JP2010270813A - 直動軸受 - Google Patents

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Takaki Okawara
恭樹 大川原
Shigeki Shindo
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Abstract

【課題】外筒の長さに対して軸体の可動距離が大きく、そして耐久性にも優れる直動軸受を提供すること。
【解決手段】内周面に互いに間隔をあけて一対の周溝11a、11aが形成されている外筒11、外筒の内周面の両周溝の間に軸方向及び周方向の各々に沿って配設された複数個の転動体12、12、〜を、各転動体が外周面側及び内周面側の各々に部分的に突き出た状態で保持する筒状転動体保持器13、および外筒の各周溝に内周部が前記溝から内側に突き出た状態で収容されている環状止め具14を含む直動軸受であって、上記環状止め具の内径が、筒状転動体保持器の外径よりも大きな値に設定されていて、この環状止め具14の内周部と筒状転動体保持器13に保持された転動体のうちの軸方向の両端部に位置する転動体12aの前記保持器13の外周面側に突き出た部位との接触により、筒状転動体保持器13の外筒11の外部への脱落が防止されていることを特徴とする直動軸受。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種機械装置が備える軸体の支持に有利に用いることができる直動軸受に関する。
図6は、従来の直動軸受の構成を示す部分断面図であり、そして図7は、図6の直動軸受60の右側面図である。
図6及び図7に示す直動軸受60は、内周面に互いに間隔をあけて一対の周溝61a、61aが形成された外筒61、外筒61の内周面の両周溝61a、61aの間に軸方向及び周方向の各々に沿って配設された複数個の転動体62、62、〜を、各転動体62が外周面側及び内周面側の各々に部分的に突き出た状態で保持する筒状転動体保持器63、および外筒61の各周溝61aに内周部が前記溝61aから内側に突き出た状態で収容されている環状止め具64などから構成されている。
直動軸受60の外筒61には、支持対象の軸体69が収容支持される。この軸体69を、例えば、図6にて右方向に移動すると、外筒61と軸体69との間に配置された各転動体62が右方向に転動する。これらの転動体62、62、〜の転動により、軸体69の円滑な移動が可能とされている。
直動軸受60には、筒状転動体保持器63の外筒61の外部への脱落(前記保持器63が転動体62と共に外筒61の外部に部分的に突き出ることを含む)を防止するため、一対の環状止め具64、64が付設されている。筒状転動体保持器63が転動体62と共に外筒61の外部に突き出ると、この転動体62が保持器63から脱落して、軸体69を安定に支持することができなくなるからである。
このような構成の直動軸受は、例えば、特許文献1に記載されている。
特開平8−86312号公報(第5図)
前記の従来の直動軸受60では、環状止め具64、64により、軸体69の可動距離が制限される。例えば、図6の右方向に軸体69を移動させた際に、筒状転動体保持器63の右端面が右側の止め具64に接触する(保持器63が図6に二点鎖線で記入した位置まで移動する)と、転動体62は更に右方向には転動することができなくなり、軸体69もまた更に右方向には移動することができなくなる。このため、軸体69の可動距離は、転動体62の可動距離Laの二倍の距離(すなわち2×La)に制限される。従って、軸体69の可動距離を大きくするため、すなわち筒状転動体保持器63に保持された転動体62の可動距離を大きくするためには、外筒61の長さを大きくする必要がある。
なお、軸体69に転動体62との静摩擦力を超える大きな力を付与して、軸体69を(転動体62を転動させることなく)更に右方向に強制的に移動することはできるものの、軸体69の円滑な移動が妨げられる。従って、直動軸受60に支持された軸体69は、通常、前記可動距離(2×La)を超えない範囲内にて移動される。
また、直動軸受60では、環状止め具64の内周部が外筒61の内側に大きく突き出ている。このため、図8に示すように筒状転動体保持器63が環状止め具64に接触して、環状止め具64に図に記入した矢印68が示す方向に荷重が付与された際に、止め具64の内周部に撓みを生じ易い。そして、直動軸受60が長期間にて使用され、筒状転動体保持器63と環状止め具64との接触(衝突)が繰り返されると、環状止め具64の内周部に繰り返して撓みを生じるため、環状止め具64に塑性変形や破損を生じ易い。また、筒状転動体保持器63と環状止め具64との接触が繰り返されると、筒状転動体保持器63にも繰り返して荷重が付与されるため、筒状転動体保持器63にも塑性変形や破損を生じ易い。このような環状止め具64あるいは筒状転動体保持器63の塑性変形や破損は、直動軸受60の耐久性の向上を妨げる原因となっている。
本発明の課題は、外筒の長さに対して軸体の可動距離が大きく、そして耐久性にも優れる直動軸受を提供することにある。
本発明は、内周面に互いに間隔をあけて一対の周溝が形成されている外筒、外筒の内周面の両周溝の間に軸方向及び周方向の各々に沿って配設された複数個の転動体を、各転動体が外周面側及び内周面側の各々に部分的に突き出た状態で保持する筒状転動体保持器、および外筒の各周溝に内周部が前記溝から内側に突き出た状態で収容されている環状止め具を含む直動軸受であって、上記環状止め具の内径が、筒状転動体保持器の外径よりも大きな値に設定されていて、この環状止め具の内周部と筒状転動体保持器に保持された転動体のうちの軸方向の両端部に位置する転動体の前記保持器の外周面側に突き出た部位との接触により、筒状転動体保持器の外筒の外部への脱落が防止されていることを特徴とする直動軸受にある。
本発明の直動軸受の好ましい態様は、次の通りである。
(1)環状止め具の断面が円形である。
(2)環状止め具がC字型の形状にある。
本発明はまた、上記の本発明の直動軸受の外筒に、軸体をその外周面が上記各転動体と接触した状態で収容してなる直動案内装置にもある。
本発明の直動案内装置においては、外筒の内周面と軸体の外周面との各々に長さ方向に延びる複数本の溝が形成されていて、上記各転動体が外筒の各溝と軸体の各溝とに係合していることが好ましい。
本発明の直動軸受では、筒状転動体保持器に保持された複数個の転動体のうちの軸方向の両端部に位置する転動体を環状止め具に接触させることにより、筒状転動体保持器の外筒の外部への脱落が防止されている。このため、筒状転動体保持器に保持された転動体の各々は、従来の直動軸受のように筒状転動体保持器の端部を環状止め具に接触させる場合と比較して、上記転動体と環状止め具とが接触するまで、より長い距離にて転動することができる。このため、本発明の直動軸受は、その外筒の長さに対して、支持対象の軸体を長距離にて移動させることができる。また、本発明の直動軸受では、環状止め具の外筒の内側への付き突き出し長さが短いため、上記転動体と環状止め具とが接触した際に止め具に撓みを生じ難い。従って、本発明の直動軸受は、長期間での使用により、上記転動体と環状止め具との接触(衝突)が繰り返された際にも、環状止め具に塑性変形や破損を生じ難い。また、筒状転動体保持器が環状止め具に接触することがないため、筒状転動体保持器の塑性変形や破損の発生も防止される。このため、本発明の直動軸受は優れた耐久性を示す。
本発明の直動軸受の構成例を示す部分断面図である。 図1の直動軸受10の右側面図である。 図1の直動軸受10の転動体12aが環状止め具14に接触した状態を示す拡大図である。 本発明の直動案内装置の構成例を示す部分断面図である。 図4の直動案内装置50の右側面図である。 従来の直動軸受の構成を示す部分断面図である。 図6の直動軸受60の右側面図である。 図6の直動軸受60の筒状転動体保持器63が環状止め具64に接触した状態を示す拡大図である。
本発明の直動軸受を、添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の直動軸受の構成例を示す部分断面図であり、そして図2は、図1の直動軸受10の右側面図である。
図1及び図2に示す直動軸受10は、内周面に互いに間隔をあけて一対の周溝11a、11aが形成されている外筒11、外筒11の内周面の両周溝11a、11aの間に軸方向及び周方向の各々に沿って配設された複数個の転動体12、12、〜を、各転動体12が外周面側及び内周面側の各々に部分的に突き出た状態で保持する筒状転動体保持器13、および外筒11の各周溝11aに内周部が溝11aから内側に突き出た状態で収容されている環状止め具14などから構成されている。この直動軸受10は、上記環状止め具14の内径が、筒状転動体保持器13の外径よりも大きな値に設定されていて、この環状止め具14の内周部と筒状転動体保持器13に保持された転動体12、12、〜のうちの軸方向の両端部に位置する転動体12aの前記保持器13の外周面側に突き出た部位との接触により、筒状転動体保持器13の外筒11の外部への脱落が防止されていることに主な特徴がある。
図1に示すように、本発明の直動軸受10では、軸体19を図の左方向に移動させた際に、図の左端に位置する転動体12aの筒状転動体保持器13の外周面側に突き出た部位が、左側の環状止め具14の内周部に接触すると、筒状転動体保持器13は更に左方向には移動することができなくなる。このため、筒状転動体保持器13が、外筒11の左端の開口から外部に脱落すること(保持器13が転動体12と共に外筒11の左端の開口から外部に部分的に突き出ることを含む)が防止される。
同様に、本発明の直動軸受10では、軸体19を図の右方向に移動させた際に、図1に二点鎖線で示すように、図の右端に位置する転動体12aの筒状転動体保持器13の外周面側に突き出た部位が、右側の環状止め具14の内周部に接触すると、筒状転動体保持器13は更に右方向には移動することができなくなる。このため、筒状転動体保持器13が、外筒11の右端の開口から外部に脱落すること(保持器13が転動体12と共に外筒11の右端の開口から外部に部分的に突き出ることを含む)が防止される。
そして、図の左方向及び右方向の何れの方向に軸体を移動させた場合でも、各転動体12は、図6の従来の直動軸受60の場合と比較して、距離Lbの長さだけ余分に移動(転動)することができる。すなわち、各転動体12の可動距離が、2×Lbの長さだけ増加する。従って、直動軸受10の軸体19の可動距離は、2×(La+2×Lb)となる。
図1の本発明の直動軸受10と、図6の従来の直動軸受60とは、各々の外筒が互いに同じ長さに設定されている。しかしながら、図1の本発明の直動軸受10に支持された軸体19の可動距離は、図6の従来の直動軸受60に支持された軸体69の可動距離の約1.7倍という大きな値を示す。言い換えると、図1の本発明の直動軸受10は、図6の従来の直動軸受60の場合と同じ軸体の可動距離を実現するのであれば、その外筒11を約85%の長さに短縮して小型化することができる。
また、図1の本発明の直動軸受10では、図6の従来の直動軸受60の場合と比較して、環状止め具14の内周部の外筒11の内側への付き突き出し長さが短い。このため、図3に示すように転動体12aが環状止め具14に接触して、環状止め具14に図に記入した矢印18が示す方向に荷重が付与された際に、この止め具14の内周部に撓みを生じ難い。従って、直動軸受10は、長期間での使用により、転動体12aと環状止め具14との接触(衝突)が繰り返された際にも、環状止め具14に塑性変形や破損を生じ難い。また、筒状転動体保持器13が環状止め具14に接触することがないため、筒状転動体保持器13の塑性変形や破損の発生も防止される。このため、本発明の直動軸受10は優れた耐久性を示す。
このように、本発明の直動軸受10は、外筒11の長さに対して(支持対象の)軸体19の可動距離が大きく、そして耐久性にも優れている。
図3に示すように、環状止め具14の断面が円形であると、前記の図に記入した矢印18が示す方向の荷重が、矢印18aが示す方向の荷重成分と、矢印18bが示す方向の荷重成分として、それぞれ環状止め具14と、軸体19とに付与される。従って、環状止め具14に付与される荷重の大きさが小さくなり、環状止め具14の塑性変形や破損が更に抑制される。このため、直動軸受10が更に優れた耐久性を示す。
図2に示すように、環状止め具14がC字型の形状とされていると、次のようにして、環状止め具14を外筒11の周溝11aに容易に収容することが可能になる。
先ず、C字型の形状の環状止め具14を、その外周側から力を付与して外径が小さくなるように弾性変形させた状態で外筒11の開口の内側に嵌め合わせる。この環状止め具14を外筒11の内部に押し込むと、この止め具14が外筒11の周溝11aに到達する。この際に、環状止め具14は、その外径が大きくなり、この外筒11の周溝11aに内周部が周溝11aから内側に突き出た状態で収容される。
図1及び図2に示す直動軸受10において、筒状転動体保持器13に保持されている複数個の転動体は、保持器13の長さ方向に整列する5個の転動体からなる転動体の組が、保持器13の周方向に互いに間隔をあけて6組配設された構成にある。
本発明の直動軸受においては、筒状転動体保持器の転動体を収容する透孔の機械加工が容易になることから、筒状転動体保持器に保持される複数個の転動体は、保持器の長さ方向に整列する2個以上の転動体の組が、保持器の周方向に互いに間隔をあけて2組以上配設された構成にあることが好ましい。
この転動体の組の数が多くなるほど、軸体を長さ方向に移動させるために大きな駆動力が必要になる。このため、転動体の組の数は、2〜20組(特に、3〜12組)の範囲内にあることが好ましい。同様の理由により、各組の転動体の数は、2〜30個(特に、3〜20個)の範囲内にあることが好ましい。
直動軸受10の転動体12としては、球体が用いられている。球体に代えて、コロ(ローラ)を用いることもできる。
直動軸受10の外筒11、転動体12、そして支持対象の軸体19は、鋼(例、高炭素クロム鋼、ステンレス鋼)やアルミニウムに代表される金属材料から形成することができる。これらの部品は、軽量化のため樹脂材料から形成したり、あるいは耐熱性の向上のためセラミック材料から形成したりすることもできる。
筒状転動体保持器13や環状止め具14は、ステンレス鋼やアルミニウムに代表される金属材料、あるいはポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、そしてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂に代表される樹脂材料から形成することができる。
図1に示すように、直動軸受10の外筒11に、軸体19をその外周面が上記各転動体12と接触した状態で収容することにより、本発明の直動案内装置を構成することができる。
本発明の直動案内装置は、直動軸受10を用いているため、外筒11の長さに対して軸体19の可動距離が大きく、そして耐久性にも優れている。
図4は、本発明の直動案内装置の別の構成例を示す部分断面図であり、そして図5は、図4の直動案内装置50の右側面図である。
図4及び図5に示す直動案内装置50の構成は、外筒11の内周面と軸体19の外周面との各々に長さ方向に延びる複数本の溝が形成されていて、上記各転動体12が外筒11の各溝11bと軸体19の各溝19aとに係合していること以外は図1に示す直動案内装置と同様である。
直動案内装置50は、各々の転動体12が外筒11の各溝11bと軸体19の各溝19aとに係合していて、これにより軸体19の周方向への回転が防止さるため、軸体19を長さ方向に精密に移動させることができる。
外筒の内周面の溝と軸体の外周面の溝とは、互いに対向配置される。外筒の溝と軸体の溝とは、それぞれ2〜20本(特に、3〜12本)の範囲内にあることが好ましい。軸体の各溝に配置される転動体の数は、2〜30個(特に、3〜20個)の範囲内にあることが好ましい。
10 直動軸受
11 外筒
11a 周溝
11b 溝
12、12a 転動体
13 筒状転動体保持器
14 環状止め具
18、18a、18b 矢印
19 軸体
19a 溝
50 直動案内装置
60 直動軸受
61 外筒
61a 周溝
62 転動体
63 筒状転動体保持器
64 環状止め具
68 矢印
69 軸体

Claims (5)

  1. 内周面に互いに間隔をあけて一対の周溝が形成されている外筒、外筒の内周面の両周溝の間に軸方向及び周方向の各々に沿って配設された複数個の転動体を、各転動体が外周面側及び内周面側の各々に部分的に突き出た状態で保持する筒状転動体保持器、および外筒の各周溝に内周部が当該溝から内側に突き出た状態で収容されている環状止め具を含む直動軸受であって、
    上記環状止め具の内径が、筒状転動体保持器の外径よりも大きな値に設定されていて、この環状止め具の内周部と筒状転動体保持器に保持された転動体のうちの軸方向の両端部に位置する転動体の前記保持器の外周面側に突き出た部位との接触により、筒状転動体保持器の外筒の外部への脱落が防止されていることを特徴とする直動軸受。
  2. 環状止め具の断面が円形である請求項1に記載の直動軸受。
  3. 環状止め具がC字型の形状にある請求項1もしくは2に記載の直動軸受。
  4. 請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の直動軸受の外筒に、軸体をその外周面が上記各転動体と接触した状態で収容してなる直動案内装置。
  5. 外筒の内周面と軸体の外周面との各々に長さ方向に延びる複数本の溝が形成されていて、上記各転動体が外筒の各溝と軸体の各溝とに係合している請求項4に記載の直動案内装置。
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