JP2011102624A - 遊星ローラ機構 - Google Patents

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祥宏 水野
Kisaburo Hayakawa
喜三郎 早川
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Abstract

【課題】サンローラに過大な押付力が作用するのを抑制する。
【解決手段】インナーピニオンローラ63は、サンローラ21と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22,32との間に配置され、アウターピニオンローラ23,33は、その中心軸がサンローラ21の中心軸及びインナーピニオンローラ63の中心軸と直交する直線に対してオフセットする状態でインナーピニオンローラ63及びリングローラ22,32と接触する。リングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部に作用する押付力が、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部に作用する押付力よりも大きくなり、サンローラ21からリングローラ22にかけて押付力を増幅することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、サンローラとリングローラとの間にピニオンローラが挟持された遊星ローラ機構に関する。
この種の遊星ローラ機構の関連技術が下記特許文献1,2に開示されている。特許文献1,2による遊星ローラ機構は、サンローラと、サンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第1リングローラと、第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、第1リングローラより内径の小さい第2リングローラと、サンローラ及び第1リングローラに接触する大径部と第2リングローラに接触する小径部が結合されたピニオンローラ(遊星ローラ)と、を備える。この遊星ローラ機構は、サンローラから第2リングローラへ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。その際には、第2リングローラの内径を第1リングローラの内径と異ならせることで、サンローラから第2リングローラにかけての減速比を十分大きくすることができる。
特開2007−327569号公報 特開2007−245819号公報 特開昭60−220253号公報 特開2000−120820号公報
遊星ローラ機構においてトルク伝達を行う際には、ローラ同士の接触部に過大滑り(グロススリップ)が生じないように、トルク伝達に必要な押付力(法線方向の力)をローラ同士の接触部に作用させる必要があり、伝達トルクが増大するほど接触部に必要な押付力も増大する。そして、特許文献1,2による遊星ローラ機構は、第2リングローラの内径を第1リングローラの内径と異ならせることで大きな減速比を得ており、第2リングローラとサンローラのトルク比が、第2リングローラの内径とサンローラの外径との比よりも十分大きくなる。そのため、第2リングローラとピニオンローラとの接触部に必要な押付力が、サンローラとピニオンローラとの接触部に必要な押付力よりも十分大きくなる。しかし、特許文献1,2による遊星ローラ機構では、サンローラとピニオンローラとの接触部に作用する押付力が、第2リングローラとピニオンローラとの接触部に作用する押付力と等しいため、サンローラには必要以上の過大な押付力が作用することになる。サンローラの外周面(転動面)は、押付力の繰り返し回数が多く高面圧なため、耐久疲労寿命が低下しやすくなる。
本発明に係る遊星ローラ機構は、サンローラに過大な押付力が作用するのを抑制することを目的とする。
本発明に係る遊星ローラ機構は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る遊星ローラ機構は、サンローラと、サンローラの外周側に配置された第1リングローラと、第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第2リングローラであって、サンローラとの距離が第1リングローラと異なる第2リングローラと、サンローラと接触する状態でサンローラと第1及び第2リングローラとの間に配置されたインナーピニオンローラと、第1及び第2リングローラと接触する状態でサンローラと第1及び第2リングローラとの間に配置されたアウターピニオンローラであって、その中心軸がサンローラの中心軸及びインナーピニオンローラの中心軸と直交する直線に対してオフセットする状態でインナーピニオンローラと接触するアウターピニオンローラと、を備えることを要旨とする。
本発明の一態様では、アウターピニオンローラは、第1リングローラ及びインナーピニオンローラと接触する第1アウターピニオンローラと、第2リングローラ及びインナーピニオンローラと接触し、第1アウターピニオンローラに対し相対回転可能な第2アウターピニオンローラと、を含むことが好適である。
本発明の一態様では、アウターピニオンローラは、第1リングローラと接触する第1アウターピニオンローラと、第1アウターピニオンローラと結合され、第2リングローラと接触する第2アウターピニオンローラと、を含み、第1アウターピニオンローラと第2アウターピニオンローラのいずれかがインナーピニオンローラと接触することが好適である。
本発明の一態様では、複数のインナーピニオンローラがサンローラの周方向に沿って並べられ、アウターピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラと接触することが好適である。
本発明の一態様では、複数のアウターピニオンローラがサンローラの周方向に沿って並べられ、インナーピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラと接触することが好適である。
本発明によれば、第1リングローラとアウターピニオンローラとの接触部に作用する押付力が、サンローラとインナーピニオンローラとの接触部に作用する押付力よりも大きくなるため、第1リングローラとアウターピニオンローラ間でのトルク伝達に必要な押付力を確保しつつ、サンローラに作用する押付力を小さくすることができる。その結果、サンローラに過大な押付力が作用するのを抑制することができる。
本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 くさび角αに対する押付力の増幅率Fr/Fsの関係を示す図である。 サンローラの外径Rs及びインナーピニオンローラの外径Rp1に対するくさび角αの関係を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構において、インナーピニオンローラ及びアウターピニオンローラに作用する力を説明する図である。 本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構において、インナーピニオンローラ及びアウターピニオンローラに作用する力を説明する図である。 本発明の実施形態2に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。 本発明の実施形態2に係る遊星ローラ機構の構成例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
「実施形態1」
図1〜4は、本発明の実施形態1に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図1は斜視図を示し、図2は図1のA−A断面図を示し、図3は図2のB−B断面図を示し、図4は図2のC−C断面図を示す。本実施形態に係る遊星ローラ機構12は、サンローラ21と、サンローラ21の外周側(径方向外側)に配置されたリングローラ(第1リングローラ)22と、リングローラ22とその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラ21の外周側に配置されたリングローラ(第2リングローラ)32と、サンローラ21の周方向に沿って並べられ、各々がサンローラ21と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22,32との間に配置された複数のインナーピニオンローラ(インナー遊星ローラ)63と、サンローラ21の周方向に沿って並べられ、各々がリングローラ22,32及びインナーピニオンローラ63と接触する状態でサンローラ21とリングローラ22,32との間に配置された複数のアウターピニオンローラ(アウター遊星ローラ)と、を有する。図1〜4に示す例では、アウターピニオンローラとして、リングローラ22及びインナーピニオンローラ63と接触するアウターピニオンローラ(第1アウターピニオンローラ)23と、リングローラ32及びインナーピニオンローラ63と接触するアウターピニオンローラ(第2アウターピニオンローラ)33が設けられている。サンローラ21及びリングローラ22,32の中心軸(軸線)は互いに一致している。インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33が自転するときの回転中心軸(軸線)は、互いに平行であり、さらに、サンローラ21及びリングローラ22,32の中心軸と平行である。なお、図1では、リングローラ32を切断して図示しており、一部のアウターピニオンローラ33の図示を省略している。
リングローラ32の内径がリングローラ22の内径と異なることで、リングローラ32の内周面とサンローラ21の外周面との距離がリングローラ22の内周面とサンローラ21の外周面との距離と異なる。そして、各アウターピニオンローラ33の外径が各アウターピニオンローラ23の外径と異なる。図1〜4に示す例では、リングローラ32の内径がリングローラ22の内径よりも小さいことで、リングローラ32の内周面とサンローラ21の外周面との距離がリングローラ22の内周面とサンローラ21の外周面との距離よりも小さい。そして、各アウターピニオンローラ33の外径が各アウターピニオンローラ23の外径よりも小さい。
複数のインナーピニオンローラ63は、サンローラ21の周方向(リングローラ22,32の周方向と一致する)に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。複数のアウターピニオンローラ23,33も、サンローラ21の周方向に関して互いに等間隔で(あるいはほぼ等間隔で)配置されている。そして、アウターピニオンローラ23,33は、サンローラ21の軸線方向(リングローラ22,32の軸線方向と一致する)に関して互いに間隔をおいて配置されている。図1〜4に示す例では、4つのインナーピニオンローラ63がサンローラ21の周方向に関して90°おきに配置され、4つ(インナーピニオンローラ63と同数)のアウターピニオンローラ23がサンローラ21の周方向に関して90°おきに配置され、4つ(インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23と同数)のアウターピニオンローラ33がサンローラ21の周方向に関して90°おきに配置されている。ただし、サンローラ21の周方向に沿って並べられるインナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33の個数については、任意に設定することが可能である。なお、以下の説明において、4個のインナーピニオンローラ63を区別する必要があるときは、以降63−1〜63−4の符号を用いて説明し、4個のアウターピニオンローラ23を区別する必要があるときは、以降23−1〜23−4の符号を用いて説明し、4個のアウターピニオンローラ33を区別する必要があるときは、以降33−1〜33−4の符号を用いて説明する。
図5に示すように、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸(自転の中心軸)23−1aは、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−1の回転中心軸(自転の中心軸)63−1aと直交する直線L1に対してサンローラ21の周方向に45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−4の回転中心軸(自転の中心軸)63−4aと直交する直線L4に対してもサンローラ21の周方向に45°分オフセットしている。そして、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aを通り且つ直線L1と直交する直線L5と、直線L1との交点P1が、インナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aよりもリングローラ22側(径方向外側)に位置し、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aを通り且つ直線L4と直交する直線L6と、直線L4との交点P4が、インナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aよりもリングローラ22側に位置する。アウターピニオンローラ23−1は、リングローラ22の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−1,63−4と接触しており、リングローラ22とインナーピニオンローラ63−1,63−4との間に挟持(挟圧保持)されている。
同様に、アウターピニオンローラ23−j(jは2以上且つ4以下の整数)の回転中心軸も、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−jの回転中心軸と直交する直線Ljに対して45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸と直交する直線L(j−1)に対しても45°分オフセットしている。そのため、各アウターピニオンローラ23−1〜23−4においてオフセット量が等しく設定されている。そして、アウターピニオンローラ23−jの回転中心軸を通り且つ直線Ljと直交する直線と、直線Ljとの交点が、インナーピニオンローラ63−jの回転中心軸よりもリングローラ22側に位置し、アウターピニオンローラ23−jの回転中心軸を通り且つ直線L(j−1)と直交する直線と、直線L(j−1)との交点が、インナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸よりもリングローラ22側に位置する。アウターピニオンローラ23−jも、リングローラ22の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jと接触しており、リングローラ22とインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jとの間に挟持されている。
図6に示すように、アウターピニオンローラ33−1の回転中心軸(自転の中心軸)33−1aも、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aと直交する直線M1に対してサンローラ21の周方向に45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aと直交する直線M4に対してもサンローラ21の周方向に45°分オフセットしている。そして、アウターピニオンローラ33−1の回転中心軸33−1aを通り且つ直線M1と直交する直線M5と、直線M1との交点Q1が、インナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aよりもリングローラ32側(径方向外側)に位置し、アウターピニオンローラ33−1の回転中心軸33−1aを通り且つ直線M4と直交する直線M6と、直線M4との交点Q4が、インナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aよりもリングローラ32側に位置する。アウターピニオンローラ33−1も、リングローラ32の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−1,63−4と接触しており、リングローラ32とインナーピニオンローラ63−1,63−4との間に挟持されている。
同様に、アウターピニオンローラ33−j(jは2以上且つ4以下の整数)の回転中心軸も、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−jの回転中心軸と直交する直線に対して45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸と直交する直線に対しても45°分オフセットしている。そのため、各アウターピニオンローラ33−1〜33−4においてオフセット量が等しく設定されている。そして、アウターピニオンローラ33−jの回転中心軸を通り且つ直線Mjと直交する直線と、直線Mjとの交点が、インナーピニオンローラ63−jの回転中心軸よりもリングローラ32側に位置し、アウターピニオンローラ33−jの回転中心軸を通り且つ直線M(j−1)と直交する直線と、直線M(j−1)との交点が、インナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸よりもリングローラ32側に位置する。アウターピニオンローラ33−jも、リングローラ32の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jと接触しており、リングローラ32とインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jとの間に挟持されている。
図5,6に示すように、インナーピニオンローラ63−j(jは1以上且つ3以下の整数)は、サンローラ21の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23−j,23−(j+1)、及びサンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ33−j,33−(j+1)と接触しており、サンローラ21とアウターピニオンローラ23−j,23−(j+1),33−j,33−(j+1)との間に挟持されている。そして、インナーピニオンローラ63−4は、サンローラ21の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23−1,23−4、及びサンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ33−1,33−4と接触しており、サンローラ21とアウターピニオンローラ23−1,23−4,33−1,33−4との間に挟持されている。
アウターピニオンローラ33−1〜33−4は、アウターピニオンローラ23−1〜23−4に対して、相対的に自転可能であるが、サンローラ21のまわりの相対的な回転(公転)が拘束され、さらに、インナーピニオンローラ63−1〜63−4に対しても、サンローラ21のまわりの相対的な回転(公転)が拘束される。つまり、インナーピニオンローラ63−1〜63−4とアウターピニオンローラ23−1〜23−4とアウターピニオンローラ33−1〜33−4とで、自転速度は異なるが、公転速度は同じである。なお、インナーピニオンローラ63−1〜63−4を回転自在に支持するキャリアや、アウターピニオンローラ23−1〜23−4,33−1〜33−4を回転自在に支持するキャリアを設けることも可能である。ただし、キャリアを省略しても、インナーピニオンローラ63−1〜63−4及びアウターピニオンローラ23−1〜23−4,33−1〜33−4を回転自在に保持することが可能である。
本実施形態では、遊星ローラ機構12を変速機構として用いるために、リングローラ32が図示しないケーシングに固定されていることで、その回転(サンローラ21まわりの回転)が拘束されている。一方、リングローラ22は、リングローラ32に対し相対回転可能である。これによって、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。サンローラ21からリングローラ22へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、サンローラ21からリングローラ22へ動力を減速して伝達する減速機構として機能する。一方、リングローラ22からサンローラ21へ動力を伝達する場合は、遊星ローラ機構12は、リングローラ22からサンローラ21へ動力を増速して伝達する増速機構として機能する。その際には、リングローラ32の内径をリングローラ22の内径と異ならせることで、サンローラ21からリングローラ22にかけての減速比(あるいはリングローラ22からサンローラ21にかけての増速比)を十分大きくすることができる。リングローラ32の内径とリングローラ22の内径との差の絶対値が小さいほど、サンローラ21からリングローラ22にかけての減速比(あるいはリングローラ22からサンローラ21にかけての増速比)が大きくなる。なお、リングローラ32の代わりにリングローラ22を図示しないケーシングに固定してサンローラ21まわりの回転を拘束することで、サンローラ21とリングローラ32との間で動力を変速して伝達することも可能である。
遊星ローラ機構12等のトラクションドライブ機構においては、ローラ同士の油膜を介した接触部に押付力(法線方向の力)が作用することで生じる油膜のせん断力(接線方向のトラクション力)によってトルク伝達を行うことが可能であるが、トルク伝達を行う際には、各接触部において過大滑り(グロススリップ)が生じないように、トルク伝達に必要な押付力(法線力)を各接触部に作用させる必要がある。遊星ローラ機構12において、サンローラ21の外周面と各インナーピニオンローラ63の外周面との接触部27、各インナーピニオンローラ63の外周面と各アウターピニオンローラ23,33の外周面との接触部29−1,29−2、及び各アウターピニオンローラ23,33の外周面とリングローラ22,32の内周面との接触部28−1,28−2に押付力(法線力)を作用させるためには、例えば焼き嵌めや締まり嵌め等によってサンローラ21及び各ピニオンローラ23,33,63をリングローラ22,32の内側に嵌め込み、遊星ローラ機構12に締め代を生じさせる。この締め代によってリングローラ22,32が径方向外側へ弾性変形することで径方向内側(アウターピニオンローラ23,33側)への弾性力(復元力)が生じ、リングローラ22,32は、この弾性力によって各アウターピニオンローラ23,33をサンローラ21側(径方向内側)へ押圧することで、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に法線力を作用させることができる。また、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に押付力(法線力)を付加する既知の押付力付加機構を設けることもできる。このように、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に法線方向の力を作用させることで、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に接線方向のトラクション力を発生させることができ、サンローラ21と各インナーピニオンローラ63との間、各インナーピニオンローラ63と各アウターピニオンローラ23,33との間、及び各アウターピニオンローラ23,33とリングローラ22,32との間でトルク伝達を行うことができる。
ここで、図5に示すように、インナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1a及びアウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aと直交する直線L7と、直線L5との成す角度をα(以下くさび角とする)、サンローラ21の回転中心軸21a及びアウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aと直交する直線L8と、直線L7との成す角度をβとする。そして、接触部27においてサンローラ21からインナーピニオンローラ63−1に作用する押付力(法線力)をFs、接触部29−1においてインナーピニオンローラ63−1からアウターピニオンローラ23−1に作用する押付力(法線力)をFp、接触部28−1においてアウターピニオンローラ23−1からリングローラ22に作用する押付力(法線力)をFrとすると、以下の(1)〜(3)式が成立する。ただし、(3)式において、nは、周方向に沿って並べられたインナーピニオンローラ63(またはアウターピニオンローラ23)の個数(図1〜4に示す例ではn=4)である。また、くさび角αについては、直線L5と直線L1との交点P1がインナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aよりもリングローラ22側(径方向外側)に位置する場合を正としている。
Fp=Fs/(2×sinα) ・・・(1)
Fr=2×Fp×cosβ ・・・(2)
β=π/n−α ・・・(3)
(1)〜(3)式から、以下の(4)式が成立する。(1)〜(4)式は、他のインナーピニオンローラ63−2〜63−4及びアウターピニオンローラ23−2〜23−4に対しても成立する。
Fr/Fs=cosβ/sinα=cos(π/n−α)/sinα ・・・(4)
(4)式から、リングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部28−1に作用する押付力Frが、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に作用する押付力Fsよりも大きくなる。そのため、サンローラ21からリングローラ22にかけて、くさび効果により押付力を増幅することができる。図7に示すように、インナーピニオンローラ63(アウターピニオンローラ23)の個数nが多い場合や、くさび角αが正の範囲で小さい場合に、押付力の増幅率Fr/Fsが大きくなる傾向にある。同様に、リングローラ32とアウターピニオンローラ33との接触部28−2に作用する押付力も、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に作用する押付力よりも大きくなり、サンローラ21からリングローラ32にかけて、くさび効果により押付力が増幅される。
本実施形態の遊星ローラ機構12では、リングローラ32の内径をリングローラ22の内径と異ならせることで大きな減速比(あるいは増速比)を得ており、リングローラ22とサンローラ21のトルク比が、リングローラ22の内径とサンローラ21の外径との比よりも十分大きくなる。そのため、リングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部28−1に必要な押付力が、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に必要な押付力よりも十分大きくなる。接触部27と接触部28−1とで押付力が等しい場合は、サンローラ21には必要以上の過大な押付力が作用することになる。サンローラ21の外周面(転動面)は、押付力の繰り返し回数が多く高面圧なため、耐久疲労寿命が低下しやすくなる。
これに対して本実施形態では、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に作用する押付力Fsが小さくても、大きな押付力が必要なリングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部28−1では、くさび効果によって押付力Frを増幅することができる。したがって、リングローラ22とアウターピニオンローラ23間でのトルク伝達に必要な押付力Frを確保しつつ、サンローラ21に作用する押付力Fsを小さくすることができ、サンローラ21に過大な押付力Fsが作用するのを抑制することができる。その結果、サンローラ21の耐久疲労寿命を向上させることができる。
また、本実施形態の遊星ローラ機構12において、接触部27,28−1,28−2,29−1,29−2に押付力を作用させる際には、リングローラ22,32は、各アウターピニオンローラ23,33からの反力を受けることで径方向外側へ弾性変形する。リングローラ22,32の径方向外側への変形量は、周方向位置に応じて異なり、アウターピニオンローラ23,33との接触部28−1,28−2の周方向位置で最大となり、アウターピニオンローラ23,33との接触部28−1,28−2から離れるほど小さくなる。リングローラ22,32に対してアウターピニオンローラ23,33が相対的に公転すると、接触部28−1,28−2の周方向位置が周期的に変化するため、リングローラ22,32の径方向外側への変形量が最大となる周方向位置が周期的に変化することで、リングローラ22,32には径方向への変形が繰り返し発生する。このリングローラ22,32の繰り返し変形が振動・騒音の原因となる。この振動・騒音を低減するためには、インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33の公転速度(キャリア回転速度)を小さくすることが有効であり、キャリア回転速度を小さくするためには、サンローラ21の外径を小さくすることが有効である。ただし、サンローラ21の外径を小さくすると、接触部27の面圧が高くなるため、耐久疲労寿命が低下しやすくなる。これに対して本実施形態では、サンローラ21に作用する押付力Fsを小さくすることができるので、サンローラ21の外径を小さくしてキャリア回転速度を小さくすることができる。その結果、リングローラ22,32の径方向への繰り返し変形に起因する振動・騒音を低減することができる。
本実施形態において、押付力の増幅率Fr/Fsを大きくしてサンローラ21に作用する押付力Fsを小さくするためには、図7に示すように、くさび角αを正の範囲で小さくすることが好ましい。サンローラ21の外径をRs、リングローラ22の内径をRr1、インナーピニオンローラ63の外径をRp1、アウターピニオンローラ23の外径をRp2とすると、くさび角αは、以下の(5)式で表される。
tanα=[(Rr1−Rp2)×cos(π/n)−(Rs+Rp1)]/[(Rr1−Rp2)×sin(π/n)]
・・・(5)
図8に示すように、くさび角αを小さくするためには、サンローラ21の外径Rsを大きくするか、インナーピニオンローラ63の外径Rp1を大きくすることが有効である。しかし、サンローラ21の外径Rsを大きくすると、キャリア回転速度が大きくなるため、インナーピニオンローラ63の外径Rp1の方を大きくすることが好ましい。ただし、インナーピニオンローラ63の外径Rp1には、くさび角αが正であることと、隣り合うインナーピニオンローラ63同士が干渉しないことの制限がある。くさび角αが正である条件は以下の(6)式で表され、隣り合うインナーピニオンローラ63同士が干渉しない以下の(7)式で表される。くさび角αを小さくして押付力の増幅率Fr/Fsを大きくするためには、(6)式及び(7)式を満たす範囲内でインナーピニオンローラ63の外径Rp1をできるだけ大きくすることが好ましい。
p1<(Rr1−Rp2)×cos(π/n)−Rs ・・・(6)
p1<(Rs+Rp1)×sin(π/n) ・・・(7)
同様に、リングローラ32に作用する押付力とサンローラ21に作用する押付力との比を大きくするためには、リングローラ32の内径をRr2、アウターピニオンローラ33の外径をRp3とすると、(7)式及び以下の(8)式を満たす範囲内でインナーピニオンローラ63の外径Rp1をできるだけ大きくすることが好ましい。
p1<(Rr2−Rp3)×cos(π/n)−Rs ・・・(8)
また、本実施形態の遊星ローラ機構12では、図1に示すように、接触部28−1においてリングローラ22からアウターピニオンローラ23に作用する接線力(接線方向のトラクション力)Faと、接触部28−2においてリングローラ32からアウターピニオンローラ33に作用する接線力Fbは、互いに逆方向になる。アウターピニオンローラ23,33が結合されて一体化されている場合は、アウターピニオンローラ23,33には、リングローラ22,32からの互いに逆方向の接線力Fa,Fbによってヨーモーメントが生じる。このヨーモーメントによってアウターピニオンローラ23,33が傾く(スキューが生じる)と、接線力Fa,Fbの一部が軸方向の分力になるため、各ローラ部材に軸力が生じて、軸受等に過負荷が生じやすくなる。これに対して本実施形態では、リングローラ22,32と接触するアウターピニオンローラ23,33が互いに分離しており別体であるため、アウターピニオンローラ23,33には、互いに逆方向の接線力Fa,Fbがリングローラ22,32から作用しても、ヨーモーメントが生じない。したがって、アウターピニオンローラ23,33が傾く(ヨー回転する)ことによる軸力の発生を抑制することができる。その結果、ローラ運動を安定化させることができ、トルク伝達の際の損失を低減することができる。さらに、出力軸(リングローラ22)の位置決め精度も向上させることができる。なお、インナーピニオンローラ63には、アウターピニオンローラ23,33からの互いに逆方向の接線力によってヨーモーメントが生じる。ただし、インナーピニオンローラ63は、サンローラ21及び周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23(周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ33)と接触しており、周方向に関して3箇所で接触している。そのため、インナーピニオンローラ63は、姿勢が安定しており、ヨーモーメントが作用してもヨー回転しにくい。
また、本実施形態の遊星ローラ機構12では、図9に示すように、アウターピニオンローラ23−1とインナーピニオンローラ63−4との接触部29−1aの接線方向が、アウターピニオンローラ23−1とリングローラ22との接触部28−1の接線方向に対して傾斜している。さらに、アウターピニオンローラ23−1とインナーピニオンローラ63−1との接触部29−1bの接線方向も、アウターピニオンローラ23−1とリングローラ22との接触部28−1の接線方向に対して傾斜している。ここで、図9に示すように、アウターピニオンローラ23−1において、接触部28−1の接線方向に対する接触部29−1aの接線方向の傾斜角度をくさび角γ1とし、接触部28−1の接線方向に対する接触部29−1bの接線方向の傾斜角度をくさび角γ2とする。そして、接触部28−1の接線方向と接触部29−1aの接線方向との交点をくさびの頂点A1とし、接触部28−1の接線方向と接触部29−1bの接線方向との交点をくさびの頂点A2とする。なお、くさび角γ1,γ2に関して、γ1=γ2が成立する。
遊星ローラ機構12でトルク伝達を行う際には、各インナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33には公転方向のトルク反力が作用し、インナーピニオンローラ63とアウターピニオンローラ23,33とでトルク反力が互いに逆方向である。図10に示すように、サンローラ21に正転方向(図の反時計まわり)のトルクが入力されたときは、アウターピニオンローラ23−1は、トルク反力によってくさびの頂点A1へ向かう方向の力が作用することで、くさびの頂点A1へ向かって移動する(くさびに食い込む)。そして、サンローラ21への正転方向の入力トルクが増大するほど、アウターピニオンローラ23−1に作用するトルク反力が増大し、くさびの頂点A1側へのアウターピニオンローラ23−1の移動量(くさびへの食い込み量)も増大する。その結果、接触部28−1,29−1aに作用する法線力(押付力)が、サンローラ21への入力トルクに応じて変化し、正転方向の入力トルクの増大に対して増大する。アウターピニオンローラ23−1に作用するトルク反力のくさび方向成分をF2とすると、接触部28−1に作用する押付力の増加分は、F2/(2×sin(γ1/2))となる。同様に、他のアウターピニオンローラ23−j(jは2以上且つ4以下の整数)についても、インナーピニオンローラ63−(j−1)との接触部29−1及びリングローラ22との接触部28−1に作用する法線力が、正転方向の入力トルクの増大に対して増大する。
一方、図11に示すように、サンローラ21に逆転方向(図の時計まわり)のトルクが入力されたときは、アウターピニオンローラ23−1は、トルク反力によってくさびの頂点A2へ向かう方向の力が作用することで、くさびの頂点A2へ向かって移動する(くさびに食い込む)。そして、サンローラ21への逆転方向の入力トルクが増大するほど、くさびの頂点A2側へのアウターピニオンローラ23−1の移動量(くさびへの食い込み量)も増大する。その結果、接触部28−1,29−1bに作用する法線力(押付力)が、サンローラ21への入力トルクに応じて変化し、逆転方向の入力トルクの増大に対して増大する。同様に、他のアウターピニオンローラ23−j(jは2以上且つ4以下の整数)についても、インナーピニオンローラ63−jとの接触部29−1及びリングローラ22との接触部28−1に作用する法線力が、逆転方向の入力トルクの増大に対して増大する。
したがって、本実施形態では、正転方向のトルクが入力された場合と逆転方向のトルクが入力された場合との両方において、入力トルクの増大に対して各アウターピニオンローラ23のくさびへの食い込み量を増大させることができ、接触部28−1,29−1に作用する押付力を増大させることができる。その結果、正転方向のトルクが入力された場合と逆転方向のトルクが入力された場合との両方において、過剰な押付力による損失を低減してトルク伝達を効率よく行うことができるとともに、ローラ同士の接触部において過大滑りが生じるのを適切に防止することができる。同様に、各アウターピニオンローラ33についても、正転方向のトルクが入力された場合と逆転方向のトルクが入力された場合との両方において、入力トルクの増大に対してくさびへの食い込み量を増大させることができ、接触部28−2,29−2に作用する押付力を増大させることができる。
「実施形態2」
図12,13は、本発明の実施形態2に係る遊星ローラ機構12の概略構成を示す図である。図12はサンローラ21の軸線に平行な方向から見た図を示し、図13は図12のA−A断面図を示す。以下の実施形態2の説明では、実施形態1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略する構成については実施形態1と同様である。
本実施形態では、サンローラ21の周方向に沿って並べられた複数のアウターピニオンローラの各々は、リングローラ22と接触するアウターピニオンローラ(第1アウターピニオンローラ)23と、アウターピニオンローラ23と結合され、リングローラ32と接触するアウターピニオンローラ(第2アウターピニオンローラ)33とを含んで構成される。そのため、アウターピニオンローラ23,33は一体となって自転する。図12,13に示す例では、リングローラ32の内径がリングローラ22の内径よりも小さいことで、リングローラ32の内周面とサンローラ21の外周面との距離がリングローラ22の内周面とサンローラ21の外周面との距離よりも小さい。そして、各アウターピニオンローラ33の外径が各アウターピニオンローラ23の外径よりも小さく、各アウターピニオンローラ23が各インナーピニオンローラ63と接触する。ただし、リングローラ32の内径をリングローラ22の内径よりも大きくし、各アウターピニオンローラ33の外径を各アウターピニオンローラ23の外径よりも大きくすることで、各アウターピニオンローラ33を各インナーピニオンローラ63と接触させることも可能である。なお、本実施形態でも、4個のインナーピニオンローラ63を区別する必要があるときは、以降63−1〜63−4の符号を用いて説明し、4個のアウターピニオンローラ23を区別する必要があるときは、以降23−1〜23−4の符号を用いて説明し、4個のアウターピニオンローラ33を区別する必要があるときは、以降33−1〜33−4の符号を用いて説明する。
本実施形態でも、図5に示すように、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸(アウターピニオンローラ33−1の回転中心軸と一致する)23−1aは、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aと直交する直線L1に対してサンローラ21の周方向に45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aと直交する直線L4に対してもサンローラ21の周方向に45°分オフセットしている。そして、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aを通り且つ直線L1と直交する直線L5と、直線L1との交点P1が、インナーピニオンローラ63−1の回転中心軸63−1aよりもリングローラ22側に位置し、アウターピニオンローラ23−1の回転中心軸23−1aを通り且つ直線L4と直交する直線L6と、直線L4との交点P4が、インナーピニオンローラ63−4の回転中心軸63−4aよりもリングローラ22側に位置する。アウターピニオンローラ23−1は、リングローラ22の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−1,63−4と接触しており、リングローラ22とインナーピニオンローラ63−1,63−4との間に挟持されている。
同様に、アウターピニオンローラ23−j(jは2以上且つ4以下の整数)の回転中心軸(アウターピニオンローラ33−jの回転中心軸と一致する)も、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−jの回転中心軸と直交する直線Ljに対して45°分オフセットしており、さらに、サンローラ21の回転中心軸21a及びインナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸と直交する直線L(j−1)に対しても45°分オフセットしている。そのため、各アウターピニオンローラ23−1〜23−4においてオフセット量が等しく設定されている。そして、アウターピニオンローラ23−jの回転中心軸を通り且つ直線Ljと直交する直線と、直線Ljとの交点が、インナーピニオンローラ63−jの回転中心軸よりもリングローラ22側に位置し、アウターピニオンローラ23−jの回転中心軸を通り且つ直線L(j−1)と直交する直線と、直線L(j−1)との交点が、インナーピニオンローラ63−(j−1)の回転中心軸よりもリングローラ22側に位置する。アウターピニオンローラ23−jも、リングローラ22の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jと接触しており、リングローラ22とインナーピニオンローラ63−(j−1),63−jとの間に挟持されている。
インナーピニオンローラ63−j(jは1以上且つ3以下の整数)は、サンローラ21の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23−j,23−(j+1)と接触しており、サンローラ21とアウターピニオンローラ23−j,23−(j+1)との間に挟持されている。そして、インナーピニオンローラ63−4は、サンローラ21の他に、サンローラ21の周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラ23−1,23−4と接触しており、サンローラ21とアウターピニオンローラ23−1,23−4との間に挟持されている。
本実施形態でも、遊星ローラ機構12を変速機構として用いるために、リングローラ32が図示しないケーシングに固定されていることで、その回転(サンローラ21まわりの回転)が拘束されている。これによって、サンローラ21とリングローラ22との間で動力を変速して伝達することができる。ただし、リングローラ32の代わりにリングローラ22を図示しないケーシングに固定してサンローラ21まわりの回転を拘束することで、サンローラ21とリングローラ32との間で動力を変速して伝達することも可能である。
本実施形態でも、リングローラ22とアウターピニオンローラ23との接触部28−1に作用する押付力Frが、サンローラ21とインナーピニオンローラ63との接触部27に作用する押付力Fsよりも大きくなり、サンローラ21からリングローラ22にかけて、くさび効果により押付力を増幅することができる。したがって、リングローラ22とアウターピニオンローラ23間でのトルク伝達に必要な押付力Frを確保しつつ、サンローラ21に過大な押付力Fsが作用するのを抑制することができる。さらに、サンローラ21に作用する押付力Fsを小さくすることができるので、サンローラ21の外径を小さくしてインナーピニオンローラ63及びアウターピニオンローラ23,33の公転速度(キャリア回転速度)を小さくすることができ、リングローラ22,32の径方向への繰り返し変形に起因する振動・騒音を低減することができる。さらに、正転方向のトルクが入力された場合と逆転方向のトルクが入力された場合との両方において、入力トルクの増大に対してローラ同士の接触部に作用する押付力を増大させることができ、過剰な押付力による損失を低減してトルク伝達を効率よく行うことができる。
本実施形態でも、押付力の増幅率Fr/Fsを大きくしてサンローラ21に作用する押付力Fsを小さくするためには、くさび角αを小さくすることが好ましい。そのためには、(6)式及び(7)式を満たす範囲内でインナーピニオンローラ63の外径Rp1をできるだけ大きくすることが好ましい。
以上の各実施形態の説明では、インナーピニオンローラが周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラと接触し、アウターピニオンローラが周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラと接触する構成について説明した。ただし、各実施形態では、インナーピニオンローラが1つのアウターピニオンローラと接触する構成にすることも可能であるし、アウターピニオンローラが1つのインナーピニオンローラと接触する構成にすることも可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
12 遊星ローラ機構、21 サンローラ、22,32 リングローラ、23(23−1〜23−4),33(33−1〜33−4) アウターピニオンローラ、27,28−1,28−2,29−1,29−2 接触部、63(63−1〜63−4) インナーピニオンローラ。

Claims (5)

  1. サンローラと、
    サンローラの外周側に配置された第1リングローラと、
    第1リングローラとその軸線方向に関して間隔をおいてサンローラの外周側に配置され、サンローラまわりの回転が拘束された第2リングローラであって、サンローラとの距離が第1リングローラと異なる第2リングローラと、
    サンローラと接触する状態でサンローラと第1及び第2リングローラとの間に配置されたインナーピニオンローラと、
    第1及び第2リングローラと接触する状態でサンローラと第1及び第2リングローラとの間に配置されたアウターピニオンローラであって、その中心軸がサンローラの中心軸及びインナーピニオンローラの中心軸と直交する直線に対してオフセットする状態でインナーピニオンローラと接触するアウターピニオンローラと、
    を備える、遊星ローラ機構。
  2. 請求項1に記載の遊星ローラ機構であって、
    アウターピニオンローラは、
    第1リングローラ及びインナーピニオンローラと接触する第1アウターピニオンローラと、
    第2リングローラ及びインナーピニオンローラと接触し、第1アウターピニオンローラに対し相対回転可能な第2アウターピニオンローラと、
    を含む、遊星ローラ機構。
  3. 請求項1に記載の遊星ローラ機構であって、
    アウターピニオンローラは、
    第1リングローラと接触する第1アウターピニオンローラと、
    第1アウターピニオンローラと結合され、第2リングローラと接触する第2アウターピニオンローラと、
    を含み、
    第1アウターピニオンローラと第2アウターピニオンローラのいずれかがインナーピニオンローラと接触する、遊星ローラ機構。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の遊星ローラ機構であって、
    複数のインナーピニオンローラがサンローラの周方向に沿って並べられ、
    アウターピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つのインナーピニオンローラと接触する、遊星ローラ機構。
  5. 請求項1〜4のいずれか1に記載の遊星ローラ機構であって、
    複数のアウターピニオンローラがサンローラの周方向に沿って並べられ、
    インナーピニオンローラは、前記周方向に隣接する2つのアウターピニオンローラと接触する、遊星ローラ機構。
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