JP2019102791A - 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、特許文献1の電解コンデンサ用電解液は、近年の上記要望の水準からすると、火花電圧が十分でない。
また、更に、陽極の酸化皮膜誘電体を修復する機能(化成性)も十分でないため、酸化皮膜誘電体の欠陥に由来する電流の漏れが生じ、電解コンデンサのショートが発生してしまい、電解コンデンサの信頼性も十分でないという問題があった。
すなわち、本発明は、カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)及び溶剤(B)を含有する電解コンデンサ用電解液であって、前記カルボン酸(a)が、ジカルボン酸(e)と1〜8価のアルコール(d)とのエステル化合物(a1)と、芳香族カルボン酸(a2)と、脂肪族カルボン酸(a3)とを含有し、前記エステル化物(a1)が、少なくとも1個のカルボキシ基を有するエステル化合物を含む電解コンデンサ用電解液;前記電解コンデンサ用電解液を含有する電解コンデンサ(C)である。
前記の塩(A)において、前記のカルボン酸(a)に由来する成分が塩(A)のアニオン成分を構成し、前記のアミン(b)又はアンモニアに由来する成分が塩(A)のカチオン成分を構成する。
ここで、前記エステル化合物(a1)は、少なくとも1個のカルボキシ基を有するエステル化合物である。また、芳香族カルボン酸(a2)と脂肪族カルボン酸(a3)とはエステル基を有しないカルボン酸である。
前記の飽和脂肪族ジカルボン酸(e11)としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び1,6−デカンジカルボン酸等が挙げられる。
前記の不飽和脂肪族ジカルボン酸(e12)としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オクテニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、マレイン酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物及びオクタデセニルコハク酸無水物等が挙げられる。
前記ジカルボン酸(e)が有するカルボキシ基が結合している炭素原子の内、少なくとも1個の炭素原子が、3級炭素原子であることが、耐熱性の観点からの好ましい。
このようなジカルボン酸(e)としては、オクテニルコハク酸及びドデセニルコハク酸等が挙げられる。
前記のジカルボン酸(e)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
1価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、メチルセロゾルブ及びメトキシエトキシエタノール等が挙げられる。
2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。
3価のアルコールとしては、グリセリン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。
4価のアルコールとしては、ペンタエリスリトール及びジプロピレングリコール等が挙げられる。
5価のアルコールとしては、キシリトール等が挙げられる。
6価のアルコールとしては、ソルビトール及びマンニトール等が挙げられる。
7価のアルコールとしては、ポリグリセリン(5量体)等が挙げられる。
8価のアルコールとしては、スクロース等が挙げられる。
前記のアルコール(d)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記のエステル化合物(a1)の分子量は、溶剤に対する(a1)の溶解度の観点から、好ましくは1000以下であり、更に好ましくは800以下である。
これらの芳香族カルボン酸(a2)の内、火花電圧及び比電導度の観点から好ましいのは、安息香酸である。
前記の芳香族カルボン酸(a2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの鎖状脂肪族カルボン酸(a3)の内、火花電圧及び比電導度の観点から好ましいのは、1,6−デカンジカルボン酸である。
前記の鎖状脂肪族カルボン酸(a3)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記カルボン酸(a)が含有する芳香族カルボン酸(a2)の重量割合は、化成性の観点から、カルボン酸(a)の合計重量に基づいて好ましくは60〜80重量%である。
前記カルボン酸(a)が含有する鎖状脂肪族カルボン酸(a3)の重量割合は、化成性の観点から、カルボン酸(a)の合計重量に基づいて好ましくは5〜15重量%である。
前記の塩(A)のカチオン成分となるアミン(b)及びアンモニアのうち、比電導度の観点から好ましいのはアンモニアである。
また、前記の塩(A)のカチオン成分となるアミン(b)及びアンモニアの内、耐熱性の観点から好ましいのは2級アミン及び3級アミンである。
カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)が含有するアミン(b)及びアンモニアの重量割合は、化成性の観点から、塩(A)の合計重量に基づいて好ましくは1〜30重量%である。
前記の溶剤(B)の内、比電導度の観点から好ましいのはエチレングリコール及びγ−ブチロラクトンであり、更に好ましいのはエチレングリコールである。
これらの溶剤(B)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
駆動中に発生する水素ガスを吸収させる目的で、例えば、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール及びp−ニトロフェノール)等が添加される。
また、耐電圧を高めるために、ホウ酸及びポリビニルアルコール等が添加される。
また、電極箔の劣化防止の目的で、次亜リン酸等が添加される。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、原料を公知の方法で混合し、製造することができる。
アルミニウム電解コンデンサとしては、特に限定されず、捲き取り形の電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレータを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサ等が挙げられる。
本発明の電解コンデンサは、本発明の電解コンデンサ用電解液を駆動用電解液としてセパレータに含浸し、陽陰極と共に、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで密閉して電解コンデンサを構成することで得ることができる。
オクテニルコハク酸無水物(e1−1)[リカシッド OSA、新日本理化(株)製]420重量部(2mol)にエチレングリコール(d−1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H−NMR)チャートと酸価でオクテニルコハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1−1)が得られたことを確認した。
ドデセニルコハク酸無水物(e1−2)532重量部(2mol)にエチレングリコール(d−1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H−NMR)チャートと酸価でドデセニルコハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1−2)が得られたことを確認した。
オクタデセニルコハク酸無水物(e1−3)701重量部(2mol)にエチレングリコール(d−1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H−NMR)チャートと酸価でオクタデセニルコハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1−3)が得られたことを確認した。
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(e1−4)308重量部(2mol)にエチレングリコール(d−1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。プロトン核磁気共鳴装置(1H−NMR)チャートと酸価で1,2−シクロヘキサンジカルボン酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物であるカルボン酸(a1−4)が得られたことを確認した。
オクテニルコハク酸無水物(e1−1)420重量部(2mol)にプロピレングリコール(d−2)76重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H−NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸2分子とプロピレングリコール1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1−5)が得られたことを確認した。
オクテニルコハク酸無水物(e1−1)420重量部(2mol)にポリオキシエチレングリコール[三洋化成工業(株)製、PEG−200](d−3)200重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H−NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸2分子とPEG−200が1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1−6)が得られたことを確認した。
オクテニルコハク酸無水物(e1−1)630重量部(3mol)にグリセリン(d−4)92重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H−NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸3分子とグリセリン1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1−7)が得られたことを確認した。
オクテニルコハク酸無水物(e1−1)420重量部(2mol)にグリセリン(d−4)92重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H−NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸2分子とグリセリン1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1−8)が得られたことを確認した。
オクテニルコハク酸無水物(e1−1)1260重量部(6mol)にマンニトール(d−5)182重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H−NMRチャートと酸価測定により、オクテニルコハク酸6分子とマンニトール1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1−9)が得られたことを確認した。
コハク酸無水物(e1−5)200重量部(2mol)にエチレングリコール(d−1)62重量部(1mol)を添加し、150℃、3時間撹拌して反応させた。1H−NMRチャートと酸価測定により、コハク酸2分子とエチレングリコール1分子とのエステル化物(a1)であるカルボン酸(a1−10)が得られたことを確認した。
表1及び2に記載したカルボン酸(a)と、溶剤(B)とを、表1及び2に記載した配合部数(重量部)で配合した後に混合し、次いでアンモニアガスを表1に記載した配合部数(重量部)吹き込み、中和した。その後、次亜リン酸(D−2)[太平化学産業(株)製]を添加して、均一混合させて、電解コンデンサ用電解液(C−1)〜(C−8)及び(C−11)〜(C−24)並びに比較用の電解コンデンサ用電解液(C’−1)、(C’−4)、(C’−5)を得た。
なお、ポリビニルアルコール(D−3)及び/又はほう酸(D−1)を含有しているものに関しては、上記の中和操作後に、ポリビニルアルコール(D−3)及びほう酸(D−1)を表1に記載の配合部数(重量部)添加し、120℃で加熱溶解を行った。
また、ポリビニルアルコール(D−3)は、商品名「JP−05」[日本酢ビ・ポバール(株)製]のものを用いた。
表1及び2に記載したカルボン酸(a)と、溶剤(B)とを、表1及び2に記載した配合部数(重量部)で配合した後に混合し、次いでアミン(b)を表1に記載した配合部数(重量部)滴下して中和をし、電解コンデンサ用電解液(C−9)、(C−10)及び比較用の電解コンデンサ用電解液(C’−2)、(C’−3)を得た。
電解液として各電解コンデンサ用電解液を用い、陽極及び陰極として高圧用エッチングアルミニウム箔を用い、25℃にて定電流(電流密度:0.5mA/cm2)を負荷し、電圧の降下(ショート)がみられたときの電圧値を読みとって、この電圧値を火花電圧とした。
なお、直流安定化電源として(株)高砂製作所製のGP650−05Rを用いて測定した。
各電解コンデンサ用電解液を測定用セルに15ml入れて、恒温槽中で30℃に温調し、比電導度(mS/cm)を測定した。比電導度測定用セルとして東亜ディーケーケー(株)製のCT−57101Bを用いて測定した。
上記の火花電圧の測定において、定電流(電流密度:0.5mA/cm2)を負荷し始めてから、電圧値が400Vに到達するまでに要した時間を化成時間とした。
化成時間が短い程、化成性に優れていることを示す。
一方、カルボン酸(a)としてエステル化合物(a1)を含有しない比較例1〜3の比較用の電解コンデンサ用電解液は、火花電圧が低く、化成性に劣る。
また、カルボン酸(a)として脂肪族カルボン酸(a3)を含有しない比較例4の比較用の電解コンデンサ用電解液は、化成性に劣る。
また、カルボン酸(a)として芳香族カルボン酸(a2)を含有しない比較例5の比較用の電解コンデンサ用電解液は、化成性に劣る。
Claims (5)
- カルボン酸(a)とアミン(b)又はアンモニアとの塩(A)及び溶剤(B)を含有する電解コンデンサ用電解液であって、
前記カルボン酸(a)が、ジカルボン酸(e)と1〜8価のアルコール(d)とのエステル化合物(a1)と、芳香族カルボン酸(a2)と、鎖状脂肪族カルボン酸(a3)とを含有し、
前記エステル化合物(a1)が、少なくとも1個のカルボキシ基を有するエステル化合物である電解コンデンサ用電解液(C)。 - 前記ジカルボン酸(e)が有するカルボキシ基が結合している炭素原子の内、少なくとも1個の炭素原子が、3級炭素原子である請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液。
- 前記アルコール(d)が2価又は3価のアルコールである請求項1又は2に記載の電解コンデンサ用電解液。
- 前記カルボン酸(a)の合計重量に基づいて、エステル化合物(a1)の重量割合が10〜30重量%であり、芳香族カルボン酸(a2)の重量割合が60〜80重量%であり、鎖状脂肪族カルボン酸(a3)の重量割合が5〜15重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液を含有する電解コンデンサ。
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