JP5678831B2 - 保磁力分布磁石の保磁力特定方法 - Google Patents

保磁力分布磁石の保磁力特定方法 Download PDF

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Description

本発明は、モータ等に使用される保磁力分布磁石の任意部位の保磁力(もしくは平均保磁力)を精度よく特定することのできる保磁力分布磁石の保磁力特定方法に関するものである。
IPMモータ等のロータ内に埋設される永久磁石には、ステータコア側から入射してくる外部磁界による減磁に抗し得る保磁力が要求されている。
この永久磁石に作用する外部磁界は、永久磁石の埋設されたロータを平面的に見た際に永久磁石のステータコア側の隅角部が最も大きく、ロータコアの中央側が小さくなるのが一般的である。
一方、焼結された永久磁石は、その表面から当該永久磁石の保磁力性能を高めるための金属粒が粒界拡散等されているが、この金属粒はジスプロシウムやテルビウム等のレアアースが使用されていることから、永久磁石の製造コスト低減の観点から所望する保磁力性能を担保しつつその使用量を如何にして低減できるかが当該技術分野における重要な解決課題の一つとなっている。
この保磁力性能は、上記するように永久磁石の部位ごとに作用する外部磁界の大きさが異なることから要求される保磁力も永久磁石の部位ごとに相違しており、保磁力性能を高めるレアアースの使用量を低減することを含めて、永久磁石の部位ごとに保磁力の異なる(保磁力分布のある)保磁力分布磁石を製造することにより、要求される保磁力性能を満足しながらジスプロシウム等のレアアースの使用量が可及的に低減され、製造コストの削減を図ることのできる永久磁石の製造を実現することができる。
この保磁力分布磁石の内部の保磁力分布、すなわち、内部の部位ごとの平均保磁力を精度よく特定することは、保磁力分布磁石の品質保証の観点から極めて重要である。たとえば、上記IPMモータ用ロータ内に埋設される保磁力分布磁石においては、ステータ側からの磁束の流れに起因して、そのステータ側の側面部位の磁気特性を相対的に良好にするような最適設計がなされる場合がある。その際に、たとえば供用開始前の段階における保磁力分布磁石において、その内部の部位ごとの保磁力を精度よく特定し、特定対象となっている保磁力分布磁石の品質を所望部位ごとに、より精度よく保証することは、今後の製品(たとえば磁石)開発にとっても、磁石メーカーや磁石使用メーカーの信用にとっても極めて重要である。
しかし、現在は、保磁力分布磁石を破壊して分割片とし、その保磁力を特定する方法が適用されているに過ぎない。このような現状に鑑み、特許文献1には、保磁力分布磁石を切り刻む等することなく、当該保磁力分布磁石内部の部位ごとの保磁力を精度よく特定することができ、もって精度のよい品質保証を実現することのできる保磁力分布磁石の保磁力特定方法が開示されている。より具体的には、保磁力分布磁石の表面磁束密度を測定して減磁曲線を作成するステップ、減磁曲線から、平均保磁力、最低保磁力、角型性、を特定するステップ、平均保磁力と角型性との相関を用いて、最低保磁力と任意に設定された最高保磁力の間の保磁力差分量を複数設定し、平均保磁力と角型性から最適な保磁力差分量を特定し、最高保磁力を特定するステップ、最高保磁力と、最低保磁力、平均保磁力、から保磁力分布磁石内における保磁力分布グラフを特定し、該保磁力分布磁石の任意箇所における固有の保磁力を特定するステップ、からなる特定方法である。
特許文献1に開示される保磁力分布磁石の保磁力特定方法に対し、本発明者等は、さらに簡易な方法で、しかもより精度の高い保磁力分布磁石の保磁力特定方法の発案に至っている。
特開2011−007512号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、保磁力分布磁石を破壊等することなく、当該保磁力分布磁石の任意部位(任意に仮想的に分割された領域)における保磁力(平均保磁力)を精度よく特定することのできる保磁力分布磁石の保磁力特定方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による保磁力分布磁石の保磁力特定方法は、保磁力分布磁石のうち、容易磁化方向に沿う方向で切断してできる平面内で保磁力が相違している保磁力分布磁石において、該平面における任意箇所の保磁力を特定する保磁力分布磁石の保磁力特定方法であって、保磁力分布磁石の前記平面に対して容易磁化方向もしくは容易磁化方向に直交する方向に延びる複数の分割領域を仮想的に設定し、該保磁力分布磁石を逆磁界付与装置に配設するとともにそれぞれの前記分割領域に対応した位置にサーチコイルを配し、それぞれのサーチコイルによる測定結果から各分割領域に固有の減磁曲線を作成する第1のステップ、作成されたそれぞれの前記減磁曲線を2階微分して該減磁曲線における減磁開始点を示す屈曲点の磁束密度Bxを特定する第2のステップ、前記保磁力分布磁石の材料定数であるリコイル比μrを直線の勾配とし、残留磁束密度Br、保磁力Hxと磁束密度Bxの関係式であるBx=−μrHx+Brに第2のステップで特定されたBxを代入してその際のHxを求める第3のステップからなり、第2のステップで2以上の屈曲点が特定された際には、第3のステップでそれぞれの屈曲点に対応する保磁力Hxを特定し、特定された2以上の該保磁力Hxを有する2以上の小分割領域が前記分割領域内に存在することが特定されるものである。
本発明の保磁力特定方法が特定対象とする保磁力分布磁石は、製造後の性能確認のために、磁石製造時、この磁石を内蔵したIPMモータ製造時、このIPMモータを内蔵した車両製造時のいずれかのタイミングにおける保磁力分布磁石や、車両の市場走行後などの任意の環境下に置かれた後でロータから取り出された保磁力分布磁石などである。また、この保磁力分布磁石としてはモータ用で保磁力分布のある永久磁石を挙げることができ、ネオジムに鉄とボロンを加えた3成分系のネオジム磁石、サマリウムとコバルトとの2成分系の合金からなるサマリウムコバルト磁石、鉄酸化物粉末を主原料としたフェライト磁石、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどを原料としたアルニコ磁石などを挙げることができる。
本発明の保磁力特定方法は、保磁力分布磁石において容易磁化方向もしくは容易磁化方向に直交する方向に延びる複数の分割領域を仮想的に設定して任意の分割領域を抽出し、この分割領域が保磁力(平均保磁力)の異なる2以上の小分割領域を有している場合に、この小分割領域の平均保磁力を簡易かつ精緻に特定することができ、これを他の分割領域においても同様に展開することで、保磁力分布磁石全体における任意部位(任意の仮想的な分割領域における任意の仮想的な小分割領域)の平均保磁力を特定できるものである。
使用される逆磁界付与装置は、磁性体であるヨークと、ヨークの挿入空間(保磁力分布磁石が挿入される空間)に配設されるサーチコイルと、減磁曲線を作成するトレーサとから大略構成されている。サーチコイルの基数や各サーチコイルの包含する面積は、保磁力分布磁石の面積や、保磁力(平均保磁力)を特定したい分割領域の面積などによって多様に変化するものであり、たとえば容易磁化方向に延びる5つの分割領域を仮想的に設定した際には、この5つの分割領域に対応する空間内位置にたとえばループ状をなしたサーチコイルを配し、それぞれのサーチコイルによる測定結果から各分割領域に固有の減磁曲線が作成される(第1のステップ)。すなわち、この実施の形態では、5つの分割領域に対応する5つの減磁曲線が作成されることになる。
次に、各減磁曲線に対し、2階微分して該減磁曲線における減磁開始点を示す屈曲点の磁束密度Bxを特定する(第2のステップ)。
ここで、仮に分割領域内で保磁力分布がない場合、すなわち、分割領域が均一の保磁力を有する場合には、作成された減磁曲線は、急激に勾配が変化して磁束密度が落ちる屈曲点を1つ有するものの、減磁曲線内にはそれ以外の屈曲点は存在しない。
これに対し、仮に分割領域内で保磁力(平均保磁力)が異なる2以上の小分割領域が存在する場合、第1のステップで作成された減磁曲線は、実は2以上の小分割領域の減磁曲線が合成された減磁曲線となっている。
第1のステップで作成された減磁曲線を2階微分することにより、磁力が減少し始める瞬間(減磁開始点)を示す屈曲点が求められることになるが、この分割領域が上記するように保磁力の異なる2以上の小分割領域を仮に有する場合には、この小分割領域の数に応じて2以上の屈曲点が求められることになる(第1のステップで作成された減磁曲線が2以上の屈曲点を有することになる)。
しかしながら、第1のステップで作成された減磁曲線(2以上の小分割領域の減磁曲線が合成されたもの)における2以上の屈曲点に対応する2以上の保磁力値と、各小分割領域に固有の減磁曲線(たとえば分割領域から小分割領域を切り刻む等して取り出し、この小分割領域にサーチコイルを配して減磁曲線を作成したもの)の各屈曲点における保磁力値は相違する。
このように2以上の小分割領域の減磁曲線が合成されてなる減磁曲線と、各小分割領域に固有の減磁曲線との間で対応する屈曲点における保磁力値は相違することになるが、その一方で、双方の間で対応する屈曲点における磁束密度値は変化せず、同一の値となる。
本発明者等はこのことに着目し、第2のステップにおいて、抽出された任意の分割領域において2以上の屈曲点に対応する磁束密度Bxを特定する。
一方、保磁力分布磁石を形成する磁石素材(材料)に固有の値(材料定数)として、リコイル比透磁率がある。
そこで、保磁力分布磁石の材料定数であるリコイル比μrを直線の勾配とし、残留磁束密度Br、保磁力Hxと磁束密度Bxの関係式であるBx=−μrHx+Brに第2のステップで特定されたBxを代入することにより、その際のHxを求めることができる。
すなわち、たとえば上記する2以上の平均保磁力の異なる小分割領域が分割領域内に存在する場合には、第3のステップによって各小分割領域に対応する2以上の平均保磁力が特定されることになる。
実際の保磁力分布磁石の作成方法に鑑みるに、ジスプロシウムやテルビウム等のレアアースを焼結磁石の外側から粒界拡散させることより、この保磁力分布磁石の任意の断面(平面)において、その中央部で保磁力が相対的に小さく、拡散起点となる外周に向かうにしたがって保磁力が相対的に大きくなる保磁力分布を呈しているのが一般的である。
したがって、この任意平面を容易磁化方向に延びる複数の分割領域で仮想的に分割した際に、各分割領域では、中央に平均保磁力が相対的に小さく、その左右に平均保磁力が相対的に大きな2以上の小分割領域が存在することになる(平均保磁力H1の中央の小分割領域,その左右に位置して平均保磁力H2の2つの小分割領域など)。
上記するように、本発明の保磁力特定方法は、保磁力分布磁石における仮想の任意の分割領域に対して作成される減磁曲線を2階微分して2以上の屈曲点に対応する磁束密度を特定し、B−H座標中でリコイル比透磁率を勾配とする一次関数に特定されたそれぞれの磁束密度を代入することで各屈曲点の保磁力を特定し、もって、分割領域を構成する複数の小分割領域の平均保磁力とするという、簡易な特定方法である。そして、本発明者等の磁場解析によれば、この簡易な特定方法で特定された任意の分割領域における複数の小分割領域の各平均保磁力(解析値)と、実際に小分割領域を切り出した試験片を測定して得られる減磁曲線から求められた保磁力(実測値)において、双方の間の差が極めて小さくなることが実証されている。
そして、上記する本発明の保磁力特定方法によれば、任意の分割領域内に存在する複数の小分割領域の平均保磁力が直線的に変化しない場合、すなわち、異なる直線勾配で変化する場合や曲線的に変化する場合であっても、各小分割領域の平均保磁力を精緻に特定することができる。これは、各小分割領域の平均保磁力が他の小分割領域の平均保磁力とは関係なく、特定されたそれぞれの磁束密度Bxを一次関数に代入してそれぞれの平均保磁力Hxを個別に特定することによるものである。
以上の説明から理解できるように、本発明の保磁力分布磁石の保磁力特定方法によれば、保磁力分布磁石を破壊することなく、保磁力分布磁石の任意平面において容易磁化方向もしくは容易磁化方向に直交する方向に延びる複数の分割領域内に存在する2以上の小分割領域ごとの平均保磁力を精度よく特定することができ、もって保磁力分布磁石内で分布する保磁力(多数の小分割領域の平均保磁力)を高精度で特定することができる。
本発明の保磁力分布磁石の保磁力特定方法を説明するフロー図である。 図1のフロー図のステップS1を説明した図であって、(a)は保磁力分布磁石の斜視図であり、(b)は図2aのb−b矢視図であって保磁力の分布を説明した図であり、(c)は図2b中の一つの分割領域を取り出して説明した図である。 図1のフロー図のステップS2を説明した図であって、逆磁界付与装置の構成を説明するとともに逆磁界付与装置に保磁力分布磁石を配設した状態を説明した図である。 図1のフロー図のステップS3を説明した図であって、一つの分割領域の減磁曲線と、この分割領域内に存在する3つの小分割領域の固有の減磁曲線をともに示した図である。 図1のフロー図のステップS4を説明した図である。 本発明の保磁力特定方法で特定された保磁力(解析値)と、切り刻み法によって特定された保磁力(実測値)の間の差を求める磁場解析のモデルを説明する図であって、(a)は保磁力分布磁石を構成する仮想の分割磁石を抽出して模擬した図であり、(b)は3つの解析モデルを説明した図である。 磁場解析結果を示した図である。
以下、図面を参照して本発明の保磁力分布磁石の保磁力特定方法の実施の形態を説明する。図1は本発明の保磁力分布磁石の保磁力特定方法を説明したフロー図であり、図2は図1のフロー図のステップS1を説明した図であって、図2aは保磁力分布磁石の斜視図であり、図2bは図2aのb−b矢視図であって保磁力の分布を説明した図であり、図2cは図2b中の一つの分割領域を取り出して説明した図である。また、図3は図1のフロー図のステップS2を説明した図であって、逆磁界付与装置の構成を説明するとともに逆磁界付与装置に保磁力分布磁石を配設した状態を説明した図であり、図4は図1のフロー図のステップS3を説明した図であって、一つの分割領域の減磁曲線と、この分割磁石内に存在する3つの小分割領域の減磁曲線をともに示した図であり、図5は図1のフロー図のステップS4を説明した図である。
本発明の保磁力特定方法では、まず、図2で示す測定対象の保磁力分布磁石Eの任意平面(図2aの任意レベルのb−b矢視図である図2bの任意平面)に対して、複数の分割領域を仮想的に設定する(ステップS1)。
図示する保磁力分布磁石Eは、たとえば、ハイブリッド車や電気自動車等の駆動用のIPMモータを構成するロータ内に埋設される焼結磁石であり、ネオジムに鉄とボロンを加えた3成分系のネオジム磁石、サマリウムとコバルトとの2成分系の合金からなるサマリウムコバルト磁石、鉄酸化物粉末を主原料としたフェライト磁石、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどを原料としたアルニコ磁石などからなる。
ここで、図示する保磁力分布磁石Eは、これがロータスロット内に配設された際に、ステータ側となる方向に向かって容易磁石方向が規定されている。そして、ジスプロシウムやテルビウム等の磁石保磁力を高める重希土類元素がその表面から粒界拡散されており、したがって、図2bで示すように、磁石の内部中心からその外周側の拡散起点に向かって略同心状に保磁力が増加する保磁力分布を呈している。
この任意平面に対して、図2bで示すように、容易磁化方向に延びる複数の仮想的な分割領域A1〜A7を設定する。
そして、図2cで示す例では、任意の分割領域A4を抽出した際に、その中心から左右外側に向かって、平均保磁力が大きくなる小分割領域C1,C2,C3が存在することになる(小分割領域C1,C2,C3それぞれの平均保磁力をH1,H2,H3とすると、H1<H2<H3の関係式が成立)。
なお、平均保磁力は小分割領域ごとに相違し、したがって分割領域A1〜A7ごとに相違するものであるが、保磁力分布磁石Eは一様な素材にてその全体が形成されていることから、どの部位においても、リコイル比透磁率が同値(もしくはほぼ同値)となっている。
図1に戻り、ステップS1で複数の分割領域A1〜A7を仮想的に設定したら、次に、図3で示すように、逆磁界付与装置10に保磁力分布磁石Eを配設し、各分割領域(A1〜A7)の減磁曲線を作成する(ステップS2)。
ここで、逆磁界付与装置10の構成を説明すると、この逆磁界付与装置10は、保磁力が部位ごとに異なる保磁力分布磁石Eが挿入される挿入空間1aを具備する平面視が略Cの字状のヨーク1と、ヨーク1に磁界を発生させる(磁気流れX方向)励磁コイル2と、励磁コイル2に電流を通電する不図示の電源と、保磁力分布磁石Eに磁界が印加された際の磁化変化を検出するサーチコイル3a〜3gと、この磁化変化によって生じた電圧値に基づいて減磁曲線を作成するトレーサ4(B−Hカーブトレーサ)とから大略構成されている。
ヨーク1の挿入空間1aに臨む端面1bには7つのループ状の溝条1c1〜1c7が開設されており、それぞれの溝条1c1〜1c7内に銅製の導線とその周囲の絶縁被膜からなるループ状のサーチコイル3a〜3gが配設されている。
保磁力分布磁石Eの分割領域A1〜A7に各サーチコイル3a〜3gが対応しており、各サーチコイル3a〜3gから延びる導線はトレーサ4内に内蔵される積分器4aに繋がっている。
励磁コイル2で発生された磁界が保磁力分布磁石Eに印加されると、保磁力分布磁石E内で磁化変化が生じ、この磁石変化に基づく電圧値がサーチコイル3a〜3gで検出される。
検出された電圧値はサーチコイル3a〜3gからトレーサ4に内蔵された積分器4aに送信され、積分器4aで時間積分されて磁束密度が算定され、これに基づいて分割領域A1〜A7(各サーチコイルで囲まれた領域)ごとの減磁曲線(B−Hカーブや4πI−Hカーブ)が作成される。
作成された分割領域A1〜A7ごとの減磁曲線から特定される保磁力は、各分割領域における平均保磁力、言い方を換えれば、各分割領域A1〜A7内に存在する複数の小分割領域の平均保磁力が合成された保磁力である。
図1におけるステップS1,S2までが本発明の保磁力特定方法の第1のステップとなる。
分割領域A1〜A7ごとの減磁曲線が作成されたら、それぞれの減磁曲線に対して2階微分をおこない、減磁開始点を示す屈曲点の磁束密度Bxを特定する(ステップS3で本発明の第2のステップ)。
ここで、図4はステップS3を説明した図であり、図2cで抽出された分割領域A4に関する減磁曲線を示したものである。
同図において、分割領域A4の減磁曲線は実線Xである。この分割領域A4では、異なる3種の平均保磁力の小分割領域が存在することから、2階微分をおこなって算出される、磁力が減少し始める瞬間(減磁開始点)を示す3つの屈曲点が求められることになる。同図において、小分割領域C1に対応する屈曲点Q1、小分割領域C2に対応する屈曲点Q2、小分割領域C3に対応する屈曲点Q3である。
一方、図4には、説明のために、各小分割領域に固有の減磁曲線(各小分割領域が単独で存在する際に作成される減磁曲線)も示している。小分割領域C1に対応する減磁曲線Y1とその屈曲点R1、小分割領域C2に対応する減磁曲線Y2とその屈曲点R2、小分割領域C3に対応する減磁曲線Y3とその屈曲点R3である。
図4から明らかなように、第1のステップで作成された減磁曲線Xにおける3つの屈曲点Q1,Q2,Q3に対応する3つの保磁力値H1,H2,H3(ステップS3までの段階では保磁力値H1,H2,H3は特定できていない)と、各小分割領域C1〜C3に固有の減磁曲線Y1,Y2,Y3での屈曲点R1,R2,R3における保磁力値H1’,H2’,H3’は相違している。
このように、2以上の小分割領域の減磁曲線が合成されてなる減磁曲線Xと、各小分割領域に固有の減磁曲線Y1,Y2,Y3との間で対応する屈曲点Q1とR1,Q2とR2,Q3とR3のそれぞれにおける保磁力値は相違するものの、第1のステップで作成された減磁曲線Xにおける3つの屈曲点Q1,Q2,Q3に対応する3つの磁束密度値B1,B2,B3と、各小分割領域に固有の減磁曲線Y1,Y2,Y3での屈曲点R1,R2,R3における磁束密度値B1,B2,B3はそれぞれ同値となる。
ここで、保磁力分布磁石Eを形成する磁石素材(材料)に固有の値(材料定数)として、既述するリコイル比透磁率がある。そこで、保磁力分布磁石Eの材料定数であるリコイル比μrを直線の勾配とし、残留磁束密度Br、保磁力Hxと磁束密度Bxの関係式であるBx=−μrHx+Br(図5参照)にステップS3で特定されたBx(B1,B2,B3)を代入することにより、その際のHx(H1,H2,H3)を求めることができる(図1のステップS4で本発明の第3のステップ)。
上記する本発明の保磁力分布磁石の保磁力特定方法によれば、保磁力分布磁石における仮想の任意の分割領域(保磁力分布磁石の厚み方向の任意レベルで切断した際にできる任意平面を容易磁化方向に沿う方向で切断してできる複数の仮想の分割領域)に対して作成される減磁曲線を2階微分して2以上の屈曲点に対応する磁束密度を特定し、B−H座標中でリコイル比透磁率を勾配とする一次関数に特定されたそれぞれの磁束密度を代入することで各屈曲点の保磁力を特定し、もって、分割領域を構成する複数の小分割領域の平均保磁力を精緻に特定することができる。
そして、この任意の平面における各分割領域に対して同様にそれぞれに内包される小分割領域の平均保磁力を特定するとともに、これを保磁力分布磁石の厚み方向で作成できる複数の他の任意平面でも展開することにより、保磁力分布磁石の任意部位における保磁力(任意領域の平均保磁力)を特定することが可能になる。
[本発明の保磁力特定方法で特定された保磁力値の精度を検証した実験とその結果]
本発明者等は、本発明による保磁力特定方法で特定された保磁力値の精度を検証するべく、本発明の保磁力特定方法を適用してテストピースとなる保磁力分布磁石に関して磁場解析をおこなって保磁力値を求めるとともに(解析値)、これを実際に切り刻むことによって各切り刻み片の保磁力実測値を得て、解析値と実測値双方の相関、実測値と解析値の間の差を検証した。
図6aは磁場解析のモデルを説明する図であって、保磁力分布磁石を構成する仮想の分割磁石を抽出して模擬した図であり、図6bは3つの解析モデルを説明した図である。同図より、解析モデルは平均保磁力の異なる5つの仮想の小分割領域に分かれており、その中心から左右外側に向かって、平均保磁力が異なる小分割領域C1,C2,C3が存在し、それぞれが平均保磁力H1,H2,H3を有している。
図6bより、3種の解析モデルにおいて、モデルS1は中心から外側に向かって保磁力が同じ直線勾配で増加するもの、モデルS2は中心から外側に向かって保磁力が異なる直線勾配で増加するもの、モデルS3は中心とその外側で保磁力が同じで、最外周で保磁力が増加するものである。解析結果を図7に示している。
同図より、モデルS1〜S3の各小分割領域C1〜C3において、解析値と入力値(実測値)の間の差はほとんどが±0.4%の範囲に入っており、極めて高い精度で分割領域内における複数の小分割領域それぞれの平均保磁力を特定できることが実証されている。特に本解析結果より、保磁力分布磁石においてその中央から外周に向かって同一直線勾配で保磁力が増加する場合のみならず、保磁力の増加の傾向が途中で変化する場合(曲線的に変化する場合も含まれる)であっても、高い保磁力特定精度が期待できることが実証されている。
なお、本発明者等によれば、これまでの保磁力特定方法で算出された解析値と入力値(実測値)の間の差を求めた結果が±5〜10%程度であることも分かっており、従来法に比して保磁力特定精度が格段に向上していることが分かる。
以上の解析結果より、磁石を切り刻むことなく、本発明の保磁力特定方法を適用することで高精度な磁石内部の保磁力の特定が保証される。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
E…保磁力分布磁石、A1〜A7…分割領域、C1〜C3…小分割領域、10…逆磁界付与装置、3a〜3g…サーチコイル

Claims (2)

  1. 保磁力分布磁石のうち、容易磁化方向に沿う方向で切断してできる平面内で保磁力が相違している保磁力分布磁石において、該平面における任意箇所の保磁力を特定する保磁力分布磁石の保磁力特定方法であって、
    保磁力分布磁石の前記平面に対して容易磁化方向もしくは容易磁化方向に直交する方向に延びる複数の分割領域を仮想的に設定し、該保磁力分布磁石を逆磁界付与装置に配設するとともにそれぞれの前記分割領域に対応した位置にサーチコイルを配し、それぞれのサーチコイルによる測定結果から各分割領域に固有の減磁曲線を作成する第1のステップ、
    作成されたそれぞれの前記減磁曲線を2階微分して該減磁曲線における減磁開始点を示す屈曲点の磁束密度Bxを特定する第2のステップ、
    前記保磁力分布磁石の材料定数であるリコイル比μrを直線の勾配とし、残留磁束密度Br、保磁力Hxと磁束密度Bxの関係式であるBx=−μrHx+Brに第2のステップで特定されたBxを代入してその際のHxを求める第3のステップからなり、
    第2のステップで2以上の屈曲点が特定された際には、第3のステップでそれぞれの屈曲点に対応する保磁力Hxを特定し、特定された2以上の該保磁力Hxを有する2以上の小分割領域が前記分割領域内に存在することが特定される保磁力分布磁石の保磁力特定方法。
  2. 前記分割領域が3以上の小分割領域を有しており、中央の小分割領域から外側の小分割領域に向かって平均保磁力が大きくなる保磁力分布を呈している請求項1に記載の保磁力分布磁石の保磁力特定方法。
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