JP2010274346A - 切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い耐欠損性と耐摩耗性を有するサーメット製の切削工具を提供する。
【解決手段】 Tiを主成分とし、Wを必須成分とする周期表第4、5および6族金属のうちの1種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物からなる硬質相4と、主としてCoおよびNiの少なくとも1種からなる結合相5が5〜30質量%とから構成されてなり、断面組織観察にて、60〜90面積%の割合で存在している平均粒径50〜200μmの凝集部2と、凝集部2の周囲を取り囲んで10〜40面積%の割合で存在しているマトリックス部3とを有しており、凝集部2における結合相5の含有比率b1とマトリックス部3における結合相5の含有比率b2との比(b1/b2)が0.2〜0.9であるとともに、凝集部2におけるWの含有比率W1とマトリックス部3におけるWの含有比率W2との比(W1/W2)が0.4〜0.9であるサーメットからなるサーメット1である。
【選択図】 図1
【解決手段】 Tiを主成分とし、Wを必須成分とする周期表第4、5および6族金属のうちの1種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物からなる硬質相4と、主としてCoおよびNiの少なくとも1種からなる結合相5が5〜30質量%とから構成されてなり、断面組織観察にて、60〜90面積%の割合で存在している平均粒径50〜200μmの凝集部2と、凝集部2の周囲を取り囲んで10〜40面積%の割合で存在しているマトリックス部3とを有しており、凝集部2における結合相5の含有比率b1とマトリックス部3における結合相5の含有比率b2との比(b1/b2)が0.2〜0.9であるとともに、凝集部2におけるWの含有比率W1とマトリックス部3におけるWの含有比率W2との比(W1/W2)が0.4〜0.9であるサーメットからなるサーメット1である。
【選択図】 図1
Description
本発明はサーメット製の切削工具に関する。
現在、切削工具としてTiを主成分とするサーメットが広く使われている。サーメットの硬質相は芯部と周辺部とからなる有芯構造をとりやすいことが知られているが、例えば、特許文献1では、芯部の粒径が1μm以下の有芯構造からなる第1のB1型結晶(硬質相)および有芯構造でない第3のB1型結晶(硬質相)からなる平均粒径10〜150μmの凝集部の周囲を、芯部の粒径が1μmよりも大きい有芯構造からなる第2のB1型結晶(硬質相)にて取り囲んだ硬質相の配置からなるサーメット製の切削工具が開示され、図1には凝集部における硬質相の粒径が周辺部における硬質相の粒径よりも小さい構成からなる組織のサーメットが記載されている。そして、湿式高速フライス切削加工において良好な耐欠損性を発揮できることが記載されている。
また、特許文献2では、(Zr,Ti)CNの第1硬質相と(Ti,W,Mo,Zr)CNの第2硬質相とが互いに独立した粒子として存在する組織からなるサーメット製の切削工具が開示され、互いに硬質相の粒径を平均粒径0.05〜0.5μmと微粒にできて、硬さ、強度および靭性に優れ、かつZrの含有により耐溶着性に優れたサーメットとなることが記載されている。
しかしながら、凝集部の組成と周辺部の組成が同じ構成からなる特許文献1のサーメットでは、湿式高速フライス切削加工において良好な耐欠損性を発揮できるものの、例えば鋳物の高速連続切削加工等の切削条件においては耐摩耗性が低下するという問題があった。
また、特許文献2のように、(Zr,Ti)CNの第1硬質相と(Ti,W,Mo,Zr)CNの第2硬質相とが互いに独立した粒子として存在したサーメットにおいても、硬質相の粒径を微粒化できて、炭素鋼の乾式断続旋削切削加工では高い耐摩耗性を示すものの、鋳物の高速切削加工等の切削条件においては耐摩耗性が低下してしまうという問題があった。
そこで、本発明の切削工具は上記問題を解決するためのものであり、その目的は更なる切削性能の向上であり、特に鋳物の高速切削加工の切削条件においても、高い耐摩耗性と耐欠損性を有する切削工具を提供することである。
本発明の切削工具は、Tiを主成分とし、Wを必須成分とする周期表第4、5および6族金属のうちの1種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物からなる硬質相と、主としてCoおよびNiの少なくとも1種からなる結合相が5〜30質量%とから構成されてなり、断面組織観察にて、60〜90面積%の割合で存在している平均粒径50〜200μmの凝集部と、該凝集部の周囲を取り囲んで10〜40面積%の割合で存在しているマトリックス部とを有しており、前記凝集部における前記結合相の含有比率b1と前記マトリックス部における前記結合相の含有比率b2との比(b1/b2)が0.2〜0.9であるとともに、前記凝集部における前記Wの含有比率W1と前記マトリックス部における前記Wの含有比率W2との比(W1/W2)が0.4〜0.9であることを特徴とする。
ここで、上記構成において、硬質相中にMoを含有しており、前記凝集部における前記Moの含有比率Mo1と前記マトリックス部における前記Moの含有比率Mo2との比(Mo1/Mo2)が0.9〜1.1であることが望ましい。
本発明の切削工具によれば、平均粒径50〜200μmの凝集部が60〜90面積%の割合で存在し、その周囲をマトリックス部で取り囲んだ組織からなり、前記凝集部における前記結合相の含有比率b1と前記マトリックス部における前記結合相の含有比率b2との比(b1/b2)が0.2〜0.9であるとともに、前記凝集部における前記Wの含有比率W1と前記マトリックス部における前記Wの含有比率W2との比(W1/W2)が0.4〜0.9であることによって、鋳物の高速切削加工等の切削条件においても耐摩耗性および耐欠損性が向上することが判明した。
ここで、上記構成において、硬質相中にMoを含有しており、前記凝集部における前記Moの含有比率Mo1と前記マトリックス部における前記Moの含有比率Mo2との比(Mo1/Mo2)が0.9〜1.1である場合には、サーメット中にMoが均一分散することとなり、焼結性が向上し、凝集部−マトリックス部界面に発生する内部応力が緩和されてクラックが発生しにくく、切削工具の耐欠損性が向上するという効果がある。
本発明の切削工具の一例について、その断面組織観察における、図1の(a)500倍、(b)3000倍についての走査型電子顕微鏡写真を基に説明する。
本発明の切削工具をなすサーメット1は、図1(b)に示すように、Tiを主成分としてWを必須成分とする周期表第4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物からなる硬質相4と、主としてCoおよびNiの少なくとも1種からなる結合相5が5〜30質量%とから構成されるサーメットからなる。また、サーメット1は、図1(a)に示すように、60〜90面積%の割合で存在している平均粒径diが50〜200μmの凝集部2と、凝集部2の周囲を包み込み10〜40面積%の割合で存在しているマトリックス部3とからなる。
そして、凝集部2における結合相5の含有比率b1とマトリックス部3における結合相5の含有比率b2との比(b1/b2)が0.2〜0.9であるとともに、凝集部2におけるWの含有比率W1とマトリックス部3におけるWの含有比率W2との比(W1/W2)が0.4〜0.9で構成されている。
これによって、切削工具の耐摩耗性および耐欠損性、特に鋳物の高速切削加工の切削条件においては、サーメット1の耐欠損性が向上する。
すなわち、サーメット1に凝集部2が存在しないか、または凝集部2の平均粒径diが50μmよりも小さい場合、および凝集部2の存在比率が60面積%よりも少ない場合には、凝集部2の存在による靭性向上効果が得られず、耐摩耗性および耐欠損性がともに低下する。逆に、凝集部2の平均粒径diが200μmを超えると、工具の異常摩耗が発生するおそれがあり、凝集部2の存在比率が90面積%よりも多いと、耐欠損性が低下するという不具合がある。
また、上記比(b1/b2)が0.2よりも小さいと、サーメット1の靭性が低下してしまい、比(b1/b2)が0.9よりも大きいと凝集部2の存在による耐摩耗性の向上効果が小さくなる。比(b1/b2)の望ましい範囲は、0.5〜0.8である。また、上記比(W1/W2)が0.4よりも小さいと、サーメット1の凝集部2の硬度が低下して凝集部2の硬度が低くなる結果、サーメット1の硬度が低下する。逆に、比(W1/W2)が0.9よりも高くなると、凝集部2の存在による耐熱衝撃性の向上効果が小さくなる。比(W1/W2)の望ましい範囲は、0.4〜0.8である。
ここで、上記構成において、凝集部2における結合相5の含有量がマトリックス部3における結合相5の含有量よりも少ない場合には、凝集部が高硬度化するため、耐摩耗性が向上する。本発明によれば、凝集部2における硬質相4(4a)の平均粒径d1とマトリックス部3における硬質相4(4b)の平均粒径d2との比(d1/d2)が1.5〜5であること、すなわち、凝集部2の硬質相4aの平均粒径d1よりもマトリックス部3の硬質相4bの平均粒径d2が小さいことから、毛細管効果の差によって凝集部2よりもマトリックス部3に結合相5が多く存在しやすい傾向にある。
また、硬質相4中にMoを含有しており、凝集部2におけるMoの含有比率Mo1とマトリックス部3におけるMoの含有比率Mo2との比(Mo1/Mo2)が0.9〜1.1であることが、TiCNとの濡れ性のよいMoが凝集部2とマトリックス部3との間で拡散してサーメット1の焼結性が向上する結果、凝集部2とマトリックス部3との界面に発生する内部応力が緩和されて、サーメット1の靭性が向上するという点で望ましい。
ここで、図1の走査型電子顕微鏡写真から明らかなとおり、硬質相4は、黒色の粒子として観察される第1硬質相7と、灰白色の粒子、または白色の芯部の周辺に灰白色の周辺部が存在する有芯構造からなる粒子として観察される第2硬質相8とから構成されている。なお、上記灰白色とは、写真撮影の条件によって白色に近い色調に見えることもあり、灰色に近い色調に見えることもある。ここで、第1硬質相7はTiCNからなる黒色粒子であるがCoやNiを含有していても良い。また、第1硬質相7の外周には、灰白色の周辺部が存在して有芯構造をなしていてもよい。
なお、本発明における硬質相4の粒径の測定は、CIS−019D−2005に規定された超硬合金の平均粒径の測定方法に準じて測定する。この時、硬質相4が有芯構造からなる場合については、芯部と周辺部を含めた周辺部の外縁までを1つの硬質相4としてその粒径を測定する。
また、サーメット1に含有される硬質相をなすTiを主成分とする周期表第4、5および6族金属の窒化物または炭窒化物の合計含有比率は70〜95質量%であることが望ましく、一方、結合相5の含有比率は5〜30質量%であることによって、サーメット1の硬度および靭性のバランスに優れたものとなる。凝集部2においては、耐摩耗性の向上の点で、硬質相の含有比率が85〜95質量%、結合相の含有比率が5〜15質量%であることが望ましい。また、マトリックス部3においては、耐欠損性の向上の点で、硬質相4の含有比率が60〜90質量%、結合相5の含有比率が10〜40質量%であることが望ましい。さらに、結合相5としては、鉄族金属の総量に対してCoを65質量%以上含有することが切削工具の耐熱衝撃性を高めるために望ましい。なお、サーメット1の焼肌面が平滑な面となるようにサーメット1の良好な焼結性を維持するためには、鉄族金属としてNiを5〜50質量%、特に10〜35質量%の割合で含有せしめることが望ましい。
(製造方法)
次に、上述した切削工具の製造方法について説明する。
(製造方法)
次に、上述した切削工具の製造方法について説明する。
原料として、2種類の混合原料粉末を準備する。
第1の混合原料粉末は、平均粒径1〜3μm、望ましくは1.5〜2.5μmのTiCN粉末を50〜75質量%、特に50〜70質量%と、平均粒径0.05〜1μmのWC粉末を0〜12質量%、特に7〜10質量%と、平均粒径1〜4.5μmのMo2C粉末を0.5〜10質量%、特に1〜10質量%と、平均粒径0.1〜2μmの上述した他の周期表第4、5および6族金属の炭化物粉末、窒化物粉末または炭窒化物粉末のいずれか1種(TiCN、WC、Mo2C以外)を総量で1〜20質量%、特に10〜15質量%と、平均粒径1.0〜3.0μmのCo粉末を0〜10質量%、特に3〜7質量%と、平均粒径0.3〜0.8μmのNi粉末を0〜10質量%、特に3〜5質量%と、所望により平均粒径0.5〜10μmのMnCO3粉末を3質量%以下、特に0.5〜1.0質量%との割合で混合した混合粉末とする。
第1の混合原料粉末は、平均粒径1〜3μm、望ましくは1.5〜2.5μmのTiCN粉末を50〜75質量%、特に50〜70質量%と、平均粒径0.05〜1μmのWC粉末を0〜12質量%、特に7〜10質量%と、平均粒径1〜4.5μmのMo2C粉末を0.5〜10質量%、特に1〜10質量%と、平均粒径0.1〜2μmの上述した他の周期表第4、5および6族金属の炭化物粉末、窒化物粉末または炭窒化物粉末のいずれか1種(TiCN、WC、Mo2C以外)を総量で1〜20質量%、特に10〜15質量%と、平均粒径1.0〜3.0μmのCo粉末を0〜10質量%、特に3〜7質量%と、平均粒径0.3〜0.8μmのNi粉末を0〜10質量%、特に3〜5質量%と、所望により平均粒径0.5〜10μmのMnCO3粉末を3質量%以下、特に0.5〜1.0質量%との割合で混合した混合粉末とする。
一方、第2の原料粉末は、平均粒径0.6〜1μm、望ましくは0.8〜1.0μmのTiCN粉末を30〜70質量%、特に40〜65質量%と、平均粒径4〜12μmのWC粉末を10〜20質量%、特に12〜20質量%と、平均粒径1〜4.5μmのMo2C粉末を0〜10質量%、特に0〜3質量%と、平均粒径0.1〜2μmの上述した他の周期表第4、5および6族金属の炭化物粉末、窒化物粉末または炭窒化物粉末のいずれか1種(TiCN、WC、Mo2C以外)を総量で1〜30質量%、特に10〜20質量%と、平均粒径1.0〜3.0μmのCo粉末を0〜20質量%、特に6〜14質量%と、平均粒径0.3〜0.8μmのNi粉末を0〜20質量%、特に5〜7質量%との割合で混合した混合粉末とする。
なお、上記第1および第2の原料中にTiC粉末やTiN粉末を添加することもあるが、これらの原料粉末は焼成後のサーメットにおいてTiCNを構成する。
なお、上記第1および第2の原料中にTiC粉末やTiN粉末を添加することもあるが、これらの原料粉末は焼成後のサーメットにおいてTiCNを構成する。
次に、第1の原料粉末にバインダを添加して、平均粒径50〜300μmの顆粒に造粒し、真空雰囲気中にて、800〜1300℃で0.2〜1時間熱処理する。このとき、熱処理温度が800℃よりも低いと成形過程中に破壊されるため、所定サイズの凝集部2を形成することができず、逆に、熱処理温度が1300℃を超えると、焼成後のサーメット中に凝集部2とマトリックス部3における収縮差によってボイド、もしくはクラックが発生してサーメット1の耐欠損性が低下する。
そして、この熱処理した第1の原料粉末と、熱処理していない第2の原料粉末とを振動ミル、回転ミル等の湿式条件にて混合し、プレス成形、押出成形、射出成形等の公知の成形方法によって所定形状に成形する。
その後、本発明によれば、上記成形体を下記の条件にて焼成することにより、上述した所定組織のサーメットを作製することができる。焼成条件としては、
(a)1050〜1250℃まで昇温し、
(b)窒素(N2)等の不活性ガスを30〜2000Pa充填した雰囲気で0.1〜2℃/分の昇温速度で1300〜1450℃まで昇温し、
(c)真空雰囲気で3〜15℃/分の昇温速度で1475〜1550℃まで昇温するとともに、真空雰囲気のまま、または不活性ガスを充填した雰囲気で0.5〜2時間維持し、
(d)6〜15℃/分の冷却速度で冷却する工程にて焼成する。
(a)1050〜1250℃まで昇温し、
(b)窒素(N2)等の不活性ガスを30〜2000Pa充填した雰囲気で0.1〜2℃/分の昇温速度で1300〜1450℃まで昇温し、
(c)真空雰囲気で3〜15℃/分の昇温速度で1475〜1550℃まで昇温するとともに、真空雰囲気のまま、または不活性ガスを充填した雰囲気で0.5〜2時間維持し、
(d)6〜15℃/分の冷却速度で冷却する工程にて焼成する。
このとき、焼成温度が1475℃よりも低いとCo、Ni、WおよびMoの各元素が凝集部とマトリックス部との間でほとんど拡散されず、サーメット1の緻密化が十分でなくて硬度が低下する。逆に、1550℃を超えると、凝集部とマトリックス部との間において拡散が容易となり、MoのみならずCo、NiおよびWの分布も均一になってしまうために、サーメット1の凝集部2の存在による耐欠損性の向上効果が見られなくなる。
そして、所望により、サーメットの表面に被覆層を成膜する。被覆層の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。
マイクロトラック法による測定で表1に示す平均粒径(d50値)のTiCN粉末、表1に示す平均粒径のWC粉末、表1に示す平均粒径のMo2C粉末、平均粒径1.5μmのTiN粉末、平均粒径2μmのTaC粉末、平均粒径1.5μmのNbC粉末、平均粒径1.8μmのZrC粉末、平均粒径1.0μmのVC粉末、平均粒径2.4μmのNi粉末、および平均粒径1.9μmのCo粉末を用いて、表1に示す割合で調整した第1の混合粉末をステンレス製ボールミルと超硬ボールを用いて、イソプロピルアルコール(IPA)を添加して湿式混合し、パラフィンを3質量%添加、混合した後、スプレードライヤにて表1に示す平均粒径の顆粒とし、表1に示す条件にて熱処理を行った。
同様に、表2に示す平均粒径(d50値)のTiCN粉末、WC粉末、Mo2C粉末、平均粒径1.5μmのTiN粉末、平均粒径2μmのTaC粉末、平均粒径1.5μmのNbC粉末、平均粒径1.8μmのZrC粉末、平均粒径1.0μmのVC粉末、平均粒径2.4μmのNi粉末、および平均粒径1.9μmのCo粉末を用いて、表1に示す第2の混合原料粉末を調整し、上記熱処理を行った第1の混合原料粉末と振動ミルにて湿式条件で混合し、さらにバインダを混合して、成形用の混合粉末とした。
そして、この成形用の混合粉末を用いて、200MPaでCNMG120408の工具形状にプレス成形した。そして、(a)10℃/分の昇温速度で1200℃まで昇温し、(b)窒素(N2)を1000Pa充填した雰囲気で0.5℃/分の昇温速度で1400℃まで昇温し、(c)真空雰囲気で7℃/分の昇温速度で表2の焼成温度まで昇温するとともに、その状態で1時間維持し、(d)10℃/分の冷却速度で冷却する工程にて焼成する焼成条件で焼成した。
得られたサーメットについて、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、500倍、3000倍、10000倍の写真いずれかにて、任意5箇所について市販の画像解析ソフトを用いて画像解析を行い、凝集部の状態(平均粒径diおよび存在比率)、凝集部およびマトリックス部における硬質相の平均粒径(d1およびd2)を確認するとともに、波長分散型分光分析(WDS分析)にて、凝集部およびマトリックス部における各金属元素の分布状態を測定し、凝集部とマトリックス部における各金属元素の比率を算出した。結果は表3に示した。
次に、得られたサーメット製の切削工具を用いて以下の切削条件にて切削試験(耐摩耗性評価試験、耐欠損性評価試験)を行った。結果は表3に併記した。
(耐摩耗性評価)
被削材:FC250
切削速度:300m/分
送り:0.25mm/rev
切込み:1.0mm
切削状態:湿式(水溶性切削液使用)
評価方法:摩耗量が0.2mmに達するまでの時間
(耐欠損性評価)
被削材:S45C
切削速度:90m/分
送り:0.05〜0.5mm/rev
切込み:1.0mm
切削状態:乾式
評価方法:各送りについて10秒ずつ加工する条件で加工し欠損するまでの時間(秒)
(耐摩耗性評価)
被削材:FC250
切削速度:300m/分
送り:0.25mm/rev
切込み:1.0mm
切削状態:湿式(水溶性切削液使用)
評価方法:摩耗量が0.2mmに達するまでの時間
(耐欠損性評価)
被削材:S45C
切削速度:90m/分
送り:0.05〜0.5mm/rev
切込み:1.0mm
切削状態:乾式
評価方法:各送りについて10秒ずつ加工する条件で加工し欠損するまでの時間(秒)
表1〜3より、比(b1/b2)が0.2より小さい試料No.11では十分に緻密化できておらず、また、比(b1/b2)が0.9を超える試料No.6、10、12、および、比(W1/W2)が0.4より小さい試料No.9、比(W1/W2)が0.9より大きい試料No.12のいずれにおいても、耐摩耗性および耐欠損性とも低いものであった。
これに対し、本発明の範囲内の組織となったサーメットからなる試料No.1〜5では、優れた耐摩耗性を発揮するとともに耐欠損性も良好であり、工具寿命が長いものであった。
1 切削工具
2 凝集部
3 マトリックス部
4 硬質相
4a 凝集部中の硬質相
4b マトリックス部中の硬質相
5 結合相
7 第1硬質相
8 第2硬質相
2 凝集部
3 マトリックス部
4 硬質相
4a 凝集部中の硬質相
4b マトリックス部中の硬質相
5 結合相
7 第1硬質相
8 第2硬質相
Claims (2)
- Tiを主成分とし、Wを必須成分とする周期表第4、5および6族金属のうちの1種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物からなる硬質相と、主としてCoおよびNiの少なくとも1種からなる結合相が5〜30質量%とから構成されてなり、断面組織観察にて、60〜90面積%の割合で存在している平均粒径50〜200μmの凝集部と、該凝集部の周囲を取り囲んで10〜40面積%の割合で存在しているマトリックス部とを有しており、前記凝集部における前記結合相の含有比率b1と前記マトリックス部における前記結合相の含有比率b2との比(b1/b2)が0.2〜0.9であるとともに、前記凝集部における前記Wの含有比率W1と前記マトリックス部における前記Wの含有比率W2との比(W1/W2)が0.4〜0.9である切削工具。
- 前記硬質相中にMoを含有しており、前記凝集部における前記Moの含有比率Mo1と前記マトリックス部における前記Moの含有比率Mo2との比(Mo1/Mo2)が0.9〜1.1である請求項1記載の切削工具。
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KR20170093402A (ko) * | 2016-02-05 | 2017-08-16 | 케이제이알로이(주) | 초경질합금 및 이의 제조방법 |
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