JP2010264703A - 合成樹脂成形用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャビティ表面の形状に影響されることなく、温度上昇のムラ無しに金型を急速加熱することが可能であり、成形サイクルを長くすることなく、ウエルドラインの発生を的確防止できるとともに、樹脂の収縮量を成形品の部位ごとに調整することによって、反り制御を的確に行なえる合成樹脂成形用金型を提供することである。
【解決手段】金型の入れ子を、キャビティ表面を有する入れ子表部材と、キャビティ表面を有しない入れ子裏部材に分割して構成し、前記入れ子表部材に、前記キャビティ表面の近傍部位を通過する溝を、前記入れ子表部材の裏面側から前記キャビティ表面に向かって形成し、前記溝に電熱ヒータを収容し、前記溝を前記入れ子裏部材で閉塞して、前記電熱ヒータを前記溝の最深部に定置するとともに、前記電熱ヒーターを複数系統に分けて設置し、前記各系統の電熱ヒーターを個別に通電制御して加熱ゾーンごとに異なる温度制御を行なうコントローラー部を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の射出成形や圧縮成形等に用いられる金型であって、キャビティ表面が交互に加熱冷却される合成樹脂成形用金型に関するものである。
成形品の外観品質を損ねるものとして、ウエルドラインの発生問題がある。ウエルドラインは、溶融樹脂を金型に充填する際に、異なる方向から流れてきた樹脂同士の先端が合流する部分に発生する。先端の溶融樹脂がキャビティ表面に接触することで、樹脂表面に固化層ができてしまう結果、完全に樹脂を充填して保持圧力をかけても樹脂合流部の固化層に金型表面が十分に転写されず、微小なV字状の溝となって表面に残ってしまうのである。
なお、ここに「外観」とは、成形品の表面状態すなわち成形品の見た目のことを言い、「外観品質」が良いとは、樹脂の固化層への金型表面の転写が良好になされることによって、成形品の表面状態が美的意匠性において優れていることを意味する。
例えば、図9のような多数の開口部2が存在する成形品1を、図17及び図18に示した従来式の金型3で成形した場合、スプルー4からランナー5を経由してゲート6からキャビティ空間7に充填された溶融樹脂は、開口部2を形成するコア部8によって分断され,コア部8から樹脂流動方向の下流側で樹脂が合流することにより、図19に示したようにウエルドライン9が発生してしまう。
この成形品の材質はポリカーボネイト(透明)であり、成形品サイズは縦100mm×横50mm×厚み1.2mmであり、金型のゲートはサイドゲート1点である。
ウエルドラインの発生を抑制するには、溶融樹脂を金型に充填及び充填後に保持圧力を加える際に金型温度を高くして置けば良いのであるが、金型温度を高くすることは、次の冷却工程にその分だけ時間を要することになり、結果として成形サイクルを長くしてしまう。更に成形品が十分に冷却できないことにより、金型からの離型に不具合が生じる。
そのため、溶融樹脂を金型に充填する間だけ金型のキャビティ表面を加熱することが、以下に示したように種々提案されている。
A.熱水冷水切替方式
この方式は、金型温度調節用水管に熱水と冷水を交互に流して温度調節するものである(特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
この方式のメリットは、通常仕様の金型で使用できること、そして、付帯設備の投資が少ないことである。
この方式のデメリットは、金型温度調節用水管の位置が金型表面から離れているため、温度の上昇、下降が遅いこと、そして、加熱温度の上限が摂氏160度であるため、ガラス転移温度の高い樹脂には十分な効果が得られないことである。
B.冷熱切替方式(蒸気加熱式)
この方式は、金型温度調節用流路に蒸気と冷水を交互に流して温度調節するものである(特許文献4及び特許文献5参照)。
この方式のメリットは、金型表面温度の上昇が熱水より早いこと、そして、媒体を流す回路が密にできるため、金型表面の温度差が小さいことである。
この方式のデメリットは、金型表面温度の上限が摂氏155度であるため、使用樹脂が限られること、ボイラや媒体切替装置といった生産設備が非常に高価になること、シーリング剤で塞いでも金型が錆びやすいこと、分割した入れ子をリブで支える構造のため、金型強度を維持する厚みが必要であり、流路を金型表面付近に設置できないことである。
C.金型表面断熱方式
この方式は、金型表面にセラミックなどの薄膜断熱層を設け、樹脂と金型の熱伝導を悪くすることにより冷却固化を遅らせるものである(特許文献6参照)。
この方式のメリットは、新たに生産設備を導入する必要がないこと、そして、表面コーティングであるため、金型に直接加工することなくできることである。
この方式のデメリットは、金型表面温度の上昇が小さいため、ウエルドラインが消失しないこと、外観面キャビティへの追加加工ができないこと、そして、金型表面温度の制御ができないことである。
D.高周波誘導加熱方式
この方式は、金型表面に接近させた位置にあるインダクターコイルに電流を流すことにより磁界を発生させ、金型表面に電流を発生させて、そのジュール熱で温度を上昇させるものである(特許文献7参照)。
この方式のメリットは、金型表面を十分高温にできること(摂氏250度以上も可能)、金型表面温度の上昇が早いこと、そして、外部からの加熱のため、金型に加工は不要であることである。
この方式にデメリットは、インダクターコイル間の隙間は加熱ができないため、金型表面の温度ムラが大きいこと、複雑なキャビティ形状に合うインダクターコイルが製作できないこと、そして、成形工程中に加熱できないため、成形サイクルが長くなることである。
E.輻射加熱方式
この方式は、型開き中に金型表面をハロゲンランプで照射するものである(特許文献8参照)。
この方式のメリットは、外部からの照射であるため、金型に加工する必要がないことである。
この方式のデメリットは、金型表面の温度上昇に時間がかかること、そして、金型表面の高低差に対応できないことである。
F.通電加熱方式
この方式は、金型表面に絶縁層をコーティングし、さらにその上に導電層をコーティングする金型を使用し、直接電極を設けて通電することにより発熱させるものである(特許文献9参照)。
この方式のメリットは、温度上昇が早いこと、金型表面温度を高温にできること(摂氏250度以上)、金型の加工はほとんど必要ないことである。
この方式のデメリットは、電流が電極間の最短距離を通るため、均一な発熱ができないことである。
G.カートリッジヒータ方式
この方式は、金型に設けたカートリッジヒータにより金型を加熱するものである(特許文献10及び特許文献11参照)。
この方式のメリットは、金型を高温域に保つことができること、そして、設置が容易であることである。
この方式のデメリットは、金型温度の変更に時間がかかること(通常、成形サイクル中の温度調節はできない)、高低差のある金型表面に対して均一加熱ができないこと(カートリッジヒータが容易に曲げられないため)、そして、加熱差を減少させるためにはヒータ数を増やす必要があることである。
いずれの方式にも一長一短があるのであるが、金型に冷熱用媒体を流す方式や金型にカートリッジヒータを挿入する方式では、金型に冷熱用媒体の流路やヒータの挿入孔を形成する必要があるが、従来行われている外壁からのドリルによる孔加工では直線的な流路またはヒータの設置しかできないため、凹凸のある立体形状のキャビティ表面に対して均一な距離にすることができず、キャビティ表面温度を均一に加熱することができない。
孔加工上の制約に起因する上記問題を回避するには、入れ子を複数個に分割して立体的な回路を形成することも可能であるが、媒体が流体の場合は媒体自身の漏れを防ぐため、流路全てをシーリングする必要が生じる。しかしながら、シーリングされた面は入れ子の突き当てができない面となるため、入れ子を支えることができず十分な金型強度が確保できない。また、この入れ子分割では、キャビティ表面から4mm以下の面で切削加工すると、加工歪みを生じるという別の問題を派生する。
流体で加熱する場合、回路の入り口と出口で温度差を生じる。また、ヒータ加熱ではヒータを密に配置できないため、温度ムラが生じるという問題がある。
キャビティ表面より4mm以下の距離に幅4mm以上の媒体流路またはヒータ挿入孔に必要な空間部を設けると、その空間部に相当するキャビティ表面が金型内樹脂の成形圧力により撓むため、樹脂成形品表面に光沢ムラが生じ外観品質の欠陥を生じる。
このような問題を回避するには、キャビティ表面より4mm以上離れた位置に媒体流路またはヒータ挿入孔による空間部を設ける必要があるが、加熱媒体からキャビティ表面までの距離と熱伝達の関係からキャビティ表面温度の昇温時間が遅くなる。
成形品外観の欠点であるウエルドラインを消失させることは、ウエルドラインを隠すために行われている化粧塗装を不要にできるため、コストダウンの方法として大きな期待が寄せられている長年の課題である。
この課題の解決手段として、金型の表面温度を通常より高くすることでウエルドラインの溝深さが浅くなり、さらに材料固有の温度まで昇温するとウエルドラインが消失することはよく知られている。しかし、常に金型温度を高温の状態にするということは、成形品表面が軟質な状態で金型から突き出すことになり、その際に成形品が変形してしまう問題が生じる。よって樹脂の充填中及び保持圧力加圧中は高温で、突き出し時には樹脂が硬化した状態の温度にすることが必要である。
このため射出成形加工の1サイクル中に金型表面温度を加熱と冷却する温度調節技術が求められ、上記したように様々な方法が提案されてきたのでるあが、いずれも欠点があり確立した技術として普及していないのが現状である。
また、合成樹脂成形品の成形において重要な問題は、上記した成形品の外観品質の問題に加えて、成形品内部にまで及ぶ樹脂の収縮状態に応じて発生する成形品の反りを如何に制御するかの問題である。
樹脂成形品の反り制御には、設計図寸法に完全に合致した寸法又は許容誤差内の寸法に仕上げることが要求される場合(反りの発生阻止)と、当該成形品の他部品との組立作業性を考慮して特定方向に意図的に一定程度の反りを意図的に付与しておきたい場合(反りの意図的付与)とがある。
反りの改善方法として、型締方向と同方向に発生する反りを、2台の金型温度調節器を使用して固定型と可動型とで異なる温度にして、固定型成形品面と可動型成形品面の収縮差で反り量を調整することがよく知られている。
しかし、この方法は、金型全体で常に温度差がある状態なため、金型の熱膨張も差により固定型と可動型とでカジリが生じ破損する問題がある。このため、反り量を十分に調整できるだけの温度差をつけることができない。また、型締方向と垂直の方向に生じる反りに対しては、効果的な改善方法がないのが原状である。
このように従前の金型技術ではいずれの反り制御においても必要十分かつ的確に行なうことは難しかった。そのため、工場の生産ラインにおいて、成形品に対し作業員の手によって修正操作を施す必要があり、この手作業の介在は、生産ライン全体の生産効率の改善に際し支障になった。修正操作の限界を越えた成形品は、不良品として廃棄せざるを得ないため、成形対象とする成形品の形状構造によっては、成形加工の歩留まりが相当に悪くなるものがあった。
本出願人は特許文献12に示したように、キャビティ表面に電熱ヒーターを近接して設置するようにした合成樹脂成形用金型を提案したが、その当時までの研究開発では、成形品の外観品質の改善効果は達成することができた、成形品の反り制御までは行なえなかった。本発明は、その後の研究開発で得られた知見に基づいて完成されたものである。
特開平09−314628号公報 特開平10−100156号公報 特開平11−115013号公報 特開2001−18229号公報 特開2002−316341号公報 特開2002−172655号公報 特開平10−80938号公報 特開2000−238104号公報 特開平04−265720号公報 特開平08−230005号公報 特開2004−74629号公報 特許第4052600号公報
本発明の課題は、キャビティ表面の形状に影響されることなく、電熱ヒータをキャビティ表面の如何なる部位においても必要十分に接近させて設置できるため、温度上昇のムラ無しに金型を所要温度まで急速加熱することが可能であり、成形サイクルを長くすることなく、ウエルドラインの発生を的確に防止(外観品質改善)できるとともに、樹脂の収縮量を成形品の部位ごとに調整することによって、反り制御を的確に行なえる合成樹脂成形用金型を提供することである。
請求項1の発明に係る合成樹脂成形用金型の主たる特徴は、金型がキャビティ空間を有する入れ子と、前記入れ子を支持する母型で構成されており、前記キャビティ空間に溶融樹脂を充填することによって、キャビティ表面が転写された成形品を成形する合成樹脂成形用金型において、
金型の入れ子を、キャビティ表面を有する入れ子表部材と、キャビティ表面を有しない入れ子裏部材に分割して構成し、前記入れ子表部材に、前記キャビティ表面の近傍部位を通過する溝を、前記入れ子表部材の裏面側から前記キャビティ表面に向かって形成し、前記入れ子裏部材にリブを突設し、前記溝に電熱ヒータを収容して、前記入れ子表部材と前記入れ子裏部材を組立てるとき、前記溝に嵌合させた前記リブの先端によって前記電熱ヒータを押し、前記電熱ヒータを前記溝の最深部に密着させて定置するとともに、前記電熱ヒーターを複数系統に分けて設置し、前記各系統の電熱ヒーターを個別に通電制御して加熱ゾーンごとに異なる温度制御を行なうコントローラー部を具備させたことである。
電熱ヒータの収容用の前記溝は、直線状または曲線状に複数本並列に形成するほかに、図6及び図7に示したように一本または数本の渦巻き状ないし周回状に形成することもでき、また、当該溝の進行方向に沿って高低や段差を付けて立体的に曲げて形成することもできる。図4に示した例では、複数個の電熱ヒータ用溝は、全部が同一の水平レベル位置に配置されているが、図8や図15に示したように、成形品の形状や肉厚に対応して、電熱ヒータ用溝の一部または全部を異なる水平レベル位置に配置することもある。
成形用キャビティは、図11に示したように、成形品の部位ごとの形状や肉厚に対応して、温度差が与えられるべき複数の加熱ゾーンに分けられる。電熱ヒーターは、この加熱ゾーンを単位として複数系統に設置され、各系統の電熱ヒータは、コントローラー部の設定にしたがって、通電される電流量、通電時間、通電開始と通電停止のタイミングの条件を適宜変更することによって、加熱量、加熱速度、昇温勾配を制御される。
請求項2に発明に係る合成樹脂成形用金型の特徴は、請求項1に発明の前記構成に加えて、前記電熱ヒータを変形自由度の高い直径4mm以下の細管ヒータとしたことである。
請求項1の発明の合成樹脂成形用金型では、金型の入れ子はキャビティ表面を有する入れ子表部材と、キャビティ表面を有しない入れ子裏部材に分割して構成されており、電熱ヒータ収容用の溝は前記入れ子表部材の裏面側から前記キャビティ表面に向かって前記入れ子表部材に切削加工によって形成されるため、金型の側面方向からカートリッジヒータの装填孔を直線状に穿孔している従来方式とは異なり、前記溝をキャビティ表面の形状に影響されずに、すなわち、キャビティ表面に段差部や凹凸部あるいは湾曲部がある場合には、当該段差部や凹凸部あるいは湾曲部に沿わせて前記溝を切削加工することによって、キャビティ表面の個別具体的な形状に対応した最適な形態に形成することができ、前記溝の長さ方向に沿ったどの部位においても、キャビティ表面と溝間の距離を同等に設定することができる。
また、入れ子裏部材にはリブを突設してあり、溝に電熱ヒータを収容して、入れ子表部材と入れ子裏部材を組立てるとき、溝に嵌合させた前記リブの先端によって電熱ヒータを押し、溝の最深部に電熱ヒータを密着状態に定置して保持することによって、キャビティ表面のあらゆる部位において同等の伝熱距離が設定されるため、温度上昇のムラなく所要温度まで急速に均一加熱することができる。
このように金型の入れ子表部材と入れ子裏部材が温度上昇のムラなく急速加熱され、所要の高温域に保持されるため、異なる方向から流れてきた樹脂同士の先端が合流する部分の樹脂表面に固化層ができてしまうことがなく、ウエルドラインの発生を的確に防止することができ、成形品の外観品質を向上させることができる。
請求項1の発明の合成樹脂成形用金型によれば、キャビティ表面温度を摂氏250度以上の温度にすることができ、合成樹脂のガラス転移温度以上に急速加熱できる。また、電熱ヒータの設置密度を密にすることにより、キャビティ表面温度のムラを防げる。電源装置以外特別の設備が不要であり、成形装置全体を安価に構成することができる。入れ子の厚みを任意に決められるため、必要十分な金型強度を保てる。また、加熱及び冷却媒体を使用しないため錆びに対しても強いものである。
また、電熱ヒータ収容用の前記溝は、入れ子表部材と入れ子裏部材を分離すれば、その全長が開放されるため、電熱ヒータの補修や交換作業が簡単に行なえる。
また、請求項1の発明の金型では、金型内に複数系統の電熱ヒーターを設置し、成形用キャビティを成形品の形状や肉厚といった個別具体的な態様に応じて、温度差が与えられるべき複数の加熱ゾーンに分け、コントローラー部の条件設定にしたがって、各加熱ゾーンを担当する系統の電熱ヒーターを働かせるようにしたため、各加熱ゾーンは最適な温度状態に制御されて加熱され、反りの発生を阻止したり、所望の方向に意図的に反りを付与したりすることができる。外観品質改善と合わせて、成形収縮量を部位ごとに調整して反り制御を簡単かつ的確に行なえるのである。
請求項1の発明の金型の利点を細目的に整理して述べれば、以下の通りである。
(a)複数の電熱ヒータによってゾーン単位で異なる温度制御を行い、可動型、固定型の個別制御は勿論のことそれぞれの型内でも部分的な温度制御ができること。
(b)入れ子に電熱ヒータを直接設置するため、保圧冷却中を含めた成形サイクル全域で連続した温度制御できること。
(c)キャビティ表面の温度差により成形収縮を部分的に調整できること。
(d)ガラス転移温度以上の領域を使用してキャビティ表面の温度差を大きくできること。
(e)成形収縮の大きい部位においては、キャビティ表面温度を低くし、成形収縮の小さい部位においては、キャビティ表面温度を高くすることで、成形収縮差が解消されて不要な反りが解消されること。
(f)温度差を調整することで反りを逆方向に発生することも可能であり、成形品を他部品と組み合わせる際の取り付け具合を考慮した反りの調整ができること(反りの意図的な付与)。
(g)従来できなかった型締方向と垂直の方向に発生する反りを制御できること。
(h)型締方向とその垂直方向の2方向で同時に発生する反りをキャビティ表面温度の条件設定により同時に調整することもできること。
請求項2の発明の合成樹脂成形用金型では、前記電熱ヒータを変形自由度の高い直径4mm以下の細管ヒータで構成してあるため、キャビティ表面の形状が立体的で高さの違うものであっても、電熱ヒータを曲げて前記溝に挿入できるため、溝深さをキャビティ表面形状に合わせて調整して、立体的なキャビティ表面を均一温度または任意の温度に昇温することができる。
電熱ヒータを曲げて設置可能なため、成形品の形状によっては1本の電熱ヒータで広範囲を昇温でき、安価である。
電熱ヒータが容易に曲がるため、高低差のある部分及び自由曲面及び側面に設置でき、金型表面に対して均一な距離に設置できる。
図1は本発明の一実施例に係る合成樹脂成形用金型の概略的な縦断面図である。 図2は図1の金型の入れ子部分の分離状態の正面図である。 図3は図1の金型の入れ子部分の分離状態の縦断面図である。 図4は図1の金型の入れ子部分の組立状態の縦断面図である。 図5は図1の金型における可動金型の入れ子表部材の平面図である。 図6は図5の入れ子表部材の底面図である。 図7は図5の入れ子表部材の右側面図である。 図8は本発明の別の実施例に係る合成樹脂成形用金型における入れ子部分の組立状態の縦断面図である。 図9は本発明の実施例に係る金型で成形された成形品の平面図である。 図10は本発明の更に別の実施例に係る合成樹脂成形用金型の概略的な縦断面図である。 図11は図10金型で成形される成形品の横断面図であり、制御ゾーンごとの加熱温度範囲を併記したものである。 図12は図10の金型で成形された成形品の正面図である。 図13は図1の金型について外観品質改善の実験を行なったときにおけるキャビティ表面温度履歴と成形工程の関係を示すグラフである。 図14は図10の金型について外観品質改善と反り制御の実験を行なったときにおけるキャビティ表面温度履歴と成形工程の関係を示すグラフである。 図15は図10の金型について外観品質改善と反り制御の実験を行なったときの各制御ゾーンごとのキャビティ表面温度履歴を示すグラフである。 図16は反り方向の基準を示す成形品の正面図である。 図17は従来方式の合成樹脂成形用金型の概略的な平面図である。 図18は図17の金型の概略的な縦断面図である。 図19は図17の金型で成形された成形品の平面図である。
図1から図7は請求項1の発明の一実施例を示すものであり、金型10は公知の樹脂成形用金型と同様に可動金型11と固定金型12とで構成されている(なお、金型10に接続される他の成形装置部分の図示は省略してある)。
この金型10は図9に示した成形品1のように扁平な板状成形品を成形するためのものであるので、キャビティ空間25は扁平空間に形成されている。
固定金型11は母型13と入れ子によって構成され、該入れ子は入れ子表部材15と入れ子裏部材16に分割して構成されている。可動金型12は母型14と入れ子によって構成され、該入れ子は入れ子表部材17と入れ子裏部材18に分割して構成されている。
固定金型11の入れ子表部材15の平坦な上面には、幅方向に同一深さの凹陥部が形成されており、可動金型12の入れ子表部材17の平坦な下面(キャビティ表面29に相当する部分)で該凹陥部を閉じ合わせたとき、前記キャビティ空間25が形成される。
固定金型11の入れ子表部材15には、平坦な下面側、すなわちキャビティ表面28とは反対側の面からキャビティ表面28に向かってキャビティ表面28に対して直角に複数本の溝19が、等間隔に互いに平行かつ同じ深さに形成されている。可動金型12の入れ子表部材17には、平坦な上面側、すなわちキャビティ表面29とは反対側の面からキャビティ表面29に向かってキャビティ表面29に対して直角に複数本の溝20が、等間隔に互いに平行かつ同じ深さに形成されている。
固定金型11の入れ子裏部材16の平坦な上面側には、複数個のリブ23が等間隔に互いに平行に突出形成されており、リブ23の配置間隔は前記溝19と同一であり、リブ23の幅寸法は前記溝19にぴたり嵌合する寸法であり、リブ23の突出長さは前記溝19の深さよりも電熱ヒータ21の外側直径分だけ短く設定されている。そのため、固定金型11の入れ子表部材15と入れ子裏部材16を組立てたとき、前記リブ23の先端に押された電熱ヒータ21は、前記溝19の最深部に定置して保持される。
これら溝19の最深部を相互に連結することによって描かれる直線は、前記キャビティ表面28と平行であり、これに収容された各電熱ヒータ21とキャビティ表面28間の距離は、望ましくは4mm以下に設定される。
このように固定金型11の入れ子表部材15に電熱ヒータ21が密着させられることによって、電熱ヒータ21の熱が入れ子表部材15に伝え易くなっている。
可動金型12の入れ子裏部材18の平坦な下面側には、複数個のリブ24が等間隔に互いに平行に突出形成されており、リブ24の配置間隔は前記溝20と同一であり、リブ24の幅寸法は前記溝20にぴたり嵌合する寸法であり、リブ24の突出長さは前記溝20の深さよりも電熱ヒータ22の外側直径分だけ短く設定されている。そのため、可動金型12の入れ子表部材17と入れ子裏部材18を組立てたとき、前記リブ24の先端に押された電熱ヒータ22は、前記溝20の最深部に定置して保持される。
これら溝20の最深部を相互に連結することによって描かれる直線は、前記キャビティ表面29と平行であり、これに収容された各電熱ヒータ22とキャビティ表面29間の距離は、望ましくは4mm以下に設定される。
このように可動金型12の入れ子表部材17に電熱ヒータ22が密着させられることによって、電熱ヒータ22の熱が入れ子表部材17に伝え易くなっている。
図8は請求項1の発明の別の実施例を示すものであり、金型10は公知の樹脂成形用金型と同様に固定金型11と可動金型12とで構成されている。なお、金型10に接続される他の成形装置部分の図示は前記実施例と同様に省略してある。
図8の金型10は、湾曲した板状成形品を成形するためのものであるので、キャビティ空間25は上に向かって凸の湾曲空間に形成されている。
固定金型11は母型13と入れ子によって構成され、該入れ子は入れ子表部材15と入れ子裏部材16に分割して構成されている。可動金型12も母型14と入れ子によって構成され、該入れ子は入れ子表部材17と入れ子裏部材18に分割して構成されている。
固定金型11の入れ子表部材15の上面中央の湾曲面部分には、幅方向に同一深さの凹陥部が形成されており、可動金型12の入れ子表部材17の下面中央部の湾曲したキャビティ表面29によって該凹陥部を閉じ合わせたとき、前記キャビティ空間25が形成される。
固定金型11の入れ子表部材15には、平坦な下面側、すなわち、キャビティ表面28とは反対側の面から、キャビティ表面28に向かって上下方向に複数本の溝19が、等間隔に互いに平行に形成されている。
これら溝19の深さは、各溝19の最深部を相互に連結したとき描かれる湾曲線が、前記キャビティ表面28と平行な湾曲線となるように設定される。すなわち、溝19と前記キャビティ表面28との間の距離が、複数の溝19の全部において同等となるように溝19が形成される。
各溝19に収容された各電熱ヒータ21と前記キャビティ表面28間の距離は、望ましくは4mm以下に設定される。このように可動金型11の入れ子表部材15に電熱ヒータ21が密着させられることによって、電熱ヒータ22の熱が入れ子表部材15に伝え易くなっている。
可動金型12の入れ子表部材17には、平坦な上面側、すなわちキャビティ表面29とは反対側の面からキャビティ表面29に向かって上下方向に複数本の溝20が等間隔に互いに平行に形成されている。
これら溝20の深さは、各溝20の最深部を相互に連結したとき描かれる湾曲線が、前記キャビティ表面29と平行な湾曲線となるように設定される。すなわち、溝20と前記キャビティ表面29との間の最短距離が、複数の溝20の全部において同等となるように溝20が形成される。
固定金型11の入れ子裏部材15の平坦な上面側には、複数個のリブ23が等間隔に互いに平行に突出形成されており、リブ23の配置間隔は前記溝19と同一であり、リブ23の幅寸法は前記溝19にぴたり嵌合する寸法である。
これらリブ23の突出長さは、各リブ23の先端部を相互に連結したとき描かれる湾曲線が、前記キャビティ表面28と平行な湾曲線となるように設定される。すなわち、リブ23と前記キャビティ表面28との間の最短距離が、複数のリブ23の全部において同等となるようにリブ23が形成される。
いずれのリブ23においても、リブ23の突出長さは、対応した位置にある前記溝19の深さよりも電熱ヒータ21の外側直径分だけ短く設定されている。そのため、固定金型の入れ子表部材15と入れ子裏部材16を組立てたとき、前記リブ23の先端に押された電熱ヒータ21は、前記溝19の最深部に定置して保持される。
各溝19に収容された各電熱ヒータ21と前記キャビティ表面28間の距離は、望ましくは4mm以下に設定される。
このように固定金型11の入れ子表部材15に電熱ヒータ21が密着させられることによって、電熱ヒータ21の熱が入れ子表部材15に伝え易くなっている。
可動金型12の入れ子裏部材18の平坦な下面側には、複数個のリブ24が等間隔に互いに平行に突出形成されており、リブ24の配置間隔は前記溝20と同一であり、リブ24の幅寸法は前記溝20にぴたり嵌合する寸法である。
これらリブ24の突出長さは、各リブ24の先端部を相互に連結したとき描かれる湾曲線が、前記キャビティ表面29と平行な湾曲線となるように設定される。すなわち、リブ24と前記キャビティ表面29との間の最短距離が、複数のリブ24の全部において同等となるようにリブ24が形成される。
いずれのリブ24においても、リブ24の突出長さは、対応した位置にある前記溝20の深さよりも電熱ヒータ22の外側直径分だけ短く設定されている。そのため、可動金型12の入れ子表部材17と入れ子裏部材18を組立てたとき、前記リブ24の先端に押された電熱ヒータ22は、前記溝20の最深部に定置して保持される。
各溝20に収容された各電熱ヒータ22と前記キャビティ表面29間の距離は、望ましくは4mm以下に設定される
このように固定金型12の入れ子表部材17に電熱ヒータ22が密着させられることによって、電熱ヒータ22の熱が入れ子表部材17に伝え易くなっている。
図10は請求項1の発明の更に別の実施例を示すものであり、金型10は可動金型11と固定金型12とで構成されている。金型10に接続される他の成形装置部分の図示は省略してある。
この金型10は、図11に示したように一側が最も厚肉に形成され、反対側に向かって肉厚が減少していく棒状の長い成形品を成形するためのものである。横断面において垂直方向の開口部によって、幅狭な部分1aと幅広な部分1bに分断されている。
固定金型11は母型13と入れ子によって構成され、該入れ子は入れ子表部材15と入れ子裏部材16に分割して構成されている。可動金型12は母型14と入れ子によって構成され、該入れ子は入れ子表部材17と入れ子裏部材18に分割して構成されている。
固定金型11の入れ子表部材15の平坦な上面には、成形品1の前記開口部に対応した突起部が形成されており、可動金型12の入れ子表部材17の平坦な下面には、前記部分1a,1bに対応した凹陥部が形成されており、可動金型11と固定金型12を閉じ合わせたとき、キャビティ空間25が形成される。
固定金型11の入れ子表部材15の平坦な下面には、キャビティ25に向かって直角に複数本の溝19が、等間隔に互いに平行かつ同じ深さに形成されている。可動金型12の入れ子表部材17の平坦な上面側には、キャビティ25に向かって直角に複数本の溝20が、等間隔に互いに平行に形成されている。これら溝20の深さには、キャビティ空間25の断面形状に応じて差が設定されている。
固定金型11の入れ子裏部材16の平坦な上面には、複数個のリブ23が等間隔に互いに平行に突出形成されており、リブ23の配置間隔は前記溝19と同一であり、リブ23の幅寸法は前記溝19にぴたり嵌合する寸法であり、リブ23の突出長さは同一であり、前記溝19の深さよりも電熱ヒータ21の外側直径分だけ短く設定されている。そのため、固定金型11の入れ子表部材15と入れ子裏部材16を組立てたとき、前記リブ23の先端に押された電熱ヒータ21は、前記溝19の最深部に定置して保持される。
これら溝19の最深部を相互に連結することによって描かれる直線は、前記キャビティ空間25の内面と平行であり、これに収容された各電熱ヒータ21とキャビティ空間25間の距離は、望ましくは4mm以下に設定される。
このように可動金型11の入れ子表部材15に電熱ヒータ21が密着させられることによって、電熱ヒータ21の熱が入れ子表部材15に伝え易くなっている。
可動金型12の入れ子裏部材18の平坦な下面には、複数個のリブ24が等間隔に互いに平行に突出形成されており、リブ24の配置間隔は前記溝20と同一であり、リブ24の幅寸法は前記溝20にぴたり嵌合する寸法であり、リブ24の突出長さは、キャビティ25の形状に相応して長さに差を付けてある。各リブ24の長さは、前記溝20の深さよりも電熱ヒータ22の外側直径分だけ短く設定されている。そのため、可動金型12の入れ子表部材17と入れ子裏部材18を組立てたとき、前記リブ24の先端に押された電熱ヒータ22は、前記溝20の最深部に定置して保持される。
これら溝20の最深部を相互に連結することによって描かれる直線は、前記キャビティ25の内面と平行であり、これに収容された各電熱ヒータ22とキャビティ25の内面間の距離は、望ましくは4mm以下に設定される。
このように可動金型12の入れ子表部材17に電熱ヒータ22が密着させられることによって、電熱ヒータ22の熱が入れ子表部材17に伝え易くなっている。
いずれの実施例においても、電熱ヒータ21,22は成形品の1の形状や肉厚などの個別具体的態様に応じて複数系統に設置され、各系統の電熱ヒータ21,22に供給される電力は、このコントローラー部40にある系統ごとに用意されたスライダックやサイリスタなどの制御装置によって出力を調節されており、射出成形機の型締信号とタイマーを用いて成形サイクルと動作を連動させている。
金型10全体を温調する金型温度調節器のほかに、可動金型11には入れ子裏部材16に冷却媒体流路26を設けてあり、固定金型12には入れ子裏部材18に冷却媒体流路27を設けてあるため、前記冷却媒体流路26,27に冷却水を通す回路を接続し、電磁バルブによって冷却水の開閉を行うことによって、各入れ子の冷却を任意の時間に行うことができる。加熱時間の制御はタイマーだけでなく、金型に温度センサを組み込むことによって、金型表面温度を制御することも可能である。
前記各入れ子表部材15,17の厚さを4mm以上の十分な厚さにしても電熱ヒータ21,22を任意の溝深さで設置できる。このため、十分な金型強度が得られ機械加工時に歪みを生じることがない。
前記各キャビティ25の内面と電熱ヒータ21,22の表面に当たる前記各入れ子表部材15,17の溝19,20の底との距離を4mm以下にすることより、熱伝達時間を短くでき、キャビティ表面温度を所定温度まで短時間で昇温することができる。これは昇温させるに必要な熱エネルギーが少ないことでもあり、前記キャビティ25の冷却も早くできる。前記各入れ子表部材15,17の溝19,20は、金型内樹脂圧力によって撓みが起きない溝幅である4mm以下にする。前記各入れ子表部材15,17は、電熱ヒータ21,22の設置用の溝19,20以外の空間を必要とせず、金型構造として強固であるため、補強対策の必要がない。
電熱ヒータ21,22を前記各入れ子表部材15,17の溝19,20に設置した後、電熱ヒータ21,22を前記各入れ子裏部材16,18のリブ23,24で押し付けることにより前記各入れ子表部材15,17に密着させることによって、熱の伝達損失は無くなり、キャビティ表面温度を効率良く昇温させることができる。
制御回路の異なる複数本の電熱ヒータ21,22を使用することにより、それぞれ異なった温度制御ができるため、成形品外観品質の調整が可能である。
電熱ヒータ21,22の直径が4mm以下の細いものとしたときには、ヒータ間の距離を密に配置でき、キャビティ表面温度を均一にできる、また、曲線部や高低差のある部分でも簡単に手で曲げて挿入できる。
本発明の上記した金型内ヒータ設置方式によれば、金型温度を短時間で上昇下降させ樹脂の流動及び保持圧力中に樹脂の固化を遅らせることが可能になる。これは、成形品外観品質を向上させる効果だけにとどまらず、樹脂の流動性向上が図られるため、従来ショートショットする厚みの成形品を成形可能にできる。
また、この効果は樹脂射出成形以外でも同様の効果が得られ、溶融された流体を押し流し、所定の形状で冷却固化させる目的の型を使用した成形加工全てに有効な手段である。
〔成形品の外観品質改善についての実験例〕
図9に示した成形品1の実験用金型10を製作し、キャビティ表面をヒータ出力1300Wで加熱した場合の温度変化を代表値にて図10に示す。成形品1の材質はポリカーボネイト(透明)であり、成形品サイズは縦100mm×横50mm×厚み1.2mmであり、金型のゲートはサイドゲート1点である。
金型全体には金型温度調節器から摂氏90度の水を通して温調を行っており、電熱ヒータ(外管直径:1.6mm、単位長さ当りの発熱量:975W/m、製造元:株式会社岡崎製作所、形式:H35マイクロヒータ)で15秒間加熱することによってキャビティ表面温度を摂氏175度まで上げることができた。
なお、本実験では、成形品1の形状が平板状の単純形状であるため、外観品質改善に重点を置いて、電熱ヒータによる加熱を各部位一律に行ない、反り制御については検証しなかった。
成形の1サイクルは次の通りに行なわれた。
(1) 型開き開始と同時に電熱ヒータに通電し加熱を開始する。
(2) 電熱ヒータによる加熱と並行して金型から成形品の取り出しを行ない、金型を閉じる。
(3) 型締が完了したら,金型に溶融樹脂の射出を行った後、保持圧力をかける。電熱ヒータによる加熱は型締完了の段階か保持圧力工程終了までの任意の時間に行なう。
(4) 保圧工程後、冷却工程を開始したら冷却水用電磁弁を開き、入れ子の冷却用水管に冷却水を流し,加熱開始前の状態まで温度を下げる。
(5) 成形の1サイクルを終了、(1)に戻る。
本実験例では、キャビティ表面が摂氏175度であり、成形樹脂のガラス転移温度(ポリカーボネートで摂氏144度)よりも高いため、溶融樹脂がキャビティ表面と接触しても完全に固化せず、ウエルドラインの発生を抑える働きをしていた。
従来方式で成形した成形品に発生していたウエルドラインをレーザ顕微鏡で測定すると、ウエルドラインの深さが約5μmであり、ウエルドラインの幅が約15μmであったが、本発明の金型を用いて成形したところ、ウエルドラインはレーザ顕微鏡でも測定できない状態にまですることができた。
〔外観品質改善成形と反り制御成形を同時に実施した実験例〕
本発明の金型は、熱源である電熱ヒータを直接金型内に設置する構造であるため、射出時だけではなく保圧冷却中も温度制御が可能である。また、複数のヒータが独立した温度制御をするため、成形工程中に温度差を与えると反り量に変化が現れる。
図10に示す金型によって成形された図12に示す成形品は、ウエルドレス成形(外観品質改善成形)と反り制御成形を同時に実施した例である。成形品形状は長さ168mm、幅7.5mm、厚さ0.7〜2.2mm、ゲートは長手両端にサイドゲート2ヵ所、成形材料はPMMA樹脂である。
この成形品1は、図11の断面図でハッチングされた幅1.6mmのa部と幅3.2mmのb部が、側面を含めた4面から冷却の影響を受ける形状であり、これが成形品全体の半分以上を構成している。
この点をCAEで解析したところ、1a部は4面からの冷却効果で、高圧時に固化が進むため収縮が少なく、1b部は、1a部より幅があるため側面からの冷却があっても固化が遅く、収縮が多いとの結果を得た。よって、両部1a、1bの収縮差による反りが発生すると予測された。そこで、電熱ヒータ21,22の温度制御を利用して、両部1a、1bの収縮差改善を試みることにした。
まず、完成した金型で通常成形を行うと、図16の反り方向+側に0.3mmの反りが発生し、CAE解析と整合性のある結果が得られた。つぎに、図10に示す電熱ヒータ21,22を図11のように4つの加熱ゾーン(1),(2),(3),(4)に分け、コントローラー部の設定変更によって、加熱ゾーン(1)と加熱ゾーン(3)は低い温度で冷却固化を早めて収縮を抑えるように条件変更し、加熱ゾーン(2)と加熱ゾーン(4)は高い温度で冷却固化を遅らせて収縮を促進させるように条件を変更したところ、反りに変位が現れ、最終的には反り量を0mmすることができた。成形の1サイクルは前記実験例とほぼ同様である。
図15のグラフは、キャビティ表面温度履歴の実測値を示す。これは、ウエルドレス(外観品質改善)に必要な高温域を維持しながら、型締方向に発生する反りとその垂直方向に発生する反りを同時に調整する温度差となっている。更に、温度差を逆にすることで、図16の反り方向−の逆方向へ発生させられることも確認した。
10 金型
11 固定金型
12 可動金型
13 可動金型の母型
14 固定金型の母型
15 可動金型の入れ子表部材
16 可動金型の入れ子裏部材
17 固定金型の入れ子表部材
18 固定金型の入れ子裏部材
19 可動金型の入れ子表部材の溝
20 固定金型の入れ子表部材の溝
21 可動金型の電熱ヒータ
22 固定金型の電熱ヒータ
23 可動金型の入れ子裏部材のリブ
24 固定金型の入れ子裏部材のリブ
25 キャビティ空間
26 可動金型の冷却媒体用流路
27 固定金型の冷却媒体用流路
28 キャビティ表面
29 キャビティ表面
40 電熱ヒータのコントローラ部

Claims (2)

  1. 金型がキャビティ空間を有する入れ子と、前記入れ子を支持する母型で構成されており、
    前記キャビティ空間に溶融樹脂を充填することによって、キャビティ表面が転写された成
    形品を成形する合成樹脂成形用金型において、
    金型の入れ子を、キャビティ表面を有する入れ子表部材と、キャビティ表面を有しない入れ子裏部材に分割して構成し、前記入れ子表部材に、前記キャビティ表面の近傍部位を通過する溝を、前記入れ子表部材の裏面側から前記キャビティ表面に向かって形成し、前記入れ子裏部材にリブを突設し、前記溝に電熱ヒータを収容して、前記入れ子表部材と前記入れ子裏部材を組立てるとき、前記溝に嵌合させた前記リブの先端によって前記電熱ヒータを押し、前記電熱ヒータを前記溝の最深部に密着させて定置するとともに、前記電熱ヒーターを複数系統に分けて設置し、前記各系統の電熱ヒーターを個別に通電制御して加熱ゾーンごとに異なる温度制御を行なうコントローラー部を具備させたことを特徴とする合成樹脂成形用金型。
  2. 前記電熱ヒータを変形自由度の高い直径4mm以下の細管ヒータとしたことを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂成形金型。
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