JP2010269587A - 成形体の製造方法および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形体の製造方法における熱可塑性接着剤の硬化不良を回避する。
【解決手段】成形体の製造方法では、多数の粒子及び熱可塑性接着剤を含む成形材料を、所定の成形型内に充填し、次いで、該成形型内に加熱蒸気を導入して熱可塑性接着剤を加熱溶融させた後に冷却硬化させることにより、成形材料を所定形状の成形体に成形する。成形材料として、熱可塑性接着剤の含有量が、該熱可塑性接着剤中の不揮発成分が成形後の成形体に含まれる粒子の全表面を覆い尽くす熱可塑性接着剤の量よりも少ないものを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、多数の粒子と熱可塑性接着剤とからなる成形材料に成形型内において蒸気加熱により熱可塑性接着剤を加熱溶融させた後に冷却硬化させて所定形状に成形する電波吸収体などの成形体の製造方法に関し、特に熱可塑性接着剤の硬化不良を回避する対策に関する。
例えば、電波暗室などに用いられる電波吸収体では、導電性粒子と非導電性粒子との混合物を成形型内で蒸気加熱して所定形状(例えば、ピラミッド状など)に成形することが知られている。これは、加熱蒸気が粒子間に供給されることによって非導電性粒子の表面が融解することを利用して、導電性粒子同士および導電性粒子と非導電性粒子とを融着させるようにしたものである。しかし、近年において、分散性や外観上の問題などから導電性粒子のみの電波吸収体が求められている。
導電性粒子は、一般に、非導電性粒子の表面に、導電性粉体を含有してなる導電層が設けられてなっており、その導電層が邪魔になって導電性粒子同士が融着することは殆ど期待できない。そこで、特許文献1に記載されているように、熱可塑性接着剤を混合物に投入し、その熱可塑性接着剤によって粒子同士を接着させるようにすることが行われている。
これにより、非導電性粒子に頼らなくても粒子同士を接着させることができるので、例えば、導電性粒子のみからなる電波吸収体でも容易に製造することができる。
特開平4−56298号公報(第3頁)
ところで、上記の熱可塑性接着剤を投入する際には、その投入量が多過ぎると、余分の熱可塑性接着剤の不揮発成分が粒子間の隙間を塞ぐことがあり、その結果、加熱蒸気の通りが阻害され、このために、熱可塑性接着剤の硬化不良が生じ、適正な電波吸収体の製造が困難になるという問題がある。
尚、上記のような問題は電波吸収体に限られるものではなく、例えば、表面がカラーリングされた発泡ビーズなどの多数の粒子に熱可塑性接着剤を投入撹拌してなる成形材料を用いた各種成形体の場合にも生ずる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、導電性粒子などの粒子と熱可塑性接着剤とからなる成形材料に成形型内において蒸気加熱を供給して所定形状に成形するようにした電波吸収体などの成形体を製造するに当り、熱可塑性接着剤の不揮発成分が粒子間の隙間を塞いで加熱蒸気の通りを阻害することに起因する熱可塑性接着剤の硬化不良を回避できるようにすることにある。
本発明は、多数の粒子及び熱可塑性接着剤を含む成形材料を、所定の成形型内に充填し、次いで、該成形型内に加熱蒸気を導入して熱可塑性接着剤を加熱溶融させた後に冷却硬化させることにより、成形材料を所定形状の成形体に成形する成形体の製造方法であって、成形材料として、熱可塑性接着剤の含有量が、該熱可塑性接着剤中の不揮発成分が成形後の成形体に含まれる粒子の全表面を覆い尽くす熱可塑性接着剤の量よりも少ないものを用いるものである。
本発明によれば、成形材料として、熱可塑性接着剤の含有量が、該熱可塑性接着剤中の不揮発成分が成形後の成形体に含まれる粒子の全表面を覆い尽くす熱可塑性接着剤の量よりも少ないものを用いるので、不揮発成分が粒子間の隙間を塞いで加熱蒸気の供給を阻害するという事態を抑えることができ、熱可塑性接着剤の硬化不良に起因する成形体の不具合を回避することができる。
実施形態に係る電波吸収体の製造工程を示すブロック図である。 電波吸収体の成形作業に用いる成形装置の全体構成を模式的に示す側面図である。 成形材料の作製作業を段階的に示す模式図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る電波吸収体の製造工程を示すブロック図であり、本実施形態に係る電波吸収体は、導電性粒子としての多数の黒ビーズを二次発泡させつつ所定の形状(例えば、ピラミット状)に成形して得られたものであって、例えば電波暗室用の電波吸収体として使用される。
各黒ビーズは、熱可塑性有機高分子の粒子を一次発泡(予備発泡)させてなる非導電性の一次発泡粒子である白ビーズを基体発泡粒子とし、その基体発泡粒子の表面に、導電性粉体を含有してなる導電層が設けられてなっている。これら黒ビーズ同士は、熱可塑性接着剤により接着されて一体化されている。
上記熱可塑性有機高分子の一例としては、ポリ塩化ビニル,塩化ビニリデン系樹脂,テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体,テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体などのハロゲンを含有する難燃性の樹脂類,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン,ポリスチレン,スチレン・アクリロニトリル共重合体,ポリウレタンなどの非ハロゲン含有樹脂,非ハロゲン含有樹脂と難燃剤とからなる難燃性樹脂組成物などが挙げられる。尚、難燃性に関しては、酸素指数OIが少なくともOI=25のものが好ましい。そして、それら熱可塑性有機高分子のうちでは、ポリスチレンおよび塩化ビニリデン系樹脂が好ましい。特に塩化ビニリデン系樹脂は、難燃性,耐候性,発泡体形成性に優れており、その一例としては、塩化ビニリデンの単独重合体,塩化ビニリデンのモノマー,オリゴマー,あるいはポリマーなどと、他の共重合成分(例えば、塩化ビニル,各種アクリル酸エステル,アクリロニトリルあるいはその他のものなどの1種または2種以上)との共重合体,さらにはそれら単独重合体や共重合体を主成分とする組成物などが挙げられる。
上記導電性粉体の一例としては、導電性カーボンブラック,導電性グラファイト,金属粉などが挙げられる。基体発泡粒子の単位表面積当りの導電性粉体の付着量に関しては、導電層の平均厚さtとしてt=0.5〜10μm程度、特にt=1〜5μm程度が好ましく、また、導電層の形成方法としては、その程度の平均厚さの導電層が形成されるものである限り、任意である。その一例としては、例えば基体発泡粒子の表面に油や粘着剤を極く少量塗布して粘着性を付与する表面処理を行った後、その基体発泡粒子と導電性粉体とを混合して該基体発泡粒子の表面に導電性粉体を付着させる方法や、油や粘着剤を極く少量含ませるなどして粘着性を帯びさせた導電性粉体を基体発泡粒子と混合して導電性粉体同士が粘着し合った層を形成する方法や、樹脂バインダ塗料に導電性粉体を分散させてなる導電液を用い、その樹脂バインダ塗料でもって基体発泡粒子の表面上で導電性粉体をバインドする方法などが挙げられる。さらに、上記のように形成した導電層の上にオーバーコート層を設け、該導電層内の導電性粉体の脱落を防止するようにしてもよい。
尚、上記樹脂バインダ塗料を用いる方法の場合、そのような樹脂バインダ塗料の一例としては、紫外線硬化性樹脂塗料や熱硬化性エナメルワニスのような各種の架橋硬化性の低粘度液体や、熱可塑性有機高分子のラテックスのような非架橋硬化性の低粘度液体などが挙げられる。架橋硬化性の低粘度液体を使用する場合には、それが溶剤を含有するものであれば、基体発泡粒子の表面に塗布して乾燥させた後に架橋処理すればよく、無溶剤型のものであれば、塗布後に直ちに架橋処理してもよく、あるいは表面塗布と架橋処理とを並行させることもできる。一方、熱可塑性有機高分子のラテックスを使用する場合には、塗布後に乾燥させるのみでよい。何れの樹脂バインダ塗料を使用する場合でも、乾燥または架橋処理の後には、樹脂にてバインドされた導電性粉体が基体発泡粒子の表面に接着したものが得られる。
上記熱可塑性接着剤の一例としては、主成分がエチレン・酢酸ビニル共重合体であるものや、主成分が変成スチレン・ブタジエン共重合体であるものなどが挙げられる。
ここで、上記のように構成された電波吸収体の製造方法について説明する。先ず、その製造方法に用いる成形装置の説明を、図2に基づいて行う。
成形装置は、固定型10aと可動型10bとが成形面同士を水平方向(図2の左右方向)において対向させるように配置された成形型10を備えている。固定型10aは、図外の支持手段により移動不能に固定されており、可動型10bは、型開閉用シリンダ30により固定型10aに対し開閉移動されるようになっている。そして、これら固定型10aおよび可動型10bが型閉じされたときに、成形すべき電波吸収体の外形形状に倣ったキャビティが両成形面間に形成されるようになっている。尚、以下の説明では、固定型10a側(同図の左側)の部分については、同図の「右」および「左」を、それぞれ「前」および「後」と表現し、可動型10b側(同図の右側)の部分については、同図の「左」および「右」を、それぞれ「前」および「後」と表現している。
固定型10aは、前後両面が開口された矩形短筒状の固定側マスタフレーム20の前面側(図2の右側)に取り付けられており、この固定側マスタフレーム20の後面側(同図の左側)には、固定側バックプレート21が取り付けられている。そして、これら固定型10a,固定側マスタフレーム20および固定側バックプレート21により、気密状の蒸気室22が形成されている。固定側バックプレート21の後方には、成形材料を貯留する貯留部40が配設されており、その貯留部40内の成形材料を成形型10内のキャビティに充填するフィーダ41が固定側バックプレート21および固定型10aを前後方向に貫通した状態に設けられている。また、固定側バックプレート21および固定型10aには、キャビティ内の成形物である電波吸収体を固定型10aの成形面から離型させるべく、該成形面から前方に向かって突出するように設けられた複数本のエジェクタピン23,23,…が前後方向に貫通している。各エジェクタピン23の後端部と固定側バックプレート21との間には、該エジェクタピン23を後方(突出方向とは逆の退入方向)に向かって常時付勢するバックスプリング24が介装されている。これらエジェクタピン23,23,…の後方には、該エジェクタピン23,23,…を突出方向に移動させるように作動するエジェクタプレート25が設けられている。
固定側マスタフレーム20には、蒸気室22に加熱蒸気および冷却水を導入するための導入管42が接続されており、この導入管42の上流側は、図示は省略するが、蒸気を供給する蒸気供給部と、冷却水を供給する冷却水供給部とが択一的に接続されるようになっている。そして、固定型10aには、蒸気室22の加熱蒸気をキャビティ側に放出するための微細な通気孔26,26,…が多数設けられている。また、固定側マスタフレーム20の低位部には、蒸気室22の水などを外部に排出するための導出管43が接続されている。
一方、可動型10bは、前後両面が開口された矩形短筒状の可動側マスタフレーム31の前面側(図2の左面側)に取り付けられており、この可動側マスタフレーム31の後面側(同図の右面側)には、可動側バックプレート32が取り付けられている。そして、これら可動型10b,可動側マスタフレーム31および可動側バックプレート32により、気密状の蒸気室33が形成されている。また、可動側バックプレート32は、上記の型開閉用シリンダ30に駆動連結されており、この型開閉用シリンダ30の伸張作動により、可動型10b,可動側マスタフレーム31および可動側バックプレート32は、型開閉用シリンダ30の伸張作動により型閉じ方向に、また、型開閉用シリンダ30の収縮作動により型開き方向にそれぞれ一体となって移動するようになっている。
上記の導入管42は、可動側マスタフレーム31にも接続されており、このことで、固定側の蒸気室22の場合と同様に、可動側の蒸気室33にも加熱蒸気および冷却水が導入されるようになっている。そして、可動型10bには、蒸気室33の加熱蒸気をキャビティ側に放出するための微細な通気孔34,34,…が多数設けられている。さらに、上記の導出管43は、可動側マスタフレーム31の低位部にも接続されており、この導出管43により蒸気室33内の水などを外部に排出できるようになっている。尚、図示は省略するが、固定側および可動側の蒸気室22,33に対する導入管42による加熱蒸気および冷却水の導入は、両蒸気室22,33に対して同時に行ったり、何れか一方のみに行ったりできるようになっている。
次に、本実施形態に係る電波吸収体の製造工程を、図1のブロック図と、図3の模式図(工程前半の各ステップでの作業状態を示す図)とに基づいて説明する。
ステップ#1では、図3(a)に示すように、非導電性粒子である白ビーズBw,Bw,…に導電性を付与する処理(導電処理)を行って、同図(b)に示すように、黒ビーズBb,Bb,…を得る。具体的には、導電性粉体を含有してなる導電液Lを白ビーズBw,Bw,…に添加する。そして、70〜100℃(例えば85℃)に加熱しつつ15〜45分間(例えば30分間)に亘ってヘンシェルミキサ50により撹拌し、それを乾燥させることで、各白ビーズBwの表面に、導電性粉体からなる導電層を形成する。
ステップ#2では、ステップ#1で得た黒ビーズBb,Bb,…に、図3(c)に示すように、熱可塑性接着剤Hを投入し、70〜100℃(例えば85℃)に加熱した状態で5〜15分間(例えば10分間)に亘って撹拌する。これにより、各黒ビーズBbの表面がそれぞれ熱可塑性接着剤Hで覆われてなる成形材料Mが得られる。
ステップ#3では、ステップ#2で得られた成形材料Mを、成形装置の貯留部40に貯留する。具体的には、例えば真空ポンプで吸い上げて、図3(e)に示すように、貯留部40に移載する。
ステップ#4では、成形装置において、可動型10bを型閉じ方向に移動して成形型10の型閉じを行った後、該成形型10を予熱する。予熱については、導出管43を開いた状態で、各蒸気室22,33に温度TがT=90〜150℃(例えば120℃)でかつ圧力PがP=5〜10×10Pa〔≒0.5〜1.0kgf/cm〕(例えば7.84×10Pa〔≒0.8kgf/cm〕)である加熱蒸気を、5〜20秒間(例えば10秒間)に亘って導入する。
ステップ#5では、成形型10のキャビティ内に成形材料Mを充填する。
ステップ#6では、加熱蒸気を各蒸気室22,33にそれぞれ導入する。具体的には、例えば、導出管43を閉じた状態で、温度TがT=90〜150℃(例えば120℃)でかつ圧力PがP=5〜10×10Pa(例えば7.84×10Pa)である加熱蒸気を、先ず、固定側の蒸気室22に5〜20秒間(例えば10秒間)に亘って導入し、次に、可動側の蒸気室33に5〜20秒間(例えば10秒間)に亘って導入し、しかる後、固定側および可動側の両方の蒸気室22,33に、それぞれ10〜30秒間(例えば15秒間)に亘って導入する。これにより、各黒ビーズBbが二次発泡する一方、熱可塑性接着剤Hが溶融する。
ステップ#7では、各蒸気室22,33にそれぞれ冷却水を導入する。これにより、溶融した熱可塑性接着剤Hが硬化する。
ステップ#8では、可動型10bを型開き方向に移動して成形型10の型開きを行う。
ステップ#9では、エジェクタプレート25を作動させて各エジェクタピン23を突出させ、成形体としての電波吸収体を成形型10から取り出す。
以上のようにして、所定形状に成形された電波吸収体を得ることができる。
そして、本実施形態では、上記のステップ#2において、多数の黒ビーズBb,Bb,…に熱可塑性接着剤Hを投入する際に、熱可塑性接着剤の含有量(投入量)が、熱可塑性接着剤中の不揮発成分が成形後の成形体に含まれる黒ビーズBb,Bb,…の全表面を覆い尽くす熱可塑性接着剤の量よりも少なくなるようにする。それによって、不揮発成分が黒ビーズBb,Bb,…間の隙間を塞いで該隙間における加熱蒸気の通りを阻害するという事態が抑えられるので、熱可塑性接着剤Hの硬化不良に起因する電波吸収体の成形時の不具合を回避することができ、その結果、黒ビーズBb,Bb,…間の接着強度の適正な電波成形体の製造に寄与することができる。
このとき、具体的には、成形後の二次発泡した黒ビーズBbの半径(平均半径)をr〔単位:mm〕、成形体の体積をV〔単位:mm〕、熱可塑性接着剤H中の不揮発成分割合をa〔単位:質量%〕としたとき、上記熱可塑性接着剤Hの投入量(含有量)W〔単位:g〕を、W<3.9×10×V/(a・r)の条件を満たすように設定することが好ましい。この式において、「3.9」という数値は、本発明者が幾多の試行錯誤の末に得た定数であり、熱可塑性接着剤Hの投入量Wがこの式の条件を満たすときに、熱可塑性接着剤Hの不揮発成分が黒ビーズBb,Bb,…間の隙間を塞いで該隙間における加熱蒸気の通りを阻害するのを回避することができるものである。つまり、投入量Wがこの式の条件を満たさないと、超えた分の不揮発成分が黒ビーズBb,Bb,…間の隙間を塞ぐことになり、そのために、加熱蒸気が成形材料M中に遍く行き渡らずに硬化不良を起こす虞が高くなる。
また、成形後の二次発泡した黒ビーズBbの半径(平均半径)をr〔単位:mm〕とすると、成形後の二次発泡した黒ビーズBbの体積v及び表面積sはそれぞれ下記式(1)及び(2)となる。
体積:v=4πr/3(mm) (1)
表面積:s=4πr(mm) (2)
従って、単位体積当たりの黒ビーズBbの個数は下記式(3)となる。
1/v=3/(4πr)(個) (3)
成形体の体積をV〔単位:mm〕とすると、これに含まれる黒ビーズBbの個数nは下記式(4)となる。なお、成形体にはビーズ間の空隙が含まれるが、それが黒ビーズBbの個数に与える影響は極めて小さい。
黒ビーズBbの個数n=V/v (4)
従って、成形体に含まれる黒ビーズBbの全表面積Sは下記式(5)となる。
黒ビーズBbの全表面積S=s・n=(3・V)/r (5)
そして、熱可塑性接着剤H中の不揮発成分割合をa〔単位:質量%〕、及び成形材料Mにおける熱可塑性接着剤Hの投入量(含有量)をW〔単位:g〕とし、bを係数とすると下記式(6)が成立する。
a・W/100=b・S=b・(3・V)/r (6)
これを変形すると下記式(7)となる。
b=(r・a・W)/(300・V) (7)
本発明者らの検討の結果、熱可塑性接着剤Hの投入量W〔単位:g〕を、0.12×10−6≦b≦1.14×10−6の条件が満たされる様に設定することにより、外観異常を有さない成形体を得ることができるものである。
尚、上記の実施形態では、成形材料Mの粒子として、導電性粒子である黒ビーズBb,Bb,…のみを使用する場合について説明しているが、特にこれに限定されるものではなく、黒ビーズBb,Bb,…に加えて、非導電性粒子としての白ビーズBw,Bw,…が併用される場合にも適用することができるし、さらには、白ビーズBw,Bw,…のみが使用される場合にも適用することができる。
また、上記の実施形態では、電波吸収体を製造する場合について説明しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、発泡ビーズなどを用いて成形される容器,ブロック,植木鉢など、それ以外の成形体の製造方法にも適用することができる。
(成形材料)
以下の実施例1〜4及び比較例1〜2の成形体を作製した。
<実施例1>
熱可塑性有機高分子の粒子を一次発泡(20倍)させた白ビーズに導電性粉体を含有する導電液を添加し、それを85℃に加熱しつつ30分間に亘ってヘンシェルミキサにより撹拌した後、それを乾燥させることにより白ビーズの表面に導電性粉体からなる導電層が形成された黒ビーズを得た。次いで、この黒ビーズに熱可塑性接着剤(不揮発成分a=43質量%)を投入し、それを85℃に加熱した状態で10分間に亘って撹拌することにより、黒ビーズの表面がそれぞれ熱可塑性接着剤で覆われた成形材料を調製した。
上記で調製した成形材料を真空ポンプで吸い上げて成形装置の貯留部に貯留し、また、成形装置において、可動型を型閉じ方向に移動して成形型の型閉じを行った後、導出管を開いた状態で、各蒸気室に温度120℃及び圧力7.84×10Paの加熱蒸気を10秒間に亘って導入することにより成形型の予熱を行った。
成形型のキャビティ内に成形材料を充填した後、導出管を閉じた状態で、温度120℃及び圧力7.84×10Paの加熱蒸気を、まず、固定側の蒸気室に10秒間に亘って導入し、次いで、可動側の蒸気室に10秒間に亘って導入し、続いて、固定側及び可動側の両方の蒸気室に15秒間に亘って導入した。その後、各蒸気室に冷却水を導入し、可動型を型開き方向に移動して成形型の型開きを行い、エジェクタプレートを作動させて各エジェクタピンを突出させることにより成形型から成形体を取り出した。この成形体を実施例1とした。
このとき、キャビティ内への成形材料の充填量は、二次発泡後の黒ビーズの全体積が成形体の体積となる量とした。つまり、二次発泡後の黒ビーズの粒子の半径(平均半径)をr及び成形体の体積をVとして、成形体の体積Vを二次発泡後の黒ビーズの粒子の体積v=4πr/3で除した個数nの黒ビーズを含む量とした。具体的には、二次発泡後の黒ビーズの粒子の半径r=1.33mm及び成形体の体積V=2.00×10mmであることから、黒ビーズの体積v=9.85mmであって、従って、個数n=2.03×10個の黒ビーズを含む量とした。なお、黒ビーズの表面積は22.2mm及び黒ビーズの全表面積S=4.51×10mmである。また、成形材料として、キャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが100gのものを用いた。従って、b=(r・a・W)/(300・V)とすると、b=0.10×10−6(g/mm)である。二次発泡後の黒ビーズの粒子の半径rは、二次発泡後の任意の黒ビーズ30〜40個程度のそれぞれについて外径を測定し、それを半分にしたものの数平均として求めることができる。
<実施例2>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが1150gのものを用いたことを除いて実施例1と同様に作製した成形体を実施例2とした。b=1.10×10−6(g/mm)である。
<実施例3>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが1200gのものを用いたことを除いて実施例1と同様に作製した成形体を実施例3とした。b=1.14×10−6(g/mm)である。
<比較例1>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが50gのものを用いたことを除いて実施例1と同様に作製した成形体を比較例1とした。b=0.05×10−6(g/mm)である。
<比較例2>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが75gのものを用いたことを除いて実施例1と同様に作製した成形体を比較例2とした。b=0.07×10−6(g/mm)である。
<比較例3>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが1250gのものを用いたことを除いて実施例1と同様に作製した成形体を比較例3とした。b=1.19×10−6(g/mm)である。
<実施例4>
熱可塑性接着剤(不揮発成分a=72質量%)を用い、成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが75gのものを用いたことを除いて実施例1と同様に作製した成形体を実施例4とした。b=0.12×10−6(g/mm)である。
<実施例5>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが100gのものを用いたことを除いて実施例4と同様に作製した成形体を実施例5とした。b=0.16×10−6(g/mm)である。
<実施例6>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが700gのものを用いたことを除いて実施例4と同様に作製した成形体を実施例6とした。b=1.12×10−6(g/mm)である。
<実施例7>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが750gのものを用いたことを除いて実施例4と同様に作製した成形体を実施例7とした。b=1.20×10−6(g/mm)である。
<比較例4>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが50gのものを用いたことを除いて実施例4と同様に作製した成形体を比較例4とした。b=0.08×10−6(g/mm)である。
<比較例5>
成形材料としてキャビティ内への充填量における熱可塑性接着剤の含有量Wが800gのものを用いたことを除いて実施例4と同様に作製した成形体を比較例5とした。b=1.28×10−6(g/mm)である。
(試験評価方法)
実施例1〜7及び比較例1〜5について、欠けや割れといった外観異常検査を行い、それらのないものを○、あるものを×と評価した。
(試験評価結果)
試験評価結果を表1及び2に示す。
Figure 2010269587
Figure 2010269587
外観異常検査は、実施例1〜7がいずれも○、及び比較例1〜5がいずれも×であった。また、この結果より、熱可塑性接着剤の不揮発成分の大小によらず、少なくとも0.12×10−6≦b≦1.14×10−6の条件が満たされれば、外観異常のない成形体を得ることができることが分かる。
10 成形型
Bb 黒ビーズ(粒子,導電性粒子)
Bw 白ビーズ(粒子,非導電性粒子)
H 熱可塑性接着剤
M 成形材料

Claims (8)

  1. 多数の粒子及び熱可塑性接着剤を含む成形材料を、所定の成形型内に充填し、次いで、該成形型内に加熱蒸気を導入して熱可塑性接着剤を加熱溶融させた後に冷却硬化させることにより、成形材料を所定形状の成形体に成形する成形体の製造方法であって、
    成形材料として、熱可塑性接着剤の含有量が、該熱可塑性接着剤中の不揮発成分が成形後の成形体に含まれる粒子の全表面を覆い尽くす熱可塑性接着剤の量よりも少ないものを用いる成形体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の成形体の製造方法において、
    成形後の粒子の半径をr〔単位:mm〕、成形体の体積をV〔単位:mm〕、熱可塑性接着剤中の不揮発成分割合をa〔単位:質量%〕、及び成形材料における熱可塑性接着剤の含有量をW〔単位:g〕とし、b=(r・a・W)/(300・V)としたとき
    0.12×10−6≦b≦1.14×10−6
    という式を満たす成形体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載された成形体の製造方法において、
    上記熱可塑性接着剤は、主成分がエチレン・酢酸ビニル共重合体である成形体の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載された成形体の製造方法において、
    上記熱可塑性接着剤は、主成分が変成スチレン・ブタジエン共重合体である成形体の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された成形体の製造方法において、
    上記成形体が電波吸収体であり、
    上記多数の粒子が、導電性粒子、非導電性粒子、又はそれらの混合物である成形体の製造方法。
  6. 請求項5に記載された成形体の製造方法において、
    上記多数の粒子が非導電性粒子を含み、該非導電性粒子が熱可塑性有機高分子の粒子を一次発泡させた発泡粒子である成形体の製造方法。
  7. 請求項5に記載された成形体の製造方法において、
    上記多数の粒子が導電性粒子を含み、該導電性粒子が、非導電性粒子の表面に、導電性粉体を含有する導電層が設けられたものである成形体の製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載された成形体の製造方法により製造された成形体。
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