JP2010269481A - 熱可塑性樹脂組成物とゴム組成物の積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物層(1)、液状ポリマー組成物層(2)及びジエン系ゴム組成物層(3)をこの順に組み合わせた積層体であって、該液状ポリマー組成物層(2)中の液状ポリブタジエンが、該熱可塑性樹脂組成物層(1)に含まれる熱可塑性樹脂の主鎖または側鎖の原子と共有結合を形成しうる極性基を有し、かつ、ブタジエン単位中の1,2−結合単位含量が25mol%以上である変性液状ポリブタジエンを30質量%以上含有すること、ならびに該液状ポリマー組成物層(2)および/または該ジエン系ゴム組成物層(3)が加硫剤を含むことを特徴とする積層体。
【選択図】図1
Description
(1)熱可塑性樹脂の官能基と変性液状ブタジエンの極性基が共有結合を形成する。
(2)ジエン系ゴムの炭素−炭素二重結合と変性液状ブタジエンの側鎖の炭素−炭素二重結合とが加硫剤によって架橋する。
〔1〕 熱可塑性樹脂組成物(a)、液状ポリマー組成物(b)及びジエン系ゴム組成物(c)をこの順に組み合わせてなる積層体であって、該液状ポリマー組成物(b)が、該熱可塑性樹脂の主鎖または側鎖の原子と共有結合を形成しうる極性基を有し、かつ、ブタジエン単位中の1,2−結合単位含量が25mol%以上である変性液状ポリブタジエンを30質量%以上含有すること、ならびに該液状ポリマー組成物(b)および/または該ジエン系ゴム組成物(c)が加硫剤を含むことを特徴とする積層体。
〔2〕 前記極性基が、無水マレイン酸基、エポキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕 前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂および変性ポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕または〔2〕に記載の積層体。
〔4〕 前記ジエン系ゴム組成物(c)がアクリロニトリルブタジエンゴム組成物である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層体。
〔5〕 前記熱可塑性樹脂組成物(a)がポリアミド系樹脂であり、前記極性基が無水マレイン酸基、エポキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、該極性基の含量が変性液状ポリブタジエンの5〜25質量%の範囲であり、かつ、前記1,2−結合単位含量が50〜95mol%の範囲である、〔4〕に記載の積層体。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の積層体を、前記熱可塑性樹脂組成物(a)の融点より低い温度で加硫して得られる積層体。
〔7〕 熱可塑性樹脂組成物(a)、液状ポリマー組成物(b)およびジエン系ゴム組成物(c)をこの順で組み合わせ、該熱可塑性樹脂組成物(a)の融点より低い温度で加硫することを特徴とする、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[積層体の構成要素]
《熱可塑性樹脂組成物(a)》
熱可塑性樹脂は、所望の機能・性能と加工性、変性ポリブタジエンの極性基の種類等に応じて適宜選択することができる。
ガスバリア性を要求する場合には、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、またはこれらの共重合体や混合物が好ましい。
脂肪族系ポリアミド樹脂としては、主鎖および側鎖に芳香族環を有しない構造のものであればよく、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ナイロン6−66共重合体、ナイロン6−610共重合体等のコポリアミドを例示でき、さらに、ナイロン6,6−ポリエチレングリコールブロック共重合体等のポリアミド系エラストマーも例示できる。
芳香族系ポリアミド樹脂としては、主鎖および/または側鎖に芳香族環を有する構造のものであればよく、具体的には、メタまたはパラキシリレンジアミンと炭素数が4〜12程度のジカルボン酸とから縮重合されるポリキシリレン系重合体を例示できる。かかる重合体は、ガスバリア−性、低吸水性、低吸湿性等の特性を備えている。
非晶質ポリアミド樹脂としては、結晶性がないものか、結晶性が乏しいものであれば特に制限されないが、一般的には、主鎖および/または側鎖に芳香族環を有する半芳香族系のポリアミド樹脂を例示でき、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸とヘキサメチレンジアミン等のジアミンとの重合体、三元共重合体等が例示できる。このような非晶質系ポリアミド樹脂は、高湿度環境下でのガスバリア性に優れている。
本発明のポリアミド系樹脂としては、脂肪族系ポリアミド樹脂が好ましく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、またはこれらの共重合体が特に好ましい。良好なガスバリア性、成形性、柔軟性を有するからである。
市販のポリアミド系樹脂としては、例えば、アミラン(登録商標、東レ社製:ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロン)、リルサン(登録商標、アルケマ社製、ナイロン11、ナイロン12)を好ましく使用することができる。
ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸等やこれらの混合物を挙げることができる。具体的には、脂肪族ジカルボン酸として、炭素数2〜20のアジピン酸、セバシン酸、ドデカンカルボン酸等が、芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が、脂環式ジカルボン酸として、シクロヘキサンジカルボン酸等が、それぞれ例示される。
ジオール成分としては、脂肪族グリコール、脂環式グリコール等やこれらの混合物を挙げることができる。具体的には、脂肪族グリコールとして、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール等が、脂環式ジオールとして、1,4−シクロヘキサンジオール等が、それぞれ例示される。
さらに、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドグリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリカプロラクトンブロック共重合体等のポリエステル系エラストマーも上記ポリエステル系樹脂に包含される。また、ポリエステル系樹脂は、無水マレイン酸、エポキシ等によって変性されたものを使用してもよい。
市販のポリエステル系樹脂としては、例えば、ハイトレル(登録商標、東レ・デュポン社製)、ボンドファーストVC−40(住友化学社製)を好ましく使用することができる。
市販のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂としては、例えば、エバール(登録商標、クラレ社製、エチレン共重合率24〜48mol%)を好ましく使用することができる。エバールの中でもエチレン共重合比率が32〜38mol%のもの(F、C、Hグレード)を特に好ましく使用することができる。
かかるポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、低密度〜高密度の各種密度ポリエチレン(LLDPE(綿状低密度ポリエチレン、VLDPE(超低密度ポリエチレンを含む。)、ポリプロピレン、ポリブテンおよびこれらの相互共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体(E−GMA)等を例示できる。これらポリオレフィン系樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
これらのポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸又はエポキシ等で変性する方法は特に限定されるものではなく、例えば、グラフト重合法等の、従来から公知の方法で行うことができる。また、変性ポリオレフィン系樹脂として市販されているものを購入して使用することもできる。
市販の変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、アドマー(登録商標、三井化学社製)、ボンドファースト(登録商標、住友化学社製)を好ましく使用することができる。
また、所望によりゴム、熱可塑性エラストマー等の軟質成分を添加して柔軟性を与えることができる。
液状ポリマー組成物は、側鎖に炭素−炭素二重結合を有する液状ポリマーの各種変性物を含有する組成物である。
かかる液状ポリマーとは、硫黄加硫系配合、すなわち、加硫剤としてイオウを用い、窒素原子を有する加硫促進剤と組み合わせる配合、または、イオウを用いず、イオウドナーとなりうるイオウ原子と窒素原子とを有する加硫促進剤を用いる配合により加硫されうるものであり、常温で液状であって、主鎖および側鎖に炭素−炭素二重結合を有するものであれば特に限定されない。例えば、イソプレン単位中に1,2−結合単位を含有する液状ポリイソプレン、ブタジエン単位中に1,2−結合単位を含有する液状ポリブタジエン等が挙げられる。
液状ポリマーの変性は、前記熱可塑性樹脂の主鎖または側鎖の原子と共有結合を形成しうる極性基、例えば、無水マレイン酸基等の酸無水物基、エポキシ基、末端イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ等をグラフト付加等により付加することによって行うことができる。
変性液状ポリマーの極性基は、上記熱可塑性樹脂が有する極性基に依存し、極性基の反応性、立体障害等の諸条件を考慮して好適なものが適宜選択される。
1,2−結合単位の含量は、25mol%以上であり、50〜95mol%の範囲が好ましく、75〜90mol%の範囲がより好ましい。ジエン系ゴム組成物(c)との架橋による接着性の観点からは、含量が高い方が好ましく、架橋硬化後の液状ポリマー組成物の柔軟性等の物性の観点からは、余り高くない方が好ましい。
他の非変性液状ポリマーとしては、具体的には、イソプレン単位中に1,2−結合単位を含有する液状ポリイソプレン、ブタジエン単位中に1,2−結合単位を含有する液状ポリブタジエン等の他、液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ポリα−オレフィン、液状エチレンα−オレフィン共重合体、液状エチレンプロピレン共重合体、液状エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、液状エチレンブチレン共重合体、液状アクリロニトリルブタジエン共重合体、液状シリコーンゴム等が例示され、変性液状ポリマーとしては、具体的には、ヒドロキシ基末端変性ポリブタジエンおよびその水素添加物、ヒドロキシ基末端変性ポリイソプレンおよびその水素添加物等のヒドロキシ基変性ポリマー;エポキシ変性ポリブタジエンなどのエポキシ基変性ポリマー;アクリレート変性ポリブタジエン等の(メタ)アクリレート基変性ポリマー;シラングラフトポリオレフィン、シラン末端ポリオレフィン等の加水分解性ケイ素基含有ポリオレフィン;無水マレイン酸変性ポリイソプレン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブテン、無水マレイン酸変性エチレンプロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレンαオレフィン共重合体等の酸無水物基変性ポリマー;カルボキシ変性ポリブタジエン、カルボキシ変性ポリイソプレン、カルボキシ基末端アクリロニトリルブタジエン共重合体(CTBN)等のカルボキシ基変性ポリマー;アミノ基末端アクリロニトリルブタジエン共重合体(ATBN)等のアミノ基変性ポリマーが例示される。
また、本発明で使用する液状ポリマー組成物(b)は、上記の変性液状ポリマーの含有量が100質量%であってもよいが、変性液状ポリマーの他に、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を必要に応じて配合することができる。添加剤としては、例えば、カーボンブラック、クレー等の充填剤、パラフィン系オイル等(プロセスオイル等)の軟化剤、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤、加硫助剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、接着助剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、ポリマー等が挙げられる。可塑剤を配合する場合は、可塑剤としては沸点が150℃以上のものが好ましい。
市販の変性液状ポリマーとしては、例えば、無水マレイン酸変性されたNISSO−PB BN−1015(日本曹達社製)、ライコン、ライコボンド(商標登録、サートマー社製)エポキシ変性されたNISSO−PB JP−200(日本曹達社製)、アクリレート変性されたNISSO−PB TEA−1000、TE−2000(日本曹達社製)、ライカクリル(商標登録、サートマー社製)を好ましく使用することができる。
ジエン系ゴムは、硫黄加硫系配合、すなわち、加硫剤(架橋剤)としてイオウを用い、窒素原子を有する加硫促進剤と組み合わせる配合、または、イオウを用いず、イオウドナーとなりうるイオウ原子と窒素原子とを有する加硫促進剤を用いる配合により加硫されうるものであれば特に限定されない。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴム)(BR)、カルボキシル化ブタジエンゴム(XBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(XSBR)、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル化クロロプレンゴム(XCR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(XNBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム(NIR)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、ブチルゴム(IIR)、ノルボルネンゴム(NOR)、クロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム(SIBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(HNBR)、α-メチルスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(MSBR)、ビニルピリジン−ブタジエンとの状共重合体ゴム(PBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(PSBR)、が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
かかるアクリロニトリルブタジエンゴムのムーニー粘度(ML(1+4)100℃)が35〜85のものが好ましく、また、結合アクリロニトリル量中心値としては、18〜45質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。耐久性、成形性が優れるからである。
添加剤としては、例えば、カーボンブラック、クレー等の充填剤、パラフィン系オイル等(プロセスオイル等)の軟化剤、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤、加硫助剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、接着助剤、ポリマー等が挙げられる。
ただし、加硫剤(架橋剤)は、液状ポリマー組成物(b)もしくはジエン系ゴム組成物(c)のいずれかまたは両方に含まれる。
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、珪藻土等が挙げられる。
《構造》
本発明の積層体は、熱可塑性組成物からなる樹脂層の上に直接液状ポリマー組成物からなる接着層が積層され、さらにその上に直接ジエン系ゴム組成物からなるゴム層が積層されてなる構造を有するもの(例えば、図1、3)であればよく、樹脂層の接着層とは反対側の表面にさらに接着層を積層し、その上にさらにゴム層を積層してなる構造を有するもの(例えば、図2)としてもよい。
また、樹脂層もしくはゴム層の接着層とは反対側の表面にさらに層を積層して複雑な構造としてもよい。
《熱可塑性樹脂組成物の成形》
公知の方法から熱可塑性樹脂の特性等によって適宜選択される方法によって所望の形状に成形すればよく、特に方法は限定されない。シート状に成形する場合には、例えばプレス成形によって成形することができ、チューブ状に成形する場合には、例えば押出成形によって成形することができる。
《液状ポリマー組成物の塗布》
従来の溶剤系接着剤に代えて使用することができる。塗布量は特に限定されないが、組成物の粘度等によって適宜設定することができる。均一の厚みとなるように塗ることが好ましい。
常温で液状であり、しかも溶媒の蒸発がないので、作業性・環境性に優れる。
《ジエン系ゴム組成物の成形》
公知の方法によって成形することができる。
シート状積層体の場合には、プレス成形したシートを貼り合わせることもできる。
また、チューブ状積層体の場合には、熱可塑性樹脂組成物を押出成形してチューブ状に成形し、その表面に液状ポリマー組成物を塗布し、さらにその上に被覆押出成形してもよい。
《加硫》
公知の方法を使用することができる。熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度であれば、温度は特に限定されない。例えば、125〜200℃(ただし、熱可塑性樹脂組成物の融点以下に限る。)で約5〜200分間、加熱加硫する。加硫方法は特に限定されないが、加硫缶加硫法を使用し、温度125℃〜160℃、圧力1〜10MPa、時間30〜90分の加硫条件とすることが好ましい。
後述のとおりにして得た接着力評価用積層体サンプルを用いて、23℃および50%RHの環境下、測定器具として引張試験機(オートグラフAGS−5kNG、(株)島津製作所製)を用いて、つかみ具移動速度50mm/分の条件で、接着力評価用積層体サンプルの180度はく離試験(JIS K 6854−1:1999)を行い、接着強度を測定した。破壊の様式は、JIS K 6866:1999によって記載した。
接着力の判定は、接着強度4.0N/mm以上を、優れているとして「◎」と判定し、3.0N/mm以上を、良好であるとして「○」と判定し、3.0N/mm未満を不可として「×」と判定した。「◎」および「○」が合格であり、「×」は不合格である。
測定結果を、実施例については第1表に、比較例については第2表に、それぞれ示す。
〈2−1〉熱可塑性樹脂組成物
第1表(実施例)および第2表(比較例)に記載の熱可塑樹脂組成物を、熱プレスを用いて、200〜230℃の条件下で厚さ0.5mmのシート状にした。得られたシートを縦150mm、横150mmに切り出し、熱可塑性樹脂組成物のシート状サンプルとした。
なお、第1表および第2表の被着体1(熱可塑性樹脂組成物)の欄において、PAは、ポリアミド(アミラン CM6041XF、東レ社製)を、EVA−MAHは、無水マレイン酸グラフト変性エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(HPR VR102、三井・デュポンポリケミカル社製)を、epoxy−COPEは、エポキシ変性コポリエステル樹脂(ボンドファースト VC−40、住友化学社製)を、E−GMAは、エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体樹脂(ボンドファースト E、住友化学社製)を、それぞれ意味する。
各実施例および比較例において、下記に記載するとおりの液状ポリマー組成物を使用した。各液状ポリマー組成物の、官能基、ベースポリマーおよびジエンタイプは第1表(実施例)および第2表(比較例)に記載するとおりである。
実施例1、4ないし6においては、無水マレイン酸基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB BN1015、日本曹達社製)を使用した。
実施例2においては、エポキシ基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB JP200、日本曹達社製)を使用した。
実施例3においては、アクリレート基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB TEA−1000、日本曹達社製)を使用した。
比較例1においては、カルボキシル基変性液状ポリブタジエン(NISSO−PB C−1000、日本曹達社製)を使用した。
比較例2、3および4においては、アミノ基末端アクリロニトリルブタジエンゴム(HYCAR ATBN 1300×16、宇部興産社製)を使用した。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(Nipol 1042、日本ゼオン社製)100質量部、カーボンブラック(GPFカーボン、新日化カーボン社製)40質量部、ステアリン酸(ビーズステアリン酸NY、日本油脂社製)2質量部、老化防止剤(ノクラック224、大内新興化学工業社製)2質量部、および加硫剤(油処理イオウ、軽井沢精錬所社製)5質量部を、バンバリーミキサーを用いて100℃で混練し、NBR系ゴム組成物を調製した。
得られたNBR系ゴム組成物を、熱プレスを用いて、100℃の条件下で厚さ2mmのシート状にした。得られたシートを縦150mm×横150mmのサイズで切り出し、ジエン系ゴム組成物のシート状サンプルとした。
熱可塑性樹脂組成物のシート状サンプル(被着体1)(150mm×150mm×0.5mm)の片面に液状ポリマー組成物(接着剤)を塗布し(塗布量100g/m2)、ジエン系ゴム組成物のシート状サンプル(被着体2)(150mm×150mm×2mm)を貼り合わせた。その後、148℃で45分間、加硫処理を行い、接着力評価用サンプルを得た。25mm幅に切り出し、180度はく離サンプルとした。
第1表から明らかなように、実施例1〜6の積層体サンプルは、比較例1〜4の積層体サンプルに比べて接着強度が高く、いずれもその値が3.5N/mm以上と、合格基準(3.0N/mm以上)を明らかに超えるものであった。特に、実施例1および2の積層体サンプルは接着強度が4.5N/mm以上であり、合格基準はもちろん、優れているとする基準(4.0N/mm以上)を明らかに超え、特に優れていた。なお、第1表中、CF40またはCF50とは、CF(凝集破壊)とAF(界面破壊)の混合破壊であり、そのうちCFが約40%または約50%であることをいう。
比較例1〜4はいずれもAF(界面破壊)であったが、比較例1および2では被着体1(熱可塑性樹脂)と接着剤との界面はく離であり、比較例3および4では被着体2(ジエン系ゴム)との界面はく離であった。
2 熱可塑性樹脂組成物(a)からなる樹脂層
3 液状ポリマー組成物(b)からなる接着層
4 ジエン系ゴム組成物(c)からなるゴム層
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂組成物(a)、液状ポリマー組成物(b)及びジエン系ゴム組成物(c)をこの順に組み合わせてなる積層体であって、該液状ポリマー組成物(b)が、該熱可塑性樹脂の主鎖または側鎖の原子と共有結合を形成しうる極性基を有し、かつ、ブタジエン単位中の1,2−結合単位含量が25mol%以上である変性液状ポリブタジエンを30質量%以上含有すること、ならびに該液状ポリマー組成物(b)および/または該ジエン系ゴム組成物(c)が加硫剤を含むことを特徴とする積層体。
- 前記極性基が、無水マレイン酸基、エポキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の積層体。
- 前記熱可塑性樹脂(a)が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂および変性ポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記ジエン系ゴム組成物(c)がアクリロニトリルブタジエンゴム組成物である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 前記熱可塑性樹脂組成物(a)がポリアミド系樹脂であり、前記極性基が無水マレイン酸基、エポキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、該極性基の含量が変性液状ポリブタジエンの5〜25質量%の範囲であり、かつ、前記1,2−結合単位含量が50〜95mol%の範囲である、請求項4に記載の積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を、前記熱可塑性樹脂組成物(a)の融点より低い温度で加硫して得られる積層体。
- 熱可塑性樹脂組成物(a)、液状ポリマー組成物(b)およびジエン系ゴム組成物(c)をこの順で組み合わせ、該熱可塑性樹脂組成物(a)の融点より低い温度で加硫することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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