JP2010275990A - バルブタイミング可変機構付エンジン - Google Patents

バルブタイミング可変機構付エンジン Download PDF

Info

Publication number
JP2010275990A
JP2010275990A JP2009132072A JP2009132072A JP2010275990A JP 2010275990 A JP2010275990 A JP 2010275990A JP 2009132072 A JP2009132072 A JP 2009132072A JP 2009132072 A JP2009132072 A JP 2009132072A JP 2010275990 A JP2010275990 A JP 2010275990A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engine
crankshaft
valve timing
gear
ring gear
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009132072A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Fuyugashira
孝之 冬頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2009132072A priority Critical patent/JP2010275990A/ja
Publication of JP2010275990A publication Critical patent/JP2010275990A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

【課題】バランス機構を有するバルブタイミング可変機構付エンジンにおいて、エンジン始動直後からバルブ位相可変を行え、かつ、小型化及び軽量化を図れる構造を実現することである。
【解決手段】エンジン82は、バランス機構88と、2個のタイミングプーリ72,74と、遊星歯車式のバルブタイミング可変機構90とを備える。バランス機構88を構成する左右2個の2次バランサ48,50の回転速度は、クランク軸20の回転速度の2倍とする。2個の2次バランサ48,50のうち、一方のバランサ48により伝達部材76を介して各タイミングプーリ72,74を駆動する。バルブタイミング可変機構90を構成するサンギヤがタイミングプーリ72,74と同期して駆動され、プラネタリギヤを支持するキャリアによりカム軸が同期して駆動され、リングギヤ部材が電動モータ108により駆動される。
【選択図】図2

Description

本発明は、バランス機構を有する、2つの気筒間での位相差がクランク角で360度である、4サイクルの2気筒型、または単気筒型のバルブタイミング可変機構付エンジンに関する。
従来から小型の自動車や自動二輪車等において、2気筒型や単気筒型のエンジンを使用することが行われている。また、現在、市販化されているシリンダヘッドが1つの直列2気筒型のエンジンの多くは二輪車用であり、しかも2つの気筒間での位相差がクランク角で180度のものが一般的である。例えば、図7は、4サイクルの2気筒型エンジンの従来構造の第1例を略示する図である。図7に示す2気筒型のエンジン10は、2つの気筒間での位相差がクランク角で180度である、4サイクルエンジンである。この場合、例えば、2つの気筒のうち、片側の気筒、すなわちシリンダ孔12内を移動するピストン14が上死点に位置すれば、他側の気筒、すなわちシリンダ孔16内を移動するピストン18が下死点に位置する。ただし、このような構造では、前後方向(本明細書全体で、「前後方向」とはクランク軸20の回転中心軸と平行な方向であり、y軸方向をいう。以下同じ。)に離れた2気筒で、燃焼サイクルがずれて動作するため、1次振動によるモーメントが生じる等により、振動が残りやすい。
また、2気筒型エンジンでの振動の発生を抑制するために、図8に示すような2気筒型エンジンも開発され、一部で市販化されている。図8は、4サイクルの2気筒型エンジンの従来構造の第2例を略示する図である。図8に示す2気筒型のエンジン10aは、2つの気筒間での位相差がクランク角で360度である、4サイクルエンジンである。この場合、例えば、2つの気筒のうち、片側の気筒であるシリンダ孔12内を移動するピストン14が上死点(または下死点)に位置すれば、他側の気筒であるシリンダ孔16内を移動するピストン18も上死点(または下死点)に位置する。また、この場合も、前後方向に離れた2気筒で、燃焼サイクルがずれて動作する。また、クランク軸20の2個所位置にコンロッド22が連結され、それぞれのコンロッド22の先端部にピストン14,18が連結されている。また、クランク軸20の2個のコンロッド22間に、各コンロッド22と反対側に延びるように錘ピストン用コンロッド24が連結されている。錘ピストン用コンロッド24の先端部に錘ピストン26が連結され、筒状の案内部28内に錘ピストン26を往復移動可能としている。
このようなエンジン10aの場合、振動の発生を抑制するためには錘ピストン26の質量をピストン14,18の2個分の質量とする必要があり、エンジン10a全体の重量が増加し、さらに、案内部28内に錘ピストン26を往復移動させるため、摩擦力も大きくなる。さらには、ピストン14,18,26の数が増えるため、エンジン10aの高回転時にピストン14,18,26の慣性力によって生じる回転変動やトルク変動も増加する。
これに対して、図8に示す構造において、錘ピストン26及び錘ピストン用コンロッド24を省略するとともに、2気筒エンジンで生じる振動を、回転する1次バランサ及び2次バランサ等により打ち消す、バランス機構を有するエンジンも考えられている。また、このようなエンジンにバルブタイミング可変機構を設けることも考えられている。図9は、バランス機構を有する、4サイクルの2気筒型バルブタイミング可変機構付エンジンの従来から考えられている構造の1例を略示する図である。図10は、図9の左右方向片側から他側に見た略透視図である。図11は、カウンタウェイトのオーバーバランス率の算出方法を説明するための図である。図12は、図9のエンジンにおいて、2個のタイミングプーリをクランク軸により駆動する様子を示す図である。図13は、図12の吸気カム軸側のタイミングプーリに組み付けるバルブタイミング可変機構を示す略透視斜視図である。まず、図9、図10を用いてバランス機構について説明する。なお、図9、図10に示すエンジン10bでは、ピストン14,18及びコンロッド22の上下方向の往復運動による振動を打ち消すために、この振動を、エンジン10bの回転数Rと同じ回転数で、エンジン10bの回転と同じ周期で生じる1次振動と、エンジン10bの回転の1/2の周期で生じる、すなわち、エンジン10bの単位時間当たりの回転数Rの2倍の振動数2Rで往復振動する2次振動とに分離し、それぞれの振動を取り除くために、エンジン10bに、カウンタウェイト30と1次バランサ32と2次バランサ48,50とを設けている。
カウンタウェイト30は、クランク軸20の軸方向複数個所の、クランク軸20の回転中心軸に関してコンロッド22の取付部とは反対側に取り付けている。また、1次バランサ32は、クランク軸20と平行に配置し、かつ、クランク軸20の回転方向と逆方向に回転する。このために、1次バランサ32に固定した1次バランサギヤ36とクランク軸20に固定したクランク軸ギヤ38とを噛合させることにより歯車機構40を構成している。また、1次バランサ32の径方向片側に偏った部分にバランサウェイト41を設けている。クランク軸20のクランク軸ギヤ38と同じ側の端部(図9の右端部)に、フライホイール42を取り付けている。また、図10に示すように、クランク軸ギヤ38に連接ギヤ44を噛合させ、連接ギヤ44に反転ギヤ46を噛合させている。また、連接ギヤ44と反転ギヤ46とに、それぞれ2次バランサ48,50に固定した左右2個の2次バランサギヤ52,54を噛合させている。なお、本明細書全体及び特許請求の範囲で「左右」とは特に断らない限り、エンジンをクランク軸20に対し直交する仮想平面で見た場合の左右をいい、図10、図12、後述する図2の左右をいう。図9に示すように、2次バランサ48(図10に示す2次バランサ50も同様)の軸部56は、クランク軸20と平行に配置されている。また、2次バランサ48,50の径方向片側に偏った部分にバランサウェイト58を設けている。また、2次バランサギヤ52,54の歯数は、クランク軸ギヤ38、連接ギヤ44、及び反転ギヤ46の歯数の1/2としている。この構成により、左右2個の2次バランサ48,50は、クランク軸20により、各バランサ48,50の回転速度がクランク軸20の2倍の回転速度となるように駆動される。このため、2個の2次バランサ48,50の角速度は、クランク軸20の角速度ωの2倍である2ωとなる。また、左右2個の2次バランサ48,50は、互いに逆方向に回転する。また、カウンタウェイト30と1次バランサ32とのオーバーバランス率を、それぞれ50%としている。
次に、オーバーバランス率の定義を図11を用いて説明する。すなわち、1気筒当たりの、クランク軸20、ピストン14(18)、コンロッド22の慣性力は、ピストン14(18)及びコンロッド22の小端部を含む往復運動部の慣性力F1と、クランク軸20を構成するクランクピン60及びコンロッド22の大端部を含む回転運動部の慣性力F2とに分けて考えることができ、回転運動部の慣性力F2をカウンタウェイト30によって打ち消すことができる。また、往復運動部の1次の慣性力を図9、図10に示す1次バランサ32によって打ち消すことができ、上下方向、すなわちz軸方向の2次の慣性力だけが残る。また、カウンタウェイト30のオーバーバランス率OBR[%]は、以下の(1)〜(3)式で表される。
OBR=(mw×rw−mrw0)/(mrw100−mrw0)×100 ・・・(1)
rw0=mq×αc×r+mc×rc ・・・(2)
rw100=mp×r+mq×r+mc×rc ・・・(3)
ここで、(1)〜(3)式において、mpはピストン14(18)の質量、mqはコンロッド22の質量、αcはコンロッド22小端部からコンロッド22重心Qまでの距離lcとコンロッド長lとの比(=lc/l)、mcはクランク軸20のカウンタウェイト30を除く質量、rcはクランク軸20のカウンタウェイト30を除く重心とクランク軸20の回転中心との距離、mwはカウンタウェイト30の質量、rwはカウンタウェイト30の重心とクランク軸20の回転中心との距離、rはクランク半径(半ストローク)である。
例えば、オーバーバランス率OBRが0%である場合、エンジンの左右方向であるx軸方向の全体の慣性力は常に0となるが、エンジン上下方向であるz軸方向の慣性力が残る。また、オーバーバランス率OBRが100%の場合、z軸方向の1次慣性力が常に0となり、z軸方向の2次慣性力及びx軸方向の慣性力は残る。これに対して、オーバーバランス率OBRが50%の場合、x軸方向及びz軸方向の慣性力はそれぞれ残るが、x軸方向の慣性力はオーバーバランス率100%の場合よりも小さくなり、z軸方向の慣性力はオーバーバランス率0%の場合よりも小さくなる。
そして、図9、図10に示したバランサ機構を有するエンジン10bでは、1次振動の50%をクランク軸20に取り付けたオーバーバランス率50%のカウンタウェイト30で相殺し、残り50%をクランク軸20と逆方向に回転する1次バランサ32により相殺している。また、エンジン10bの2次振動は、クランク軸20の2倍の速度で回転する左右2個の2次バランサ48,50によって相殺している。
次に、エンジン10bに組み付けたバルブタイミング可変機構について、図12、図13を用いて説明する。バルブタイミング可変機構は、エンジン10bの吸気バルブの開閉タイミングの、排気バルブの閉開タイミングに対するずれ量を、運転状況に応じて変更するために使用する。図12に示すように、エンジン10bには、シリンダヘッド62に吸気バルブ64と排気バルブ66とを駆動可能に組み付けている。また、シリンダヘッド62に各バルブ64,66をそれぞれ駆動するための、各気筒ごとに2本の吸気カム軸68(図13)と排気カム軸(図示せず)とを設けている。そして、吸気側、排気側ともにバルブリフトの位相を、連続的に可変となるようにしている。このために、クランク軸20に固定したクランク軸プーリ70と吸気、排気両カム軸68に連結した左右2個のタイミングプーリ72,74とに、タイミングベルトまたはタイミングチェーンである伝達部材76を掛け渡し、クランク軸プーリ70により2個のタイミングプーリ72,74を駆動可能としている。伝達部材76は、テンショナ78により張力が付与される。また、クランク軸プーリ70の歯数に対し、各タイミングプーリ72,74の歯数を2倍とし、各タイミングプーリ72,74の回転速度をクランク軸プーリ70の回転速度の1/2に減速している。
また、各タイミングプーリ72,74にバルブタイミング可変機構80(図13)を組み付けている。バルブタイミング可変機構80は、外側プーリと内側プーリとを径方向に関して2重に組み合わせて、外側、内側両プーリの位相差を油圧室の容積を変える等により変更可能としている。図13に示す構造は、油圧式と呼ばれる油圧を用いる構造のうち、特に油圧ベーン式と呼ばれる構造で、多く市販化されている。
また、近年は、特許文献1から特許文献4に記載されているように、油圧式に代わる構造として、遊星歯車式と呼ばれるバルブタイミング可変機構も提案されている。特許文献1から特許文献4には、遊星歯車機構のリングギヤを、クランク軸等の回転軸から動力が入力される入力側として使用し、プラネタリギヤを支持するキャリアをカム軸側に動力を出力する出力側として使用し、サンギヤをサーボコントロールされる、または位相可変用のモータにより駆動する、リングギヤ入力・キャリア出力型のバルブタイミング可変機構が記載されている(特許文献1の図2、図3等参照)。また、特許文献1には、遊星歯車機構のサンギヤを、回転軸から動力が入力される入力側として使用し、プラネタリギヤを支持するキャリアをカム軸側に動力を出力する出力側として使用し、リングギヤをサーボモータによって回転させる、サンギヤ入力・キャリア出力型のバルブタイミング可変機構も記載されている(特許文献1の図1参照)。
米国特許第4747375号明細書 特開平11−153008号公報 特開2001−248410号公報 特開平4−232312号公報
従来技術の組み合わせでバランス機構を有する2気筒エンジンを構成しようとすると、図9、図10に示すように、クランク軸20の前後方向であるy軸方向の両端側のそれぞれに、吸気カム軸68及び排気カム軸を駆動させるタイミングプーリ72(74)駆動用の駆動機構と、1次バランサ32及び2次バランサ48,50の駆動機構とを設ける必要がある。このため、エンジン10bの前後方向の全長(図9の左右方向長さ)が大きくなりやすい。また、クランク軸プーリ70とタイミングプーリ72,74との歯数の比を1:2として、クランク軸20の回転速度を減速してタイミングプーリ72,74に伝達する。このため、各タイミングプーリ72,74の直径が大きくなることに加え、シリンダヘッド62の上端部付近からエンジン10b下端部付近のクランク軸20までベルトまたはチェーンである伝達部材76を掛け渡す必要があり、伝達部材76が長くなり、伝達部材76を配置するための大きな空間が必要となる。このため、エンジン10bの小型化及び軽量化を図る面から改良の余地がある。
また、図13に示すような油圧式のバルブタイミング可変機構80を採用する場合には、エンジン10b始動後、オイル温度が十分に上昇し、油圧が十分に上昇するまでは、バルブ64,66の位相可変を行えないため、改良の余地がある。
これに対して、上記の特許文献1から特許文献4に記載された従来構造の遊星歯車式のバルブタイミング可変機構を採用する場合には、モータでバルブの位相可変を行えるので、エンジン始動時にバルブ位相可変の作動が遅れるという不都合は生じない。また、遊星歯車機構を構成するギヤを、入力側である2次バランサによりベルト等の伝達部材を介して駆動させる構成によれば、エンジンの前後方向の同じ側にのみ、タイミングプーリ駆動用の駆動機構と、1次バランサ及び2次バランサの駆動機構とを設けることができる。このため、エンジンの前後方向全長を短くできるとともに、伝達部材の長さ及び伝達部材を配置するのに必要な空間を小さくできる可能性がある。ただし、上記の特許文献1から特許文献4に記載された従来構造の遊星歯車式のバルブタイミング可変機構で、遊星歯車機構を構成するギヤを、入力側である2次バランサにより伝達部材を介して駆動させる場合、それぞれ次の解決すべき課題が残る。
まず、上記の特許文献1の図2、図3等に記載された、リングギヤ入力・キャリア出力型のバルブタイミング可変機構の場合、サンギヤの歯数をaとし、プラネタリギヤの歯数をbとし、リングギヤの歯数をcとすると、減速比である(入力側速度)/(出力側速度)は、(a+c)/cとなる。一方、上記のように、遊星歯車機構を構成するギヤを、入力側として2次バランサにより伝達部材を介して駆動させる場合において、リングギヤ入力型のバルブタイミング可変機構を採用すると、2次バランサはクランク軸の2倍の回転速度で回転するので、遊星歯車機構で入力側の速度を1/4に減速させてカム軸を駆動する必要がある。ただし、上記の減速比の関係から明らかなように、リングギヤの歯数に対し、リングギヤの歯数とサンギヤの歯数との和を4倍にすることは現実的には困難である。
一方、上記の特許文献1の図1等に記載されたサンギヤ入力・キャリア出力型のバルブタイミング可変機構では、サンギヤの歯数をaとし、リングギヤの歯数をcとして、減速比は、(a+c)/aとなり、十分に高い、すなわち遊星歯車機構上、最大の減速比を実現することができる。また、この機構では、サンギヤの歯数aを一定にしたときのリングギヤの径を最小にできる。ただし、特許文献1に記載されたサンギヤ入力・キャリア出力型のバルブタイミング可変機構では、サンギヤを具体的にエンジン構成要素のいずれで駆動するのかが明示されていない。仮に、サンギヤをクランク軸等によりクランク軸と等速で駆動させるとすると、4サイクルエンジンでは遊星歯車機構で減速比を2とする、すなわち入力側の速度を1/2に減速させて出力する必要があるのに対し、サンギヤの歯数aとリングギヤの歯数cとを同じにしなくてはならず現実的に実現できない。これに対して、特許文献1に記載されたサンギヤ入力・キャリア出力型のバルブタイミング可変機構では、クランク軸の回転速度以上で回転する入力軸からの動力をサンギヤに入力することすら記載されていない。しかも、リングギヤ及びサンギヤの具体的な保持方法も開示されていない。このため、遊星歯車式バルブタイミング可変機構を用いる4サイクルエンジンの実現可能な具体的構造が開示されていない。
このように従来は、バランス機構を有する、4サイクルの直列2気筒のバルブタイミング可変機構付エンジンで、エンジン始動直後からバルブ位相可変を行え、かつ、小型化及び軽量化を図れる構造を実現することが考えらていなかった。また、上記では直列2気筒エンジンについて説明したが、単気筒エンジンの場合も同様の不都合が生じる。
本発明の目的は、バランス機構を有する、4サイクルの直列2気筒型、または単気筒型のバルブタイミング可変機構付エンジンにおいて、エンジン始動直後からバルブ位相可変を行え、かつ、小型化及び軽量化を図れる構造を実現することである。
本発明に係るバルブタイミング可変機構付エンジンは、バランス機構を有する、2つの気筒間での位相差がクランク角で360度である、4サイクルの直列2気筒型、または単気筒型のバルブタイミング可変機構付エンジンであって、バランス機構は、ピストン及びコンロッドが往復運動する際に生じる慣性力のうち、クランク軸の回転と同じ周期で生じる1次振動と、クランク軸の回転の1/2の周期で生じる2次振動とを取り除くために設けられ、カウンタウェイトと、1次バランサと、左右2個の2次バランサとを備え、カウンタウェイトは、クランク軸に取り付けられており、1次バランサは、クランク軸により歯車機構を介してクランク軸の回転方向とは逆方向に回転され、左右2個の2次バランサは、クランク軸により第2歯車機構を介して、それぞれ左右2個同士で互いに逆方向に回転され、かつ、各2次バランサの回転速度がクランク軸の回転速度の2倍であり、さらに、シリンダヘッドに支持され、2個の2次バランサのうち、一方のバランサにより伝達部材を介して駆動される2個のタイミングプーリと、各タイミングプーリの少なくとも一方のタイミングプーリ及び電動モータにより駆動される遊星歯車式のバルブタイミング可変機構と、を備え、バルブタイミング可変機構を構成するサンギヤが一方のタイミングプーリと同期して駆動され、バルブタイミング可変機構を構成するプラネタリギヤを支持するキャリアにより弁駆動用カム軸がキャリアと同期して駆動され、バルブタイミング可変機構を構成するリングギヤ部材が電動モータにより駆動されるように構成されていることを特徴とするバルブタイミング可変機構付エンジンである。
本発明に係るバルブタイミング可変機構付エンジンによれば、各タイミングプーリの少なくとも一方のタイミングプーリ及び電動モータにより駆動される遊星歯車式のバルブタイミング可変機構を備え、バルブタイミング可変機構を構成するサンギヤが一方のタイミングプーリと同期して駆動され、バルブタイミング可変機構を構成するプラネタリギヤを支持するキャリアにより弁駆動用カム軸がキャリアと同期して駆動され、バルブタイミング可変機構を構成するリングギヤ部材が電動モータにより駆動されるように構成されているので、一方のタイミングプーリの駆動により、弁駆動用カム軸が駆動される。しかも、電動モータの駆動により、2次バランサと第2歯車機構とを介して一方のタイミングプーリを駆動するクランク軸の位相に対する、弁駆動用カム軸の位相が変化するので、バルブタイミング可変機構の機能を発揮できる。しかも、エンジン始動直後からバルブ位相可変を行え、バルブタイミング可変機構を油圧を利用した機構により実現する場合と異なり、油圧が上昇するまでバルブ位相可変を行えないことがない。
例えば、走行用モータとエンジンとを車両の駆動源として備えるハイブリッド車両の従来構造では、走行時にエンジンの始動回数が増えるため、エンジン始動時の触媒活性化までのタイムラグが排出ガス浄化を向上させる上での課題となっている。しかも、エンジン負荷が低くなる小型軽量車両では、この課題を解消することに対する要求がさらに高くなっている。従来技術の油圧式のバルブタイミング可変機構、例えば油圧ベーン式のバルブタイミング可変機構の場合には、エンジン始動後、オイル温度が十分に上昇し、油圧が十分に上昇するまで、バルブ位相の可変を行えなかった。このような理由により、エンジン始動時での触媒活性化までの時間が長くなる可能性があった。これに対して、本発明のエンジンによれば、電動モータによるバルブ位相可変により、エンジン始動直後からバルブ位相を変更でき、触媒の早期活性化が可能となる。このため、エンジン始動時の触媒活性化までのタイムラグを短くでき、排出ガス浄化の向上を図れる。特に、ハイブリッド車両用のエンジンに本発明のエンジンを適用すれば、本発明により得られる効果がより顕著になる。
さらに、2気筒型または単気筒型で、バランス機構と、バルブタイミング可変機構とを一体化した構造を実現できるため、エンジンの小型化及び軽量化を図れる。また、エンジンの前後方向に関して片側のみに、タイミングプーリ駆動用の駆動機構と、1次バランサ及び2次バランサの駆動機構とを設けることができるため、エンジンの前後方向の全長を短くでき、伝達部材の長さ及び伝達部材を配置するための空間を小さくできる。また、1次バランサ及び2次バランサにより、ピストン及びコンロッドが往復運動する際に生じる振動のうち、1次振動だけでなく2次振動も抑制できる。
また、本発明に係るバルブタイミング可変機構付エンジンにおいて、好ましくは、リングギヤ部材に設けたリングギヤの歯数は、サンギヤの歯数の3倍としている。
また、本発明に係るバルブタイミング可変機構付エンジンにおいて、好ましくは、リングギヤ部材の周囲に設けられ、内側にリングギヤ部材を相対回転可能に保持するリングギヤホルダを備え、電動モータは、リングギヤホルダに取り付けられ、電動モータの回転軸とリングギヤ部材の外周面との間にラックピニオン機構を設けることにより、リングギヤ部材を電動モータにより駆動可能とする。
本発明のバルブタイミング可変機構付エンジンによれば、バランス機構を有する、4サイクルの直列2気筒型、または単気筒型のバルブタイミング可変機構付エンジンにおいて、エンジン始動直後からバルブ位相可変を行え、かつ、小型化及び軽量化を図れる。
本発明の第1の実施の形態に係る直列2気筒のバルブタイミング可変機構付エンジンを示す略断面図である。 図1の右方から左方に見た略透視図である。 図2のA−A断面図である。 図1のエンジンにおいて、バランス機構を構成する複数の要素の角速度の関係を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る単気筒のバルブタイミング可変機構付エンジンを示す略断面図である。 図5のエンジンにおいて、クランク軸の回転が複数の要素に伝達される様子を示す図2に対応する図である。 4サイクルの2気筒型エンジンの従来構造の第1例を略示する図である。 4サイクルの2気筒型エンジンの従来構造の第2例を略示する図である。 バランス機構を有する、4サイクルの2気筒型バルブタイミング可変機構付エンジンの従来から考えられている構造の1例を略示する図である。 図9の左右方向片側から他側に見た略透視図である。 カウンタウェイトのオーバーバランス率の算出方法を説明するための図である。 図9のエンジンにおいて、2個のタイミングプーリをクランク軸により駆動する様子を示す図である。 図12の吸気カム軸側のタイミングプーリに組み付けるバルブタイミング可変機構を示す略透視斜視図である。
[本発明に係る第1の実施の形態]
以下、本発明に係る実施の形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る直列2気筒のバルブタイミング可変機構付エンジンを示す略断面図である。図2は、図1の右方から左方に見た略透視図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、図1のエンジンにおいて、バランス機構を構成する複数の要素の角速度の関係を示す図である。
本実施形態に係るバルブタイミング可変機構付エンジンであるエンジン82は、2つの気筒間での位相差がクランク角で360度である、4サイクルの直列2気筒型で、直列に2個配列されたシリンダ孔12,16を有するシリンダブロック84と、シリンダブロック84の上部に取り付けられたシリンダヘッド62と、シリンダブロック84の下部に取り付けられた図示しないクランクケースと、各シリンダ孔12,16を往復移動する2個のピストン14,18と、各ピストン14,18に連結されたコンロッド22と、コンロッド22が連結されたクランク軸20とを備える。クランク軸20は、長さ方向複数個所に設けたクランクジャーナル86を、図示しない軸受(メタル)によってクランク室内に回転可能に支持している。
エンジン82は、バランス機構88と、2つの遊星歯車式のバルブタイミング可変機構90とを備える。エンジン82は、2つの気筒間での位相差がクランク角で360度であるので、2つの気筒のうち、片側(図1の左側)の気筒、すなわちシリンダ孔12内を移動するピストン14が上死点(または下死点)に位置すれば、他側(図1の右側)のシリンダ孔16内を移動するピストン18も上死点(または下死点)に位置する。また、前後方向に離れた2気筒で、燃焼サイクルがずれて動作する。例えば、片側の気筒が排気終了で吸気開始時点であれば、他側の気筒は圧縮終了で燃焼直前時点となる。また、シリンダヘッド62には、2個のタイミングプーリ72,74が回転可能に支持され、タイミングベルトまたはタイミングチェーンである伝達部材76により駆動可能としている。なお、本実施の形態の特徴は、バランス機構88の配置関係と、バルブタイミング可変機構90の構造と、バルブタイミング可変機構90を駆動するための構造とに工夫した点にあり、上記の図9から図13に示した従来から考えられている構造と同等部分の要素には同一符号を付している。また、図1,2,4(後述する図5、図6も同様)において、シリンダ孔12,16の中心軸及びクランク軸20の回転中心軸と直交する左右方向の軸をx軸、クランク軸20の回転中心軸と一致する前後方向の軸をy軸、x軸及びy軸に対し直交する上下方向の軸をz軸としている。
バランス機構88は、ピストン14,18及びコンロッド22が上下方向に往復運動する際に生じる上下方向(図1,2のz軸方向)の慣性力のうち、クランク軸20の回転と同じ周期で生じる1次振動と、クランク軸20の回転の1/2の周期で生じる、すなわちクランク軸20の単位時間当たりの回転数の2倍で往復振動する2次振動とを取り除くために設けている。このために、バランス機構88は、複数のカウンタウェイト30と、1次バランサ32と、左右2個の2次バランサ48,50とを備える。カウンタウェイト30は、クランク軸20の長さ複数個所で、各コンロッド22の端部を連結するクランクピン60(図2)の両側に連結された2個ずつのクランクアーム92の、クランク軸20の回転中心軸を挟んで各クランクピン60と反対側に取り付けている。カウンタウェイト30は、クランクアーム92と一体形成することにより、クランク軸20に取り付けることもできる。また、クランク軸20の一端部(図1の左端部)に、フライホイール42を取り付けている。
1次バランサ32は、クランク軸20の下側にクランク軸20と平行に、図示しないクランクケースまたはクランクケースに固定の部分に回転可能に配置している。また、図2に示すように、1次バランサ32は、クランク軸20の回転方向と逆方向に、クランク軸20の速度と同じ速度で回転するようにしている。このために、1次バランサ32に固定した1次バランサギヤ36と、クランク軸20に固定したクランク軸ギヤ38とを噛合させることにより歯車機構40を構成している。図1に示すように、クランク軸ギヤ38は、クランク軸20のフライホイール42と反対側の端部に固定している。また、1次バランサ32の径方向に偏った部分に、バランサウェイト41を取り付けている。バランサウェイト41は、クランク軸20及び1次バランサ32の回転にかかわらず、右左方向(図2のx方向)に関してカウンタウェイト30と反対側で、かつ、それぞれの回転中心軸に対し上下方向(図1,2のz方向)の同じ側に位置するように取り付けられている。この結果、1次バランサ32は、クランク軸20により歯車機構40を介してクランク軸20の回転方向とは逆方向に、クランク軸20の速度と同じ速度で回転する。
また、シリンダブロック84(図1)に、図2に示すように、右左2個の2次バランサ48,50を回転可能に支持している。また、各2次バランサ48,50の、前後方向(y軸方向)に関してクランク軸ギヤ38と同じ側の端部に、2次バランサギヤ52,54を設けている。また、2個の2次バランサ48,50のうち、一方の2次バランサ48の、前後方向に関して2次バランサギヤ52と同じ側の端部に、2次バランサプーリ94を設けている。2次バランサプーリ94は、2個の2次バランサ48,50のうち、一方の2次バランサ48ではなく、他方の2次バランサ50に設けることもできる。
また、各2次バランサ48,50の中間部に右左方向(x軸方向)に関して2個の2次バランサ48,50同士で反対側に位置するように、バランサウェイト58を取り付けている。また、シリンダブロック84(図1)に、図2に示すように、それぞれ回転可能な連接ギヤ44と、連接ギヤ44に噛合する反転ギヤ46とを支持している。連接ギヤ44は、2個の2次バランサギヤ52,54のうち、一方の2次バランサギヤ52と、クランク軸ギヤ38とに噛合させている。反転ギヤ46は、2個の2次バランサギヤ52,54のうち、他方の2次バランサギヤ54と、連接ギヤ44とに噛合させている。また、各2次バランサギヤ52,54の歯数を、連接ギヤ44、反転ギヤ46、クランク軸ギヤ38それぞれの歯数の1/2としている。この結果、左右2個の2次バランサ48,50は、クランク軸20からクランク軸20の2倍の回転速度で回転するように、かつ、2個の2次バランサ48,50同士で逆方向に回転するように駆動される。
また、カウンタウェイト30と1次バランサ32とのオーバーバランス率は、上記の図9、図10に示した構造と同様に、それぞれ50%としている。また、クランク軸ギヤ38、連接ギヤ44、反転ギヤ46、及び、2個の2次バランサギヤ52,54により、第2歯車機構96を構成している。
また、タイミング駆動プーリである2次バランサプーリ94と、2個のタイミングプーリ72,74とに伝達部材76を掛け渡すことにより、一方の2次バランサ48により伝達部材76を介して各タイミングプーリ72,74を駆動可能としている。2次バランサプーリ94と、各タイミングプーリ72,74との歯数は同じとしている。
また、2つの遊星歯車式のバルブタイミング可変機構90のそれぞれは、図3に示すように、サンギヤ98と、リングギヤ部材であるリングギヤ筒部材100と、複数のプラネタリギヤ102と、キャリア104と、リングギヤホルダ106と、電動モータ108と、ラックピニオン機構110とを備える。
サンギヤ98は、タイミングプーリ74を連結したプーリ軸112の、タイミングプーリ74と反対側端部外周面に設けている。また、プーリ軸112の中間部の径方向外側周囲に、リングギヤ筒部材100の軸方向片側部分(図3の右側部分)を回転可能に支持している。リングギヤ筒部材100の軸方向他側部分(図3の左側部分)に設けた筒部の内周面にリングギヤ114を一体に設けている。そして、サンギヤ98とリングギヤ114との間に、複数のプラネタリギヤ102を噛合させている。リングギヤ114の歯数は、サンギヤ98の歯数の3倍としている。リングギヤ筒部材100の軸方向片側部分の上側の一部外周面に、ラックギヤ116を設けている。
吸気弁用及び排気弁用のそれぞれの弁駆動用カム軸である、吸気カム軸(図示せず)と排気カム軸120との、各タイミングプーリ74(または72)側の端部に、キャリア104を一体に設けており、キャリア104により複数のプラネタリギヤ102を回転可能に支持している。各カム軸120が回転すると、各カム軸120に設けたカムが回転することで、カムと係合する吸気バルブ64(または排気バルブ66)がばねの弾力に抗して押し下げられ、開弁する。ばねは、各バルブ64,66に閉弁する方向に弾力を付与する。
また、シリンダヘッド62の前後方向(図3の左右方向)片側に有底筒状のリングギヤホルダ106の端部を固定している。そして、リングギヤホルダ106の内側に、リングギヤ筒部材100を相対回転可能に保持している。リングギヤホルダ106を構成する底板部122は、リングギヤ筒部材100の軸方向片側面に軸方向に対向させている。そして、リングギヤ筒部材100は、リングギヤホルダ106により、エンジン82の前後方向及び上下方向の移動を不能に保持されている。リングギヤ114とサンギヤ98とが、同軸の2重軸構造となり、伝達部材76の張力によりサンギヤ98に加わる力は、リングギヤ筒部材100を介してリングギヤホルダ106が受けるようにしている。
電動モータ108は、位相制御用モータであり、リングギヤホルダ106の外側に取り付けており、電動モータ108の回転軸の端部に設けたピニオンギヤ124を、リングギヤ筒部材100に設けたラックギヤ116に係合させている。ラックギヤ116とピニオンギヤ124とにより、電動モータ108の回転軸とリングギヤ筒部材100との間に設けるラックピニオン機構110を構成している。この結果、各バルブタイミング可変機構90を構成するサンギヤ98は、対応するタイミングプーリ74と同期して駆動される。また、各キャリア104により対応するカム軸120がキャリア104と同期して駆動され、各リングギヤ114が対応する電動モータ108により駆動可能に構成される。そして、各タイミングプーリ74及び各電動モータ108により各バルブタイミング可変機構90が駆動される。
このようなエンジン82は、次のように作用する。まず、バランス機構88の作用について図1,2,4を用いて説明する。まず、上記の図9、図10に示した構造の場合と同様に、ピストン14,18及びコンロッド22の上下方向の往復運動による振動を、エンジン82の回転数Rと同一回転数で、エンジン82の回転と同じ周期で生じる1次振動と、エンジン82の回転の1/2の周期で生じる、すなわち、エンジン82の単位時間当たりの回転数の2倍の振動数2Rで往復振動する2次振動とに分離する。そして、1次振動の50%をクランク軸20に取り付けたオーバーバランス率50%のカウンタウェイト30で相殺し、残り50%をクランク軸20と逆方向に回転する1次バランサ32により相殺する。具体的には、まずコンロッド22が往復運動し、クランク軸20が回転運動することで、図2の左右方向であるx方向に生じる角速度ωの周期の慣性力を完全に打ち消せるように、カウンタウェイト30を設定する。このとき、オーバーバランス率は0%となる。なお、オーバーバランス率の定義は、上記の図11を用いて説明した通りである。この状態では、ピストン14,18及びコンロッド22が上下方向に往復運動することによって生じる上下方向の1次慣性力が100%残る。このため、次に、その1次慣性力の50%を相殺させるようにカウンタウェイト30を大きくし、慣性力を増大させる。この場合には、カウンタウェイト30の増大によって、50%の慣性力と同じ大きさの左右方向である図2のx軸方向の慣性力が新たに生じる。
そして、上下方向の1次振動の慣性力の残りの50%をクランク軸20と逆方向に回転する1次バランサ32により相殺する。1次バランサ32は、クランク軸20から歯車機構40を介して駆動される。また、カウンタウェイト30の増大によって新たに生じた左右方向の1次振動の慣性力は、クランク軸20と逆方向に回転する1次バランサ32の左右方向の慣性力により相殺される。ただし、クランク軸20と1次バランサ32とが、上下方向に関してずれた位置に存在するため、モーメントが残る。なお、本実施の形態では、1次バランサ32を、クランク軸20の真下に配置したが、1次バランサ32は、クランク軸20の左右方向片側の真横位置や斜め方向下側に配置するようにしてもよい。
また、ピストン14,18及びコンロッド22の上下方向の往復運動による振動のうち、上下方向の2次振動の慣性力は、クランク軸20の2倍の回転速度で回転する左右2個の2次バランサ48,50によって相殺する。左右2個の2次バランサ48,50は、クランク軸20から連接ギヤ44や反転ギヤ46を介して駆動される。2個の2次バランサ48,50は、左右対称の関係にあるため、左右方向に生じる慣性力は相殺される。上下方向の慣性力の合力は、左右方向に関してシリンダ孔12,16の軸上に位置するため、ピストン14,18及びコンロッド22の2次慣性力を完全に打ち消し、モーメントは生じない。
この場合、mpをピストンの質量、mqをコンロッドの質量、αcをコンロッド小端部からコンロッド重心までの距離lcとコンロッド長lとの比(=lc/l)、コンロッド長lとクランク半径(半ストローク)rとの比を連稈比λとすると、左右2個の2次バランサ48,50の質量モーメントm2L2L、m2R2Rは、次式で表される。
2L2L、m2R2R=r/(8λ)×{mp+mq(1−αc)} ・・・(4)
次に、バルブタイミング可変機構90の作用について説明する。クランク軸20が回転すると、その回転が第2歯車機構96と一方の2次バランサ48と、伝達部材76とを介して、シリンダヘッド62の外側に回転可能に組み付けられた各タイミングプーリ72,74に伝達される。また、2次バランサプーリ94と、各タイミングプーリ72,74との歯数は同じとしているので、2次バランサプーリ94と、各タイミングプーリ72,74とは、クランク軸20の角速度ωの2倍の角速度2ωで回転する。
また、各タイミングプーリ72,74はサンギヤ98に連結されているため、サンギヤ98は、クランク軸20の角速度ωの2倍の角速度2ωで回転する。また、サンギヤ98の周りには複数のプラネタリギヤ102が配置され、各プラネタリギヤ102は、左右2個のカム軸120と同期して回転するキャリア104に支持される。また、プラネタリギヤ102の周りには、歯数がサンギヤ98の歯数の3倍のリングギヤ114が配置されている。このため、キャリア104及びカム軸120は、サンギヤ98の1/4の速度に減速されつつ回転する。この結果、各カム軸120は、クランク軸20の角速度ωの1/2の角速度ω/2で回転する。
このようなエンジン82によれば、各タイミングプーリ72,74及び各電動モータ108により駆動される遊星歯車式のバルブタイミング可変機構90を備え、バルブタイミング可変機構90を構成するサンギヤ98が、対応するタイミングプーリ72,74と同期して駆動され、バルブタイミング可変機構90を構成するプラネタリギヤ102を支持するキャリア104により、各カム軸120がキャリア104と同期して駆動される。また、リングギヤ筒部材100が電動モータ108により駆動されるように構成されている。このため、クランク軸20の回転に伴う各タイミングプーリ72,74の駆動により、各カム軸120が駆動される。しかも、電動モータ108の駆動によりクランク軸20の位相に対する、各カム軸120の位相が変化するので、バルブタイミング可変機構90の機能を発揮できる。すなわち、電動モータ108の駆動により、リングギヤ114の回転角度を自在に変更でき、バルブ位相を広範囲に連続的に変化させることができる。しかも、本実施の形態によれば、エンジン82の始動直後からバルブ位相可変を行えるため、バルブタイミング可変機構を油圧を利用した機構により実現する場合と異なり、油圧が上昇するまでバルブ位相可変を行えないことがない。
例えば、走行用モータとエンジンとを車両の駆動源として備えるハイブリッド車両の従来構造では、走行時にエンジンの始動回数が増えるため、エンジン始動時の触媒活性化までのタイムラグが排出ガス浄化を向上させる上での課題となっている。しかも、エンジン負荷が低くなる小型軽量車両では、この課題を解消することに対する要求がさらに高くなっている。従来技術の油圧式のバルブタイミング可変機構、例えば油圧ベーン式のバルブタイミング可変機構の場合には、エンジン始動後、オイル温度が十分に上昇し、油圧が十分に上昇するまで、バルブ位相の可変を行えなかった。このような理由により、エンジン始動時での触媒活性化までの時間が長くなる要因となる可能性があった。
これに対して、本実施の形態のエンジン82によれば、電動モータ108によるバルブ位相可変により、エンジン82始動直後からバルブ位相を変更でき、触媒の早期活性化が可能となる。このため、エンジン82始動時の触媒活性化までのタイムラグを短くでき、排出ガス浄化の向上を図れる。特に、ハイブリッド車両用のエンジン82に本実施の形態のエンジン82を適用すれば、本実施の形態により得られる効果がより顕著になる。
また、サンギヤ98を入力側、キャリア104を出力側としてそれぞれ使用するので、サンギヤ98の歯数及び径に対して、リングギヤ114の歯数及び径をそれぞれ最小に設定することが可能となる。このため、バルブタイミング可変機構90の小型化を図れる。
さらに、2気筒型で、バランス機構88と、バルブタイミング可変機構90とを一体化した構造を実現できるため、エンジン82の小型化及び軽量化を図れる。また、エンジン82の前後方向に関して片側のみに、タイミングプーリ72,74駆動用の駆動機構と、1次バランサ32及び2次バランサ48,50の駆動機構とを設けることができるため、エンジン82の前後方向の全長を短くでき、伝達部材76の長さ及び伝達部材76を配置するための空間を小さくできる。
さらに、図12、図13に示した従来構造のように、クランク軸プーリ70とタイミングプーリ72,74との歯数の比を利用して、クランク軸20の回転速度をタイミングプーリ72,74に減速して伝達する必要がない。すなわち、本実施の形態では、各タイミングプーリ72,74と、クランク軸プーリに対応する2次バランサプーリ94との歯数及び径を、それぞれ同じにでき、任意に設定できる。この面からも、各タイミングプーリ72,74の小型化を図れる。また、1次バランサ32及び2次バランサ48,50により、ピストン14,18及びコンロッド22が往復運動する際に生じる振動のうち、1次振動だけでなく2次振動も抑制できる。この結果、バランス機構88を有する、4サイクルの直列2気筒型のバルブタイミング可変機構付のエンジン82において、エンジン82始動直後からバルブ位相可変を行え、かつ、小型化及び軽量化を図れる。なお、各タイミングプーリ72,74は、クランク軸20の回転速度の2倍の速度で回転するため、伝達部材76の移動速度を低く抑えるために、各タイミングプーリ72,74として歯数及び径の小さいものを使用することがより好ましい。
なお、本実施の形態では、バルブタイミング可変機構90を2個のタイミングプーリ72,74側のそれぞれに設けているが、バルブタイミング可変機構90は、2個のタイミングプーリ72,74の一方のプーリ側のみに設けることもできる。この場合、他方のプーリ側には電動モータを設けない単なる遊星歯車機構を組み付ける。したがって、位相可変を吸気側または排気側に対してのみ行える。
[第2の発明の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る単気筒のバルブタイミング可変機構付エンジンを示す略断面図である。図6は、図5のエンジンにおいて、クランク軸の回転が複数の要素に伝達される様子を示す図2に対応する図である。
本実施の形態は、本発明を単気筒型のエンジン82aに適用している。エンジン82aの基本構造自体は、上記の第1の実施の形態において、前後2個の気筒のうち、1個の気筒を省略した構造と同様である。すなわち、本実施の形態では、シリンダ孔12、ピストン14、コンロッド22がそれぞれ1つずつとなり、その分、エンジン82aの前後方向(y軸方向)の全長が小さくなる。その他の構成及び作用については、上記の第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。このような本実施の形態の場合も、第1の実施の形態の場合と同様に、バランス機構88を有する、単気筒型のバルブタイミング可変機構付のエンジン82aにおいて、エンジン82aの始動直後からバルブ位相可変を行え、かつ、小型化及び軽量化を図れる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10,10a、10b エンジン、12 シリンダ孔、14 ピストン、16 シリンダ孔、18 ピストン、20 クランク軸、22 コンロッド、24 錘ピストン用コンロッド、26 錘ピストン、28 案内部、30 カウンタウェイト、32 1次バランサ、34 2次バランサ、36 1次バランサギヤ、38 2次バランサギヤ、40 歯車機構、41 バランサウェイト、42 フライホイール、44 連接ギヤ、46 反転ギヤ、48,50 2次バランサ、52,54 2次バランサギヤ、56 軸部、58 バランサウェイト、60 クランクピン、62 シリンダヘッド、64 吸気バルブ、66 排気バルブ、68 吸気カム軸、70 クランク軸プーリ、72,74 タイミングプーリ、76 伝達部材、78 テンショナ、80 バルブタイミング可変機構、82,82a エンジン、84 シリンダブロック、86 クランクジャーナル、88 バランス機構、90 バルブタイミング可変機構、92 クランクアーム、94 2次バランサプーリ、96 第2歯車機構、98 サンギヤ、100 リングギヤ筒部材、102 プラネタリギヤ、104 キャリア、106 リングギヤホルダ、108 電動モータ、110 ラックピニオン機構、112 プーリ軸、114 リングギヤ、116 ラックギヤ、120 排気カム軸、122 底板部、124 ピニオンギヤ。

Claims (3)

  1. バランス機構を有する、2つの気筒間での位相差がクランク角で360度である、4サイクルの直列2気筒型、または単気筒型のバルブタイミング可変機構付エンジンであって、
    バランス機構は、ピストン及びコンロッドが往復運動する際に生じる慣性力のうち、クランク軸の回転と同じ周期で生じる1次振動と、クランク軸の回転の1/2の周期で生じる2次振動とを取り除くために設けられ、カウンタウェイトと、1次バランサと、左右2個の2次バランサとを備え、
    カウンタウェイトは、クランク軸に取り付けられており、
    1次バランサは、クランク軸により歯車機構を介してクランク軸の回転方向とは逆方向に回転され、
    左右2個の2次バランサは、クランク軸により第2歯車機構を介して、それぞれ左右2個同士で互いに逆方向に回転され、かつ、各2次バランサの回転速度がクランク軸の回転速度の2倍であり、
    さらに、シリンダヘッドに支持され、2個の2次バランサのうち、一方のバランサにより伝達部材を介して駆動される2個のタイミングプーリと、
    各タイミングプーリの少なくとも一方のタイミングプーリ及び電動モータにより駆動される遊星歯車式のバルブタイミング可変機構と、を備え、
    バルブタイミング可変機構を構成するサンギヤが一方のタイミングプーリと同期して駆動され、
    バルブタイミング可変機構を構成するプラネタリギヤを支持するキャリアにより弁駆動用カム軸がキャリアと同期して駆動され、
    バルブタイミング可変機構を構成するリングギヤ部材が電動モータにより駆動されるように構成されていることを特徴とするバルブタイミング可変機構付エンジン。
  2. 請求項1に記載のバルブタイミング可変機構付エンジンにおいて、
    リングギヤ部材に設けたリングギヤの歯数は、サンギヤの歯数の3倍としていることを特徴とするバルブタイミング可変機構付エンジン。
  3. 請求項1または請求項2に記載のバルブタイミング可変機構付エンジンにおいて、
    リングギヤ部材の周囲に設けられ、内側にリングギヤ部材を相対回転可能に保持するリングギヤホルダを備え、
    電動モータは、リングギヤホルダに取り付けられ、
    電動モータの回転軸とリングギヤ部材の外周面との間にラックピニオン機構を設けることにより、リングギヤ部材を電動モータにより駆動可能とすることを特徴とするバルブタイミング可変機構付エンジン。
JP2009132072A 2009-06-01 2009-06-01 バルブタイミング可変機構付エンジン Pending JP2010275990A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009132072A JP2010275990A (ja) 2009-06-01 2009-06-01 バルブタイミング可変機構付エンジン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009132072A JP2010275990A (ja) 2009-06-01 2009-06-01 バルブタイミング可変機構付エンジン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010275990A true JP2010275990A (ja) 2010-12-09

Family

ID=43423163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009132072A Pending JP2010275990A (ja) 2009-06-01 2009-06-01 バルブタイミング可変機構付エンジン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010275990A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021235560A1 (ja) * 2020-05-22 2021-11-25 株式会社アルテミス パワーユニット

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021235560A1 (ja) * 2020-05-22 2021-11-25 株式会社アルテミス パワーユニット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6659679B2 (ja) パワーユニット
WO2018138947A1 (ja) 対向ピストン型エンジン
JP2019148261A (ja) 電流ユニット
JP2010275993A (ja) エンジン及びハイブリッド車両用エンジンシステム
JP2009036030A (ja) 高膨張比エンジンのクランクシャフト構造
US6807927B2 (en) Piston engine with counterrotating crankshafts
JP2011043189A (ja) エンジンの1次バランサ装置
JP2014517894A5 (ja)
JP2008045516A (ja) 低振動の内燃機関又は圧縮装置
RU2465474C2 (ru) Двигатель внутреннего сгорания и привод распределительного вала
JP2010275990A (ja) バルブタイミング可変機構付エンジン
JP2017503968A (ja) 2気筒エンジン用タイミングシステム
JP2010169045A (ja) 多気筒内燃機関におけるバランス装置
WO2021235560A1 (ja) パワーユニット
US6964253B2 (en) Balancer apparatus of engine
JP2004239182A (ja) エンジンのピストン駆動装置
JP4383574B2 (ja) 4サイクルv型8気筒エンジン用バランス装置
JP2000249191A (ja) 往復動内燃機関におけるマスバランスおよび/またはモーメントバランスのための装置
JP2006207505A (ja) 可変圧縮比内燃機関
JP2009138619A (ja) 内燃機関
JP2007285495A (ja) 内燃機関
JP5333171B2 (ja) 可変圧縮比エンジン
JP2011157944A (ja) 往復動式内燃機関の振動低減装置
JP2015215045A (ja) 複リンク式ピストン−クランク機構を備えた内燃機関の振動低減装置
JP3955161B2 (ja) サブチェーン付きエンジン