JP2015183807A - ラジアルころ軸受 - Google Patents

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修一 梶川
Shuichi Kajikawa
修一 梶川
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Abstract

【課題】シンプルな構造でアキシャル荷重を受けることができるラジアルころ軸受を提供すること。
【解決手段】ラジアルころ軸受(1)は、複数のころ(30)と、複数のころ(30)を円周方向に間隔をあけて保持する保持器(10)と、保持器(10)の幅面(14a,14b)に組み込まれ、相手材に対して転がり接触する転がり部材(20a)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、アキシャル荷重を受けることができるラジアルころ軸受に関する。
ラジアルころ軸受は、主としてラジアル荷重を受けるものであり、ラジアル荷重を受ける軸の機構中に組み込まれている。しかし、このラジアルころ軸受は、その用途の中でラジアル荷重だけでなくアキシャル荷重を受けることがある。その一例として、特開2008−169862号公報(特許文献1)には、ラジアル荷重を受けるラジアル軸受と、アキシャル荷重を受ける一対のスラスト軸受とを用いるものとして、自動車のステアリング装置等に用いられるラックアンドピニオン機構が開示されている。
図5は、特許文献1の従来のラジアル軸受とスラスト軸受をラックアンドピニオン機構に取り付けた状態を示す縦断面図である。図5に示すように、このラックアンドピニオン機構は、ラック軸101のはすばのラック101aとはすばのピニオン102とを噛み合わせたものであり、噛み合わせ部のラック101aの背面を支持軸104が嵌挿されたローラ部材105で保持して、ラック軸101の移動を案内するものである。ローラ部材105は、ラック101aの背面に沿って、ラック軸101の背面と転がり接触する。さらに、支持軸104には、フランジ106aを一端に有するスリーブ106が外嵌され、反対側にはワッシャ107が外嵌されている。
はすばのラックアンドピニオン機構では、ラック軸101のはすばのラック101aにはすばのピニオン102が斜めに噛み合うので、ラック軸101に軸力のみでなく、軸力と直角方向の力も作用する。よって、ローラ部材105にはラック軸101からラジアル荷重のほかにアキシャル荷重が負荷される。
このため、ローラ部材105とスリーブ106の間には、ラジアル荷重を受けるラジアル針状ころ軸受109が組み込まれ、ローラ部材105とフランジ106aの間には、フランジ106a側へのアキシャル荷重を受けるスラスト針状ころ軸受110aが組み込まれている。さらに、反対側のローラ部材105とワッシャ107の間には、ワッシャ107側へのアキシャル荷重を受けるスラスト針状ころ軸受110bが組み込まれている。ピニオン102の正転と逆転によってラック軸101は両方向に移動するので、ローラ部材105には軸方向両方向へのアキシャル荷重が負荷されるからである。これにより、ラック軸101の移動を安定して案内することができる。
特開2008−169862号公報
特許文献1に記載されているように、ラジアル荷重とアキシャル荷重の両方の荷重を受けるためには、ラジアル軸受とスラスト軸受とをそれぞれ取り付ける必要がある。この場合、軸受を取り付ける際に大きな取り付けスペースが必要となり、軸受の部品点数が増える。
一方、ラジアル荷重のみが発生しアキシャル荷重が発生しないところでは、ラジアル軸受のみを取り付け、スラスト軸受を取り付けることはない。しかし、軸の撓みや偏荷重の負荷により、ラジアル荷重の5〜10%程度のアキシャル荷重が予期せず発生することがある。この場合、スラスト軸受が取り付けられていないので、保持器の幅面と相手材との滑り摩擦が大きくなることでフリクションロスが発生し、早期に保持器の幅面に磨耗が発生する。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、シンプルな構造でアキシャル荷重を受けることができるラジアルころ軸受を提供することである。
この発明に係るラジアルころ軸受は、複数のころと、複数のころを円周方向に間隔をあけて保持する保持器と、保持器の幅面に組み込まれ、相手材に対して転がり接触する転がり部材とを備える。
好ましくは、転がり部材は、幅面に設けられた円周溝部に配置される転動体を含む。さらに好ましくは、転動体は、鋼球である。さらに、円周溝部の開口幅寸法は、鋼球の直径よりも小さい。
転がり部材は、他の実施形態として、幅面に設けられた円周溝部に配列された軌道盤と、この軌道盤上を転走する転動体とを含む。
好ましくは、ラジアル荷重を受ける複数のころは針状ころであり、保持器の材質は樹脂である。
さらに好ましくは、アキシャル荷重を受ける転がり部材は、保持器の両幅面に組み込まれている。
本発明によれば、シンプルな構造でアキシャル荷重も受けることができるラジアルころ軸受を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るラジアル針状ころ軸受を示す斜視図である。 (a)は図1のラジアル針状ころ軸受の縦断面図であり、(b)は(a)のA部分の拡大図である。 本発明の実施の形態に係るラジアル針状ころ軸受を軸とハウジングの間に組み込んだ場合の断面図である。 本発明の他の実施形態に係るラジアル針状ころ軸受であって、(a)は図1のラジアル針状ころ軸受の縦断面図であり、(b)は(a)のA部分の拡大図である。 従来のラジアル軸受とスラスト軸受をラックアンドピニオン機構に取り付けた状態を示す縦断面図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
はじめに、本実施の形態に係るラジアル針状ころ軸受1の構成について説明する。図1は、ラジアル針状ころ軸受を示す斜視図であり、図2(a)は図1のラジアル針状ころ軸受の縦断面図であり、図2(b)は図(a)のA部分の拡大図である。
本明細書では、ラジアル荷重を受けるラジアルころ軸受としてラジアル針状ころ軸受を用いて説明する。しかし、ラジアル荷重を受けることができるラジアルころ軸受であれば、円筒ころ軸受などの他の種類のころ軸受であっても構わない。
まず、図1を参照して、ラジアル針状ころ軸受1は、複数の針状ころ30と複数の針状ころ30を保持する保持器10とを備える。保持器10は、合成樹脂からなり、円環形状の一対のリング部13a,13bと、一対のリング部13a,13bを相互に接続する複数の柱部11とを備える。また、隣接する柱部11の間には、それぞれ複数の針状ころ30を収納するポケットを形成している。この構成により、ラジアル針状ころ軸受1へはラジアル荷重を受けることが可能である。ここで、ラジアル荷重とは、回転軸に対して直交する方向にかかる荷重であり、主にこの荷重を受ける軸受をラジアル軸受という。
図1及び図2を参照して、保持器10の幅面14a,14bには、一対の円周溝部15a,15bがそれぞれ設けられている。この円周溝部15a,15bは、一対のリング部13a,13bの端面に沿って一対のリング部13a,13b上に延びている。さらに、円周溝部15a,15bは、転がり部材を受け入れる形状で、軸方向に凹むように設けられている。図示した実施形態では、転がり部材とは、転動体のことを指し、本実施形態では転動体として鋼球20a,20bが用いられる。この鋼球20a,20bは、円周溝部15a,15b内にそれぞれ隙間なく整列され、円周溝部15a,15bに沿って円周方向に、公転運動をしながら自転運動をして相手材に転がり接触するものである。
円周溝部15a,15bは、鋼球20a,20bの輪郭に沿うように断面が円弧状である。さらに、円周溝部15a,15bの開口寸法幅は、鋼球20a,20bの直径よりも小さい寸法で形成されている。これにより、鋼球20a,20bが円周溝部15a,15bから脱落することを防止する。また、円周溝部15a,15bの深さを鋼球20a,20bの直径より小さくすることで、鋼球20a,20bがリング部13a,13bから露出する形状となる。この構成により、図示したラジアル針状ころ軸受1はラジアル荷重に加えてアキシャル荷重も受けることが可能である。アキシャル荷重とは、回転軸方向に対してかかる荷重である。
また、保持器10は合成樹脂で形成されており、円周溝部15a,15bの開口寸法幅は、鋼球20a,20bの直径よりも小さい寸法で形成されている。そのため、合成樹脂の弾性変形により円周溝部15a,15bの開口を押し広げることで、複数の鋼球20a,20bを円周溝部15a,15bにそれぞれ配置することができる。
図3はラジアル針状ころ軸受を軸とハウジングの間に組み込んだ場合の断面図である。図3に示すように、ラジアル針状ころ軸受1は、ハウジング41と軸42の間に組み込まれ、相手部材であるフランジ40と当接するものである。
このように組み込まれると、針状ころ30は、ラジアル荷重を受け、軸42とハウジング41との間で転がり接触する。さらに、一方の円周溝部15aに配置された鋼球20aは、フランジ40側へのアキシャル荷重を受け、フランジ40と転がり接触する。これにより、ラジアル荷重の5〜10%程度のアキシャル荷重が発生しても、鋼球20aが公転運動をしながら自転運動をしてフランジ40に転がり接触するため、摩擦抵抗が小さくなり、フリクションロスを抑えることができる。
この構成により、針状ころ30はハウジング41と転がり接触しながらラジアル荷重を受けつつ、鋼球20aはフランジ40と転がり接触しながらアキシャル荷重を受けることができる。したがって、このラジアル針状ころ軸受1を用いることで、ラジアル荷重とアキシャル荷重の両方を受けることができ、部品点数を少なくでき、シンプルな構造の軸受を提供することが可能である。
また、通常アキシャル荷重が発生しない箇所では、ラジアル荷重のみ受けることができるラジアル針状ころ軸受を使用する。しかし、軸42の撓みや偏荷重の負荷により、予期せずラジアル荷重の5〜10%程度のアキシャル荷重が発生することがあるので、本実施形態はそのような場合に有効である。
図4は、本発明の他の実施形態に係るラジアル針状ころ軸受であって、図4(a)は図1のラジアル針状ころ軸受の縦断面図であり、図4(b)は図4(a)のA部分の拡大図である。図4に示す実施形態では、転がり部材は、転動体と軌道盤21a,21bとを備える。この実施形態についても、転動体として鋼球20a,20bが用いられる。
軌道盤21a,21bは、リング状の形態であり、円周溝部15a,15b内に配置される。鋼球20a,20bは、軌道盤21a,21b上をそれぞれ転走する。このように構成することで、鋼球20a,20bの転走面となる軌道面の耐久性が向上し、合成樹脂からなる保持器10の耐久性や磨耗性を高めることができる。
なお、上記した実施の形態では、ラジアル荷重を受けるものとして針状ころを用いたが、これに限らず、棒状ころや円筒ころなどを用いてもよい。
あるいは、上記した実施の形態では、アキシャル荷重を受けることができる転がり部材として鋼球を用いたが、これに限らず、他の実施の形態で示した転動体と軌道盤からなるものや、円柱形状のころなどを用いてもよい。
また、上記した実施の形態では、保持器の材料として合成樹脂を用いたが、これに限られず、金属や熱可塑性の部材などほかの材料でも構わない。
また、上記した実施の形態では、アキシャル荷重を受けることができる転がり部材として保持器の両幅面にそれぞれ設けられているものを用いたが、これに限られず、保持器の一方の幅面にのみアキシャル荷重を受けることができる転がり部材を設けているものであっても構わない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明に係るラジアル針状ころ軸受は、アキシャル荷重も受けることができる点で有利に利用される。
1 ラジアル針状ころ軸受、10 保持器、11 柱部、13a,13b リング部、14a,14b 幅面、15a,15b 円周溝部、20a,20b 鋼球、21a,21b 軌道盤、30 針状ころ、40 フランジ、41 ハウジング、42 軸、101 ラック軸、101a ラック、102 ピニオン、104 支持軸、105 ローラ部材、106 スリーブ、106a フランジ、107 ワッシャ、109 ラジアル針状ころ軸受、110a、110b スラスト針状ころ軸受。

Claims (7)

  1. 複数のころと、
    前記複数のころを円周方向に間隔をあけて保持する保持器と、
    前記保持器の幅面に組み込まれ、相手材に対して転がり接触する転がり部材とを備えた、ラジアルころ軸受。
  2. 前記転がり部材は、前記幅面に設けられた円周溝部に配列される転動体を含む、請求項1記載のラジアルころ軸受。
  3. 前記転動体は、鋼球である、請求項2記載のラジアルころ軸受。
  4. 前記円周溝部の開口幅寸法は、前記鋼球の直径よりも小さい、請求項3記載のラジアルころ軸受。
  5. 前記転がり部材は、前記幅面に設けられた円周溝部に配置された軌道盤と、この軌道盤上を転走する転動体とを含む、請求項1記載のラジアルころ軸受。
  6. 前記複数のころは針状ころであり、前記保持器の材質は樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載のラジアルころ軸受。
  7. 前記転がり部材は、前記保持器の両幅面に組み込まれている、請求項1〜6のいずれかに記載のラジアルころ軸受。
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