JP2010264185A - 医用画像診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】関心領域における造影剤濃度の時間変化に応じて被検体への造影剤の注入を制御することにより、所望の造影効果が得られるタイミングで撮影することが可能な医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】CT値算出部30は、造影剤が注入された被検体を撮影することで取得された画像データに基づいて、関心領域内のCT値を時系列に沿って求める。第2CT値監視部31は、CT値が予め設定された停止CT値以上になった場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、その停止指示に従って、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止する。
【選択図】図1

Description

この発明は、被検体に造影剤を注入した状態で撮影を行う医用画像診断装置に関する。
動脈瘤や血管閉塞といった、血管やその周辺臓器における病変を発見する方法として、CTA(Computed Tomography Angiography:コンピュータ断層撮影血管造影法)がある。通常のX線CT装置によって得られた画像は、臓器や血管などの軟部組織におけるX線吸収値が小さく、低コントラストの画像となってしまう。従って、通常のX線CT装置で得られた画像では、これらの部位に関して満足な診断を行うことは困難である。これに対して、CTAは、X線吸収値が高い造影剤を被検体に注入して、注目する血管のX線吸収値が増加している状態で撮影を行う方法である。このCTAによって、コントラストを高めて、明瞭な臓器の像を得ることが可能となる。
従来技術として、被検体に注入された造影剤の濃度に応じて、X線CT装置による撮影開始のタイミングを計る技術がある(例えば特許文献1)。この従来技術では、造影剤注入装置(インジェクター)によって被検体に造影剤を注入し、被検体の関心領域における造影剤の濃度を監視する。そして、関心領域における造影剤の濃度が閾値を超えると、X線CT装置によって撮影を自動的に開始する。この技術によると、操作者は造影開始の指示を撮影装置に与えるだけで、撮影装置が造影剤の濃度に従って撮影のタイミングを計って、自動的に撮影を開始することが可能となる。
従来技術に係る造影剤の濃度に応じた撮影開始のタイミングについて、図6を参照して説明する。図6は、従来技術における造影剤の濃度に応じた撮影開始のタイミングを説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。
被検体内に注入された造影剤は血流に乗って体内を移動し、目的臓器に達する。X線CT装置による造影剤撮影では、造影剤が目的臓器に流入しているタイミングを計ってスキャン(以下、「本スキャン」と称する場合がある)を開始し、画像データを取得する。
従来においては、本スキャンの前に、造影剤が注入された被検体の関心領域(ROI)における造影剤濃度の変化を観察するためのスキャン(以下、「プレップスキャン」(準備スキャン)と称する場合がある)を実行する場合がある。このプレップスキャンは、被検体のX線投影データを収集しながら画像再構成を行い、スキャンを行いながらリアルタイムに画像データを生成するスキャン方法である。そして、このプレップスキャンにより得られた画像データに基づいて、関心領域における造影剤の濃度を判断し、造影剤濃度がある程度高くなった時点で、プレップスキャンを中止して本スキャンを自動的に開始する。この場合、関心領域内のCT値(造影剤濃度)が閾値以上になると、自動的に本スキャンを開始する。
ここで、造影剤の濃染の時間変化を表す曲線を、Time−Density Curve(以下、「TDC」と称する)と称する。例えば、関心領域内のCT値の時間変化を表す曲線をTDCとする。TDCにおいては、組織に造影剤が流入した場合に、その組織におけるCT値が大きくなる。そのため、CT値の大きさが造影剤の濃染の状態を表している。
図6に、関心領域におけるCT値の時間変化を表すTDCの1例を示す。図6において、横軸は時間tを示し、縦軸はCT値(画素値)を示している。図6に示すTDC500のように、被検体に造影剤を注入した直後においては、関心領域には造影剤は流入しないため、関心領域内におけるCT値は低い。さらに時間が経過すると、造影剤が関心領域に流入してCT値が変化(増加)する。この関心領域におけるCT値が所定の閾値以上になると、目的臓器にも造影剤が流入していると考えられるため、この時点で本スキャンを開始する。図6においては、時間Tで関心領域におけるCT値が閾値以上になるため、時間Tで本スキャンを開始する。これにより、自動的に本スキャンが開始され、造影剤が目的臓器に流入したタイミングで撮影を開始することが可能となる。そして、予め設定された所定時間の間、本スキャンを実行することで、造影剤が流入した目的臓器を表すCT画像データを取得する。本スキャンを開始する時間Tから所定時間経過後の時間Tまで本スキャンを実行し、時間Tで本スキャンを終了する。
特開2007−143880号公報
しかしながら、従来技術に係る方法においては、造影剤の注入開始と本スキャン開始とを制御するのみで、本スキャンの途中で、TDCに基づいて造影剤の注入量や注入圧(注入速度)の制御を行っていなかった。また、従来においては、本スキャン終了に応じて、造影剤を終了させる制御を行っていなかった。例えば図6に示すように、本スキャンが終了した時間T以降においても、造影剤を被検体に注入し続けていた。このように、本スキャンが終了したにもかかわらず、被検体に造影剤を注入し続けているため、造影剤を無駄に注入し、患者に負担をかけることになっていた。
また、造影剤注入による造影剤の濃度変化(CT値の時間変化)は、患者の体重や疾患などによって大きく異なる。すなわち、造影剤の注入開始から目的臓器に造影剤が流入するまでの時間が、患者や疾患の種類によって異なる。従来においては、本スキャンの途中で、造影剤の注入量や注入圧を制御していなかったため、時間Tで本スキャンを開始しても、患者や疾患の種類によって、造影効果が高くなる(CT値が高くなる)前に本スキャンが終了してしまうことがあった。この場合、造影効果が高い状態で本スキャンを完了することができないため、所望のコントラストを有する画像データを取得することが困難であった。このような場合は、再度撮影を行う必要があるため、患者に負担をかけることになっていた。
この発明は上記の問題点を解決するものであり、関心領域における造影剤濃度の時間変化に応じて被検体への造影剤の注入を制御することにより、所望の造影効果が得られるタイミングで撮影することが可能な医用画像診断装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、被検体に所定の注入速度で造影剤を注入する造影剤注入手段と、前記造影剤が注入された前記被検体を撮影することで、撮影された時間がそれぞれ異なる複数の画像データを取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された各画像データに対して設定された関心領域内の画素値を、それぞれの画像データについて求める画素値算出手段と、前記各画像データにおける画素値に応じて、前記造影剤注入手段による前記造影剤の注入を制御する注入制御手段と、を有することを特徴とする医用画像診断装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像診断装置であって、前記注入制御手段は、前記画素値が予め設定された停止閾値以上になった場合に、前記造影剤注入手段による造影剤の注入を停止させることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像診断装置であって、前記注入制御手段は、前記各画像データにおける画素値を基に前記画素値の時間変化がピークを形成した時点で、前記造影剤注入手段による造影剤の注入を停止させることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像診断装置であって、前記注入制御手段は、前記各画像データにおける画素値の時間変化に基づいて、前記造影剤注入手段による前記造影剤の注入が開始された時点から所定時間経過後の目標到達時間に、前記画素値が所定の目標画素値に到達するように前記注入速度を変えて、前記造影剤注入手段に前記造影剤を注入させることを特徴とする。
この発明によると、関心領域内の画素値に応じて造影剤の注入を制御することにより、所望の造影効果が得られるタイミングで撮影することが可能となる。また、関心領域内の画素値が停止閾値以上になった場合、又は、画素値の時間変化がピークを形成した時点で、造影剤の注入を停止することで、造影剤の無駄な注入を抑制することが可能となる。
この発明の実施形態に係る医用画像診断装置を示すブロック図である。 この発明の実施形態における造影剤の濃度に応じた撮影開始及び撮影終了のタイミングを説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。 この発明の実施形態における造影剤の濃度に応じた撮影開始及び撮影終了のタイミングを説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。 この発明の実施形態における造影剤の濃度変化に応じた注入速度を求める処理を説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。 この実施形態に係る医用画像診断装置による動作を説明するためのフローチャートである。 従来技術における造影剤の濃度に応じた撮影開始のタイミングを説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。
この発明の実施形態に係る医用画像診断装置について、図1を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態に係る医用画像診断装置を示すブロック図である。
この実施形態に係る医用画像診断装置は、架台装置1と、コンソール部2と、寝台装置4と、造影剤注入装置5(インジェクター)とを備えている。架台装置1と、コンソール部2と、寝台装置4とによってX線CT装置が構成されている。
(造影剤注入装置5)
造影剤注入装置5は、被検体に造影剤を自動的に注入するための装置である。造影剤注入装置5は、被検体に造影剤を注入するための注入ヘッド51と、この注入ヘッド51の動作を制御するための注入制御部52とを備えている。例えば、注入ヘッド51は、造影剤を充填するためのシリンダーを有している。注入制御部52は、操作入力部27から受けた注入条件に従って注入ヘッド51を制御する。注入ヘッド51は、予め設定された造影条件(造影剤の注入量、注入圧(注入速度))に従って、空気圧、モータ、又は油圧などの動力を用いて、シリンダー内の造影剤を被検体に注入する。1例として、注入ヘッド51は注入制御部52の制御の下、総量が100mlの造影剤を3ml/secの注入速度(注入圧)で被検体に注入する。なお、注入ヘッド51が、この発明の「造影剤注入手段」の1例に相当し、注入制御部52が、この発明の「注入制御手段」の1例に相当する。
(X線CT装置)
X線CT装置の架台装置1は、X線管球12及びX線検出器13を格納した回転架台(ガントリ)を備え、被検体に関するX線投影データを収集する。そのX線投影データはコンソール部2に出力され、画像再構成処理などの処理に供される。なお、X線CT装置が、この発明の「画像取得手段」の1例に相当する。
架台装置1には、X線管球12と、そのX線管球12と対になるX線検出器13とが設けられている。X線検出器13は、例えば1000チャンネルの検出素子を1例に並べて構成しても良いし、検出素子を互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向)それぞれにアレイ状に複数配列し、これにより2次元のX線検出器を構成しても良い。また、高電圧発生部11はスキャン制御部28からの制御信号に従って、X線を照射させるための高電圧をX線管球12に供給する。
X線検出器13にはデータ収集部(DAS)14が設けられている。データ収集部14は、X線検出器13の各検出素子と同様にアレイ状に配列されたデータ収集素子を有し、X線検出器13により検出されたX線(検出信号)を、スキャン制御部28から出力されたデータ収集制御信号に対応させて収集する。この収集されたデータがX線投影データである。そして、データ収集部14はX線検出器13の各チャンネルの電気信号を電圧に変換し、増幅してデジタル信号に変換する。
そして、X線管球12から照射され被検体を透過したX線はX線検出器13で検出され、その検出信号はデータ収集部14で増幅され、デジタル信号に変換されてX線投影データとして収集される。X線管球12、X線絞り(図示しない)、X線検出器13、及びデータ収集部14は、図示しない回転架台に一体的に固定されている。
架台駆動部15は、スキャン制御部28から出力された架台制御信号に基づいて、図示しない回転架台を回転させる。これにより、回転架台は回転中心を中心として回転させられる。
(コンソール部2)
コンソール部2は、前処理部21、再構成処理部22、画像記憶部23、画像処理部24、表示制御部25、表示部26、操作入力部27、スキャン制御部28、CT値算出部30、第2CT値監視部31、及び、パラメータ決定部32を備えている。
前処理部21は、データ収集部14から出力されたデータに対して、感度補正やX線強度補正などを施す。前処理部21にて感度補正などの処理が施されたX線投影データは、再構成処理部22に出力される。
再構成処理部22は、前処理部21にて感度補正が施されたX線投影データを逆投影処理することにより画像データを再構成する。これにより、被検体を表す画像データが生成される。再構成処理部22から出力された画像データは、画像記憶部23にて一時的に保持される。
画像処理部24は、操作入力部27にて入力された操作者の指示に従って、画像データに対して様々な画像処理を施す。画像処理部24は、例えばボリュームレンダリング処理やMPR処理などの処理を施すことで、3次元画像データやMPR画像データ(任意断面における画像データ)を生成して表示制御部25に出力する。表示制御部25は、画像処理部24から出力された画像データに基づく画像を、液晶ディスプレイやCRTなどの表示部26に表示させる。
スキャン制御部28は、スキャンに際して、回転架台を一定の速度で安定的に回転させるために、架台駆動部15に回転制御信号を供給する。また、スキャン制御部28は、X線発生を制御するX線発生制御信号を高電圧発生部11に出力し、X線の検出のタイミングを示す検出制御信号をデータ収集部14に出力する。
寝台装置4は、寝台41と寝台駆動部42とを備えている。寝台41は、被検体を載置するための寝台天板と、寝台天板を支持する寝台基台とを備えている。寝台天板は、寝台駆動部42により被検体の体軸方向(スライス方向)に移動可能となっている。寝台基台は、寝台駆動部42により寝台天板を上下方向に移動させることが可能となっている。
また、操作入力部27は、操作者が例えば本スキャン条件やプレップスキャン条件などの様々な情報や各種の指示を入力するために設けられている。
以上のように構成されたX線CT装置は、スキャン制御部28の制御の下で、回転架台を回転させながらX線投影データを収集する。1例として、X線CT装置は、プレップスキャンを実行することで本スキャンを開始するタイミングを計り、適切なタイミングで本スキャンを実行する。
なお、スキャンに先立って、撮影スライスの位置決めや、プレップスキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間など)、本スキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間など)、及び、プレップ条件(本スキャン開始の条件(CT値の閾値など))の設定が行われる。これらの設定条件は、コンソール部2に設けられた図示しない記憶部に記憶される。
プレップスキャンを実行する場合、スキャン制御部28の制御の下、プレップスキャン条件に従ってプレップスキャンが行われる。すなわち、位置決めされたスライスに関してX線管球12及びX線検出器13が被検体の周囲を連続的に回転しながら、プレップスキャン条件に従ってX線管球12からX線が発生され、データ収集が繰り返される。
そして、プレップスキャンと並行して、スキャン制御部28は、再構成処理部22を制御して、プレップスキャンにより得られたX線投影データに基づいて断層像データ(以下、「監視用画像データ」と称する場合がある)を再構成させる。
(CT値算出部30)
CT値算出部30は、再構成処理部22によって生成された画像データを受けて、その画像データに基づいて、予め設定された関心領域(ROI)に含まれる複数画素のCT値を求める。例えば、CT値算出部30は、関心領域(ROI)に含まれる複数画素のCT値の和を求めたり、その平均値を求めたりする。なお、CT値算出部30が、この発明の「画素値算出手段」の1例に相当する。この実施形態では、画素値の1例としてCT値を求めるが、CT値の代わりに画像のSD値(標準偏差値)を求めても良い。
関心領域(ROI)は、操作者が操作入力部27を用いて、画像上の任意の位置に設定される。例えば、表示制御部25は、再構成処理部22によって生成された画像データに基づく画像を表示部26に表示させる。操作者は操作入力部27によって、表示部26に表示されている画像上の所望の領域を指定する。例えば、操作者は操作入力部27によって、注目部位を囲む範囲を指定する。操作者によって指定された範囲が、関心領域(ROI)としてCT値算出部30に設定される。そして、CT値算出部30は、その関心領域(ROI)に含まれる複数画素のCT値を求める。以下、関心領域(ROI)に含まれる複数画素のCT値を、「関心領域(ROI)内のCT値」と省略する場合がある。
例えば、CT値算出部30は、プレップスキャンを実行することで順次得られた監視用画像データに基づいて、予め設定された関心領域(ROI)に含まれる複数画素のCT値を、各監視用画像データについて求める。これにより、CT値算出部30は、関心領域内のCT値を時系列に沿って求める。以下、プレップスキャンによって得られた監視用画像データに対して設定される関心領域(ROI)を、監視用関心領域(監視用ROI)と称することにする。CT値算出部30は、各時間における監視用ROIに含まれる複数画素のCT値を第1CT値監視部29に出力する。以下、監視用ROIに含まれる複数画素のCT値を、「監視用ROI内のCT値」と省略する場合がある。
そして、第1CT値監視部29は、プレップスキャンに先立って設定された閾値(プレップ条件)と、監視用ROI内のCT値とを比較し、監視用ROI内のCT値が閾値以上となったか否かを判断する。第1CT値監視部29は、監視用ROI内のCT値が閾値以上になった場合に、本スキャン開始であると判断する。つまり、監視用ROI内のCT値が閾値以上になった場合、造影剤が目的部位に流入してきたと考えられるため、プレップスキャンを中止して本スキャンを実行する。この場合、スキャン制御部28は、本スキャン条件に従って本スキャンを実行する。
スキャン制御部28の制御の下、X線CT装置は継続して本スキャンを実行する。再構成処理部22は、本スキャンを実行することで順次得られたX線投影データに基づいて、時系列に沿った複数の画像データを生成し、それら複数の画像データを順次、CT値算出部30に出力する。CT値算出部30は、本スキャンを実行することで得られた複数の画像データを再構成処理部22から受けて、予め設定された関心領域(ROI)内のCT値を各画像データについて求める。これにより、CT値算出部30は、関心領域(ROI)内のCT値を時系列に沿って求める。そして、CT値算出部30は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値を、第2CT値監視部31とパラメータ決定部32とに出力する。また、表示制御部25は、再構成処理部22によって生成された画像データに基づく画像を表示部26に表示させる。
一方、監視用ROI内のCT値が閾値未満の場合、スキャン制御部28はプレップスキャンを継続して実行する。そして、第1CT値監視部29によって、監視用ROI内のCT値が閾値以上になったと判断されるまで、スキャン制御部28はプレップスキャンを継続して実行する。
(第2CT値監視部31)
第2CT値監視部31は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値をCT値算出部30から受けて、CT値が、予め設定された閾値(停止CT値A)以上になった場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。この閾値(停止CT値A)は、操作者が操作入力部27を用いて予め入力された値であり、図示しない記憶部に記憶される。なお、停止CT値Aが、この発明の「停止閾値」の1例に相当する。
図2に、関心領域(ROI)におけるCT値の時間変化を表すTDCの1例を示す。図2は、この発明の実施形態における造影剤の濃度に応じた撮影開始及び撮影終了のタイミングを説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。図2において、横軸は時間tを示し、縦軸はCT値(画素値)を示している。造影剤注入装置5が、造影剤を被検体に注入することで、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化が得られる。図2に示すTDC100は、関心領域(ROI)内のCT値の時間変化を示している。このTDC100のように、被検体に造影剤を注入した直後においては、関心領域には造影剤は流入していないため、関心領域内におけるCT値は低い。造影剤が関心領域に流入してCT値が、プレップ条件が示すCT値の閾値以上になると、スキャン制御部28は本スキャンを実行する。図2においては、時間Tで関心領域におけるCT値がプレップスキャンの閾値以上になるため、スキャン制御部28は、時間Tで本スキャンを開始する。
第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が予め設定された停止CT値A以上になった場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。図2においては、時間Tよりも遅い時間Tで関心領域内のCT値が停止CT値A以上になるため、第2CT値監視部31は、時間Tで造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。
注入制御部52は、造影剤注入の停止指示を第2CT値監視部31から受けて、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止させる。この実施形態では、注入制御部52は、時間Tにおいて、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止させる。
そして、スキャン制御部28は、本スキャンを開始した時間Tから所定時間経過後の時間Tまで本スキャンを実行する。この実施形態では、スキャン制御部28は、停止CT値Aの時間Tよりも遅い時間Tで本スキャンを終了する。このように、本スキャンを実行している期間(時間Tから時間T)内の時間Tに、造影剤注入装置5による造影剤の注入を停止することで、目的部位に造影剤が流入した状態で撮影を行いつつ、無駄な造影剤を減らすことが可能となる。
また、第2CT値監視部31は、TDC100のピーク点を検出した場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力しても良い。ピーク点について、図3を参照して説明する。図3は、この発明の実施形態における造影剤の濃度に応じた撮影開始及び撮影終了のタイミングを説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。図3において、横軸は時間tを示し、縦軸はCT値(画素値)を示す。
第2CT値監視部31は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値をCT値算出部30から受けて、CT値の時間変化を表すTDC100を時間で微分することで、TDC100がピークを形成する時間Tを求める。そして、第2CT値監視部31は、TDC100のピークを検出すると、その時点で、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、造影剤注入の停止指示を第2CT値監視部31から受けて、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止させる。
そして、スキャン制御部28は、本スキャンを開始した時間Tから所定時間経過後の時間Tまで本スキャンを実行する。この実施形態では、スキャン制御部28は、ピーク点における時間Tよりも遅い時間Tで本スキャンを終了する。このように、TDC100がピークを形成する時点で造影剤の注入を停止することで、目的部位に造影剤が流入した状態で撮影を行いつつ、無駄な造影剤を減らすことが可能となる。
この実施形態では、停止CT値Aに従って造影剤注入装置5による造影剤注入を停止しても良いし、TDC100がピーク点を形成する時間に造影剤注入を停止しても良い。
(パラメータ決定部32)
次に、パラメータ決定部32について説明する。パラメータ決定部32は、微分処理部33、到達時間予測部34、及び注入速度算出部35を備えている。パラメータ決定部32は、関心領域(ROI)内のCT値が、目標到達時間に目標のCT値に到達するための造影剤の注入速度(注入圧)を求める。まず、操作者は操作入力部27を用いて、造影剤注入装置5による造影剤注入を停止するCT値(目標CT値)と、被検体に造影剤を注入し始めた時点(造影開始時点)からCT値が目標CT値に到達するまでに要する時間(目標到達時間)とを入力する。この目標CT値及び目標到達時間は、経験則から求められる値である。関心領域内のCT値が目標CT値になるまで造影剤を被検体に注入することで、高い造影効果が得られる。そのことにより、造影効果が高いタイミングで撮影を行って、造影効果が高い画像データを取得することが可能となる。
操作者によって入力された目標CT値と目標到達時間とは、図示しない記憶部に記憶される。また、注入ヘッド51は、注入制御部52の制御の下、所定の注入量(初期値)の造影剤を所定の注入速度(初期値)で被検体に注入する。1例として、注入ヘッド51は、総量が100ml(初期値)の造影剤を3ml/sec(初期値)の注入速度(注入圧)で被検体に注入する。なお、目標CT値が、この発明の「目標画素値」の1例に相当し、目標到達時間が、この発明の「目標到達時間」の1例に相当する。また、パラメータ決定部32が、この発明の「注入速度決定手段」の1例に相当する。
(微分処理部33)
微分処理部33は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値をCT値算出部30から受けて、CT値の時間変化を表すTDCを時間で微分することで、各時間におけるTDCの傾きを求める。すなわち、微分処理部33は、各時間における造影剤の染影の速さを求める。
図4に、関心領域(ROI)におけるCT値の時間変化を表すTDCの1例を示す。図4は、この発明の実施形態における造影剤の濃度変化に応じた注入速度を求める処理を説明するための図であり、被検体の関心領域における造影剤の濃度変化を表すグラフである。図4において、横軸は時間tを示し、縦軸はCT値(画素値)を示す。
TDC100は、初期値の注入速度(注入圧)で造影剤を被検体に注入したときに得られるTDCである。微分処理部33は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値をCT値算出部30から受けて、CT値の時間変化を表すTDC100(破線で示す初期のTDC)を時間で微分することで、各時間におけるTDC100の傾きを求める。微分処理部33は、各時間におけるTDC100の傾きを示す情報を到達時間予測部34に出力する。
(到達時間予測部34)
到達時間予測部34は、微分処理部33によって求められた各時間におけるTDCの傾きを受けて、直近の時間におけるTDCの傾きと、その直近の時間におけるCT値と、目標CT値とに基づいて線形予測することで、その直近の時間におけるCT値から目標CT値に到達するまでの時間を求める。具体的には、到達時間予測部34は、目標CT値と直近の時間におけるCT値との差分(以下、「CT値の差分」と称する場合がある)を求め、そのCT値の差分を直近の時間におけるTDCの傾きで除算することで、その直近の時間におけるCT値から目標CT値に到達するまでの時間(以下、「予測時間」と称する場合がある)を求める。なお、CT値の差分が、この発明の「画素値差分」の1例に相当し、予測時間が、この発明の「予測時間」の1例に相当する。
例えば図4に示すように、時間Tが目標到達時間に設定され、終了CT値Eが目標CT値に設定されている場合について説明する。微分処理部33は、直近の時間TにおけるTDC100の傾きを求める。到達時間予測部34は、時間TにおけるTDC100の傾きを受けて、時間TにおけるTDC100の傾きと、時間TにおけるCT値と、終了CT値E(目標CT値)とに基づいて線形予測することで、時間TにおけるCT値から終了CT値E(目標CT値)に到達するまでの時間を求める。具体的には、到達時間予測部34は、終了CT値E(目標CT値)と、直近の時間TにおけるCT値との差分(CT値の差分)を求め、そのCT値の差分を時間TにおけるTDC100の傾きで除算することで、時間TにおけるCT値から終了CT値E(目標CT値)に到達するまでの時間(予測時間)を求める。
(注入速度算出部35)
注入速度算出部35は、上述した直近の時間と目標到達時間との差分(以下、「目標到達時間までの時間」と称する場合がある)を求める。そして、注入速度算出部35は、目標到達時間までの時間と、到達時間予測部34によって求められた予測時間とが、一致しているか否かを判断する。目標到達時間までの時間と予測時間とが一致している場合、設定されている注入速度に従って造影剤を注入することで、目標到達時間にCT値が目標CT値に到達すると予測される。この場合、造影剤の注入速度を変えずに、設定されている注入速度で造影剤を注入し続ける。なお、目標到達時間までの時間が、この発明の「時間差分」の1例に相当する。
一方、目標到達時間までの時間(時間差分)と予測時間とが一致していない場合、設定されている注入速度に従って造影剤を注入しても、目標到達時間にCT値が目標CT値に到達しないと予測される。この場合、注入速度算出部35は、目標到達時間にCT値が目標CT値に到達するための注入速度を求める。具体的には、注入速度算出部35は、上述したCT値の差分を、上述した目標到達時間までの時間(時間差分)で除算することで、新たな注入速度(注入圧)を求める。このように、注入速度算出部35は、目標到達時間にCT値が目標CT値に到達するための造影剤の注入速度(注入圧)を求める。
または、目標到達時間までの時間(時間差分)と予測時間との差分が予め設定された所定時間未満の場合、設定されている注入速度に従って造影剤を注入することで、目標到達時間にCT値がほぼ目標CT値に到達すると予測される。この場合、造影剤の注入速度を変えずに、設定されている注入速度で造影剤を注入し続けても良い。一方、目標到達時間までの時間(時間差分)と予想時間との差分が所定時間以上の場合、設定されている注入速度に従って造影剤を注入しても、目標到達時間にCT値が目標CT値に近い値に到達しないと予測される。この場合、注入速度算出部35は、上述したCT値の差分を、上述した目標到達時間までの時間(時間差分)で除算することで、新たな注入速度を求めても良い。
図4に示す例では、注入速度算出部35は、直近の時間Tと目標到達時間である時間Tとの差分(目標到達時間までの時間)を求める。そして、注入速度算出部35は、目標到達時間(時間T)までの時間と、到達時間予測部34によって求められた予測時間とが、一致しているか否かを判断する。目標到達時間(時間T)までの時間と予測時間とが一致していない場合、注入速度算出部35は、CT値の差分(終了CT値Eと時間TにおけるCT値との差分)を、目標到達時間(時間T)までの時間(時間Tと目標到達時間である時間Tとの差分)で除算することで、新たな注入速度(注入圧)を求める。例えば、注入速度算出部35は、時間Tにおける注入速度を4ml/sに決定する。そして、注入速度算出部35は、新たに求められた注入速度を示す情報を造影剤注入装置5に出力する。
注入制御部52は、パラメータ決定部32から出力された注入速度を示す情報を受けると、その注入速度(注入圧)で注入ヘッド51に造影剤を注入させる。例えば、時間Tにおける注入速度が4ml/sに決定されると、注入制御部52は、4ml/sの注入速度で注入ヘッド51に造影剤を注入させる。図4に示すTDC200は、注入速度(注入圧)が変更されて、変更後の注入速度(注入圧)で造影剤を被検体に注入したときに得られるTDCである。
以降、パラメータ決定部32は、TDCの傾きに応じて造影剤の注入速度(注入圧)を決定していく。このように、この実施形態に係る医用画像診断装置は、目標到達時間(時間T)にCT値が目標CT値(終了CT値E)に到達するように、造影剤の注入速度をフィードバック制御する。
例えば、微分処理部33は、時間TにおけるTDC200(実線で示すTDC)を時間で微分することで、時間TにおけるTDC200の傾きを求める。到達時間予測部34は、終了CT値E(目標CT値)と、時間TにおけるCT値との差分(CT値の差分)を求め、そのCT値の差分を時間TにおけるTDC200の傾きで除算することで、時間TにおけるCT値から終了CT値E(目標CT値)に到達するまでの時間(予測時間)を求める。注入速度算出部35は、時間Tと目標到達時間である時間Tとの差分(目標到達時間までの時間)を求める。そして、注入速度算出部35は、時間Tから目標到達時間(時間T)までの時間と、到達時間予測部34によって求められた予測時間とが、一致しているか否かを判断する。時間Tから目標到達時間(時間T)までの時間と予測時間とが一致していない場合、注入速度算出部35は、CT値の差分(終了CT値Eと時間TにおけるCT値との差分)を、時間Tから目標到達時間(時間T)までの時間(時間Tと目標到達時間である時間Tとの差分)で除算することで、新たな注入速度(注入圧)を求める。図4に示す例では、注入速度算出部35は、時間Tにおける注入速度を3.5ml/sに決定する。そして、注入速度算出部35は、新たに求められた注入速度を示す情報を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、パラメータ決定部32から出力された注入速度を示す情報を受けると、その注入速度(注入圧)で注入ヘッド51に造影剤を注入させる。例えば、時間Tにおける注入速度が3.5ml/sに決定されると、注入制御部52は、注入速度を4ml/sから3.5ml/sに変えて、注入ヘッド51に造影剤を注入させる。
以上のように、この実施形態に係る医用画像診断装置は、CT値が目標到達時間に目標CT値に到達するように造影剤の注入速度(注入圧)を変えて、被検体に造影剤を注入しながら撮影を行う。そのことにより、撮影対象となる部位に造影剤が流入して、造影の効果が高くなった状態で撮影を行うことが可能となる。すなわち、CT値が、経験的に求められている目標CT値になるまで造影剤を被検体に注入することで、高い造影効果が得られ、そのことにより、造影効果が高いタイミングで撮影を行って、造影効果が高い画像データを取得することが可能となる。また、TDCは、患者の体重や疾患などによって大きくことなるが、この実施形態に係る医用画像診断装置によると、TDCの傾きに応じて造影剤の注入速度を変えるため、患者ごとに造影剤の染影の速さが異なっていても、造影の効果が高くなった状態で撮影を行うことが可能である。
なお、上述した実施形態では、パラメータ決定部32は、線形予測によってCT値が目標CT値に到達するまでの予測時間を求めたが、TDCをガンマフィッティングすることによって予測時間を求めて、造影剤の注入速度を求めても良い。
また、被検体の安全性の観点から、注入速度(注入圧)の上限値を予め決定しても良い。この上限値は、図示しない記憶部に予め記憶させておく。パラメータ決定部32は、この上限値を限度として新たな注入速度(注入圧)を決定して、造影剤注入装置5に出力するようにしても良い。
また、注入速度(注入圧)を上限値に設定し、その上限値の注入速度で造影剤を被検体に注入しても、目標到達時間まで所定時間以内にCT値が目標CT値に到達しない場合は、造影剤の注入を停止しても良い。すなわち、パラメータ決定部32は、目標CT値と直近の時間におけるCT値との差分(CT値の差分)を、設定された注入速度で除算することで、その直近の時間におけるCT値から目標CT値に到達するまでの時間(予測時間)を求める。そして、パラメータ決定部32は、その予測時間と目標到達時間とを比較して、目標到達時間まで予め設定された所定時間以内にCT値が目標CT値に到達するか否かを判断する。その結果、パラメータ決定部32は、目標到達時間まで所定時間以内にCT値が目標CT値に到達しない場合、造影剤注入の停止指示を注入制御部52に出力する。注入制御部52は、その停止指示をパラメータ決定部32から受けると、注入ヘッド51に造影剤の注入を停止させる。一方、パラメータ決定部32は、目標到達時間まで所定時間以内にCT値が目標CT値に到達する場合、上記の停止指示を注入制御部52に出力しない。その結果、注入制御部52は、設定された注入速度で注入ヘッド51に造影剤を注入させる。このように、目標到達時間まで所定時間以内にCT値が目標CT値に到達しない場合に、造影剤の注入を停止することで、被検体の安全性の確保を図ることが可能となる。
なお、スキャン制御部28、CT値算出部30、第2CT値監視部31、及び、パラメータ決定部32は、1例として、CPUと、ROM、RAM、HDDなどの記憶装置とによって構成しても良い。記憶装置には、スキャン制御部28の機能を実行するためのスキャン制御プログラム、CT値算出部30の機能を実行するためのCT値算出プログラム、第2CT値監視部31の機能を実行するための第2CT値監視プログラム、及び、パラメータ決定部32の機能を実行するためのパラメータ決定プログラムが記憶されている。また、スキャン制御プログラムには、第1CT値監視部29の機能を実行するための第1CT値監視プログラムが含まれている。また、パラメータ決定プログラムには、微分処理部33の機能を実行するための微分処理プログラムと、到達時間予測部34の機能を実行するための到達時間予測プログラムと、注入速度算出部35の機能を実行するための注入速度算出プログラムとが含まれている。そして、CPUが、各プログラムを実行することで、各部の機能を実行する。
次に、この実施形態に係る医用画像診断装置による動作について、図5を参照して説明する。図5は、この実施形態に係る医用画像診断装置による動作を説明するためのフローチャートである。
(第1動作)
まず、第1動作について説明する。第1動作では、この実施形態に係る医用画像診断装置は、関心領域(ROI)内のCT値が停止CT値以上になった場合に、造影剤の注入を停止する。
(ステップS01)
まず、操作者は操作入力部27を用いて、撮影位置を決めるためのスキャノ撮影の条件、関心領域(ROI)を設定するための位置決め撮影の条件、プレップスキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間など)、本スキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間など)、プレップ条件(本スキャン開始の条件(CT値の閾値))、及び、造影剤の注入を停止する停止条件(停止CT値A)を含む撮影条件を入力する。これらの条件は、コンソール部2に設けられた図示しない記憶部に記憶される。
(ステップS02)
上記の撮影条件が設定された後、この実施形態に係るX線CT装置によって、撮影位置を決定するためにスキャノ撮影を実行し、その後、関心領域(ROI)を設定するための撮影を実行する。
(ステップS03)
表示制御部25は、関心領域(ROI)を設定するための撮影によって得られた画像を表示部26に表示させる。操作者は操作入力部27を用いて、表示部26に表示されている画像上においてCT値を監視する領域を関心領域(ROI)として指定する。操作者によって指定された領域が、関心領域(ROI)としてCT値算出部30に設定される。1例として、操作者は操作入力部27を用いて、画像において大動脈が表わされている領域に関心領域(ROI)を設定する。
(ステップS04)
次に、操作者は操作入力部27を用いて、造影剤の注入開始の指示を造影剤注入装置5に与える。注入制御部52は、造影剤の注入開始の指示を操作入力部27から受けると、その指示に従って注入ヘッド51に造影剤を注入させる。1例として、総量が100mlの造影剤を、3ml/secの注入速度(注入圧)で被検体に注入する。また、スキャン制御部28は、操作入力部27によって与えられた注入開始の指示を受けて、その指示が与えられたタイミングから時間を測定する。そして、1例として、スキャン制御部28は、造影剤の注入開始の指示を受けてから10秒後に、プレップスキャンを開始する。これにより、スキャン制御部28の制御の下、プレップスキャン条件に従ってプレップスキャンが行われる。プレップスキャンと並行して、スキャン制御部28は、再構成処理部22を制御して、プレップスキャンにより得られたX線投影データに基づいて画像データを再構成させる。
(ステップS05)
スキャンが開始されると、CT値算出部30は、再構成処理部22によって生成された画像データを受けて、その画像データに基づいて関心領域(ROI)内のCT値を求める。CT値算出部30は、関心領域(ROI)内のCT値を時系列に沿って求める。
プレップスキャン実行中においては、第1CT値監視部29は、関心領域内のCT値が、プレップ条件が示す閾値以上になった場合に本スキャン開始であると判断する。この場合、スキャン制御部28はプレップスキャンを中止し、本スキャン条件に従って本スキャンを実行する。例えば、プレップ条件の閾値(CT値)として80[HU]が設定されている場合、スキャン制御部28は、関心領域内のCT値が80[HU]以上になった場合に、プレップスキャンを中止し、本スキャン条件に従って本スキャンを実行する。
本スキャンの1例として、スキャン制御部28は、1秒間欠撮影を30秒間実行し、その後、2秒間欠撮影を30秒間実行する。なお、1秒間欠撮影とは、1スキャンの後、1秒間スキャンを行わずに、スキャンを繰り返して実行する撮影方法である。また、2秒間欠撮影とは、1スキャンの後、2秒間スキャンを行わずに、スキャンを繰り返して実行する撮影方法である。これらの撮影条件は1例であり、これらの撮影条件とは異なる条件で撮影を行っても良い。
(ステップS06)
以上のように、CT値算出部30が関心領域(ROI)内のCT値を求めることで、CT値の時間変化を表すTDCが得られる。
(ステップS07)
スキャン制御部28は、本スキャンを実行しているときに、撮影条件として目標到達時間(CT値が目標CT値に到達するまでの時間)が設定されているか否かを判断する。
(ステップS08)
第1動作においては、目標到達時間は設定されていないため(ステップS07、No)、スキャン制御部28は、第2CT値監視部31に関心領域(ROI)内のCT値を監視させる。第2CT値監視部31は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値をCT値算出部30から受けて、各時間におけるCT値と予め設定された停止CT値Aとを比較し、関心領域内のCT値が停止CT値A以上になったか否かを判断する。
(ステップS09)
第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が停止CT値A以上になった場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する(ステップS08、Yes)。1例として、停止CT値Aとして300[HU]が設定されている場合、第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が300[HU]以上になった場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、造影剤注入の停止指示を第2CT値監視部31から受けて、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止させる(ステップS09)。一方、第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が停止CT値A(300[HU])未満である場合、関心領域内のCT値を監視し続ける(ステップS08、No)。
または、第2CT値監視部31は、停止CT値Aに基づいて造影剤注入の停止タイミングを計らずに、各時間における関心領域内のCT値によって形成されるTDCのピークに基づいて造影剤注入の停止タイミングを計っても良い。この場合、第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値の時間変化を表すTDCを時間で微分することで、TDCがピークを形成する時間を求める。そして、第2CT値監視部31は、TDCのピークを検出すると、その時点で、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、造影剤注入の停止指示を第2CT値監視部31から受けて、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止させる。
造影剤注入装置5による造影剤注入が停止された後においても、スキャン制御部28は、本スキャンを実行する。1例として、スキャン制御部28は、1秒間欠撮影を実行し、その後、2秒間欠撮影を実行する。
以上のように、造影剤の注入を停止する閾値(停止CT値A)を予め設定しておき、関心領域内のCT値が停止CT値A以上になった場合に、造影剤の注入を停止することで、目的部位に造影剤が流入した状態で撮影を行いつつ、無駄な造影剤を減らすことが可能となる。
なお、第2CT値監視部31は、TDCの傾きを求め、その傾きに基づいて、関心領域内のCT値が停止CT値Aに到達するまでの時間を求め、その時間が所定時間以上の場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力しても良い。1例として、第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が停止CT値Aに到達するまで30秒以上要する場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、停止指示を第2CT値監視部31から受けて、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止させる。このように、関心領域内のCT値が停止CT値Aに到達するまでの時間が所定時間以上の場合に、造影剤の注入を停止することで、被検体の安全性を確保することが可能となる。
また、表示制御部25は、CT値算出部30から各時間におけるCT値を受けて、TDCを表示部26に表示させても良い。そして、操作者は、表示部26に表示されているTDCを観察して、操作者の判断で造影剤の注入を停止しても良い。例えば、TDCのばらつきが大きい場合には、手動で造影剤の注入を停止しても良い。
(第2動作)
次に、第2動作について説明する。第2動作では、この実施形態に係る医用画像診断装置は、TDCの傾きを監視して、CT値が目標到達時間に目標CT値まで到達するように、造影剤の注入を制御する。
(ステップS01)
まず、操作者は操作入力部27を用いて、撮影位置を決めるためのスキャノ撮影の条件、関心領域(ROI)を設定するための位置決め撮影の条件、プレップスキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間など)、本スキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間など)、プレップ条件(本スキャン開始の条件(CT値の閾値))、造影剤注入を停止するCT値(目標CT値)、及び、被検体に造影剤を注入し始めた時点(造影開始時点)からCT値が目標CT値に到達するまでに要する時間(目標到達時間)を含む撮影条件を入力する。これらの条件は、コンソール部2に設けられた図示しない記憶部に記憶される。
(ステップS02)
上記の撮影条件が設定された後、この実施形態に係るX線CT装置によって、撮影位置を決定するためのスキャノ撮影を実行し、その後、関心領域(ROI)を設定するための撮影を実行する。
(ステップS03)
表示制御部25は、関心領域(ROI)を設定するための撮影によって得られた画像を表示部26に表示させる。操作者は操作入力部27を用いて、表示部26に表示されている画像上においてCT値を監視する領域を関心領域(ROI)として指定する。操作者によって指定された領域が、関心領域(ROI)としてCT値算出部30に設定される。1例として、操作者は操作入力部27を用いて、画像において大動脈が表されている領域に関心領域(ROI)を設定する。
(ステップS04)
次に、操作者は操作入力部27を用いて、造影剤の注入開始の指示を造影剤注入装置5に与える。注入制御部52は、造影剤の注入開始の指示を操作入力部27から受けると、その指示に従って注入ヘッド51に造影剤を注入させる。初期値として、総量が100mlの造影剤を、3ml/secの注入速度(注入圧)で被検体に注入する。また、スキャン制御部28は、操作入力部27によって与えられた注入開始の指示を受けて、その指示が与えられたタイミングから時間を測定する。そして、1例として、スキャン制御部28は、造影剤の注入開始の指示を受けてから10秒後に、プレップスキャンを開始する。これにより、スキャン制御部28の制御の下、プレップスキャン条件に従ってプレップスキャンが行われる。プレップスキャンと並行して、スキャン制御部28は、再構成処理部22を制御して、プレップスキャンにより得られたX線投影データに基づいて画像データを再構成させる。
(ステップS05)
スキャンが開始されると、CT値算出部30は、再構成処理部22によって生成された画像データを受けて、その画像データに基づいて関心領域(ROI)内のCT値を求める。CT値算出部30は、関心領域(ROI)内のCT値を時系列に沿って求める。
プレップスキャン実行中においては、第1CT値監視部29は、関心領域内のCT値が、プレップ条件が示す閾値以上になった場合に本スキャン開始であると判断する。この場合、スキャン制御部28は、プレップスキャンを中止し、本スキャン条件に従って本スキャンを実行する。例えば、プレップ条件の閾値(CT値)として80[HU]が設定されている場合、スキャン制御部28は、関心領域内のCT値が80[HU]以上になった場合に、プレップスキャンを中止し、本スキャン条件に従って本スキャンを実行する。上述したように、1例として、スキャン制御部28は、1秒間欠撮影を30秒間実行し、その後、2秒間欠撮影を30秒間実行する。
(ステップS06)
以上のように、CT値算出部30が関心領域(ROI)内のCT値を求めることで、CT値の時間変化を表すTDCが得られる。
(ステップS07)
スキャン制御部28は、本スキャンを実行しているときに、撮影条件として目標到達時間(CT値が目標CT値に到達するまでの時間)が設定されているか否かを判断する。
(ステップS10)
第2動作においては、目標到達時間が設定されているため(ステップS07、Yes)、スキャン制御部28は、パラメータ決定部32に造影剤の注入速度を求めさせる。まず、微分処理部33は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値をCT値算出部30から受けて、CT値の時間変化を表すTDCを時間で微分することで、各時間におけるTDCの傾きを求める。
(ステップS11)
次に、到達時間予測部34は、微分処理部33によって求められた各時間におけるTDCの傾きを受けて、目標CT値と直近の時間におけるCT値との差分(CT値の差分)を求め、そのCT値の差分を直近の時間におけるTDCの傾きで除算することで、その直近の時間におけるCT値から目標CT値に到達するまでの時間(予測時間)を求める。
(ステップS12)
次に、注入速度算出部35は、上述した直近の時間と目標到達時間との差分(目標到達時間までの時間)を求める。そして、注入速度算出部35は、目標到達時間までの時間と、到達時間予測部34によって求められた予測時間とが、一致しているか否かを判断する。
(ステップS13)
目標到達時間までの時間と予測時間とが一致している場合(ステップS12、Yes)、設定されている注入速度(3ml/sec)に従って造影剤を注入することで、目標到達時間にCT値が目標CT値に到達すると予測される。この場合、造影剤の注入速度を変えずに、注入制御部52は、設定されている注入速度(3ml/sec)で、注入ヘッド51に造影剤を注入させる。
さらに、スキャン制御部28は、第2CT値監視部31に関心領域(ROI)内のCT値を監視させる。第2CT値監視部31は、各時間における関心領域(ROI)内のCT値をCT値算出部30から受けて、各時間におけるCT値と予め設定された目標CT値とを比較し、関心領域内のCT値が目標CT値になったか否かを判断する。そして、第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が目標CT値になった場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する(ステップS13、Yes)。1例として、目標CT値として300[HU]が設定されている場合、第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が300[HU]以上になった場合に、造影剤注入の停止指示を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、造影剤注入の停止指示を第2CT値監視部31から受けて、注入ヘッド51による被検体への造影剤の注入を停止させる(ステップS09)。一方、第2CT値監視部31は、関心領域内のCT値が目標CT値(300[HU])未満である場合(ステップS13、No)、関心領域内のCT値を監視し続ける。
(ステップS12、ステップS14)
一方、ステップS12において、目標到達時間までの時間と予測時間とが一致していない場合、設定されている注入速度に従って造影剤を注入しても、目標到達時間にCT値が目標CT値に到達しないと予測される(ステップS12、No)。この場合、注入速度算出部35は、上述したCT値の差分を、上述した目標到達時間までの時間で除算することで、新たな注入速度(注入圧)を求める(ステップS14)。このように、注入速度算出部35は、目標到達時間にCT値が目標CT値に到達するための造影剤の注入速度を求める。そして、注入速度算出部35は、新たに求められた注入速度を示す情報を造影剤注入装置5に出力する。注入制御部52は、パラメータ決定部32から出力された注入速度を示す情報を受けると、その注入速度で注入ヘッド51に造影剤を注入させる。例えば、注入制御部52は、注入速度を初期値の3ml/secから4ml/secに変えて、注入ヘッド51に造影剤を注入させる。
以降、この実施形態に係る医用画像診断装置は、ステップS10からステップS12までの処理を繰り返して実行し、CT値が目標CT値になった場合に造影剤の注入を停止する。
なお、ステップS12において、注入速度算出部35は、目標到達時間までの時間と予測時間との差分が予め設定された所定時間未満か否かを判断しても良い。目標到達時間までの時間と予測時間との差分が所定時間未満であれば、設定されている注入速度(3ml/sec)に従って造影剤を注入することで、目標到達時間にCT値がほぼ目標CT値に到達すると予測される。この場合、造影剤の注入速度を変えずに、注入制御部52は、設定されている注入速度(3ml/sec)で、注入ヘッド51に造影剤を注入させる。一方、ステップS12において、目標到達時間までの時間と予測時間との差分が所定時間以上であれば、設定されている注入速度に従って造影剤を注入しても、目標到達時間にCT値がほぼ目標CT値に到達しないと予測される。この場合、注入速度算出部35は、上述したCT値の差分を、上述した目標到達時間までの時間で除算することで、新たな注入速度を求める。なお、所定時間は、コンソール部2の図示しない記憶部に予め記憶されている。
以上のように、CT値が目標到達時間に目標CT値に到達するように造影剤の注入速度を変えて、被検体に造影剤を注入することで、造影の効果が高くなった状態で撮影を行うことが可能となる。例えば、TDCは患者の体重や疾患などによって大きくことなるが、この実施形態に係る医用画像診断装置によると、TDCの傾きに応じて造影剤の注入速度を変えるため、患者ごとに造影剤の染影の速さが異なっていても、造影の効果が高くなった状態で撮影を行うことが可能である。
なお、この実施形態では、プレップスキャンを実行する場合について説明したが、プレップスキャンを実行しなくても、この実施形態に係る医用画像診断装置の効果を奏することが可能である。
1 架台装置
2 コンソール部
4 寝台装置
5 造影剤注入装置
11 高電圧発生部
12 X線管球
13 X線検出器
14 データ収集部
15 架台駆動部
21 前処理部
22 再構成処理部
23 画像記憶部
24 画像処理部
25 表示制御部
26 表示部
27 操作入力部
28 スキャン制御部
29 第1CT値監視部
30 CT値算出部
31 第2CT値監視部
32 パラメータ決定部
33 微分処理部
34 到達時間予測部
35 注入速度算出部
41 寝台
42 寝台駆動部

Claims (6)

  1. 被検体に所定の注入速度で造影剤を注入する造影剤注入手段と、
    前記造影剤が注入された前記被検体を撮影することで、撮影された時間がそれぞれ異なる複数の画像データを取得する画像取得手段と、
    前記画像取得手段によって取得された各画像データに対して設定された関心領域内の画素値を、それぞれの画像データについて求める画素値算出手段と、
    前記各画像データにおける画素値に応じて、前記造影剤注入手段による前記造影剤の注入を制御する注入制御手段と、
    を有することを特徴とする医用画像診断装置。
  2. 前記注入制御手段は、前記画素値が予め設定された停止閾値以上になった場合に、前記造影剤注入手段による造影剤の注入を停止させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
  3. 前記注入制御手段は、前記各画像データにおける画素値を基に前記画素値の時間変化がピークを形成した時点で、前記造影剤注入手段による造影剤の注入を停止させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
  4. 前記注入制御手段は、前記各画像データにおける画素値の時間変化に基づいて、前記造影剤注入手段による前記造影剤の注入が開始された時点から所定時間経過後の目標到達時間に、前記画素値が所定の目標画素値に到達するように前記注入速度を変えて、前記造影剤注入手段に前記造影剤を注入させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
  5. 前記画像取得手段によって新たに取得された画像データにおける前記関心領域内の画素値と前記目標画素値との画素値差分を求め、前記新たに取得された画像データが取得された時点と前記目標到達時間との時間差分を求め、前記画素値差分を前記時間差分で除算することで、新たな注入速度を求める注入速度決定手段を更に有し、
    前記注入制御手段は、前記注入速度を前記注入速度決定手段によって求められた前記新たな注入速度に変えて、前記造影剤注入手段に前記造影剤を注入させることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断装置。
  6. 前記注入速度決定手段は、前記各画像データにおける画素値の時間変化の傾きを求め、前記傾きに基づいて前記画素値が前記目標画素値に到達するまでの予測時間を求め、前記予測時間と前記時間差分との差分が所定時間以上の場合に、前記新たな注入速度を求めることを特徴とする請求項5に記載の医用画像診断装置。
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