JP2010261948A - ガラスシート内の欠陥検出方法および装置 - Google Patents

ガラスシート内の欠陥検出方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 光源から放射される光ビームを、板ガラスのような透明材料を透過させてスクリーンに投影し、透明材料内の欠陥を検出する検査装置において、光学倍率、光源からスクリーンまでの距離、または光源の光度を変えることなしに、種々のサイズの透明材料の検査を可能にする。
【解決手段】 スクリーン26上に投影される光ビームを遮る光学素子24を光源22とスクリーン26との間に配置して、光ビームの少なくとも一部分の光度を変えて、ほぼ一様な照度分布をスクリーン26上に生成させ、透明材料30内の欠陥を検出する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、概略的には、光を用いて、例えば板ガラスシートのような透明な材料内の欠陥を検出することに関するものである。より具体的には、本発明は、例えば板ガラスシートのような透明な材料内の欠陥を検出するために、一様な照度分布を提供するための方法および装置に関するものである。
液晶表示装置(LCD)技術における最近の進歩は、LCDパネルのための基板の品質に対して、より厳密な要求を突きつけるようになって来た。基板全体の光学的一様性のみでなく、表面の不連続性、畝、および筋等のガラス基板の表面の異常も、LCDの「ムラ」不良の原因となる因子に含まれる。「ムラ」とは、低コントラストまたは明るさが一様でない領域のように見えるパネルの可視的な不完全性に関する用語としてLCD産業に採用された、欠陥を意味する日本語である。基板表面の非平坦性は、LCDセルギャップに変化を齎し、かつ全体の非一様性は光波面の屈折歪みの原因となり、したがって「ムラ」不良を齎す。表面の不連続性は通常、ガラス内に埋め込まれた異物から生じる。これらの異物は、固体または気体材料からなる。畝および筋等の脈理形式の欠陥は、主として溶融された原材料が均質化に欠けることから生じる。薄いガラスシートにおける筋および畝は、一般にガラスの牽引方向に沿って延びる表面の凹凸として現れる。筋欠陥は、一般に1本の線条として現れるが、畝欠陥は1ミリメートル間隔で分離した多数の線からなる。光学ガラスにおける光路長(OPL)偏差が10nmを超える脈理の影響は一般に無視することができない。LCDガラスのOPL偏差に対する要求は、ディスプレー産業における進歩とともに益々厳しくなっており、光学ガラスに関する厳しい要求をそれらの許容誤差のレベルにまで近付けつつある。
欠陥のある基板が高価なパネルの製造工程に紛れ込むのを防止するために、かつガラス形成工程制御システムへのフィードバックを提供するために、基板の検査は重要である。歴史的には、検査はシャドウグラフ(影絵)法を採用した検査員によって行なわれて来た。例えば、特許文献1および2を参照されたい。近年では、検査の一貫性および信頼性を改善するために、種々の自動化された方法が実施されている。例えば特許文献3〜5を参照されたい。人員による検査も、その高感度、簡易性およびシャドウグラフ法の低価格な装置のために、LCD基板製造にはなおも広く採用されている。
欠陥の存在に関する板ガラスの検査に用いられているシャドウグラフ法は、短アーク放電ランプ等の点状光源からの光を、ガラスサンプルを透過させて白色スクリーンへ投影することを含む。サンプルが無い場合には、スクリーン上の照度パターンは明るい領域からなる。光源とスクリーンとの間にガラスサンプルが配置された場合には、脈理その他の欠陥が透過光の光度を変調し、したがって、スクリーン上の照度分布を変化させる。ガラス内の欠陥により生起されたスクリーン上の照度偏差は肉眼で観察され、または電荷結合素子(CCD)カメラで捕捉される。光がガラスシートを通過しまたはガラスシートから反射された場合には、光波面は欠陥によって歪まされる。「レンズ効果」という用語は、媒体の不均質性によって生じるこのような外乱の説明に用いられることが多い。外乱の「合焦」部分は、スクリーンの対応部分における照度増大の原因となり、外乱の「非合焦」部分は、スクリーンの対応部分を照度低下に導く。
表面の不規則性の他の検査方法(例えば特許文献2を参照されたい)は、ガラスシートからの反射をスクリーンへ投射することを含む。適当な光の偏光および入射角を選ぶことにより、シートの一方の表面からの影響を最少にすることができ、これにより、主として1枚のシート表面の検査を可能にする。
小サイズの光源を用いることは、小さい点状の欠陥ならびに畝および筋のような幅の狭い脈理の検出を行なうために必須である。通常は一時的に非干渉性の白色光が用いられるが、遠く離れた小サイズの(点状の)光源からの光の或る程度の空間的干渉性により、回折効果が観察される。すなわち、
coh=0.16Rλ/R (1)
とするとき、距離Lcohだけ離れたガラス上の点におけるザイズRの光源から発せられた光は、88%空間的干渉性を有し(非特許文献1)、ここで、Rは光源からガラスまでの距離、λは平均光波長である。空間的干渉性は、表面摂動のサイズwが
w≦(λL)1/2 (2)
を満足させるときに著しい。空間的干渉性による回折は、欠陥の影の鮮明さを拡散させ、または或る場合には、スクリーン上の輝度変調を増幅させる。
ガラス内の脈理のみを検査するためには、線状の光源を用いればよい。この光源は、脈理の方向と平行な方向に拡大されなければならない。
米国特許第4,182,575号明細書 米国特許第6,433,353号明細書 米国特許出願公開第2004/174519号明細書 国際公開第2006/108137号パンフレット 米国特許出願公開第2008/0204741号明細書
M.Born,E.Wolf 共著、"Principles of optics", Cambridge University Press,1999,Chapter X,Section 4.2
点状光源によって生成され、かつスクリーン上に投影された照度分布は、距離および光源とスクリーンとの間の入射角の変動により、検査員によって感知されたときに本質的に不均一である。検査結果の一貫した観察のためには、光源によって放射された光の照度分布を、スクリーンの検知領域全体に亘る明るさ(局部的照度によって決定される)が検査員によって一定と感じられるように変えられなければならない。このことは、大型のガラスパネルが厳しい基準を満足させることを必要とする、LCD製造のためのガラスパネルの検査の場合に特に重要である。LCD産業が必要とするガラス基板のサイズの拡大に伴って、適切な照度分布の提供が課題となって来ている。ガラスサイズに比例したシャドウグラフ(影絵)設備の単なる拡大では不可能でありかつ非現実的である。検査に必要な空間およびスクリーンのサイズの拡大に加えて、ランプの出力はガラスサイズの二乗に比例して増大されなければならない。より高い出力のランプは、より大きい有効アークサイズを有する。放電プラズマのサイズの増大が時間的または空間的不安定性を発生させるために、ランプ出力の増大に伴って、アークの光度の安定性が低下する。この不安定性は、スクリーン上の明るさの変動および空間的明るさの不均一性を明らかにして、検査の一貫性を損なう。バルブの寿命も一般に出力に伴って短くなる。また、高出力の光源の近傍に居る検査員によってランプを作動させるためには、眼の安全対策も必要である。
本明細書にはいくつかの態様が開示されている。これらの態様は互いに重なり合うかも知れないし、重なり合わないかも知れない。したがって、一つの態様の一部が他の態様の範囲内に含まれるかも知れないし、含まれないかも知れない。逆もまた同様である。
各態様は、多くの実施の形態によって示されている。これらの実施の形態は互いに重なり合うかも知れないし、重なり合わないかも知れないことを理解すべきである。したがって、一つの実施の形態の一部、またはそれらの具体例が他の実施の形態の範囲内に含まれるかも知れないし、含まれないかも知れない。逆もまた同様である。
解決されなければならない技術上の一つの課題は、ガラスシートの大きな領域に亘って一貫した検査を達成するために、如何にして光源からスクリーン上に一様な照度分布を提供するかにある。解決されなければならない技術上の別の課題は、サイズの異なる種々の大型のガラスシートに関して、種々の製造設備において同一または類似の装置を用いて、
サイズの異なる種々のガラスシートの全域にわたって一貫した検査結果を得るために、如何にして光源からスクリーン上に一様な照度分布を提供するかにある。
第1の態様においては、透明な材料内の欠陥を検出する装置が提供される。この装置は、光ビームを放射する光源、上記光ビームが投影されるスクリーン、および上記光源と上記スクリーンとの間に配置されて、このスクリーン上に投影される光ビームを遮る光学素子を備える。上記光学素子は、上記光ビームの少なくとも一部分の光度を変え、ほぼ一様な照度分布を前記スクリーン上に生成させるように構成されている。
第2の態様においては、透明な材料内の欠陥を検出する方法が提供される。この方法は、光源からの光ビームを、透明な材料を透過させてスクリーンへ投影することを含む。この方法は、上記光源からの上記光ビームの少なくとも一部分の光度を変えるように構成された光学素子を用いて、上記光源と上記スクリーンとの間において上記光ビームを遮り、かつほぼ一様な照度分布を上記スクリーン上に生成させることをさらに含む。この方法は、上記スクリーン上の照度分布を観察または記録することをさらに含む。
本発明の一つまたは複数の態様は、下記の一つまたは複数の効果を有する。
点状光源から一様なスクリーン輝度分布を生成させる本発明の一つまたは複数の態様による光学素子は、例えばガラスシート材料のような大型の透明材料の検査を可能にする。上記光学素子は、スクリーンの検査領域内のスクリーン照度分布を、光源とスクリーンとの間の距離に対して本質的に無関係にする。このために、同一の装置を用いて同一の検査条件を達成しながら、種々のサイズのガラスの検査が可能になる。その結果、一つの測定から他の測定に亘る、一つのガラスサイズから他のガラスサイズに亘る、そして一つの製造設備から他の製造設備に亘る、検査工程の一貫性が改善される。この改善は、光学倍率、光源からスクリーンまでの距離、または光源の光度を変えることなしに(例えば光源の出力を変えることなしに)達成される。その結果、たとえ検査されるガラスのサイズが増大しても、より狭い検査室を用いることができる。その結果、より小さいサイズのガラスの検査に効果的な、比較的低パワーの光源を大型のガラスの検査に採用することができる。低電力のランプは長寿命を有する傾向があり、比較的大型のガラスシートを検査する場合に、ランプ、保守および電力消費量のコスト節減を可能にする。
本発明のさらなる特徴および効果は、下記の詳細な説明に記載されており、その一部は、当業者であれば、その記載から直ちに明らかであり、または添付図面のみでなく、記述内容および請求項に記載された本発明の実施によって認識するであろう。
上述の概略説明および後述の詳細説明は本発明の単なる例示に留まり、請求項に記載された本発明の本質および性格を理解するための概観または骨組みの提供を目的とするものである。
添付図面は、本発明のさらなる理解のために備えられたものであって、本明細書に組み入れられ、かつ本明細書の一部を構成するものであることを理解すべきである。
シャドウグラフ法による従来のガラス検査装置の概略図である。 可変透過度光学フィルタを備えたガラス検査装置の概略図である。 可変透過度光学フィルタの概略的断面図である。 可変透過度光学フィルタのフィルタ平面の概略図である。 可変透過度光学フィルタの一例の透過度分布を示すグラフである。 150ワットのキセノンランプ(NewPort社製、部品番号6253)の光度(カンデラ)の典型的な角度分布のグラフである。 非球面を有する光屈折素子を備えたガラス検査装置の概略図である。 光屈折素子に関する計算された輪郭を示すグラフである。 図8Aの計算された輪郭を有する光屈折素子の概略的断面図である。 図8Bの光屈折素子を備えていない場合のスクリーン上の位置に対する照度(任意の単位)の数値的光線追跡分析の結果を示すグラフである。 図8Bの光屈折素子を備えている場合のスクリーン上の位置に対する照度(任意の単位)の数値的光線追跡分析の結果を示すグラフである。 1mmだけ焦点をぼかした図8Bの光屈折素子を備えている場合のスクリーン上の位置に対する照度(任意の単位)の数値的光線追跡分析の結果を示すグラフである。
図1に示された構成を考察すると、例えば点状光源である光源10およびスクリーン14が光軸16に沿って配置されている。図1に採用されている慣例によれば、光軸16は、場合によってはスクリーン14と直交しかつ光源10の中心を通過する線である。また光軸16上には、検査されるべき平らな透明物質、例えば板ガラス12が配置されている。もし光源10がランバートの余弦則に従うものであれば、スクリーン14上の1点における照度(すなわち、単位面積当たりに入射する光束)は下記の等式で与えられる。すなわち、
ν=IνCosα/S (3)
ここで、Iνは光度、αは光源10によって発せられる光線18の方向と光軸16との間の角度、Sは点状光源10からスクリーン14までの距離である。等式(3)においては、検査されるガラスシートの光透過度の入射角による依存度は考慮されていない。これは、入射角が35度を超えず、かつ光源10からの光が偏光されていなければ、正当とされる。もし必要であれば、入射角に応じた透過係数を導入することによって、より正確な表現が得られる。等式(3)から、スクリーン14の中心において(すなわち光軸16において)照度が最大であり、スクリーン14の隅に向かってCosαに従って低下する。本発明の態様は、検査員によって一様と感知されるスクリーン14における理想的な照度分布を如何にして作成するかに取り組むことにある。用語「理想的な照度分布」とは、板ガラス12が検出可能な欠陥を有しないか、または光源10とスクリーン14との間にガラスシート(または透明な物質)が置かれていない場合を想定した照度分布の説明に用いられる。板ガラス12内の検出可能な欠陥は、スクリーン14における照度分布の歪みとして自らを曝け出す。したがって、理想的な照度分布は、高品質領域全体の一貫した検査を行なうために一様でなければならない。
ここで扱われる、照度分布において感知される不均一性に影響を与える多くの因子の中で、
(イ)等式(3)により説明される、スクリーンへの(光源からの)距離およびスクリーン上の入射角。
(ロ)光源の角度的光度分布。例えば、短いキセノン・アーク灯に関する垂直角度上の光度分布を示す図6を参照されたい。この光度の角度依存性は、放電プラズマ上の電極の形状の影響の結果である。図6に示された実例においては、カソードが下方の電極であり、光の強度は、下方側が約5〜10%大である。
(ハ)例えばフレネル屈折式(非特許文献1,Chapter I,Section 1.5.2)により説明されているようなガラスシート上の入射角の差によるガラス(または透明物質)の照度偏差。
(ニ)検査員のスクリーンに対する位置。肉眼またはCCDカメラによって検知されたスクリーン上の点Pの輝度。検出された光束は、点Pにおいて入射した光束と、入射方向から受けかつ視る方向に反射した光スクリーンの反射性と、上記点から検出器までの距離とに比例する。
上述の因子のうちのいくつかは、具体例において顕著である。スポットライト・メータ、例えば写真のスポット露出計を用いてスクリーン輝度の分布を測定し、かつ所望のフィルタ透過度分布図を描いて、一定のスクリーン輝度を得ることによって、全ての因子に気を配ることは可能である。
図2は、光軸28に沿って配置された光源22、可変透過度光学フィルタ24、およびスクリーン26を備えた検査装置20を示す。ここで用いられている約束事において、光軸28はスクリーン26に直交しかつ光源22の中心を通る線である。検査されるべき平坦な透明材料、例えば板ガラス30は光軸28に沿って、かつ特に可変透過度光学フィルタ24とスクリーン26との間に配置されている。検査される材料30に対する法線は、一般に光軸28に対して直角ではない。光ビーム32は、光源22から可変透過度光学フィルタ24を通過し、板ガラス30を通過し、スクリーン26上へ投影される。いくつかの実施の形態において、光源22は点状光源である。この光源22は、例えばショートアーク放電ランプである。光源22の動作波長は、板ガラス30を透過可能でかつ、人による検査の場合には、可視光である。もしスクリーン26上に形成される画像がカメラによって撮影される場合には、光はカメラ媒体によって検出可能な光でなければならない。例えば光源22の動作波長は400nmから750nmまでである。もし検査員が検査を行なう場合には、人の眼に有害である紫外線および赤外線はフィルタ24または別個のフィルタによって遮断されなければならない。別の実施の形態においては、光源22が線状光源である。
可変透過度光学フィルタ24は、最大動作光ビーム角αmaxによって画成される円錐33の照度分布を変えて、円錐33内のスクリーン26上の全ての点において本質的に一様な照度を形成する。円錐33の外側の光線に関しては、等式(3)に従って減衰する照度を有するか、あるいは、光学フィルタ24または他の適当な開口によって遮断される。フィルタ24によって変えられる光の円錐33は、板ガラス30を通過してスクリーン26に至る。スクリーン26上で観察される照度分布内の如何なる歪みも、板ガラス30内の欠陥の表示となる。観察は検査員によって行なってもよい。その代わりに、または検査員に加えて、この装置は、スクリーン26の画像を撮影するカメラ41を備えることができる。この装置はさらに、もし板ガラス30内に欠陥があれば、それを測定するために、カメラ41によって撮影された画像を処理するためのプロセッサ43を備えていてもよい。処理は、光源22とスクリーン26との間に板ガラス30が存在する場合の撮影された画像を、板ガラス30が含まれない基準画像と比較することを含む。
図3を参照すると、可変透過度光学フィルタ24は、光ビームを受けるための入力側35と、光ビームを出力するための出力側37とを備えている。入力側35においては、可変透過度光学フィルタ24が基板層36を備えている。いくつかの実施の形態においては、例えばガラス材料、例えば溶融シリカ等の透明材料からなる可変透過度光学フィルタ24の出力側37であることが好ましい基板36の一方の面は、フィルタ層34を備えている。いくつかの実施の形態においては、フィルタ層34が2枚の基板の間に挟まれている。いくつかの実施の形態においては、フィルタ層34が可変光透過度を備えている。フィルタ上の1点における光透過度は、この点においてフィルタに入射する光の照度に対するこの点においてフィルタを出射する光の照度の比である。例えば下記の等式(4)で表現される、フィルタ層34の光透過度の空間的変化は、フィルタ24を出射する光の円錐の角度的強度分布を制御するのに用いられる。可変光透過度層34は、基板層36上に公知の態様で形成される。可変透過度光学フィルタ24は、例えば図4に示されているように円形であっても、他の形状であってもよい。いくつかの実施の形態において、可変透過度は光吸収率の空間的変化によって、または光反射率の空間的変化によって、または双方によって達成される。例えば、銀、アルミニウム、または他の金属または合金等からなる厚さが変化する層が用いられる。いくつかの実施の形態において、フィルタ層34および基板36の材料は、高輝度の光ビーム(図2の32)に曝されたときの高温および熱膨張による熱応力に耐えるものが選ばれる。
いくつかの実施の形態において、透過率フィルタ24の一方側または両側には反射防止(AR)被膜38が形成されている。この反射防止被膜38は、フィルタを通過する光の透過度を増大させることに加えて、周囲の空気中の酸素およびオゾンにフィルタが曝されるのを防護する。例えばもしフィルタ層34が金属または合金等の、酸化され易い材料からなる場合には、場合によってはこの露出が、フィルタ層34の望ましくない酸化を招き得る。AR被膜による光透過度の向上は、光源の出力がより少なくて済み、動作中のフィルタの温度がより低くなる。AR被膜はまた、フィルタ表面からの好ましくない乱反射をも低減する。乱反射は、光源の実効サイズを拡大させるさらなる仮想光源を生成させる。透明なガラス、樹脂またはポリマー等の保護層(図3には不図示)がAR被膜38上または直接的にフィルタ層34上に施されて、環境との化学反応から、またはすり傷、引っかき傷および欠け等の機械的損傷からフィルタ層34を保護する。
いくつかの実施の形態において、上記フィルタのための基板材料は、光源輻射線の望ましくないスペクトル部分、例えばUV(紫外線)またはIR(赤外線)を吸収または反射させることができる。別の実施の形態においては、1層または複数層のさらなる光学的被膜がフィルタ表面に施されて、輻射線の望ましくないスペクトル部分、例えばUVまたはIRを阻止する。
いくつかの実施の形態において、フィルタ層34の小粒子構造が好ましい。好ましい粒度のサイズその他の特性は、検査装置の解像度要件および幾何学的レイアウトに左右される。いくつかの実施の形態において、最大粒子サイズは2mm未満、好ましくは1mm未満である。許容可能な最大粒子構造は、粒子構造がスクリーン上において照度の目に見える不均一性を発生させないように決定しなければならない。
図2に戻ると、光透過度の変化は、フィルタ上の1点における適当な座標上の光透過度値Tの関数として表現される。光源22からスクリーン26までの距離およびスクリーン26上の入射角の変化のみが考慮されなければならない場合には、可変透過度光学フィルタ24は、等式(4)によって与えられるような、フィルタ平面の中心Cからの距離ρ(図4参照)の関数として定義される透過度分布T(ρ)を有する。すなわち、
T(ρ)=T{(d+ρmax )/(d+ρ)}3/2 (4)
ここで、Tは基板層36の透過率、dは光源22から可変透過度光学フィルタ24の位置までの距離、ρmaxはフィルタ平面における最大ビーム半径であり(フィルタ平面25およびρに関しては図4参照)、等式(5)によって与えられる。すなわち、
ρmax=d・Tanαmax (5)
等式(5)において、αmaxは一様な照度分布を提供する円錐33の角度として定義される最大動作ビーム角である。望ましいことではあるが、光源22から可変透過度光学フィルタ24までの距離は、光源22から放散される熱のために、短か過ぎてはならない。もし、光源22と可変透過度光学フィルタ24との間の実際の動作距離dおよびαmaxが決定されれば、等式(5)はρmaxを定義する。等式(4)から判るように、透過度は、フィルタの中心(α=0、ρ=0)におけるTCosαmaxから、フィルタの外周近傍(α=αmax、ρ=ρmax)におけるTまで増大する。換言すれば、光学フィルタ24を通過する光の透過度Tは、最大動作ビーム角αmaxにおいてTの100%であり、フィルタの中心(α=0)に近付くにつれて減少する。図5における実施例は、T=85%、d=70.8mm、αmax=27度の場合の可変透過度光学フィルタの透過度分布を示す。これらのパラメータを用いると、ρmaxは約36mmである。フィルタの透過率Tは、フィルタ平面における半径方向位置ρに対してプロットされている。
一般的な場合において、例えば、上述のリストから多くのファクタが考慮されなければならない場合に、透過度分布は、過去の例のように角度的に対称的ではない。もし理論的解析が実際的でなければ、下記の手法が実行される。光源22からの光はフィルタ無しに高品質ガラスサンプルを通過してスクリーン26に投影される。検査員が配置される地点に配置されたスポットライト・メータを用いて、スクリーンの複数の点における輝度を測定することによって、スクリーンの輝度分布が決定される。十分な数のスクリーン点における輝度測定が行なわれると、輝度分布、すなわちスクリーン上の位置に対する輝度が、例えば多項式補間のように適当な関数を用いて補間される。最少輝度Iの点Pが、Pを照射する光が通過するフィルタ平面内の点に配置されかつ位置付けされる。輝度が測定されたその他の点もフィルタ平面内の対応する点P、i={0,N}に位置付けされる。ここで、Nは多数の点である。フィルタ平面内のPに対応する点における全体の透過率Tは下記のように定義される。すなわち、
=(I/I)T (6)
ここで、Tは基板の透過度、Iは点Pにおける輝度である。次に、透過率分布が適当な方法、例えば多項式補間で補間される。上述で定義された手順で製造されたフィルタが光源とスクリーンとの間に配置された場合に、スクリーンの輝度は本質的に一様である。
図7に示された別の実施の形態においては、点状光源22から放射された光の再分布に光屈折素子40が用いられて、スクリーン面26における所望の照度分布が得られる。上記光屈折子40は、下記に説明するような少なくとも一つの非球面表面を有する。この実施の形態においては、スクリーンの一様な照度を提供するために明るい領域における過剰な光を遮る代わりに、スクリーン上の明るい領域からスクリーン上の暗い領域への屈折によって光線が向け直される。
如何にして光屈折素子(すなわちレンズ)40の形状を得るかを以下に説明する。光屈折素子40の図7における第1面(光源22に対向する面)は凹面であると仮定しよう。球の中心は光源22の位置に一致する。第2の凸面44(光源22に背を向けている)は関数r(α)によって定義され、ここで、r(α)は球面の中心から角度αの方向への距離である。角度αにおける光ビームは、下記の式で与えられる光軸からの距離h(α)においてスクリーンに達する。すなわち、
h(α)=rSinα+(S−rCosα)Tanφ (7)
ここで、φはレンズを出た後の光線の角度である。もしνが第2面の法線と光軸との間の角度であるとすると、スネルの屈折法則は下記の式で表される。すなわち、
nSin(ν−α)=Sin(ν−φ) (8)
ここで、nはレンズ材料の屈折率である。上記面に対する法線の角度の正接は下記の式で表される。すなわち、
Figure 2010261948
等式(8)と(9)とを併せると、
Figure 2010261948
一次の微分方程式(10)は非球面44の形状の決定に用いられる。全ての角度は上記法線から数度以内であったので、屈折角上の基板透過率の依存性は考慮に入れなかった。全体の透過度は一定と考えることができる。等式(10)は下記のように表される。すなわち、
Figure 2010261948
与えられた依存性ρ(α)に関し、関数φ(α)は等式(7)から発見することができる。すなわち、
Figure 2010261948
もし最大出射角αmaxを持った光が同一方向にレンズを離れることが必要である場合には
Figure 2010261948
Figure 2010261948
したがって、等式(11)および(13)は非球面輪郭44を極座標で定義している。
図8Aは、図8B(または図7)に示された構造を有する光屈折素子40に関する演算された輪郭を示す。図8Aに示されたグラフにおいて、水平軸Rは、光軸28からレンズ40の表面42,44までの距離であり、垂直軸Zは、この点から図7における焦点面45までの距離である。換言すれば、図8Aのグラフは、図8Bにおける光屈折素子40のサグ輪郭を示す。図8Aにおける輪郭50は、図8Bにおける第1の球面42に対応する。図8Aにおける輪郭52は、図8Bにおける非球面の第2面44に対応する。輪郭54(説明のためのみに示されており、実際の物理的表面を表すものではない)は、半径87mmの球面に対応する。非球面状輪郭52と87mm球面輪郭54との差は約2mmである。図9A,図9Bおよび図9Cは、非球面光学素子(図8Bにおける40)の特性を表す数値的光線追跡解析の結果を示す。これらのグラフにおいて、水平軸はスクリーン上の点Qの半径方向位置hであり、垂直軸は点Qにおける計算された相対照度である。図9Aは、光屈折素子が存在しない場合のスクリーンにおける照度分布(単位は任意)を示す。図9Bは、光屈折素子が存在する場合のスクリーンにおける照度分布(単位は任意)を示す。図9Cはレンズの許容範囲解析の結果を示す。図9Cにおけるグラフは、焦点が1mmずれた場合の、すなわち、一様化(光屈折)素子が指定位置から光軸に沿って1mmだけ移動せしめられた場合の90%の一様性を示す。数値的シミュレーションは、光源の有限サイズのみでなく、1mmの偏心(光軸に直角の方向への移動)が、図9Cに示されたのと同様のスクリーン領域に亘る多量の非一様性を提供する。光屈折素子の1mm以内の正確な位置決めは容易に達成することができる。
図7を参照すると、例えば光屈折素子の製造を容易にするために、或る場合には光源22に対向する面42または両面42,44が非球面である。表面輪郭の均一は、上述と同様の方法で得られる。
光源からの光ビームの光度分布を変えるように構成された光学素子は、上述のような一様な照度分布を生成させる。光学素子、例えば上述のような可変透過度光学フィルタ24または光屈折素子40は、透明材料、例えばLCDガラス基板内の欠陥を検出するように構成された検査装置内に組み込むことができる。このような欠陥は、表面不規則性、例えば脈理、筋、表面の不連続性、またはその他の形式の欠陥である。このような装置においては、光学素子が光源、例えば点状光源または線状光源からの光を受けて、スクリーン面上に一様な照度分布を生成させる。光学素子によって修正された光が、スクリーンに到達する以前に透明材料を通過すると、スクリーン面における照度分布における歪みが、透明材料内の欠陥を表示する。このような歪みは、検査員によって可視的に観察され、またはさらなるかつ自動的な処理のためにカメラによって捕捉される。もしスクリーン上に投影された光ビームの照度分布が、検査されるサンプルの高品質領域に亘って、複数回の検査に亘って、複数のオペレータに亘って、人手または機械に拘わらず、一様かつ一貫性を有していれば、測定結果の一貫した観察が行なえる可能性がより高くなる。
本発明は下記の非限定態様および/または実施の形態を含む。
C1.透明な材料内の欠陥を検出する装置であって、
光ビームを放射する光源、
上記光ビームが投影されるスクリーン、および
上記光源と上記スクリーンとの間に配置されて、該スクリーン上に投影される光ビームを遮る光学素子であって、上記光ビームの少なくとも一部分の光度を変え、かつほぼ一様な照度分布を上記スクリーン上に生成させるように構成された光学素子、
を備えている。
C2.C1の装置であって、上記光学素子は、K/(d+ρ3/2によって定義される透過度輪郭を有する可変透過度光学フィルタを備え、ここで、ρは上記可変透過度光学フィルタの中心から該可変透過度光学フィルタ上の任意の点まで測定された半径であり、かつdおよびKは定数であり、上記可変透過度光学フィルタは、ほぼ一様な光透過度を有する基板層上に形成された、可変光透過度を有するフィルタ層を備えている。
C3.C1またはC2の装置であって、上記可変透過度光学フィルタは、上記フィルタ層および上記基板層の少なくとも一方上に形成された反射防止層をさらに備えている。
C4.C2またはC3の装置であって、上記定数Kは、K=T(d+ρmax 3/2として定義され、ここで、Tは上記基板層の透過度、ρmaxは上記可変透過度光学フィルタが上記光度を変えるためのρの所定の最大値であり、かつdは上記可変透過度光学フィルタと上記光源との間の距離である。
C5.C1の装置であって、上記光学素子が、少なくとも一つの非球面を有する光屈折素子である。
C6.C1からC5までのいずれかの装置であって、上記光源が、点状光源および直線状光源からなる群から選ばれたものである。
C7.透明な材料内の欠陥を検出する方法であって、
光源からの光ビームを、透明な材料を透過させてスクリーンへ投影して該スクリーンを照射し、
上記光源からの上記光ビームの少なくとも一部分の光度を変えるように構成された光学素子を用いて、上記光源と上記スクリーンとの間において上記光ビームを遮り、かつほぼ一様な照度分布を上記スクリーン上に生成させ、かつ
上記スクリーン上の照度分布を観察または記録する、
ことを含む。
C8.C7の方法であって、上記光学素子が可変透過度光学フィルタである。
C9.C7の方法であって、上記光学素子が、少なくとも一つの非球面を有する光屈折素子である。
本発明の精神および範囲から離れることなしに、種々の変形および変更が可能なことは、当業者には明らかであろう。したがって本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内で行なわれた本発明の変形および変更をカバーすることを意図するものである。
10 光源
12 板ガラスまたは平らな透明材料
14 スクリーン
16 光軸
18 光線
20 LCDガラス検査装置
22 光源
24 可変透過度光学フィルタ
25 フィルタ平面
26 スクリーン
28 光学軸
30 板ガラス
32 光ビーム
33 円錐
34 フィルタ層
35 入力側
36 基板層
37 出力側
38 反射防止層
40 光屈折素子
41 カメラ
42 第1の非球面
43 プロセッサ
44 第2の非球面
45 焦点面
50 第1の非球面輪郭
52 第2の非球面輪郭
54 球面輪郭

Claims (9)

  1. 透明な材料内の欠陥を検出する装置であって、
    光ビームを放射する光源、
    前記光ビームが投影されるスクリーン、および
    前記光源と前記スクリーンとの間に配置されて、該スクリーン上に投影される光ビームを遮る光学素子であって、前記光ビームの少なくとも一部分の光度を変え、かつほぼ一様な照度分布を前記スクリーン上に生成させるように構成された光学素子、
    を備えた装置。
  2. 前記光学素子は、K/(d+ρ3/2によって定義される透過度輪郭を有する可変透過度光学フィルタを含み、ここで、ρは前記可変透過度光学フィルタの中心から該可変透過度光学フィルタ上の任意の点まで測定された半径であり、かつdおよびKは定数であり、前記可変透過度光学フィルタは、ほぼ一様な光透過度を有する基板層上に形成された、可変光透過度を有するフィルタ層を備えていることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記可変透過度光学フィルタは、前記フィルタ層および前記基板層の少なくとも一方上に形成された反射防止層をさらに備えていることを特徴とする請求項2記載の装置。
  4. 前記定数Kは、K=T(d+ρmax 3/2として定義され、ここで、Tは前記基板層の透過度、ρmaxは前記可変透過度光学フィルタが前記光度を変えるためのρの所定の最大値であり、かつdは前記可変透過度光学フィルタと前記光源との間の距離であることを特徴とする請求項2または3記載の装置。
  5. 前記光学素子が、少なくとも一つの非球面を有する光屈折素子であることを特徴とする請求項1記載の装置。
  6. 前記光源が、点状光源および直線状光源からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の装置。
  7. 透明な材料内の欠陥を検出する方法であって、
    光源からの光ビームを、透明な材料を透過させてスクリーンへ投影して該スクリーンを照射し、
    前記光源からの前記光ビームの少なくとも一部分の光度を変えるように構成された光学素子を用いて、前記光源と前記スクリーンとの間において前記光ビームを遮り、かつほぼ一様な照度分布を前記スクリーン上に生成させ、
    前記スクリーン上の照度分布を観察または記録する、
    各ステップを含むことを特徴とする方法。
  8. 前記光学素子が可変透過度光学フィルタであることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記光学素子が、少なくとも一つの非球面を有する光屈折素子であることを特徴とする請求項7記載の方法。
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