〜F4のスカラー和が変動することによる遊星ローラ機構12での伝達トルク変動を抑制することができるとともに、押付力F1〜F4の合力の方向が変動することによるリングローラ22−1,22−2の径方向の振動を抑制することができる。なお、図5に示すP=4且つC=6以外の場合であっても、上記の(3)式及び(4)式が任意の1以上の整数kに対して成立し、且つPとCとの間に2以上の公約数が存在する場合は、キャリア24の回転角θの変化に対して、各ピニオンローラ23−1〜23−Pの押付力のスカラー和及びベクトル和の両方が変動しない。
なお、ピニオンローラ23の個数Pやカムローラ30の個数Cが増加すると、ピニオンローラ23とリングローラ22−1,22−2との接触部28−1,28−2の数や、カムローラ30とカムディスク29との接触部の数も増加するため、ピニオンローラ23やカムローラ30の加工誤差の影響によっては、各ピニオンローラ23とリングローラ22−1,22−2との接触や、各カムローラ30とカムディスク29との接触にばらつきが生じやすくなる。さらに、ピニオンローラ23やカムローラ30の加工コストが増す要因となる。そのため、ピニオンローラ23の個数P及びカムローラ30の個数Cを減らすことが好ましい。一方、一般的に接触点が3点以上で部品の姿勢が安定的になるため、ピニオンローラ23の個数P及びカムローラ30の個数Cは3個以上であることが好ましい。これらの点を考慮すると、ピニオンローラ23の個数P及びカムローラ30の個数Cを3個以上で且つ最小限にすることが好ましい。そのため、上記の(1)式及び(2)式を満たす2以上の整数kの値が存在する条件の中でも、P=6、且つC=3が成立することが好ましい。また、上記の(3)式及び(4)式が任意の1以上の整数kに対して成立し、且つPとCとの間に2以上の公約数が存在する条件の中でも、P=4、且つC=6が成立することが好ましい。あるいは、P=6、且つC=4が成立することが好ましい。
本実施形態では、トルクカム機構25は、サンローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにサンローラを押圧することもできる。その場合の構成例を図17に示す。図17に示す構成例では、一対のサンローラ21−1,21−2がその軸線方向に互いに間隔をおいて対向配置されており、サンローラ21−1がサンローラ21−2よりも軸線方向の一方側(図17の左側)に配置されている。サンローラ21−1の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側(図17の左側から右側)にかけて外径が徐々に減少するサン側テーパ面(円錐面)31−1が形成されており、サンローラ21−2の外周面(転動面)には、軸線方向の一方側から他方側にかけて外径が徐々に増大するサン側テーパ面(円錐面)31−2が形成されている。サン側テーパ面31−1のテーパ角度(軸線方向に対する傾斜角度)の大きさは、サン側テーパ面31−2のテーパ角度の大きさと等しく、サン側テーパ面31−1の外径の最大値及び最小値は、サン側テーパ面31−2の外径の最大値及び最小値とそれぞれ等しい。そして、サン側テーパ面31−1,31−2のテーパ角度の大きさは、ピニオン側テーパ面33−1,33−2のテーパ角度の大きさと等しいか若干異なる。サン側テーパ面31−1は各ピニオン側テーパ面33−1と接触し、サン側テーパ面31−2は各ピニオン側テーパ面33−2と接触する。各ピニオン側円筒面33−3は、リングローラ22の内周面(リング側円筒面)32と接触する。
トルクカム機構25において、カムディスク29は、軸線方向に関してサンローラ21−1と間隔をおいて対向配置され、サンローラ21−1よりも軸線方向の一方側に配置されている。軸線方向の一方側に関するサンローラ21−1の側面には、複数のカム面21−1bが周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)形成されており、各カム面21−1bがカムディスク29の各カム面29bとそれぞれ対向している。各カムローラ30は、軸線方向に関してこれらのカム面21−1b,29−1bの間に挟まれて配設されている。サンローラ21−1に作用するトルクによってサンローラ21−1とカムディスク29との間に位相差が発生すると、各カムローラ30がカム面22−1b,29bに沿って転動することで、カムディスク29に対するサンローラ21−1の相対回転が抑制される。それとともに、各カムローラ30がサンローラ21−1を周方向位置のそれぞれ異なる箇所にて軸線方向の他方側へ押圧することで、サンローラ21−1に軸線方向の他方側への推力が作用する。この推力によりサンローラ21−1が軸線方向の他方側へ移動すると、サンローラ21−1のサン側テーパ面31−1が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−1を径方向外側へ押し付ける力が発生する。これによって、サン側テーパ面31−1と各ピニオン側テーパ面33−1との接触部27−1、及び各ピニオン側円筒面33−3とリング側円筒面32との接触部28に押圧力が作用する。さらに、各ピニオンローラ23が軸線方向の他方側へ移動すると、サンローラ21−2のサン側テーパ面31−2が各ピニオンローラ23のピニオン側テーパ面33−2を径方向外側へ押し付ける力が発生する。これによって、サン側テーパ面31−2と各ピニオン側テーパ面33−2との接触部27−2、及び各ピニオン側円筒面33−3とリング側円筒面32との接触部28に押圧力が作用する。このように、各カムローラ30がサンローラ21−1を周方向位置のそれぞれ異なる箇所にて軸線方向の他方側へ押圧することで、サンローラ21−1,21−2にピニオンローラ23側への押付力を作用させることができる。接触部27−1,27−2,28に作用する押圧力は、サンローラ21−1に作用するトルクに応じて変化し、サンローラ21−1に作用するトルクの増大に対して増大する。なお、カムディスク29はサンローラ21−2に連結され、サンローラ21−1は軸線方向に移動可能な状態で支持される。
図17に示す構成例においても、上記の(1)式及び(2)式を満たす2以上の整数kの値が存在するように、周方向に沿って並べられたピニオンローラ23の個数P、及び周方向に沿って並べられたカムローラ30の個数Cを設定することで、サンローラ21−1,21−2に対するキャリア24の回転角(周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係)が変化しても、各ピニオンローラ23−1〜23−Pがサンローラ21−1,21−2を押圧する押付力のスカラー和及びベクトル和の両方が変動しない。あるいは、上記の(3)式及び(4)式が任意の1以上の整数kに対して成立し、且つPとCとの間に2以上の公約数が存在するように、ピニオンローラ23の個数P、及び周方向に沿って並べられたカムローラ30の個数Cを設定することによっても、サンローラ21−1,21−2に対するキャリア24の回転角が変化しても、各ピニオンローラ23−1〜23−Pがサンローラ21−1,21−2を押圧する押付力のスカラー和及びベクトル和の両方が変動しない。したがって、押付力のスカラー和が変動することによる遊星ローラ機構12での伝達トルク変動を抑制することができるとともに、押付力の合力の方向が変動することによるサンローラ21−1,21−2の径方向の振動を抑制することができる。
以上の実施形態では、複数のピニオンローラ23及び複数のカムローラ30がそれぞれリングローラ22−1の周方向に関して互いに等間隔で配置されている場合について説明した。ただし、本実施形態では、複数のピニオンローラ23は、必ずしもリングローラ22−1の周方向に関して互いに等間隔で配置されていなくても構わない。同様に、複数のカムローラ30は、必ずしもリングローラ22−1の周方向に関して互いに等間隔で配置されていなくても構わない。これらの場合でも、周方向に関する各ピニオンローラ23と各カムローラ30との相対位置関係が変化しても、押付力のスカラー和の変動及び押付力のベクトル和の変動をともに抑制することができる。
また、以上の実施形態では、カムローラ30がリングローラ22−1(またはサンローラ21−1)に軸線方向の推力を作用させる場合について説明した。ただし、本実施形態では、カムローラ30がリングローラ(またはサンローラ)に例えば径方向の力を作用させることで、リングローラにピニオンローラ側への押付力を作用させることもできる。この場合は、ピニオンローラの外周面及びリングローラの内周面(またはサンローラの外周面)にテーパ面を形成する必要はない。
また、以上の実施形態では、カムローラ30がリングローラ22−1(またはサンローラ21−1)を周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する場合について説明した。ただし、本実施形態では、カムローラ30以外の押圧部材がリングローラ22−1(またはサンローラ21−1)を周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧することで、リングローラ22−1,22−2(またはサンローラ21−1,21−2)にピニオンローラ23側への押付力を作用させることもできる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
12 遊星ローラ機構、21,21−1,21−2 サンローラ、22,22−1,22−2 リングローラ、23 ピニオンローラ、24 キャリア、25 トルクカム機構、27,27−1,27−2,28,28−1,28−2 接触部、29 カムディスク、30 カムローラ、31−1,31−2 サン側テーパ面、32−1,32−2 リング側テーパ面、33−1,33−2 ピニオン側テーパ面。
Claims (8)
- リングローラと、
リングローラの内側に配置されたサンローラと、
リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、
リングローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにリングローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がリングローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、
を備える遊星ローラ機構であって、
ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P≠C/k、且つP≠k×C
が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在する、遊星ローラ機構。 - 請求項1に記載の遊星ローラ機構であって、
P=6、且つC=4が成立する、または、P=4、且つC=6が成立する、遊星ローラ機構。 - リングローラと、
リングローラの内側に配置されたサンローラと、
リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、
リングローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにリングローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がリングローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、
を備える遊星ローラ機構であって、
ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P=k×C、且つC≧2
を満たす2以上の整数kが存在する、遊星ローラ機構。 - 請求項3に記載の遊星ローラ機構であって、
P=6、且つC=3が成立する、遊星ローラ機構。 - 請求項1〜4のいずれか1に記載の遊星ローラ機構であって、
押圧機構は、リングローラとカムディスクとの位相差に応じてリングローラを押圧するカムローラを前記押圧部材として有する、遊星ローラ機構。 - 請求項1〜5のいずれか1に記載の遊星ローラ機構であって、
リングローラの内周面には、リング側テーパ面が形成され、
ピニオンローラの外周面には、リング側テーパ面と接触するピニオン側テーパ面が形成され、
各押圧部材は、リング側テーパ面とピニオン側テーパ面との接触部に押圧力を作用させるようリングローラにその軸線方向の推力を作用させることで、リングローラにピニオンローラ側への押付力を作用させる、遊星ローラ機構。 - リングローラと、
リングローラの内側に配置されたサンローラと、
リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、
サンローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにサンローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がサンローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、
を備える遊星ローラ機構であって、
ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P≠C/k、且つP≠k×C
が任意の1以上の整数kに対して成立し、さらに、PとCに2以上の公約数が存在する、遊星ローラ機構。 - リングローラと、
リングローラの内側に配置されたサンローラと、
リングローラの周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラであって、その各々がサンローラとリングローラとの間に挟持された複数のピニオンローラと、
サンローラにピニオンローラ側への押付力を作用させるようにサンローラを押圧する複数の押圧部材を有し、押圧部材の各々がサンローラを周方向位置のそれぞれ異なる箇所で押圧する押圧機構と、
を備える遊星ローラ機構であって、
ピニオンローラの数P、及び押圧部材の数Cに関して、
P=k×C、且つC≧2
を満たす2以上の整数kが存在する、遊星ローラ機構。
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