JP2010272378A - 車両用のバッテリシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて簡単な構造としながら、電池セルの温度差を小さくして寿命を長くする。
【解決手段】車両用のバッテリシステムは、複数の電池セル1の間に、電池セル1の表面に熱結合状態に接触してなるセパレータ12を挟着し、かつ複数の電池セル1を、電池セル1の間に冷却隙間3を設けてなるセパレータ12を介して積層するように固定してなる電池ブロック10と、この電池ブロック10の冷却隙間3に冷却気体を強制送風する送風機構9とを備えている。車両用のバッテリシステムは、電池セル1とセパレータ12との間の熱抵抗、又はセパレータ12自体の熱抵抗が積層方向に配置されるセパレータ12で異なり、熱抵抗の差で電池セル1の温度を均等化している。
【選択図】図6

Description

本発明は、複数の電池セルをセパレータを介して積層している車両用のバッテリシステムに関する。
多数の電池セルを積層して、電池セルの間の冷却隙間に強制送風する車両用のバッテリシステムは、各々の電池セルに温度差ができる。とくに、積層する電池セルの個数が増加すると、すべての電池セルを均一な温度として、すなわち温度差を小さくしながら冷却するのが難しくなる。多数の電池セルを積層する車両用のバッテリシステムは、電池セルの温度差をできる限り小さくすることが極めて大切である。それは、電池セルの温度差が各々の電池セルの残容量を不均一として、特定の電池セルの寿命を短くするからである。電池は温度によって充放電の効率が変化するので、温度差ができると各々の電池を同じ電流で充放電しても残容量に差ができる。残容量に差ができると、残容量が大きくなる電池は過充電されやすく、また残容量が小さくなる電池は過放電されやすくなり、過充電や過放電によって特定の電池セルの劣化を加速して、車両用のバッテリシステムとしての寿命を短くする原因となる。とくに、車両用のバッテリシステムは、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、あるいは電気自動車のように、多数の電池を積層して、大電流で充放電する用途に使用されることから、製造コストが極めて高価になるので、いかにして寿命を長くするかが大切である。とくに、多数の電池を使用する車両用のバッテリシステムになるほど製造コストが高くなるので、寿命を長くすることが要求される。ところが、多数の電池を積層するほど、車両用のバッテリシステムは温度差が大きくなって寿命が短くなる特性がある。
複数の電池セルを積層して、電池セルの間に冷却気体を強制送風して冷却する構造の車両用のバッテリシステムは開発されている。(特許文献1参照)
特許文献1の車両用のバッテリシステムは、図1の断面図に示すように、電池ブロック110の電池セル101の間に冷却隙間103を設けて、電池ブロック110の両側に供給ダクト106と排出ダクト107とを設けている。この車両用のバッテリシステムは、供給ダクト106から冷却隙間103に冷却気体を強制送風して、排出ダクト107から排出して、電池セル101を冷却する。
特開2007−250515号公報
図1のバッテリシステムは、電池セル101の比較的緩やかな温度変化特性に対して電池セル101の温度差を少なくすることに効果がある。ただ、短時間の発熱で発生する電池セルの温度差を効果的に少なくできない欠点がある。比熱の極めて小さい冷却気体を冷却隙間に送風して電池セルを冷却するからである。
車両用のバッテリシステムは、電池セルの発熱が連続して平均的に発生するとは限らず、短時間に発熱量が極めて大きくなることがある。車両を急加速するときに、バッテリシステムからモータに供給する電流が大きくなり、バッテリシステムの放電電流が100A以上と極めて大きくなるからである。とくに、近年のハイブリッドカーは、バッテリシステムの電圧をDC/ACインバータで昇圧してモータへの供給電力を大きくしていることから、バッテリシステムの放電電流は、モータの消費電流よりもさらに大きくなる。たとえば、出力電圧の288VをDC/ACインバータで650Vに昇圧して走行用のモータに供給しているバッテリシステムは、モータの消費電流の数倍もの電流が流れることから、バッテリシステムの放電電流は極めて大きくなる。ただ、車両用のバッテリシステムは、100A以上もの過大な電流で放電される時間が数秒程度と極めて短く、この状態が連続して続くことはほとんどない。また、放電電流と電池の容量とから、放電できる時間も極めて短く制限される。したがって、車両用のバッテリシステムは、短時間の大きな発熱によっても電池セルの温度差をいかに少なくできるかが極めて大切である。
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて簡単な構造としながら、電池セルの温度差を小さくして寿命を長くできる車両用のバッテリシステムを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の請求項1の車両用のバッテリシステムは、複数の電池セル1の間に、電池セル1の表面に熱結合状態に接触してなるセパレータ12、32、42を挟着し、かつ複数の電池セル1を、電池セル1の間に冷却隙間3を設けてなるセパレータ12、32、42を介して積層するように固定してなる電池ブロック10、30、40と、この電池ブロック10、30、40の冷却隙間3に冷却気体を強制送風する送風機構9とを備えている。車両用のバッテリシステムは、電池セル1とセパレータ12、32、42との間の熱抵抗、又はセパレータ12、32、42自体の熱抵抗が積層方向に配置されるセパレータ12、32、42で異なり、熱抵抗の差で電池セル1の温度を均等化している。
以上の車両用のバッテリシステムは、極めて簡単な構造としながら、各々の電池セルの温度差を小さくして寿命を長くできる特徴がある。それは、電池セルの間に熱結合状態で配置しているセパレータに熱伝導される熱エネルギをコントロールして、電池セルの温度差を少なくするからである。電池セルに熱結合状態に接触しているセパレータは、電池セルの熱を熱伝導によって速やかに伝えることができる。とくに、電池セルに直接に接触しているセパレータの熱容量は空気とは比較にならないほど大きく、電池セルの熱エネルギを速やかに吸収して電池セルの温度を低下させる。さらに、本発明のバッテリシステムは、電池セルからセパレータに熱伝導される熱エネルギをコントロールして温度差を小さくするために、電池セルとセパレータとの熱抵抗を調整し、あるいはセパレータ自体の熱抵抗を調整している。発熱によって温度が上昇する傾向にある電池セル、たとえば中央部に積層している電池セルに接触しているセパレータは、電池セルとの間の熱抵抗を小さくして熱を効率よく吸収できるようにし、あるいはまた、セパレータ自体の熱抵抗を小さくして吸収した熱エネルギを効率よく放熱できる構造として、電池セルをより効率よく冷却できる。また、以上のバッテリシステムは、電池セルの熱をセパレータに熱伝導して温度差を少なくしながら、さらに電池セルとセパレータを冷却気体で冷却することで電池セルを効率よく冷却できる。
本発明の請求項2の車両用のバッテリシステムは、複数の電池セル1の間に、電池セル1の表面に熱結合状態に接触してなるセパレータ2を挟着し、かつ複数の電池セル1を、電池セル1の間に冷却隙間3を設けてなるセパレータ2を介して積層するように固定してなる電池ブロック50、60と、この電池ブロック50、60の冷却隙間3に冷却気体を強制送風する送風機構9とを備えている。車両用のバッテリシステムは、各々の電池セル1表面の熱抵抗が積層方向に配置される電池セル1で異なり、熱抵抗の差で電池セル1の温度を均等化している。
以上の車両用のバッテリシステムも、極めて簡単な構造としながら、各々の電池セルの温度差を小さくして寿命を長くできる特徴がある。それは、電池セル表面の熱抵抗を相違させることで、各々の電池セルの冷却気体による冷却熱量をコントロールして、電池セルの温度差を少なくするからである。電池セルの表面は冷却隙間に送風される冷却気体で冷却される。以上のバッテリシステムは、電池セル表面を冷却する冷却熱量をコントロールして温度差を小さくするために、電池セル表面の熱抵抗を調整している。発熱によって温度が上昇する傾向にある電池セル、たとえば中央部に積層している電池セル表面は熱抵抗を小さくして冷却気体で効率よく冷却できるようにして、電池セルをより効率よく冷却できる。
本発明の車両用のバッテリシステムは、セパレータ12が電池セル1の表面に接触する接触面積の違いで、電池セル1とセパレータ12との熱抵抗を、積層方向に配置されるセパレータ12で異なるようにすることができる。
以上の構造は、セパレータの形状を変更して、電池セルの温度差を少なくできる。
本発明の車両用のバッテリシステムは、セパレータ32自体の熱伝導率の違いで、セパレータ32自体の熱抵抗を、積層方向に配置されるセパレータ32で異なるようにすることができる。
以上の構造は、セパレータを熱伝導率の異なる材質で製作して、電池セルの温度差を少なくできる。
本発明の車両用のバッテリシステムは、セパレータ42自体の厚さの違いで、セパレータ42自体の熱抵抗を、積層方向に配置されるセパレータ42で異なるようにすることができる。
以上の構造は、セパレータの形状を変更して、電池セルの温度差を少なくできる。
本発明の車両用のバッテリシステムは、電池セル1の表面に被覆層7を設けて、電池セル1表面と冷却気体との間の熱抵抗を異なるようにすることができる。
以上のバッテリシステムは、電池セルの表面に設ける被覆層の膜厚や使用する材料の熱伝導率で電池セル表面の熱抵抗を調整して、電池セルの温度差を少なくできる。
従来の車両用のバッテリシステムの水平断面図である。 本発明の一実施例にかかる車両用のバッテリシステムの斜視図である。 図2に示す車両用のバッテリシステムの内部構造を示す斜視図である。 図2に示す車両用のバッテリシステムの水平断面図である。 電池ブロックの一例を示す斜視図である。 図5に示す電池ブロックの一部拡大断面図である。 電池ブロックの他の一例を示す斜視図である。 図7に示す電池ブロックの一部拡大断面図である。 電池ブロックの他の一例を示す斜視図である。 図9に示す電池ブロックの一部拡大断面図である。 電池ブロックの他の一例を示す斜視図である。 図11に示す電池ブロックの一部拡大断面図である。 電池ブロックの他の一例を示す一部拡大断面図である。 図5に示す電池ブロックの電池セルとセパレータの積層構造を示す分解斜視図である。 図11に示す電池ブロックの電池セルとセパレータの積層構造を示す分解斜視図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車両用のバッテリシステムを例示するものであって、本発明は車両用のバッテリシステムを以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図2ないし図4は、本発明の一実施例にかかる車両用のバッテリシステムを示している。これらの図に示す車両用のバッテリシステムは、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、あるいはモータのみで走行する電気自動車などの電動車両の電源として使用される。
図2ないし図4に示す車両用のバッテリシステムは、図5ないし図13に示すように、複数の角形電池からなる電池セル1を積層している電池ブロック10、30、40、50、60と、この電池ブロック10、30、40、50、60の電池セル1に冷却気体を強制送風して冷却する送風機構9とを備える。電池ブロック10、30、40、50、60は、積層している電池セル1の間にセパレータ2、12、32、42を挟着している。このセパレータ2、12、32、42は、図14と図15に示すように、電池セル1との間に冷却隙間3ができる形状としている。さらに、図のセパレータ2、12、32、42は、両面に電池セル1を嵌着構造で連結している。電池セル1に嵌着構造で連結されるセパレータ2、12、32、42を介して、隣接する電池セル1の位置ずれを阻止して積層している。
角形電池の電池セル1は、リチウムイオン二次電池である。ただし、電池セルは、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の他の全ての二次電池とすることもできる。図の電池セル1は、所定の厚さを有する四角形で、上面の両端部には正負の電極端子13を突出して設けており、上面の中央部には安全弁の開口部14を設けている。積層される電池セル1は、隣接する正負の電極端子13をバスバー(図示せず)で連結して互いに直列に接続している。隣接する電池セル1を互いに直列に接続するバッテリシステムは、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただし、バッテリシステムは、隣接する電池セルを並列に接続することもできる。
電池セル1は、外装缶1Aをプラスチック等の絶縁材で製作している。この電池セル1は、隣接する電池セル1の外装缶1Aのショートを防止できるので、電池セルの間に挟着するセパレータを金属製とすることもできる。ただ、電池セルは、外装缶を金属製とすることもできる。この電池セルは、プラスチック等の絶縁材からなるセパレータを介して絶縁状態で積層できる。
セパレータ2、12、32、42はプラスチック製で、電池セル1の表面に熱結合状態で接触している。セパレータ2、12、32、42は、電池セル1の間に挟着されて電池セル1の発熱を吸収する。ただし、電池セル1からセパレータ2、12、32、42に熱伝導される熱量は、電池セル1とセパレータ2、12、32、42との熱抵抗で最適値にコントロールされ、あるいはセパレータ12、32、42自体の熱伝導率でコントロールされる。電池セル1に熱結合状態でセパレータ2、12、32、42を接触させる電池ブロック10、30、40、50、60は、電池セル1の発熱を熱伝導によってセパレータ2、12、32、42に伝える。電池セル1が発熱してセパレータ2、12、32、42が発熱しないので、電池セル1の温度はセパレータ2、12、32、42よりも高くなる。したがって、電池セル1の発熱は、セパレータ2、12、32、42に熱伝導される。電池セル1の熱が伝導されるセパレータ2、12、32、42は、温度上昇して熱エネルギを吸収する。温度上昇したセパレータ2、12、32、42は、冷却隙間3に強制送風される冷却気体で冷却される。冷却隙間3に送風される冷却気体は、セパレータ2、12、32、42のみでなく電池セル1も冷却する。
多数の電池セル1を積層している電池ブロック10、30、40、50、60は、発熱によって温度差ができる。温度差は、電池ブロック10、30、40、50、60や冷却構造によって必ずしも一定ではないが、図5ないし図13に示すように、多数の電池セル1を積層する電池ブロック10、30、40、50、60は、中央部の電池セル1の温度が高くなる傾向がある。また、図3と図4に示すように、複数の電池ブロック10、30、40、50、60を直列に配置する構造にあっては、風下側の電池ブロックの温度が風上側の電池ブロックよりも高くなる。
バッテリシステムは、電池セル1からセパレータ2、12、32、42に熱伝導される熱量をコントロールして、電池セル1の温度差を少なくし、あるいは冷却隙間3に強制送風される冷却気体による冷却熱量をコントロールして電池セル1の温度差を少なくする。したがって、バッテリシステムは、電池セル1とセパレータ2、12、32、42との間の熱抵抗、又はセパレータ12、32、42自体の熱抵抗を、積層方向に配置している電池セル1及びセパレータ2、12、32、42によって異なるようにして、熱抵抗の差で電池セル1の温度を均等化する。発熱によって他の電池セルよりも高温になる電池セルに接触しているセパレータ2、12、32、42は、電池セル1との熱抵抗を小さくし、あるいはセパレータ12、32、42自体の熱抵抗を小さくして、電池セル1から熱伝導される熱エネルギを大きくしている。また、電池セル表面の熱抵抗が各々の電池セルによって異なるようにして、熱抵抗の相違で電池セルの温度差を少なくするバッテリシステムは、温度が高くなる電池セルの表面に設けている被覆層7の熱抵抗を小さくして冷却気体による冷却熱量を大きくしている。
図5と図6の電池ブロック10は、電池セル1の積層方向に配設されるセパレータ12が電池セル1と接触する接触面積を相違するようにして、電池セル1の温度差を少なくしている。図6のセパレータ12は、溝12Aの間に設けている接触部12Bの幅で接触面積を調整している。このセパレータ12は、接触部12Bの幅を広くして接触面積を大きくでき、接触部12Bの幅を狭くして接触面積を小さくできる。このバッテリシステムは、電池セル1とセパレータ12との接触面積を大きくして、電池セル1とセパレータ12との熱抵抗を小さく、接触面積を小さくして熱抵抗を大きくしている。電池セル1からセパレータ12に熱伝導される熱エネルギは、電池セル1とセパレータ12との間の熱抵抗を小さくして大きくなり、反対に熱抵抗を大きくして小さくなる。電池セル1からセパレータ12に熱伝導される熱エネルギは、接触面積に比例して大きくなるので、接触面積を大きくすることで、熱抵抗を小さくでき、また接触面積を小さくして熱抵抗を大きくできる。
図5と図6の電池ブロック10は、中央部に配設しているセパレータ12Yと電池セル1との熱抵抗を、その両端部に配設しているセパレータ12X、12Zの電池セル1との熱抵抗よりも小さくしている。このバッテリシステムは、温度が高くなる中央部の電池セル1の熱エネルギをセパレータ12Yに効率よく吸収して、各々の電池セル1の温度差を少なくする。このバッテリシステムは、電池ブロック10の中央部に配設しているセパレータ12Yの接触部12Bの幅を広くして接触面積を大きくし、電池ブロック10の両端部に配設しているセパレータ12X、12Zの接触部12Bの幅を狭くして接触面積を小さくしている。このバッテリシステムは、中央部のセパレータ12Yの熱抵抗を、両端部のセパレータ12X、12Zの熱抵抗よりも小さくして、電池セル1の温度差を少なくする。このバッテリシステムは、大きな接触面積で電池セル1に接触している中央部のセパレータ12Yの吸収熱量が、小さい接触面積で電池セル1に接触している両端部のセパレータ12X、12Zよりも大きく、中央部のセパレータ12Yで電池セル1の温度上昇を効果的に阻止して、電池セル1の温度差を少なくしている。
さらに、図7と図8に示す電池ブロック30は、電池セル1の積層方向に配設されるセパレータ32自体の熱伝導率を相違するようにして、電池セル1の温度差を少なくしている。図8のセパレータ32は、セパレータ32を成形するプラスチックに充填するフィラーの充填量や種類を変更して、セパレータ32自体の熱伝導率を変更する。セパレータ32の熱伝導率を変更するフィラーは、プラスチックよりも熱伝導率の大きい物質であって、たとえば金属粉末やカーボン繊維を使用する。金属粉末は、熱伝導率の大きいアルミニウムや銅等の粉末が適している。このセパレータ32は、フィラーの充填量を多くしてセパレータ32自体の熱伝導率を大きくできる。したがって、このセパレータ32は、フィラーの充填量を多くしてセパレータ32自体の熱抵抗を小さく、またフィラーの充填量を少なくし、あるいは充填しないようにして熱抵抗を大きくする。熱抵抗の小さいセパレータ32は、電池セル1から熱伝導される熱エネルギをスムーズに伝導して効率よく放熱する。
図7と図8の電池ブロック30は、中央部に配設しているセパレータ32Yに、両端部に配設するセパレータ32X、32Zよりも多量のフィラーを充填して、中央部のセパレータ32Y自体の熱伝導率を両端部に配設しているセパレータ32X、32Z自体の熱伝導率よりも大きくし、中央部のセパレータ32Yの熱抵抗を、両端部のセパレータ32X、32Zの熱抵抗よりも小さくしている。このバッテリシステムは、電池ブロック30の中央部のセパレータ32Yの熱抵抗を小さくして、吸収する熱エネルギを効率よく伝達して放熱できるようにしているので、温度が高くなる中央部の電池セル1の熱エネルギを中央部のセパレータ32Yが効率よく吸収して、各々の電池セル1の温度差を少なくする。このバッテリシステムも、中央部のセパレータ32Yの熱抵抗を、両端部のセパレータ32X、32Zの熱抵抗よりも小さくして、電池セル1の温度差を少なくする。このバッテリシステムは、大きい熱伝導率のフィラーを多量に充填している中央部のセパレータ32Yの吸収熱量が、フィラーの充填量を少なくしている両端部のセパレータ32X、32Zよりも大きく、中央部のセパレータ32Yで電池セル1の温度上昇を効果的に阻止して、電池セル1の温度差を少なくしている。
さらにまた、図9と図10に示す電池ブロック40は、電池セル1の積層方向に配設されるセパレータ42の厚さを相違する形状として、電池セル1の温度差を少なくする。セパレータ42は、厚く成形して熱抵抗を小さく、薄く成形して熱抵抗を大きくできる。厚く成形しているセパレータ42Yは、電池セル1から熱伝導される熱エネルギをスムーズに伝導して効率よく放熱する。図10の電池ブロック40は、中央部に配設しているセパレータ42Yの厚さを、両端部に配設するセパレータ42X、42Zよりも厚くして、中央部のセパレータ42Yの熱抵抗を、両端部のセパレータ42X、42Zの熱抵抗よりも小さくしている。このバッテリシステムは、電池ブロック40の中央部のセパレータ42Yの熱抵抗を小さくして、吸収する熱エネルギを効率よく伝達して放熱できるようにしているので、温度が高くなる中央部の電池セル1の熱エネルギを中央部のセパレータ42Yが効率よく吸収して、各々の電池セル1の温度差を少なくする。このバッテリシステムは、厚く成形している中央部のセパレータ42Yの吸収熱量が、薄く成形している両端部のセパレータ42X、42Zよりも大きく、中央部のセパレータ42Yで電池セル1の温度上昇を効果的に阻止して、電池セル1の温度差を少なくする。
さらにまた、図11ないし図13に示す電池ブロック50、60は、各々の電池セル1表面の熱抵抗が、積層方向に配置される電池セル1で異なるようにして、熱抵抗の差で電池セル1の温度を均等化している。このバッテリシステムは、冷却気体で冷却される冷却熱量をコントロールして、電池セル1の温度差を少なくする。電池セル1表面の熱抵抗を調整するために、図15の斜視図に示すように、電池セル1の表面に被覆層7を設けている。電池セル1は、被覆層7を介して冷却気体で冷却される。したがって、被覆層7で電池セル1の冷却を調整して温度差を少なくできる。被覆層7は、膜厚で電池セル1表面の熱抵抗を調整し、あるいは被覆層7を熱伝導率が異なる材質として、熱抵抗を調整できる。被覆層7を厚くして熱抵抗を大きくし、また被覆層7を熱伝導率の小さい材質として熱抵抗を大きくできる。熱伝導率が異なる材質で熱抵抗を調整する被覆層7は、前述したセパレータ自体の熱伝導率をフィラーで調整するのと同じように、プラスチック製の被覆層7に熱伝導率の大きいフィラーを充填して熱伝導率を調整できる。また、プラスチックの種類を変更して熱伝導率を変更することもできる。
被覆層7は、塗膜又はプラスチックフィルムである。塗料は絶縁塗料であって、膜厚やフィラーの充填量で熱伝導率を変更する。プラスチックフィルムは、熱収縮フィルムが適している。プラスチックフィルムは、フィラーの充填量や膜厚、あるいはプラスチックの種類で熱伝導率を変更する。
図12の電池ブロック50は、中央部に配設している電池セル1の被覆層7Yの厚さを、両端部に配設する電池セル1の被覆層7X、7Zよりも薄くして、中央部の電池セル1表面の熱抵抗を、両端部の電池セル1表面の熱抵抗よりも小さくしている。このバッテリシステムは、電池ブロック50の中央部に配置する電池セル1表面の熱抵抗を小さくして、冷却気体で効率よく冷却できるようにして、温度が高くなる中央部の電池セル1を冷却気体で効率よく冷却して、各々の電池セル1の温度差を少なくする。このバッテリシステムは、中央部の電池セル1の被覆層7Yを両端部の電池セル1の被覆層7X、7Zよりも薄くしている。
また、図13の電池ブロック60は、中央部の電池セル1の表面に被覆層を設けないで、両端部の電池セル1の表面にのみ被覆層7を設けることで、中央部の電池セル1表面の熱抵抗を小さくして温度差を少なくしている。それは、温度が高くなる電池セル1表面の熱抵抗を、温度が低くなる電池セル1表面よりも小さくすることで温度差を少なくできるからである。
さらに、バッテリシステムは、被覆層の膜厚によらず、被覆層の熱伝導率の相違で各々の電池セルの温度差を少なくすることもできる。このバッテリシステムは、温度が高くなる電池セル表面には熱伝導率の大きい材質の被覆層を設け、電池温度が低くなる電池セル表面には熱伝導率の小さい材質の被覆層を設けることで、電池セルの温度差を少なくする。
以上のバッテリシステムは、セパレータ12の接触面積を変更する第1の構造と、セパレータ32自体の熱伝導率を変更する第2の構造と、セパレータ42の厚さを変更する第3の構造と、電池セル1表面の熱抵抗を変更する第4の構造で、電池セル1とセパレータ2、12、32、42との熱抵抗を最適値に調整し、また、セパレータ12、32、42の熱抵抗を調整し、あるいは又は電池セル1表面の熱抵抗を調整して、各々の電池セル1の温度差を少なくする。ただし、本発明のバッテリシステムは、第1ないし第4の構造を複数組み合わせる構造として、電池セルの温度差を少なくすることもできる。たとえば、電池ブロックの中央部のセパレータは、電池セルとの接触面積を大きくすると共に、フィラーの充填量を多くしてセパレータ自体の熱伝導率を大きくし、さらに、セパレータを厚く成形して熱抵抗を小さくすることで、中央部の電池セルを効率よく冷却して温度差を少なくすることもできる。
以上のバッテリシステムは、中央部の電池セル1の温度が高くなる電池ブロック10、30、40、50、60において、各々の電池セル1の温度差を少なくする構造を例示したが、バッテリシステムは、必ずしも中央部の電池セル温度が高くなるとは限らない。たとえば、図3と図4に示すように、2組の電池ブロック10、30、40、50、60を直列に配列するバッテリシステムにあっては、風下側の電池ブロックの温度が風上側の電池ブロックの温度よりも高くなる。したがって、このバッテリシステムにあっては、風下側の電池ブロックの電池セルとセパレータとの熱抵抗を風上側のものよりも小さくし、あるいはセパレータ自体の熱抵抗を風上側よりも小さくし、あるいは又電池セル表面の熱抵抗を風上側よりも小さくすることで、各々の電池ブロックを構成する電池セルの温度差を少なくする。したがって、本発明のバッテリシステムは、電池セルの積層方向に向かってセパレータや電池セルの熱抵抗を変更して温度差を少なくするものであるが、それは、温度が高くなる領域では熱抵抗を小さく、温度が低くなる領域では熱抵抗を大きくして、各々の電池セルの温度差を少なくする。
図5ないし図15のセパレータ2、12、32、42は、冷却気体でセパレータ2、12、32、42と電池セル1を冷却するために、電池セル1との間に、空気などの冷却気体を通過させる冷却隙間3を設けている。図のセパレータ2、12、32、42は、電池セル1との対向面に、両側縁まで延びる溝2A、12A、32A、42Aを設けて、電池セル1との間に冷却隙間3を設けている。図のセパレータ2、12、32、42は、複数の溝2A、12A、32A、42Aを、互いに平行に所定の間隔で設けている。図のセパレータ2、12、32、42は、両面に溝2A、12A、32A、42Aを設けており、互いに隣接する電池セル1とセパレータ2、12、32、42との間に冷却隙間3を設けている。この構造は、セパレータ2、12、32、42の両側に形成される冷却隙間3で、両側の電池セル1を効果的に冷却できる特長がある。ただ、セパレータは、片面にのみ溝を設けて、電池セルとセパレータとの間に冷却隙間を設けることもできる。図の冷却隙間3は、電池ブロック10、30、40、50、60の左右に開口するように水平方向に設けている。冷却隙間3に強制送風される空気は、電池セル1の外装缶1Aを効率よく冷却する。この構造は、電池セル1の熱暴走を有効に阻止しながら、電池セル1を効率よく冷却できる特徴がある。
電池ブロック10、30、40、50、60は、両端にエンドプレート4を設けて、一対のエンドプレート4を連結材5で連結して、積層している電池セル1を固定している。エンドプレート4は、電池セル1の外形にほぼ等しい外形の四角形としている。連結材5は、図5ないし図13に示すように、両端を内側に折曲して折曲片5Aをエンドプレート4に止ネジ6で固定している。
図5ないし図13のエンドプレート4は、外側に補強リブ4Aを一体的に成形して設けて補強している。さらに、エンドプレート4の外側面には、連結材5の折曲片5Aを連結する連結孔(図示せず)を設けている。図のエンドプレート4は、両側の四隅部に4個の連結孔を設けている。連結孔は雌ネジ穴である。このエンドプレート4は、連結材5を貫通する止ネジ6を雌ネジ穴にねじ込んで連結材5を固定することができる。
図3と図4に示すように、電池ブロック10、30、40、50、60は2列に分離して配列されて、2列の電池ブロック10、30、40、50、60の間に、各々の冷却隙間3に連結する中間ダクト16を設けている。さらに、2列に分離された電池ブロック10、30、40、50、60の外側には外側ダクト17を設けており、外側ダクト17と中間ダクト16との間に複数の冷却隙間3を並列に連結している。このバッテリシステムは、図3と図4の実線の矢印で示すように、送風機構9でもって中間ダクト16から外側ダクト17に向けて冷却気体を強制送風し、あるいは、図3と図4の鎖線の矢印で示すように、外側ダクト17から中間ダクト16に向けて冷却気体を強制送風する。中間ダクト16から外側ダクト17に強制送風される冷却気体は、中間ダクト16から分岐されて、各々の冷却隙間3に送風されて電池セル1を冷却する。電池セル1を冷却した冷却気体は、外側ダクト17に集合して排気される。また、外側ダクト17から中間ダクト16に向けて強制送風される冷却気体は、外側ダクト17から分岐して各々の冷却隙間3に強制送風されて電池セル1を冷却する。冷却隙間3を通過して電池セル1を冷却した冷却気体は、中間ダクト16に集合されて外部に排気される。
中間ダクト16の断面積は、外側ダクト17の2倍とする。それは、中間ダクト16に強制送風される冷却気体を2分岐して外側ダクト17に送風し、あるいはふたつの外側ダクト17から強制送風される冷却気体を集合して中間ダクト16から排気するからである。すなわち、中間ダクト16は、両側の外側ダクト17の2倍の冷却気体を送風するので、その断面積を2倍として圧力損失を小さくしている。断面積を大きくするために、図のバッテリシステムは、中間ダクト16の横幅を外側ダクト17の横幅の2倍としている。ただし、中間ダクトは、横幅と上下幅を広くして、外側ダクトの断面積の2倍とすることもできる。
図2ないし図4のバッテリシステムは、4組の電池ブロック10、30、40、50、60からなり、2個の電池ブロック10、30、40、50、60を直線状に連結して1列の電池ブロックとし、この電池ブロックを2列平行に並べて、中間に中間ダクト16を、外側に外側ダクト17を設けている。直線状に連結される2組の電池ブロックは、エンドプレート4を積層する状態で連結される。さらに、直線状に連結される2組の電池ブロックは、正負の電極端子13をバスバー(図示せず)で連結して、互いに直列に接続している。
電池ブロック10、30、40、50、60は、外装ケース20に固定して、2列に配列される。図に示すバッテリシステムは、外装ケース20を下ケース20Aと上ケース20Bとで構成する。上ケース20Bと下ケース20Aは、外側に突出する鍔部21を有し、この鍔部21をボルト24とナット25で固定している。図の外装ケース20は、鍔部21を電池ブロック10、30、40、50、60の側面に配置している。ただ、鍔部は、電池ブロックの上部や下部、あるいはその中間に配置することもできる。
この外装ケース20は、エンドプレート4を下ケース20Aに止ネジ(図示せず)で固定して、電池ブロック10、30、40、50、60を固定している。止ネジは、下ケース20Aを貫通してエンドプレート4のネジ孔(図示せず)にねじ込まれて、電池ブロック10、30、40、50、60を外装ケース20に固定する。
さらに、図の外装ケース20は、両端に端面プレート26、27を連結している。端面プレート26は、外装ケース20に連結される状態で、中間ダクト16に連結される連結ダクト28を、プラスチックなどで一体的に成形して外側に突出するように設けている。また、端面プレート27は、外装ケース20に連結される状態で、外側ダクト17に連結される連結ダクト29を、プラスチックなどで一体的に成形して外側に突出するように設けている。この連結ダクト28、29は、送風機構9に連結され、あるいはバッテリシステムから冷却気体を排気する外部排気ダクト(図示せず)に連結される。これらの端面プレート26、27は、ネジ止めして、電池ブロックのエンドプレートに連結している。ただ、端面プレートは、ネジ止め以外の連結構造で電池ブロックに連結し、あるいは、外装ケースに固定することもできる。
以上のバッテリシステムは、電池ブロック10、30、40、50、60を互いに平行に2列に配列しており、2列に配列される電池ブロック10、30、40、50、60の間に中間ダクト16を設けて、外側に外側ダクト17を設けている。ただ、バッテリシステムは、1列の電池ブロックで構成することもできる。このバッテリシステムは、図示しないが、1列の電池ブロックの両側に送風ダクトを設けて、一方の送風ダクトから他方の送風ダクトに強制送風し、各々の冷却隙間に冷却気体を送風して電池セルを冷却することができる。
1…電池セル 1A…外装缶
2…セパレータ 2A…溝
3…冷却隙間
4…エンドプレート 4A…補強リブ
5…連結材 5A…折曲片
6…止ネジ
7…被覆層 7X…被覆層
7Y…被覆層
7Z…被覆層
9…送風機構
10…電池ブロック
12…セパレータ 12A…溝
12B…接触部
12X…セパレータ
12Y…セパレータ
12Z…セパレータ
13…電極端子
14…開口部
16…中間ダクト
17…外側ダクト
20…外装ケース 20A…下ケース
20B…上ケース
21…鍔部
24…ボルト
25…ナット
26…端面プレート
27…端面プレート
28…連結ダクト
29…連結ダクト
30…電池ブロック
32…セパレータ 32A…溝
32X…セパレータ
32Y…セパレータ
32Z…セパレータ
40…電池ブロック
42…セパレータ 42A…溝
42X…セパレータ
42Y…セパレータ
42Z…セパレータ
50…電池ブロック
60…電池ブロック
101…電池セル
103…冷却隙間
106…供給ダクト
107…排出ダクト
110…電池ブロック

Claims (6)

  1. 複数の電池セル(1)の間に、電池セル(1)の表面に熱結合状態に接触してなるセパレータ(12)、(32)、(42)が挟着され、かつ複数の電池セル(1)が、電池セル(1)の間に冷却隙間(3)を設けてなるセパレータ(12)、(32)、(42)を介して積層するように固定してなる電池ブロック(10)、(30)、(40)と、この電池ブロック(10)、(30)、(40)の冷却隙間(3)に冷却気体を強制送風する送風機構(9)とを備える車両用のバッテリシステムであって、
    前記電池セル(1)と前記セパレータ(12)、(32)、(42)との間の熱抵抗、又はセパレータ(12)、(32)、(42)自体の熱抵抗が積層方向に配置される前記セパレータ(12)、(32)、(42)で異なり、前記熱抵抗の差で電池セル(1)の温度を均等化するようにしてなる車両用のバッテリシステム。
  2. 複数の電池セル(1)の間に、電池セル(1)の表面に熱結合状態に接触してなるセパレータ(2)が挟着され、かつ複数の電池セル(1)が、電池セル(1)の間に冷却隙間(3)を設けてなるセパレータ(2)を介して積層するように固定してなる電池ブロック(50)、(60)と、この電池ブロック(50)、(60)の冷却隙間(3)に冷却気体を強制送風する送風機構(9)とを備える車両用のバッテリシステムであって、
    前記各々の電池セル(1)表面の熱抵抗が積層方向に配置される前記電池セル(1)で異なり、前記熱抵抗の差で電池セル(1)の温度を均等化するようにしてなる車両用のバッテリシステム。
  3. 前記セパレータ(12)が前記電池セル(1)の表面に接触する接触面積の違いで、前記電池セル(1)とセパレータ(12)との熱抵抗を、積層方向に配置されるセパレータ(12)で異なるようにしてなる請求項1に記載される車両用のバッテリシステム。
  4. 前記セパレータ(32)自体の熱伝導率の違いで、前記セパレータ(32)自体の熱抵抗を、積層方向に配置されるセパレータ(32)で異なるようにしてなる請求項1に記載される車両用のバッテリシステム。
  5. 前記セパレータ(42)自体の厚さの違いで、前記セパレータ(42)自体の熱抵抗を、積層方向に配置されるセパレータ(42)で異なるようにしてなる請求項1に記載される車両用のバッテリシステム。
  6. 前記電池セル(1)の表面に被覆層(7)を設けており、電池セル(1)表面と冷却気体との間の熱抵抗を異なるようにしている請求項2に記載される車両用のバッテリシステム。
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