JP2010270973A - 吸着熱交換器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に吸着と吸収を行う吸着剤を含有する吸着層が形成された吸着熱交換器において、充分な吸放湿能力を確実に得る。
【解決手段】調製工程では、原料粉末とバインダを溶媒と混ぜ合わせることで原料液(35)が調製される。原料粉末は、平均粒径が約50μmの粒子状の吸着剤によって構成される。原料粉末を構成する吸着剤は、親水基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋することによって三次元構造を形成しているものであって、吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収の両方を行う。浸漬工程では、フィン・アンド・チューブ熱交換器である熱交換器本体(25)が原料液(35)に浸される。原料液(35)は、熱交換器本体(25)に設けられたフィンの間に入り込み、フィンの表面に付着する。乾燥工程では、熱交換器本体(25)に付着した原料液(35)中の溶媒が蒸発し、熱交換器本体(25)の表面に吸着層が形成される。
【選択図】図5
【解決手段】調製工程では、原料粉末とバインダを溶媒と混ぜ合わせることで原料液(35)が調製される。原料粉末は、平均粒径が約50μmの粒子状の吸着剤によって構成される。原料粉末を構成する吸着剤は、親水基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋することによって三次元構造を形成しているものであって、吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収の両方を行う。浸漬工程では、フィン・アンド・チューブ熱交換器である熱交換器本体(25)が原料液(35)に浸される。原料液(35)は、熱交換器本体(25)に設けられたフィンの間に入り込み、フィンの表面に付着する。乾燥工程では、熱交換器本体(25)に付着した原料液(35)中の溶媒が蒸発し、熱交換器本体(25)の表面に吸着層が形成される。
【選択図】図5
Description
本発明は、吸着剤を含有する吸着層が表面に形成された吸着熱交換器と、その製造方法に関するものである。
従来より、冷媒等の熱媒体と空気を熱交換させる熱交換器本体と、その表面に形成された吸着層とを備えた吸着熱交換器が知られている。この種の吸着熱交換器は、例えば特許文献1〜3に開示されている。また、特許文献4には、この種の吸着熱交換器を用いて空気の湿度調節を行う調湿装置が開示されている。
吸着熱交換器の吸着層には、空気からの吸湿と空気への放湿とを行う吸着剤が含有されている。この吸着剤としては、シリカゲルやゼオライト等の無機材料や、吸湿性を有する有機材料などが用いられる。特許文献1〜3に開示された吸着熱交換器では、有機高分子材料からなる吸着剤であって、水蒸気の吸着と吸収を行うものが用いられている。
特許文献1〜3に開示された吸着剤では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。そして、この吸着剤では、親水性の極性基に水蒸気が吸着される現象と、高分子主鎖からなる三次元構造体に水蒸気が吸収される現象の両方が起こる。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
特許文献1の段落0055や特許文献2の段落0053には、微粒子状の吸着剤からなる粉末を溶媒と混ぜ合わせたものを熱交換器本体に塗布し、その後に溶媒を蒸発させることによって熱交換器本体の表面に吸着層を形成する方法が開示されている。また、特許文献1の段落0039や特許文献2の段落0037には、吸着剤の比表面積を増やして吸放湿性能を高める観点から、吸着剤の平均粒径を5μm以下にするのが望ましいことが記載されている。
一方、特許文献4の段落0035及び段落0039には、熱交換器本体の表面に予め接着剤を塗布し、その接着剤に粒子状の吸着剤を電着加工によって付着させる方法が開示されている。また、特許文献4の段落0031には、この方法を用いて吸着層を形成する場合に、吸着剤の平均粒径を0.01mm(=10μm)から5mmまでの値に設定するのが望ましいことが記載されている。
ところで、熱交換器本体の表面に吸着層を形成する方法としては、微粒子状の吸着剤からなる粉末を溶媒と混ぜ合わせることによって原料液を調製し、調製した原料液に熱交換器本体を浸すことによって吸着層を形成する方法(いわゆる、ディッピング法)が知られている。一方、熱媒体を空気と熱交換させる熱交換器本体では、一般に、空気側の伝熱面積を稼ぐために多数のフィンが設けられている。このため、熱交換器本体の表面全体に吸着層を形成するには、原料液の粘度を比較的低く設定し、フィンの間の狭い隙間にも原料液を確実に入り込ませることが必要になる。
ところが、吸着剤の比表面積を稼ぐために吸着剤粒子の平均粒径を小さくすると、原料液の粘度が高くなり過ぎ、熱交換器本体の表面全体に吸着層を形成するのが困難になってしまう。
この問題点について説明する。粉体を溶媒と混ぜ合わせた場合には、溶媒和という現象が生じる。そして、一般に、溶媒に混入される粒子の粒径が小さくなるに従って、この溶媒和という現象の影響が徐々に増大し、粉末と溶媒の混合物の粘度が次第に高くなってゆく。このため、比表面積を稼ぐために吸着剤の平均粒径を小さくし過ぎると、原料液の粘度が高くなり過ぎてしまう。そして、その結果、熱交換器本体の表面全体に吸着層を形成できなくなったり、それができたとしても形成された吸着層の厚さが不均一となり、吸着熱交換器の吸放湿性能を向上させることができないおそれがあった。
特に、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に吸着と吸収の両方を行う吸着剤(例えば、特許文献1〜3に開示されているような吸着剤)は、上述したようにゼオライト等の一般的な吸着剤に比べて大きな吸湿能力を有しているため、粒径を小さくした場合の粘度の上昇幅が大きい。従って、この種の吸着剤を用いた場合に吸着剤粒子の粒径を小さく過ぎると、原料液の粘度上昇によって吸着層を形成できないという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に吸着と吸収の両方を行う吸着剤を含有する吸着層が形成された吸着熱交換器において、充分な吸放湿能力を確実に得ることにある。
第1の発明は、内部を流体が流れる伝熱管部材(27)および該伝熱管部材(27)の外面に接合されたフィン(26)を有する熱交換器本体(25)と、上記熱交換器本体(25)の表面に形成されて吸湿および放湿を行う吸着層(30)とを備える吸着熱交換器(20)の製造方法を対象とする。そして、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行うと共に平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤からなる原料粉末と、該吸着剤を上記熱交換器本体(25)に接合するためのバインダとを溶媒と混合することによってスラリー状の原料液(35)を調製する調製工程と、上記調製工程において得られた原料液(35)に上記熱交換器本体(25)を浸漬する浸漬工程と、上記浸漬工程を経た上記熱交換器本体(25)を乾燥させる乾燥工程とを備え、上記浸漬工程と上記乾燥工程とを交互に繰り返し行うことによって、上記熱交換器本体(25)の表面に上記吸着層(30)を形成するものである。
第1の発明では、調製工程と、浸漬工程と、乾燥工程とを行うことによって吸着熱交換器(20)が製造される。調製工程では、原料粉末およびバインダを溶媒と混ぜ合わせることによって原料液(35)が調製される。浸漬工程では、調製工程において得られた原料液(35)に熱交換器本体(25)が浸され、熱交換器本体(25)の表面に原料液(35)が付着する。乾燥工程では、熱交換器本体(25)に付着した原料液(35)中の溶媒が蒸発する。その結果、吸着剤がバインダを介して熱交換器本体(25)に付着し、熱交換器本体(25)の表面に吸着層(30)が形成される。そして、浸漬工程と乾燥工程を交互に繰り返すと、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着層(30)の厚さが次第に増してゆく。
第2の発明は、内部を流体が流れる伝熱管部材(27)および該伝熱管部材(27)の外面に接合されたフィン(26)を有する熱交換器本体(25)と、上記熱交換器本体(25)の表面に形成されて吸湿および放湿を行う吸着層(30)とを備える吸着熱交換器を対象とする。そして、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行うと共に平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤からなる原料粉末と、該吸着剤を上記熱交換器本体(25)に接合するためのバインダとを溶媒と混合することによって調製されたスラリー状の原料液(35)に、上記熱交換器本体(25)を浸漬する浸漬工程と、上記浸漬工程を経た上記熱交換器本体(25)を乾燥させる乾燥工程とを交互に繰り返すことによって上記吸着層(30)が形成されるものである。
第2の発明では、熱交換器本体(25)の表面に吸着層(30)が形成される。熱交換器本体(25)は、伝熱管部材(27)とフィン(26)とを備える。伝熱管部材(27)へ加熱用の熱媒体を供給すると、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着層(30)が加熱される。また、伝熱管部材(27)へ冷却用の熱媒体を供給すると、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着層(30)が冷却される。吸着層(30)は、吸着熱交換器(20)を通過する空気と接触し、空気からの吸湿と空気への放湿とを行う。
第2の発明において、吸着層(30)は、浸漬工程と乾燥工程を交互に繰り返すことによって形成される。浸漬工程で用いられる原料液(35)は、原料粉末およびバインダを溶媒と混ぜ合わせることによって調製される。浸漬工程では、原料液(35)に熱交換器本体(25)が浸され、熱交換器本体(25)の表面に原料液(35)が付着する。乾燥工程では、熱交換器本体(25)に付着した原料液(35)中の溶媒が蒸発する。その結果、吸着剤がバインダを介して熱交換器本体(25)に付着し、熱交換器本体(25)の表面に吸着層(30)が形成される。そして、浸漬工程と乾燥工程を交互に繰り返すと、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着層(30)の厚さが次第に増してゆく。
上記第1および第2の各発明において、原料液(35)を構成する原料粉末は、粒子状の吸着剤で構成されている。粒子状の吸着剤は、親水基を有する有機高分子で構成されており、吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行う。また、原料粉末を構成する粒子状の吸着剤は、その平均粒径が30μm以上となっている。原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径を30μm以上にすれば、原料液(35)中の原料粉末の濃度を極端に下げなくても、原料液(35)の粘度が低く抑えられる。そして、原料液(35)の粘度が低く抑えられているため、浸漬工程では、熱交換器本体(25)の隅々に原料液(35)が入り込み、熱交換器本体(25)の表面全体に原料液(35)が付着する。
第3の発明は、内部を流体が流れる伝熱管部材(27)および該伝熱管部材(27)の外面に接合されたフィン(26)を有する熱交換器本体(25)と、上記熱交換器本体(25)の表面に形成されて吸湿および放湿を行う吸着層(30)とを備える吸着熱交換器を対象とする。そして、上記吸着層(30)の厚さが0.1mm以上0.35mm以下となっており、
上記吸着層(30)は、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行うと共に平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤を含有しているものである。
上記吸着層(30)は、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行うと共に平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤を含有しているものである。
第3の発明では、熱交換器本体(25)の表面に吸着層(30)が形成される。熱交換器本体(25)は、伝熱管部材(27)とフィン(26)とを備える。伝熱管部材(27)へ加熱用の熱媒体を供給すると、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着層(30)が加熱される。また、伝熱管部材(27)へ冷却用の熱媒体を供給すると、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着層(30)が冷却される。吸着層(30)は、吸着熱交換器(20)を通過する空気と接触し、空気からの吸湿と空気への放湿とを行う。この吸着層(30)は、平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤を含有している。この吸着剤は、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行う。また、吸着層(30)の厚さは、0.1mm以上0.35mm以下となっている。
ここで、粒子状の吸着剤からなる原料粉末を溶媒と混合して得られる原料液(35)に熱交換器本体(25)を浸漬することによって吸着層(30)を形成する場合において、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径が30μm以上になっていれば、原料液(35)中の原料粉末の濃度を極端に下げなくても、原料液(35)の粘度が低く抑えられる。そして、原料液(35)の粘度が低く抑えられているため、この原料液(35)に熱交換器本体(25)を浸すと、熱交換器本体(25)の隅々に原料液(35)が入り込み、厚さ0.1mm以上0.35mm以下の吸着層(30)が熱交換器本体(25)の表面に形成される。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記熱交換器本体(25)では、板状に形成された複数の上記フィン(26)が互いに対面する姿勢で等間隔に配列され、円管状に形成された上記伝熱管部材(27)が配列された上記フィン(26)を貫通するように設けられ、配列された上記フィン(26)同士のピッチが1.2mm以上2mm以下となっているものである。
第4の発明の熱交換器本体(25)では、複数のフィン(26)が、1.2mm以上2mm以下という比較的狭いピッチで、互いに対面する姿勢で配列される。粒子状の吸着剤からなる原料粉末を溶媒と混合して得られる原料液(35)に熱交換器本体(25)を浸漬することによって吸着層(30)を形成する場合には、比較的狭いフィン(26)同士の隙間にも原料液(35)が入り込み、フィン(26)の表面に原料液(35)が付着する。
上述したように、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径を30μm以上にすれば、原料液(35)中の原料粉末の濃度を極端に下げなくても、原料液(35)の粘度を低く抑えることができる。このため、第1及び第2の各発明の浸漬工程では、熱交換器本体(25)の隅々に原料液(35)が入り込み、熱交換器本体(25)の表面全体に原料液(35)が付着することとなる。従って、第1及び第2の各発明によれば、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行う吸着剤であって、粒径が小さくなるにつれて急激に原料液(35)の粘度上昇を招くものが含有された吸着層(30)を、熱交換器本体(25)の表面に確実に形成することができる。その結果、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行う吸着剤を含有する吸着層(30)が形成されており、しかも充分な吸放湿能力を確実に発揮し得る吸着熱交換器(20)を実現できる。
また、第1及び第2の各発明によれば、原料液(35)中の原料粉末の濃度がある程度高く保たれているため、一回の浸漬工程において熱交換器本体(25)に付着する吸着剤の量を充分に確保できる。従って、第1及び第2の各発明によれば、浸漬工程と乾燥工程の実行回数を低く抑えることができ、吸着熱交換器(20)の製造効率の低下を抑えることができる。
また、第3の発明の吸着熱交換器(20)では、吸着層(30)が含有する吸着剤の平均粒径を30μm以上にしている。粒子状の吸着剤からなる原料粉末を溶媒と混合して得られる原料液(35)に熱交換器本体(25)を浸漬することによって吸着層(30)を形成する場合において、熱交換器本体(25)の表面に吸着層(30)を確実に形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈調湿装置の構成〉
本実施形態の吸着熱交換器(20)が設けられた調湿装置について説明する。この調湿装置は、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とが可能に構成されている。
本実施形態の吸着熱交換器(20)が設けられた調湿装置について説明する。この調湿装置は、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とが可能に構成されている。
図1に示すように、調湿装置は、冷媒回路(10)を備えている。この冷媒回路(10)は、第1吸着部材(11)、第2吸着部材(12)、圧縮機(13)、四方切換弁(14)、及び電動膨張弁(15)が設けられた閉回路であって、冷媒が充填されている。冷媒回路(10)では、充填された冷媒を循環させることにより蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。また、第1吸着部材(11)と第2吸着部材(12)は、何れも本発明に係る吸着熱交換器(20)によって構成されている。吸着熱交換器(20)の詳細については後述する。
上記冷媒回路(10)において、圧縮機(13)は、その吐出側が四方切換弁(14)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(14)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着部材(11)の一端は、四方切換弁(14)の第3のポートに接続されている。第1吸着部材(11)の他端は、電動膨張弁(15)を介して第2吸着部材(12)の一端に接続されている。第2吸着部材(12)の他端は、四方切換弁(14)の第4のポートに接続されている。
上記四方切換弁(14)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
〈吸着熱交換器の構成〉
上述のように、第1吸着部材(11)及び第2吸着部材(12)は、それぞれが吸着熱交換器(20)によって構成されている。この吸着熱交換器(20)について、図2,図3,図4を参照しながら説明する。
上述のように、第1吸着部材(11)及び第2吸着部材(12)は、それぞれが吸着熱交換器(20)によって構成されている。この吸着熱交換器(20)について、図2,図3,図4を参照しながら説明する。
吸着熱交換器(20)は、二つのサブユニット(21,22)を備えている(図2を参照)。各サブユニット(21,22)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である熱交換器本体(25)と、熱交換器本体(25)の表面を覆うように形成された吸着層(30)とを備えている(図4を参照)。吸着熱交換器(20)では、二つのサブユニット(21,22)が互いに重なり合うように配置されており、吸着熱交換器(20)を通過する空気流の上流側に位置するものが第1サブユニット(21)を、その下流側に位置するものが第2サブユニット(22)をそれぞれ構成している。
熱交換器本体(25)は、伝熱管部材である円管状の伝熱管(27)と、多数のフィン(26)とを備えている。各フィン(26)は、長方形の板状に形成されたアルミニウム製の部材である。各フィン(26)は、互いに対面する姿勢で立設され、互いに一定の間隔をおいて一列に配置されている。配列された各フィン(26)のピッチpfは、1.2mm以上2mm以下(1.2mm≦pf≦2mm)に設定されている。また、フィン(26)の板厚tfは、例えば0.1mm程度となっている。伝熱管(27)は、直管部(28)とU字管部(29)が交互に形成されて左右に蛇行する形状となっている。この伝熱管(27)は、その直管部(28)が配列された各フィン(26)を貫通するように設けられている。伝熱管(27)の直管部(28)は、フィン(26)と接合されており、その外周面がフィン(26)と密着している。
図4に示すように、吸着層(30)は、フィン(26)の両側面を覆うように形成されている。この吸着層(30)の厚さtaは、約0.25mmである。この吸着層(30)の厚さtaは、0.1mm以上0.35mm以下(0.1mm≦ta≦0.35mm)であるのが望ましい。なお、吸着層(30)は、フィン(26)の表面だけでなく、伝熱管(27)のうちフィン(26)に覆われていない部分(U字管部(29)など)の表面にも形成されている。ただし、フィン(26)以外の部分に形成された吸着層(30)の厚さは、0.1mm以上0.35mm以下の範囲から外れていても構わない。
吸着層(30)の厚さtaは、次のような手順によって計測される。まず、計測対象となるサブユニット(21,22)において、吸着層(30)が形成されたフィン(26)の厚さを、その長辺方向の3箇所ずつと短辺方向の3箇所ずつの合計9箇所において、マイクロメータを用いて計測する。そして、9箇所で計測したフィン(26)の厚さtの平均値tmを算出し、この平均値tmからフィン(26)自体の厚さtfを差し引いた値(tm−tf)を算出し、その値(tm−tf)を2で除した値をta(=(tm−tf)/2)とする。
吸着層(30)には、吸湿性を有する有機高分子材料からなる吸着剤が含有されている。後述するように、この吸着剤は、平均粒径が約50μmの粒子状に形成されている。この吸着剤では、分子中に親水性の極性基(親水基)を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
この吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
このように、本実施形態の吸着層(30)に設けられた吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この吸着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
また、この吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤の体積が減少する。
−運転動作−
上記調湿装置では、除湿運転と加湿運転とが可能である。この調湿装置は、除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、第1動作と第2動作を所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返す。
上記調湿装置では、除湿運転と加湿運転とが可能である。この調湿装置は、除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、第1動作と第2動作を所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返す。
上記調湿装置は、除湿運転中であれば第1空気として室外空気(OA)を、第2空気として室内空気(RA)をそれぞれ取り込む。また、上記調湿装置は、加湿運転中であれば第1空気として室内空気(RA)を、第2空気として室外空気(OA)をそれぞれ取り込む。
〈第1動作〉
先ず、第1動作について説明する。第2動作中には、第1吸着部材(11)へ第2空気が、第2吸着部材(12)へ第1空気がそれぞれ送り込まれる。第1動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第1状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(10)では、第1吸着部材(11)が凝縮器として動作し、第2吸着部材(12)が蒸発器として動作する。
先ず、第1動作について説明する。第2動作中には、第1吸着部材(11)へ第2空気が、第2吸着部材(12)へ第1空気がそれぞれ送り込まれる。第1動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第1状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(10)では、第1吸着部材(11)が凝縮器として動作し、第2吸着部材(12)が蒸発器として動作する。
具体的に、圧縮機(13)から吐出された冷媒は、第1吸着部材(11)で放熱して凝縮する。第1吸着部材(11)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(15)を通過する際に減圧され、その後に第2吸着部材(12)で吸熱して蒸発する。第2吸着部材(12)で蒸発した冷媒は、圧縮機(13)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(13)から吐出される。
吸着熱交換器(20)により構成された第1吸着部材(11)では、フィン(26)表面の吸着層(30)が伝熱管(27)内の冷媒によって加熱されて放湿し、吸着層(30)から放出された水蒸気が第2空気に付与される。また、同じく吸着熱交換器(20)により構成された第2吸着部材(12)では、フィン(26)表面の吸着層(30)が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱が伝熱管(27)内の冷媒に吸熱される。
そして、除湿運転中であれば、第2吸着部材(12)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第1吸着部材(11)から放出された水蒸気が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第1吸着部材(11)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第2吸着部材(12)に水蒸気を奪われた第1空気が室外へ排出される。
〈第2動作〉
次に、第2動作について説明する。第2動作中には、第1吸着部材(11)へ第1空気が、第2吸着部材(12)へ第2空気がそれぞれ送り込まれる。第2動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第2状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(10)では、第2吸着部材(12)が凝縮器として動作し、第1吸着部材(11)が蒸発器として動作する。
次に、第2動作について説明する。第2動作中には、第1吸着部材(11)へ第1空気が、第2吸着部材(12)へ第2空気がそれぞれ送り込まれる。第2動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第2状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(10)では、第2吸着部材(12)が凝縮器として動作し、第1吸着部材(11)が蒸発器として動作する。
具体的に、圧縮機(13)から吐出された冷媒は、第2吸着部材(12)で放熱して凝縮する。第2吸着部材(12)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(15)を通過する際に減圧され、その後に第1吸着部材(11)で吸熱して蒸発する。第1吸着部材(11)で蒸発した冷媒は、圧縮機(13)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(13)から吐出される。
吸着熱交換器(20)により構成された第2吸着部材(12)では、フィン(26)表面の吸着層(30)が伝熱管(27)内の冷媒によって加熱されて放湿し、吸着層(30)から放出された水蒸気が第2空気に付与される。また、同じく吸着熱交換器(20)により構成された第1吸着部材(11)では、フィン(26)表面の吸着層(30)が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱が伝熱管(27)内の冷媒に吸熱される。
そして、除湿運転中であれば、第1吸着部材(11)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第2吸着部材(12)から放出された水蒸気が第2空気と共に室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第2吸着部材(12)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第1吸着部材(11)に水蒸気を奪われた第1空気が室外へ排出される。
−吸着熱交換器の製造方法−
吸着熱交換器(20)の製造方法について、図5を参照しながら説明する。同図に示すように、吸着熱交換器(20)の製造方法では、調製工程と、浸漬工程と、乾燥工程とが行われる。浸漬工程と乾燥工程は、交互に繰り返し行われる。
吸着熱交換器(20)の製造方法について、図5を参照しながら説明する。同図に示すように、吸着熱交換器(20)の製造方法では、調製工程と、浸漬工程と、乾燥工程とが行われる。浸漬工程と乾燥工程は、交互に繰り返し行われる。
調製工程では、原料粉末とバインダが溶媒と混ぜ合わされることによって、スラリー状の原料液(35)が調製される。この原料液(35)は、原料粉末と、バインダと、溶媒とを混ぜ合わせて充分に撹拌し、溶媒中に原料粉末とバインダを分散させることによって作られる。
原料粉末は、多数の粒子状の吸着剤で構成されている。原料粉末を構成する吸着剤では、親水基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋することによって三次元構造を形成している。そして、この吸着剤は、空気から吸湿する際に、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う。本実施形態において、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径は、約50μmとなっている。この原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径は、30μm以上であるのが望ましく、更には30μm以上70μm以下であるのが望ましい。その理由については後述する。
バインダは、例えばウレタン樹脂等の合成樹脂によって構成される。調製工程では、バインダを水(液体)中に分散させたものである合成樹脂エマルジョンが、溶媒と混ぜ合わされる。この合成樹脂エマルジョンでは、バインダの質量割合が50%となり、水の質量割合が50%となっている。
原料液(35)を構成する溶媒は、主成分であるエタノールに少量のプロパノールやブタノール等を添加した工業用アルコールである。そして、調製工程において調製される原料液(35)では、原料粉末の質量割合が25%、バインダを含有する合成樹脂エマルジョンの質量割合が18%、溶媒の質量割合が57%となっている。
浸漬工程では、一般的なフィン(26)・アンド・チューブ熱交換器で構成された熱交換器本体(25)が原料液(35)に浸漬され、熱交換器本体(25)の表面に原料液(35)が付着する。なお、浸漬工程では、熱交換器本体(25)の隅々にまで原料液(35)を行き渡らせるために、熱交換器本体(25)を原料液(35)に浸す動作と原料液(35)から熱交換器本体(25)を引き上げる動作を交互に繰り返し行ってもよいし、原料液(35)中で熱交換器本体(25)を揺り動かす動作を行ってもよい。このような動作を行えば、フィン(26)の間の狭い空間にも原料液(35)が確実に入り込み、熱交換器本体(25)の表面の全体に原料液(35)が確実に付着する。
乾燥工程では、浸漬工程を経た熱交換器本体(25)(即ち、表面に原料液(35)が付着した状態の熱交換器本体(25))を乾燥させる。この乾燥工程では、熱交換器本体(25)に付着した原料液(35)に含まれる溶媒成分(アルコール)やバインダと共に添加された水が蒸発し、粒子状の吸着剤とバインダとが熱交換器本体(25)の表面に残存する。粒子状の吸着剤は、バインダによって、熱交換器本体(25)の表面や隣接する他の吸着剤粒子と接着される。
乾燥工程を経た熱交換器本体(25)では、その表面に薄い吸着層(30)が形成されている。そして、本実施形態の製造方法では、熱交換器本体(25)の表面に形成された吸着層(30)の厚さを増すために、浸漬工程と乾燥工程とが数回から十数回繰り返される。そして、最後の乾燥工程が終わると、吸着熱交換器が完成する。完成した吸着熱交換器では、熱交換器本体(25)の表面に、厚さ0.25mm程度の吸着層(30)が形成されている。
−吸着剤の平均粒径−
上述したように、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径は、30μm以上であるのが望ましく、更には30μm以上70μm以下であるのが望ましい。ここでは、その理由について説明する。
上述したように、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径は、30μm以上であるのが望ましく、更には30μm以上70μm以下であるのが望ましい。ここでは、その理由について説明する。
上述したように、吸着熱交換器の製造方法における浸漬工程では、熱交換器本体(25)の隅々にまで原料液(35)を行き渡らせ、熱交換器本体(25)の表面の全体に原料液(35)を確実に付着させる必要がある。そのためには、原料液(35)の粘度をある程度低く抑える必要がある。一方、原料液(35)中の溶媒の割合を多くすれば、原料液(35)の粘度を低くすることは可能である。ところが、原料液(35)中の溶媒の割合が多くなり過ぎると、原料液(35)中の原料粉末(即ち、吸着剤)の割合が少なくなり、1回の浸漬工程で熱交換器本体(25)の表面に付着させることのできる吸着剤の量が少なくなるため、浸漬工程と乾燥工程の実行回数が増えてしまう。
このように、原料液(35)については、粘度がある程度低く、しかも吸着剤の割合がある程度多いことが求められる。そして、このような要求を満たすために、本実施形態では、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径を30μm以上にしている。
ここで、粉体を溶媒と混ぜ合わせた場合には、溶媒和という現象が生じる。そして、一般に、溶媒に混入される粒子の粒径が小さくなるに従って、この溶媒和という現象の影響が徐々に増大し、粉末と溶媒の混合物(スラリー)の粘度が次第に高くなってゆく。
図6は、成分と各成分の組成比が上述した原料液(35)と同じものについて、そこに混入される吸着剤の平均粒径と、その平均粒径の吸着剤が混入された原料液(35)の粘度との関係を示したグラフである。同図に示すように、原料液(35)の粘度は、吸着剤の平均粒径が小さくなるに従って上昇し、吸着剤の平均粒径が30μmを下回った辺りから急激に増大する。そして、吸着剤の平均粒径が30μmを下回ると、原料液(35)の粘度が高くなり過ぎ、浸漬工程において熱交換器本体(25)の表面全体に原料液(35)を平均的に付着させることが困難となる。もちろん、この状態でも、原料液(35)中の吸着剤の割合を低くすれば原料液(35)の粘度を下げることも不可能ではないが、そうすると、上述したように、浸漬工程と乾燥工程の実行回数が増加して吸着熱交換器の製造効率が低下してしまう。そこで、本実施形態では、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径を30μm以上に設定し、原料液(35)中における吸着剤の割合をある程度以上に保ちつつ、原料液(35)の粘度を低く抑えるようにしている。
一方、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径が大きくなり過ぎると、原料粉末の比表面積(即ち、単位質量当たりの表面積)が小さくなる。そして、原料粉末の比表面積が小さくなると、吸着熱交換器に設けられた吸着剤の質量が同じでも、空気と接触する吸着剤の表面の面積が小さくなり、その結果、吸着熱交換器(20)の吸放湿能力が低くなってしまう。そこで、吸着熱交換器(20)の吸放湿能力を確保するために、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径は、70μm以下にするのが望ましい。
なお、本実施形態では、計測対象となる原料粉末を構成する吸着剤の粒径を、株式会社島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD-2200」を使用して乾式測定方式により測定し、得られた計測値のメディアン径(即ち、50%粒子径)を吸着剤の平均粒径としている。また、図6に示した原料液(35)の粘度は、ブルックフィールド社製のデジタル粘度計「LVDV-E」を使用し、20℃に保った原料液(35)の粘度を、スピンドルの回転速度を毎分60回転に設定して計測した値である。
−実施形態の効果−
上述したように、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径を30μm以上にすれば、原料液(35)中の原料粉末の濃度を極端に下げなくても、原料液(35)の粘度を低く抑えることができる。本実施形態の吸着熱交換器(20)の製造方法では、平均粒径が約50μmの吸着剤からなる原料粉末を用いて原料液(35)を調製している。このため、本実施形態によれば、原料液(35)における原料粉末の濃度をある程度高く保ちつつ、原料液(35)の粘度を低く抑えることができる。
上述したように、原料粉末を構成する吸着剤の平均粒径を30μm以上にすれば、原料液(35)中の原料粉末の濃度を極端に下げなくても、原料液(35)の粘度を低く抑えることができる。本実施形態の吸着熱交換器(20)の製造方法では、平均粒径が約50μmの吸着剤からなる原料粉末を用いて原料液(35)を調製している。このため、本実施形態によれば、原料液(35)における原料粉末の濃度をある程度高く保ちつつ、原料液(35)の粘度を低く抑えることができる。
このように、本実施形態では、調製工程において得られる原料液(35)の粘度が低く抑えられる。このため、浸漬工程では、熱交換器本体(25)の隅々に原料液(35)が入り込み、熱交換器本体(25)の表面全体に原料液(35)が付着することとなる。従って、本実施形態によれば、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行う吸着剤であって、粒径が小さくなるにつれて急激に原料液(35)の粘度上昇を招くものが含有された吸着層(30)を、熱交換器本体(25)の表面に確実に形成することができる。その結果、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行う吸着剤を含有する吸着層(30)が形成されており、しかも充分な吸放湿能力を確実に発揮し得る吸着熱交換器(20)を実現できる。
また、本実施形態では、原料液(35)における原料粉末の濃度がある程度高く保たれているため、一回の浸漬工程において熱交換器本体(25)に付着する吸着剤の量を充分に確保できる。従って、本実施形態によれば、浸漬工程と乾燥工程の実行回数を低く抑えつつ、例えば0.1mm以上0.35mm以下の充分な厚さtaを有する吸着層(30)を確実に形成することができ、吸着熱交換器(20)の製造効率の低下を抑えることができる。
−実施形態の変形例−
上記実施形態では、吸着熱交換器の熱交換器本体(25)が、図7に示すようなラジエータ型のアルミニウム製の熱交換器であってもよい。本変形例の熱交換器本体(25)には、アルミニウム製の伝熱管(27)と、同じくアルミニウム製のフィン(26)とが複数ずつ設けられている。また、この熱交換器本体(25)には、二つのヘッダ(41,42)が設けられている。そして、本変形例の吸着熱交換器では、この熱交換器本体(25)を構成する伝熱管(27)、フィン(26)、及びヘッダ(41,42)の表面に吸着層(30)が形成されている。
上記実施形態では、吸着熱交換器の熱交換器本体(25)が、図7に示すようなラジエータ型のアルミニウム製の熱交換器であってもよい。本変形例の熱交換器本体(25)には、アルミニウム製の伝熱管(27)と、同じくアルミニウム製のフィン(26)とが複数ずつ設けられている。また、この熱交換器本体(25)には、二つのヘッダ(41,42)が設けられている。そして、本変形例の吸着熱交換器では、この熱交換器本体(25)を構成する伝熱管(27)、フィン(26)、及びヘッダ(41,42)の表面に吸着層(30)が形成されている。
図8に示すように、伝熱管(27)は、その断面形状が扁平な長円形となっている。また、一本の伝熱管(27)には、その軸方向へ延びる複数の流通路(45)が一列に並んで形成されている。熱交換器本体(25)において、複数の伝熱管(27)は、互いに対面する姿勢で互いに一定の間隔をおいて立設されている。また、熱交換器本体(25)の各伝熱管(27)は、それぞれの一端が第1ヘッダ(41)に接続され、それぞれの他端が第2ヘッダ(42)に接続されている。
図9に示すように、フィン(26)は、細長い薄板を波形に形成したものであって、いわゆるコルゲートフィン(26)を構成している。このフィン(26)は、各伝熱管(27)の間に挟み込まれ、ロウ付け等によって伝熱管(27)と接合されている。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、熱交換器本体の表面に吸着層が形成された吸着熱交換器について有用である。
20 吸着熱交換器
25 熱交換器本体
26 フィン
27 伝熱管(伝熱管部材)
30 吸着層
35 原料液
25 熱交換器本体
26 フィン
27 伝熱管(伝熱管部材)
30 吸着層
35 原料液
Claims (4)
- 内部を流体が流れる伝熱管部材(27)および該伝熱管部材(27)の外面に接合されたフィン(26)を有する熱交換器本体(25)と、上記熱交換器本体(25)の表面に形成されて吸湿および放湿を行う吸着層(30)とを備える吸着熱交換器(20)の製造方法であって、
親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行うと共に平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤からなる原料粉末と、該吸着剤を上記熱交換器本体(25)に接合するためのバインダとを溶媒と混合することによってスラリー状の原料液(35)を調製する調製工程と、
上記調製工程において得られた原料液(35)に上記熱交換器本体(25)を浸漬する浸漬工程と、
上記浸漬工程を経た上記熱交換器本体(25)を乾燥させる乾燥工程とを備え、
上記浸漬工程と上記乾燥工程とを交互に繰り返し行うことによって、上記熱交換器本体(25)の表面に上記吸着層(30)を形成する
ことを特徴とする吸着熱交換器の製造方法。 - 内部を流体が流れる伝熱管部材(27)および該伝熱管部材(27)の外面に接合されたフィン(26)を有する熱交換器本体(25)と、上記熱交換器本体(25)の表面に形成されて吸湿および放湿を行う吸着層(30)とを備える吸着熱交換器であって、
親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行うと共に平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤からなる原料粉末と、該吸着剤を上記熱交換器本体(25)に接合するためのバインダとを溶媒と混合することによって調製されたスラリー状の原料液(35)に、上記熱交換器本体(25)を浸漬する浸漬工程と、上記浸漬工程を経た上記熱交換器本体(25)を乾燥させる乾燥工程とを交互に繰り返すことによって上記吸着層(30)が形成されている
ことを特徴とする吸着熱交換器。 - 内部を流体が流れる伝熱管部材(27)および該伝熱管部材(27)の外面に接合されたフィン(26)を有する熱交換器本体(25)と、上記熱交換器本体(25)の表面に形成されて吸湿および放湿を行う吸着層(30)とを備える吸着熱交換器であって、
上記吸着層(30)の厚さが0.1mm以上0.35mm以下となっており、
上記吸着層(30)は、親水基を有する有機高分子で構成されて吸湿する際に水蒸気の吸着と吸収を行うと共に平均粒径が30μm以上の粒子状に形成された吸着剤を含有している
ことを特徴とする吸着熱交換器。 - 請求項2又は3において、
上記熱交換器本体(25)では、板状に形成された複数の上記フィン(26)が互いに対面する姿勢で等間隔に配列され、円管状に形成された上記伝熱管部材(27)が配列された上記フィン(26)を貫通するように設けられ、配列された上記フィン(26)同士のピッチが1.2mm以上2mm以下となっている
ことを特徴とする吸着熱交換器。
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