JP2010275513A - 水性ボールペンインキ組成物及び水性ボールペン - Google Patents

水性ボールペンインキ組成物及び水性ボールペン Download PDF

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Abstract

【課題】筆記によるボール受座の摩耗を低減でき、インキ収納管中の水性インキを使用しきるまでの間、ボール沈みによる書き味低下、筆跡かすれなどを抑えることができるだけでなく、長時間ボールペンを静置していても、インキ収納管内の水性インキで、固体懸濁粒子の沈降が生じることがない水性ボールペンインキ組成物及び水性ボールペンを提供すること。
【解決手段】水性ボールペンインキ組成物に、少なくとも着色剤としての水溶性染料、窒化珪素粒子及び水を含むことを特徴とする。窒化珪素粒子は、平均粒子径が0.1〜2.0μmであり、含有量が水性ボールペンインキ組成物全量に対して0.01〜2.0重量%であることが好ましい。かかる水性ボールペンインキ組成物は、特にボール径が0.4mm以下である水性ボールペンに用いた場合に大きな効果を発揮する。
【選択図】なし

Description

本発明は、筆記具であるボールペンに用いる水性ボールペンインキ組成物と、このインキ組成物を用いた水性ボールペンに関する。
ボールペンは、ペン先であるボールの表面に、インキ収納管から流出してくるインキが付着し、付着した該インキが、前記ボールの回転により前記ボール表面に接している、紙などの被筆記面に転写されることにより、筆記が行われる筆記具である。ボールペンの先端(チップ)では、前記ボールが回転自在にボール受座で抱持されている。かかるボールペンの構造上、筆記時には前記ボールが被筆記面とボール受座とに接触しながら自在に回転することになる。このため前記ボールと前記ボール受座との間には接触による摩擦が不可避に生じる。かかる摩擦からボールの摩耗を防ぐため、一般的にボール受座は、ボールよりも軟質の材料にて形成されている。よって両者の摩擦が生じた場合、ボール受座が摩耗することになる。
長期間の筆記によりボール受座の摩耗量が大きくなってしまうと、ボール受座の形状が変形し、ボール沈みが発生し、ボールとボール受座との接触面積が増加する。この接触面積の増加により、インキ流出が遮られ、筆跡かすれ、線トビの要因となるほか、ボールが回転しにくくなり、書き味低下という問題を引き起こす。
従来ボールペンには油性インキが用いられており、ボールとボール受座との間に摩擦が生じても、油性インキの成分が潤滑剤の役割を果たし、インキ収納管に充填されたインキをすべて使い切るまでの間程度の筆記量においては、ボール受座の摩耗量は十分小さく、上記のような問題は実質上ほとんど表面化しなかった。しかしながら近年、水性インキが主流になりつつあり、インキ成分中の油性成分が減少したため、インキによる潤滑的役割が十分でなくなり、ボール受座の摩耗量は増加したため、上記のような問題が表面化してきた。
この問題の改善手段として、例えば特許文献1の実施例では、平均粒子径1μmの、新モース硬度12であるアルミナを水性インキ中に0.1重量部配合することにより、インキを使いきるまでの間インキのかすれがなく、ボール受座の摩耗進行度を抑えられるという技術を開示している。
特開2002−206066号公報
しかし、上記技術のように水性インキ中にアルミナ粒子を含有させたインキでは、アルミナの比重が3.98と大きいため、インキ収納管において沈降してしまい、経時安定性に欠けるという問題がある。
かかる粒子成分の沈降を防止する常套手段としては、インキの一成分として通常配合される増粘剤の割合を増やし、水性インキの粘度を若干高くするという方法がある。しかしながら、水性インキの粘度を高くすると、筆記用のボールが回転しにくくなり、筆記時に線トビなどが発生することがある。なかでもインキ流出量の少ない細字用の水性ボールペンにおいて、この問題が顕著に生じた。
上記問題を解決するため、発明者らは鋭意検討の結果、水性ボールペンにおいて、着色剤として顔料を使用せず、水溶性の染料に限定した上で、筆記時に筆記用のボールとボール受座を直接接触させず、窒化珪素粒子を介在させて接触させることが、ボールペンの他の性能を劣化させることなくボール受座の摩耗を抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明では、水性ボールペンインキ組成物として、少なくとも着色剤としての水溶性染料と、窒化珪素粒子と、水とを含むことを最も主要な特徴とする。
本発明の水性ボールペン組成物によれば、筆記によるボール受座の摩耗を低減でき、インキ収納管中の水性インキを使用しきるまでの間、ボール沈みによる書き味低下、筆跡かすれなどを抑えることができるだけでなく、長時間ボールペンを静置していても、その効果が衰えることがない。
かかる本発明の水性ボールペン組成物は、これを水性ボールペン、なかでもボール径が0.4mm以下の細字水性ボールペンに用いた場合に、特に高い効果を発揮する。
〔水性インキ組成物〕
本発明の水性ボールペンインキ組成物は、着色剤として水溶性染料を選択し、かつ後述の窒化珪素粒子を成分として配合した以外は、通常のボールペン用水性インキと同様の成分で構成される。具体的には水などの溶媒中に、着色剤を必須成分として配合し、必要に応じて水溶性有機溶剤、増粘剤、潤滑剤、pH調整剤などの成分を配合したものである。
(窒化珪素粒子)
窒化珪素粒子は、例えばアルミナなどに比べ比重が小さく(アルミナ3.98に対し、窒化珪素3.18)、インキ収納管中で沈降しにくく、水性インキ組成物に配合しても水性インキの性能劣化を防ぐことができる。本発明の水性ボールペンインキに含まれる窒化珪素粒子の大きさとしては、ボールペンに組み込んだ際の筆記用のボールの回転を阻害しない大きさであることが好ましく、具体的には、レーザー回折式粒度分布計(日機装(株)製マイクロトラックSPA粒度分布計)による平均粒子径(D50)で0.1〜2.0μmであることが好ましい。
かかる窒化珪素粒子は市販のものを使用することができ、具体的には商品名「SN−9s」(D50 1.1μm),「SN−9FWS」(D50 0.7μm),「NP−200」(D50 0.7μm)(以上、電気化学工業(株)製),「SN−E10」(D50 0.3μm),「SN−E05」(D50 0.7μm),「SN−E03」(D50 1.0μm),「SN−ESP」(D50 0.7μm)(以上、宇部興産(株)製)などを挙げることができる。
窒化珪素粒子の水性インキへの配合量は特段制限されるものではないが、水性インキ全量に対して0.01〜2.0重量%とすることが好ましく、0.05〜0.5重量%とすることが更に好ましい。窒化珪素粒子の配合量が0.01重量%未満であると、ボールとボール受座との間の窒化珪素粒子の介在効果が十分発揮されず、ボール受座摩耗抑制効果が生じにくくなる。一方、2.0重量%を超えると窒化珪素粒子が凝集しやすくなり、ペン先に詰まってしまい、ボールの回転が悪くなって、筆記跡に線トビが生じやすくなる。
(着色剤)
水性ボールペンの着色剤としては、一般的に顔料若しくは水溶性の染料、或いはこれら両者の混合物が一般に用いられるが、本発明の水性ボールペンでは、特に水溶性染料を着色剤として用いる。下記実施例(実施例1、比較例4)から、窒化珪素粒子とともに着色剤として顔料を用いると、筆記跡の線トビが生じることが分かった。この要因の詳細は明らかでないが、窒化珪素の他に顔料が加わることで成分として水性インキ中に含まれる固体懸濁成分が過剰状態になったためではないかと推測される。本発明で用いられる着色剤は、水溶性染料であれば特段制限されず、具体的な水溶性染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料などを挙げることができる。
水溶性染料の含有量は、特段制限されるものではないが、通常、水性インキ全量に対して0.1〜20重量%であり、更には水性インキ全量に対して1〜10重量%であることが好ましい。水溶性染料の含有量が0.1重量%未満であると筆跡の色が薄くなりすぎる。一方、水溶性染料の含有量が20重量%を超えると、製造時には水溶性染料が溶解しにくくなり、また長期間の保存において水溶性染料成分が析出するおそれがある。
(水溶性有機溶剤)
水溶性有機溶剤は、水性インキおいてインキの乾燥や低温時の凍結を防止するために用いられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエスエル類などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(増粘剤)
増粘剤は、水性インキにおいて粘度を適当に調節するために配合される。そのような増粘剤として、多糖類ガム質が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。多糖類ガム質のなかでも、ラムザンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、プルラン、ザンサンガム、グァーガム、ローカストビーンガム及びペクチンから選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。なおここにいう多糖類ガム質は、天然品のみならず、その加工品又は誘導体を含むものとする。また多糖類ガム質以外にも、ペクチンのようなコロイド性の多糖類、カゼインやゼラチン等のようなタンパク質や、ポリアクリル酸ナトリウム等のような合成水溶性樹脂も、増粘剤として用いることができる。
水性インキの粘度としては特段制限されるものではないが、なかでもボール径0.4mm以下の細字ボールペンに用いる場合には、ELD型粘度計による3°R14コーン,0.5rpm,20℃における粘度が、2000〜5000mPa・sであることが好ましい。細字水性ボールペン用インキとして用いる場合、水性インキの粘度が5000mPa・sを超えると、筆記用のボールが回転しにくくなり、筆記時に線トビが発生しやすくなるからである。一方、インキ粘度が、2000mPa・s未満であると、一般的に筆跡に滲みが生じやすくなる。
(潤滑剤)
潤滑剤は、水性ボールペンの滑りを良くするために水性インキに配合される。好適に用いられる潤滑剤としては、商品名「フォスファノールPE−510」「フォスファノールML−220」「フォスファノールML−200」、「フォスファノールRL−310」(以上、東邦化学工業社製)、「ニッコールDDP−2」(日光ケミカルズ(株)製)、「プライサーフ」(第一工業製薬(株)製)などで入手可能なPOEアルキルエーテルリン酸エステルなどのリン酸エステル系化合物を挙げることができる。或いは潤滑剤としてオレイン酸ナトリウムなどを用いることもできる。また複数種類の潤滑剤を併用して配合することもできる。
(pH調整剤)
pH調整剤は水性インキのpHの値を調整し、インキのゲル化を防止するために水性インキに配合される。具体的には塩基性へのpH調整剤として水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、AMP(アミノメチルプロパノール)、炭酸ナトリウムなどを挙げることができる。
(その他の成分)
その他、水性インキには、必要に応じて防錆剤(例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトレートなど)、防腐防黴剤(例えば、ベンゾイソチアゾリン系防腐防黴剤、ペンタクロロフェノール系防腐防黴剤、クレゾール系防腐防黴剤など)、界面活性剤、湿潤剤、消泡剤、レベリング剤、凝集防止剤、擬塑性付与剤等の慣用の添加剤を添加することができる。また水溶性樹脂や樹脂エマルションなどの樹脂成分を添加することもできる。
(溶媒)
水性インキの溶媒である水は、慣用的に用いられる水、例えばイオン交換水や蒸留水、超純水など不純物を含まないものが好ましいが特に限定されるものではない。
〔ボールペン構造概要〕
上記水性ボールペンインキ組成物を用いた水性ボールペンの構造は、一般的なボールペンと同様の構造であり、具体的には次のようなものである。水性ボールペンの先端(チップ)には、筆記用のボールがボール受座に回転自在に抱持されている。本発明の水性インキ組成物は、水性ボールペンのインキ収納管に充填されている。筆記時には水性ボールペンインキ組成物が前記インキ収納管から流出し、前記ボールの表面に付着し、ボールの回転によって紙等の被筆記面に転写されることにより、筆記が行われる。
(ボール)
ボールペンのチップで用いる筆記用のボールの材質は、一般的に硬度の高いものが使用される。具体的には、WC−Co系、WC−Cr32−Co系、WC−TiC−Co系等の炭化タングステンを主要成分とするタングステン系超硬合金や炭化ケイ素(SiC)、窒化チタン(TiN)、ジルコニア(ZrO)等のセラミックなどを例示することができる。
ボールのボール径(直径)としては通常0.1mmから2.0mm程度のものが使用されるが、本発明では、特にボール径0.4mm以下のボール細字用のボールペンにおいて高い効果を発揮する。かかる細字用のボールペンの場合、インキ粘度を少し高めに調整しただけで、筆記時に線トビが発生したりするので、インキ中の固体懸濁粒子沈降防止としてインキの粘度を高めるなどの常套手段が使えないからである。
(ボール受座)
ボールペンのチップで用いるボール受座に用いる材質は、前記ボールよりも硬度の低いものが用いられる。具体的には洋泊、真鍮、ステンレス等の金属材料の他、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ナイロン、ポリフェニレンエーテル、ポリアクリレート等の樹脂材料を例示することができる。
(ボールとボール受座の材料の組み合わせ)
本発明のボールペンに用いられる筆記用のボール及びボール受座に用いる材料の選択としては、前記ボールに用いられる材料の硬さ(H1)、窒化珪素の硬さ(H2)及び前記ボール受座材料の硬さ(H3)としたときに、次の式1で表す関係を満たす材料から選択されることが好ましい。
H1≧H2>H3 (式1)
なお、式1は硬さの相対比較であるが、もし必要であれば新モース硬度の値を基準に比較することができる。ボール材料とボール受座材料の具体的な組み合わせの一例としては、ボール材料がタングステン系超硬合金でボール受座材料がステンレス鋼である組み合わせ、ボール材料が炭化珪素でボール受座材料が洋伯である組み合わせ、ボール材料がジルコニアでボール受座材料がポリオキシメチレンである組み合わせなどを挙げることがきる。
〔実施例1〜4、比較例1〜4〕
以下実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例の様態のみに限定されるものではない。
筆記評価の筆記具には、インキ収納管と、ボール材質が炭化タングステン系の超硬合金であり、ボール径(直径)が0.3mmであるボールと、ステンレス鋼製のボール受座とを具備する、(株)サクラクレパス製ボールペンを使用した。
なお、実施例、比較例に用いたボールペンのボール、窒化珪素、ボール受座材料の新モース硬度は、次のとおりである。
ボール 炭化タングステン系の超硬合金 12
窒化珪素粒子「NP−200」 12
ボール受座 ステンレス鋼 7
前記インキ収納管に、表1記載の組成を有する水性ボールペンインキ組成物を充填した上で、一般的手法にて水性ボールペンを組み立てて、実施例1〜4及び比較例1〜4の水性ボールペンを得た。また各実施例、比較例の下記項目の評価結果についても併せて表1に示した。
Figure 2010275513
〔評価〕
(1.インキ粘度)
各実施例、比較例の水性ボールペンのインキ粘度を調べた。粘度測定器としては、ELD型粘度計(東機産業(株)製)を用いて、測定条件は3°R14コーン,0.5rpm,20℃とした。
(2.摩耗性評価)
連続筆記試験機を用いて、荷重100g,筆記角度65°,筆記速度7cm/sec,ペン自転有りの条件で、下敷として塩化ビニール板を敷いた紀州製紙製上質紙を被筆記体として各実施例、比較例のボールペンで300m筆記した。筆記前後のボールペンチップのボール出寸法を顕微鏡で測定することにより、各実施例、比較例のボール沈み量を測定し、ボール受座の摩耗性を評価した。
(3.保存性評価)
各実施例、比較例のボールペンのペン先に、エチレン−酢酸ビニル樹脂のペン先保護材(ホットメルト)を被せ、チップを上にして立てた状態(正立保持)で、50℃で4週間静置した。その後、上記摩耗性評価の方法に従い、長期保存後のボール受座摩耗量を観察して、保存性の評価を行った。この操作にて測定されたボール受座摩耗量は、その絶対値によって保存性が評価されるとともに、上記摩耗性評価(初期特性)のボール受座摩耗量に対する、該保存性評価のボール受座摩耗量の増加割合(相対比較)によっても保存性が評価される。
(4.筆記性評価)
紀州製紙製上質紙にオレイン酸を塗布し乾燥したものを被筆記体とした以外は、上記ボール受座摩耗評価と同じ条件で十丸筆記テスト(丸を10回筆記するテスト)を行い、筆跡の線トビを観察して、各実施例、比較例のボールペンの評価を行った。その評価基準は次のとおりである。
○:大部分の筆跡で線トビなし(線トビ数10丸中0〜3丸)
△:筆跡の一部に線トビが見られる(線トビ数10丸中4〜6丸)
×:筆跡の多くで線トビが見られる(線トビ数10丸中7〜10丸)
(5.評価)
実施例1〜4はいずれも着色剤として水溶性染料を用い、かつ窒化珪素粒子を配合した水性インキ組成物を用いた水性ボールペンであって、水溶性染料の種類や、窒化珪素粒子の配合割合を変化させたものである。これら実施例1〜4の各水性ボールペンは、摩耗性の初期特性、保存性、筆記性のいずれも十分満足できる特性を示した。
比較例1は、着色剤として水溶性染料を用い、かつ窒化珪素粒子を配合しない水性インキ組成物を用いた水性ボールペンである。比較例1の水性ボールペンにおいては、摩耗性の初期特性が大きく劣るものであった。このため比較例1については、保存性評価を行わなかった。
比較例2は着色剤として水溶性染料を用い、かつ窒化珪素粒子に変えて酸化アルミニウム粒子を配合した水性インキ組成物を用いた水性ボールペンである。比較例2の水性ボールペンにおいては、摩耗性の初期特性は良好であったが、50℃、4週間正立保持後の摩耗特性、すなわち保存性に劣るものであった。これは酸化アルミニウムの比重が大きいので、正立保持中に酸化アルミニウム粒子がインキ収納管の尻軸側に沈降した結果、ペン先の酸化アルミニウム粒子の含有量が不足し、初期特性のような効果が得られなかったのではないかと考えられる。
比較例3は着色剤として水溶性染料に変えて顔料を用い、かつ窒化珪素粒子を配合しない水性インキ組成物を用いた水性ボールペンである。比較例3の水性ボールペンにおいては、摩耗性の初期特性、保存性、筆記性のいずれの特性も劣るものであった。
比較例4は着色剤として水溶性染料に変えて顔料を用い、かつ窒化珪素粒子を配合した水性インキ組成物を用いた水性ボールペンである。比較例4の水性ボールペンにおいては、摩耗性の初期特性及び保存性は良好であったが、書き味が悪く、筆記性に劣るものであった。
本発明の水性ボールペンインキ組成物及びこれを用いた水性ボールペンによれば、細字タイプの水性ボールペンであっても、長期間の筆記や保存においても筆記特性、保存特性ともに劣化しにくい水性ボールペン及びその構成材料として、産業上利用価値が高い。

Claims (6)

  1. 少なくとも着色剤としての水溶性染料、窒化珪素粒子及び水を含む水性ボールペンインキ組成物。
  2. 前記窒化珪素粒子のレーザー回折式粒度分布計による平均粒子径(D50)が、0.1〜2.0μmである請求項1記載の水性ボールペンインキ組成物。
  3. 前記窒化珪素粒子の含有量が、前記水性ボールペンインキ組成物全量に対し、0.01〜2.0重量%である請求項1または2記載の水性ボールペンインキ組成物。
  4. ボールと該ボールを回転自在に抱持するボール受座とがその先端に配設され、インキ収納管に、水性ボールペンインキ組成物が充填された水性ボールペンにおいて、
    前記水性インキ組成物が請求項1〜3いずれかの項記載の水性インキ組成物であり、
    前記ボールのボール径が0.4mm以下である
    水性ボールペン。
  5. 前記水性ボールペンインキ組成物の粘度が、ELD型粘度計による3°R14コーン,0.5rpm,20℃における粘度が、2000〜5000mPa・sである請求項4記載の水性ボールペン。
  6. 前記ボールに用いられる材料と前記ボール受座に用いられる材料とが、前記ボールに用いられる材料の硬さをH1、窒化珪素の硬さをH2及び前記ボール受座材料の硬さをH3としたときに、次式(式1)の関係を満たす材料から選ばれた請求項4または5記載の水性ボールペン。
    H1≧H2>H3 (式1)
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