JP2011102623A - 遊星ローラ機構 - Google Patents

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祥宏 水野
Kisaburo Hayakawa
喜三郎 早川
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Abstract

【課題】ピニオンローラがヨーモーメントにより傾くのを抑制する。
【解決手段】インナーピニオンローラ63は、サンローラ21と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22,32との間に配置され、サンローラ21の周方向に沿って並べられた複数のアウターピニオンローラ23の各々は、リングローラ22及びインナーピニオンローラ63と接触し、周方向に沿って並べられた複数のアウターピニオンローラ33の各々は、リングローラ32及びインナーピニオンローラ63と接触する。インナーピニオンローラ63は、サンローラ21の他に、周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23、及び周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ33と接触する。
【選択図】図1

Description

本発明は、サンローラとリングローラとの間にピニオンローラが挟持された遊星ローラ機構に関する。
この種の遊星ローラ機構の関連技術が下記特許文献1,2に開示されている。特許文献1,2による遊星ローラ機構は、サンローラと、サンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第1リングローラと、第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、第1リングローラより内径の小さい第2リングローラと、サンローラ及び第1リングローラに接触する大径部と第2リングローラに接触する小径部が結合されたピニオンローラ(遊星ローラ)と、を備える。この遊星ローラ機構は、サンローラから第2リングローラへ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。その際には、第2リングローラの内径を第1リングローラの内径と異ならせることで、サンローラから第2リングローラにかけての減速比を十分大きくすることができる。
特開2007−327569号公報 特開2007−245819号公報 特開昭60−220253号公報 特開2000−120820号公報
特許文献1,2による遊星ローラ機構では、第1リングローラからピニオンローラの大径部に作用する接線力(接線方向のトラクション力)と、第2リングローラからピニオンローラの小径部に作用する接線力は、互いに逆方向になる。そのため、ピニオンローラには、第1及び第2リングローラからの互いに逆方向の接線力によってヨーモーメントが生じる。このヨーモーメントによってピニオンローラが傾く(スキューが生じる)と、接線力の一部が軸方向の分力になるため、各ローラ部材に軸力が生じて、軸受等に過負荷が生じやすくなる。
特許文献1による遊星ローラ機構では、サンローラにガイドを設けることで、ピニオンローラが傾くのを抑止している。しかし、ヨーモーメントの発生自体は改善されておらず、ガイドにおいてピニオンローラとの間で摩擦が生じることで損失が生じる。
本発明に係る遊星ローラ機構は、ピニオンローラがヨーモーメントにより傾くのを抑制することを目的とする。
本発明に係る遊星ローラ機構は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る遊星ローラ機構は、サンローラと、サンローラの外周側に配置された第1リングローラと、第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第2リングローラであって、サンローラとの距離が第1リングローラと異なる第2リングローラと、サンローラと接触する状態でサンローラと第1及び第2リングローラとの間に配置されたインナーピニオンローラと、サンローラの周方向に沿って並べられた複数の第1アウターピニオンローラであって、その各々が第1リングローラ及びインナーピニオンローラと接触する複数の第1アウターピニオンローラと、前記周方向に沿って並べられ、第1アウターピニオンローラに対し相対回転可能な複数の第2アウターピニオンローラであって、その各々が第2リングローラ及びインナーピニオンローラと接触する複数の第2アウターピニオンローラと、を備え、インナーピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つの第1アウターピニオンローラ、及び前記周方向に隣接する2つの第2アウターピニオンローラと接触することを要旨とする。
本発明の一態様では、複数のインナーピニオンローラが前記周方向に沿って並べられ、第1及び第2アウターピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラと接触することが好適である。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、サンローラと、サンローラの外周側に配置された第1リングローラと、第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第2リングローラであって、サンローラとの距離が第1リングローラと異なる第2リングローラと、サンローラと第1リングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、サンローラと第2リングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1ピニオンシャフトと、サンローラの周方向に関して第1ピニオンシャフトと間隔をおいて配置され、第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2ピニオンシャフトと、第1及び第2ピニオンシャフトを固定支持するキャリアと、を備えることを要旨とする。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、大径部と小径部が結合されたサンローラと、サンローラの小径部の外周側に配置された第1リングローラと、サンローラの大径部の外周側に配置された第2リングローラであって、その内径が第1リングローラの内径より小さい第2リングローラと、サンローラの小径部と第1リングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、サンローラの大径部と第2リングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、第1及び第2ピニオンローラを互いに相対回転可能な状態で回転自在に支持するピニオンシャフトと、ピニオンシャフトの両端部を固定支持する第1及び第2キャリアと、を備え、第1リングローラまたは第2リングローラのサンローラまわりの回転が拘束されていることを要旨とする。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、リングローラと、リングローラの内周側に配置された第1サンローラと、第1サンローラとその軸線方向に関して間隔をおいてリングローラの内周側に配置され、回転が拘束された第2サンローラであって、リングローラとの距離が第1サンローラと異なる第2サンローラと、リングローラと接触する状態でリングローラと第1及び第2サンローラとの間に配置されたアウターピニオンローラと、リングローラの周方向に沿って並べられた複数の第1インナーピニオンローラであって、その各々が第1サンローラ及びアウターピニオンローラと接触する複数の第1インナーピニオンローラと、前記周方向に沿って並べられ、第1インナーピニオンローラに対し相対回転可能な複数の第2インナーピニオンローラであって、その各々が第2サンローラ及びアウターピニオンローラと接触する複数の第2インナーピニオンローラと、を備え、アウターピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つの第1インナーピニオンローラ、及び前記周方向に隣接する2つの第2インナーピニオンローラと接触することを要旨とする。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、リングローラと、リングローラの内周側に配置された第1サンローラと、第1サンローラとその軸線方向に関して間隔をおいてリングローラの内周側に配置され、回転が拘束された第2サンローラであって、リングローラとの距離が第1サンローラと異なる第2サンローラと、第1サンローラとリングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、第2サンローラとリングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1ピニオンシャフトと、リングローラの周方向に関して第1ピニオンシャフトと間隔をおいて配置され、第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2ピニオンシャフトと、第1及び第2ピニオンシャフトを固定支持するキャリアと、を備えることを要旨とする。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、大径部と小径部が結合されたリングローラと、リングローラの大径部の内周側に配置された第1サンローラと、リングローラの小径部の内周側に配置された第2サンローラであって、その外径が第1サンローラの外径より大きい第2サンローラと、リングローラの大径部と第1サンローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、リングローラの小径部と第2サンローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、第1及び第2ピニオンローラを互いに相対回転可能な状態で回転自在に支持するピニオンシャフトと、ピニオンシャフトの両端部を固定支持する第1及び第2キャリアと、を備え、第1サンローラまたは第2サンローラの回転が拘束されていることを要旨とする。
本発明によれば、ピニオンローラに互いに逆方向の接線力が作用しても、ピニオンローラがヨーモーメントにより傾くのを抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 くさび角αに対する押付力の増幅率Fr/Fsの関係を示す図である。 サンローラの外径Rs及びインナーピニオンローラの外径Rp1に対するくさび角αの関係を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構において、インナーピニオンローラ及びアウターピニオンローラに作用する力を説明する図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構において、インナーピニオンローラ及びアウターピニオンローラに作用する力を説明する図である。 本発明の実施形態2に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態2に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態3に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態4に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態5に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態5に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態6に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態6に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1〜4は、本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図1は斜視図を示し、図2は図1のA−A断面図を示し、図3は図2のB−B断面図を示し、図4は図2のC−C断面図を示す。本実施形態に係る遊星ローラ機構12は、サンローラ21と、サンローラ21の外周側(径方向外側)に配置されたリングローラ(第1リングローラ)22と、リングローラ22とその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラ21の外周側に配置されたリングローラ(第2リングローラ)32と、サンローラ21の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22,32との間に配置された複数のインナーピニオンローラ(インナー遊星ローラ)63と、サンローラ21の周方向に沿って並べられ、各々がリングローラ22,32及びインナーピニオンローラ63と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22,32との間に配置された複数のアウターピニオンローラ(アウター遊星ローラ)と、を有する。図1〜4に示す例では、アウターピニオンローラとして、リングローラ22及びインナーピニオンローラ63と接触するアウターピニオンローラ(第1アウターピニオンローラ)23と、リングローラ32及びインナーピニオンローラ63と接触するアウターピニオンローラ(第2アウターピニオンローラ)33が設けられている。サンローラ21及びリングローラ22,32の中心軸(軸線)は互いに一致している。インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33が自転するときの回転中心軸(軸線)は、互いに平行であり、さらに、サンローラ21及びリングローラ22,32の中心軸と平行である。なお、図1では、リングローラ32を切断して図示しており、一部のアウターピニオンローラ33の図示を省略している。
リングローラ32の内径がリングローラ22の内径と異なることで、リングローラ32の内周面とサンローラ21の外周面との距離がリングローラ22の内周面とサンローラ21の外周面との距離と異なる。そして、各アウターピニオンローラ33の外径が各アウターピニオンローラ23の外径と異なる。図1〜4に示す例では、リングローラ32の内径がリングローラ22の内径よりも小さいことで、リングローラ32の内周面とサンローラ21の外周面との距離がリングローラ22の内周面とサンローラ21の外周面との距離よりも小さい。そして、各アウターピニオンローラ33の外径が各アウターピニオンローラ23の外径よりも小さい。
複数のインナーピニオンローラ63は、サンローラ21の周方向(リングローラ22,32の周方向と一致する)に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。複数のアウターピニオンローラ23,33も、サンローラ21の周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。そして、アウターピニオンローラ23,33は、サンローラ21の軸線方向(リングローラ22,32の軸線方向と一致する)に関して互いに間隔をおいて配置されている。図1〜4に示す例では、4つのインナーピニオンローラ63がサンローラ21の周方向に関して90°おきに配置され、4つ(インナーピニオンローラ63と同数)のアウターピニオンローラ23がサンローラ21の周方向に関して90°おきに配置され、4つ(インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23と同数)のアウターピニオンローラ33がサンローラ21の周方向に関して90°おきに配置されている。ただし、サンローラ21の周方向に沿って並べられるインナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33の個数については、任意に設定することが可能である。なお、以下の説明において、4個のインナーピニオンローラ63を区別する必要があるときは、以降63−1〜63−4の符号を用いて説明し、4個のアウターピニオンローラ23を区別する必要があるときは、以降23−1〜23−4の符号を用いて説明し、4個のアウターピニオンローラ33を区別する必要があるときは、以降33−1〜33−4の符号を用いて説明する。
図5に示すように、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸(自転の中心軸)23−1aは、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−1の回転中心軸(自転の中心軸)63−1aと直交する直線L1に対してサンローラ21の周方向に45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−4の回転中心軸(自転の中心軸)63−4aと直交する直線L4に対してもサンローラ21の周方向に45°分オフセットしている。そして、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aを通り且つ直線L1と直交する直線L5と、直線L1との交点P1が、インナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aよりもリングローラ22側(径方向外側)に位置し、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aを通り且つ直線L4と直交する直線L6と、直線L4との交点P4が、インナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aよりもリングローラ22側に位置する。アウターピニオンローラ23−1は、リングローラ22の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−1,63−4と接触しており、リングローラ22とインナーピニオンローラ63−1,63−4との間に挟持(挟圧保持)されている。
同様に、アウターピニオンローラ23−j(jは2以上且つ4以下の整数)の回転中心軸も、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−jの回転中心軸と直交する直線Ljに対して45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸と直交する直線L(j−1)に対しても45°分オフセットしている。そのため、各アウターピニオンローラ23−1〜23−4においてオフセット量が等しく設定されている。そして、アウターピニオンローラ23−jの回転中心軸を通り且つ直線Ljと直交する直線と、直線Ljとの交点が、インナーピニオンローラ63−jの回転中心軸よりもリングローラ22側に位置し、アウターピニオンローラ23−jの回転中心軸を通り且つ直線L(j−1)と直交する直線と、直線L(j−1)との交点が、インナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸よりもリングローラ22側に位置する。アウターピニオンローラ23−jも、リングローラ22の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jと接触しており、リングローラ22とインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jとの間に挟持されている。
図6に示すように、アウターピニオンローラ33−1の回転中心軸(自転の中心軸)33−1aも、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aと直交する直線M1に対してサンローラ21の周方向に45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aと直交する直線M4に対してもサンローラ21の周方向に45°分オフセットしている。そして、アウターピニオンローラ33−1の回転中心軸33−1aを通り且つ直線M1と直交する直線M5と、直線M1との交点Q1が、インナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aよりもリングローラ32側(径方向外側)に位置し、アウターピニオンローラ33−1の回転中心軸33−1aを通り且つ直線M4と直交する直線M6と、直線M4との交点Q4が、インナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aよりもリングローラ32側に位置する。アウターピニオンローラ33−1も、リングローラ32の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−1,63−4と接触しており、リングローラ32とインナーピニオンローラ63−1,63−4との間に挟持されている。
同様に、アウターピニオンローラ33−j(jは2以上且つ4以下の整数)の回転中心軸も、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−jの回転中心軸と直交する直線に対して45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸と直交する直線に対しても45°分オフセットしている。そのため、各アウターピニオンローラ33−1〜33−4においてオフセット量が等しく設定されている。そして、アウターピニオンローラ33−jの回転中心軸を通り且つ直線Mjと直交する直線と、直線Mjとの交点が、インナーピニオンローラ63−jの回転中心軸よりもリングローラ32側に位置し、アウターピニオンローラ33−jの回転中心軸を通り且つ直線M(j−1)と直交する直線と、直線M(j−1)との交点が、インナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸よりもリングローラ32側に位置する。アウターピニオンローラ33−jも、リングローラ32の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jと接触しており、リングローラ32とインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jとの間に挟持されている。
図5,6に示すように、インナーピニオンローラ63−j(jは1以上且つ3以下の整数)は、サンローラ21の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23−j,23−(j+1)、及びサンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ33−j,33−(j+1)と接触しており、サンローラ21とアウターピニオンローラ23−j,23−(j+1),33−j,33−(j+1)との間に挟持されている。そして、インナーピニオンローラ63−4は、サンローラ21の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23−1,23−4、及びサンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ33−1,33−4と接触しており、サンローラ21とアウターピニオンローラ23−1,23−4,33−1,33−4との間に挟持されている。
アウターピニオンローラ33−1〜33−4は、アウターピニオンローラ23−1〜23−4に対して、相対的に自転可能であるが、サンローラ21のまわりの相対的な回転(公転)が拘束され、さらに、インナーピニオンローラ63−1〜63−4に対しても、サンローラ21のまわりの相対的な回転(公転)が拘束される。つまり、インナーピニオンローラ63−1〜63−4とアウターピニオンローラ23−1〜23−4とアウターピニオンローラ33−1〜33−4とで、自転速度は異なるが、公転速度は同じである。なお、インナーピニオンローラ63−1〜63−4を回転自在に支持するキャリアや、アウターピニオンローラ23−1〜23−4,33−1〜33−4を回転自在に支持するキャリアを設けることも可能である。ただし、キャリアを省略しても、インナーピニオンローラ63−1〜63−4及びアウターピニオンローラ23−1〜23−4,33−1〜33−4を回転自在に保持することが可能である。
本実施形態では、遊星ローラ機構12を変速機構として用いるために、リングローラ32が図示しないケーシングに固定されていることで、その回転(サンローラ21まわりの回転)が拘束されている。一方、リングローラ22は、リングローラ32に対し相対回転可能である。これによって、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。サンローラ21からリングローラ22へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、サンローラ21からリングローラ22へ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。一方、リングローラ22からサンローラ21へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、リングローラ22からサンローラ21へ動力を増速して伝達する増速機構として機能する。その際には、リングローラ32の内径をリングローラ22の内径と異ならせることで、サンローラ21からリングローラ22にかけての減速比(あるいはリングローラ22からサンローラ21にかけての増速比)を十分大きくすることができる。リングローラ32の内径とリングローラ22の内径との差の絶対値が小さいほど、サンローラ21からリングローラ22にかけての減速比(あるいはリングローラ22からサンローラ21にかけての増速比)が大きくなる。なお、リングローラ32の代わりにリングローラ22を図示しないケーシングに固定してサンローラ21まわりの回転を拘束することで、サンローラ21とリングローラ32との間で動力を変速して伝達することも可能である。
遊星ローラ機構12等のトラクションドライブ機構においては、ローラ同士の油膜を介した接触部に押付力(法線方向の力)が作用することで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によってトルク伝達を行うことが可能であるが、トルク伝達を行う際には、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないように、トルク伝達に必要な押付力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。遊星ローラ機構12において、サンローラ21の外周面と各インナーピニオンローラ63の外周面との接触部27、各インナーピニオンローラ63の外周面と各アウターピニオンローラ23,33の外周面との接触部29−1,29−2、及び各アウターピニオンローラ23,33の外周面とリングローラ22,32の内周面との接触部28−1,28−2に押付力(法線力)を作用させるためには、例えば焼き嵌めや締まり嵌め等によってサンローラ21及び各ピニオンローラ23,33,63をリングローラ22,32の内側に嵌め込み、遊星ローラ機構12に締め代を生じさせる。この締め代によってリングローラ22,32が径方向外側へ弾性変形することで径方向内側(アウターピニオンローラ23,33側)への弾性力(復元力)が生じ、リングローラ22,32は、この弾性力によって各アウターピニオンローラ23,33をサンローラ21側(径方向内側)へ押圧することで、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に法線力を作用させることができる。また、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に押付力(法線力)を付加する既知の押付力付加機構を設けることもできる。このように、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に法線方向の力を作用させることで、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に接線方向のトラクション力を発生させることができ、サンローラ21と各インナーピニオンローラ63との間、各インナーピニオンローラ63と各アウターピニオンローラ23,33との間、及び各アウターピニオンローラ23,33とリングローラ22,32との間でトルク伝達を行うことができる。
本実施形態の遊星ローラ機構12では、図1に示すように、接触部28−1においてリングローラ22からアウターピニオンローラ23に作用する接線力(接線方向のトラクション力)Faと、接触部28−2においてリングローラ32からアウターピニオンローラ33に作用する接線力Fbは、互いに逆方向になる。アウターピニオンローラ23,33が結合されて一体化されている場合は、アウターピニオンローラ23,33には、リングローラ22,32からの互いに逆方向の接線力Fa,Fbによってヨーモーメントが生じる。このヨーモーメントによってアウターピニオンローラ23,33が傾く(スキューが生じる)と、接線力Fa,Fbの一部が軸方向の分力になるため、各ローラ部材に軸力が生じて、軸受等に過負荷が生じやすくなる。
これに対して本実施形態では、リングローラ22,32と接触するアウターピニオンローラ23,33が互いに分離しており別体であるため、アウターピニオンローラ23,33には、互いに逆方向の接線力Fa,Fbがリングローラ22,32から作用しても、ヨーモーメントが生じない。したがって、アウターピニオンローラ23,33が傾く(ヨー回転する)ことによる軸力の発生を抑制することができる。その結果、ローラ運動を安定化させることができ、トルク伝達の際の損失を低減することができる。さらに、出力軸(リングローラ22)の位置決め精度も向上させることができる。なお、インナーピニオンローラ63には、アウターピニオンローラ23,33からの互いに逆方向の接線力によってヨーモーメントが生じる。ただし、インナーピニオンローラ63は、サンローラ21及び周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23(周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ33)と接触しており、周方向に関して3箇所で接触している。そのため、インナーピニオンローラ63は、姿勢が安定しており、ヨーモーメントが作用してもヨー回転しにくい。
また、本実施形態の遊星ローラ機構12では、リングローラ32の内径をリングローラ22の内径と異ならせることで大きな減速比(あるいは増速比)を得ており、リングローラ22とサンローラ21のトルク比が、リングローラ22の内径とサンローラ21の外径との比よりも十分大きくなる。そのため、リングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部28−1に必要な押付力が、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に必要な押付力よりも十分大きくなる。接触部27と接触部28−1とで押付力が等しい場合は、サンローラ21には必要以上の過大な押付力が作用することになる。サンローラ21の外周面(転動面)は、押付力の繰り返し回数が多く高面圧なため、耐久疲労寿命が低下しやすくなる。
ここで、図5に示すように、インナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1a及びアウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aと直交する直線L7と、直線L5との成す角度をα(以下くさび角とする)、サンローラ21の回転中心軸21a及びアウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aと直交する直線L8と、直線L7との成す角度をβとする。そして、接触部27においてサンローラ21からインナーピニオンローラ63−1に作用する押付力(法線力)をFs、接触部29−1においてインナーピニオンローラ63−1からアウターピニオンローラ23−1に作用する押付力(法線力)をFp、接触部28−1においてアウターピニオンローラ23−1からリングローラ22に作用する押付力(法線力)をFrとすると、以下の(1)〜(3)式が成立する。ただし、(3)式において、nは、周方向に沿って並べられたインナーピニオンローラ63(またはアウターピニオンローラ23)の個数(図1〜4に示す例ではn=4)である。また、くさび角αについては、直線L5と直線L1との交点P1がインナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aよりもリングローラ22側(径方向外側)に位置する場合を正としている。
Fp=Fs/(2×sinα) ・・・(1)
Fr=2×Fp×cosβ ・・・(2)
β=π/n−α ・・・(3)
(1)〜(3)式から、以下の(4)式が成立する。(1)〜(4)式は、他のインナーピニオンローラ63−2〜63−4及びアウターピニオンローラ23−2〜23−4に対しても成立する。
Fr/Fs=cosβ/sinα=cos(π/n−α)/sinα ・・・(4)
(4)式から、リングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部28−1に作用する押付力Frが、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に作用する押付力Fsよりも大きくなる。そのため、サンローラ21からリングローラ22にかけて、くさび効果により押付力を増幅することができる。図7に示すように、インナーピニオンローラ63(アウターピニオンローラ23)の個数nが多い場合や、くさび角αが正の範囲で小さい場合に、押付力の増幅率Fr/Fsが大きくなる傾向にある。同様に、リングローラ32とアウターピニオンローラ33との接触部28−2に作用する押付力も、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に作用する押付力よりも大きくなり、サンローラ21からリングローラ32にかけて、くさび効果により押付力が増幅される。
このように、本実施形態では、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に作用する押付力Fsが小さくても、大きな押付力が必要なリングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部28−1では、くさび効果によって押付力Frを増幅することができる。したがって、リングローラ22とアウターピニオンローラ23間でのトルク伝達に必要な押付力Frを確保しつつ、サンローラ21に作用する押付力Fsを小さくすることができ、サンローラ21に過大な押付力Fsが作用するのを抑制することができる。その結果、サンローラ21の耐久疲労寿命を向上させることができる。
また、本実施形態の遊星ローラ機構12において、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に押付力を作用させる際には、リングローラ22,32は、各アウターピニオンローラ23,33からの反力を受けることで径方向外側へ弾性変形する。リングローラ22,32の径方向外側への変形量は、周方向位置に応じて異なり、アウターピニオンローラ23,33との接触部28−1,28−2の周方向位置で最大となり、アウターピニオンローラ23,33との接触部28−1,28−2から離れるほど小さくなる。リングローラ22,32に対してアウターピニオンローラ23,33が相対的に公転すると、接触部28−1,28−2の周方向位置が周期的に変化するため、リングローラ22,32の径方向外側への変形量が最大となる周方向位置が周期的に変化することで、リングローラ22,32には径方向への変形が繰り返し発生する。このリングローラ22,32の繰り返し変形が振動・騒音の原因となる。この振動・騒音を低減するためには、インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33の公転速度(キャリア回転速度)を小さくすることが有効であり、キャリア回転速度を小さくするためには、サンローラ21の外径を小さくすることが有効である。ただし、サンローラ21の外径を小さくすると、接触部27の面圧が高くなるため、耐久疲労寿命が低下しやすくなる。これに対して本実施形態では、サンローラ21に作用する押付力Fsを小さくすることができるので、サンローラ21の外径を小さくしてキャリア回転速度を小さくすることができる。その結果、リングローラ22,32の径方向への繰り返し変形に起因する振動・騒音を低減することができる。
本実施形態において、押付力の増幅率Fr/Fsを大きくしてサンローラ21に作用する押付力Fsを小さくするためには、図7に示すように、くさび角αを正の範囲で小さくすることが好ましい。サンローラ21の外径をRs、リングローラ22の内径をRr1、インナーピニオンローラ63の外径をRp1、アウターピニオンローラ23の外径をRp2とすると、くさび角αは、以下の(5)式で表される。
tanα=[(Rr1−Rp2)×cos(π/n)−(Rs+Rp1)]/[(Rr1−Rp2)×sin(π/n)]
・・・(5)
図8に示すように、くさび角αを小さくするためには、サンローラ21の外径Rsを大きくするか、インナーピニオンローラ63の外径Rp1を大きくすることが有効である。しかし、サンローラ21の外径Rsを大きくすると、キャリア回転速度が大きくなるため、インナーピニオンローラ63の外径Rp1の方を大きくすることが好ましい。ただし、インナーピニオンローラ63の外径Rp1には、くさび角αが正であることと、隣り合うインナーピニオンローラ63同士が干渉しないことの制限がある。くさび角αが正である条件は以下の(6)式で表され、隣り合うインナーピニオンローラ63同士が干渉しない以下の(7)式で表される。くさび角αを小さくして押付力の増幅率Fr/Fsを大きくするためには、(6)式及び(7)式を満たす範囲内でインナーピニオンローラ63の外径Rp1をできるだけ大きくすることが好ましい。
p1<(Rr1−Rp2)×cos(π/n)−Rs ・・・(6)
p1<(Rs+Rp1)×sin(π/n) ・・・(7)
同様に、リングローラ32に作用する押付力とサンローラ21に作用する押付力との比を大きくするためには、リングローラ32の内径をRr2、アウターピニオンローラ33の外径をRp3とすると、(7)式及び以下の(8)式を満たす範囲内でインナーピニオンローラ63の外径Rp1をできるだけ大きくすることが好ましい。
p1<(Rr2−Rp3)×cos(π/n)−Rs ・・・(8)
また、本実施形態の遊星ローラ機構12では、図9に示すように、アウターピニオンローラ23−1とインナーピニオンローラ63−4との接触部29−1aの接線方向が、アウターピニオンローラ23−1とリングローラ22との接触部28−1の接線方向に対して傾斜している。さらに、アウターピニオンローラ23−1とインナーピニオンローラ63−1との接触部29−1bの接線方向も、アウターピニオンローラ23−1とリングローラ22との接触部28−1の接線方向に対して傾斜している。ここで、図9に示すように、アウターピニオンローラ23−1において、接触部28−1の接線方向に対する接触部29−1aの接線方向の傾斜角度をくさび角γ1とし、接触部28−1の接線方向に対する接触部29−1bの接線方向の傾斜角度をくさび角γ2とする。そして、接触部28−1の接線方向と接触部29−1aの接線方向との交点をくさびの頂点A1とし、接触部28−1の接線方向と接触部29−1bの接線方向との交点をくさびの頂点A2とする。なお、くさび角γ1,γ2に関して、γ1=γ2が成立する。
遊星ローラ機構12でトルク伝達を行う際には、各インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33には公転方向のトルク反力が作用し、インナーピニオンローラ63とアウターピニオンローラ23,33とでトルク反力が互いに逆方向である。図10に示すように、サンローラ21に正転方向(図の反時計まわり)のトルクが入力されたときは、アウターピニオンローラ23−1は、トルク反力によってくさびの頂点A1へ向かう方向の力が作用することで、くさびの頂点A1へ向かって移動する(くさびに食い込む)。そして、サンローラ21への正転方向の入力トルクが増大するほど、アウターピニオンローラ23−1に作用するトルク反力が増大し、くさびの頂点A1側へのアウターピニオンローラ23−1の移動量(くさびへの食い込み量)も増大する。その結果、接触部28−1,29−1aに作用する法線力(押付力)が、サンローラ21への入力トルクに応じて変化し、正転方向の入力トルクの増大に対して増大する。アウターピニオンローラ23−1に作用するトルク反力のくさび方向成分をF2とすると、接触部28−1に作用する押付力の増加分は、F2/(2×sin(γ1/2))となる。同様に、他のアウターピニオンローラ23−j(jは2以上且つ4以下の整数)についても、インナーピニオンローラ63−(j−1)との接触部29−1及びリングローラ22との接触部28−1に作用する法線力が、正転方向の入力トルクの増大に対して増大する。
一方、図11に示すように、サンローラ21に逆転方向(図の時計まわり)のトルクが入力されたときは、アウターピニオンローラ23−1は、トルク反力によってくさびの頂点A2へ向かう方向の力が作用することで、くさびの頂点A2へ向かって移動する(くさびに食い込む)。そして、サンローラ21への逆転方向の入力トルクが増大するほど、くさびの頂点A2側へのアウターピニオンローラ23−1の移動量(くさびへの食い込み量)も増大する。その結果、接触部28−1,29−1bに作用する法線力(押付力)が、サンローラ21への入力トルクに応じて変化し、逆転方向の入力トルクの増大に対して増大する。同様に、他のアウターピニオンローラ23−j(jは2以上且つ4以下の整数)についても、インナーピニオンローラ63−jとの接触部29−1及びリングローラ22との接触部28−1に作用する法線力が、逆転方向の入力トルクの増大に対して増大する。
したがって、本実施形態では、正転方向のトルクが入力された場合と逆転方向のトルクが入力された場合との両方において、入力トルクの増大に対して各アウターピニオンローラ23のくさびへの食い込み量を増大させることができ、接触部28−1,29−1に作用する押付力を増大させることができる。その結果、正転方向のトルクが入力された場合と逆転方向のトルクが入力された場合との両方において、過剰な押付力による損失を低減してトルク伝達を効率よく行うことができるとともに、ローラ同士の接触部において過大滑りが生じるのを適切に防止することができる。同様に、各アウターピニオンローラ33についても、正転方向のトルクが入力された場合と逆転方向のトルクが入力された場合との両方において、入力トルクの増大に対してくさびへの食い込み量を増大させることができ、接触部28−2,29−2に作用する押付力を増大させることができる。
「実施形態2」
図12,13は、本発明の実施形態2に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図12はサンローラ21の軸線に平行な方向から見た図を示し、図13は図12のA−A断面図を示す。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
本実施形態に係る遊星ローラ機構12は、サンローラ21と、サンローラ21の外周側(径方向外側)に配置されたリングローラ(第1リングローラ)22と、リングローラ22とその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラ21の外周側に配置されたリングローラ(第2リングローラ)32と、サンローラ21の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21及びリングローラ22と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22との間に挟持された複数のピニオンローラ(第1遊星ローラ)73と、サンローラ21の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21及びリングローラ32と接触する状態でサンローラ21とリングローラ32との間に挟持された複数のピニオンローラ(第2遊星ローラ)83と、各ピニオンローラ73を回転自在に支持する複数のピニオンシャフト(第1ピニオンシャフト)74と、各ピニオンローラ83を回転自在に支持する複数のピニオンシャフト(第2ピニオンシャフト)84と、各ピニオンシャフト74,84を固定支持するキャリア(第1及び第2キャリア)75−1,75−2と、を有する。
リングローラ32の内径がリングローラ22の内径と異なることで、リングローラ32の内周面とサンローラ21の外周面との距離がリングローラ22の内周面とサンローラ21の外周面との距離と異なる。そして、各ピニオンローラ83の外径が各ピニオンローラ73の外径と異なる。図12,13に示す例では、リングローラ32の内径がリングローラ22の内径よりも小さいことで、リングローラ32の内周面とサンローラ21の外周面との距離がリングローラ22の内周面とサンローラ21の外周面との距離よりも小さい。そして、各ピニオンローラ83の外径が各ピニオンローラ73の外径よりも小さい。
複数のピニオンローラ73(ピニオンシャフト74)は、サンローラ21の周方向(リングローラ22,32の周方向と一致する)に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。複数のピニオンローラ83(ピニオンシャフト84)も、サンローラ21の周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。そして、各ピニオンシャフト84は、サンローラ21の周方向に関して各ピニオンシャフト74と間隔をおいて配置されており、各ピニオンローラ83は、各ピニオンローラ73に対して周方向に関する位置をずらして配置されている。キャリア75−1は、各ピニオンシャフト74,84の一端部を固定支持し、キャリア75−2は、各ピニオンシャフト74,84の他端部を固定支持する。ピニオンローラ73とピニオンローラ83とで、自転速度は異なるが、公転速度は同じである。サンローラ21及びリングローラ22,32の中心軸(軸線)は互いに一致しており、ピニオンローラ73,83が自転するときの回転中心軸(軸線)は、互いに平行であり、さらに、サンローラ21及びリングローラ22,32の中心軸と平行である。図12,13に示す例では、4つのピニオンローラ73(ピニオンシャフト74)がサンローラ21の周方向に関して90°おきに配置され、4つのピニオンローラ83(ピニオンシャフト84)が周方向に関して90°おきに配置され、各ピニオンローラ83(ピニオンシャフト84)が各ピニオンローラ73(ピニオンシャフト74)に対して周方向に関する位置を45°ずらして配置されている。ただし、サンローラ21の周方向に沿って並べられるピニオンローラ73,83の個数については、任意に設定することが可能である。
本実施形態でも、遊星ローラ機構12を変速機構として用いるために、リングローラ32が図示しないケーシングに固定されていることで、その回転(サンローラ21まわりの回転)が拘束されている。これによって、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。ただし、リングローラ32の代わりにリングローラ22を図示しないケーシングに固定してサンローラ21まわりの回転を拘束することで、サンローラ21とリングローラ32との間で動力を変速して伝達することも可能である。
以上説明した本実施形態でも、リングローラ22,32と接触するピニオンローラ73,83が互いに分離しており別体であるため、ピニオンローラ73,83には、互いに逆方向の接線力がリングローラ22,32から作用しても、ヨーモーメントが生じない。したがって、ピニオンローラ73,83が傾く(ヨー回転する)ことによる軸力の発生を抑制することができる。その結果、ローラ運動を安定化させることができ、トルク伝達の際の損失を低減することができる。さらに、出力軸(リングローラ22)の位置決め精度も向上させることができる。
「実施形態3」
図14,15は、本発明の実施形態3に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図14はサンローラ21の軸線に平行な方向から見た図を示し、図15は図14のA−A断面図を示す。以下の実施形態3の説明では、実施形態1,2と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1,2と同様である。
本実施形態では、サンローラ21は、小径部21aと、小径部21aと結合され、小径部21aより外径の大きい大径部21bとを含んで構成される。リングローラ22は、小径部21aの外周側に配置されており、リングローラ32は、大径部21bの外周側に配置されている。サンローラ21の周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラ73の各々は、小径部21a及びリングローラ22と接触する状態で小径部21aとリングローラ22との間に挟持され、サンローラ21の周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラ83の各々は、大径部21b及びリングローラ32と接触する状態で大径部21bとリングローラ32との間に挟持されている。リングローラ32の内径はリングローラ22の内径より小さく、各ピニオンローラ83の外径は各ピニオンローラ73の外径より小さい。ピニオンローラ73,83は、サンローラ21の軸線方向(リングローラ22,32の軸線方向と一致する)に関して互いに間隔をおいて配置され、共通のピニオンシャフト74に互いに相対回転可能な状態で回転自在に支持されている。キャリア75−1は、各ピニオンシャフト74の一端部を固定支持し、キャリア75−2は、各ピニオンシャフト74の他端部を固定支持する。ピニオンローラ73とピニオンローラ83とで、自転速度は異なるが、公転速度は同じである。
本実施形態でも、遊星ローラ機構12を変速機構として用いるために、リングローラ32が図示しないケーシングに固定されていることで、その回転(サンローラ21まわりの回転)が拘束されている。これによって、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。ただし、リングローラ32の代わりにリングローラ22を図示しないケーシングに固定してサンローラ21まわりの回転を拘束することで、サンローラ21とリングローラ32との間で動力を変速して伝達することも可能である。
以上説明した本実施形態でも、リングローラ22,32と接触するピニオンローラ73,83が互いに分離しており別体であるため、ピニオンローラ73,83には、互いに逆方向の接線力がリングローラ22,32から作用しても、ヨーモーメントが生じない。したがって、ピニオンローラ73,83が傾く(ヨー回転する)ことによる軸力の発生を抑制することができる。その結果、ローラ運動を安定化させることができ、トルク伝達の際の損失を低減することができる。さらに、出力軸(リングローラ22)の位置決め精度も向上させることができる。さらに、各ピニオンシャフト74の両端部をキャリア75−1,75−2で固定支持しているため、ピニオンローラ73,83を介してピニオンシャフト74に互いに逆方向の接線力が作用してヨーモーメントが生じたとしても、ピニオンシャフト74は、ヨーモーメントに対する剛性が高く、ヨー回転しにくい。
「実施形態4」
図16,17は、本発明の実施形態4に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図16はリングローラ22の軸線に平行な方向から見た図を示し、図17は図16のA−A断面図を示す。以下の実施形態4の説明では、実施形態1〜3と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1〜3と同様である。
本実施形態に係る遊星ローラ機構12は、リングローラ22と、リングローラ22の内周側(径方向内側)に配置されたサンローラ(第1サンローラ)21と、サンローラ21とその軸線方向に関して間隔をおいてリングローラ22の内周側に配置されたサンローラ(第2サンローラ)31と、リングローラ22の周方向に沿って並べられ、各々がリングローラ22と接触する状態でリングローラ22とサンローラ21,31との間に配置された複数のアウターピニオンローラ(アウター遊星ローラ)23と、リングローラ22の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21,31及びアウターピニオンローラ23と接触する状態でリングローラ22とサンローラ21,31との間に配置された複数のインナーピニオンローラ(インナー遊星ローラ)と、を有する。図16,17に示す例では、インナーピニオンローラとして、サンローラ21及びアウターピニオンローラ23と接触するインナーピニオンローラ(第1インナーピニオンローラ)53と、サンローラ31及びアウターピニオンローラ23と接触するインナーピニオンローラ(第2インナーピニオンローラ)63が設けられている。リングローラ22及びサンローラ21,31の中心軸(軸線)は互いに一致している。アウターピニオンローラ23及びインナーピニオンローラ53,63が自転するときの回転中心軸(軸線)は、互いに平行であり、さらに、リングローラ22及びサンローラ21,31の中心軸と平行である。
サンローラ31の外径がサンローラ21の外径と異なることで、サンローラ31の外周面とリングローラ22の内周面との距離がサンローラ21の外周面とリングローラ22の内周面との距離と異なる。そして、各インナーピニオンローラ63の外径が各インナーピニオンローラ53の外径と異なる。図16,17に示す例では、サンローラ31の外径がサンローラ21の外径よりも大きいことで、サンローラ31の外周面とリングローラ22の内周面との距離がサンローラ21の外周面とリングローラ22の内周面との距離よりも小さい。そして、各インナーピニオンローラ63の外径が各インナーピニオンローラ53の外径よりも小さい。
複数のアウターピニオンローラ23は、リングローラ22の周方向(サンローラ21,31の周方向と一致する)に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。複数のインナーピニオンローラ53,63も、リングローラ22の周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。そして、インナーピニオンローラ53,63は、リングローラ22の軸線方向(サンローラ21,31の軸線方向と一致する)に関して互いに間隔をおいて配置されている。インナーピニオンローラ53は、サンローラ21の他に、リングローラ22の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23と接触しており、サンローラ21と2つのアウターピニオンローラ23との間に挟持(挟圧保持)されている。インナーピニオンローラ63も、サンローラ31の他に、リングローラ22の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23と接触しており、サンローラ31と2つのアウターピニオンローラ23との間に挟持されている。そして、アウターピニオンローラ23は、リングローラ22の他に、リングローラ22の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ53、及びリングローラ22の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63と接触しており、リングローラ22とこれらのインナーピニオンローラ53,63との間に挟持されている。図16,17に示す例では、4つのアウターピニオンローラ23がリングローラ22の周方向に関して90°おきに配置され、4つ(アウターピニオンローラ23と同数)のインナーピニオンローラ53がリングローラ22の周方向に関して90°おきに配置され、4つ(アウターピニオンローラ23及びインナーピニオンローラ53と同数)のインナーピニオンローラ63がリングローラ22の周方向に関して90°おきに配置されている。ただし、リングローラ22の周方向に沿って並べられるアウターピニオンローラ23及びインナーピニオンローラ53,63の個数については、任意に設定することが可能である。
インナーピニオンローラ63は、インナーピニオンローラ53に対して、相対的に自転可能であるが、サンローラ21,31のまわりの相対的な回転(公転)が拘束され、さらに、アウターピニオンローラ23に対しても、サンローラ21,31のまわりの相対的な回転(公転)が拘束される。つまり、アウターピニオンローラ23とインナーピニオンローラ53とインナーピニオンローラ63とで、自転速度は異なるが、公転速度は同じである。なお、アウターピニオンローラ23を回転自在に支持するキャリアや、インナーピニオンローラ53,63を回転自在に支持するキャリアを設けることも可能である。ただし、キャリアを省略しても、アウターピニオンローラ23及びインナーピニオンローラ53,63を回転自在に保持することが可能である。
本実施形態でも、遊星ローラ機構12を変速機構として用いるために、サンローラ31が図示しないケーシングに固定されていることで、その回転が拘束されている。これによって、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。ただし、サンローラ31の代わりにサンローラ21を図示しないケーシングに固定してその回転を拘束することで、サンローラ31とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することも可能である。
以上説明した本実施形態でも、サンローラ21,31と接触するインナーピニオンローラ53,63が互いに分離しており別体であるため、インナーピニオンローラ53,63には、互いに逆方向の接線力がサンローラ21,31から作用しても、ヨーモーメントが生じない。したがって、インナーピニオンローラ53,63が傾く(ヨー回転する)ことによる軸力の発生を抑制することができる。なお、アウターピニオンローラ23には、インナーピニオンローラ53,63からの互いに逆方向の接線力によってヨーモーメントが生じる。ただし、アウターピニオンローラ23は、リングローラ22及び周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ53(周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63)と接触しており、周方向に関して3箇所で接触している。そのため、アウターピニオンローラ23は、姿勢が安定しており、ヨーモーメントが作用してもヨー回転しにくい。
「実施形態5」
図18,19は、本発明の実施形態5に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図18はリングローラ22の軸線に平行な方向から見た図を示し、図19は図18のA−A断面図を示す。以下の実施形態5の説明では、実施形態1〜4と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1〜4と同様である。
本実施形態に係る遊星ローラ機構12は、リングローラ22と、リングローラ22の内周側(径方向内側)に配置されたサンローラ(第1サンローラ)21と、サンローラ21とその軸線方向に関して間隔をおいてリングローラ22の内周側に配置されたサンローラ(第2サンローラ)31と、リングローラ22の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21及びリングローラ22と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22との間に挟持された複数のピニオンローラ(第1遊星ローラ)73と、リングローラ22の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ31及びリングローラ22と接触する状態でサンローラ31とリングローラ22との間に挟持された複数のピニオンローラ(第2遊星ローラ)83と、各ピニオンローラ73を回転自在に支持する複数のピニオンシャフト(第1ピニオンシャフト)74と、各ピニオンローラ83を回転自在に支持する複数のピニオンシャフト(第2ピニオンシャフト)84と、各ピニオンシャフト74,84を固定支持するキャリア(第1及び第2キャリア)75−1,75−2と、を有する。
サンローラ31の外径がサンローラ21の外径と異なることで、サンローラ31の外周面とリングローラ22の内周面との距離がサンローラ21の外周面とリングローラ22の内周面との距離と異なる。そして、各ピニオンローラ83の外径が各ピニオンローラ73の外径と異なる。図18,19に示す例では、サンローラ31の外径がサンローラ21の外径よりも大きいことで、サンローラ31の外周面とリングローラ22の内周面との距離がサンローラ21の外周面とリングローラ22の内周面との距離よりも小さい。そして、各ピニオンローラ83の外径が各ピニオンローラ73の外径よりも小さい。
複数のピニオンローラ73(ピニオンシャフト74)は、リングローラ22の周方向(サンローラ21,31の周方向と一致する)に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。複数のピニオンローラ83(ピニオンシャフト84)も、リングローラ22の周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。そして、各ピニオンシャフト84は、リングローラ22の周方向に関して各ピニオンシャフト74と間隔をおいて配置されており、各ピニオンローラ83は、各ピニオンローラ73に対して周方向に関する位置をずらして配置されている。キャリア75−1は、各ピニオンシャフト74,84の一端部を固定支持し、キャリア75−2は、各ピニオンシャフト74,84の他端部を固定支持する。ピニオンローラ73とピニオンローラ83とで、自転速度は異なるが、公転速度は同じである。リングローラ22及びサンローラ21,31の中心軸(軸線)は互いに一致しており、ピニオンローラ73,83が自転するときの回転中心軸(軸線)は、互いに平行であり、さらに、リングローラ22及びサンローラ21,31の中心軸と平行である。図18,19に示す例では、4つのピニオンローラ73(ピニオンシャフト74)がリングローラ22の周方向に関して90°おきに配置され、4つのピニオンローラ83(ピニオンシャフト84)が周方向に関して90°おきに配置され、各ピニオンローラ83(ピニオンシャフト84)が各ピニオンローラ73(ピニオンシャフト74)に対して周方向に関する位置を45°ずらして配置されている。ただし、リングローラ22の周方向に沿って並べられるピニオンローラ73,83の個数については、任意に設定することが可能である。
本実施形態でも、遊星ローラ機構12を変速機構として用いるために、サンローラ31が図示しないケーシングに固定されていることで、その回転が拘束されている。これによって、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。ただし、サンローラ31の代わりにサンローラ21を図示しないケーシングに固定してその回転を拘束することで、サンローラ31とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することも可能である。
以上説明した本実施形態でも、サンローラ21,31と接触するピニオンローラ73,83が互いに分離しており別体であるため、ピニオンローラ73,83には、互いに逆方向の接線力がサンローラ21,31から作用しても、ヨーモーメントが生じない。したがって、ピニオンローラ73,83が傾く(ヨー回転する)ことによる軸力の発生を抑制することができる。
「実施形態6」
図20,21は、本発明の実施形態6に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図20はリングローラ22の軸線に平行な方向から見た図を示し、図21は図20のA−A断面図を示す。以下の実施形態6の説明では、実施形態1〜5と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1〜5と同様である。
本実施形態では、リングローラ22は、大径部22aと、大径部22aと結合され、大径部22aより内径の小さい小径部22bとを含んで構成される。サンローラ21は、大径部22aの内周側に配置されており、サンローラ31は、小径部22bの内周側に配置されている。リングローラ22の周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラ73の各々は、大径部22a及びサンローラ21と接触する状態で大径部22aとサンローラ21との間に挟持され、リングローラ22の周方向に沿って並べられた複数のピニオンローラ83の各々は、小径部22b及びサンローラ31と接触する状態で小径部22bとサンローラ31との間に挟持されている。サンローラ31の外径はサンローラ21の外径より大きく、各ピニオンローラ83の外径は各ピニオンローラ73の外径より小さい。ピニオンローラ73,83は、リングローラ22の軸線方向(サンローラ21,31の軸線方向と一致する)に関して互いに間隔をおいて配置され、共通のピニオンシャフト74に互いに相対回転可能な状態で回転自在に支持されている。キャリア75−1は、各ピニオンシャフト74の一端部を固定支持し、キャリア75−2は、各ピニオンシャフト74の他端部を固定支持する。ピニオンローラ73とピニオンローラ83とで、自転速度は異なるが、公転速度は同じである。
以上説明した本実施形態でも、サンローラ21,31と接触するピニオンローラ73,83が互いに分離しており別体であるため、ピニオンローラ73,83には、互いに逆方向の接線力がサンローラ21,31から作用しても、ヨーモーメントが生じない。したがって、ピニオンローラ73,83が傾く(ヨー回転する)ことによる軸力の発生を抑制することができる。さらに、各ピニオンシャフト74の両端部をキャリア75−1,75−2で固定支持しているため、ピニオンローラ73,83を介してピニオンシャフト74に互いに逆方向の接線力が作用してヨーモーメントが生じたとしても、ピニオンシャフト74は、ヨーモーメントに対する剛性が高く、ヨー回転しにくい。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
12 遊星ローラ機構、21,31 サンローラ、21a 小径部、21b 大径部、22,32 リングローラ、23(23−1〜23−4),33(33−1〜33−4) アウターピニオンローラ、27,28−1,28−2,29−1,29−2 接触部、53,63(63−1〜63−4) インナーピニオンローラ、73,83 ピニオンローラ、74,84 ピニオンシャフト、75−1,75−2 キャリア。

Claims (7)

  1. サンローラと、
    サンローラの外周側に配置された第1リングローラと、
    第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第2リングローラであって、サンローラとの距離が第1リングローラと異なる第2リングローラと、
    サンローラと接触する状態でサンローラと第1及び第2リングローラとの間に配置されたインナーピニオンローラと、
    サンローラの周方向に沿って並べられた複数の第1アウターピニオンローラであって、その各々が第1リングローラ及びインナーピニオンローラと接触する複数の第1アウターピニオンローラと、
    前記周方向に沿って並べられ、第1アウターピニオンローラに対し相対回転可能な複数の第2アウターピニオンローラであって、その各々が第2リングローラ及びインナーピニオンローラと接触する複数の第2アウターピニオンローラと、
    を備え、
    インナーピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つの第1アウターピニオンローラ、及び前記周方向に隣接する2つの第2アウターピニオンローラと接触する、遊星ローラ機構。
  2. 請求項1に記載の遊星ローラ機構であって、
    複数のインナーピニオンローラが前記周方向に沿って並べられ、
    第1及び第2アウターピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラと接触する、遊星ローラ機構。
  3. サンローラと、
    サンローラの外周側に配置された第1リングローラと、
    第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第2リングローラであって、サンローラとの距離が第1リングローラと異なる第2リングローラと、
    サンローラと第1リングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、
    サンローラと第2リングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、
    第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1ピニオンシャフトと、
    サンローラの周方向に関して第1ピニオンシャフトと間隔をおいて配置され、第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2ピニオンシャフトと、
    第1及び第2ピニオンシャフトを固定支持するキャリアと、
    を備える、遊星ローラ機構。
  4. 大径部と小径部が結合されたサンローラと、
    サンローラの小径部の外周側に配置された第1リングローラと、
    サンローラの大径部の外周側に配置された第2リングローラであって、その内径が第1リングローラの内径より小さい第2リングローラと、
    サンローラの小径部と第1リングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、
    サンローラの大径部と第2リングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、
    第1及び第2ピニオンローラを互いに相対回転可能な状態で回転自在に支持するピニオンシャフトと、
    ピニオンシャフトの両端部を固定支持する第1及び第2キャリアと、
    を備え、
    第1リングローラまたは第2リングローラのサンローラまわりの回転が拘束されている、遊星ローラ機構。
  5. リングローラと、
    リングローラの内周側に配置された第1サンローラと、
    第1サンローラとその軸線方向に関して間隔をおいてリングローラの内周側に配置され、回転が拘束された第2サンローラであって、リングローラとの距離が第1サンローラと異なる第2サンローラと、
    リングローラと接触する状態でリングローラと第1及び第2サンローラとの間に配置されたアウターピニオンローラと、
    リングローラの周方向に沿って並べられた複数の第1インナーピニオンローラであって、その各々が第1サンローラ及びアウターピニオンローラと接触する複数の第1インナーピニオンローラと、
    前記周方向に沿って並べられ、第1インナーピニオンローラに対し相対回転可能な複数の第2インナーピニオンローラであって、その各々が第2サンローラ及びアウターピニオンローラと接触する複数の第2インナーピニオンローラと、
    を備え、
    アウターピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つの第1インナーピニオンローラ、及び前記周方向に隣接する2つの第2インナーピニオンローラと接触する、遊星ローラ機構。
  6. リングローラと、
    リングローラの内周側に配置された第1サンローラと、
    第1サンローラとその軸線方向に関して間隔をおいてリングローラの内周側に配置され、回転が拘束された第2サンローラであって、リングローラとの距離が第1サンローラと異なる第2サンローラと、
    第1サンローラとリングローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、
    第2サンローラとリングローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、
    第1ピニオンローラを回転自在に支持する第1ピニオンシャフトと、
    リングローラの周方向に関して第1ピニオンシャフトと間隔をおいて配置され、第2ピニオンローラを回転自在に支持する第2ピニオンシャフトと、
    第1及び第2ピニオンシャフトを固定支持するキャリアと、
    を備える、遊星ローラ機構。
  7. 大径部と小径部が結合されたリングローラと、
    リングローラの大径部の内周側に配置された第1サンローラと、
    リングローラの小径部の内周側に配置された第2サンローラであって、その外径が第1サンローラの外径より大きい第2サンローラと、
    リングローラの大径部と第1サンローラとの間に挟持された第1ピニオンローラと、
    リングローラの小径部と第2サンローラとの間に挟持された第2ピニオンローラと、
    第1及び第2ピニオンローラを互いに相対回転可能な状態で回転自在に支持するピニオンシャフトと、
    ピニオンシャフトの両端部を固定支持する第1及び第2キャリアと、
    を備え、
    第1サンローラまたは第2サンローラの回転が拘束されている、遊星ローラ機構。
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