JP2014202266A - 高耐食性セルフタッピングねじ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高耐食めっき、または厚めっきをした鋼板をねじ締結によって接合された構造物に適用でき、該構造物の耐食性寿命を向上させることのできるセルフタッピングねじを提供する。
【解決手段】亜鉛または亜鉛合金めっき層を有し、3〜7質量%のCrを含有する合金鋼からなる高耐食性セルフタッピングねじとする。めっきの方法は、強塩酸浴によってNiフラッシュめっきまたはCuフラッシュめっきを行った後、亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきを行うものとする。
【選択図】なし
【解決手段】亜鉛または亜鉛合金めっき層を有し、3〜7質量%のCrを含有する合金鋼からなる高耐食性セルフタッピングねじとする。めっきの方法は、強塩酸浴によってNiフラッシュめっきまたはCuフラッシュめっきを行った後、亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきを行うものとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐食性が改良されたセルフタッピングねじ、及びそのセルフタッピングねじの製造方法に関するものである。
一般的に、鋼材として普通鋼を用いる場合、耐食性を確保するために主に熱漬法による亜鉛めっき(以下溶融めっき)がなされており、さらにその上に塗装を行うなどして、防食皮膜を施されることも多い。しかし、鋼材は、殆どの場合に、何らかの方法で鋼材どうしを接合して使われるのが一般的である。鋼材等を締結する方法としては、ねじ、リベット、溶接、かしめ等の機械的接合を含めた多数の方法がある。その接合部は防食皮膜の変質、破壊等、種々の理由により腐食しやすいため、接合部の耐久性が構造物の寿命を決定する一因となっている。このため、溶接によって接合する場合には、熱により劣化した防食皮膜を塗装等によって補修するのが一般的である。また接合部にねじ等の部品を用いる場合には、その部品は鋼材と同等以上の耐食性を持つことが求められるため、鋼材と同等以上の厚さのめっきがなされたり、耐久性に優れた塗装がなされたりする。
鋼材のめっき方法としては、主に溶融めっきが使われる。溶融めっきは、鋼材の形状によらず比較的均一なめっきが可能であり、また厚めっき(厚目付け)による耐食性向上が容易にできるからである。めっきの種類としては、従来からある純亜鉛めっきに加え、近年では、Zn−Al合金めっき、さらにこれにMgを添加したZn−Al−Mg合金めっきが開発されている。これらの合金めっきは、同じめっき付着量で純Znめっきの3〜4倍の耐食性を得られるようになっている。前述の厚目付けが容易という溶融めっきの特徴と相まって、鋼材そのものの耐食性は飛躍的に向上している。
しかしながら、接合部の耐食性の向上方法には大きな進歩がないのが現状である。大きなボルト・ナットを用いる場合には、鋼材と同じ様に高耐食めっきを同じ方法でめっきすることによって、このボルト・ナットに対し、鋼材と同等の耐食性を確保することができる。しかし、例えば、M5,M6等の小さいねじに対して、耐食めっきを施す場合、溶融めっきでは、これらのねじのねじ山が埋もれるので、電気めっき(例えば、バレルめっき法)によってめっきせざるを得ない。しかし、電気めっきでは、原理的にAlめっき、Mgめっきは不可能であり、また溶融めっきと同じ組成の合金めっき(Zn−Al−Mg)をすることはできない。高い耐食性を得るために、耐食性に比例しためっき時間を要して純Znめっきの厚めっきを行なうことは可能だが、当然ながらコスト高となる(特許文献1)。また、20μm、30μm程度のめっき厚であれば電気めっきで生産可能であるが、高耐食合金めっきに対応して、めっき厚を4倍にすることは現実的ではない。すなわち、ねじ、ナット、その他部品等の電気めっきせざるを得ない小物鋼部品では、溶融めっきされた構造材の高耐食化に対応する高耐食化が追いついていないのが現状である。
バレルめっき法を用いることができる高耐食電気めっきとしては、Zn−9%〜16%Ni合金めっきがあげられるが、これは必ずしも一般的なものではないため市販品も多くはなく入手に難があり、価格も高い。またZn−9%〜16%Ni合金めっきは、めっき層そのものの耐食性は優れるが、電位的には鋼に近く、Ni含有量によっては電位が逆転することもあるため、犠牲防食が必ずしも円滑には機能しないという問題がある。そのため、市販の高耐食ねじとして、ステンレスねじを亜鉛めっき鋼材の接合につかうことがある。しかしながら、ステンレスは、亜鉛めっき鋼材と異種金属接触腐食を生じて、亜鉛めっきの消耗を促進し、また鋼そのものの腐食も促進するため、構造材の本来の耐久性を損なうことになる。
特に、ステンレス製のセルフタッピンねじは、Zn−Ni合金めっきしたセルフタッピングねじを用いた場合と比較して、接合部の赤錆発生が速いという欠点がある。これは、電位差の問題に加えて、ステンレス鋼が普通鋼と直接接触すること、接合に伴う鋼材の新生面には鋼が露出しやすいことが原因と考えられている。セルフタッピングねじにめっきがある場合、鋼材の新生面にも一定の割合でめっきが転着するため、鋼の露出面積はステンレスねじよりも小さくなるためである。なお、これらの問題を避けて、汎用の薄いZnめっきがなされたねじを、高耐食めっき鋼材に使用した場合、ねじの亜鉛めっきが存在している期間は、防食は良好である。しかし、ねじのめっきが消耗してねじが単なる鉄ねじと同等の状態になった時点で急速に腐食が進行し始める。これは、アノードである鋼の露出面積が大きくなり犠牲防食による鋼材のZnめっきの消耗が速くなるとともに、腐食によって生じたFe3+が酸化剤として働くためである。鋼材の腐食は、このように鋼面の露出が大きな加速要素となる。
特にセルフタッピングねじの場合、接合工程でセルフタッピングねじのめっきが部分的に剥離し、ねじの鋼部が露出する。セルフタッピングねじをめっき鋼材の接合に使用した場合、直接水が当たりにくい環境でも、接合部では、このセルフタッピングねじと、接合した鋼材の鋼露出部にまず赤錆が発生する。この赤錆が吸湿することによって、「錆が錆を呼ぶ」状況になり、腐食が進む。このため、露出したねじ鋼部に赤錆を生じないようにすることが腐食の抑制に重要である。赤さびを生じない鋼としては、Crを11%以上含む、いわゆるステンレス鋼が代表的である。しかし、ステンレス鋼のねじには問題があることは上述のとおりである。
以上述べたように、汎用のめっきが薄い純亜鉛めっきねじ、汎用のステンレス製ねじ、商品としては入手しにくい高耐食性Zn−Ni合金めっきねじのいずれを使っても、接合部の耐食性は低下するので、高耐食鋼材の本来の耐久性を損ねることは避けられない。これらのねじを使って、接合部の耐食性を確保するためには、溶接と同様に、接合部を一つ一つ補修するなどの対応が必要なのが現状である。
異種金属接触腐食を起こさない高耐食ねじとしては、Zn−低Niめっき等が考えられるが、特殊なめっきであり、また現時点で実用化商業生産されているものはない(特許文献2)。
本発明は、高耐食めっき、または厚めっきをした鋼板をねじ締結によって接合された構造物に適用でき、該構造物の耐食性寿命を向上させることのできるセルフタッピングねじを提供するものである。
発明者らは、赤錆が発生しない鋼として、3〜7質量%のCr含有合金鋼のねじに亜鉛系めっきをすることによって、このねじと被締結材である溶融めっきがされた構造材との異種金属接触腐食の問題を大幅に軽減できること、また、ねじそのものの耐食性、耐発錆性も向上することにより、このねじで締結された構造材全体の耐食性寿命が大きく改善される事を見出し、この発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、亜鉛または亜鉛合金めっき層を有し、3〜7質量%のCrを含有する合金鋼からなる高耐食性セルフタッピングねじである。
3〜7質量%のCr含有合金鋼を用いることにより、ねじの亜鉛又は亜鉛合金めっき(以下、「亜鉛系めっき」ともいう)の剥離部に赤錆が発生しにくくなる。また、Cr含有鋼は電位的にステンレスほど貴ではないため、3〜7質量%Cr含有鋼の地肌が露出した場合、犠牲防食による亜鉛系めっきの消耗はステンレスよりも遅い。また、このねじの地肌と、締結される構造材のめっきが剥離した部分の鋼とが接触した場合、これらの異種金属接触腐食の進み方も遅い。さらに、高耐食めっきであるZnNiめっきをこのCr含有鋼に施した場合にも、ねじのZnNiめっきとねじのCr含有鋼との電位の逆転が起き難いために、ZnNiめっき本来の犠牲防食機能が機能しやすい。また、3〜6質量%Cr含有鋼のねじに限らないが、純亜鉛めっきの場合は高耐食ZnNiめっき合金めっきよりも白錆を生成しやすく、すなわちZn2+イオンを含んだ水溶液が毛管現象で接合部の隙間部に集まり、乾燥後に白錆が蓄積しやすく、これが腐食の進行を抑制する。さらに、副次的な効果として、ねじ等の小物部品に鋼材と同等の化成処理が可能になる場合には、接合部の外観に統一感が出る。
本発明のねじは、セルフタッピングねじといわれる、ナットを必要としないねじである。セルフタッピングねじを使用すると、その接合工程でねじのめっきが剥落し、ねじの鋼材面が露出する。この新生鋼材面の赤錆発生から始まる腐食を抑制するのがCr含有鋼を用いる理由である。セルフタッピングねじには、ドリルねじととがり先ねじがあるが、下穴を開けないで接合する場合に、新生面は現れやすいため、ドリルねじで本発明の効果が大きい。もちろん、雌ねじを必要とする通常のねじにおいても、赤錆発生を遅延化し接合部の寿命をのばすのに有効である。タッピングねじの形状によって、例えばねじ頭のビットの差し込み穴などはめっきが薄く赤錆発生の起点となるため、本発明の効果は大きい。
本発明のセルフタッピングねじの材質は、Crを含有する合金鋼である。合金鋼とは、普通鋼に合金元素を1種類以上添加した鋼をいう。本発明の合金鋼は、普通鋼にCrを3〜7質量%添加した鋼である。
Cr元素の含有量は、3〜7質量%である。Cr量が、3質量%未満では、ねじの亜鉛又は亜鉛合金のめっき剥離部の赤錆の発生挙動が普通鋼と大きくは変わらず、上記効果を発揮できない。一方、Cr量が、7質量%超えると、Cr含有合金鋼ねじの地肌、このねじのめっき、被締材である構造材の地肌、その構造材のめっきの間の電位のバランスが崩れ、結果的に、接合部の腐食が加速されてしまう可能性がある。
すなわち、ねじのCr含有合金鋼のCr量が、3〜7質量%であるときに、Cr含有鋼地肌、ねじのめっき、被締材である構造材の地肌、その構造材のめっきの間の電位のバランスが最適となって、結果的に、ねじ締結による接合部を含めた構造材全体の耐食性が最も向上する。
本発明のセルフタッピングねじの亜鉛系めっきのめっき厚としては、十分な亜鉛系めっきの効果を得るためには平均値で5μm以上であることが好ましい。これは、バレルめっき法特有のめっきのばらつきが大きいためと、めっき厚が平均値で5μm未満の場合には、めっきの鋼材への転着が不十分なためと考えられる。また、亜鉛系めっきである以上は、亜鉛の付着量は大きい方が望ましいが、厚目付けはコストアップに直結する。ねじのバレルめっき法はめっき厚さを含め多くが規格化、ルーチン化されており、規格から外れると生産効率の低下、めっき厚のばらつき増大、あるいは製造ブロセスの変更を必要とすることになる。このため、接合される鋼材そのものが極端に厚めっきされた高耐食材でない限り、めっき厚としては、ねじのめっき厚として一般的な、6〜13μm程度の範囲で選択することが好ましい。
本発明のセルフタッピングねじは、亜鉛または亜鉛合金めっき層を有する。基材が鋼であるドリルねじについては、防錆処理が必要であり、例えば、JISB1125(ドリルねじ)では、鋼ドリルねじには、原則として電気亜鉛めっきを施すように規定されている。本発明に用いる、亜鉛または亜鉛合金めっきは、この規定にしたがったものであり、電気めっきによって行われる。具体的な方法としては、小品の大量めっきであるため、バレルめっきに事実上限定される。めっき浴としては、青化浴、ジンケート浴、塩化物浴など種々のめっき浴があり、それぞれに固有のめっき前処理を含め、めっき方法、化成処理といわれるその後処理方法は確立されているため、その方法に従えばよい。ただし、Cr%が大きい場合にはめっき密着性に問題か生じる場合がある。この場合、前処理条件、またはめっき条件を改善することにより解決することが多いが、以下に述べるフラッシュめっきにより解決することも可能である。
本発明のセルフタッピングねじは、亜鉛系めっき層に加えて、Niフラッシュめっき層またはCuフラッシュめっき層を有することができる。Niフラッシュめっきは、Niストライクめっきともいわれ、素地に不動態皮膜などがありめっき密着性を得にくい場合などに行う、めっきの前処理のためのめっきである。低イオン濃度の電解浴中で、高い電流密度でめっきすることにより、素地の不動態皮膜を除去し、表面を活性化しながら、同時にめっきを行う。めっき厚は通常0.1μm以下であり、このストライクめっき後に、必要なめっきを行うことにより、密着性がよいめっきが得られる。本発明においても、前行で述べたようなめっき条件の改善によっては十分なめっき密着性が得られない場合には、このNiストライクめっきを用いるとよい。フラッシュめっき(ストライクめっき)のめっき金属としては、NiまたはCuが一般的であり、本発明の場合、いずれでも効果は変わらない。
セルフタッピングねじは、以下の様な工程で製造される。鋼性の棒または線材を、ヘッダマシンにより所定長さに切断・ねじ頭部を形成し、次にドリルネジの場合は金型により先端のドリル形状を形成する。最後に、転造ダイスという金型を用いた圧延によってねじ部を形成する。このように、ねじの形状はすべて冷間の塑性加工によってつくられる。形状を作った後、ガス浸炭処理によって炭化物を作り表面硬化させる。次に、浸炭処理工程で生成した酸化皮膜を除去した後、上記のように、主に電気めっきによって亜鉛系のめっきをし、さらに化成処理を行なって完成となる。なお、上記の工程中で、水素が鋼中にはいり水素脆化と呼ばれる材質劣化を起こすことが多い。このため、めっきの工程の中で、200℃で数時間加熱して水素を除去するベーキングも必要なことが多い。
3〜7質量%のCrを有する鋼材は、JISG3507−1に規定した線材にもとづいて、ボルト・ナット等の小ねじ用につくられた規格である、SWCH材に、Crを添加することによって製造される。本発明におるCr添加の目的は、耐食性の改善のみであり、機械特性上のものはない。このため、通常、SKD等の合金工具鋼で行われる特殊な熱処理は全く必要ない。
3〜7質量%のCr含有鋼製のセルフタッピングねじに亜鉛または亜鉛合金めっきをする方法としては、一般にステンレス鋼などのCr含有鋼に装飾電気めっきを行う方法に準拠してもよい。この場合、高濃度の塩酸を含むめっき浴で、ごく薄い電気Niめっき、または電気Cuめっきなどを行い、続けて、純Znめっきまたは亜鉛合金めっきをすればよい。Zn系めっき方法は、青化浴、ジンケート浴、塩化物浴等によるのが一般的である。この方法で、問題なくめっきが可能である。ただし、Cr濃度が高くなければ、このような二段めっきするまでもなく、めっき条件を変更することで密着性に問題がないめっきが得られる場合が多い。セルフタッピングねじは小物部品のめっきであり、めっき方法としては、バレルめっき法を行うのが一般的である。
亜鉛系めっき後は、一般品の亜鉛系めっきと同じく、特に耐白錆性向上と外観の美麗化等を目的に、必要に応じて化成処理を行うことができる。化成処理としては、例えば、ユニクロを挙げることができる。
なお、本発明は、高耐食めっき鋼材と小物部品であるセルフタッピングねじの耐食性のアンバランスを根本的に解消するものではなく、実用的な解決手段である。このため、使用条件等によっては、本発明のセルフタッピングねじの効果が大きい場合とそうでない場合が存在する。例えば、接合される鋼材の設置が水平に近い場合には、降雨が非常に当たりやすいため、亜鉛系めっきの白錆がほとんど蓄積することなく流れてしまうことがある。この場合には、亜鉛系めっきが急速に消耗されてCr含有鋼地肌が露出するので、単にねじの地肌と鋼材の地肌との異種金属接触腐食が生じることを遅らせるだけの結果になる場合もある。したがって、防食の相乗効果がどの程度現れるか、鋼材の設置条件等の事前検討が必要である。
本発明のセルフタッピングねじによって、締結され、接合される構造物(被締結材)としては、軽量形鋼、山形鋼、薄鋼板等がある。鋼材の厚さが10mmになるような一般の形鋼にも適用は可能であるが、このような場合は、ねじも一般的に大きなものになるため、ねじの高耐食化には、鋼材と同じ高耐食溶融めっきを行う等の、別の選択肢もある。
本発明のセルフタッピングねじと組み合わせて用いられる、被締結材の材質は、リムド鋼、キルド鋼等の通常軟鋼が好ましく、一般的な構造用圧延鋼材であるSS400が最も好ましく、本発明の効果が最もよく得られる。ステンレス鋼材等の不動態を形成する材料は、ねじの寿命を著しく損ねるため、使用には不適当である。
被締結材は、めっき層を有する普通鋼であることが前提である。亜鉛−アルミニウムの合金をベースとする高耐食めっきが最も好ましく、本発明の効果が最もよく得られる。めっきは、亜鉛、アルミニウムに加え、マグネシウム、シリコン、ミッシュメタル、カルシウム等、他の元素を含んでいてもよい。高耐食めっき、あるいは厚い純亜鉛めっきなど、非締結材の耐食性能が高いほど、本発明は効果的である。もちろん、一般的な純Znめっき鋼材に適用しても差支えはない。
以下に、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
SWCH18Aに2〜8%のCrをそれぞれ加えた成分の鋼材を素材に用いて、なべ頭のM5×25mmのドリルねじを試作し、ガス浸炭処理を行った。酸洗後、強塩酸浴によってNiフラッシュめっきを行ない、さらに塩化物浴によって、純亜鉛めっき、種々の組成の亜鉛−ニッケル合金めっき、亜鉛−コバルト合金めっきを行った。めっき厚は、ねじ頭部で10μmとなることを目標とした。なお、機械強度等は、今回は評価しないため、ドリルねじで通常行われるベーキングによる水素脆化防止処理はおこなっていない。
SWCH18Aに2〜8%のCrをそれぞれ加えた成分の鋼材を素材に用いて、なべ頭のM5×25mmのドリルねじを試作し、ガス浸炭処理を行った。酸洗後、強塩酸浴によってNiフラッシュめっきを行ない、さらに塩化物浴によって、純亜鉛めっき、種々の組成の亜鉛−ニッケル合金めっき、亜鉛−コバルト合金めっきを行った。めっき厚は、ねじ頭部で10μmとなることを目標とした。なお、機械強度等は、今回は評価しないため、ドリルねじで通常行われるベーキングによる水素脆化防止処理はおこなっていない。
耐食性の評価は、ねじ単独の耐蝕性評価と、ねじを接合した構造材としての耐食性評価の両方を行った。被締結構造材として、めっき鋼板材としては、1mm厚のZn−11%Al−3%Mg−0.2%Siめっき鋼板(めっき付着量30g/m2)を用いた。この鋼材を、下穴なしで、電動ドライバーで、試作したドリルねじを用いて接合した。
ねじ単独の耐食性評価は、ねじを樹脂板に固定し、ねじの頭部以外を樹脂シールして、サイクル腐食試験を行った。
1サイクルは:
5%塩水噴霧試験(SST)(35℃)2時間→
乾燥(湿度30%,60℃の雰囲気)2時間→
湿潤(湿度95%,50℃の雰囲気)2時間→
とし、赤錆発性までのサイクル数で評価した。
1サイクルは:
5%塩水噴霧試験(SST)(35℃)2時間→
乾燥(湿度30%,60℃の雰囲気)2時間→
湿潤(湿度95%,50℃の雰囲気)2時間→
とし、赤錆発性までのサイクル数で評価した。
ねじを接合した構造材としての耐食性(異種金属接触腐食)評価は、乾湿繰り返し試験と屋外暴露試験により行った。
乾湿繰り返し試験は、
1サイクル:
湿潤(湿度95%,50℃の雰囲気)4時間→
乾燥(湿度30%,60℃の雰囲気)4時間→
で、100サイクル実施した。
1サイクル:
湿潤(湿度95%,50℃の雰囲気)4時間→
乾燥(湿度30%,60℃の雰囲気)4時間→
で、100サイクル実施した。
屋外暴露試験は、ねじを150mm×75mmの鋼材に接合し、鋼材の切断端面を塗料シールした後、試験片を南向きの屋外に垂直設置し、さらに晴天の日であっても10分×5回/日の蒸留水のスプレーを行った。2年間経過後、ねじと接合部を主に観察して錆発生を評価した。
なお、純粋に亜鉛めっきの効果を検証するために、鋼板・ねじのいずれも化成処理がない試験片を作成した。比較材として、SWCH18Aの同ねじ・ナットに、純亜鉛めっき、Zn−16%Niめっきを行ったねじ、ステンレス製のドリルねじを用いた。
なお、純粋にねじとねじを接合した構造材の耐蝕性を検証するために、鋼板・ねじのいずれも化成処理がない試験片を作成した。ただし、比較材としては、SWCH18Aのドリルねじに、ねじ頭部で10μmの純亜鉛めっき、Zn−9%Niめっきを行ったねじ、ステンレス製のドリルねじを用いた。
なお、純粋にねじとねじを接合した構造材の耐蝕性を検証するために、鋼板・ねじのいずれも化成処理がない試験片を作成した。ただし、比較材としては、SWCH18Aのドリルねじに、ねじ頭部で10μmの純亜鉛めっき、Zn−9%Niめっきを行ったねじ、ステンレス製のドリルねじを用いた。
(実施例2)
SWCH18Aに2〜8%のCrを加えた成分の鋼材を素材に用いて、六角頭のM5×20mmのとがり先タッピングねじを試作し、ガス浸炭処理を行った。 酸洗後、強塩酸浴によってCuフラッシュめっきを行ない、さらにジンケート浴によって各種めっきを行った。めっき厚は、ねじ頭部で6μm狙いとした。なお、機械強度等は、今回は評価しないため、通常行われるベーキングによる水素脆化防止処理はおこなっていない。
SWCH18Aに2〜8%のCrを加えた成分の鋼材を素材に用いて、六角頭のM5×20mmのとがり先タッピングねじを試作し、ガス浸炭処理を行った。 酸洗後、強塩酸浴によってCuフラッシュめっきを行ない、さらにジンケート浴によって各種めっきを行った。めっき厚は、ねじ頭部で6μm狙いとした。なお、機械強度等は、今回は評価しないため、通常行われるベーキングによる水素脆化防止処理はおこなっていない。
耐食性の評価は、ねじを接合した構造材としての耐食性評価のみを行った。ただし、めっき鋼材としては、1mm厚のZnめっき鋼板(めっき付着量40g/m2)を用い、2mmΦの下穴を開けた後、電動ドライバーでねじを接合した。
耐食性(異種金属接触腐食)評価は、乾湿繰り返し試験と屋外暴露試験により行った。乾湿繰り返し試験は、
1サイクル
湿潤4時間(湿度95%,50℃) → 乾燥4時間(湿度30%, 60℃) →
で、100サイクル実施した。
暴露試験は、試験片は南向きに垂直設置し、さらに晴天の日も10分×5回/日の蒸留水のスプレーを行った。試験後、ねじと部を主に観察して錆発生を評価した。
なお、純粋にねじとねじを接合した構造材の耐蝕性を検証するために、鋼板・ねじのいずれも化成処理がない試験片を作成した。比較材としては、ステンレス製のねじを用いた。
1サイクル
湿潤4時間(湿度95%,50℃) → 乾燥4時間(湿度30%, 60℃) →
で、100サイクル実施した。
暴露試験は、試験片は南向きに垂直設置し、さらに晴天の日も10分×5回/日の蒸留水のスプレーを行った。試験後、ねじと部を主に観察して錆発生を評価した。
なお、純粋にねじとねじを接合した構造材の耐蝕性を検証するために、鋼板・ねじのいずれも化成処理がない試験片を作成した。比較材としては、ステンレス製のねじを用いた。
Claims (2)
- 亜鉛または亜鉛合金めっき層を有し、3〜7質量%のCrを含有する合金鋼からなる高耐食性セルフタッピングねじ。
- 強塩酸浴によってNiフラッシュめっきまたはCuフラッシュめっきを行った後、亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきを行うことを特徴とする、請求項1に記載の高耐食性セルフタッピングねじの製造方法。
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