JP2010265541A - 被覆鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリートあるいは地面に一部を埋め込まれて使用される場合に優れた防食特性を示す被覆鋼材を提供する。
【解決手段】亜鉛系めっき層を有する鋼材表面に、塗装前処理被膜及び少なくとも1層の塗装被膜を順次積層してなる被覆鋼材であって、前記塗装前処理被膜は、鋼材の一部の部位においては前記塗装前処理被膜と組成の異なる被膜であるか、あるいは鋼材の一部の部位において欠如しており、前記塗装被膜中に燐酸系防錆顔料及びアルカリ土類金属の硫酸塩からなる防錆顔料を含有することを特徴とする被覆鋼材。
【選択図】なし

Description

本発明は、被覆鋼材に関し、特にコンクリートあるいは地面に一部を埋め込まれて使用される被覆鋼材に関するものである。
鋼材を防食する技術としては、亜鉛系のめっきが広く採用される。さらに防食能を高くするには、亜鉛めっきの上に有機樹脂塗装をすることが多い。しかし、亜鉛めっき上に直接塗装をしても、めっきと有機樹脂の密着性は必ずしも良くないこともまた周知のことであり、このため、めっき上に、リン酸塩処理、クロメート処理等の塗装前処理、いわゆる化成処理をするのが一般的である。
鉄鋼構造物は、コンクリートや地面に埋め込む形で屋外使用されることも多い。しかし、このような使い方をした鉄鋼構造物は、埋設された部分の直上、即ち、地際部で激しい腐食を起こす事例があることが知られている。
この「地際腐食」の原因としては、以下の要素が挙げられていた。
1) コンクリート中の鉄鋼材料は、コンクリートのアルカリにより不動態化している。この不動態化した部分と地表に出ている部分の鉄が局部電池を形成すること。
2) 地際部は、鋼管柱への結露等が落ちてくるため湿り易い構造であり、かつ、この結露水には、鋼管柱に付着した塩分等が凝集していること。
また、通説として、動物、特に犬の排泄物が影響しているとも言われている。このような腐食を防止する方法として、埋設部界面の結露水がアルカリ性を示すことに着目し、埋設部界面の上下に防食層を設ける方法が提案されている(特許文献1)。
この方法は、構造物の地際部以外はめっきのままで使用されることを前提にしている。しかし、現在の鉄鋼構造物は、美観及び耐蝕性の両面から亜鉛系めっき後にリン酸塩化成処理を行い、さらに塗装して使用されるのが一般的である。この方法は、めっき上に直接バインダー層を塗装するものであり、通常の塗装前提の鋼構造物に適用する場合には、地際部分のみ全く別の塗装処理を行うことになるため、生産性を低下させると言う問題点がある。
発明者らは、地際腐食について詳細な試験を行った結果、その最大の原因は以下のように解明された。犬の排泄物などの有機物が腐葉土等によって分解され、アンモニアが生成する。そして一般的な防食構造である、溶融亜鉛めっき-リン酸塩化成処理-塗装と言う被膜構成の中では、リン酸亜鉛化成処理被膜と亜鉛めっき層が、単にアルカリ性雰囲気で溶解するのでなく、アンモニアに弱いことが分かった。化成処理被膜がアンモニアに溶解するのは、アンモニアが、化成処理被膜の中のリン酸亜鉛から、亜鉛イオンを亜鉛-アンモニア錯体として引き抜くためである。化成処理被膜が消失した場合、有機被膜は、鋼材との密着力を失う。また、アンモニアは、めっきの主成分である亜鉛、あるいは通常は安定な腐食生成物としてめっき表面に蓄積する亜鉛の酸化物等と、亜鉛-アンモニア錯体を形成することで反応−溶解し、めっき層の消失を促進し、鋼材の腐食を早めるものである。
この「耐アンモニア性」の観点から、地際腐食に強い構造としては、化成処理被膜中の燐酸亜鉛の量を小さくし、亜鉛のかわりに、ニッケル、カルシウム、マンガンなどのアンモニアとの反応性が低い金属のリン酸塩被膜を生成させることで化成処理被膜の耐アンモニア性を高めた方法が提案されている。(特許文献2)
また別の方法として、地際部に相当する部分のみ、めっき層を合金化させて鉄を含有させることによって、めっき層のアンモニアとの反応性を高める方法が提案されている。(特許文献3)
しかし、これらの方法においても、亜鉛めっき上にリン酸塩化成処理を行うという構成上、被膜中の亜鉛を少なくすることには限界がある。また、鉄−亜鉛合金を生成させても、亜鉛の含有量は80mass%以上の高い値である。このため、いずれの方法でも、めっき・化成処理とも亜鉛が主成分として相当量含まれることにはかわりがない。このため、設置環境によっては地際腐食が抑制できない可能性がある。もちろん、溶融亜鉛めっき-リン酸塩化成処理-塗装と言う被膜構成の中でもっとも耐アンモニア性に劣る化成処理を省略することによっても耐地際防食性を向上させることは可能である。しかし、化成処理を省略した場合には、非地際部位の耐食性は明らかに低下することになるという問題がある。また、このリン酸塩化成処理は、複雑な形状の構造物に、低コストで、容易に、きわめて効果的な塗装前処理をする方法であるため、他の方法で置き換えることは難しい。このため、激しい地際腐食が予想される環境では、やはり、地際部のみにリン酸塩化成処理以外の何らかの処理を行うこと、すなわち地際部とその他の部位で異なった防食被膜構成が必要である。
特開2002-371372号公報 特開2007-262561号公報 特開2008-280571号公報
第47回材料と環境討論会予稿集 p195 (2000) 三重県科学技術振興センター講義用技術部研究報告 no.26 (2002)
そこで、本発明は、上記問題点を解決する、コンクリートあるいは地面に一部を埋め込まれて使用される場合に優れた防食特性を示す被覆鋼材を提供することを目的とする。
地際部の腐食を抑制するには、地際部の防食被膜に、アンモニアに弱いリン酸塩化成処理被膜を用いないようにすることが効果的である。地際部のみにリン酸亜鉛被膜が付着しないようにする、あるいは除去してしまうことにより、地際防食性は明らかに向上する。さらに、その化成処理の非付着部、または除去部にアンモニアと反応しない化成処理被膜などを付着させることにより、地際防食性も、通常の腐食に対する耐食性も向上する。燐酸亜鉛化成被膜は、10μm以下の厚さのごく薄い被膜であり、その除去は比較的容易である。また、地際部に、リン酸塩化成処理の前に前記の化成被膜を付着させるか、あるいはプライマーとしての性質を持つ有機樹脂をごく薄く塗装するだけでも部分的にリン酸塩化成処理を付着させないようにすることは容易である。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
(1)亜鉛系めっき層を有する鋼材表面に、塗装前処理被膜及び少なくとも1層の塗装被膜を順次積層してなる被覆鋼材であって、鋼材の一部の部位における塗装前処理被膜の組成が他の部位の前記塗装前処理皮膜の組成と異なるか、あるいは鋼材の一部の部位において前記塗装前処理被膜が欠如しており、前記塗装被膜中に燐酸系防錆顔料及びアルカリ土類金属の硫酸塩からなる防錆顔料を含有することを特徴とする被覆鋼材。
(2)前記アルカリ土類金属が、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムの1種又は2種以上である上記(1)記載の被覆鋼材。
(3)前記塗装被膜中の前記防錆顔料の総含有量が、塗装被膜全体に対し、5〜30質量%である上記(1)または(2)記載の被覆鋼材。
(4)前記アルカリ土類金属の硫酸塩の含有量が、塗装被膜全体に対し、5〜30質量部である上記(1)または(2)記載の被覆鋼材。
(5)前記塗装被膜の内、前記燐酸系防錆顔料及び前記アルカリ土類金属の硫酸塩からなる防錆顔料を含有する被膜の膜厚が総計で5〜1000μmである上記(1)または(2)記載の被覆鋼材。
(6)前記鋼材の一部の部位が地際部である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の被覆鋼材。
(7)前記塗装前処理被膜がリン酸塩化成処理被膜である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の被覆鋼材。
本発明により、コンクリートあるいは地面に一部埋め込まれて使用される被覆鋼材に優れた防食構造を形成することができるので、この鋼材を使用した構造物の寿命の延長が可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明で用いる鋼材は、材質としてはSS400に代表される構造用鋼等、あるいはその他の低炭素鋼であり、品種としては、H形鋼、I形鋼、鋼管、鋼矢板あるいは、たとえばアンカーを固定するための土木建築金物等であり、使用法としてはコンクリートまたは地面に埋め込まれて使用される可能性がある鉄鋼材料である。
本発明の被覆鋼材は、めっき層-塗装前処理被膜-塗装被膜の三層からなるため、この各層について以下説明する。
めっき層は、鉄鋼鋼材に対して犠牲防食作用を有する亜鉛系のめっきである。合金めっきを用いることも可能ではあるが、近年生産量が増えている亜鉛-アルミニウム合金めっきは、近年構造物に多く用いられているが、コンクリート中では寿命が短いと言う報告(非特許文献2)もあり、注意を要する。めっき方法は、電気めっき、溶融めっき等、何でも良いが、通常は構造物としての形状を作った後のめっきであること、耐蝕性を高めるために厚いめっきが望ましいことから、どぶ付けの溶融亜鉛めっきが望ましい。
次に、亜鉛めっき鋼材に一般的な塗装前処理であるリン酸亜鉛化成処理が通常行われる。亜鉛めっき上への化成処理では、全ての結晶が亜鉛イオンのみを含むホパイト結晶となる。アンモニアは、このホパイト結晶から、亜鉛イオンを亜鉛-アンモニア錯体として引き抜くことにより、化成処理被膜を溶解する。このようにして化成処理被膜が消失した場合、有機被膜は表面から剥離し、裸の亜鉛めっき鋼材となる。周知のように、アンモニアは、めっきの主成分である亜鉛とも、亜鉛-アンモニア錯体を形成することで反応し、めっき層の消失を促進し、鋼材の腐食を早めるものである。このため、亜鉛めっき鋼材の全面に、リン酸亜鉛化成処理でなく、耐アンモニア性に優れた化成処理を行うことも考えられる。しかし、リン酸塩化成処理は、鋼材の形状にかかわらず、低コストで、容易に、優れた塗装前処理を行う方法として広く普及し、設備化がなされている。このため、非定型の鋼材に対する塗装前処理方法としては、この方法に変わるものはないというのが現状である。このため、地際部のみ、このリン酸塩化成処理を行わない方法が求められる。
まず、このリン酸塩化成処理はごく薄い被膜であるため、地際部のみ、部分的に除去することは容易である。地面に埋め込んで使用する鋼構造物では、どの部位までが地面あるいはコンクリートに埋め込まれるかは、その設計の時点でわかつている。このため、例としては、地際部から、地中部と大気部にそれぞれ15〜20cm程度の部分の化成処理被膜を、全周にわたって30〜40cm幅で除去すればよい。なお、リン酸塩化成処理は、たとえば鋼管の内面にも被膜を形成するが、このようにアンモニア等の外部からの腐食因子が作用しない部位の化成処理被膜を除去する必要はない。
方法としては、電動工具、あるいはサンドブラストなどの使用が考えられる。またワイヤーブラシなどで手動でも容易に行うことができる。もちろん、手動では、化成処理被膜を完全に除去することは困難であるが、実験によれば、全面に金属光沢が現れれば、サンドブラストによる除去方法と大きな差異は見られなかった。また、鋼管柱などの単純な形状であれば、ベルトサンダーなどを用いた設備化も難しいものではない。たとえば、街頭照明に用いられる鋼管柱であれば、地際部から長手方向で±15cmの範囲の化成処理被膜を、全周にわたって削り取ればよい。また、H型鋼のように凹凸がある形状の柱などを埋め込む場合、地際部の化成処理被膜を全周にわたって機械を用いて除去するのは困難であるため、凹部の化成被膜は手作業で除去する必要がある。
鋼材の防食被膜の構成要素でもっともアンモニアに弱いリン酸塩化成被膜を除去するだけで、耐地際腐食性は簡単に向上する。しかし、塗装前処理が全くない状態では、地際腐食以外の一般の腐食に対しての耐食性は低下するため、リン酸塩化成処理の除去部位には何らかの別の化成処理を行うことが望ましい。この処理としては、クロム酸を用いることは環境面からも、また耐アンモニア性の面からも望ましくないため、ノンクロメート型の化成処理被膜が好適である。ノンクロメート型の化成処理には、シランカップリング剤を用いるもの、タンニン酸を用いたものなど多くの種類があるが、モリブデン等の金属を含有する被膜の場合には、アンモニアとの反応性が低い金属を用いたものでなくてはならない。
なお、地際部位に相当する部分にリン酸塩化性処理をつかないようにする方法として、上記のようなノンクロメート型の化成処理被膜を、あらかじめ地際部に形成しておいてもよい。もちろん、ノンクロ被膜によってその場所にはリン酸塩被膜が形成されないこと、リン酸塩化成処理の工程で化成処理被膜としての効果が落ちないこと、化成処理浴などの汚染の原因にならないことが必要である。このノンクロ型化成処理被膜の厚さとしては、上記条件を満たすものであれば特に限定するのではない。
また、場合によっては、地際部に単にスプレーなどによって塗装被膜を形成することによっても、リン酸塩化成処理被膜形成を抑制することが可能である。この場合は、生成させた塗装被膜が、リン酸塩被膜形成を確実に防止し、化成処理浴などを汚染しなければ当初の目的は達成する。しかし、この被膜を除去する工程が必要な場合、生産性を低下させることになるため、この塗装被膜は亜鉛系のめっきとの密着性、燐酸系防錆顔料及びアルカリ土類金属の硫酸塩を含有する塗装被膜との密着性に優れていること、すなわちプライマーとしての機能も有することが望ましい。この化成処理の阻止とプライマーをかねた塗装被膜の厚さも特に限定するものではないが、容易に被膜形成できることなどの条件から、厚くても100μmを超えることは考えられない。樹脂の種類、顔料の有無については、上記条件を満たす限りは特に限定するものではない。
最表層の顔料を含む塗装被膜としては、有機樹脂の種類はエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が適用でき、特に樹脂の種類を問わない。ただし、フッ素樹脂等の特殊な樹脂は顔料との相性等で問題が出ることもあるため、十分な事前検討が必要である。また、現地での施工を行う場合は、常温で硬化することが要求されるため、樹脂の種類は限定される。
耐アンモニア性を発現させるのは、塗装被膜中の顔料であり、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸の、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、モリブデン酸塩等が使用できる。ただし、脱水剤として添加する、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba)の硫酸塩と反応しないことが好ましい。リン酸塩とアルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba)の硫酸塩の組み合わせが地際部での防食に有効であることは実験的に見出したものであり、これが防食被膜全体の耐アンモニア性を向上させる理由は定かではない。しかし、いずれの顔料も水にわずかに溶解する性質の化合物であるため、溶解して生成した微量イオンが機能し、その緩衝剤的な働きによってpHを低く保ち、アンモニアをイオン化した状態に保つことによって、化成処理被膜、亜鉛めっきとの反応性を抑制すること、硫酸根がイオン化したアンモニアをトラップするものと考えている。また、化成処理被膜と類似した組成であることから、これらを塗装被膜中に配置することにより、化成処理被膜より先にアンモニアと反応してアンモニアを消費している可能性もある。
リン酸塩顔料、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba)の硫酸塩の含有量としては、塗装被膜全体に対し、いずれも最大30質量%で十分である。これらの顔料は、いずれも極微量が水に溶解することが特徴であるため、多量に添加した場合は、密着性等の一般的な塗膜性能低下、長期的には塗装被膜のバリアー機能の低下を招くことになる。また、5質量%未満の場合は、顔料の添加効果が発揮されなかった。このため、含有量としては、いずれの顔料も、5質量%以上30質量%以下が望ましい。なお、燐酸系防錆顔料、アルカリ土類金属の硫酸塩のいずれの顔料も、単一の化合物でなく、異なる化合物を所定の割合で混合して用いても差し支えない。この場合、性能面からは、最適な組み合わせ、混合比率が存在する可能性はある。しかし、化成処理の場合と同様に、製造、あるいは品質管理の立場からは品種が多いことは好ましくないため、管理体制に応じて決定しなければならない。
リン酸系防錆顔料、アルカリ土類金属の硫酸塩を含む塗装被膜の総計の膜厚としては、5μm以上、1000μm以下が望ましい。5μm以下では、塗装被膜の均一性の面で問題が生じる。また、本塗料の効果は、その顔料が僅かに溶解することで発現されるため、顔料の絶対量が必要である。このため、塗装被膜が薄い場合には、顔料の含有率を、5質量%以上30質量%以下の範囲内で、高めに設定することが望ましい。さらに、1000μm超では、塗膜の内部応力が大きくなるため、密着力に問題が生じ易くなる。このため、さらに望ましい厚さは、10μm以上800μm以下である。
なお、本塗料の上に、別の耐候性、あるいは美観等が優れた、別の機能を有する塗装をすることは差支えがない。また、上述のように塗装被膜中のリン酸系防錆顔料とアルカリ土類金属の硫酸塩顔料は、相互作用をすることによって、耐アンモニア性を発現するものではない。このため、複数の塗装被膜がある場合、リン酸系防錆顔料を単独で含む被膜と、アルカリ土類金属の硫酸塩を単独で含む被膜が積層されていてもよい。この場合、いずれの被膜が上層、あるいは下層になっても、その防食性に違いは見られなかった。リン酸系防錆顔料とアルカリ土類金属の硫酸塩が、何らかの反応をする可能性がある場合には、このように別の塗膜に含有させることにより、問題を事前に避けることができる。また、被膜中の全顔料の含有率が下がるため、塗料設計の自由度が大きくなる、被膜を薄くすることが容易になる等のメリットが生じる。
なお、複数の種類の有機塗装を行う場合、塗装被膜全体の厚さとしては、特に規定するものではないが、5μm以上、3mm未満が望ましい。複数の有機塗装被膜を行う場合は、必然的に5μmを超える。また、3mm以上の厚い被膜の場合には、本発明の効果に関係なく有機塗装被膜の寿命が長くなるため、本発明の構成を必要としない。
塗装方法としては、スプレー塗装、流動槽浸漬、粉体塗装等の一般的な方法で差し支えない。
以下に実施例により、本発明を詳細に説明する。これらは、本発明の実施態様の例であって、本発明はこれらに限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
板厚4.5mm、幅100mm、長さ300mmのSS400鋼に、表2に示す組成、構成のめっき・化成処理・塗装処理を行った。なお、純亜鉛めっきはフラックスを用いたどぶ付け溶融めっきによって行い、めっき付着量は亜鉛換算で250g/m2〜300g/m2である。また、亜鉛-アルミニウム合金めっきは、純亜鉛めっきを施した後、亜鉛-10%アルミニウム合金めっきを行う2段めっき法によった。付着量は、2回のめっき合計で280g/m2〜360g/m2であり、アルミニウムの含有量から計算すると、平均のめっき組成としては2段目の亜鉛-10%アルミニウム合金めっきが80質量%以上であった。これらの亜鉛めっき鋼材片に塗装下地用浸漬型リン酸塩化成処理を行った後に塗装を施し、供試材とした。塗装方法はスプレー塗装により行った。
本発明の例として、塗装前に、一部の試験片はワイヤーブラシを用いて手作業で中央部約100mm部位のリン酸塩化成処理膜を除去した(no.6,7)。この作業は、目視で、90%以上の面積で金属光沢が見られる程度までとした。また、リン酸塩化成処理を除去した後の化成処理として、市販の、タンニン酸を含有する水溶性樹脂の塗装前処理剤(商品名:キレートMR6、販売株)味の素(登録商標)タカラコーポレーション)を塗布した(no.8,9)。これに対して、比較例1では、化成処理被膜を形成せず、比較例2〜5では、化成処理被膜の一部除去を行わなかった。また、実施例1〜9並びに比較例3及び4においては、塗装被膜中に表2に示される顔料を添加した。なお、表2において、Aは、ポリリン酸カルシウム(5%)+硫酸ストロンチウム(5%)を意味し、Bは、亜リン酸アルミニウム(10%)+硫酸バリウム(10%)を意味し、Cは、ポリリン酸カルシウム(30%)+硫酸ストロンチウム(5%)を意味する。
これらの試験片の塗装面に、カッターナイフで長さ150mmのめっき層に達する疵を入れた後、全長の約1/2までコンクリートに埋め込み、コンクリート層の上にさらに50mm厚の腐葉土層を作った。これを屋外に設置し、一日二回9時と17時に、表1に示す組成の犬の尿を模した溶液を供試材毎に50mlずつ散布した。この試験を6月〜12月の6ヶ月間行った後、 腐葉土を除去し、腐葉土に埋もれていた部分の疵部を観察した。さらに浮いた塗装被膜をハツリし、塗膜下腐食の広がり幅を調査した。この結果を表1にまとめて示す。本発明例のものはいずれも良好であり、疵部に亜鉛の白錆が発生し、鋼材自身は腐食せず、また塗膜下腐食幅もわずかである。なお、当然であるが、単にリン酸塩化成処理を除去した場合よりも、化成処理を除去した後に塗装下地剤を塗布したもの(no.8,9)の方が、耐食性は良好である。比較例では、全ての試験片で赤錆が発生し、亜鉛めっきの犠牲防食機能が失われてしまっており、また明らかに塗膜下腐食が生じている。
Figure 2010265541
Figure 2010265541
(実施例2)
実施例1に用いたものと同じ鋼材に、溶融法によって、250g/m2〜330g/m2の純亜鉛めっきを行った。さらに塗装下地用浸漬型リン酸塩化成処理を行った後に塗装を施し、供試材とした。化成処理の付着量は、2.6-3.0g/m2である。実施例として、リン酸塩化成処理被膜の中央約100mm長さを除去したもの(no.11)、化成処理の前に、中央約100mm長さに、実施例1で用いた水溶性塗装前処理剤(no.12)、またはシランカップリング剤を含有するエマルジョン(ラボ試作品)(no.13)、防錆顔料としてカルシウムシリケートを含むエポキシ塗料(ラボ試作品)(no.14)、クリアラッカー(市販スプレー)(no.15)を5〜20μm厚に塗布し、リン酸塩化成処理被膜の生成を阻止した試験片を作成した。これらの前処理をした部分には、目視ではまったく化成処理被膜は認められていない。また、化成処理後に実施例1と同様の操作で、手作業で化成処理被膜を除去した試験片も作成した。
塗装は、表2の顔料Cを含む変性エポキシ塗料をスプレー塗装した。被膜厚は200-250μmとした。これら試験片について、実施例1と同じ試験を行ない、埋め込み部の直上〜腐葉土に埋もれていた部分の疵部を観察した。また、純粋に防食被膜の耐アンモニア性を調査するために、PH:12.0、25℃のアンモニア水に、1/2の深さまで2週間浸漬し、防錆被膜の健全性を観察した。
この試験結果を、表3に示す。コンクリート埋め込み試験では、本発明例のものはいずれも良好であり、疵部に亜鉛の白錆が発生し、鋼材自身は腐食していない。また塗膜下腐食幅もわずかである。比較例では、全ての試験片で赤錆が発生し、亜鉛めっきの犠牲防食機能が失われてしまっており、明らかに塗膜下腐食が生じている。また、アンモニア水浸漬試験では、リン酸塩化成処理が存在する部位では塗膜が完全に剥離している。しかし、地際部相当の、リン酸塩化成処理を除去あるいは阻止剤塗布などの処理をした部分は、耐アンモニア性が良好なことがわかる。
Figure 2010265541
本発明により、コンクリートあるいは地面に一部埋め込まれて使用される被覆鋼材に優れた防食構造を形成することができるので、この鋼材を使用した構造物の寿命の延長が可能となり、産業上の利用可能性が高い。

Claims (7)

  1. 亜鉛系めっき層を有する鋼材表面に、塗装前処理被膜及び少なくとも1層の塗装被膜を順次積層してなる被覆鋼材であって、鋼材の一部の部位における塗装前処理被膜の組成が他の部位の前記塗装前処理皮膜の組成と異なるか、あるいは鋼材の一部の部位において前記塗装前処理被膜が欠如しており、前記塗装被膜中に燐酸系防錆顔料及びアルカリ土類金属の硫酸塩からなる防錆顔料を含有することを特徴とする被覆鋼材。
  2. 前記アルカリ土類金属が、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムの1種又は2種以上である請求項1記載の被覆鋼材。
  3. 前記塗装被膜中の前記防錆顔料の総含有量が、塗装被膜全体に対し、5〜30質量%である請求項1または2記載の被覆鋼材。
  4. 前記アルカリ土類金属の硫酸塩の含有量が、塗装被膜全体に対し、5〜30質量部である請求項1または2記載の被覆鋼材。
  5. 前記塗装被膜の内、前記燐酸系防錆顔料及び前記アルカリ土類金属の硫酸塩からなる防錆顔料を含有する被膜の膜厚が総計で5〜1000μmである請求項1または2記載の被覆鋼材。
  6. 前記鋼材の一部の部位が地際部である請求項1〜5のいずれかに記載の被覆鋼材。
  7. 前記塗装前処理被膜がリン酸塩化成処理被膜である請求項1〜6のいずれかに記載の被覆鋼材。
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