JP2010270996A - 精密温調システム、その制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】精密温調システムにおいて、非定常外乱が生じた場合でも温調対象空間の空気温度の変動を最小限に抑える。
【解決手段】外乱推定部11、ノミナルプラント14を備える外乱オブザーバ部10を設ける。ノミナルプラント14は制御対象4を模擬するモデルである。制御対象4のモデル化は、温調対象空間(チャンバ等)やエアダクトにおける空気の熱量、流れを考慮して行う。外乱推定部11は、このノミナルプラント14のモデルに応じた伝達関数を用いて、制御対象5の出力yとノミナルプラント14の出力yとの偏差(y−y)に基づいて外乱推定値dmを生成・出力する。この外乱推定値dmに対して所定のゲインKADD(≦1;例えば0.7程度)を乗じた値を、操作量MV(s)に加える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、精密温調システムに関する。
半導体製造工場等で用いられるクリーンルーム等(チャンバ)においては、作業環境の条件が厳しく求められる。この条件としては例えば、室温管理・清浄度の維持・静粛性(振動の無い空間)等が挙げられる。室内(チャンバ内)の温度管理に関しては、空調設備による高精度で一定な温度管理が要求されている。この様なチャンバ等に関して高精度で一定な温度管理を行うシステムを、精密温調システムと呼ぶ。
この様な精密温調システムとしては、例えばフィードバック制御器(PID)を用いるものがよく知られている。
また、例えば特許文献1に記載の従来技術が知られている。
特許文献1の発明は、熱系プラント(例えばその図12に示す押出成形機のシリンダ)の温度制御装置に係り、熟練者の勘や経験に頼らず、且つ、ワインドアップを生じさせることなく、簡単に温度制御を行い得るようにするものである。
特許文献1の温度制御装置は、PID制御部と操作量付加部と規範モデルPmとを有し、更にむだ時間除去手段を有する規範モデル部と、第1の切換部とを有する。操作量付加部は、制御対象Pを操作するための操作量を出力する。むだ時間除去手段は、規範モデルPmからむだ時間要素e−Lsを取り除く。第1の切換部は、操作量付加部からの操作量を制御対象Pに入力する側と、PID制御部による操作量を入力する側との間で回路を切り替える。
そして、上記規範モデル部は、むだ時間除去手段によってむだ時間要素e−Lsが除去された規範モデルPmの出力を測定し、この測定結果が予め定められた目標値に到達したときに、第1の切換部を操作して、操作量付加部からの操作量が制御対象Pに入力しないようにする。
また、特許文献1には、フィードフォワード制御部を設けることも開示されている。
また、特許文献1には、その図3に示すように、上記規範モデルPmを有する外乱オブサーバ部を備えた構成も開示されている。
特開2001−265408号公報
ここで、上記精密温調システムに関して、例えば何らかの作業に伴ってチャンバの扉を開閉する必要が生じる場合がある。この様な扉の開閉によって外気がチャンバ内に流入する等して、チャンバ内温度が変動する。つまり、外乱による温度変動が生じる。この様なタイプの外乱(非定常外乱と呼ぶ)に対しては、フィードフォワードによる制御では十分でないケースが多いことを、本発明者は実験等により確認している。
尚、上記非定常外乱が生じる原因は、上述したチャンバの扉の開閉に限るものではない。他の例としては、例えば、チャンバに設けられたシャッターの開閉、チャンバに対するワーク(ウェハ、ガラス基板等)の出し入れ、ロボットアームの出し入れ等によっても、上記非定常外乱が生じる。
上記の通り、特許文献1には、規範モデルPmを有する外乱オブサーバ部についても開示されている。また、特許文献1に限らず、従来より、PID制御に関して規範モデルや外乱オブサーバ部を設けること自体は、よく知られているものである。
しかしながら、これは例えば電動機、発電機等を制御対象としているものが多く、上記特許文献1においても押出成形機(そのシリンダ)を制御対象としている。つまり、制御対象がマシン(機械的なもの)である場合である。
一方、上記精密温調システムにおいては、電気的な制御対象はファン、ヒータ、冷却器等であるが、本質的な制御対象はチャンバ内温度であり、空気である。
従来、精密温調システムにおいて、上記規範モデルに相当する制御対象モデルや、外乱オブサーバ部に関して、具体的なモデル化を行った例は、殆ど見当たらない。特に、上記非定常外乱に対して十分効果的な制御が行えるような制御対象モデル、外乱オブサーバ部の具体例は、見当たらない。
本発明の課題は、精密温調システムにおいて、非定常外乱が生じた場合でも温調対象空間の空気温度の変動を最小限に抑えることができる精密温調システム、その制御装置等を提供するものである。
本発明の精密温調システムは、温調対象空間と、該温調対象空間に冷却された空気を供給する供給経路内に設けられる冷却手段と、前記供給経路内に設けられ、前記冷却手段から供給される空気を加熱して前記温調対象空間に送風する加熱手段と、前記冷却手段の第1の制御装置、前記加熱手段の第2の制御装置とを備える精密温調システムを前提とする。
そして、 前記第1、第2の制御装置の少なくともいずれかは、非定常外乱に応じた補償量を生成して操作量に加算させる外乱オブザーバ部を更に備える。
この外乱オブザーバ部は、ノミナルプラントと外乱推定手段を備える。ノミナルプラントは前記温調対象空間、前記冷却手段、前記加熱手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作を模擬する。外乱推定手段は、前記ノミナルプラントから出力される温度と前記冷却手段から供給される空気の温度または前記温調対象空間内の温度との偏差を入力し、該偏差に基づき外乱推定値を生成・出力する。
前記ノミナルプラントは、前記温調対象空間、前記冷却手段、前記加熱手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作をモデル化し、更に該モデルを所定の条件に基づいて簡略化した簡略化モデルを用いて、決定される。
例えば一例としては、ノミナルプラントの模擬動作に係る構造式をP(s)とするならば、外乱推定手段の伝達関数は1/P(s)とする。
また、本発明の他の精密温調システムは、温調対象空間と、該温調対象空間に冷却された空気を供給する供給経路内に設けられる冷却手段と、前記冷却手段の制御装置とを有する精密温調システムであって、前記制御装置は、非定常外乱に応じた補償量を生成して操作量に加算させる外乱オブザーバ部を更に備え、該外乱オブザーバ部は、前記温調対象空間、前記冷却手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作を模擬するノミナ
ルプラントと、前記ノミナルプラントから出力される温度と前記冷却手段から供給される空気の温度または前記温調対象空間内の温度との偏差を入力し、該偏差に基づき外乱推定値を生成・出力する外乱推定手段とを有し、該外乱推定手段による外乱推定値に基づいて前記補償量を決定する。
この様に、上記加熱手段が無い構成において、冷却手段の制御装置に上記構成の外乱オブザーバ部を備える構成としてもよい。
本発明の精密温調システム、その制御装置等によれば、精密温調システムにおいて、非定常外乱が生じた場合でも温調対象空間の空気温度の変動を最小限に抑えることができる。
本例の精密温調システムにおける制御装置の構成図である。 本例の精密温調システムに係る概略構成図(斜視透過図)である。 本例の精密温調システムのシステム構成図である。 (a)は制御装置を制御対象も含めてモデル化したもの、(b)は制御装置の機能を説明する為の図である。 (a)、(b)は、制御対象のモデル化について説明する為の図である。 図5(b)に示すモデルを簡略化した簡略化モデルである。 (a)は冷却器の一般的なモデル、(b)は熱交換係数の値の決定について説明する為の図である。 同定試験結果の一例を示す図である。 (a)は従来、(b)は本手法による外乱発生時の温度変動を示す図である。 (a)は本例の精密温調システムの構成を模式的に示す図、(b)〜(d)は他の例について模式的に示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例の精密温調システムにおける制御装置の構成図である。
この制御装置1は、例えば後述する図2、図3に示す吹き出し口個別加熱器26を制御するものである。制御装置1は、各吹き出し口個別加熱器26毎に対応して設けられる。図2、図3に示す例では、吹き出し口個別加熱器26は3台あるので、制御装置1も3台設けられる。
制御装置1には、従来の構成に加えて、外乱オブザーバ部10が設けられる。
尚、制御装置1は、その実態は例えばCPU等の演算処理プロセッサである。CPU内またはCPU外のメモリには、予め所定のアプリケーションプログラムが格納されている。CPUが、このアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより、以下に説
明する外乱オブザーバ部10の処理機能を実現する。これは、フィードバック制御器(PID)2等の既存の構成に関しても同様である。尚、このアプリケーションプログラム内には、後述各種伝達関数等が予め設定されている。
従来の構成は、フィードバック制御器2等である。まず、この従来構成について簡単に説明しておく。
まず、図示の加算器4には制御対象5から検出される温調制御対象の空間(温調対象空間)の温度yと、目標温度rとが入力される。この温度yは、後述する図3の例では、温度センサTA01〜TA03の何れかによって検出される、クリーンルーム25(チャンバ)内の温度である。尚、後述する図3では、吹き出し口個別加熱器26cを例にしており、以下の説明はこの例に基づくものとする。
よって、この例の場合、上記温度yは温度センサTA03による検出値である。また、目標温度rは、不図示のコントローラから入力される。作業員等がコントローラを操作することで、目標温度rが設定/変更される。
上記加算器4によって、目標温度rと実際の検出温度yとの偏差E(s)=(r−y)が得られる。この偏差E(s)がフィードバック制御器2に入力される。フィードバック制御器2の出力は操作量MV(s)である。
このMV(s)は、以下の(1)式により求められる。尚、以下の(1)式、及び後述する(2)式以降の各式における“s”は、ラプラス演算子である。
尚、上記の通り、フィードバック制御器2自体は既存の構成であり、上記(1)式はよく知られたものであるので、ここでは特に説明しない。
従来では、フィードバック制御器2の出力である操作量MV(s)が、制御対象5に入力され、この操作量MV(s)に応じた動作が行われる。図3に示す例では、この操作量MV(s)がヒータ駆動装置44cに入力される。図3に示すように、制御装置1が直接的に制御する対象である吹き出し口個別加熱器26cは、ヒータ21、ファン22等を有しており、ヒータ駆動装置44cは入力される操作量MV(s)に応じてヒータ21を駆動制御する。尚、実際にはファン22の制御も行われるが、ここではファン22の制御に関しては言及せず、その風量は一定であるものとして説明する。
また、図3に示すように、温調対象空間(本例ではクリーンルーム25)内には温度センサTA03が設けられている。この温度センサTA03はクリーンルーム25内の温度を検出する為のセンサであり、特に吹き出し口個別加熱器26cによって影響を受ける空間(その近辺、例えば真下等の空間)の温度を検出する。この温度センサTA03によって検出される温度データが、上記検出温度yである。
図1に示すように、上記従来構成に対して外乱オブザーバ部10を設けたことにより、制御対象5には、加算器3によって上記操作量MV(s)に外乱オブザーバ部10の出力を加えたものが入力される。外乱オブザーバ部10の出力、すなわち加算ゲイン12からの出力は、図示の外乱推定部11の出力dmに、所定のゲイン(KADD)を乗じたものである。すなわち、
dm×KADD
である。
外乱推定部11には、上記検出温度yとノミナルプラント14の出力yとの偏差(y−y)が入力されて、上記dmが出力される。
外乱推定部11の構造式(伝達関数)を、以下の(2)式に示す。
よって、上記dmは、以下の(3)式で求められる。
また、ノミナルプラント14は、制御対象5を模擬するモデルであり、その伝達関数P(s)は、以下の(4)式で示す通りである。
ここで、外乱オブザーバ部10の構造自体は、図4(a)に示すレベルまで模式化した場合には、従来から知られている一般的な外乱オブザーバの構造と略同様である。図1に示す外乱オブザーバ部10は、この様な一般的な外乱オブザーバの構造に基づいて、更に特に上記外乱推定部11及びノミナルプラント14に関して上述した(2)式、(4)式に示す伝達関数を想到したものである。
一般的な外乱オブザーバの構造は、例えば一例としては、参考文献1(特開2002−108410号公報)に開示されている。外乱オブザーバに関して、図1の構造が参考文献1の図1、図2の構造と異なる点は、加算ゲイン12を設けている点であるが、これは参考文献1においてはゲインKADD=1であるものとしていると考えれば、本構成と参考文献1の構成とは略同様と考えられる。
尚、ゲインKADDの値は、1以下の任意の値であり、設計者等が任意に決めて設定すればよいが、本発明者は、実験・経験等に基づき、ゲインKADD=0.7程度が適切である(良好な制御結果になる)と考える。これは、ゲインKADD=1とした場合、すなわち外乱推定部11の出力dmをそのまま用いた場合、過補償となるからである。これは、ノミナルプラント14にモデル化誤差がある為、外乱推定値であるdmにも誤差を含むからである。また、通常、制御対象5に加わる外乱を推定するまでに時間が掛かるからである。
但し、従来と同様、ゲインKADD=1としてもよい。つまり、加算ゲイン12を省略しても良い。本説明では、説明を簡略化する為に、加算ゲイン12を省略して説明する場合がある。
加算ゲイン12を省略した場合の制御装置1の動作は、まず、制御対象5の入力は、上記フィードバック制御器2の出力である操作量MV(s)に上記外乱推定部11の出力dmが加わったもの(MV(s)+dm)となる。
また、加算器13によって、この“MV(s)+dm”と上記外乱推定部11の出力(外乱推定値)dmとの偏差が得られる。つまり、偏差=MV(s)+dm−dm=MV(s)が得られる。そして、この偏差がノミナルプラント14に入力される。つまり、ノミナルプラント14には、上記フィードバック制御器2の出力である操作量MV(s)が入力される。そして、上記(4)式の伝達関数P(s)により、この操作量MV(s)に応じた上記yが得られる。
上記の通り、外乱オブザーバ部10の基本的な構造(図4(a)に示すレベル)自体は、一般的なものであってよいが、本例の特徴は、外乱推定部11とノミナルプラント14の内容にある。
まず、何らかの制御対象を模擬するノミナルプラント自体は、例えば上記参考文献1に示されるように従来より存在するものである。しかしながら、例えば参考文献1では電動機/発電機に関するモデル化であり、精密温調システムに関して具体的なモデル化が行われた例は見当たらない。本発明者は、後に図5、図6で詳細に説明する通り、制御対象5に関して具体的なモデル化を行い、更に後述するように所定の仮定に基づいてこのモデルを簡略化し、この簡略化モデルに基づいて上記(4)式を決定した。
ここで、本例の制御装置1が直接的に制御するのは、吹き出し口個別加熱器26(本例ではヒータ21)のみである。これは、温調対象空間の一例であるクリーンルーム25(チャンバ)内の温度を検出して、ヒータ21出力の増減/維持を決定・制御しているものである。しかしながら、単純に、ヒータ21出力とクリーンルーム25(チャンバ)内の温度との関係をモデル化すれば済むというわけでない。
クリーンルーム25(チャンバ)内の温度は、単にヒータ21の出力によって決まるものではなく、冷却器28による冷却性能、冷却器28に至る前の外気との混合、クリーンルーム25に対して出入りする熱量等の様々な要素の影響を受けるものであり、更に場合によっては外乱の影響も受けるものである。
よって、図1に示す制御対象5とは、吹き出し口個別加熱器26(ヒータ21)のみを意味するものではなく、図2、図3に示す精密温調システム全体を意味するものとなる。つまり、図1に示す制御対象5とは、吹き出し口個別加熱器26、冷却器28、クリーンルーム25、エアダクト(供給経路)等から成るシステム全体を意味する。そして、制御対象5の動作をモデル化するには、ヒータ21の出力、冷却器28による冷却性能のみな
らず、空気(熱量)の流れ等も考慮する必要がある。
本例のノミナルプラント14は、この様な意味での“制御対象5”の動作を模擬するモデルである。ノミナルプラント14に関しては詳しくは後に説明する。
また、外乱推定部11の上記(2)式で示す伝達関数により、適切な外乱推定を行えるようになった。ここで、本例の最適実施例では、上記(2)式において、
OBS=1/K、 TO1=T
とする。
ここで、上記(2)式における分母の「1+TO2s」は、単なる計測系のノイズ除去等の為のものであり、ここではTO2sを無視して考えるならば、上記最適実施例では上記(2)式は以下の(5)式で表されることになる。
上記の通り、(5)式は、(2)式の分母分子を逆転させたもの、つまり、1/P(s)となる。これによって、適切な外乱推定を行え、適切な出力値(外乱推定値)dmが得られることになる。この様な効果が得られる理論的な説明は、ここでは十分にはできないが、後述するように効果が得られることは実験により確認されている。また、基本的な考え方については、後に図4を参照して詳しく説明する。
以下、図4以降の説明をする前に、制御対象5の具体例について、更に本例の制御装置1が適用される精密温調システム全体について、図2、図3を参照して説明しておく。
図2は、本例の精密温調システムに係る概略構成図(斜視透過図)である。また、図3は、本例の精密温調システムのシステム構成図である。尚、図3においては、図2を平面的に模式化して示している。尚、図3は図2を模式化して平面に表現した関係上、各部位の配置関係を相対的に描画しており、実際の設置位置を表したものでは無い。尚、図2、図3は、制御対象5の構造の具体例の一例である。
図2、図3において、クリーンルーム25は、本システム20によって精密な温度調整を行う対象となる空間(温調対象空間)の一例である。この様な温調対象空間は、クリーンルームに限らないが(チャンバ等と呼ばれるもの全般が対象)、ここではクリーンルームを例にする。
クリーンルーム25内の空気は、図2には示さないが図3に示す吸気ダクト27からエアダクト(供給経路)内に吸引される。
ここで、本構成例においては、「供給経路」は、複数の小部屋(温調空間)30(30a、30b、30c)と、上部空間32と、クリーンルーム上部空間33とを含むものである。これは特に、従来の供給経路は一本道の空間であったのに対して、本例では複数の小部屋(温調空間)30(30a、30b、30c)に区切られている。クリーンルーム25内の空気は、上記吸気ダクト27から図示の小部屋(温調空間)30a(最も下の小部屋)に吸入される。
この小部屋30a内には、冷却器28と送風器(ファン)24が設けられている。また、図2には示していないが(図3には示すが)、小部屋(温調空間)30aには外部空気を吸入する吸気口29が設けられている。上記吸入されたクリーンルーム25内の空気と、吸気口29から流入した外部空気とが混合されて、冷却性能の高い水冷による冷却器2
8によって冷却された後、送風器24により上段の小部屋30bへと送られる。
尚、図3に示す例では、この冷却に関する目標温度(後述するクリーンルーム25内の温度に関する目標温度と区別する為、冷却目標温度と呼ぶものとする)は21.500℃であり、よって小部屋30bへと送られる空気(冷却空気)の温度は、この冷却目標温度近辺となっているはずである。
また、尚、図2では小部屋30a内において、冷却器28と送風器24との間に仕切りが存在するが、(図3に示すように)これは無くてもよい。
小部屋30bへと送られた冷却空気は、更に上段の小部屋30cへ流入し、更にそこから図示の上部空間32に流入し、更にクリーンルーム上部空間33に流入する。図示の通り、クリーンルーム上部空間33には、吹き出し口個別加熱器26がある。クリーンルーム上部空間33に流入した空気は、図示の複数台の吹き出し口個別加熱器26(図示の例では26a、26b、26cの3基)によってそれぞれ加熱される。図3に示す例では、目標温度は23.0℃である。つまり、精密温調システム20は、クリーンルーム25内の温度を、この目標温度(23.0℃)にするように制御する。
上記の通り、クリーンルーム25内の空気は、冷却器8によって一旦冷却された後(冷却目標温度は21.5℃)、各吹き出し口個別加熱器26(26a、26b、26c)でそれぞれ個別に加熱されて目標温度(23.0℃)近辺の温度の空気となって、クリーンルーム25内に流入する。尚、各吹き出し口個別加熱器26は、図3に示すように、ファン22+ヒータ21によって構成される。あるいはファン22+ヒータ21+フィルターによって構成されるものであってもよい。
クリーンルーム上部空間33の空気(吹き出し口個別加熱器26に流入する空気)は、温度変動が少なくなっているので、温度制御が行い易くなっており、高精度の温度制御が可能になる。つまり、冷却器28によって冷却された空気(冷却空気)は、上記2つの小部屋30b,30cや上部空間32を介してクリーンルーム上部空間33に流入する。各小部屋30b,30cや上部空間32において空気が攪拌されるので、温度が略均一となる(温度変動が少なくなる)。
図2に示す例では、各小部屋30間、及び小部屋30c−上部空間32の間には、空気の吸気口/排気口となる吸排気口31(31a、31b、31c)が設けられている。空気は、この吸排気口31を介して、下段の小部屋30から上段の小部屋30(または上部空間32)に流入する。つまり、上流側から下流側へと流れる(大きな流れとしては、図示の矢印Aで示す方向に流れる)。つまり、小部屋30aにおける上記冷却空気は、図示の吸排気口31aを介して、その上段の小部屋30bに流入する。同様に、小部屋30bの空気は、図示の吸排気口31bを介して、その上段の小部屋30cに流入する。同様に、小部屋30cの空気は、図示の吸排気口31cを介して、その上段の上部空間32に流入する。そして、更に、上部空間32の空気がクリーンルーム上部空間33に流入する。
ここで、各吸排気口31は、空気の流れがジグザグ(非直線的で、比較的長い距離の空気の流れを形成)になるように配置することが望ましい。また、各小部屋30(温調空間)に設けられる吸排気口31は、少なくとも、各温調空間内での空気の流れる距離が最短とはならないような位置に設けられる。例えば、各温調空間内での空気の流れる距離、つまり各温調空間における2つの吸排気口間の距離が、出来るだけ長くなるようにすることが望ましい。つまり、例えば、小部屋30cを例にすると、吸排気口31bが図示のように部屋の一方に設けられていると、吸排気口31cは図示のように反対側に設けられている。
このようにすることで、エアダクト(供給経路)が1本道である場合に比べると、空気の流れる方向に対して障害となるものが多いことから、空気は障害となるもの(小部屋30の天井や側壁等)に突き当たり方向を変えることで攪拌されるようになる。これにより空気温度の均一化を図れる。更に、コンパクトな構成であっても空気が流れる距離を長くすることができ、これによっても空気温度の均一化を図れる。この様に、空気が流れる距離だけでなく攪拌されることによって、空気が混ざり合い、空気温度が均一になる効果が大きくなる。尚、図2に示す矢印Aは大きな流れとして空気の流れる方向(攪拌、ジグザグ等を無視したもの)を示すものである。
上記制御装置1は、図2には示していないが、図3に示すように、吹き出し口個別加熱器26を制御するものである。上記の通り、ここでは、3台の吹き出し口個別加熱器26のうちの一台(吹き出し口個別加熱器26c)を例にして説明するものとする。この例において、吹き出し口個別加熱器26cに対応する制御装置1cは、上記フィードバック制御器2、加算器4、加算器3、外乱オブザーバ部10に相当する、PID2c、加算器4c、加算器3c、外乱オブザーバ部10cを備える。また、ヒータ駆動装置44cは、図上では吹き出し口個別加熱器26cの外に示しているが、吹き出し口個別加熱器26cに含まれる構成と考えて良い。
PID2cには、加算器4cから上記偏差E(s)=(r−y)が入力される。ここでは、r=23.0℃であり、yは温度センサTA03によって検出される温度である。温度センサTA03は、クリーンルーム25内の温度を検出する為のセンサであり、特にクリーンルーム25内において吹き出し口個別加熱器26cが対応する領域(例えば吹き出し口個別加熱器26cの真下の空間)の温度を検出するセンサである。
温度センサTA03によって検出される温度yは、外乱オブザーバ部10cにも入力される。そして、加算器3によって、PID2cの出力(操作量MV(s))に外乱オブザーバ部10cからの出力(dm×KADD;但し、上記の通り、ここではKADD=1とするので、dm)が加算される。そして、この加算結果(MV(s)+dm)が、ヒータ駆動装置44cに入力されると共に、外乱オブザーバ部10cにも入力される。
ここで、図2、図3に示すように、クリーンルーム25には扉23が設けられている。例えば、作業員等が、この扉23から出入りする。上記“外乱”とは、例えばこの扉23の開閉によって生じる、クリーンルーム25内の温度上昇(または温度低下)である。外乱オブザーバ部10cは、この外乱による影響に応じた補償を行うものである。
尚、図3では比較の為、吹き出し口個別加熱器26a、26bに対応する制御装置については、従来の構成を示しているが、実際にはこれらの制御装置も上記制御装置1cと同様に図1に示す構成となっている。図示の通り、従来の構成では、PID2a、2bからの出力(操作量MV(s))が、そのままヒータ駆動装置44a、44bに入力される。
尚、図3には、冷却器28を制御する為の構成を概略的に示しているが(加算器41、PID42、ヒータ駆動装置43、温度センサTA06、FS1、FS2、H1等)、冷却器28及びその制御方法自体は、従来と略同様であってよいので、特に説明しない。
以下、上記図1に示す制御装置1の動作について、図4も参照して説明する。
まず、既に述べた通り、外乱オブザーバ部10を設けた構成(図4(a)に示すレベル)自体は、従来の一般的な構成であり、その動作は例えば上記参考文献1に示されている通りである。つまり、例えば、参考文献1における数式1、数式2、数式3に示される通りである。違いとしては、加算ゲイン12があることだが、上述してある通り、参考文献1ではKADD=1であるものとしていると見做せば、略同様と考えてよい。但し、これ
について一応、図4(a)を用いて説明しておく。
図4(a)は、上記図1に示す制御装置1を、制御対象5も含めてモデル化したものである。制御対象5に対する外乱の影響は、参考文献1における図2の場合と同様に、制御対象5への入力を、外乱dを差し引いたものとする。つまり、KADD=1とした場合には、図示の加算器6によってu+dm−dが得られて、これが制御対象5の入力となる。
また、図4(a)では、簡略化の為、上記PID2の伝達関数すなわち上記(1)式においてE(s)に乗じる部分を“C”とし、上記外乱推定部11の伝達関数すなわち上記(2)式を“P”としている。また、MV(s)は“u”とし、P(s)はPとしている。これより、例えば、制御対象5への入力は、“u+KADD・dm−d”となる。
図4(a)に示すモデルに基づいて、d→yの伝達特性を求める。
まず、図4(a)に示すモデルより以下の(a)式、(b)式、(c)式が得られる。
(a);(y−y)・P=dm
(b);(dm・KADD+u−d)・P=y
(c);(−dm+dm・KADD+u)P=y
ここで、上記参考文献1における数式2は、yをy=y+yの形で示したものである。つまり、yに関しては、操作量uによる影響と、外乱dによる影響とがある。よって、例えば、y=k×u、y=k×d(k、k;係数)と表すこともできる。ここでは、yについてのみ説明すると、上記(a)式、(b)式、(c)式を展開してyに関する以下の(6)式が得られるものである
尚、yを求める場合は、上記(a)式、(b)式、(c)式においてuが無いものとしてyの算出式を求める。同様にして、yを求める場合は、上記(a)式、(b)式、(c)式においてdが無いものとしてyの算出式を求める。
(a)→(b)
{(y−y)・P・KADD−d}・P=y ・・・(b)’
(a)→(c)
{(y−y)・P(KADD−1)})P=y
→(y−y)(KADD−1)・P=y ・・・(c)’
(b)’より
(y−y)・P・KADD=(y/P)+d ・・・(b)’’
(b)’’→(c)’より以下の(6)式が得られる。
y={P(1−KADD+P
/(KADD−P−1−PKADD)}×d ・・・(6)式
上記(6)式におけるyが上記yに相当することになる。
よって、ここで上記(6)式においてKADD=1とすると、以下の(6)’式が得られる。
={P(1−P+P
/(P−P−1−PP)}×d
=(P/−1−PP)}×d
={−P/(1+PP)}×d (6)’式
(−P/(1+PP)=k
上記参考文献1の数式2におけるy(第2項)は“−(P/(1+PL))”であり、PはLに相当するものと考えてよいので(同じではなく、内容は異なるが)、従って上記(6)’式は、上記参考文献1の数式2におけるy(第2項)と同じと考えてよい
については特に説明しないが、同様であり、KADD=1とすると、上記参考文献1の数式2における第1項と同じとなる。
この様に、加算ゲイン12があっても、従来と略同様の動作となると考えてよい。
そして、本例の制御装置1では、上述してある通り、精密温調システムに関して制御対象5の具体的なモデル化が行われ、且つ特に上記最適実施例のように外乱推定部11の伝達関数をこのモデル(ノミナルプラント14)に応じたものとすることにより、適切な外乱補償が行われることになる。これについて、図4(b)を参照して説明する。尚、ここではKADD=1として説明する。
図4(b)には、その一段目にd、2段目にy、三段目にy、4段目に“y−y”、dmの具体例を示す。
まず、1段目に示すように、あるタイミングで外乱が生じ、dが変化したとする(例えば0→1)。これは、例えば、上記扉23が空けられたものとする。また、ここでは、クリーンルーム25内の温度は、外部温度よりも高いものとする。この場合、yの値、すなわちクリーンルーム25内の温度は、低下していくことになるが、これは2段目に示す通り、上記ノミナルプラント14の伝達関数((4)式)に従った温度変化となるはずである。すなわち、
=K/(1+Ts)
に従った温度変化となる。尚、この2段目の温度変化は、外乱オブザーバ部10による補償が行われなかった場合を示すものであり、外乱オブザーバ部10による補償が行われた場合、この温度変化は非常に小さいものとなる。
一方、ノミナルプラント14の出力yは、外乱の影響を受けるわけではないので、例えばuの値が変化しないとするならば3段目に示すように出力yの値は変化しないものとなる。従って、4段目に示す通り、外乱推定部11の入力となる“y−y”は、上記yの変化を示すものとなる。つまり、温調対象空間の温度に関する外乱による影響度を示すものとなる。
ここで、上記最適実施例の場合、外乱推定部11の伝達関数Pは、
=(1+Ts)/K
となる。つまり、上記ノミナルプラント14の伝達関数((4)式)の逆となる。
よって、“y−y”に対するdmは、上記dに対するyの場合の逆となる。つまり、5段目に示す通り、dに相当するものとなる。このdmがPID2の出力uに加わることで、図4(a)に示すモデルにおける制御対象5への入力“u+dm−d”は、ほぼ“u”となり、理屈のうえではuが変化しないならばyも変化しないものとなる(実際には外乱の影響を完全に除外することはできない)。
本発明者は、実際に本例の制御装置1を作成し、実験によりその効果を確認している。すなわち、図9(a)、(b)に示す通り、外乱オブザーバ部10による補償が無い従来構成に比べて、外乱による影響(クリーンルーム25内の温度変動)を少なくできることが確認されている。
この実験では、扉23を60秒間開いている。従来の制御では、図9(a)に示す通り、最大で0.024℃の温度低下が生じる。一方、本例の制御では、図9(b)に示す通り、最大で0.009℃の温度変化で済む。尚、本実験によって、KADD=0.7程度とした場合が最も効果が高いことが確認されている。
尚、本実験においては、上記ノミナルプラント14の伝達関数((4)式)及び外乱推定部11の伝達関数PにおけるT、Kの値を、予め他の実験に基づいて決定した値としている。これについては後に図8を参照して説明する。
以下、図5、図6を参照して、上記ノミナルプラント14の伝達関数((4)式)を、どの様にして決定したのかについて説明する。
まず、本例の制御装置1は、ヒータ21の出力を制御するものであるが、制御対象のモデル化は図2、図3に示すシステム20全体に対して行う必要がある。
尚、図2、図3の構成は、一例を示しただけであり、この例に限らない。図2、図3の構成では、エアダクト(供給経路)を複数の小部屋(温調空間)30(30a、30b、30c)に区切ることで、上述した効果が得られるものである。しかし、本手法の適用対象は、この例に限らず、特に図示しないがエアダクト(供給経路)の構成を従来通り1本道(単なる通路)としてもよい。
図5(a)に、図2、図3に示す構成全体(制御対象5)の簡略モデルを示す。
この簡略モデルでは、まず、温調対象空間であるクリーンルーム25内の総熱量をQ1とし、この総熱量Q1に応じた室内温度をt1とする。上記温度センサTA03で検出される温度はt1となる。また、吹き出し口個別加熱器26によってクリーンルーム25内に流入する熱量をq0(空気温度をt0)とし、吸気ダクト27からクリーンルーム25外に流出する(エアダクト(供給経路)内に流入する)熱量をq1とする。また、ファン22の風量をFaとする。これに応じて、吸気ダクト27からの流出空気の風量もFaと見做す。また、扉23が空けられたことによる温度変化(外乱)をtdとする。また、吸気口29から流入する外部空気の温度をtOAとする。
上記熱量q1の空気と上記温度tOAとの外部空気とが所定の割合(ここでは「r:1−r」(r;0以上1未満の値(一例としては0〜0.3程度))とする)で混合されて、冷却器28で冷却される。冷却器28で冷却後の空気の熱量をq2とする。この空気が吹き出し口個別加熱器26(ヒータ21)によって加熱されて、クリーンルーム25内に流入する。
上記簡略モデルにおいて、まず、上記Q1は以下の(7)式で表される。つまり、熱量q1と熱量q0との差分の積分として表される。
また、ここで、2つの「空気温度−熱量変換係数」ka、kvを定義する。
これは、
ファン風量;Fa[m/s]、空気密度;ρ[kg/m]、比熱;c[J/kg・K]、装置容積;V[m
とすると(尚、Vは、クリーンルーム25(チャンバ)の容積である)
ka=Fa×ρ×c[J/s・K]
kv=V×ρ×c[J/K]
となるものである。
これら「空気温度−熱量変換係数」を用いて上記q0、t1、q1を表すと以下の通り
となる。尚、熱量は[W]、温度は[℃]である。
q0=ka×t0
t1=Q1/kv
q1=ka×t1
図5(a)に示した簡略モデルを、上記「空気温度−熱量変換係数」を用いて表したモデルが、図5(b)である。
尚、図5(b)ではファン22の回転に伴って発生する熱量qも考慮している。熱量qは、ファンのモータ回転によって発生する熱量や、空気を押し出すことによる摩擦によって発生する熱量等である。
まず、上記の通り冷却器28で冷却後の空気の熱量はq2であり、図5(b)に示すように、吹き出し口個別加熱器26おいて上記熱量qと、ヒータ21による熱量u[W]とがこの熱量q2に加わることで、熱量q0がチャンバ内に入る。
図5(b)において点線が囲った部分が、チャンバ内での熱の流入・流出のモデルであり、このモデルの出力はチャンバから流出する熱量q1である。この熱量q1はフィードバックされて、「q0−q1」が得られる。この「q0−q1」を積分することで、チャンバ内の総熱量Q1が得られる。
この総熱量Q1を上記「空気温度−熱量変換係数」kvによって空気温度に換算する。すなわち、t=Q×(1/kv)を演算する。この空気温度tに上記外乱tdを加える(但し、ここではtdはマイナスであるものとする)ことで、上記t1が得られる。すなわち、チャンバ内の空気温度t1が得られる。この空気温度t1と上記「空気温度−熱量変換係数」kaとにより、チャンバから流出する熱量(上記q1)を求める。このq1は上記の通りフィードバックして「q0−q1」が得られる。
上記の通り「チャンバ内での熱の流入・流出のモデル」の出力はq1であり、その図上右側のモデルはエアダクト(供給経路)のモデルである。まず、上記熱量q1を上記「空気温度−熱量変換係数」kaを用いて空気温度に換算する{t3=q1×(1/ka)}。上記の通り、この温度t3の空気と、温度tOAの外部空気とが所定の比率で混合するので、図示の通り、「t4={t3×(1−r)}+(tOA×r)」(r;例えば0.3程度)により混合空気の温度t4を求める。この空気温度t4を上記「空気温度−熱量変換係数」kaを用いて熱量に換算したうえで、冷却器モデルに入力し、冷却器モデルから熱量q2が出力される。
ここで、以下の(1)〜(3)の仮定により、図5(b)のモデルを簡略化する。
<仮定>
(1)ファン熱量qは変化しない。あるいはその変化に伴う温調対象空間内の温度への影響が、非定常外乱による影響に比して十分に小さい。これはファンの風量が変化しないことを意味する。
(2)外気温度tOAが変化しない。或いは、制御の対象時間内での温度変化が、非定常外乱による影響に比して十分に小さい(無視できるほど小さい)。
(3)冷却器における冷水コイルの冷水温度は変化しない。あるいは温調対象空間内の温度への影響が、非定常外乱による影響に比して十分に小さい。
上記仮定の元では、図5(b)のモデルは、図6に示す簡略モデルとすることができる。
まず、上記仮定(1)と(2)とにより、図5(b)のモデルにおけるファン熱量q
、及び外気温度tOAに係る部分は省略できる。また、「チャンバ内での熱の流入・流出のモデル」自体は、図5(b)と同じである。また、上記仮定(1)、(3)により、冷却器(その冷水コイル)は図6に示すようにモデル化できる。
図6に示す簡略化モデルでは、チャンバ内に流入する熱量q0は、q0=q2+uとなる。また、「チャンバ内での熱の流入・流出のモデル」の出力である熱量q1は、上記図5(b)と同様にフィードバックされて「q0−q1」を得る。
ここで、図示の冷却器(冷水コイル)には、上記熱量q1と、t1(熱量q1に換算する前)とが入力され、図示の通りその出力q2は、以下の通りとなる。
q2=q1−(t1・kf)
(ここで、kfは、t1と熱交換量の関係をt1の廻りで線形近似した係数であり、単位は、[W/K]である。以降の説明では、本係数を熱交換係数とする。)
ここで、図7を参照して、冷却器の簡略モデル化について説明する。
まず、図7(a)には冷却器の一般的な概略構成図を示す。
この概略構成では、冷却器の冷水コイルをメインに示す(他の構成は省略する)。温度taの空気(熱量q1)が風量Faで冷水コイルに流入し、熱量q2の空気(風速は変わらずFa)となって流出する。冷水コイルには、水速Fwで冷却水が流入・流出している。冷水コイルに流入する直前の冷却水の温度をtwa、冷水コイルから流出した直後の冷却水温度をtw1とする。尚、冷却器には、当然、冷却水を生成・送出する構成も存在するが、ここでは省略する。
この冷却コイルにおける熱交換量をqexとすると、
q2=q1−qex
となる。
ここで、冷水コイルにおける熱交換量qexは、以下の式により求められる。
qex=kf×(ta−twa)
ここで、上記仮定(3)により冷水温度twaは変化しないので、冷水温度twaは省略し(0と見做し)、上記の式は以下の通りとなる。
qex=kf×ta
よって、q2=q1−kf×ta
となる。
上記図5、図6の例ではta=t1であるので、
q2=q1−kf×t1
となる。これをモデル化したものが、図6に示す冷水コイルのモデルである。
ここで、熱交換係数kfの値は、図7(b)に示す特性図のように、風量Faと水速Fw,及び冷水コイルの構造により決まるものである。よって、風量Faと水速Fwとを一定とし、予めその値を決めておけば、これに対応する熱交換係数kfの値が得られる。図示の例では、風量Fa=40、水速Fwは図示の「水速1」とし、これに対応する熱交換係数kfの値は360であるものとする。これより、本説明においては、熱交換係数kf=360[W/K]であるものとして説明する。
この様な図6に示す簡略化モデルを用いて、以下に述べるように「u→t1」の導出を行う。但し、外乱tdは無いものとする(上記の通り、ノミナルプラント14自体は外乱の影響を受けるわけではない)。
まず、図6を参照すれば、以下の(d)式、(e)式、(f)式が得られることは明らかである。
(u+q2−q1)・(1/kv・s)=t1 ・・・(d)式
q1=t1・ka ・・・(e)式
q1−(t1・kf)=q2 ・・・(f)式
そして、(f)式に(e)式を代入すれば、以下の(f)’式が得られる。
(t1・ka)−(t1・kf)=q2 ・・・(f)’式
次に、上記(e)式、(f)’式を(d)式に代入して以下の通り展開すれば、「u→t1」の導出式が得られる。
(u+t1・ka−t1・kf−t1・ka)・(1/kv・s)=t1
(u−t1・kf)・(1/kv・s)=t1
u=t1・kv・s+t1・kf=t1(kv・s+kf) (g)式
上記(g)式より以下の(8)式が得られる。
上記(8)式において、kv/kf=To、1/kf=Kpとおくと、以下の(9)式となる。
上記(9)式は(4)式と同じである。つまり、上述したようにして、ノミナルプラント14の伝達関数P(s)が決定される。 また、上記の通り、KOBS=1/Kpであるので、KOBS=kfとなる。
また、上記To、Kpの具体的一例(実際に実験した装置の例)は、以下の通りである。
本例では、装置容積V=6mである。また、kf=360[W/K]に設定した。
これは、単位を変えると、kf=360[W/K]≒0.4[W/0.001℃]となる。
よって、まず、Kp=1/kf=1/0.4=2.5[0.001℃/W]となる。
また、空気密度ρ=1.203[kg/m]、比熱c=1.006[kJ/kg・K]とすると、
kv=6×1.203×1.006×10=7261[J/K]
となる。よって、
To=kv/kf=7261×360≒20[sec]
となる。
よって、この具体例では、ノミナルプラント14の伝達関数P(s)は、以下の(10)式となる。
但し、本発明者は、他の実験装置による実験も行っている。以下の説明は、他の実験について述べるものである。
ここで、図8に、実験結果の一例を示す。
図8に示すグラフは、例えば図2、図3に示す構成において、以下のような同定試験(ヒータ発熱特性)を行い、市販の一般的な同定ツールを用いて表示させたものである。
同定試験概略;本試験は、各吹き出し口個別加熱器26おけるヒータ21の出力を、10%、20%、30%の3段階に変化させ、それぞれの出力時における温度センサTA01,TA02,TA03(制御点温度)の温度変化を求めたものである。
より具体的な試験内容は以下の通りである。
<収集条件>
冷水コイル;自動(SV値;通常運用値)
ファン22;運転(運用定格)
ヒータ21;手動(出力初期値;0、以後、10%、20%、30%と段階的に変化)
内部負荷 ;0W
<収集方法>
操作端入力部温度、制御点温度の両方が整定した後、10分後までデータ収集を継続する。
最初は、ヒータ21の出力を10%とし、上記の通りデータ収集する。
次に、ヒータ21の出力を20%とし、上記の通りデータ収集する。最後に、ヒータ21の出力を30%とし、上記の通りデータ収集する。
図8に示す各波形は、以下の通りである。
PV ;制御点温度
Ident01 ;同定波形(推定したプラントモデルのPV波形)
SV ;目標温度
MV ;操作量(ヒータ21の出力量)
図8に示すデータに基づいて、上記市販の同定ツールを用いてパラメータを決定する。
その結果、以下の伝達関数G1(s)が得られた。
つまり、時定数T=20[sec]、ゲインK=0.8となる。
ここで、むだ時間Lは、時定数Tに比べて十分に小さいので、オブザーバとしては無視する。
よって、上記伝達関数G1(s)は、
G1(s)=0.8/(20s+1)
と見做すことができる。
尚、時定数とは、最終値の63.2%に達する時間のことをいう。また、むだ時間とは、入力信号が送れて伝わるときの遅れ時間のことをいう。
外乱推定部11及びノミナルプラント14の伝達関数の具体的な数値に関しては、例えば実験に基づいて決定すればよい。
例えば、図8の例では、上記の通り実験結果によって得られる伝達関数G1(s)におけるゲインK=0.8、時定数T=20であるので、これをそのままノミナルプラント14の伝達関数の具体的な数値とすればよい。すなわち、ノミナルプラント14の伝達関数P(s)におけるゲインKp=0.8、時定数To=20とすればよい。
また、外乱推定部11に関しては、その伝達関数におけるオブザーバゲインKOBS=1/Kpであるので、KOBS=1/0.8=1.25とすればよい。また、既に述べた通り、上記(2)式におけるTo1は、上記Toと同じとするので、To1=20とすればよい。また、上記(2)式におけるTo2に関しては、上記の通りノイズ除去等の為のものであるので、本発明者は自己が適切と思う任意の値(ここでは1sec)を設定した。
これより、本具体例では上記(2)式は以下の通りとなる。
上記の通り、(2)式、(4)式について具体的なパラメータを設定し、また上記の通りKADD=0.7を設定したうえで実際に実機により実験した結果が、(既に述べた通り)図9(b)に示すものである。これについては既に述べてあるので、ここでは特に説明しない。
尚、本説明における上記「外乱」とは、特に既に課題で述べた「非定常外乱」のことであり、既に課題で述べたように、この様な非定常外乱が生じる原因としては、上述した扉23の開閉に限るものではなく、他にも例えば、チャンバに設けられたシャッターの開閉、チャンバに対するワーク(ウェハ、ガラス基板等)の出し入れ、ロボットアームの出し入れ等によっても、上記非定常外乱が生じる。
つまり、「非定常外乱」が生じる要因の1つは、扉やシャッターの開閉等によってチャンバ(温調対象空間)に対して一時的に外気が流入することである。また、「非定常外乱」が生じる要因は、他にも、例えば、ウェハ、機材、人間等がチャンバ内に入ることにより、これらが中長期的な発熱源となることである。つまり、チャンバ等の温調対象空間内に、外部から、外気、人間等の何らかの温度変化要因が進入することによって、「非定常外乱」が生じる。
但し、「非定常外乱」が生じる要因は、上述した「温調対象空間に対して外部から温度変化要因が進入すること」に限るものではなく、例えば内部負荷の変動(装置の運転/停止等)等も「非定常外乱」が生じる原因となる。
本例の外乱オブザーバは、この様な非定常外乱に対応するものであり、非定常外乱の影響(制御点温度の変動、すなわちチャンバ内の温度変動)を最小限に抑えることができる。
尚、上述した説明は、一例を示したものであり、この例に限るものではない。
例えば、図10(a)には上述した一例の精密温調システムの構成を模式的に示したものである。図10(a)に示すように、上述した一例の精密温調システムは、「冷却器+加熱装置(OBS機能)」の構成であると言える。すなわち、温調対象空間の一例であるクリーンルーム25(図10では温調対象空間25と記す)からの空気を、一旦冷却器28で冷却した後に吹き出し口個別加熱器26で加熱する構成において、加熱装置26’に本手法によるOBS機能を適用したものである。すなわち、例えば図1に示す外乱オブザーバ部10を追加したものである。
尚、図10(a)〜(d)に示す加熱装置26’は、例えば図3等の例では吹き出し口個別加熱器26とその制御装置(図3に示す1cやヒータ駆動装置44c等)を意味する。同様に、図示の冷却器28’は、例えば冷却器28とその制御装置(図3に示す加算器41、PID42、ヒータ駆動装置43等)を意味する。何れの場合も、実際には制御装置に対して本手法によるOBS機能を適用するものとなる。
本発明の精密温調システムは、上記の通り、図10(a)の様な構成例に限らず、例えば図10(b)、(c)、(d)に示す構成としてもよい。
図10(b)は「冷却器(OBS機能)」の構成である。図10(c)は「冷却器(OBS機能)+加熱装置」の構成である。図10(d)は「冷却器(OBS機能)+加熱装置(OBS機能)」の構成である。この様に、本手法によるOBS機能は、加熱装置26’のみに適用する例に限らず、冷却器28’のみに適用してもよいし、あるいは加熱装置26’と冷却器28’の両方に適用してもよい。また、前提とする構成も、「冷却器+加熱装置」だけでなく、「冷却器のみ」としてもよく、この場合に上記図10(b)のように冷却器28’に本手法によるOBS機能を適用してもよい。
本手法によるOBS機能を冷却器28’に適用する場合には、例えば図3に示す加算器41、PID42、ヒータ駆動装置43から成る制御装置に対して、本手法によるOBS機能を適用(例えば図1に示す外乱オブザーバ部10を追加)すればよい。
但し、図10(b)の構成では、冷却器28による冷却空気がそのまま温調対象空間25に流入するので、上記加算器41に入力する目標温度rは、温調対象空間25の目標温度(図3の例では23.0℃)等としてもよい。また、この場合、加算器41に入力する検出温度yは、図3に示すように小部屋(温調空間)30aに設けられた温度センサTA06(冷却空気の温度を検出するセンサ)による検出結果を用いても良いし、例えば温調対象空間25に設けられた温度センサTA03等を用いても良い。あるいは、図3には示していないが、温調対象空間25に流入する直前の空気温度を検出する温度センサを設けて、その検出データを加算器41に入力する検出温度yとしてもよい。
また、図10(c)に示す構成においては、加算器41に入力する検出温度yは、上記温度センサTA06を用いてもよい。あるいは、図3には示していないが、吹き出し口個別加熱器26に対する吹き込み側の空気温度(クリーンルーム上部空間33の空気温度)を検出する温度センサを新たに設けて、この温度センサによる検出結果を、加算器41に入力する検出温度yとしてもよい。
あるいは、図10(c)に示す構成において、加算器41に入力する検出温度yは、上記温度センサTA03等を用いてもよい。但し、この場合には、加算器41による偏差(
r−y)には、加熱装置26’による変化分α(温度上昇)が含まれることになる。つまり、図3の例では、変化分α=1.5℃程度となり、検出温度yは23℃程度となる。よって、この場合には、例えば、上記加算器41に入力する目標温度rは、21.5℃ではなく、23.0℃等とする。
1 制御装置
2 フィードバック制御器(PID)
3 加算器
4 加算器
5 制御対象
10 外乱オブザーバ部
11 外乱推定部
12 加算ゲイン
13 加算器
14 ノミナルプラント
20 精密温調システム
21 ヒータ
22 ファン
23 扉
24 送風器(ファン)
25 クリーンルーム
26 吹き出し口個別加熱器
27 吸気ダクト
28 冷却器
29 吸気口
30 小部屋
31 吸排気口
32 上部空間
33 クリーンルーム上部空間
41 加算器
42 PID
43 ヒータ駆動装置
44 ヒータ駆動装置

Claims (9)

  1. 温調対象空間と、
    該温調対象空間に冷却された空気を供給する供給経路内に設けられる冷却手段と、
    前記供給経路内に設けられ、前記冷却手段から供給される空気を加熱して前記温調対象空間に送風する加熱手段と、
    前記冷却手段の第1の制御装置、前記加熱手段の第2の制御装置とを有する精密温調システムであって、
    前記第1、第2の制御装置の少なくともいずれかは、
    非定常外乱に応じた補償量を生成して操作量に加算させる外乱オブザーバ部を更に備え、
    該外乱オブザーバ部は、
    前記温調対象空間、前記冷却手段、前記加熱手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作を模擬するノミナルプラントと、
    前記ノミナルプラントから出力される温度と前記冷却手段から供給される空気の温度または前記温調対象空間内の温度との偏差を入力し、
    該偏差に基づき外乱推定値を生成・出力する外乱推定手段とを有し、
    該外乱推定手段による外乱推定値に基づいて前記補償量を決定すること
    を特徴とする精密温調システム。
  2. 前記ノミナルプラントは、
    前記温調対象空間、前記冷却手段、前記加熱手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作をモデル化し、更に該モデルを所定の条件に基づいて簡略化した簡略化モデルを用いて、決定されることを特徴とする請求項1記載の精密温調システム。
  3. 温調対象空間と、
    該温調対象空間に冷却された空気を供給する供給経路内に設けられる冷却手段と、
    前記冷却手段の制御装置とを有する精密温調システムであって、
    前記制御装置は、
    非定常外乱に応じた補償量を生成して操作量に加算させる外乱オブザーバ部を更に備え、
    該外乱オブザーバ部は、
    前記温調対象空間、前記冷却手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作を模擬するノミナルプラントと、
    前記ノミナルプラントから出力される温度と前記冷却手段から供給される空気の温度または前記温調対象空間内の温度との偏差を入力し、
    該偏差に基づき外乱推定値を生成・出力する外乱推定手段とを有し、
    該外乱推定手段による外乱推定値に基づいて前記補償量を決定すること
    を特徴とする精密温調システム。
  4. 前記ノミナルプラントは、
    前記温調対象空間、前記冷却手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作をモデル化し、
    更に該モデルを所定の条件に基づいて簡略化したモデルを用いて、決定されることを特徴とする請求項3記載の精密温調システム。
  5. 前記温調対象空間から前記供給経路内に流入する空気と外部空気とが混合されてから前記冷却手段によって冷却される構成の場合、
    前記所定の条件は、
    ・前記加熱手段又は冷却手段による送風の風量が変化しないか、あるいはその変化に伴
    う温調対象空間内の温度への影響が、前記非定常外乱による影響に比して十分に小さいこと
    ・前記外部空気の温度変化がないか、あるいはその変化に伴う温調対象空間内の温度への影響が、前記非定常外乱による影響に比して十分に小さいこと
    ・前記冷却手段における冷却能力が変化しないか、あるいは温調対象空間内の温度への影響が、前記非定常外乱による影響に比して十分に小さいこと
    であることを特徴とする請求項2または4記載の精密温調システム。
  6. 前記ノミナルプラントは、以下の通りであり、
    前記外乱推定手段の伝達関数は、1/P(s)であること
    を特徴とする請求項2または4記載の精密温調システム。
  7. 前記非定常外乱は、
    前記温調対象空間に対して外部から温度変化要因が進入することによって生じる、前記温調対象空間内の温度変化であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか一項に記載の精密温調システム。
  8. 温調対象空間と、
    該温調対象空間に冷却された空気を供給する供給経路内に設けられる冷却手段と、
    前記供給経路内に設けられ、前記冷却手段から供給される空気を加熱して前記温調対象空間に送風する加熱手段とを有する精密温調システムにおける前記冷却手段の制御装置または前記加熱手段の制御装置であって、
    前記制御装置は、
    非定常外乱に応じた補償量を生成して操作量に加算させる外乱オブザーバ部を更に備え、
    該外乱オブザーバ部は、
    前記温調対象空間、前記冷却手段、前記加熱手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作を模擬するノミナルプラントと、
    前記ノミナルプラントから出力される温度と前記冷却手段から供給される空気の温度または前記温調対象空間内の温度との偏差を入力し、
    該偏差に基づき外乱推定値を生成・出力する外乱推定手段とを有し、
    該外乱推定手段による外乱推定値に基づいて前記補償量を決定すること
    を特徴とする精密温調システムの制御装置。
  9. 温調対象空間と、
    該温調対象空間に冷却された空気を供給する供給経路内に設けられる冷却手段を有する精密温調システムにおける前記冷却手段の制御装置であって、
    前記制御装置は、
    非定常外乱に応じた補償量を生成して操作量に加算させる外乱オブザーバ部を更に備え、
    該外乱オブザーバ部は、
    前記温調対象空間、前記冷却手段、及び前記供給経路を含むシステム全体に関する動作を模擬するノミナルプラントと、
    前記ノミナルプラントから出力される温度と前記冷却手段から供給される空気の温度または前記温調対象空間内の温度との偏差を入力し、
    該偏差に基づき外乱推定値を生成・出力する外乱推定手段とを有し、
    該外乱推定手段による外乱推定値に基づいて前記補償量を決定すること
    を特徴とする精密温調システムの制御装置。
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