JP2010262136A - 画像形成装置 - Google Patents

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Kazuya Saito
一矢 斎藤
Hirokatsu Suzuki
宏克 鈴木
Masanori Kawasumi
正則 川隅
Takuya Suganuma
卓也 菅沼
Hiroomi Tamura
博臣 田村
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Abstract

【課題】待ち時間を設ける必要がなく、低コストで小型化可能であり、印刷される画像面積やDutyによらず、中抜けのない高画質な画像が得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】潜像担持体と、該潜像担持体上の静電潜像を現像剤により可視像化する現像手段と、前記潜像担持体へ潤滑材を塗布する潤滑材塗布手段と、前記潜像担持体から中間転写体へ1次の転写を行う1次転写手段と、前記中間転写体に対向し、前記中間転写体から記録媒体へ2次の転写を行う2次転写手段と、を有する画像形成装置において、紙がある時(作像時)と紙がない時(非作像時)において、中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比を変える(線速差を設ける)ことで、連続作像中における経時の中間転写体表面の摩擦係数低下を抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、潜像担持体を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを含む複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは、潜像担持体に潤滑材(潤滑剤を含む)を塗布する潤滑材塗布手段を備えた画像形成装置に関する。
従来、潜像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を備えた画像形成装置が知られている。特許文献1では、潜像担持体から転写体にトナー像を転写した後、転写体に転写されずに潜像担持体上に残留したトナーをクリーニングするクリーニング手段と、潜像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備える画像形成装置が提案されている。
特許文献1に代表される潤滑剤塗布装置を備える画像形成装置では、潜像担持体表面に潤滑剤を塗布することで潜像担持体の摩擦係数を低下させることができる。
これにより、潜像担持体表面に対するトナーの機械的な付着力が弱まり、転写領域においてトナーを適正に転写することができる。よって、画像の一部が欠けるいわゆる中抜け(虫食い)の少ない高画質のトナー像を得ることができる。
潤滑剤の塗布は、潜像担持体表面の摺擦やフィルミングを抑制する効果もあり、潜像担持体の長寿命化にも貢献している。
一般的に中抜けは、転写媒体(感光体、中間転写体等)と被転写媒体(中間転写体、記録媒体等)との摩擦係数の差により程度が変化する。すなわち、転写媒体の摩擦係数をA、被転写媒体の摩擦係数をBとした時、式(1)で表される値αが正に大きい場合には中抜けは少なく、小さい、または負になる場合には中抜けは悪化する。
α=B−A 式(1)
ところが、潜像担持体(転写媒体)から中間転写体(被転写媒体)へトナー像を転写させる中間転写方式では、潜像担持体表面に塗布した潤滑剤が中間転写体表面へ移ってしまい、中間転写体表面の摩擦係数Bが低下する。これにより、式(1)で表されるαの値が小さくなることで中抜けが悪化してしまう。
上記不具合は、印刷される画像面積やジョブDuty(1ジョブにおける印刷枚数)によっても程度が変化する。
具体的には、画像面積が大きい場合(高デューティ)は、クリーニングブレードに溜まったトナーが研磨剤として働き、中間転写体表面の潤滑剤を掻き取ることで中間転写体表面の摩擦係数の低下を抑制し、中抜けが発生しずらい。
また、高デューティの場合は、中間転写体に接触している記録媒体の紙間が小さく、中間転写体表面の潤滑剤を掻き取りやすい。そのため、中間転写体表面の摩擦係数の低下を抑制し、中抜けが発生しずらい。
従って、画像面積が小さい、または、Dutyが低い場合には、中間転写体表面の摩擦係数が低下し中抜けが悪化する。
中抜けを防止する手段として、特許文献2や特許文献3に記載されているように、転写媒体と被転写媒体との間にプロセス線速比(線速差)を設けることや、1次転写ニップ圧を低くすることが提案されている。
しかしながら、いずれの手段においても、式(1)で表されるαの値が正に小さい、または負になる場合において、十分な効果が得られない。
また、特許文献4や特許文献5、特許文献6に記載れているように、新たな部材(潤滑剤除去ブラシ等)を追加し、中間転写体表面の摩擦係数の低下を防止する手段が提案されている。
しかしながら、いずれの手段においても、機械の大型化やコストアップに繋がるため、有効な手段であるとは言えない。
また、転写媒体と被転写媒体との間に線速差を設けた状態で画像形成動作を行う接触回転させて転写媒体の摩擦係数を低減することも行われているが、待ち時間の発生を避けられない。
上述のように、従来においては、中抜けを低減する手段として待ち時間の増加や新たな部材追加が提案されてきた。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、待ち時間を設ける必要がなく、低コストで小型化可能であり、印刷される画像面積やDutyによらず、中抜けのない高画質な画像が得られる画像形成装置の提供を、その目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、転写機能を有する2次転写手段(2次転写部材)に新たな機能を追加することで転写画質を改善することとした。
具体的には、請求項1記載の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上の静電潜像を現像剤により可視像化する現像手段と、前記潜像担持体へ潤滑材を塗布する潤滑材塗布手段と、前記潜像担持体から中間転写体へ1次の転写を行う1次転写手段と、前記中間転写体に対向し、前記中間転写体から記録媒体へ2次の転写を行う2次転写手段と、を有する画像形成装置において、前記2次転写手段と前記中間転写体との間に画像がある作像時と、画像がない非作像時とで、前記中間転写体と前記2次転写手段との間の線速比を異ならせることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記非作像時は、2枚以上の記録媒体に連続して作像する場合において、記録媒体が前記2次転写手段を通過後、且つ、次の記録媒体が前記2次転写手段を通過する前の時間であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記非作像時は、画像濃度調整や色ずれ補正のためのプロセスコントロール中における、画像濃度調整や色ずれ補正検知用パターンが前記中間転写体と前記2次転写手段との間にない時であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記非作像時は、作像開始前である立ち上げ時間又は作像終了後である立ち下げ時間であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記非作像時は、ジャム後におけるリカバリー動作中であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記2次転写手段は、ローラ状の部材であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記ローラ状の部材は、少なくとも表面が発泡材で形成されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記2次転写手段は、無端ベルトであることを特徴とする。
本発明によれば、追加の待ち時間の発生を来たすことなく中間転写体の摩擦係数の低下を防いで中抜けを低減でき、高画質化を実現できる。また、2次転写部材とその駆動部材の長寿命化を実現できる
また、2次転写部材に、発泡材のローラを用いることで、中間転写体の長寿命化と効果的な潤滑剤除去が可能になる。
また、2次転写部材に、無端ベルトを用いることで、2次転写部材の長寿命化が可能になる。
本発明の一実施形態に係る制御動作のタイミングチャートである。 制御動作の他例に係るタイミングチャートである。 制御動作のさらに別の例に係るタイミングチャートである。 画像形成装置の概要構成図である。 プロセスカートリッジの概要構成図である。 画像形成装置の他例における概要構成図である。 中間転写体表面の摩擦係数の空回し時間依存性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図4に基づいて本実施形態に係る画像形成装置としての4連タンデム中間転写方式のカラー複写機の構成の概要を説明する。
図4において、符号100は作像手段を、200は中間転写手段を示している。作像手段100の上に設置されている画像読取手段は図示省略してある。
作像手段100は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4つの作像ステーションを備えている。各作像ステーションは、それぞれ同一構成であり、共に反時計回りに回転する潜像担持体(第1の像担持体)としてのドラム状の感光体1を平行に並べて設置している。
色別の符号を略して説明すると、各感光体1の回りには帯電手段としての帯電ローラ3、現像手段としての現像装置2、各感光体ドラム1上に形成されたトナー像を後述する中間転写体としての中間転写ベルト4(以下、「中間転写体4」ともいう)に転写する1次転写手段としての1次転写ローラ5、潤滑剤塗布手段を兼ねる1次クリーニング装置6が配置されている。各1次転写ローラ5は、1次転写位置でそれぞれ中間転写ベルト4を挟んで不図示の付勢部材によって感光体1に押し当てられている。
各現像装置2にはそれぞれ異なる色のカラートナーが収容されている。各作像ステーションの上には、露光手段としての光書込み装置11(Y、C、M、K)が設けられている。
中間転写手段200では、第2の像担持体である中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルトが、駆動ローラ21、従動ローラ22、2次転写対向ローラ23に掛け回されて、図中時計回りに走行可能に備えられている。
従動ローラ22の対向部位には、中間転写体4の表面をクリーニングするクリーニング装置24が設けられている。
2次転写対向ローラ23の対向位置には2次転写手段としての2次転写ローラ25が備えられている。2次転写ローラ25は、不図示の押圧バネによって2次転写対向ローラ23に向けて押圧されながら中間転写ベルト4のトナー像担持面に当接して2次転写ニップである圧接部を形成している。
図示しない電源によって2次転写バイアスが2次転写ローラ25に印加され、接地された2次転写対向ローラ23との間に位置する2次転写ニップには、2次転写電界を形成する。
2次転写ローラ25にはクラッチ26が当接しており、所定タイミングにおいて駆動モータ27のトルクを伝達することで、2次転写ローラ25と中間転写ベルト4との間に線速比を設けることができるようになっている。
図5に示すように、感光体1とその周辺の上記各部材は装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ300に一体に収容されている。
すなわち、プロセスカートリッジ300は、ケーシング310内に感光体1と、各プロセス手段としての帯電ローラ3、現像装置2、1次クリーニング装置6を備えている(図4、図6では簡略表示している)。
本実施形態では、プロセスカートリッジ300そのものを交換するようになっているが、プロセスカートリッジ300を画像形成装置本体から取り外し、感光体1、帯電ローラ3、現像装置2、1次クリーニング装置6のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
1次クリーニング装置6のトナー除去手段及び潤滑剤塗布手段の構成動作について図5にて詳細に説明する。
感光体1の回転方向の上流側から順に、クリーニング前除電ランプ60で感光体1を除電し、ファーブラシ61で転写残トナーを掻き乱しながら、除去部材としてのクリーニングブレード62でトナーを除去しやすくしており、ファーブラシ61上に付着したトナーはフリッカー63によりフリッキングされる。
フリッキングではじき飛ばされたトナーは搬送スクリュ64でクリーニング装置外に搬送するようになっている。ファーブラシ61は感光体1に対して矢印のごとく連れまわり方向に回転している。感光体1に対するファーブラシ61の入り込みは見かけ上の食い込みを表している。
クリーニングブレード62は図示しない回転自在に保持されたホルダに固定されており、感光体1の回転方向に対してカウンタ方向で当接するように支持されている。また、クリーニングブレード62は、図示しない加圧スプリングにより感光体1に対して加圧され、トナー除去するようになっている。クリーニングブレード62によりトナー除去された感光体1は潤滑材塗布手段65の塗布部材としてのブラシローラ状の塗布ブラシ66により潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を塗布される。
ステアリン酸亜鉛の塗布は図示しないガイドブラケットに保持された固形状のステアリン酸亜鉛67が加圧スプリング68により塗布ブラシ66に加圧され、塗布ブラシ66によりステアリン酸亜鉛67を削って感光体1上に塗布している。
感光体1に対する塗布ブラシ66の入り込みは見かけ上の食い込みを表している。
潤滑材塗布手段65の感光体回転方向下流側には、塗布ブラシ66で感光体1上に粉体状に付着したステアリン酸亜鉛を均すゴムブレードからなる均し部材としての塗布ブレード69が、感光体1にカウンタ方向で当接するように設けられている。
図5において、符号LBは光書込み装置11からのレーザービームを示している。
潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛の他に、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、及びリコリノレン酸カドミウムの如き比較的高次の脂肪酸などが挙げられる。また、カルナウバワックスのような天然ワックスであってもよい。
図4に示すように、帯電ローラ3で一様に帯電されたY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)の各作像ステ−ションの感光体1上にスキャナで読み取られた画像を色分解して各色毎に書き込み、静電潜像を形成する。
画像形成プロセスをY(イエロー)のステーションで説明する。感光体1上に形成された潜像は、現像装置2によりYトナーを潜像に合わせて現像し、トナー像を形成する。現像されたY(イエロー)トナー像は、感光体1と中間転写ベルト4が接している部分で1次転写ローラ5へのバイアス印加によって中間転写ベルト4上に転写される。
このようにして順次C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)の順で各作像ステーションでも同様にして感光体1上でトナー像を形成し、中間転写ベルト4上に転写されたトナー像が2次転写位置に到達するタイミングに合わせて図示しないレジストローラ対から記録媒体としての転写紙Pが給紙され、2次転写ローラ25により転写紙P上に一括転写される。
中間転写ベルト4上にトナー像を1次転写した後の感光体1は、1次クリーニング装置6で転写残トナーを除去され、潤滑材塗布手段65により潤滑剤を塗布され、再度、帯電ローラ3で一様に帯電される動作を繰り返す。
転写紙にトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト4は、ベルトクリーニング装置であるクリーニング装置24により、転写残トナーを除去される。
2次転写ローラ25としては、金属製ローラか、あるいは芯金の周りに、体積抵抗率1×10Ω・cm〜1×1012Ω・cm、厚さ2mm〜10mm、ゴム硬度10度〜100度の導電性の弾性層が被覆されているものなどが挙げられる。なお、この弾性層は発泡性(スポンジ材)であってもよい。
ここで、2次転写部材(2次転写ローラ25)として、芯金の周りに導電性の弾性層が被覆されているものを用いると、摩擦係数は、2次転写部材の方が中間転写体より高い。そのため、中間転写体と2次転写部材との間に線速比を設けることにより、中間転写体上の潤滑剤を2次転写部材が掻き取ることが可能となる。
中間転写体の方が2次転写部材より速い場合は、中間転写体を2次転写部材に擦りつけることで、中間転写体上の潤滑剤を2次転写部材に移動させている。
2次転写部材の方が中間転写体に比べ摩擦係数が高いため、中間転写体の方が2次転写部材より遅い場合は、2次転写部材が中間転写体上の潤滑剤をこすり取る(削り取る)ことで潤滑剤の除去が可能となる。
上記2次転写ローラ25の表層が発泡性(発泡材)である場合、2次転写ローラ25の表面には凹凸が存在する。中間転写ベルト4の表面の潤滑剤を除去する場合、この凹凸によって潤滑剤を除去しやすい。従って、表層が発泡性である2次転写ローラは除去機能が高い。さらに、2次転写ローラ25が押圧されることで形成される2次転写ニップは1mm以上あるため、ブラシに比べ密着性が高く、中間転写体4上の潤滑剤を除去する機能が高い。
実際、ナイロン等の繊維材料から形成されているブラシと2次転写ローラ25を用いて、中間転写体4表面の潤滑剤をどちらの方が除去しやすいか実験を行ってみたところ、2次転写ローラ25の方がブラシに比べ除去した量が多かった。さらに、中間転写体4上の表面を観察してみると、ブラシの場合は潤滑剤除去のムラがあり、このムラが画像に現れており良好な画像形成ができなかった。
この現象は、2次転写ローラ25を用いた場合には、観測されなかった。すなわち、2次転写ローラ25を用いると、中間転写体4表面の潤滑剤を均一に、また効率よく除去することができる。
以上のことから、2次転写ローラ25は中間転写体4表面の潤滑剤を除去し、摩擦係数を高く保ち、良好な画像を形成することに関して高い機能を有している。
図6は画像形成装置の構成の他例を示す図である。図4に示した構成と異なる点は、2次転写対向ローラ23の対向位置に次転写手段として無端ベルト状の2次転写ベルト31が備えられていることである。2次転写手段以外の構成については上記と同様であるので、説明は省略する。
2次転写ベルト31は、駆動ローラ29と従動ローラ30とに巻回されて図中反時計回りに走行可能に備えられている。駆動ローラ29にはクラッチ32が当接しており、所定タイミングにおいて駆動モータ33のトルクを伝達することで、2次転写ベルト31と中間転写体4との間に線速比を設けることができるようになっている。
バイアス印加部材28は、2次転写ベルト31の内側であって、中間転写体4と2次転写ベルト31との間の2次転写ニップに配置されている。なお、図6では、バイアス印加部材28として接触型の転写ローラを記載しているが、非接触型のコロナ放電器からなる転写チャージャであってもよい。
2次転写ベルト31としては、ポリイミドやポリカーボネイト、フッ素コートされたNBR等の中抵抗体からなるものが挙げられる。
2次転写ベルト31は、バイアス印加部材28によって中間転写体4に押圧されている。そのため、一般にベルト状の2次転写部材は、2次転写ニップが3mm以上あるため、中間転写体4に対して密着性が非常に高く、中間転写体4表面の潤滑剤を除去する機能が高い。
実際、ナイロン等の繊維材料から形成されているブラシと2次転写ベルト31を用いて、中間転写体4表面の潤滑剤をどちらの方が除去しやすいか実験を行ってみたところ、2次転写ベルト31の方がブラシに比べ除去した量が多かった。
さらに、中間転写体4上の表面を観察してみると、ブラシの場合は潤滑剤除去のムラがあり、このムラが画像に現れており良好な画像形成ができなかった。この現象は、2次転写ベルト31を用いた場合には、観測されなかった。
すなわち、2次転写ベルト31を用いると、中間転写体4表面の潤滑剤を均一に、また効率よく除去することができる。以上のことから、2次転写ベルト31は中間転写体4表面の潤滑剤を除去し、摩擦係数を高く保ち、良好な画像を形成することに関して高い機能を有している。
次に、本実施形態の動作を説明する。本発明では、原稿の画像情報および作像枚数、または中間転写体4の走行距離によって、中間転写体4と2次転写部材との間の線速比を異ならせる時間が決定される。
異なる線速比を設ける時間と画像情報および作像枚数、中間転写体4の走行距離の関係は、中間転写体4の走行距離あたりの印刷枚数が少ないほど、また中間転写体4の走行距離あたりの画素数が低いほど、中間転写体4の摩擦係数が低下する傾向にあるため、中間転写体4と2次転写部材との間の線速比を異ならせる時間を大きくする制御を行う。
ここで、具体的な線速比を設ける時間とその線速比について言及する。
異なる線速比を設ける時間については、以下の式(2)で定義される時間Tcによって言及される。
Tc=[中間転写体4の周長]÷[中間転写体4のプロセス線速] 式(2)
つまり、Tcは中間転写体4が1周するのにかかる時間であり、上述のようにジョブ情報によって可変となる線速比を設ける時間Tの値の範囲は
Tc≦T≦20Tc 式(3)
であることが理想的である。
ただし、中間転写体4の走行距離あたりの画素数によってはこの限りではない。
次に、2次転写部材がローラ状である場合(図4)について、中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比に関して言及する。
中間転写体と2次転写部材(2次転写ローラ25)との間に設ける線速比β%は中間転写体のプロセス線速をV1、2次転写部材の線速をV2とすると以下の式(4)で表される。
β(%)=100×(V1−V2)/V1 式(4)
通常、2次転写ローラは中間転写体4に対して従動している。つまり、式(4)で表される線速比β%を用いると、β=0%である。
設ける線速比に関しては、以下の4つが考えられる。
(1)線速比がβ<0%になるように、2次転写部材を中間転写体に対して順方向に回転させる。つまり、2次転写部材を中間転写体4のプロセス線速より速い速度で駆動させる。
(2)線速比がβ>0%。つまり、2次転写部材を中間転写体4のプロセス線速より遅い速度で駆動させる。
(3)2次転写部材を中間転写体に対して逆回転になるように駆動させる。
(4)2次転写部材を静止させる。
(1)および(2)、(3)の場合、従動している2次転写部材をクラッチ26により駆動モータ27とつなぐことで線速比を設ける。
(1)および(2)の場合、線速比を設ける際の駆動モータ27への負荷は小さいというメリットがある。しかしながら、中間転写体4表面の摩擦係数の低下を効率的に抑制することができないというデメリットがある。
(3)の場合、(1)および(2)に比べ効率的に中間転写体4表面の摩擦係数の低下を抑制できるというメリットがある。
しかしながら、2次転写ローラが中転写体に従動している状態から、クラッチ26によりβ<0%へ線速比を設ける際にクラッチ26にかかるトルクが大きく、また、駆動モータ27にかかる負荷が大きいというデメリットがある。
(4)場合、(1)および(2)より効率的に中間転写体4表面の摩擦係数の低下を抑えることが可能であり、かつ、駆動モータ27は必要なく、クラッチ26により中間転写体4に従動させる場合と静止させる場合を切り替えるのみであり、小型化可能であるというメリットがある。しかしながら、(3)より効率的に摩擦係数の低下を抑えられないというデメリットがある。
(1)および(2)にある、中間転写体と2次転写部材の間に設ける線速比βは、以下の値の範囲であれば十分な効果が得られる。
−200%≦β≦200%
ただし、クラッチ26にかかるトルクと駆動モータ27にかかる負荷を考えると
−100%≦β≦100%
の値の範囲が理想的である。
次に中間転写体上の潤滑剤を除去するために必要な線速比の下限値について説明する。
芯金の周りに発泡性の弾性層が被覆されている2次転写部材と、ポリイミドからなる無端ベルトの中間転写体とを用いて実験を行った。中間転写体の摩擦係数が低く、紙上のトナー像にも中抜けが発生している状態を初期状態として、中間転写体に対する2次転写部材の線速比を+3%設けて通紙をせずに空回しを行った。
その結果、図7に示すように、空回し直後から中間転写体の摩擦係数は上昇し、ある値で飽和した。この時、紙上のトナー像には中抜けは観測されなかった。また、中間転写体の摩擦係数が飽和した空回し時間は、実験に用いた画像形成装置の立ち上がり時間に相当する。
さらに、中間転写体に対する2次転写部材の線速比を−3%設けて同様の実験を行ったところ、線速比を+3%設けて実験を行った場合と同様の結果が得られた。
以上のことから、中間転写体に対する2次転写部材の線速比は±3%以上必要である。ただし、中間転写体と2次転写部材の材質の組み合わせが異なる場合はこの限りではない。
なお、中間転写体の材質は、ポリイミド等の一般的なものでよい。
また、2次転写部材は通紙中に紙に当接しているため、2次転写部材表面に付着する潤滑剤は通紙中に紙に移動する。そのため、2次転写部材表面の潤滑剤を除去する手段は特に設ける必要はない。
さらに、発泡性の2次転写部材であれば、2次転写部材表面の空泡部が潤滑剤を除去した後、2次転写部材が紙に当接する際に、空泡部の潤滑剤が紙へと移動する。また、2次転写部材の表面に潤滑剤を多量に塗布しても、2次転写における転写不良は発生しなかった。これは、2次転写部材の抵抗が潤滑剤に比べ十分に高いため、潤滑剤が2次転写部材に付着しても、抵抗変化が起こらないためである。
2次転写部材が金属等の硬い部材であると、中間転写体に傷が付いてしまい高画質な画像の提供が難しく、そのため中間転写体を早期に交換しなければならない。スポンジ状のローラであれば、上記のようなことがなく中間転写体の長寿命化が可能になる。また、スポンジ状のローラは、金属等の硬い部材に比べ、中間転写体との接触面積(ニップ)が広くなる。そのため2次転写性が良く、また、表面の摩擦係数が高いために効果的な潤滑剤除去が可能になる。さらに、ゴム状のローラは表面の摩擦係数が高すぎるために、中間転写体との間に線速比を設けると中間転写体の搬送性が悪くなり、中間転写体上のトナー像が乱れ、良好な画像が得られない。
本発明では、中間転写体4に対向する2次転写部材と該中間転写体4との間に線速比(線速差)を設けることで中間転写体上の潤滑剤を除去することができる。このことにより、中間転写体の摩擦係数を高く保つことが可能になり、潜像担持体との間の摩擦係数の差を大きく保つことができる。
潜像担持体と中間転写体との間の摩擦係数の差は大きければ大きいほど中抜けを低減することができる(中間転写体の摩擦係数が大きい)。また、転写機能を有する2次転写部材に、潤滑剤除去機能を持たせることにより、余計な部材を追加する必要がない。従って、小型で中抜けの少ない高画質な画像形成装置を提供することができる。
本実施形態における制御動作の第1の具体例を図1に示す。
図1には、作像時と非作像時(紙間)において、中間転写体と2次転写部材との間の線速比の推移を示している。図1において、紙がある時(作像時)と紙がない時(非作像時)において、中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比を変える(線速差を設ける)ことで、連続作像中における経時の中間転写体表面の摩擦係数低下を抑制することができる。
さらに詳しい動作について説明する。例えば2枚連続して作像を行う場合、1枚目の転写紙が2次転写ニップを通過後に、線速比を変える動作をスタートさせる。2枚目の転写紙が2次転写ニップに突入する前に、2次転写部材は所定の線速に戻さなければならない。そのため、2枚目の転写紙が突入される前に2次転写部材を所定の線速(作像時の線速)に戻す動作を行う。
本実施形態における制御動作の第2の具体例を図2に示す。
図2には、作像時と非作像時(プロセスコントロール中における画像濃度調整や色ずれ補正検知用パターンが中間転写体と2次転写部材との間にない時)における、中間転写体と2次転写部材との間の線速比の推移を示している。
プロセスコントロール中は中間転写体上の画像濃度調整や色ずれ補正検知用パターンを検知して、画像濃度調整や色ずれ補正を行っている。上記パターンはトナーの消費が少なく、中間転写体へ潤滑剤が移りやすい。そのため、中間転写体表面の摩擦係数が低下してしまい、中抜けが生じやすくなる。
中間転写体上と2次転写部材との間に画像濃度調整や色ずれ補正検知用パターンがある場合、2次転写部材が中間転写体に当接していると、このパターンが2次転写部材に移ってしまい、正しくパターンが検知できない。
しかしながら、プロセスコントロール中においては、常に中間転写体上にパターンはない。従って、そのタイミングで中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比を変えることで、プロセスコントロール中における中間転写体表面の摩擦係数の低下を抑制することができる。
本実施形態における制御動作の第3の具体例を図3に示す。
図3は、作像開始前である装置の立ち上げ時間および作像終了後である装置の立ち下げ時間において、中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比を変える動作を示している。このようにすることは、制御の面から考えて動作が容易である。
また、立ち上げ中および立ち下げ中は、トナー消費が少ない(または全くない)ため、中間転写体表面の摩擦係数が低下しやすい。従って、作像開始前である立ち上げ時間および作像終了後である立ち下げ時間に中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比を変えることは効果的である。
非作像時を、ジャム後におけるリカバリー動作中としてもよい。
ジャム後におけるリカバリー動作中には、2次転写部材にトナーが付着する。そのため、ジャム後におけるリカバリー動作中は2次転写部材表面に付着したトナーを除去(クリーニング)するために、2次転写部材を中間転写体に当接したまま、中間転写体と2次転写部材を駆動させる。
この時、トナー消費が全くないため、中間転写体表面の摩擦係数が低下してしまい、中抜けが生じやすくなる。
従って、ジャム後におけるリカバリー動作中に中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比を変えることは効果的である。
上記のように、作像時と非作像時において、中間転写体と2次転写部材との間に設ける線速比を変える際には、2次転写部材と2次転写部材に線速比を与える駆動部材との間にトルクが生じる。このトルクが大きいと、2次転写部材とその駆動部材にかかる負荷が大きく2次転写部材とその駆動部材の磨耗が考えられる。図4に示すローラ状の2次転写部材(2次転写ローラ25)は小型であり、駆動軸が一つであるため、線速比を変えた際に生じるトルクが小さい。従って、ローラ状の2次転写部材であれば2次転写部材の長寿命化が可能である。
一方、中間転写体表面の潤滑剤を2次転写部材で除去していると、2次転写部材表層の汚れに伴う2次転写部材の劣化が考えられる。そこで、図6に示す無端ベルト状の2次転写部材であれば、ローラ状のものに比べ表面積が大きいため、2次転写部材の長寿命化が可能になる。
1 潜像担持体としての感光体
2 現像手段としての現像装置
4 中間転写体としての中間転写ベルト
5 1次転写手段としての1次転写ローラ
25 2次転写手段としての2次転写ローラ
31 2次転写手段としての2次転写ベルト
65 潤滑材塗布手段
P 記録媒体としての転写紙
特開2004−325823号公報 特開2006−145805号公報 特開2008−310108号公報 特開2005−352009号公報 特開2005−352008号公報 特開2006−30358号公報

Claims (8)

  1. 潜像担持体と、該潜像担持体上の静電潜像を現像剤により可視像化する現像手段と、前記潜像担持体へ潤滑材を塗布する潤滑材塗布手段と、前記潜像担持体から中間転写体へ1次の転写を行う1次転写手段と、前記中間転写体に対向し、前記中間転写体から記録媒体へ2次の転写を行う2次転写手段と、を有する画像形成装置において、
    前記2次転写手段と前記中間転写体との間に画像がある作像時と、画像がない非作像時とで、前記中間転写体と前記2次転写手段との間の線速比を異ならせることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記非作像時は、2枚以上の記録媒体に連続して作像する場合において、記録媒体が前記2次転写手段を通過後、且つ、次の記録媒体が前記2次転写手段を通過する前の時間であることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記非作像時は、画像濃度調整や色ずれ補正のためのプロセスコントロール中における、画像濃度調整や色ずれ補正検知用パターンが前記中間転写体と前記2次転写手段との間にない時であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記非作像時は、作像開始前である立ち上げ時間又は作像終了後である立ち下げ時間であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記非作像時は、ジャム後におけるリカバリー動作中であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
    前記2次転写手段は、ローラ状の部材であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6記載の画像形成装置において、
    前記ローラ状の部材は、少なくとも表面が発泡材で形成されていることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
    前記2次転写手段は、無端ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
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