JP2010261728A - 封入式可逆熱変色性表示体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐光堅牢性を顕著に向上させており、可逆熱変色層の変色機能を永続させることができ、発消色を繰り返し行う可逆熱変色性表示体の熱変色機能を長期間持続させることができる封入式可逆熱変色性表示体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 支持体21上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層22を設けた可逆熱変色性表示体2を、少なくとも表示面が透明性を有する酸素低透過性封入体3に封入してなり、前記封入体内の酸素濃度が0.5%以下である封入式可逆熱変色性表示体1及びその製造方法。
【選択図】 図3

Description

本発明は封入式可逆熱変色性表示体及びその製造方法に関する。更に詳細には、加熱又は冷熱装置の適用により像を形成した表示体を封入した可逆熱変色性表示体及びその製造方法に関する。
従来、熱又は冷熱の適用により像を形成できる可逆熱変色性表示体としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)による電子授受反応を可逆的に生起させる反応媒体である化合物からなる可逆熱変色性組成物を含む可逆熱変色層を設けた試し刷り用ワードプロセッサ用紙が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記試し刷り用ワードプロセッサ用紙は、発色状態と消色状態のいずれかを常温域において選択的に保持させることができるため、発色状態と消色状態においてそれぞれ耐光堅牢性を向上させる必要がある。
そのうち、消色状態の耐光性向上については、紫外線吸収剤を配合して褐変等の残色を生じることを防止する試みがなされているが(例えば、特許文献2参照)、発色状態の耐光性向上については効果的な手段がなく、発色時の色濃度が低下することを防止することは困難であった。
更に、前記電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物との間の電子授受反応により色変化する可逆熱変色性材料は、光劣化の過程において酸素の存在が大きく関与しており、酸素雰囲気で光を照射すると劣化し易く、発色時の色濃度の低下が顕著であった。
実開平6−36862号公報 特公平4−18543号公報
本発明は、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物との間の電子授受反応により色変化する可逆熱変色性材料を用いた表示体の光劣化に関与する酸素の存在に着目し、低酸素雰囲気では光照射しても劣化し難く、酸素を排除できれば耐光性を顕著に向上させることができるという知見を得て、本発明を完成させた。
本発明は、支持体上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた可逆熱変色性表示体を、少なくとも表示面が透明性を有する酸素低透過性封入体に封入してなり、前記封入体内の酸素濃度が0.5%以下である封入式可逆熱変色性表示体を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であり、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して第1色相と第2色相間の互変性を呈し、第1色相にあって温度が上昇する過程では、温度tに達すると、第1色相は変色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に第2色相となり、第2色相状態にあって温度が下降する過程では、前記温度tより低い温度tに達すると、第2色相は変色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に第1色相となり、前記温度tと温度tの間の温度域で第1色相或いは第2色相が保持されるヒステリシス特性を示し、温度tは0℃以下の温度であり、温度tが50℃以上の温度であること、色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色すること、色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色すること、前記酸素低透過性封入体の酸素透過度が70ml/m・day・atm以下であること、前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層中又は酸素低透過性封入体中に紫外線吸収剤を含有してなること、前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層上又は酸素低透過性封入体表面に紫外線吸収剤を含む層を設けてなること、前記酸素低透過性封入体の開口部に雄雌咬合型チャックを設けてなること、前記可逆熱変色性表示体は、表面に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなること、前記酸素低透過性封入体中に、複数の可逆熱変色性表示体を封入してなること等を要件とする。
更には、支持体上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた可逆熱変色性表示体を、少なくとも表示面が透明性を有する酸素低透過性封入体に封入し、真空脱気及び/又は不活性ガス置換により封入体内の酸素濃度を0.5%以下にする封入式可逆熱変色性表示体の製造方法、或いは、支持体上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた可逆熱変色性表示体を、酸素濃度が0.5%以下の空間で少なくとも表示面が透明性を有する酸素低透過性封入体に封入し、封入体内の酸素濃度を0.5%以下にする封入式可逆熱変色性表示体の製造方法を要件とする。
本発明は、耐光堅牢性を顕著に向上させており、可逆熱変色層の変色機能を永続させることができ、発消色を繰り返し行う可逆熱変色性表示体の熱変色機能を長期間持続させることができるため、広告媒体や装飾要素としての有用な封入式可逆熱変色性表示体及びその製造方法を提供できる。
加熱消色型の色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の変色挙動を示す説明図である。 加熱発色型の可逆熱変色性組成物の変色挙動を示す説明図である。 本発明の封入式可逆熱変色性表示体の一実施例を示す説明図である。
前記可逆熱変色性表示体について説明する。
前記可逆熱変色性表示体は、支持体上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる。
前記可逆熱変色性材料としては、加熱消色型の色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物が有効であり、当該組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を図1のグラフによって説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度領域は前記tとt間の温度域であり、発色状態と消色状態の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるtとt間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
前記可逆熱変色性組成物は、完全発色温度tを0℃以下の冬場の環境温度等により発色しない温度にする。
なお、前記完全発色温度tとしては、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃である。
更に、完全消色温度tは、夏場の環境温度等により消色しない温度、即ち50℃以上、好ましくは60〜100℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃、好ましくは50乃至100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
ここで、tとtの差、或いは、tとtの差(Δt)が変色の鋭敏性を示す尺度である。
前記可逆熱変色性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具体的に化合物を例示する。
前記(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3´,6´−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3´,6´−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色乃至赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体としては、下記一般式(1)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2010261728
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至8の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
また、前記(ハ)成分として下記一般式(2)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2010261728
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(2)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(2)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(3)で示される化合物が用いられる。
Figure 2010261728
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2010261728
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の構成割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部)。
又、各成分は各々二種以上の混合であってもよく、機能に支障のない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤等を添加することができる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の混合物はマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として使用することが好ましく、酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性が保持でき、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径1.0〜20μm、好ましくは1.5〜15μm、より好ましくは、2〜10μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセル顔料の最大外径の平均値が、20μmを越える系では、インキ、塗料への使用に対して、分散安定性に欠ける。
一方、最大外径の平均値が1.0μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難い。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(質量比)の範囲が有効であり、内包物の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(質量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物(特開平11−129623号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステル(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル(特開2003−253149号公報)等を用いた加熱発色型の可逆熱変色性組成物、及びそれを内包したマイクロカプセル顔料を可逆熱変色性材料として用いることもできる(図2参照)。
本発明においては、前記可逆熱変色性材料をビヒクル中に分散して、塗料や印刷インキ等の液状組成物を調製し、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の手段により、紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性表示体を得る。
前記可逆熱変色層の厚みは、3〜100μmであることが好ましく、3μm未満では色濃度が低すぎて変色前後のコントラストに乏しくなる。また100μmを越えると印字装置からの熱又は冷熱が可逆熱変色層に均一に伝熱し難くなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
なお、前記可逆熱変色性材料、或いは、それを用いた液状組成物には、一般の染料や顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
また、必要に応じて前記支持体と可逆熱変色層の間に密着性を向上させるアンカーコート層や意匠性を付与させる非変色性インキによる着色層を適宜設けることもできる。
前記支持体の形状、大きさは特に限定されるものではないが、平面形状のものが好ましく、カード形態の小さなものから、ディスプレイに用いる大きなものであってもよく、例えば、掲示板、案内板、POP等に用いることもできる。
なお、前記支持体は磁性材による記録体、非接触で情報記録、書き換え、読み取りが可能なICチップ等の記録体を該支持体の表面、裏面、内面に設けた情報記録カードや情報記録タグであってもよい。
前記可逆熱変色性表示体に像を形成するための加熱装置としては、サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプ、電熱ヒーター、レーザー光、温水、スチーム等が挙げられ、特にコンピューターを介して精密な記録を行うことのできるサーマルヘッドが好適である。
また、冷熱装置としては、冷蔵庫、冷凍庫、氷片、蓄冷材、ペルチエ素子等が挙げられる。
前記可逆熱変色性表示体は、可逆熱変色性材料の色変化によって下記異なる四状態を示し各状態での耐光堅牢性は重要な要件となる。
前記四状態及び耐光堅牢性は下記の通りであり、何れかの状態で不具合を生じると表示情報の書き換え時に著しく視認性が劣ることとなる。
1.可逆熱変色性材料が着色した状態で光曝露された際の色濃度の維持。
2.可逆熱変色性材料が着色した状態で光曝露し、その後、消色した際の褐変防止。
3.可逆熱変色性材料が消色した状態で光曝露し、その後、着色した際の色濃度の維持。
4.可逆熱変色性材料が消色した状態で光曝露された際の褐変防止。
封入体系内の酸素濃度を低くすることにより前記1と3の耐光堅牢性向上効果が得られ、後述する紫外線吸収剤の併用により、更に高い耐光堅牢性が得られる。
前記酸素低透過性封入体は、少なくとも表示面が透明性を有する合成樹脂からなる封入体が用いられる。
前記酸素低透過性封入体は、酸素透過度が70ml/m・day・atm以下、好ましくは15ml/m・day・atm以下、より好ましくは5ml/m・day・atm以下のものが用いられる。
前記酸素低透過性封入体の材質としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン、ポリアクリロニトリル、セルロース(セロハン)等の合成樹脂からなるフィルムが酸素低透過性を有するため好適に用いられ、特に前記合成樹脂からなるフィルム表面にシリカ等の珪素酸化物や、アルミナ等のアルミニウム酸化物を薄膜蒸着させた材料が好適に用いられる。
また、単体では酸素低透過性を有しないポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂であっても、前記した酸素低透過性を示す合成樹脂をコーティング、貼合、共押出加工、或いは、前記薄膜蒸着等を施して複合材料化したものを用いることもできる。
更に、封入体内の表示性を損なわない範疇で、前記合成樹脂にアルミニウムを真空蒸着させた不透明性フィルムを併用したり、前記合成樹脂に不透明印刷層を設けてデザイン性を向上させることもできる。
前記酸素低透過性封入体の開口部には、密封性を高めるために種々構造の密封体を設けることができるが、雄雌咬合型チャック(チャック付テープ)を設けることが好ましい。
また、前記酸素低透過性封入体には、裏面に粘着層を設けて各種対象物に貼着可能な構成とすることもできる。
前記酸素低透過性封入体内に可逆熱変色性表示体を入れた後、封入体内の酸素濃度を0.5%以下にして実用に供する。
封入体内の酸素濃度を0.5%以下にする方法としては、真空脱気法や不活性ガス置換法により封入体内の酸素濃度を0.5%以下にする方法、酸素濃度が0.5%以下の空間で封入する方法が挙げられる。
前記不活性ガスとしては、ヘリウムガスやアルゴンガス等の希ガス、窒素ガスや炭酸ガス、或いはこれらの混合ガスが挙げられる。
真空脱気法は、封入体内の空気を真空ポンプ等で吸出し、系内を真空、又は真空に近い状態にして酸素濃度が低い状態にする方法である。
不活性ガス置換法は外部から不活性ガスを封入体中に充填し、酸素を含む系内の空気を酸素を含まない不活性ガスで置換する方法である。
前記した真空脱気法、不活性ガス置換法は単独で行うこともできるが、併用することにより効果的に封入体内の酸素濃度を低い状態にすることができる(脱気・ガス置換法)。
前記真空脱気法と不活性ガス置換法を併用する方法としては、簡易的なノズル式、ガス置換率に優れ、低酸素濃度化が可能なチャンバー式の他、ガスフラッシュ方式等が挙げられる。
封入体内の酸素濃度測定方法について説明する。
封入体内の酸素濃度測定には、機器類を用いる方法と、酸素検知剤を用いる方法がある。
機器類を用いて酸素濃度を測定する方法としては、酸素ガスの濃淡による起電力を測定し、酸素濃度に変換するジルコニア方式と、電気化学反応による電流を測定し、酸素濃度に変換するガルバニ電池方式があるが、機器の寿命が短く、大型で高価且つ消費電力も高いため、汎用性に乏しい。
一方、酸素検知剤は系内の酸素濃度を目視で簡単に認識でき、比較的安価であることから、好適に用いられる。
前記酸素検知剤は、アントラキノン系、インジゴ系、チアジン系、硫化染料等の還元剤によって色変化を示す染料、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属の水酸化物や塩等のアルカリ性物質、及び還元糖類等の還元剤を成分とする組成物が好ましく用いられる。
市販されている酸素検知剤としては、三菱ガス化学(株)製のエージレスアイ(商品名)、パウダーテック(株)製のワンダーセンサー(商品名)等が挙げられる。
前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層中、又は、酸素低透過性封入体中には、消色時の耐光性を向上させるために紫外線吸収剤を含有させることができる。更に、前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層上又は酸素低透過性封入体表面に紫外線吸収剤を含む層を設けることにより、消色時の耐光性を向上させることもできる。
前記紫外線吸収剤としては、2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)−メタン2−〔2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−〔2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤。
サリチル酸フェニル、サリチル酸パラ−t−ブチルフェニル、サリチル酸パラオクチルフェニル、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、1−ヒドロキシベンゾエート、1−ヒドロキシ−3−t−ブチル−ベンゾエート、1−ヒドロキシ−3−t−オクチルベンゾエート、レゾシーノールモノベンゾエート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。
エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニールシンナート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
2−〔5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2、ヒドロキシ−3,5−ビス(a,a−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシフェニル−3,5−ジ−(1,1′−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔3−t−ブチル−5−オクチルオキシルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−テトラオクチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−オクトオキシ−フェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤。
エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N′−(4−イソドデシルフェニル)、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸−21−オン等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤が挙げられる。
また、前記酸素低透過性封入体内に酸素吸収材を封入することもできる。
前記酸素吸収材としては、酸素を吸収する材料であれば特に限定されるものではなく、還元鉄系、アスコルビン酸系、ナイロン/コバルト塩系、共役二重結合ポリマー系、シクロへキセン基含有ポリマー系等の酸素吸収組成物を用いることができるが、内部に水を含む自立反応型の酸素吸収組成物が封入体内部の水分量に左右されないため好適に用いられ、還元性を有する鉄粉系酸素吸収組成物が酸素吸収速度に優れるため、より好適に用いられる。
前記酸素吸収組成物を封入した包装体、樹脂フィルムに塗布又は挟み込んだシートを酸素吸収材として用いることができる。
なお、前記酸素吸収材は酸素吸収組成物の種類、大きさによって吸収される酸素量と吸収速度が異なり、封入体内の酸素量に対して適切な酸素吸収能を有する吸収材を選定して用いる。また、前記酸素吸収材は、封入体内の酸素を吸収するのみならず、封入体を透過して内部に入り込む微量の酸素を吸収する機能も有するため、長期間に渡り耐光堅牢性を維持して熱変色機能を持続させることができる。
市販されている酸素吸収材としては、三菱ガス化学(株)製のエージレス(商品名)、(株)鳥繁産業製のエバーフレッシュ(商品名)、大江化学工業(株)製のサンソカット(商品名)、(株)タイセイ製のウエルパック(商品名)、パウダーテック(株)製のワンダーキープ(商品名)等が挙げられる。
前記した水を含む自立反応型の酸素吸収組成物を用いる場合、酸素吸収の過程で水蒸気が発生し密閉された封入体内に蒸散して視認性を妨げることがあるため、シリカゲル等の乾燥剤を共に封入したり、酸素吸収能と乾燥機能を併せ持つ材料、例えば、三菱ガス化学(株)製のファーマキープ(商品名)等を用いることもできる。
また、前記酸素吸収材は酸素検知剤と一体の酸素吸収兼酸素検知材を用いることもできる。
前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層中に含まれる可逆熱変色性材料が加熱により消色し、冷却により発色する材料の場合、予め冷熱液状体を収容した冷熱装置の適用により可逆熱変色層を発色させた表示体に、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて像を形成し、次いで、酸素低透過性封入体に入れた後、真空脱気及び/又は窒素ガス置換により封入体内の酸素濃度を0.5%以下にして封入したり、酸素濃度が0.5%以下の空間で封入して表示する。
前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層中に含まれる可逆熱変色性材料が加熱により発色し、冷却により消色する材料の場合、予め冷熱液状体を収容した冷熱装置の適用により可逆熱変色層を消色させた表示体に、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて像を形成し、次いで、酸素低透過性封入体に入れた後、真空脱気及び/又は窒素ガス置換により封入体内の酸素濃度を0.5%以下にして封入したり、酸素濃度が0.5%以下の空間で封入して表示する。
その後、表示体に形成した像を変更する場合は、酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、再び冷熱液状体を収容した冷熱装置の適用により可逆熱変色層を消色させ、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成した後、酸素低透過性封入体に入れて、真空脱気及び/又は窒素ガス置換により封入体内の酸素濃度を0.5%以下にして封入したり、酸素濃度が0.5%以下の空間で封入して実用に供する。
なお、前記酸素低透過性封入体中には、大きさの異なる複数の可逆熱変色性表示体を同じ方向に入れて封入したり、複数の可逆熱変色性表示体の背面同士を合わせて封入し、両面から像が視認されるように構成することもできる。
更には、前記可逆熱変色性表示体と共に不可逆熱変色性表示体を封入することもできる。
前記不可逆熱変色性表示体は、発色剤、顕色剤、増感剤、その他の添加剤からなる加熱により発色する不可逆熱変色性組成物を支持体上に塗工した表示体が用いられる。
前記発色剤としては、可逆熱変色性組成物の(イ)成分として例示した化合物を用いることができる。
前記顕色剤としては、可逆熱変色性組成物の(ロ)成分として例示した活性プロトンを有する酸性の化合物を用いることができる。
前記増感剤は常温で固体である発色剤、顕色剤を加熱下で接触、発色させる熱溶融性材料であり、天然又は合成の各ワックス類、高級脂肪酸類を用いることができる。
なお、前記不可逆熱変色性組成物には、支持体との接着性を向上させるバインダー樹脂、発色後の画像を安定させる安定剤等の添加剤を加えることができる。
ここで、加熱又は冷熱装置に収容した液状体を表示体に接触させて可逆熱変色層を変色させる場合、表示体には液状体への耐性を有する保護層を設けることが好ましい。
前記保護層としては公知の透明性を有する樹脂が用いられるが、耐溶剤性、耐擦過性に優れた架橋性樹脂が好適に用いられる。
前記架橋性樹脂は、樹脂分子中に反応性の官能基を有し、架橋剤と反応、或いは自己重合や自己縮合等の架橋反応により三次元構造を形成可能な樹脂であり、緻密な構造の保護樹脂層を形成できる。
前記架橋性樹脂として具体的には、重合開始剤とアクリル酸エステル系樹脂からなる紫外線硬化型樹脂、イソシアネート系硬化剤とポリオール系樹脂、アミン系硬化剤とエポキシ系樹脂からなる熱硬化型樹脂を挙げることができる。
前記保護層は可逆熱変色層の0.2〜3倍の厚みであることが好ましく、0.2倍未満では液状体への耐性を十分に満足させ難く、また、3倍を越えると伝熱性に乏しくなり、十分な変色機能を発現でき難くなる。
更に、液状体に対して保護層が良好な耐性を満たす基準として、以下の耐性試験方法による耐性指数を用いることができる。
前記耐性試験方法は、白色ポリエステル樹脂基材上に可逆熱変色層、保護層を順次設けた可逆熱変色性表示体を作製し、2cm×4cmの長方形に断裁した後、耐性試験前の可逆熱変色性表示体の明度値(Ma)を色差計(東京電色株式会社製、TC−3600)にて測定する。
次に、前記可逆熱変色性表示体を摩擦試験機(スガ試験機株式会社製、FR−2型)上部の摩擦子に貼着し、500gの荷重(摩擦子を含む)で対象となる液状体を含浸させた綿布(金巾3号)上で100回の往復摩擦を行う。
この際、綿布には0.02〜0.03g/cmの液状体を含浸させて試験を行う。また、前記往復摩擦は、摩擦子を液状体含浸布上で30往復/分の速度にて10cm間の距離を水平往復運動させる。
試験後の可逆熱変色性表示体の明度値(Mb)を試験前と同様の方法で測定し、下記式(2)から耐性指数(M)を算出する。
M=(Ma/Mb)×100 (2)
Ma:耐性試験前の可逆熱変色性表示体の明度値
Mb:耐性試験後の可逆熱変色性表示体の明度値
前記Mb、Maで表される明度値とは無彩色の配列において、完全な黒を0、完全な白を10として、その間を明るさの間隔の差が等間隔になるように分割したマンセル色票系の明度値を示し、明度値が小さい程、黒色に近く、明度値が大きい程、白色に近くなる。
この試験により、例えば、保護層に損傷が生じた場合、可逆熱変色層が物理的に脱落して基材の白色ポリエステル基材が視認されるため明度値(Mb)は高くなり、相対的に耐性指数(M)は低くなる。
また、可逆熱変色層中の可逆熱変色性材料が液状体の影響で退色した場合や、保護層自体が液状体に侵されて白化した場合も同様に明度値Mbは高くなり、相対的に耐性指数(M)は低くなる。
これとは逆に、試験による表面損傷、膨潤等が軽微であり試験前後の明度差が少なければ、対象液状体への耐性が優れていることとなり、耐性指数(M)は100に近い値となる。
前記耐性指数(M)は80〜100、好ましくは90〜100の値であれば、実用的な耐性を備える。
前記保護層は二層以上の多層構成として相反する性能を付与することもできる。
例えば、保護層の最上層は耐擦過性に優れる紫外線硬化型樹脂が望ましいが、耐光性向上の為に紫外線吸収剤を該層に添加すると紫外線による硬化が阻害されるため、下層に紫外線吸収剤を含む層を設ける構成が挙げられる。
また、保護層を二層以上の多層構成とする場合において、保護層の一つとして透明性樹脂フィルムを用いることもできる。
前記透明性樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系樹脂からなるフィルムが挙げられるが、樹脂強度の点からポリエステル系樹脂からなるフィルムが好適に用いられる。
前記透明性樹脂フィルムを用いる場合は、可逆熱変色層に形成された像の視認性を妨げず、且つ、液状体による浸透、膨潤、白化を防ぎ高耐久性を付与できる。
冷熱液状体を収容した冷熱変色装置を用いる場合、凝固点、蒸気圧、表面張力の各物性を考慮のうえ、使用環境に適した媒体を選択して使用する。
前記冷熱液状体の凝固点は、前記可逆熱変色性材料の完全発色温度tで液状である必要があり、冷熱液状体の凝固点(G)と温度tは下記式(1)を満たすことがより好ましく、像を短時間で消去できる。
G<t−20 (1)
また、前記冷熱液状体は像を消去した後に常温下で速やかに揮発することが好ましく、蒸気圧が水より高い液状体が好適に用いられる。
更に、可逆熱変色性表示体に対する冷熱液状体の浸透性が高いと、保護層と可逆熱変色層に損傷を与え易くなるため、冷熱液状体の表面張力は20mN/m(20℃)以上であることが好ましい。
以下の表に代表的な冷熱液状体とその凝固点、蒸気圧、表面張力を示す。
Figure 2010261728
表に記載された液状体の凝固点、蒸気圧、表面張力から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類が冷却性と乾燥性を共に満足させ本発明の冷熱液状体として好ましい。
また、前記冷熱液状体は一種、又は二種以上を適宜混合して使用することもでき、その際には前記した一価アルコール類を主成分として70質量%以上含有する液状体が好適である。
更には、エチルアルコールを主成分として含有量が70〜89質量%の範囲で且つ労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則(以下、有機則と記す)該当54種の有機溶剤含有量が5%未満である混合成分の液状体が実用性を満たす。
有機則では54種の有機溶剤類について規定され、これらの有機溶剤類を使用する際には法令による作業環境の整備が義務付けられており、取り扱いに様々な制約がある。これに対し、エチルアルコールは前記54種の有機溶剤に分類されず、また、分類されている溶剤種においても含有量が5%以下であれば有機則の規定を受けない。
また、エチルアルコールを90質量%以上含有する冷熱液状体を用いることもできるが、含有量が90%以上になると酒税法が適用されるため、前記混合成分の液状体が好適である。
前記混合成分の液状体として具体的には、エチルアルコール86質量%、メチルアルコール4質量%、n−プロピルアルコール10質量%からなる液状体を例示できる。
なお、前記一価アルコールを70質量%以上含有する液状体においては、低温下の流動性を妨げない範囲で水を添加することもできる。
以下の表にエチルアルコールと水の混合比率、及び低温下における液状体粘度を示す。
表中の比率は質量%、粘度はmPa・sを示す。
Figure 2010261728
更に、加熱又は冷熱装置に収容した液状体を表示体に接触させて可逆熱変色層を変色させる場合、表示体に付着した液状体の乾燥状態を判別したり、結露の付着を判別するための多孔質層を設けることもできる。
前記多孔質層について説明する。
前記多孔質層は、低屈折率顔料をバインダー樹脂と共に分散状態に固着させた層であり、乾燥状態と吸液状態で透明性が異なる層である。
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、水を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
前記低屈折率顔料はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記多孔質層により、液状体や結露による水分の付着を確認できるため、封入する前に十分な乾燥を視覚的に可能とし、封入体内で液状体や水分が蒸散して表示面を曇らせたり、熱変色機能を損なうことを防止できる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製について以下に説明する。なお、配合例中の部は、質量部を示す。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料aの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料aを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが64℃、ヒステリシス幅(△H)が65℃であり、温度変化により黒色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料bの調製
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン2.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料bを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−18℃、完全消色温度tが64℃、ヒステリシス幅(△H)が70℃であり、温度変化によりピンク色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料cの調製
(イ)成分として1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン3部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料cを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが62℃、ヒステリシス幅(△H)が67℃であり、温度変化により橙色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料dの調製
(イ)成分として3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料dを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが65℃、ヒステリシス幅(△H)が70℃であり、温度変化により青色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料eの調製
(イ)成分として6’−(ジペンチルアミノ)−2’−[(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ]−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’-(9H)キサンテン]−3−オン5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール10部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料eを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが62℃、ヒステリシス幅(△H)が67℃であり、温度変化により暗緑色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料fの調製
(イ)成分として9−エチル(3−メチルブチル)アミノ−スピロ[12H−ベンゾ(a)キサンテン−12,1’(3H)イソベンゾフラン]−3’−オン3部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料fを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−20℃、完全消色温度tが62℃、ヒステリシス幅(△H)が67℃であり、温度変化によりピンク色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料gの調製
(イ)成分として3′,6′−ビス[フェニル(3−メチルフェニル)アミノ]−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン1.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料gを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−18℃、完全消色温度tが62℃、ヒステリシス幅(△H)が65℃であり、温度変化により青色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料hの調製
(イ)成分として7−[2−(アセチルアミノ)−4−(ジエチルアミノ)フェニル]−7−(2−メチル−1−プロピル−1H−インドール−3−イル)フロ[3,4−b]ピリジン−5(7H)−オン1.5部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール8部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料hを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが−18℃、完全消色温度tが62℃、ヒステリシス幅(△H)が65℃であり、温度変化により青緑色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料iの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン3部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロパン−1,1−ジイル)ジフェノール6部、(ハ)成分としてステアリルアルコール30部、ラウリン酸ステアリル20部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料iを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが37℃、完全消色温度tが51℃であり、温度変化により黒色から無色に色変化する。
可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料jの調製
(イ)成分として3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド1部、(ロ)成分として4,4′−(2−メチルプロパン−1,1−ジイル)ジフェノール5部、(ハ)成分としてセチルアルコール5部、ミリスチルアルコール20部、ミリスチン酸デシル25部からなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料jを得た。
前記マイクロカプセル顔料は、完全発色温度tが11℃、完全消色温度tが22℃であり、温度変化により青色から無色に色変化する。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として合成紙上に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料a40部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン52部、増粘剤1部、レベリング剤3部、水4部からなるビヒクル中に分散して得た可逆熱変色性インキを用いて、スクリーン印刷により長方形のベタ柄を印刷して可逆熱変色層を形成して可逆熱変色性表示体(試験試料a)を得た。
前記と同様の方法により、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料b乃至fを用いて可逆熱変色性表示体(試験試料b乃至f)を得た。
光照射試験
前記各試験試料を冷却又は加熱して、可逆熱変色層が着色状態の試料と可逆熱変色層が消色状態の試料をそれぞれ用意し、下記形態(表示体を未封入、表示体を封入)でキセノンチャンバー〔スガ試験機(株)製、XT75L〕を用いて60時間、光照射を行った。
光照射前の各試験試料の可逆熱変色層が発色した状態における反射濃度値と、光照射後の各試験試料の可逆熱変色層が発色した状態における反射濃度値を測定機(グレタグマクベス社製、Spectro Eye)で測定し、着色濃度保持率を下記式により算出した。
着色濃度保持率(%)=(試験後の反射濃度/未試験試料の反射濃度)×100
以下の表に可逆熱変色性表示体の色調、各形態(表示体の可逆熱変色層が着色状態と消色状態でそれぞれ未封入、封入した状態)で光照射した時の試験結果、封入体内部の酸素濃度を示す。
Figure 2010261728
表中の試験試料の形態を以下に記す。
形態1:試験試料をそのまま光照射する。
形態2:試験試料を酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミグリップVP(商品名)、シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合した酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調はピンク色であり、内部の酸素量が0.1%以下であることを示した。
形態3:試験試料上に、紫外線吸収剤を含むポリエステル樹脂製フィルムをラミネート加工し、酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミグリップVP(商品名)、シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合した酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調はピンク色であり、内部の酸素量が0.1%以下であることを示した。
形態4:試験試料を酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミグリップOP(商品名)、二軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムと未延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合せた酸素透過度が1100〜1200ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調は薄紫色であり、内部の酸素量が0.4%であることを示した。
形態5:試験試料を封入体〔(株)生産日本社製、ユニパック(商品名)、酸素透過度が3000〜5000ml/m・day・atmのポリエチレン樹脂製単層フィルムからなる袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調は青色であり、内部の酸素量が0.5%を越えることを示した。
表中の着色濃度保持率の評価の記号について以下に説明する。
A:濃度保持率が81〜100%の範囲にある。
B:濃度保持率が61〜80%の範囲にある。
C:濃度保持率が41〜60%の範囲にある。
D:濃度保持率が21〜40%の範囲にある。
E:濃度保持率が0〜20%の範囲にある。
前記試験結果より、試験試料に直接光照射した系と比較して、内部酸素濃度が0.5%以下の酸素低透過性封入体中に試験試料を封入して光照射した系は表示体の耐光堅牢性が大幅に向上している。
前記形態2乃至4の構成で試験した封入体から試験試料を取り出し、新たに作成した試験試料を入れて脱気した後に封入し、前記と同様の光照射試験を行った結果、同様の着色濃度保持率を示した。
前記試験試料a、c、d、eを冷却又は加熱して、可逆熱変色層が着色状態の試料と可逆熱変色層が消色状態の試料をそれぞれ用意し、下記形態(表示体を未封入、表示体を封入)でキセノンチャンバー〔スガ試験機(株)製、XT75L〕を用いて60時間、光照射を行った。
光照射前の各試験試料の可逆熱変色層が消色した状態における反射濃度値と、光照射後の各試験試料の可逆熱変色層が消色した状態における反射濃度値を測定機(グレタグマクベス社製、Spectro Eye)で測定し、残色増加率を下記式により算出した。
残色増加率(%)=(試験後の反射濃度/未試験試料の反射濃度)×100
以下の表に可逆熱変色性表示体の色調、各形態(表示体の可逆熱変色層が着色状態と消色状態でそれぞれ未封入、封入した状態)で光照射した時の試験結果、封入体内部の酸素濃度を示す。
Figure 2010261728
形態1:試験試料をそのまま光照射する。
形態2:試験試料上に、紫外線吸収剤を含むポリエステル樹脂製フィルムをラミネート加工し、酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミグリップVP(商品名)、シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合した酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプにて内部脱気後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調はピンク色であり、内部の酸素量が0.1%以下であることを示した。
表中の濃度増加率の評価の記号について以下に説明する。
A:残色増加率が100%以下。
B:残色増加率が101〜150%の範囲にある。
C:残色増加率が151〜200%の範囲にある。
D:残色増加率が201〜300%の範囲にある。
E:残色増加率が301%以上。
前記試験結果より、試験試料に直接光照射する系と比較して、内部酸素濃度が0.1%以下であり、上層に紫外線吸収層を設けた酸素低透過性封入体中に試験試料を封入して光照射する系は光に曝されても可逆熱変色層の残色(褐変)がなく、表示体の耐光堅牢性が大幅に向上している。
前記形態2の構成で試験した封入体から試験試料を取り出し、新たに作成した試験試料を入れて脱気した後に封入し、前記と同様の光照射試験を行った結果、可逆熱変色層の残色がなく同様の残色増加率を示した。
可逆熱変色性表示体の作製
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料e34部、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料f6部をウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
次に、支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(54mm×86mm、厚み188μm)上に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を順次設けて可逆熱変色性表示体を得た。
前記可逆熱変色性表示体にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用してアルファベット(A、B、C)を印字し、下記形態(表示体を未封入、表示体を封入)でキセノンチャンバー〔スガ試験機(株)製、XT75L〕を用いて20時間、光照射を行った。
次いで、可逆熱変色性表示体を冷却して可逆熱変色層を完全に着色させて退色と褐変の有無を目視により観察した。
更に、前記可逆熱変色性表示体を加温して可逆熱変色層を完全に消色させて褐変の有無を目視により観察した。
以下の表に表示体を各形態(可逆熱変色層が着色状態と消色状態でそれぞれ未封入、封入した状態)で光照射した時の試験結果、封入体内部の酸素濃度を示す。
Figure 2010261728
表中の試験試料の形態を以下に記す。
形態1:試験試料をそのまま光照射する。
形態2:試験試料を酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミグリップVP(商品名)、シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合した酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調はピンク色であり、内部の酸素量が0.1%以下であることを示した。
形態3:試験試料を酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミグリップKP(商品名)、塩化ビニリデン樹脂コートを施した二軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムと未延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合した酸素透過度が9.4〜13.0ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調はピンク色であり、内部の酸素量が0.1%以下であることを示した。
形態4:試験試料を酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミジップLZ(商品名)、ナイロン樹脂製フィルムと未延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合せた酸素透過度が59.0〜65.0ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調はピンク色であり、内部の酸素量が0.1%以下であることを示した。
形態5:試験試料を酸素低透過性封入体〔(株)生産日本社製、ラミグリップOP(商品名)、二軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムと未延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムを貼合せた酸素透過度が1100〜1200ml/m・day・atmの袋〕内に酸素検知剤〔三菱ガス化学(株)製、エージレスアイ(商品名)〕と共に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気した後に封入し、1日後に光照射する。
酸素検知剤の色調は薄紫色であり、内部の酸素量が0.4%であることを示した。
可逆熱変色層が完全に着色した状態と、完全に消色した状態における退色と褐変の評価の記号に関する説明は以下の通り。
◎:光照射前の試料と比較して差はみられない。
○:光照射前の試料と比較して殆ど差はみられない。
△:光照射前の試料と比較してやや退色と褐変がみられる。
▲:光照射前の試料と比較して退色と褐変がみられる。
×:光照射前の試料と比較して著しい退色と褐変がみられる。
前記試験結果より、内部酸素濃度が0.4%以下の酸素低透過性封入体中に試験試料を封入して光照射する系は、そのまま光照射する系及び試験試料を内部酸素濃度が高い封入体に封入した系と比較して、光照射後の可逆熱変色層が完全に着色した状態或いは完全に消色した状態で退色や褐変がなく、十分な可逆熱変色機能を有している。
前記形態2乃至4の構成で試験した封入体から試験試料を取り出し、新たに作成した試験試料を入れて脱気した後に封入し、前記と同様の試験を行った結果、可逆熱変色層の退色や褐変がなく、同様の可逆熱変色機能を有していた。
実施例1
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(54mm×86mm、厚み188μm)上に、前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にアミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を設けて可逆熱変色性表示体(POPシート)を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の開口部には、雄雌咬合型チャックを設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用してスーパーマーケットで販売される商品名と価格を印字し、次いで、酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入し、封入式可逆熱変色性表示体を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、黒色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、庫内を−30℃に冷却した冷熱装置(フリーザー)の適用により可逆熱変色層を発色させた後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素低透過性封入体に入れ真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
実施例2
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料a40部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(54mm×86mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を順次設けて可逆熱変色性表示体(カード)を得た。
酸素低透過性封入体の作製
塩化ビニリデン樹脂コートを施した二軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムと未延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が9.4〜13.0ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の開口部には、雄雌咬合型チャックを設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して会議室の入退場情報を印字し、次いで、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体(会議室管理用カード)を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、黒色の背景に白色の入退場情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状体を収容した冷熱装置の適用により可逆熱変色層を発色させた後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、再度、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
実施例3
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料b25部を、ウレタン樹脂エマルジョン65部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散してピンク色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(45mm×45mm、厚み25μm)表面に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を順次設けて可逆熱変色性表示体(ラベル)を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の背面には接着剤を塗布して粘着層を設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して診療科と担当医の情報を印字し、次いで、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入し、ICチップを封入した白色ポリエステル樹脂からなるICカード(厚み750μm)表面に貼着して封入式可逆熱変色性表示体(診察券)として実用に供した。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、ピンク色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体をICカードから取り外し、酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出した後、エチルアルコールを−40℃に冷却した冷熱液状体を収容した冷熱装置の適用により可逆熱変色層を発色させた。
その後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入し、ICカードに貼着して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記表示体の冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.7(Ma=5.46、Mb=5.53)であり、耐久性に優れていた。
実施例4
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料b10部、c30部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して赤色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(85mm×200mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を順次設けて可逆熱変色性表示体(シート)を得た。
酸素低透過性封入体の作製
ナイロン樹脂製フィルムとポリエチレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が59〜65ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の開口部には、雄雌咬合型チャックを設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して工場ライン内の流通情報を印字し、次いで、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体(情報表示シート)を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は赤色の背景に白色の工場ライン流通情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体を収容した冷熱装置の適用により可逆熱変色層を発色させた後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料b、cの完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示シートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は99.3(Ma=5.75、Mb=5.79)であり、耐久性に優れていた。
実施例5
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料c20部を、アクリル樹脂エマルジョン70部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して橙色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(210mm×297mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み18μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み10μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み10μm)を順次設けて可逆熱変色性表示体(POPシート)を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合した酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状体表面に、紫外線吸収剤を含むポリエステル製樹脂フィルムを積層して酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の開口部には、雄雌咬合型チャックを設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体にサーマルヘッドを備えたプリンターを使用してスーパーマーケットで販売される商品名と価格を印字し、次いで、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、橙色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体の適用により可逆熱変色層を発色させた後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示シートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.0(Ma=3.84、Mb=3.92)であり、耐久性に優れていた。
実施例6
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料d30部、非熱変色性蛍光ピンク顔料5部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して紫色からピンク色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(85mm×200mm、厚み125μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み10μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み10μm)を順次設けてシートを得た。
その後、前記シートとICチップを備えた白色ポリエステルシート(厚み125μm)とを貼合して可逆熱変色性表示体(ICシート)を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の背面には、接着剤を塗布して粘着層を設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記可逆熱変色性表示体に、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用して工場ライン内の流通情報を印字し、次いで、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体(情報表示ICシート)を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、紫色の背景にピンク色の工場ライン流通情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体の適用により可逆熱変色層を発色させた後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示ICシートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は98.9(Ma=3.50、Mb=3.54)であり、耐久性に優れていた。
実施例7
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料e34部、f6部を、ウレタン樹脂エマルジョン50部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(96mm×36.5mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂、及び、雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性銀色金属光沢顔料を含む金属光沢保護層A(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層B(厚み20μm)を順次設けて銀色から無色に変色する可逆熱変色性表示体(シート)を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の開口部には、雄雌咬合型チャックを設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記可逆熱変色性表示体に、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用してスーパーマーケットで販売する商品名と価格を印字し、次いで、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体(棚札)を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が容易に確認でき、また乾燥剤により酸素吸収材から発生する水蒸気の蒸散を防止できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、銀色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体の適用により可逆熱変色層を発色させた後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記情報表示ICシートの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は97.5(Ma=4.25、Mb=4.36)であり、耐久性に優れていた。
実施例8
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料f25部を、ウレタン樹脂エマルジョン65部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散してピンク色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
変色性インキの調製
湿式法珪酸15部、ウレタン樹脂エマルジョン30部、水50部、消泡剤0.5部、増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合して、吸液により透明度が変化する変色性インキを得た。
可逆変色性表示体の作製
支持体として内部にICチップを封入した白色ポリエステル樹脂製板(54mm×86mm、厚み750μm)表面に前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層(40mm×40mm、厚み20μm)を設け、更にその上層にウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を順次設けた。
次いで、支持体上の各層が形成されていない箇所に非変色性赤色インキを用いて正方形(10mm×10mm)の着色層を設け、その上層に前記変色性インキを用いて多孔質層を設けて可逆変色性表示体を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の開口部には、雄雌咬合型チャックを設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記可逆熱変色性表示体に、サーマルヘッドを備えたプリンターを使用してビデオの貸し出し状況を印字し、次いで、酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体(ビデオレンタル用ICカード)を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、ピンク色の背景に白色の印字情報が明瞭に視認され、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、エチルアルコール(88%)、イソプロピルアルコール(4%)、n−プロピルアルコール(8%)からなる−40℃に冷却した冷熱液状体の適用により可逆熱変色層を発色させた。
この際、前記多孔質層は冷熱液状体を吸液して透明化するため、着色層による赤色が視認され、可逆熱変色性表示体が結露等で非乾燥状態であることを判別できた。
次に、前記多孔質層が白色となり、可逆熱変色性表示体表面が乾燥状態であることを確認した後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
なお、前記冷熱液状体の凝固点(G)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全着色温度(t)に対し20℃以上低く、−40℃に冷却して用いる場合でも流動性を保ち良好な冷熱媒体として機能した。
また、前記ビデオレンタル用ICカードの冷熱液状体に対する耐性指数(M)は99.3(Mb=5.75、Ma=5.79)であり、耐久性に優れていた。
実施例9
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料g14部、h6部、非熱変色性黄色顔料0.6部を、アクリル樹脂エマルジョン70部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して緑色から黄色に変色する可逆熱変色性インキAを得た。
前記マイクロカプセル顔料g20部を、アクリル樹脂エマルジョン70部、消泡剤2部、増粘剤1部からなるビヒクル中に分散して青色から無色に変色する可逆熱変色性インキBを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステル樹脂製フィルム(128mm×182mm、厚み188μm)表面に、透明ウレタン樹脂を含むアンカーコート層(厚さ1μm)を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキAを用いて可逆熱変色層(厚み20μm)、ウレタン樹脂、ベンゾトリアゾール骨格を有するアクリル共重合樹脂からなる紫外線吸収層(厚み15μm)、アミン変性エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマーの紫外線硬化型樹脂からなる保護層(厚み20μm)を順次設けて可逆熱変色性表示体Aを得た。
次に前記可逆熱変色性インキBを用いて、前記と同様の方法で可逆熱変色性表示体Bを得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の開口部には、雄雌咬合型チャックを設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体A、Bにサーマルヘッドを備えたプリンターを使用して展示会場の案内情報を各々印字し、次いで、酸素検知剤と共に前記表示体A、Bの裏面(非情報表示面)が背中合わせになるように酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体(両面案内表示板)を得た。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、一方の面は緑色の背景に黄色の案内情報が、他方の面は青色の背景に白色の案内情報がそれぞれ明瞭に視認され、どの方向からも案内情報を確認することができた。
また、冬場の低温環境下(0℃)、及び夏場の高温環境下(38℃)の何れにおいても前記印字情報を保持することができ、しかも、光照射しても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
次いで、前記封入式可逆熱変色性表示体の酸素低透過性封入体を開封して可逆熱変色性表示体を取り出し、庫内を−30℃に冷却した冷熱装置(フリーザー)の適用により可逆熱変色層を発色させた後、サーマルヘッドを備えた加熱装置を用いて新たな像を形成し、改めて酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプにて内部を脱気し、窒素ガスで置換した後に封入して新たな封入式可逆熱変色性表示体として使用することができた。
実施例10
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料i40部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン52部、増粘剤1部、レベリング剤3部、水4部からなるビヒクル中に分散して黒色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として合成紙(50mm×50mm、厚み200μm)表面に、非変色性赤色インキを用いて「危険」の文字を印刷して着色像を設け、その上層に前記可逆熱変色性インキを用いて円形(直径30mm)のベタ柄を印刷し、次いで、紫外線吸収剤を含む透明ポリエステル樹脂製フィルムを全面にラミネートして可逆熱変色性表示体を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の背面には、接着剤を塗布して粘着層を設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体を酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気し、窒素ガスに置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体とし、配管に貼着して高温危険表示ラベルとして実用に供した。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が目視で0.3%になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、配管中に40℃以下の水が流れている時は黒色ベタ柄が視認されるが、51℃を超える温水、或いは、高温の蒸気が配管内に流れると可逆熱変色層が消色し、着色像による赤色の「危険」の文字が視認された。
前記様相は繰り返し行なうことができた。
また、前記封入式可逆熱変色性表示体は、繰り返し光に曝されても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、更に可逆熱変色層が消色した箇所の褐変も見られず、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
実施例11
可逆熱変色性インキの調製
前記マイクロカプセル顔料j40部をエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン52部、増粘剤1部、レベリング剤3部、水4部からなるビヒクル中に分散して青色から無色に変色する可逆熱変色性インキを得た。
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として合成紙(50mm×50mm、厚み200μm)表面に、前記可逆熱変色性インキを用いて「冷蔵中」の文字を印刷して可逆熱変色層を設け、更に紫外線吸収剤を含む透明ポリエステル樹脂製フィルムを全面にラミネートして可逆熱変色性表示体を得た。
酸素低透過性封入体の作製
シリカを蒸着した二軸延伸ポリエステル樹脂製フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムからなる複合フィルムを貼合して酸素透過度が3.4〜3.7ml/m・day・atmの袋状酸素低透過性封入体を作製した。
なお、前記酸素低透過性封入体の背面には、接着剤を塗布して粘着層を設けてなる。
封入式可逆熱変色性表示体の作成
前記表示体を酸素検知剤と共に酸素低透過性封入体に入れ、真空ポンプを用いて封入体内部を脱気し、窒素ガスに置換した後に封入して封入式可逆熱変色性表示体とし、冷蔵庫内の外部から内部状態が視認できる透明性ガラス扉近傍に貼着して冷蔵庫用ラベルとして実用に供した。
前記封入式可逆熱変色性表示体では、封入した酸素検知剤により封入体内の酸素濃度が0.1%未満になっていることが容易に確認できた。
前記封入式可逆熱変色性表示体は、冷蔵庫内が設定温度の10℃以下である時は青色の「冷蔵中」の文字が視認され、故障等で冷蔵庫内が23℃以上になると可逆熱変色層が消色して非冷蔵状態であることが視認される。
前記様相は繰り返し行なうことができた。
また、前記封入式可逆熱変色性表示体は、繰り返し光に曝されても可逆熱変色層が発色した箇所の色濃度の低下を生じることなく、更に可逆熱変色層が消色した箇所の褐変も見られず、永続して初期の熱変色機能を発現させることができた。
比較例1
前記実施例10の封入体から脱気及び窒素ガス置換する工程を除いて配管へ貼着して実用に供した。
封入した可逆熱変色性表示体は、初期は所定の熱変色機能を示したが、封入体内部に0.5%を超える酸素が残存しているため、着色状態で繰り返し光に曝されると着色濃度が低下し、消色しても褐変が激しく「危険」の文字が視認し難くなった。
また、消色状態で繰り返し光に曝されても同様に着色濃度が低下し、褐変が発生するため、実用性を満たしていなかった。
比較例2
前記実施例11の酸素低透過性封入体を、酸素透過度が3000〜5000ml/m・day・atmのポリエチレン樹脂製単層フィルムからなる袋に替えた以外は同様の方法により封入体を作製して冷蔵庫内へ貼着し実用に供した。
封入した可逆熱変色性表示体は、可逆熱変色層が着色状態で繰り返し光に曝されても着色濃度の低下は見られなかったが、酸素透過度が高い樹脂フィルム内に封入したため、短時間で封入体内部の酸素濃度が0.5%を越えた状態になり、可逆熱変色層が消色状態で繰り返し光に曝されると酸素の影響により著しく着色濃度が低下し、「冷蔵中」の文字が視認し難くなり実用性を満たしていなかった。
加熱消色型の色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の完全発色温度
加熱消色型の色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱消色型の色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱消色型の色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 封入式可逆熱変色性表示体
2 可逆熱変色性表示体
21 支持体
22 可逆熱変色層
3 酸素低透過性封入体

Claims (11)

  1. 支持体上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた可逆熱変色性表示体を、少なくとも表示面が透明性を有する酸素低透過性封入体に封入してなり、前記封入体内の酸素濃度が0.5%以下である封入式可逆熱変色性表示体。
  2. 前記可逆熱変色性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であり、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して第1色相と第2色相間の互変性を呈し、第1色相にあって温度が上昇する過程では、温度tに達すると、第1色相は変色し始め、温度tより高い温度t以上の温度域で完全に第2色相となり、第2色相状態にあって温度が下降する過程では、前記温度tより低い温度tに達すると、第2色相は変色し始め、温度tより低い温度t以下の温度域で完全に第1色相となり、前記温度tと温度tの間の温度域で第1色相或いは第2色相が保持されるヒステリシス特性を示し、温度tは0℃以下の温度であり、温度tが50℃以上の温度である請求項1記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  3. 色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色する請求項2記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  4. 前記酸素低透過性封入体の酸素透過度が70ml/m・day・atm以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  5. 前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層中又は酸素低透過性封入体中に紫外線吸収剤を含有してなる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  6. 前記可逆熱変色性表示体の可逆熱変色層上又は酸素低透過性封入体表面に紫外線吸収剤を含む層を設けてなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  7. 前記酸素低透過性封入体の開口部に雄雌咬合型チャックを設けてなる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  8. 前記可逆熱変色性表示体は、表面に低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  9. 前記酸素低透過性封入体中に、複数の可逆熱変色性表示体を封入してなる請求項1乃至8のいずれか一項に記載の封入式可逆熱変色性表示体。
  10. 支持体上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた可逆熱変色性表示体を、少なくとも表示面が透明性を有する酸素低透過性封入体に封入し、真空脱気及び/又は不活性ガス置換により封入体内の酸素濃度を0.5%以下にする封入式可逆熱変色性表示体の製造方法。
  11. 支持体上に、少なくとも(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けた可逆熱変色性表示体を、酸素濃度が0.5%以下の空間で少なくとも表示面が透明性を有する酸素低透過性封入体に封入し、封入体内の酸素濃度を0.5%以下にする封入式可逆熱変色性表示体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015045799A1 (ja) * 2013-09-27 2015-04-02 東洋紡株式会社 熱履歴表示材

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