JP2010272656A - 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2010272656A
JP2010272656A JP2009122606A JP2009122606A JP2010272656A JP 2010272656 A JP2010272656 A JP 2010272656A JP 2009122606 A JP2009122606 A JP 2009122606A JP 2009122606 A JP2009122606 A JP 2009122606A JP 2010272656 A JP2010272656 A JP 2010272656A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isoprene
acid
electrolytic capacitor
isobutene
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009122606A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5365915B2 (ja
Inventor
Kenji Tamamitsu
賢次 玉光
Toshihiro Imada
俊洋 今田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Chemi Con Corp filed Critical Nippon Chemi Con Corp
Priority to JP2009122606A priority Critical patent/JP5365915B2/ja
Publication of JP2010272656A publication Critical patent/JP2010272656A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5365915B2 publication Critical patent/JP5365915B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】融合強度が高く、割れの発生を抑制した電解コンデンサ用封口体及び、電解コンデンサを提供する。
【解決手段】下記化学式(7)を主構成成分とするイソブテン、イソプレン、スチリルイソプレン及びフェニルイソプレンよりなるイソプレン−イソブテン−スチリルイソプレン−フェニルイソプレン共重合体を架橋してなるゴムを主成分とする電解コンデンサ用封口体、及びそれを用いた電解コンデンサとする。

【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサに関する。
一般に、電解コンデンサは、電極引き出し手段であるリード線を備えた電極箔を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、駆動用電解液を含浸したコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納して、この外装ケースの開口部に封口体を装着し、その後、開口部を加締め加工によって封口して形成される。通常、この電解コンデンサ用封口体としては、イソプレン−イソブテン共重合体(式1)を樹脂架橋したゴム(特許文献1、2)やイソプレン−イソブテンジビニルベンゼン共重合体を過酸化物架橋したゴム(式2)(特許文献3、4、5)からなる封口ゴムが用いられる。
このイソプレン−イソブテン共重合体を樹脂架橋したゴムは架橋に用いた残存樹脂の耐熱性が低いために、このゴムを用いた封口ゴムの耐熱性もまた低いという課題を有している。さらに、イソプレン−イソブテンジビニルベンゼン共重合体を過酸化物架橋したゴムはジビニルベンゼンの共重合時にジビニルベンゼンのビニル基による部分架橋が生じ、そのことによって混練時に分散性が低下し、それによって融合強度が低下して、割れが発生しやすくなるという課題もある。
特開平8−321441号公報 特開平11−265840号公報 特開昭55−15862号公報 特開平8−321442号公報 特開平11−265839号公報
そこで、本発明は、融合強度が高く、割れの発生を抑制した電解コンデンサ用封口体及び、電解コンデンサを提供することを目的とする。
前記の課題を解決すべく、第1の発明である電解コンデンサ用封口体は、イソブテン、イソプレン、スチリルイソプレン及びフェニルイソプレンよりなるイソプレン−イソブテン−スチリルイソプレン−フェニルイソプレン共重合体を架橋してなるゴムを主成分とする。
第2の発明である電解コンデンサは、コンデンサ素子を収容したケースと、このケースの開口部を封口する封口体とを有してなる電解コンデンサにおいて、前記封口体は、イソブテン、イソプレン、スチリルイソプレン及びフェニルイソプレンよりなるイソプレン−イソブテン−スチリルイソプレン−フェニルイソプレン共重合体を架橋してなるゴムを主成分とすることを特徴とする。
本発明に示されるように、本発明の素材により分散性が良好で、かつ耐熱性の良好なゴムを得ることができる。
本発明に係るグラフト重合体の合成方法を示す概略図である。 本発明に係るイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)および、イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物とパラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]とテトラヒドロフラン(THF)に加え撹拌し、ついで4−ビニルフェニルボロン酸とテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、水酸化カリウム水溶液(KOH/HO)を加えて得られた反応生成物(St−IIR)のSEC分析結果を示すグラフである。 本発明に係るイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)とパラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]をテトラヒドロフラン(THF)に加え撹拌し、ついで4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸を所定量に調製した混合物とテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、水酸化カリウム水溶液(KOH/HO)を加えて反応溶媒THFの還流温度下(80℃)で15時間反応し得られた反応生成物(St,Ph−IIR)のH−NMR分析結果を示すグラフである。 本発明に係るイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)とパラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]をテトラヒドロフラン(THF)に加え撹拌し、ついで4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸を所定量に調製した混合物とテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、水酸化カリウム水溶液(KOH/HO)を加えて反応溶媒THFの還流温度下(80℃)で15時間反応し得られた反応生成物(St,Ph−IIR)とジクミルパーオキサイドによるレオメータ測定結果を示すグラフである。 比較例2−3のXL−10000を用いた封口体を有する電解コンデンサに対するシリコンディップ試験の適応例の構成図であり、ゴム割れを示す。 本発明に係るイソプレン−イソブテン−スチリルイソプレン−フェニルイソプレン共重合体を用いた封口体を有する電解コンデンサに対するシリコンディップ試験の適応例の構成図であり、ゴム膨れを示す。
イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)に対して、パラジウム触媒ビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]とテトラヒドロフラン(THF)を加えて攪拌し、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸とボロン酸との混合物を調製してスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体(St,Ph−QC:Styrenated Phenyl Quarternary Copolymer)が得られる。この際の反応式を式(3)に示す。
得られたスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を架橋することでスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を架橋してなるゴムの生成が確認される。このゴムは耐熱性、ガスバリア性をより一層向上させ、一層良好な高温長寿命特性が得られる。スチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を架橋してなるゴムにより電解コンデンサ用の封口体を構成する。
次に、式(4)、図1に示すように、イソプレン−イソブテン共重合体のハロゲン化物(X−IIR,X=Br、Cl)として、JSR(株)社のJSRBROMOBUTYL2244臭素含量2%のイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)を4.5グラム用い、パラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]を0.0049グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して0.01当量)とテトラヒドロフラン(THF)を350ml加えて攪拌し、ついでボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸を75%とフェニルボロン酸を25%の混合物を調製した。4−ビニルフェニルボロン酸を0.28グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.125当量(1.5当量の75%))、フェニルボロン酸を0.077グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して0.375当量(1.5当量の25%))とテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)を0.27グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して0.5当量)、水酸化カリウム水溶液(KOH/HO)をKOH0.19グラム/HO2.0ml(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対してKOH2当量)加えて、反応溶媒THF還流下(80℃)で15時間攪拌した。
この際の反応式を式(5)に示す。但し、式(5)に示す共重合体の構造は主な構造であり、これに限定されるものではなく、異性体構造を有している。
次に、同様に、イソプレン−イソブテン共重合体のハロゲン化物(X−IIR,X=Br、Cl)として、JSR(株)社のJSRBROMOBUTYL2244臭素含量2%のイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)を4.5グラム用い、パラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]を0.0049グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して0.01当量)とテトラヒドロフラン(THF)を350ml加えて攪拌し、ついでボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸を50%とフェニルボロン酸を50%の混合物を調製した。4−ビニルフェニルボロン酸を0.186グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して0.75当量(1.5当量の50%))、フェニルボロン酸を0.154グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して0.75当量(1.5当量の50%))とテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)を0.27グラム(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して0.5当量)、水酸化カリウム水溶液(KOH/HO)をKOH0.19グラム/HO2.0ml(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対してKOH当量)加えて反応溶媒THF還流下(80℃)で15時間攪拌した。
また、ボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸を25%とフェニルボロン酸を75%、および4−ビニルフェニルボロン酸を0%とフェニルボロン酸を100%の混合物を調製し、同様に反応を行った。また4−ビニルフェニルボロン酸を100%とフェニルボロン酸を0%の混合物を調製し、同様に反応を行った。
パラジウム触媒の使用量は、イソプレン−イソブテン共重合体のハロゲン化物(X−IIR,X=Br,Cl)のハロゲン濃度に対して、0.0001倍〜5倍、好ましくは、0.001倍〜1倍である。パラジウム触媒は、Pd(PPh:テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]、2−[ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェノキシ)ホスフィノオキシ]−3,5−ジ(tert−ブチル)フェニル−パラジウム(II)クロリド、クロロ(η2−P,C−トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)(トリシクロヘキシルホスヒィン)パラジウム(II)、2−(2’−ジ−tert−ブチルホスヒィン)ビフェニルパラジウム(II)アセテート、ジ−η−クロロビス[5−クロロ−2−[(4−クロロフェニル)(ヒドロキシイミノ−kN)メチル]フェニル−kC]パラジウム、[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド、アリルパラジウム(II)クロリド、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)などであり、好ましくはPd(PPh:テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]、更に好ましくはビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]である。
さらに添加剤としてリチウム塩である塩化リチウム(LiCl)または臭化リチウム(LiBr)を添加するとパラジウム触媒の使用量を少なくしてもスズキカップリング反応が進行する。このリチウム塩の使用量は、イソプレン−イソブテン共重合体のハロゲン化物(X−IIR,X=Br,Cl)のハロゲン濃度に対して、0.0001倍〜10倍、好ましくは0.001倍〜1倍である。
また、ボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量は、イソプレン−イソブテン共重合体のハロゲン化物(X−IIR,X=Br,Cl)のハロゲン濃度に対して、1倍〜10倍、好ましくは1倍〜5倍である。
さらに、塩基は、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの水酸化物や炭酸塩、リン酸塩あるいはアンモニア、アミン類など塩基性を示す物質を示し、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどがあり、好ましくは水酸化カリウム、ジイソプロピルアミンである。この塩基の使用量は、イソプレン−イソブテン共重合体のハロゲン化物(X−IIR,X=Br,Cl)のハロゲン濃度に対して、1倍〜50倍、好ましくは、1倍〜10倍である。本発明の反応で使用される溶媒は、反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されないが、例えば、エーテル系溶媒(THF,1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエチルエーテル、ジオキサンなど)、含酸素系溶媒、含窒素系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミト(DMF)、アセトニトリルなど)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、アセトンなど)、脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。通常、これらの溶媒を単独或いは混合して使用することができる。また、共溶媒として、水等の溶媒も使用することができる。
この反応生成物についてサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)のRI(Refractive Index示差屈折率)およびUV(Ultra Violet:紫外光)検出器を用いて、254nmでの測定を行った。ボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸を100%(イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量)として反応を行った反応生成物(After(St−IIR))と出発材料としてイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Before(Br−IIR))との測定結果を図2に示す。図2に示すように、この反応生成物(St−IIR)はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)と比較して、RI検出ピーク強度がほとんど変化しないのに対し、UV検出ピーク強度には大きな変化が現れた。このことから、この反応生成物には紫外線に吸収を持つスチリル基が導入されたことがわかり、イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物と4−ビニルフェニルボロン酸とのスズキカップリングによってスチリル化三元ランダム共重合体(6)(St−TC:Styrenated Ternary Copolymer)が生成された。
次にボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を調製して反応を行った。4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合比率の違いによるSECのRI検出ピーク面積とUV検出ピーク面積の比の比較を表1に示す。
表1より、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を調製してスズキカップリング反応を行うと、4−ビニルフェニルボロン酸の比率が多くなるにつれて、SECのRI検出ピーク面積とUV検出ピーク面積の比(SUV/SRI)が大きくなり、反応生成物のスチリル基の量が異なることが確認できた。
反応式:式(8)で得られた反応生成物についてH−NMR分析結果を図3に示す。図3に示すように、ボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を調製して反応を行った。4−ビニルフェニルボロン酸を75%とフェニルボロン酸を25%に調製して得られた反応生成物を実施例1−1、4−ビニルフェニルボロン酸を50%とフェニルボロン酸を50%に調製して得られた反応生成物を実施例1−2、4−ビニルフェニルボロン酸を25%とフェニルボロン酸を75%に調製して得られた反応生成物を実施例1−3、4−ビニルフェニルボロン酸を0%とフェニルボロン酸を100%に調製して得られた反応生成物を比較例1−1、4−ビニルフェニルボロン酸を100%とフェニルボロン酸を0%に調製して得られた反応生成物を比較例1−2とする。これらの反応生成物についてH−NMRのシグナルを比較すると、6.65、5.65、5.15ppm付近のスチリル基内のビニル基の水素に由来するシグナルが検出され、4−ビニルフェニルボロン酸の比率が多くなるにつれてピーク強度が大きくなっていくことが確認できた。また、スチリル基またはフェニル基が結合しているイソプレン基内のメチレンの水素に由来する3.4ppm付近のシグナルは、スチリル基内のビニル基の水素に由来するシグナルが変化してもピーク強度がほとんど変化していないことからフェニル基が結合していることが確認できた。ただし、フェニルボロン酸を100%に調製し反応させた比較例1−1では、イソプレン基内の臭素が結合していた炭素上のメチン水素に由来する4.3ppm付近のシグナルが残存し、同一条件では反応が変化することが確認できた。この分析結果から、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を調製して得られた反応生成物(St,Ph−IIR)にはスチリル基とフェニル基が導入されたことがわかり、イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物と4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸とのスズキカップリング反応によってスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体(式(7))(St,Ph−QC)が生成されることがわかった。またボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を調製することでイソプレン−イソブテン共重合体のスチリル化率を変化させることができることがわかった。
次に、ボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を調製して反応を行った反応生成物についてジクルミルパーオキサイドを用いてレオメータでトルク特性を測定した結果を図4に示す。4−ビニルフェニルボロン酸を75%とフェニルボロン酸を25%に調製して得られた反応生成物を実施例1−1、4−ビニルフェニルボロン酸を50%とフェニルボロン酸を50%に調製して得られた反応生成物を実施例1−2、4−ビニルフェニルボロン酸を25%とフェニルボロン酸を75%に調製して得られた反応生成物を実施例1−3、4−ビニルフェニルボロン酸を0%とフェニルボロン酸を100%に調製して得られた反応生成物を比較例1−1、4−ビニルフェニルボロン酸を100%とフェニルボロン酸を0%に調製して得られた反応生成物を比較例1−2とする。最大トルクは実施例1−1が7.09dNm、実施例1−2が5.03dNm、実施例1−3が2.30dNm、比較例1−1はトルクの上昇が見られず、また試験後の試料が発泡しておりこの共重合体が過酸化物架橋しないことが確認された。比較例1−2は9.43dNmであった。硬度は実施例1−1が30度、実施例1−2が26度、実施例1−3はトルクの上昇があり過酸化物架橋が確認されたが気泡を含んでいたので測定せず、比較例1−1は架橋していないため測定不可、比較例1−2は35度であった。このことから、イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物と4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸とのスズキカップリングによってスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体(式(7))(St,Ph−QC)が生成し、この共重合体が過酸化物架橋してスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を架橋してなるゴムの生成が確認された。またボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を調製することでスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体のスチリル化率を変化させることができ、これにより過酸化物架橋の調製ができる。
また、イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物に変えて、イソプレン−イソブテン共重合体の塩化物と4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸とのスズキカップリング反応によって得られたスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体でも、この共重合体が過酸化物架橋してスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を架橋してなるゴムの生成が確認された。
本発明の電解コンデンサ用封口体および電解コンデンサについて以下に説明する。通常のゴムの場合、ガスバリア性を向上する無機フィラーを添加すると混練性が低下するので、添加量を多くすることができないが、前述のように本発明の封口体を構成するゴムは、混練性が非常によくなるので、無機フィラーを多量に添加し、封口体の耐熱性、ガスバリア性をより一層向上させ、一層良好な高温長寿命特性を得ることができる。本発明における無機フィラーとしては、例えばタルク、マイカ、焼成クレー、含水ケイ素、無水ケイ素、カーボンブラック等を使用できる。これらの中でも焼成クレーは粒子が均一で混練、加工しやすいので好ましく、またカーボンブラックは補強剤として有効なので好ましい。前記無機フィラーとしては、1種のフィラーのみ用いてもよいし、複数種類のフィラーを組み合わせて用いてもよい。
また、本発明においては、加工助剤を添加してもよい。加工助剤の添加により、エラストマー組成物を柔らかくし、加工性を向上することができ、フィラーもより多量に添加できるようになる。加工助剤としては、例えばポリブテンオイル、パラフィン系オイル、パラフィン系ワックス、ナフテン系オイル、脂肪酸、脂肪酸塩等を使用できる。中でもポリブテンオイルはゴムと混じりやすく、熱運動係数が小さいため、高いガスバリア性を達成しつつ、加工性を向上することができるので好ましい。
また、本発明においては、繊維を添加してもよい。繊維の添加により封口体の機械的強度を更に向上させることができる。繊維としては、例えば、ビニロン短繊維、ポリエステル短繊維、ナイロン短繊維等の短繊維が好ましく、特に長さ1〜5mm程度の短繊維が好ましい。
また、有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイドなどを挙げることができ、これらのうち、ジクミルパーオキサイドが好ましい。有機過酸化物の添加量は、前述のように本発明の封口体を構成するゴム100重量部に対して、0.01〜10重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
また、本発明において、通常使用される各種配合剤、例えば共架橋剤、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃剤、カップリング剤など、ゴム産業で既知の配合剤を含有することができる。
各種配合剤の混練操作においては、公知の混練装置、例えばニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、ミキシングロール、一軸押出機、二軸押出機など、単独あるいはこれらを組み合わせて利用することができる。
混練温度は、50℃〜220℃、好ましくは100℃〜200℃である。なお、有機化酸化物を混練する際の混練温度は10℃〜180℃、好ましくは、40℃〜150℃である。
本発明の電解コンデンサに用いる電解液の溶媒としては、例えば、プロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール類(エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロへキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類およびオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、ブロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)、水等が挙げられる。また、非プロトン性の極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等)、スルホラン系(スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等)、環状アミド系(N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、イソブテンカーボネイト等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕等が代表として挙げられる。
電解液の溶質としては、アジピン酸、ギ酸、安息香酸等のカルボン酸のアンモニウム塩、4級アンモニウム塩、またはアミン塩を用いることができる。第4級アンモニウム塩を構成する第4級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、トリエタノールアミン等)が挙げられる。
さらに、四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いることができる。この塩のアニオン成分となる酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸等を挙げることができる。
カチオン成分となる四級化環状アミジニウムイオンは、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のアミノ誘導体等)、ベンゾイミダゾール化合物(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンゾイミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチル−イミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5等)等である。
さらに、電解液に、ほう酸、マンニット、ノニオン性界面活性剤、コロイダルシリカ等を添加することによって、耐電圧の向上を図ることができる。
以上のような電解コンデンサ用電解液と本発明に係る封口体との組合せによって、より一層電解コンデンサの熱安定性が向上し、リフロー特性などの耐熱性が向上する。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において配合した各成分は以下の通りである。
[実施例2]
ゴム成分は前述のように化学式(9)に基づいて本発明の封口体を構成するゴムであり、常法によりカーボン、無機充填剤、滑剤及び老化防止剤を適量添加した後、有機過酸化物であるジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製
パークミルD−40)を本発明の封口体を構成するゴム100重量部に対して、2重量部添加し、170℃、5分間の成形条件で架橋すると同時に成形して厚さ2mmのシートを作製した。
ここで、実施例2−1では、下記化学式(9)に示すように、イソプレン−イソブテン共重合体の臭化物とボロン酸成分として下記化学式(10)で表される4−ビニルフェニルボロン酸と下記化学式(11)で表されるフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を4−ビニルフェニルボロン酸を75%とフェニルボロン酸を25%に調製して、パラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]の下でスズキカップリング反応させて得られた下記化学式(12)を主構成成分とするスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を用い、架橋して成形したシートを作製した。
[実施例2−2]
実施例2−2では、実施例2−1と同一構成であって、ゴム成分が下記化学式(9)を主構成成分とするイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物と下記化学式(10)で表される4−ビニルフェニルボロン酸と下記化学式(11)で表されるフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を4−ビニルフェニルボロン酸を50%とフェニルボロン酸を50%に調製して、パラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]の下でスズキカップリング反応させて得られた下記化学式(12)を主構成成分とするスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を用い、実施例2−1と同様な方法により架橋して成形したシートを作製した。また実施例2−3として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を4−ビニルフェニルボロン酸を25%とフェニルボロン酸を75%に調製して得られた下記化学式(12)を主構成成分とするスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を用い、実施例2−1と同様な方法により架橋して成形したシートを作製した。
[比較例2−1]
比較例2−1では、実施例2−1と同一構成であって、ゴム成分がイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物とボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を4−ビニルフェニルボロン酸を0%とフェニルボロン酸を100%に調製して、パラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]の下でスズキカップリング反応させて得られたスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を用い、実施例2−1と同様な方法により架橋して成形したシートを作製した。
[比較例2−2]
比較例2−2では、実施例2−1と同一構成であって、ゴム成分がイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物とボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を4−ビニルフェニルボロン酸を100%とフェニルボロン酸を0%に調製して、パラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]の下でスズキカップリング反応させて得られたスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を用い、実施例2−1と同様な方法により架橋して成形したシートを作製した。
(引張り強度の測定)
上記実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、比較例2−1および比較例2−2で作製した厚さ2mmのシートからダンベル試験片を作製し、引張り強度の測定(測定はJIS K6251に準じた)を行った。その結果を表2に示す。
表2より、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3、および比較例2−2のようにスチリル化率すなわち架橋密度を調製することで引張り強度が調製できることがわかる。
[実施例2−4]
実施例2−4では、ゴム成分はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物とボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の総量はイソプレン−イソブテン共重合体の臭化物(Br−IIR)の臭素1当量に対して1.5当量として、4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸の混合物の比率を4−ビニルフェニルボロン酸を75%とフェニルボロン酸を25%に調製して、パラジウム触媒であるビス[ミュー−クロロ[5−ヒドロキシ−2−[1−(ヒドロキシイミノ)エチル]フェニル]パラジウム]を用いて得られた下記化学式(13)である本発明の封口体を構成するゴムであり、カーボン、無機充填剤、滑剤及び老化防止剤を適量添加した後、有機過酸化物であるジクミルパーオキサイド(日本油脂製 パークミルD−40)を本発明の封口体を構成するゴム100重量部に対して、2重量部添加し、170℃、5分間の成形条件で架橋すると同時に成形して電解コンデンサ用封口体を作製した。
[比較例2−3]
ゴム成分をイソプレン−イソブテンジビニルベンゼン共重合体であるXL−10000(独バイエル社製)とし、ゴム成分100重量部に対して、ジクミルパーオキサイド(日本油脂製パークミルD−40)を2重量部添加し、カーボン、無機充填剤、滑剤、老化防止剤を適量添加した組成物を用いて実施例2−4と同様な方法により電解コンデンサ用封口体を作製した。
[比較例2−4]
ゴム成分をイソプレン−イソブテン共重合体のブチル365(日本ブチル社製)とし、ゴム成分100重量部に対して、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(田岡化学製 タッキロール201)を14重量部添加し、カーボン、無機充填剤、滑剤、老化防止剤を適量添加した組成物を用いて190℃、5分(160℃〜200℃、数分間〜5時間)の成形条件で架橋すると同時に成形して電解コンデンサ用封口体を作製した後、必要に応じ二次加硫190℃、4時間(100℃〜200℃、1時間〜8時間)を行うことにより電解コンデンサ用封口体を作製した。
これらの封口体を用いて定格25wv−1200μFのφ6.3×5.5Lの巻回型の電解コンデンサを作製した。ここで、電解コンデンサ用電解液としては、次のような組成を有する電解液Aまたは電解液Bを使用した。電解液A:γ−ブチロラクトン75重量%、フタル酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム25重量%、電解液B:エチレングリコール86重量%、アジピン酸アンモニウム14重量%。そして、これらの電解コンデンサについて、シリコンディップ試験を行った。
(シリコンディップ試験)
シリコンディップ試験とは、260℃に熱したシリコーンオイル中へアルミ電解コンデンサを投入し、投入を開始してから、ゴムの異常、ゴムの亀裂、ゴムの離脱、気泡発生を生じるまでの時間を測定する試験であり、封口体のリフロー特性を調べる試験である。
比較例2−3のXL−10000使用ゴムは、異常が生じるまでの時間が30秒から1分で、その時の状態はゴムに亀裂が入り、ゴムの割れが生じた。図5に示す。比較例2−4の樹脂加硫ゴムは、異常が生じるまでの時間が2分〜3分で、その時の状態はゴムが膨れ、最後はゴムがケースより離脱する。図6に示す。実施例2−4の本発明の封口体を構成するゴムは、比較例2−4の樹脂加硫ゴムと同様の試験結果となった。
これは、本発明の封口体を構成するゴムが架橋前に部分架橋がないことによるものと考えられる。
この結果より、ボロン酸成分として4−ビニルフェニルボロン酸とフェニルボロン酸を調製して得られたスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体はスチリル化率すなわち架橋密度を調製することができ、それを用いて架橋したゴムは、引張り強度を調製することができる。そして、本発明の封口体を構成するゴム組成物を使用した電解コンデンサにおいて、融合強度が高く、割れの発生を抑制した電解コンデンサ用封口体を開発することができた。
従って、本発明の封口体を構成するゴム組成物を使用した電解コンデンサにおいて、リフロー特性の良好な電解コンデンサ用封口体を開発することができた。
また、本発明の封口体を構成するゴムは有機過酸化物架橋が用いられるゴムであり、樹脂架橋したゴムのような耐熱性の低下を生じることのない電解コンデンサ用封口体を開発することができる。
以上のように本発明による電解コンデンサの封口体およびそれを用いた電解コンデンサは、架橋したゴムの引張り強度を最適化でき、また部分架橋を有さないスチリル化フェニル化四元ランダム共重合体を使用するため、(a)封口体の融合強度が高く、割れの発生を抑制することができる、(b)封口体の原材料の混練を非常に容易に行うことができる、(c)混練の際の分散性が良好であるので、封口体の成形不良を生じにくく、かつ寸法精度を良く成形でき、加工性が非常に良い、(d)封口体の耐熱性、耐熱老化性が良好であり、高温でも長寿命とすることができる、(e)前記(a)〜(d)等のことから、電解コンデンサ全体の熱安定性が向上し、リフロー特性などの耐熱性が向上する。また、高温環境下での長寿命化、小型化、高容量化等を図ることができる。

Claims (2)

  1. イソプレン、イソブテン、スチリルイソプレン及びフェニルイソプレンよりなるイソプレン−イソブテン−スチリルイソプレン−フェニルイソプレン共重合体を架橋してなるゴムを主成分とする電解コンデンサ用封口体。
  2. コンデンサ素子を収容したケースと、このケースの開口部を封口する封口体とを有してなる電解コンデンサにおいて、前記封口体は、イソプレン、イソブテン、スチリルイソプレン及びフェニルイソプレンよりなるイソプレン−イソブテン−スチリルイソプレン−フェニルイソプレン共重合体を架橋してなるゴムを主成分とすることを特徴とする電解コンデンサ。
JP2009122606A 2009-05-20 2009-05-20 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ Active JP5365915B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009122606A JP5365915B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009122606A JP5365915B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010272656A true JP2010272656A (ja) 2010-12-02
JP5365915B2 JP5365915B2 (ja) 2013-12-11

Family

ID=43420458

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009122606A Active JP5365915B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5365915B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000294465A (ja) * 1999-04-07 2000-10-20 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ
WO2008136175A1 (ja) * 2007-04-25 2008-11-13 Nippon Chemi-Con Corporation 電解コンデンサの封口体とその封口体を用いた電解コンデンサ
JP2009088300A (ja) * 2007-09-29 2009-04-23 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000294465A (ja) * 1999-04-07 2000-10-20 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ
WO2008136175A1 (ja) * 2007-04-25 2008-11-13 Nippon Chemi-Con Corporation 電解コンデンサの封口体とその封口体を用いた電解コンデンサ
JP2009088300A (ja) * 2007-09-29 2009-04-23 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP5365915B2 (ja) 2013-12-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020119916A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5136903B2 (ja) 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ
JP6391326B2 (ja) 電解コンデンサ用電解質、これを用いた電解液および電解コンデンサ
JP5365915B2 (ja) 電解コンデンサ用封口体及びそれを用いた電解コンデンサ
JP2010171087A (ja) 電解液組成物及びその製造方法並びに当該電解液組成物を含むアルミ電解コンデンサ駆動用電解液
JP6052985B2 (ja) 電解コンデンサの駆動用電解液
EP2975620B1 (en) Aluminum electrolytic capacitor-use electrolytic solution and aluminum electrolytic capacitor using same
JP5590522B2 (ja) イソブテン、イソプレン、及びスチリルイソプレンよりなる三元共重合体、それらの製造方法、および電解コンデンサ用封口体
JP2000156329A (ja) 電解液及びそれを用いた電気化学素子
JP2019102791A (ja) 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ
US6437028B1 (en) Crosslinkable elastic copolymer composition
JP4016218B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液
JP2003109860A (ja) 電解コンデンサ
JP2011108675A (ja) 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ
JP2003309044A (ja) 電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ
JP5413717B2 (ja) イソプレン−イソブテン−スチリルイソプレン−フェニルイソプレン共重合体、それらの製造方法、および架橋ゴム
JP2007115947A (ja) 電解コンデンサの駆動用電解液
JP4016224B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液
JP3876937B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液
JP3377955B2 (ja) 電解コンデンサ
JP2000021688A (ja) 電解コンデンサ
JP4081616B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液
JP2001196269A (ja) 電解コンデンサ
JP2000294465A (ja) 電解コンデンサ
JP2003109879A (ja) 電解コンデンサ用封口体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120501

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130531

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130829

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5365915

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150