JP2010271178A - 磁石の磁化特定方法および保磁力特定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁石内部の部位ごとの磁化状態、もしくは保磁力分布磁石の部位ごとの保磁力をより精度よく特定することができ、もって精度のよい品質保証を実現することのできる磁石の磁化特定方法、保磁力特定方法を提供する。
【解決手段】磁化状態の被特定対象となる磁石を複数に分割した際の分割磁石であって、その内部の磁束密度が特定されている分割磁石を基準分割磁石1Aとして用意し、基準分割磁石1Aの表面磁束密度を測定し、基準分割磁石に隣接する空間の空間磁束密度を測定して第1の測定結果を得る工程、基準分割磁石1Aと別途の分割磁石1A’,1A”を当接させて磁石ユニット10’を形成し、基準分割磁石1Aと別途の分割磁石1A’,1A”それぞれの表面磁束密度を測定して第2の測定結果を得る工程、第1、第2の測定結果を行列式からなる算定手段に割り当て、被特定対象となる磁石の磁化状態を特定する第3の工程、からなる。
【選択図】図2
【解決手段】磁化状態の被特定対象となる磁石を複数に分割した際の分割磁石であって、その内部の磁束密度が特定されている分割磁石を基準分割磁石1Aとして用意し、基準分割磁石1Aの表面磁束密度を測定し、基準分割磁石に隣接する空間の空間磁束密度を測定して第1の測定結果を得る工程、基準分割磁石1Aと別途の分割磁石1A’,1A”を当接させて磁石ユニット10’を形成し、基準分割磁石1Aと別途の分割磁石1A’,1A”それぞれの表面磁束密度を測定して第2の測定結果を得る工程、第1、第2の測定結果を行列式からなる算定手段に割り当て、被特定対象となる磁石の磁化状態を特定する第3の工程、からなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、たとえばIPMモータ等に適用される磁石の磁化状態を精度よく特定するための、磁石の磁化特定方法と、この磁石が保磁力分布磁石の場合には、その部位ごとの保磁力を精度よく特定するための、磁石の保磁力特定方法に関するものである。
車両用駆動モータ、たとえばIPMモータを構成する永久磁石の減磁状態を特定するに際し、従来は、磁石表面の所望箇所の磁束密度をガウスメータ等で読取り、この読取り値をもって、磁石内部の減磁状態、もしくは残留磁束密度を特定していた。また、比較的大型の磁石の磁気測定をおこなうことのできる磁化測定装置が特許文献1に開示されている。
ところで、実際に一つの永久磁石を取り上げた場合に、その内部の磁化状態、たとえば、減磁状態であったり、残留磁束密度の状態は、永久磁石の部位ごとに異なっていることは言うまでもないことである。さらに、磁束密度とともに重要な磁石の性能要素である保磁力も、磁石の部位ごとに異なる分布を有するのが一般的である。
そして、任意寸法の磁石において、ある部位の表面磁束密度を測定した場合に、その表面部位における読取り値(測定値)は、その測定部位に対応する内部の磁化状態を示すものではない。なぜなら、測定された任意部位の表面磁束密度は、実際には、該任意部位とは異なる部位、たとえばそれに隣接する部位の表面磁束密度の影響が反映された結果だからである。
その一方で、磁石内における磁化状態の分布、言い換えれば、磁石内部の部位ごとの磁化状態(減磁状態、残留磁束密度など)を精度よく特定することは、磁石の品質保証の観点から極めて重要である。たとえば、上記IPMモータ用ロータ内に埋設される永久磁石においては、ステータ側からの磁束の流れに起因して、そのステータ側側面部位の磁気特性を相対的に良好にするような最適設計がなされる場合がある。その際に、供用開始前の永久磁石や供用開始後のある段階における永久磁石において、その内部の部位ごとの磁化状態を精度よく特定し、特定対象となっている永久磁石の品質を所望部位ごとに、より精度よく保証することは、今後の製品(たとえば磁石)開発にとっても、磁石メーカーや磁石使用メーカーの信用にとっても極めて重要である。
したがって、一つの永久磁石に関し、単に磁石の表面磁束密度を測定し、その測定値をもって磁石内部の磁化状態に同定していた従来の特定方法に代わって、磁石内部の磁化状態であって、部位ごとの磁化状態をより精度よく特定するための有効な方策が当該分野で模索されている。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、磁石内部の磁化状態であって、部位ごとの磁化状態をより精度よく特定することができ、もって精度のよい品質保証を実現することのできる磁石の磁化特定方法を提供することを目的とする。さらには、この磁石が保磁力分布磁石の場合に、部位ごとの保磁力をより精度よく特定することができ、もって精度のよい品質保証を実現することのできる磁石の保磁力特定方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による磁石の磁化特定方法は、磁化状態の被特定対象となる磁石に対して、該磁石を同形状および同寸法の複数に分割した際の分割磁石であって、その内部の磁束密度が特定されている該分割磁石を基準分割磁石として用意し、該基準分割磁石の表面磁束密度を測定し、かつ、該基準分割磁石に隣接する空間において該基準分割磁石と同形状および同寸法の単数もしくは複数の仮想分割磁石を設定して、該仮想分割磁石の表面位置で空間磁束密度を測定して第1の測定結果を得る第1の工程、前記基準分割磁石と前記同形状および同寸法の別途の分割磁石を前記基準分割磁石に当接させて前記被特定対象となる磁石と同形状で同寸法の磁石ユニットを形成し、該磁石ユニットを構成する、基準分割磁石と単数もしくは複数の前記別途の分割磁石のそれぞれの表面磁束密度を測定して第2の測定結果を得る第2の工程、前記第1の測定結果と前記第2の測定結果を行列式からなる算定手段に割り当てることにより、前記基準分割磁石と前記別途の分割磁石それぞれの、少なくとも残留磁束密度を含む磁化状態を特定し、特定された該磁化状態を前記被特定対象となる磁石の磁化状態と同定する第3の工程と、からなるものである。
たとえば、細長な直方体の永久磁石の内部の複数箇所の磁化状態(残留磁束密度や減磁の程度など)を特定したい場合に、この被特定対象である永久磁石を、3乃至5つの同寸法の立方体に分割すると仮定して、この分割された立方体の永久磁石(分割磁石)を一つ用意する。たとえば、3つの立方体に分割される場合に、たとえば、その中央に位置する分割磁石を基準分割磁石とすることができる。
ここで、この基準分割磁石は、既にその内部の磁化状態が軟磁性材料評価試験装置(TRF(直流自記磁束計)や、TPM(パルス励磁型磁気特性測定装置)で、いずれも東英工業株式会社製)などで特定されているのがよい。
そして、この基準分割磁石に対して、その左右の空間に、該基準分割磁石と同寸法の分割磁石が仮に存在すると仮定した際の空間位置を特定しておく。この場合、たとえば、基準分割磁石の左右の空間にそれぞれ2つずつ、仮想の分割磁石が存在すると仮定してそれらの空間位置を特定しておくことができる。この形態では、実際に存在する基準分割磁石と、左右2つずつの仮想分割磁石とで、計5つの分割磁石が存在するとする。
そして、この5つの分割磁石のうち、対応する側面の中央位置の表面磁束密度を、ホール素子等を移動させながら測定する。なお、実際には、基準分割磁石の側面は表面磁束密度が測定されるものであり、他の仮想分割磁石の表面は、空間磁束密度を測定することとなる。
上記5箇所の表面磁束密度、および、空間磁束密度を測定し、その測定結果(第1の測定結果)を得るまでが本発明の磁化特定方法の第1の工程である。
次に、上記基準分割磁石(この例では、3つの立方体の中央側)に対して、その左右にその内部の磁化状態がたとえば特定されていない立法体の分割磁石を配置して、被特定対象である永久磁石と同寸法および同形状の磁石ユニットを形成する。
この磁石ユニットに対して、左右の分割磁石と中央の基準分割磁石それぞれの表面磁束密度を上記と同様に測定する。なお、この測定値は、対象となる分割磁石もしくは基準分割磁石自身の表面磁束密度ではなく、他の分割磁石もしくは基準分割磁石から発生する磁束密度が影響した磁束密度となっているのである。たとえば、中央に位置する基準分割磁石に対する測定値は、その左右の分割磁石から発生する磁束密度の影響が加味された表面磁束密度なのであり、決して、基準分割磁石のみから発生してその表面で計測される磁束密度ではない。
このようにして、中央の基準分割磁石とその左右の分割磁石それぞれの表面磁束密度を測定し、その測定結果(第2の測定結果)を得るまでが本発明の磁化特定方法の第2の工程である。
次に、算定手段である行列式に、上記する第1の測定結果と第2の測定結果を当てはめることにより、前記磁石ユニットを構成する、基準分割磁石とその左右の分割磁石の表面磁束密度の読取り値と、任意の分割磁石もしくは基準分割磁石に対して他の分割磁石もしくは基準分割磁石から発する磁束の影響の程度が精度よく反映された、該任意の分割磁石もしくは基準分割磁石の内部磁束密度を特定することができる。
具体的には、第1の測定結果である、空間磁束密度や表面磁束密度を行列式(Bとする)内に当てはめ、第2の測定結果である3つの表面磁束密度(他の分割磁石や基準分割磁石から発生する磁束の影響が加味された磁束密度であって、算定式の左辺:Aとする)は、この行列式:Bと、最終的に特定したい基準分割磁石および左右の分割磁石のそれぞれに固有の内部の磁束密度が表面に現れたもの(Cとする)と、の演算から求められる結果であるとする算定式を設定するものである(算定式:A=BC)。
ここで、上記行列式において、第1の測定結果である、空間磁束密度や、表面磁束密度は、磁石ユニットにおいて対象となる分割磁石や基準分割磁石の磁石ユニット内における位置に対応するものである。たとえば、上記形態において、基準分割磁石が磁石ユニット内の中央位置に配されている場合において、行列式におけるこの基準分割磁石に対応する行および列には、第1の測定結果における、中央位置の表面磁束密度と、それに隣接する仮想分割磁石表面の空間磁束密度と、が入力されることになる。また、上記形態において、中央の基準分割磁石の左右の分割磁石に関しても、上記行列式において、第1の測定結果における、中央位置の表面磁束密度と、それに隣接する仮想分割磁石表面の空間磁束密度と、が入力されることになる。
次に、上記設定された算定式において、上記行列式:Bの逆行列:B−1を左右辺に乗じることにより、特定したい各分割磁石に固有の内部磁束密度がその表面に現れた磁束密度(残留磁束密度):Cを、C=B−1Aから特定することができる。
なお、より具体的には、行列式における、第1の測定結果のそれぞれを、予め実験等でその内部の磁束密度が特定されている基準分割磁石の当該磁束密度で除しておくのがよい。すなわち、行列式における、第1の測定結果のそれぞれは、表面磁束密度や空間磁束密度であるが、これを、既に特定されている基準分割磁石の内部磁束密度で正規化しておくことにより、ある基準値に対する、測定された表面磁束密度、空間磁束密度の相対値、すなわち、磁束密度の大きさの割合(対象となる分割磁石に対する影響値とも言える)やその相互の相間を定量化することができる。
最終的に得られる結果は、これら各分割磁石の磁束密度の大きさの割合(影響値)と、この影響値に対応する分割磁石の磁石ユニットにおける表面磁束密度の読取り値と、の積の総和から得られるものである。ここで、各影響値は、既特定の基準分割磁石の内部磁束密度にて正規化されていることより、得られた結果は、ある磁石の任意部位(を包含する分割磁石)における内部の磁化状態である、残留磁束密度であったり、この残留磁束密度に基づいて算定される減磁量もしくは減磁の程度などとなり得る。
なお、上記算定手段は、適宜のコンピュータ内に格納されており、第1の測定結果および第2の測定結果が該コンピュータ内に入力されると、この行列式に基づく逆行列計算を実行し、上記実施例では、磁石ユニットにおける3つの部位の内部磁束密度等を算定することができる。
得たい情報は、この磁石ユニットと同形状および同寸法の永久磁石における3箇所の内部の磁化状態であったから、上記方法で得られた3つの部位の磁化状態をもって、対象磁石の3箇所の内部の磁化状態と同定することができる。
本発明者等の検証によれば、たとえば上記3箇所の内部の磁束密度を、上記する本発明の特定方法で求めた結果と、実際に、3箇所の内部の磁束密度を軟磁性材料評価試験装置にて求めた結果とは、完全に一致する、もしくは100%に近似することが実証されており、本発明の特定方法が高い精度で磁石内部の複数個所の磁化状態を高精度に保証できることが分かっている。
また、本発明による磁石の保磁力特定方法は、前記磁石の磁化特定方法を使用してなり、前記磁化状態の被特定対象となる磁石は、その部位ごとに保磁力が異なる保磁力分布磁石である、磁石の保磁力特定方法であって、前記第1の工程では、前記基準分割磁石の最小保磁力と平均保磁力も特定されるものであり、前記第3の工程では、前記基準分割磁石と前記別途の分割磁石それぞれの磁化率がさらに特定されるものであり、特定された複数の磁化率のうちの最小の磁化率は、既に求められている最小保磁力に対応するものとし、特定された複数の磁化率の平均値は、既に求められている平均保磁力に対応するものとし、前記最小の磁化率と前記最小保磁力、および、前記磁化率の平均値と前記平均保磁力、から磁化率と保磁力の相間グラフを作成し、この相間グラフにて、前記第3の工程で特定された分割磁石の磁化率から該分割磁石の保磁力を特定する第4の工程をさらに有するものである。
この方法は、上記する磁化特定方法を使用して、部位ごとに保磁力が異なる、いわゆる保磁力分布磁石の当該部位ごとの保磁力を精度よく特定するための方法に関するものである。
具体的には、上記する第1の工程において、基準分割磁石の最小保磁力と平均保磁力が特定される。たとえば、上記する軟磁性材料評価試験装置により、当該基準磁石に外部磁界をかけながら減磁していくことで、保磁力座標と残留磁束密度(磁化)座標からなる座標系にB−Hカーブ(4πIカーブ)を作成し、このカーブにて、残留磁束密度が低下する変曲点をもって最小保磁力とし、保磁力座標と交わる点をもって平均保磁力とすることができる。
基準分割磁石の最小保磁力および平均保磁力を求めた後は、上記する磁化特定方法に即し、その第3の工程にて、基準分割磁石と別途の分割磁石それぞれの磁化率を特定する。
基準分割磁石と別途の分割磁石が計4つの分割磁石からなる場合には、各分割磁石に対応する4つの磁化率が特定されることとなる。
次に、第4の工程として、特定された複数の磁化率のうちの最小の磁化率は、第1の工程にて求められている最小保磁力に対応するものとし、特定された複数の磁化率の平均値は、やはり第1の工程にて求められている平均保磁力に対応するものとする。
そして、対応する最小の磁化率と最小保磁力、および対応する磁化率の平均値と平均保磁力が特定されているから、これらの特定値を使用することで、横軸に磁化率、縦軸に保磁力を有した座標系において、磁化率と保磁力の相間グラフ(一次関数となる)を作成することができる。
この相間グラフ上に、第3の工程で特定された分割磁石の磁化率を当てはめることにより、任意の分割磁石の有する保磁力を特定することが可能となる。
以上の説明から理解できるように、本発明の磁石の磁化特定方法によれば、磁化状態の被特定対象となる磁石を複数に分割してなる分割磁石を用意してその表面磁束密度と空間磁束密度を求め、この分割磁石と他の分割磁石を組み合わせて被特定対象となる磁石と同形状および同寸法の磁石ユニットを構成し、この磁石ユニットの表面磁束密度を求め、求められたこれらの測定値を行列式に割り当てるだけの簡易な手法により、磁石内部の複数箇所の磁化状態を高精度に特定することができ、特定対象となっている永久磁石等の品質をより精度よく保証することができる。また、本発明の磁石の保磁力特定方法によれば、本発明の磁化特定方法を適用しながら、保磁力分布磁石の部位ごとの保磁力を精度よく保証することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例は、一つの永久磁石を3つの立方体形状の分割磁石に分割して、本発明の特定方法を実施している形態を示したものであるが、これ以外の分割数で、かつ、これ以外の形状の分割磁石に分割して、本発明の特定方法を実施する形態であってもよいことは勿論のことである。
図1aは、磁化状態の被特定対象となる永久磁石10を示した斜視図である。この永久磁石10は、たとえば、ハイブリッド車、電気自動車等の駆動用のIPMモータを構成するロータ内に埋設される磁石であり、ネオジムに鉄とボロンを加えた3成分系のネオジム磁石、サマリウムとコバルトとの2成分系の合金からなるサマリウムコバルト磁石、鉄酸化物粉末を主原料としたフェライト磁石、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどを原料としたアルニコ磁石などを挙げることができる。また、図示する永久磁石10は、たとえば、既に所定期間もしくは所定回数の供用を経たものである。
この永久磁石10は、図1bで示すように、3つの分割磁石に分割することが可能であり、ここでは、図中の左端の分割磁石を基準となる分割磁石として基準分割磁石1A(これも分割された場合の仮想分割磁石である)とし、中央の分割磁石、右端の分割磁石をそれぞれ、仮想分割磁石1B,1Cとする。すなわち、この実施の形態では、図示する永久磁石10の内部の3箇所の磁化状態、たとえば、3箇所の残留磁束密度や、この残留磁束密度によってさらに特定されることとなる減磁量、減磁の程度などを特定するものである。
まず、本発明の磁化特定方法について概説する。永久磁石10内部の複数箇所の磁化状態を特定する方法の第1の工程として、図2aで示すように、基準分割磁石1Aと同寸法で同形状の分割磁石1Aを用意する。なお、この基準分割磁石1Aは、予めその内部の磁束密度が実験等にて予め特定されている。
次に、この基準分割磁石1Aに対して、その左右の空間に、該基準分割磁石1Aと同寸法の分割磁石2A,2B,3A,3Bが仮に存在すると仮定した際の空間位置を特定しておく。
そして、これら5つの基準分割磁石1A,仮想分割磁石2A,2B,3A,3Bのうち、対応するそれぞれの側面の中央位置からたとえば0.3mm離れたポイント(P1A)の表面磁束密度、およびポイント(P3A,P2A,P2B,P3B)の空間磁束密度を、ホール素子20を移動させながら測定する(X方向)。
測定された測定結果は、第1の測定結果として、そのデータをたとえば不図示のコンピュータ内に格納する。本実施の形態では、図2bのテーブルで示すような測定結果が得られたものとする。なお、テーブル中、マイナスデータとプラスデータは、磁束の方向、すなわち、N−Sが逆方向であることを意味するものである。
次に、図1bで示す永久磁石10と同形状および同寸法の磁石を形成するべく、図3aで示すように、基準分割磁石1Aを左端に配し、仮想分割磁石1Bに対応する分割磁石1A’、仮想分割磁石1Cに対応する分割磁石1A”をそれぞれ中央位置、右端にそれぞれ配置して磁石ユニット体10’を形成する。
次いで、図2aと同様の方法で、基準分割磁石1A、分割磁石1A’、1A”の対応側面から0.3mm離れたポイント(P1A,P1A’,P1A”)の表面磁束密度を、ホール素子20を移動させながら測定する(X方向)。この方法では、たとえば残留磁束密度の異なる分割磁石1A,1A’,1A”を重ね合わせて、この重ね合わせ姿勢における複数の所望部位の表面磁束密度が測定されたこととなる。すなわち、この測定結果は、他の分割磁石から発生する磁束密度の影響が反映されたものである。
測定された測定結果は、第2の測定結果として、そのデータを第1の測定結果と同様に不図示のコンピュータ内に格納する。本実施の形態では、図3bのテーブルで示すような測定結果が得られたものとする。以上が、本発明の特定方法の第2の工程である。
上記第1の測定結果、および第2の測定結果が格納されたコンピュータ内には、以下の行列式および逆行列式からなる算定手段が格納されている。
上記第1の測定結果、および第2の測定結果が格納されたコンピュータ内には、以下の行列式および逆行列式からなる算定手段が格納されている。
上記数式1の逆行列からなる数式2により、特定したい、永久磁石10内部の3箇所の残留磁束密度を特定することができる(第3の工程)。
図4は、本発明の特定方法にて特定された、永久磁石内部の3箇所の残留磁束密度と、軟磁性材料評価試験装置によって評価された残留磁束密度を示したテーブルである。
図4のテーブルより、3箇所の内部残留磁束密度に関し、上記第1の工程〜第3の工程からなる特定方法にて特定されたそれぞれの特定値:I1A,I1A’,I1A”はそれぞれ、1.43,1.27,1.14であった。
図4のテーブルより、3箇所の内部残留磁束密度に関し、上記第1の工程〜第3の工程からなる特定方法にて特定されたそれぞれの特定値:I1A,I1A’,I1A”はそれぞれ、1.43,1.27,1.14であった。
一方、上記3箇所の内部残留磁束密度を、別途実験にて測定した結果、その測定値:I1A,I1A’,I1A”はそれぞれ、1.43,1.28,1.13であり、上記特定値は、これらの測定値に対して、100%、99.2%、100.9%という極めて高い精度で特定されることが実証された。
このように、1%以内の精度誤差で磁石内部の磁化状態が特定できることより、本発明の磁化特定方法を適用することにより、特定対象となっている永久磁石等の内部の複数箇所の磁化状態を、極めて高い精度で特定することができ、高い品質保証を提供することが可能となる。
次に、図5aで示すごく、保磁力の異なる4つの領域からなる保持力分布磁石に関し、そのうちの一つの領域を基準分割磁石とし、他の3つの領域を別途の分割磁石とした際の、本発明の保磁力特定方法について概説する。
まず、第1の工程では、任意に設定した基準分割磁石の表面磁束密度をTRF(直流自記磁束計)や、TPM(パルス励磁型磁気特性測定装置)等で測定し、図5bで示すような減磁曲線を作成する。具体的には、基準分割磁石を外部コイル内に載置し、場合によってはこれらを外部鉄板内にさらに載置し、基準分割磁石に対して外部磁界をかけることで、当該基準分割磁石を減磁することで、図5bで示す減磁曲線(またはB−Hカーブ)を作成する(減磁することで矢印方向に減磁していく)。
減磁曲線を作成することで、その曲線における第2象限で現れる変曲点の保磁力を平均保磁力H0、保磁力座標との交点の保磁力を最小保磁力HCと特定することができる。
なお、減磁を続けることで減磁曲線は第3象限に以降するが、外部磁界を解除し、減磁を停止することにより、基準分割磁石の当初の保磁力が回復し、基準分割磁石のN−Sが反転しながら、図5のような減磁曲線が作成される。
なお、減磁を続けることで減磁曲線は第3象限に以降するが、外部磁界を解除し、減磁を停止することにより、基準分割磁石の当初の保磁力が回復し、基準分割磁石のN−Sが反転しながら、図5のような減磁曲線が作成される。
この第1の工程では、既述する磁化特定方法と同様の方法によって、図6aで示すように、基準分割磁石1Aと同形状および同寸法の仮想分割磁石が仮に存在するとした場合の空間位置(仮想分割磁石2A,3A,4A,2B,3B,4Bの測定ポイント:B0、B+1、・・・・)で空間磁束密度を測定して(X1方向)、図6bのごとき第1の測定結果を得る。
次いで、第2の工程にて、基準分割磁石と別途の分割磁石を基準分割磁石に当接させて被特定対象となる磁石と同形状で同寸法の磁石ユニットを形成し、磁石ユニットを構成する、基準分割磁石と別途の分割磁石それぞれの表面磁束密度を測定して、図7aのごとき第2の測定結果を得る。なお、この第2の測定結果を得る際には、基準分割磁石1Aと別途の分割磁石のそれぞれの左右の表面磁束密度を測定し、その平均値をもって、各分割磁石の有する表面磁束密度としてもよい。
第2の測定結果が得られたら、今度は、得られた表面磁束密度から、既述する行列式および逆行列式を用いて各分割磁石の磁化率の換算をおこなう。図5aで示すような、基準分割磁石と3つの別途の分割磁石と、からなる保磁力分布磁石に対しては、以下の数式3、数式4で示す算定式が適用でき、数式4により、図7bで示すごとき磁化率が算定される(第3の工程)。
図7bで示すごとき4つの分割磁石の磁化率が算定されたら、最小の磁化率:I4と第1の工程で特定されている最小保磁力:H0、および、磁化率の平均値:I’と平均保磁力:HC、から,図8で示すような磁化率と保磁力の相間グラフを作成することができる。
この相間グラフに、第3の工程で特定された任意の分割磁石の磁化率(たとえば、I1、I2など)を割り当てることにより、対応する分割磁石の保磁力を特定することが可能となるものである(第4の工程)。
図9は、本発明の保磁力特定方法にて特定された、永久磁石内部の4箇所の保磁力と、当該永久磁石を小さく切断し、TPM測定にて各切断片の保磁力を求めた実験結果と、を示したテーブルである。
同テーブルからも明らかなように、本発明による保磁力特定方法によって特定された各分割磁石の保磁力の特定値と、実際にそれらを切断して求められた保磁力結果と、の誤差は極めて微小な範囲内となっている。したがって、本発明の保磁力特定方法が、保磁力分布磁石を実際に切断等することなく、その部位ごとの保磁力を精緻に特定できることが実証された。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1A…基準分割磁石、1B,1C、2A,2B,3A,3B…仮想分割磁石、10…永久磁石、10’…磁石ユニット、20…ホール素子
Claims (3)
- 磁化状態の被特定対象となる磁石に対して、該磁石を同形状および同寸法の複数に分割した際の分割磁石であって、その内部の磁束密度が特定されている該分割磁石を基準分割磁石として用意し、該基準分割磁石の表面磁束密度を測定し、かつ、該基準分割磁石に隣接する空間において該基準分割磁石と同形状および同寸法の単数もしくは複数の仮想分割磁石を設定して、該仮想分割磁石の表面位置で空間磁束密度を測定して第1の測定結果を得る第1の工程、
前記基準分割磁石と前記同形状および同寸法の別途の分割磁石を前記基準分割磁石に当接させて前記被特定対象となる磁石と同形状で同寸法の磁石ユニットを形成し、該磁石ユニットを構成する、基準分割磁石と単数もしくは複数の前記別途の分割磁石のそれぞれの表面磁束密度を測定して第2の測定結果を得る第2の工程、
前記第1の測定結果と前記第2の測定結果を行列式からなる算定手段に割り当てることにより、前記基準分割磁石と前記別途の分割磁石それぞれの、少なくとも残留磁束密度を含む磁化状態を特定し、特定された該磁化状態を前記被特定対象となる磁石の磁化状態と同定する第3の工程と、
からなる、磁石の磁化特定方法。 - 前記行列式には、第1の測定結果が、予め特定されている前記基準分割磁石の内部の磁束密度にて除されてなる値が配されている、請求項1に記載の磁石の磁化特定方法。
- 請求項1または2に記載の磁石の磁化特定方法を使用してなり、前記磁化状態の被特定対象となる磁石は、その部位ごとに保磁力が異なる保磁力分布磁石である、磁石の保磁力特定方法であって、
前記第1の工程では、前記基準分割磁石の最小保磁力と平均保磁力も特定されるものであり、
前記第3の工程では、前記基準分割磁石と前記別途の分割磁石それぞれの磁化率がさらに特定されるものであり、
特定された複数の磁化率のうちの最小の磁化率は、既に求められている最小保磁力に対応するものとし、
特定された複数の磁化率の平均値は、既に求められている平均保磁力に対応するものとし、
前記最小の磁化率と前記最小保磁力、および、前記磁化率の平均値と前記平均保磁力、から磁化率と保磁力の相間グラフを作成し、この相間グラフにて、前記第3の工程で特定された分割磁石の磁化率から該分割磁石の保磁力を特定する第4の工程をさらに有する、磁石の保磁力特定方法。
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