JP2010265765A - 車両用暖機システム及びこれに用いる車両暖機用蓄熱器 - Google Patents

車両用暖機システム及びこれに用いる車両暖機用蓄熱器 Download PDF

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晴久 豊田
Kenji Kitajima
健二 北島
Masayoshi Hirota
将義 廣田
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Abstract

【課題】装置を小型化できるとともに、短時間に大量の熱を取り出して駆動部の暖機を行うことができ、また、従来の冷却回路を用いてエンジン等の駆動部の暖機を行うことのできる、車両用暖機システム及び車両暖機用蓄熱器を提供する。
【解決手段】駆動部2を冷却する冷却回路6を備えるとともに、蓄熱器7を備えて構成される車両用暖機システム1であって、上記駆動部から発生した熱を、上記冷却回路を流動する熱媒体を介して上記蓄熱機に蓄積する蓄熱行程と、上記蓄熱器に蓄積した熱を、上記熱媒体を介して上記駆動部へ移動させて暖機運転を行う暖機行程とを含み、上記蓄熱行程と上記暖機行程とが、熱伝導性構造体の空隙に固体蓄熱物質を充填した蓄熱構造体を備える上記蓄熱器内に、上記熱媒体を流動させることにより行われるように構成されている。
【選択図】図1

Description

本願発明は、車両用暖機システムに関する。詳しくは、駆動部を冷却する冷却回路を流れる熱媒体を利用して蓄熱するとともに、始動時に上記熱媒体を介して駆動部を暖機する車両用暖機システム及びこれに用いる車両暖機用蓄熱器に関する。
車両始動時に、エンジン等の暖機運転を行うことにより、エンジンオイル等の温度を上昇させて粘度を低下させ、駆動抵抗を減少させることができる。この結果、燃費の向上を期待することができるとともに、各部の摩耗等を減少させることができる。また、始動時のエンジンでは、低温で燃料が燃焼させられるため、排気に有害物質が多量に含まれる。このため、できるだけ速やかに暖機運転を行うのが好ましい。暖機運転を促進するために、蓄熱装置を備えた内燃機関が提供されている。
特開2002−138833号 特開2005−353327号
上記特許文献1に記載されている内燃機関では、機関運転中に加熱された機関冷却水を利用して蓄熱装置に排熱を蓄熱するとともに、暖機運転時に上記蓄積した熱を、上記機関冷却水を介して駆動装置のATFウォーマへ供給し、ATF(Automatic transmission Fluid)を加熱できる暖機システムが設けられている。
上記蓄熱装置を設けることにより、内燃機関の暖機運転を促進して、短時間にATFの温度を上昇させることができる。この結果、始動時の燃費の向上を期待することができる。
また、ハイブリッド自動車や電気自動車や燃料電池自動車においても、始動時に駆動系のオイルや電池等の温度を上昇させるのが好ましい。特にハイブリッド自動車においては、モータによる走行時にアイドリングストップした状態となることが多く、エンジンオイル等の温度が低下しやすい。このため、走行中の暖機運転を行うことにより、エンジンオイル等を所定温度以上に保持して、燃費を向上させることができる。
特許文献2には、燃料電池及び電力消費機器の排熱を蓄熱槽に蓄熱し、燃料電池用の熱交換器等に循環させることにより暖機を行う電気自動車が開示されている。
暖機運転は、始動の際の短時間に、蓄熱装置から大量の熱を取り出して駆動部に移動させて投入しなければならない。このため、上記特許文献1では、加熱されて高温になった上記機関冷却水を、蓄熱装置の保温容器に貯溜し、暖機運転時にこの冷却水をパイプ等介してATFウォーマへ供給するように構成している。
ところが、加熱した上記機関冷却水を一定量貯溜するための保温容器を設けなければならない。したがって、蓄熱装置が大型化し、車両によっては、設置スペースを確保するのが困難な場合がある。また、その分車両重量が増加するため、燃費の改善効果はあまり期待できない。
しかも、大量の機関冷却水を高温で長時間保持するのは困難である。このため、車両を長時間運転しない場合には、上記機関冷却水の温度が低下して、十分な暖機運転を行えない恐れもある。
また、上記冷却回路と別に、上記ATFウォーマに到る配管を別途設けて、冷却水を循環させるように構成しているため、装置が複雑になるとともに、製造コストも増加する。
さらに、効果的な暖機運転を行うには、短時間に、しかも大量の熱を、上記機関冷却水を介してATF等に投入する必要がある。このため、蓄熱器や暖機部材の熱交換器に高い熱交換性能が求められる。熱交換性能を高めるには、大きな熱交換面積を確保し、あるいは、大きな流速で上記機関冷却水を循環させなければならない。ところが、大きな熱交換面積を確保すると装置が大型化する。一方、機関冷却水の循環速度を高めるには、大きなポンプが必要になり、さらに配管の水密性も高める必要が生じる。したがって、製造コストが増加する。
特許文献2に記載されている燃料電池自動車においても、上記特許文献1と同様に、水やオイルを熱媒体として駆動部を冷却するように構成されており、上記特許文献1に記載された発明と同様の問題ある。
本願発明は、装置を小型化できるとともに、短時間に大量の熱を取り出して駆動部の暖機を行うことができ、また、従来の冷却回路を用いてエンジン等の駆動部の暖機を行うことのできる、車両用暖機システム及び車両暖機用蓄熱器を提供することを課題とする。
本願の請求項1に記載した発明は、駆動部を冷却する冷却回路を備えるとともに、蓄熱器を備えて構成される車両用暖機システムであって、上記駆動部から発生した熱を、上記冷却回路を流動する熱媒体を介して上記蓄熱機に蓄積する蓄熱行程と、上記蓄熱器に蓄積した熱を上記熱媒体を介して上記駆動部へ移動させて暖機運転を行う暖機行程とを含み、上記蓄熱行程と上記暖機行程とが、熱伝導性構造体の空隙に固体蓄熱物質を充填した蓄熱構造体を備える上記蓄熱器内に、上記熱媒体を流動させることにより行われるように構成されている。
本願発明に係る車両用暖機システムにおいては、駆動部の冷却回路を利用して、蓄熱器に熱を蓄積する。内燃機関を駆動源とする車両においては、エンジン、トランスミッション等から出る排熱を熱源として利用できるとともに、上記部材を冷却する熱媒体を介して蓄熱器に蓄熱することができる。
ハイブリッド車や電気自動車や燃料電池自動車においても、熱媒体が流動させられる冷却回路を備えていれば、本願発明を適用できる。たとえば、駆動用モータやパワーモジュール等から生じる排熱を上記熱源として利用できる。
本願発明に係る蓄熱行程は、定常運転時に上記熱媒体を上記蓄熱器内に流動させることにより、上記蓄熱行程が行われる。一方、エンジンの始動時等において、上記蓄熱器に蓄積した熱を、上記熱媒体を介して上記駆動部に戻すことにより、暖機行程が行われる。
上記蓄熱行程と上記暖機行程とは、熱伝導性構造体の空隙に固体蓄熱物質を充填した蓄熱構造体を備える蓄熱器内に、上記熱媒体を流動させることにより行われる。例えば、多孔質体構造体、ハニカム構造体、複数のフィン構造体等の熱伝導性構造体の空隙に固体蓄熱物質を保持させることにより蓄熱構造体を構成できる。
上記熱伝導性構造体は、上記固体蓄熱物質に比べて熱伝導率が高い。これら熱伝導性構造体を一体的に構成することにより、蓄熱物質だけの場合に比べて蓄熱構造体内部の熱伝導率は格段に大きくなる。したがって、入熱時や放熱時において、蓄熱構造体内部の熱移動が格段に速くなり、蓄熱構造体内部の温度差も小さくなる。この構造を採用することにより、短時間に大量の熱を蓄熱し、かつ放熱することが可能となり、エンジン始動時における短時間に大量の熱を取り出して暖機運転を促進することが可能となる。
請求項2に記載した発明は、上記冷却回路が、駆動部において加熱された上記熱媒体をラジエータに移動させる高温側冷却管路と、上記ラジエータにおいて放熱させた上記熱媒体を上記駆動部へ戻す低温側冷却管路とを有するとともに、上記高温側冷却管路の中間部から分岐して延出するとともに上記蓄熱器に接続される蓄熱器入熱管路と、上記蓄熱器から延出して上記高温側冷却管路又は上記低温側冷却管路に接続される蓄熱器戻り管路とを有する蓄熱回路を介して上記熱媒体を流動させることにより、上記蓄熱行程と上記暖機行程とが行われるように構成したものである。
内燃機関を駆動部とする自動車においては、上記駆動部で発生した熱をラジエータまで運んで放熱されるように構成されている。本請求項に記載した発明は、上記駆動部から上記ラジエータにつながる冷却回路に、バイパス形態の蓄熱回路を設けたものである。上記蓄熱回路は、高温側冷却管路と低温側冷却管路に掛け渡すように設けることができる。また、蓄熱器入熱管路と蓄熱器戻り管路の双方を上記高温側冷却管路に接続して、上記高温側冷却管路と並列状の蓄熱回路を設けることもできる。この蓄熱回路を設けることにより、上記駆動部で生じた熱を蓄熱する蓄熱行程と、蓄熱器の熱を上記駆動部へ戻す暖機行程とを行うように構成している。
本願発明では、駆動部から出た熱を蓄熱するものであるため、蓄熱器の熱を駆動部に戻すだけで暖機行程を行うことができる。したがって、従来の冷却回路を利用して暖機行程を行うことが可能となり、システムをコンパクトに構成することができる。
また、暖機行程の効率を上げるため、請求項3に記載した発明のように、上記蓄熱器から流出する熱媒体を、上記蓄熱器又は上記蓄熱器戻り管路の途中から上記駆動部近傍の上記低温側冷却回路にいたる暖機管路を介して上記駆動部へ流動させることにより、上記暖機行程を行うように構成することができる。
上記暖機管路を設けることにより、上記蓄熱器で加熱された熱媒体を直接駆動部に供給することが可能となる。また、上記暖機管路に断熱処理を施すことにより、熱効率をさらに向上させることができる。
請求項4から請求項13に記載した発明は、車両暖機用蓄熱器に関するものである。
請求項4に記載した発明は、蓄熱容器内部に、駆動部を冷却する熱媒体を流動させて熱交換を行う車両暖機用蓄熱器であって、熱伝導性構造体の空隙に固体蓄熱物質を保持して構成される蓄熱構造体と、上記熱媒体を流動させる熱交換流路とを備えて構成される。
上記熱伝導性構造体として、金属等で形成された熱伝導性の多孔質構造体、ハニカム構造体、複数のフィン構造体等を採用することができる。これら、構造体の空隙に固体蓄熱物質を充填して保持させることにより、蓄熱構造体を構成できる。
請求項5に記載した発明のように、連続気孔を有する多孔質熱伝導性構造体の空隙に上記固体蓄熱物質を充填することにより、上記蓄熱構造体を構成することができる。
上記固体蓄熱物質を保持できれば、種々の多孔質熱伝導性構造体を採用できる。たとえば、銅、ニッケル、アルミ、鉄やクロム合金等の金属多孔質体を採用できる。これら金属多孔質体は、固体蓄熱物質に比べて熱伝導率が高く、また固体蓄熱物質と接触する面積が大きいため、蓄熱構造体内部において熱移動が迅速に行われる。
上記多孔質熱伝導性構造体の形態及び製造手法も特に限定されることはない。たとえば、発泡により内部に連続気孔を形成した金属多孔質体を採用できる。また、特許第2628600号公報に記載されているような、3次元網状構造を備える金属多孔質体の空隙部に固体蓄熱物質を保持させることにより、上記蓄熱構造体を形成することができる。
上記多孔質体として、70%以上の空隙率を備えるものを採用するのが好ましい。さらに、90%以上の空隙率を備えるものを採用するのがより好ましい。空隙率が大きくなるほど、上記多孔質体に保持させることができる固体蓄熱物質の量が増加し、蓄熱構造体の熱容量が大きくなる。
上記固体蓄熱物質として、請求項13に記載したように、固体形状を保持したまま潜熱を蓄熱できる樹脂蓄熱物質を採用するのが好ましい。たとえば、三菱電線工業株式会社製の潜熱蓄熱材(登録商標MHSシリーズ)を採用することができる。
上記潜熱蓄熱材は、蓄熱温度約30℃〜80℃の所定の温度において、蓄熱することが可能であり、固体のままで175〜180kJ/kgの潜熱量を有している。このため、少ないスペースに、大量の熱を蓄積することが可能となる。
熱伝導性構造体の空隙に蓄熱物質を充填する手法として、種々の手法を採用することができる。たとえば、重力や遠心力を利用した手法を採用できる。
請求項6に記載した発明のように、板状の熱伝導部材を備えて上記蓄熱構造体を構成できる。上記熱伝導部材は、銅、鉄、アルミ、アルミ合金等の熱伝導率の高い金属材料から形成することができる。
また、上記熱伝導部材によって、上記蓄熱容器内の空間を複数の領域に区画し、各区画に固体蓄熱物質を保持するように構成することができる。この構造を採用することにより、上記各区画に保持された固体蓄熱物質に対して、上記熱伝導部材を介して入熱及び放熱を行わせることが可能となる。このため、上述した熱伝導性多孔質構造体を採用した場合と同様に、蓄熱構造体内部において熱移動が迅速に行われ、短時間に大量の熱を蓄熱し、また、放熱させることができる。なお、上記区画された各領域に、蓄熱物質を保持させた多孔質熱伝導性構造体を配置することもできる。
上記熱媒体を流動させる熱交換流路の構成も特に限定されることはない。たとえば、請求項7に記載した発明のように、上記熱交換流路を、上記蓄熱容器を貫通して上記熱媒体を流動させる熱伝導性のパイプを設けて構成することができる。上記蓄熱構造体と熱媒体との熱交換効率を高めるために、請求項8に記載した発明のように、上記熱伝導性構造体を、上記パイプの外周に接合するのが好ましい。上記接合方法も特に限定されることはなく、溶接、ロウ付け、圧接等を採用することができる。
上記パイプの形態も特に限定されることはない。円筒状のものに限定されることはなく、断面矩形状等の形態のパイプを採用できる。また、断面星形等の形態のパイプを採用することにより熱交換面積を大きくして、熱媒体との熱交換効率を高めることができる。
請求項9に記載した発明のように、上記熱交換流路を、上記蓄熱容器内を上記熱伝導部材で区画することにより形成することができる。たとえば、上記蓄熱器内部の空間を上記熱伝導部材によって複数の領域に区画し、一部の領域に上記熱媒体を流動させるように構成することができる。
請求項10に記載した発明のように、固体蓄熱物質を保持した空間及び/又は上記熱交換流路に延出する熱交換部材を設けることにより、蓄熱器内部での熱移動を迅速に行うことが可能となり、熱交換効率をさらに高めることができる。
例えば、熱交換流路としてパイプを採用した場合、上記パイプの内周壁から熱媒体が流動する空間に延出するフィン状の熱交換部材を設けることにより、パイプ内を流動する熱媒体との熱交換効率を高めることもできる。
請求項11に記載した発明は、上記熱交換流路に、連続気孔を有する熱伝導性多孔質体を充填したものである。
上記熱伝導性多孔質体として、上記蓄熱構造体を構成する多孔質熱伝導性構造体を採用できる。上記熱伝導性多孔質体を熱交換流路に充填し、その空隙に熱媒体を流動させることにより、熱媒体との熱交換効率を高めることができる。
請求項12に記載した発明は、上記蓄熱構造体が、連続気孔を有する多孔質構造を備えるとともに、上記連続気孔が上記熱交換流路を構成するものである。
本請求項に記載した発明は、蓄熱構造体自体を多孔質状に形成し、熱媒体を上記蓄熱構造体の連続気孔内に直接流動させることにより、蓄熱行程及び暖機行程を行うことができるように構成したものである。すなわち、熱媒体が流動させられるパイプ等を介することなく、蓄熱構造体との間で直接熱交換を行わせる。この構成を採用することにより、非常に大きな熱交換面積を確保できる。このため、熱交換効率を格段に高めることが可能となる。したがって、暖機行程における短時間に大量の熱を蓄熱器から取り出して、エンジン等に供給することが可能となる。
本願発明に係る暖機システムは、装置を小型化できるとともに、蓄熱器から短時間に大量の熱を取り出して駆動部の暖機を行うことができ、また、従来の冷却回路を用いてエンジン等の駆動部の暖機を行うことができる。
本願発明に係る暖機システムの構成を示す概略回路図である。 第1の実施形態に係る蓄熱器の構造を示す軸に沿う断面図である。 図2におけるIII −III 線に沿う断面図である。 本願発明に係る蓄熱構造体の製造方法の一例を示す図である。 第2の実施形態に係る蓄熱器の構造を示す図であり、図3に相当する断面図である。 第3の実施形態に係る蓄熱器の構造を示す図であり、図2に相当する断面図である。 第4の実施形態に係る蓄熱器の構造を示す図であり、図2に相当する断面図である。 図7における VIII−VIII 線に沿う断面図である。 第5の実施形態に係る蓄熱器の構造を示す図であり、図2に相当する断面図である。 図9に示す蓄熱構造体の内部構造を示す拡大断面図である。
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
図1に、本願発明に係る暖機システムの概略図を示す。この実施形態は、内燃機関である車両のエンジンを暖機するシステムに本願発明を適用したものである。
本実施形態に係る暖機システム1は、駆動装置としてのエンジン2と、ラジエータ3と、上記エンジン2と上記ラジエータ3との間で冷却用の熱媒体を流動させる高温側冷却管路4及び低温側冷却管路5から構成される冷却回路6とを備える。
上記冷却回路6では、エンジン2を冷却した熱媒体が、上記高温側冷却管路4を介して上記ラジエータ3に送られる。ラジエータ3では、水や外気を利用して熱媒体から熱を放熱させる。そして、放熱されて温度が下がった熱媒体が、上記低温側冷却管路5を介して上記エンジン2に戻される。上記熱媒体として不凍液(LLC)が用いられている。上記熱媒体は、上記低温側冷却管路5中に設けられた循環ポンプP1よって、エンジン稼働中に上記冷却回路内を循環流動させられて、エンジン2の過熱を防止している。
本実施形態に係る暖機システム1では、上記高温側冷却管路4を流れる熱媒体を利用して蓄熱する蓄熱器7を設け、この蓄熱器7に蓄積された熱によって暖機行程が行われる。本実施形態では、上記蓄熱器7を設けるために、上記高温側冷却管路4の中間部から分岐して延出するとともに、蓄熱器7に接続される蓄熱器入熱管路8と、上記蓄熱器7から延出して上記低温側冷却管路5に接続される蓄熱器戻り管路9とを有する蓄熱配管10が設けられる。なお、高温側冷却管路4から延出する蓄熱器入熱管路を設けて熱媒体を蓄熱器内に導入するとともに、蓄熱器戻り管路を高温側冷却管路4に接続して蓄熱配管を設けることもできる。また、蓄熱配管10の流量を調節して、蓄熱器内部は温度上昇するが、低温側冷却管路5の熱媒体の温度が上昇しないように構成することもできる。
エンジン2の稼働中に、上記高温側冷却管路4を流れる熱媒体の温度は90℃程度であり、上記低温側冷却管路では60℃程度まで温度が低下する。本実施形態では、上記エンジン冷却用の熱媒体を利用して、上記蓄熱器7に熱を蓄熱する。
上記蓄熱配管10に上記熱媒体を導入するため、上記高温側冷却管路4から上記蓄熱器入熱管路8が分岐する分岐点に、第1の3方弁Aが設けられている。上記3方弁Aは、熱媒体の流路を、上記ラジエータ3側と上記蓄熱器7側に向けて切り替えることができるとともに、高温側冷却管路4を閉止できるように構成されている。
一方、上記蓄熱器戻り管路9には、上記蓄熱器7で放熱させられた熱媒体を上記低温側冷却管路5に戻すための第2の3方弁Bが設けられる。本実施形態では、上記第2の3方弁Bは、上記蓄熱器戻り管路9の中間部に設けられているとともに、エンジン暖機用の暖機管路11と上記低温側冷却管路5とに流路を切り替えることができるように構成されている。また、上記第2の3方弁Bは、蓄熱回路10を閉止することもできるように構成されている。
上記高温側冷却管路4と上記蓄熱器入熱管路8とを連通させるように上記第1の3方弁Aを制御するとともに、上記蓄熱器戻り管路9を上記低温側冷却管路5に連通させるように上記第2の弁Bを制御することにより、上記高温側冷却管路4から上記蓄熱回路10に熱媒体を導入して蓄熱行程を行うことができる。また、上記蓄熱器入熱管路8と上記蓄熱器戻り管路9を閉止することにより、上記蓄熱器7を上記冷却回路6から切り離すことができるように構成している。
本実施形態では、上記蓄熱器7と上記冷却回路6の一部を利用して上記エンジン2の暖機行程を行うように構成している。エンジン2の暖機行程を行うために、上記第2の弁Bから延出してエンジン2の近傍の上記低温側冷却管路5に接続された暖機管路11が設けられている。上記暖機管路11は、上記蓄熱器7で加熱された熱媒体を直接流動させるために設けられたものであり、断熱処理が施されている。
また、本実施形態では、上記高温側冷却管路4における上記第1の弁Aの上流側と、上記低温側冷却管路5とをつなぐバイパス回路27が設けられている。上記バイパス回路27と上記低温側冷却管路5の接続部には、第3の弁Cが設けられている。上記弁Cには、サーモスタット付の3方弁が採用されている。エンジン暖機運転時に、上記第3の弁Cと上記第1の弁Aによって、上記高温側冷却管路4を閉止するとともに、上記低温側冷却管路5と上記バイパス回路27を連通させることにより、上記バイパス回路27を介して上記冷却用の熱媒体の一部が循環するように構成している。
上記3方弁Cは、上記バイパスを流れる媒体の温度によって弁の開度を変更するように構成されており、バイパス回路27を流れる熱媒体の温度が所定以上に達すると、上記バイパス回路27を閉じるように構成されている。
本実施形態では、上記各弁A、B、ポンプP1、温度計測装置T1,T2を、図示しない蓄熱器コントロールユニットを用いて制御するように構成している。
上記温度計測装置T1によって、エンジン2から排出される冷却液の温度を計測し、所定温度以上になった場合に蓄熱行程が行われる。エンジン2の暖機行程を行う場合には、上記弁Aを熱媒体が蓄熱器7に流れるように制御するとともに、上記弁Bを熱媒体が暖機管路11に流れるように制御する。
一方、上記温度計測装置T2によって、蓄熱器7における蓄熱温度を測定し、所定の蓄熱温度に達した後は上記弁A、Bを操作することにより、蓄熱行程を終了する。
上記暖機行程は、主としてエンジン始動時に行われる。なお、ハイブリッド車両では、モータで走行している場合にエンジンが停止されることが多い。このため、走行時等において、冷却用の熱媒体の温度が低下した場合等に、エンジンを暖機するように構成することもできる。
上記構成を採用することにより、エンジン冷却用の熱媒体を利用して蓄熱器7に蓄熱することができる。また、始動時等に、上記蓄熱器に蓄積した熱及び上記熱媒体を利用して、エンジンの暖機を行うことができる。しかも、本実施形態では、従来の冷却回路6の一部を利用して、暖機システム1を構成することができる。したがって、暖機システム1をコンパクトに構成することができる。また、暖機用の配管等を容易に設置することができる。
図2及び図3に、第1の実施形態に係る蓄熱器7の構造を示す。上記蓄熱器7は、断熱性を有する円筒状の蓄熱容器16内に蓄熱構造体17が充填されているとともに、上記蓄熱回路10を構成するパイプ18が、上記蓄熱器7内を貫通するように設けられている。上記パイプ18は、銅等の熱伝導率の高い金属材料から形成されている。上記パイプ18には、エンジン2を冷却する上記熱媒体が流動させられる。本実施形態では、上記蓄熱器入熱管路8から上記熱媒体を蓄熱器7内に導入するとともに、上記蓄熱器戻り管路9から排出できるように構成している。これにより、上記ポンプP1で冷却回路6を循環流動させられる熱媒体が上記蓄熱器内7に導入させられ、エンジン2で発生した排熱を蓄熱できるように構成している。
本実施形態における上記蓄熱構造体17は、連続気孔を備える多孔質熱伝導性多孔質体19の空隙に、固体状の樹脂蓄熱物質20を保持させて構成されている。
図4に、上記蓄熱構造体17を構成する多孔質熱伝導性構造体19の外観形態及び、蓄熱構造体17の製造手法の一例を示す。本実施形態では、樹脂蓄熱物質20を、容器21内で融点以上に加熱して溶融させ、これに上記多孔質熱伝導性構造体19を浸漬する。これにより、溶融状態にある上記樹脂蓄熱物質20が、上記多孔質熱伝導性構造体19の空隙部に充填される。
上記多孔質熱伝導性構造体19は、通気性を有する3次元網状構造を備える。本実施形態では、空隙率が90%以上のニッケルの金属多孔質体を採用している。
上記多孔質熱伝導性構造体19は、種々の手法を用いて製造されたものを採用することができる。たとえば、発泡させた多孔質樹脂支持体に、無電解メッキ、真空蒸着、スパッタリング等の方法で、カーボンや金属を被覆して導電性を付与する。この導電性を付与した多孔質樹脂支持体をメッキ浴中で給電ブスバーを兼ねた回転軸の周りに回転する陰極体の表面に密着させることにより、陽極から金属を上記多孔質体に電気メッキする。その後、上記多孔質樹脂支持体を除去することにより、図4に示すような、三角柱状の骨格が3次元に連なった連続気孔をもつ金属多孔質体19を得ることができる。
本実施形態に係る樹脂蓄熱物質20は、パラフィン、樹脂、その他添加剤を含んで構成される固体状の樹脂蓄熱物質である。蓄熱温度は、約30〜80℃であり、約2.5kJ/kg・Kの比熱、0.21〜0.22W/mKの熱伝導率を有している。また、固体形状を保持したまま、175〜180kJ/kgの潜熱量を有している。また、融点は100℃以上である。たとえば、三菱電線工業に係る潜熱蓄熱材(登録商標MHSシリーズ)を採用することができる。
本実施形態に係る上記蓄熱構造体17は、一体的につながる3次元編目状の上記多孔質熱伝導性構造体19の空隙全体に、樹脂蓄熱物質20を保持させた形態を備える。上記多孔質熱伝導性構造体19の熱伝導率は、上記樹脂蓄熱物質20より大きい。このため、上記蓄熱構造体17の内部では、主として上記多孔質熱伝導性構造体19を介して熱が移動させられ、上記蓄熱構造体17内部における熱移動の速度が速い。したがって、上記蓄熱回路10から入熱された熱を、上記蓄熱構造体17の全域に移動させることができる。このため、上記蓄熱構造体17を採用することにより、短時間に大量の熱を上記蓄熱回路10から蓄熱できる。
上記構成を採用することにより、上記熱媒体から上記樹脂蓄熱物質20に熱を迅速に移動させて蓄熱行程を行うことができる。また、上記樹脂蓄熱物質20から、上記蓄熱回路10を流動する熱媒体に熱を迅速に移動させて暖機行程を行うことができる。しかも、短時間に大量の熱を、エンジン冷却用の熱媒体を介してエンジンに移動させて投入することが可能となり、始動時等における暖機運転を促進することができる。
また、本実施形態に係る上記蓄熱器7は、小型軽量であり、装置重量が大きく増加することもない。しかも、従来のエンジン冷却回路6の一部を利用しているため、装置全体をコンパクトに構成することができる。
図5は、第2の実施形態に係る蓄熱器7aの断面図であり、図3に対応する断面図である。第2の実施形態では、蓄熱構造体17aは、上記パイプ18の外周部の母線に沿って放射状に延びるように複数の熱伝導部材29を備えて構成されている。上記熱伝導部材29は、上記蓄熱容器16の内周壁まで延出させられており、上記パイプ18の外周部と上記蓄熱容器16の内周壁との間に形成された円筒状の空間が複数の領域に区画されている。そして、区画された上記各領域に上記多孔質熱伝導性構造体19に充填された樹脂蓄熱物質20が保持されている。上記熱伝導部材29は、銅等の高い熱伝導率を備える金属材料から形成されているとともに、上記パイプ18の外周に溶接等の方法で接続されている。また、上記固体蓄熱物質が充填された多孔質熱伝導性構造体19が、上記熱伝導部材29に圧接して設けられている。
上記熱伝導部材の構成は、図5に示す形態に限定されることはない。たとえば、図6に示す第3の実施形態のように構成することができる。
第3の実施形態に係る蓄熱構造体117は、第1の実施形態と同様に、樹脂蓄熱物質20を保持させた多孔質熱伝導性構造体119を、蓄熱容器116内において、蓄熱回路10を構成する熱伝導性のパイプ118の外周に配置して構成される。
本実施形態に係る熱伝導部材129は、上記パイプ118を通挿できる中心穴を有する円板状に形成されており、上記パイプ118の軸方向に略平行に所定間隔で配列されるとともに、上記パイプ118の外周部に溶接等の方法で接続されている。
上記構成を採用することにより、上記第2の実施形態と同様に、パイプ118を流動する熱媒体から、上記熱伝導体129及び多孔質熱伝導性構造体119を介して、上記蓄熱構造体117の隅々に迅速に熱を移動させて蓄熱行程を行うことができる。また、上記蓄熱構造体117から上記熱媒体に熱を移動させて暖機行程を行うことができる。
図7及び図8に、第4の実施形態に係る蓄熱器207を示す。
第4の実施形態に係る蓄熱器207は、上記第1の実施形態と同様に、断熱性のある材料から形成された蓄熱容器216内に、固体蓄熱物質を備える蓄熱構造体217を設けて構成されている。
上記蓄熱構造体217は、連続気孔を備える多孔質熱伝導性構造体219の空隙に、固体状の樹脂蓄熱物質220を充填して形成された蓄熱部221と、熱媒体が流動させられる熱交換流路222とを備えて構成されている。なお、多孔質熱伝導性構造体219に固体蓄熱物質220を充填する手法は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
図8に示すように、上記蓄熱容器216の中心軸から放射状に延びるように配置された熱伝導部材229が設けられている。上記熱伝導部材229は、上記蓄熱容器216の内周壁まで延出させられており、蓄熱容器216内の円筒状の空間を、8つの領域に区画している。上記熱伝導部材229は、第1の実施形態と同様に、銅等の高い熱伝導率を備える材料から形成されている。
上記熱伝導部材229によって区画された8の領域のうち、一つおきに形成された領域に、上記樹脂蓄熱物質20を充填した多孔質熱伝導性構造体が配置されて蓄熱部221が形成されている。上記蓄熱容器216の左右の軸方向壁には、熱媒体を導入する導入口208と排出口209とがそれぞれ設けられている。上記多孔質熱伝導性構造体が配置されていない領域は、熱媒体が流れる熱交換流路222としている。上記熱交換流路222に、上記導入口208を介して熱媒体が導入されるとともに、上記排出口209から熱媒体が排出される。
上記蓄熱構造体217と上記蓄熱容器216の左右軸方向壁の間には、上記各熱交換流路222に連通する隙間212及び213が設けられており、上記導入口208から導入された熱媒体は、導入口208側の隙間212を介して、上記4つの熱交換流路222に分かれて軸方向に流動させられる。また、上記排出口209側の隙間213を介して熱交換を終えた熱媒体が集合させられ、上記排出口209から蓄熱配管10へ排出される。
図8に示すように、上記蓄熱部221と上記熱交換流路222には、上記熱伝導部材229から延出するフィン状の熱交換部材224,225がそれぞれ設けられている。上記熱交換部材224,225も、上記熱伝導部材229と同様に、銅、アルミ、アルミ合金等の高い熱伝導率を備える板状部材から形成されている。このため、熱媒体及び樹脂蓄熱物質との間の熱交換効率をさらに高めることができる。また、本実施形態に係る上記熱交換部材225は、熱媒体の流れに沿うように配置されているため抵抗が少なく、熱媒体の流動を阻害することはなく、大量の熱媒体との間で熱交換を行うことができる。なお、上記熱交換部材225を熱媒体の流れを一部阻害するように配置することより、熱媒体と熱交換部材115との接触量を増加させて、熱交換量をさらに増大させることもできる。
本実施形態では、上記熱伝導部材229の壁部、上記熱交換部材224及び上記多孔質熱伝導性構造体219を介して上記樹脂蓄熱物質に熱が蓄熱され、また放熱される。したがって、上記熱伝導部材129及び上記熱交換流路222から離れた部分に充填された樹脂蓄熱物質にも効率よく熱を移動させて蓄熱させることができる。また、上記熱交換流路222から離れた部位に蓄積された熱を、上記熱交換流路を流動する熱媒体に迅速に移動させて熱交換を行うことができる。このため、短時間に大量の熱を、上記蓄熱構造体217に蓄熱し、放熱させることが可能となる。
図9及び図10に、第5の実施形態に係る蓄熱器307を示す。
第5の実施形態は、蓄熱構造体317が、連続気孔を有する多孔質構造を備えるとともに、上記連続気孔が熱媒体を流動させる熱交換流路322を構成するものである。
図9に、蓄熱器307の軸断面図を示す。この図に示すように、第5の実施形態に係る蓄熱器307は、第1の実施形態と同様に、円筒状の蓄熱容器316内に蓄熱構造体317を配置して構成されている。
上記蓄熱構造体317と上記蓄熱容器316の左右軸方向壁の間には、上記蓄熱構造体317の連続気孔に連通する隙間312及び313が設けられており、導入口308から導入された熱媒体は、上記隙間312を介して上記蓄熱構造体317の全域を流動させられる。また、蓄熱構造体317から出た熱媒体は、上記隙間313を介して集合させられ、排出口309から蓄熱配管10へ排出される。
図10に、本実施形態係る蓄熱構造体317の断面を模式的に示す。この図に示すように、多孔質熱伝導性構造体319の空隙322に樹脂蓄熱物質320が充填保持されている。
本実施形態では、多孔質熱伝導性構造体319の連続気孔内の表面に、上記樹脂蓄熱物質320が均等に積層されて保持されるとともに、蓄熱構造体317の全体が通気性を備えるように構成されている。なお、上記蓄熱構造体317は、第1の実施形態に係る製造手法において、蓄熱樹脂320を多孔質熱伝導性構造体内に連続気孔が形成されるように充填して形成される。本実施形態では、さらに、樹脂蓄熱物質を保護するために、樹脂蓄熱物質320の表面を覆うように、樹脂製の保護層330を設けている。上記保護層330として、PPS等、融点が125℃以上の樹脂を採用できる。上記保護層330は、浸漬法、吹き付け法等で形成することができる。
本実施形態では、上記蓄熱構造体317の空隙率が20%となるように、上記蓄熱樹脂320が充填され、保護皮膜330が形成される。
本実施形態に係る上記蓄熱構造体317は、第1の実施形態と同様に、一体的につながる3次元編目状の多孔質熱伝導性構造体319の空隙322に、樹脂蓄熱物質320を保持させた形態を備える。また、上記多孔質熱伝導性構造体319の熱伝導率は、上記樹脂蓄熱物質320より大きい。このため、上記蓄熱構造体317の内部では、主として上記金属多孔質体319を介して熱が移動させられ、上記蓄熱構造体317内部における熱移動の速度が速い。したがって、蓄熱配管10から入熱された熱を、上記蓄熱構造体317の全域に移動させることができる。
しかも、本実施形態では、上記蓄熱構造体317の連続気孔322が、熱媒体が流動する熱交換流路を構成する。すなわち、上記樹脂蓄熱物質320と熱媒体との間で、直接的に熱交換を行わせることができる。
また、上記蓄熱構造体317の空隙322の内部表面積は極めて大きい。したがって、熱媒体と蓄熱構造体317とを非常に大きな熱交換面を介して熱交換させることが可能となる。これにより、上記空隙322を通過する熱媒体に短時間に大量の熱を移動させ、エンジンに戻して暖機行程を行うことができる。
なお、上記第5の実施形態において、第2〜第4の実施形態と同様に、熱伝導部材を設けて、蓄熱器内の熱移動をさらに高めることもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
暖機運転を促進し、燃費を向上させることができる。
1 車両用暖機システム
2 駆動部
3 ラジエータ
4 高温側冷却管路
5 低温側冷却管路
6 冷却回路
7 蓄熱器
8 蓄熱器入熱管路
9 蓄熱器戻り管路
10 蓄熱回路
11 暖機管路
17 蓄熱構造体
18 熱交換流路(パイプ)
19 熱伝導性構造体
20 固体蓄熱物質

Claims (13)

  1. 駆動部を冷却する冷却回路を備えるとともに、蓄熱器を備えて構成される車両用暖機システムであって、
    上記駆動部から発生した熱を、上記冷却回路を流動する熱媒体を介して上記蓄熱機に蓄積する蓄熱行程と、
    上記蓄熱器に蓄積した熱を、上記熱媒体を介して上記駆動部へ移動させて暖機運転を行う暖機行程とを含み、
    上記蓄熱行程と上記暖機行程とは、熱伝導性構造体の空隙に固体蓄熱物質を充填した蓄熱構造体を備える上記蓄熱器内に、上記熱媒体を流動させることにより行われる、車両用暖機システム。
  2. 上記冷却回路は、駆動部において加熱された上記熱媒体をラジエータに移動させる高温側冷却管路と、上記ラジエータにおいて放熱させた上記熱媒体を上記駆動部へ戻す低温側冷却管路とを有するとともに、
    上記高温側冷却管路の中間部から分岐して延出するとともに、上記蓄熱器に接続される蓄熱器入熱管路と、上記蓄熱器から延出して上記高温側冷却管路又は上記低温側冷却管路に接続される蓄熱器戻り管路とを有する蓄熱回路を介して上記熱媒体を流動させることにより、上記蓄熱行程と上記暖機行程とが行われる、請求項1に記載の車両用暖機システム。
  3. 上記蓄熱器から流出する熱媒体を、上記蓄熱器又は上記蓄熱器戻り管路の途中から上記駆動部近傍の上記低温側冷却管路にいたる暖機管路を介して上記駆動部へ流動させることにより、上記暖機行程が行われる請求項2に記載の車両用暖機システム。
  4. 蓄熱容器内部に、駆動部を冷却する熱媒体を流動させて熱交換を行う車両暖機用蓄熱器であって、
    熱伝導性構造体の空隙に固体蓄熱物質を保持して構成される蓄熱構造体と、
    上記熱媒体を流動させる熱交換流路とを備える、車両暖機用蓄熱器。
  5. 上記蓄熱構造体は、連続気孔を有する多孔質熱伝導性構造体の空隙に上記固体蓄熱物質を充填して構成されている、請求項4に記載の車両暖機用蓄熱器。
  6. 上記蓄熱構造体は、板状の熱伝導部材を備えて構成される、請求項4又は請求項5のいずれかに記載の車両暖機用蓄熱器。
  7. 上記熱交換流路は、上記蓄熱容器を貫通して上記熱媒体を流動させる熱伝導性のパイプから構成されている、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の車両暖機用蓄熱器。
  8. 上記熱伝導性構造体が上記パイプの外周に接合されている、請求項7に記載の車両暖機用蓄熱器。
  9. 上記熱交換流路は、上記蓄熱容器内を上記熱伝導部材で区画することにより形成されている、請求項6に記載の車両暖機用蓄熱器。
  10. 固体蓄熱物質を保持した空間及び/又は上記熱交換流路に延出する熱交換部材を備える、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の車両暖機用蓄熱器。
  11. 上記熱交換流路に、連続気孔を有する熱伝導性多孔質体が充填されている、請求項4から請求項10のいずれか1項に記載の車両暖機用蓄熱器。
  12. 上記蓄熱構造体が、連続気孔を有する多孔質構造を備えるとともに、
    上記連続気孔が上記熱交換流路を構成する、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の車両暖機用蓄熱器。
  13. 上記固体蓄熱物質は、固体形状を保持したまま潜熱を蓄熱できる樹脂蓄熱物質である、請求項4から請求項12のいずれか1項に記載の車両暖機用蓄熱器。
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JP2020118043A (ja) * 2019-01-18 2020-08-06 いすゞ自動車株式会社 内燃機関の冷却システム及び内燃機関の冷却システムの制御方法

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