JP2010258327A - 逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置 - Google Patents

逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】逆阻止能力を有し、低オン抵抗で高速スイッチング特性を有する素子を提供すること。
【解決手段】シリコン基板101と、シリコン基板101上に形成されたバッファ層102,103と、バッファ層102、103上に形成された窒化ガリウム半導体層104と、シリコン基板101の裏面からシリコン基板101ならびにバッファ層102、103を貫通して窒化ガリウム半導体層104に達する深さで形成されたトレンチ溝112と、このトレンチ溝112の中に形成された金属膜113と、を備え、金属膜113と窒化ガリウム半導体層104とがショットキー接合を形成する逆耐圧を有する窒化ガリウム半導体装置とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、大電流、高電圧を制御するパワー半導体装置であって、ドレイン・ソース間の電圧が逆方向に印加されても、所定の耐圧を維持できるパワー半導体装置に関する。
従来、交流から任意の電圧と周波数の交流を発生させモーターを駆動し、電力変換する装置として、図13(a)にあるようなインバーターが用いられている。最近、これと異なるタイプのマトリックスコンバータと呼ばれる図13(b)のような構成で、交流から直接交流へと変換するような装置が開発されている。マトリックスコンバータは、インバーターがいったん交流から直流の中間電圧をつくってから、さらに交流に変換するのに対して、直接交流から交流を作るために、その電力変換効率が高く、さらに直流を使わないことから中間に入るコンデンサーを必要としない。通常のインバーターではこのコンデンサーに電解コンデンサーを使用しており、その寿命が装置の寿命を決めるなど、以前から課題となっていた。さらに、電力を双方向に送るのに最適な構成であり、昨今の省エネルギーへの要請から電力回生技術が多く取り入れられるようになってきているが、基本的には電力回生が容易にできる装置となっている。また、マトリックスコンバータは複雑な制御を必要とするが、最近ではマイコンが著しく発展して、短時間に複雑な制御が可能になったことから、マトリックスコンバータへの期待が高まっている。
このような電力変換装置において使用されるパワーデバイスは、図13(b)で示す、双方向に電流を流すことの可能な双方向スイッチ30である。このようなパワーデバイスは単体では構成することはできないが、図14(a)にあるように、2個のダイオード31、2個のトランジスタ32によって構成可能である。このとき、ダイオード31はトランジスタ32に逆方向耐圧が印加されたときに、耐圧を維持するようにと付加されたものである。これは、図14(a)において、トランジスタ32はIGBTを想定しているが、通常のIGBTをはじめとするパワーデバイスは、逆方向の耐圧を保障することはできないからである。最近、これを改善する手段として、新しいタイプのパワーデバイスが開発されている。これは逆阻止IGBTと呼ばれるもので、デバイス単体で逆方向の耐圧があり、電気的特性としては図15のような特性を持っている(非特許文献1、非特許文献2)。すなわち、順方向(図の第一象限)では通常のIGBTと同じ動作をし、逆方向(図の第3象限)では、順方向と同じ程度の耐圧を維持する。これまでの報告では600V、1200V対応の素子が製造されている。またそれぞれ、シリコンの厚さは100μm、200μm程度である。逆阻止IGBTを用いると、図14(b)のように、2個の半導体スイッチ33で双方向スイッチが構成できるので、素子数が少なくなるため、電力損失が小さくなって、かつ全体のサイズが小さくなるというメリットが生じる。このことから、低コストでコンパクトなマトリックスコンバータを提供することが可能となる。
このような逆阻止IGBTのデバイス構造は図16に示されている。基本的には主電流を流す部分の構造は従来のIGBTと同じである。エミッタ端子1は、ベース領域7およびエミッタ領域8に電気的に接続され、ゲート端子2は、エミッタ領域8とドリフト領域4との間のベース領域7の表面上に絶縁膜9を介して形成されているゲート電極10に電気的に接続されている。コレクタ端子3は、半導体チップ裏面に形成されたコレクタ領域34にコレクタ電極12を介して電気的に接続されている。半導体チップ側面にP型の保護領域5が設けられ、保護領域5に隣接してP型の領域6が設けられている。保護領域5を設けることにより、側面にPN接合が露出する部分を排除して、デバイスの活性領域をPN接合で包み込むような構造となっている。このため、コレクタ側のPN接合に逆バイアスが印加された場合、空乏層は図中14のように広がり、空乏層14が半導体外部に現れるところは、デバイス表面側となる。この部分にはガードリングなどの耐圧構造を維持するための構造を作りこむことで、全体として耐圧を維持することが可能である。
窒化ガリウム(GaN)半導体は、そのエネルギーギャップが3eV以上と高く、青色LED(発光ダイオード)やLD(レーザーダイオード)などの光デバイス開発が行われていた。しかしながらここ数年、破壊電界が高く最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいという特徴から、低オン抵抗で高速スイッチングが可能なパワーデバイスへの研究開発が行われるようになってきた。いままで、GaN材料を使ったスイッチングデバイスとして、サファイア基板上にGaNを成長させたHEMT(High Electron Mobility Transistor)が一般に知られている。この素子は高移動度特性を有しているためオン抵抗が極めて小さくなるという特徴を有しているが、絶縁体であるサファイア基板を用いているため、電流取り出し電極を表面に設置する必要があり、特許文献1にあるように必然的に横型デバイス構造となる。
そのため高耐圧化は可能であるが、(1)電流が素子表面近傍のみに流れやすく不均一な電流分布になる、(2)また表面電極の配線抵抗分が大きくなる、などの理由から大電流を流すことができずパワーデバイスとしては不向きな構造であるという欠点があった。つまりパワーデバイスには、電流取り出し電極が表面と裏面に設置され、電流が素子内を縦方向に均一に流れる縦型構造が適している。そのため、例えばGaN基板上にGaNを成長させ、そこにHEMT構造作り込んだ縦型HEMT素子の検討も非特許文献3に示されている。
しかしながら、GaN基板は極めて高価であり、かつウェハの大口径化に難点があるため、量産化には極めて不向きであるという欠点がある。そこで、安価でかつ大口径化が可能なシリコン基板上にGaNを成長させた基板を用いて半導体素子を開発するという試みが多数なされている。これができれば現状シリコンパワー半導体と同様の量産性を有する高性能半導体が可能となるのである。しかしながらシリコンとGaNでは結晶格子定数が異なるためそのままシリコン基板上にGaNを成長させると、GaN結晶内に結晶欠陥が発生しその界面からGaN結晶に転位が入ってしまい、それが原因で素子OFF状態においてもれ電流が多く発生するなど、電子デバイスとしての不都合が生じてしまう。そのため、AlN層をはじめとするバッファ層をシリコンとGaN層の間に設けることでGaN層の結晶性を向上させる方法が知られている(特許文献2、特許文献3)。
しかしながら、AlN層などのバッファ層のバンドギャップが極めて高く(6.2eV),そのため抵抗が高くなり、その結果縦方向に電流を流す場合、AlN層での電流がほとんど流れず素子全体の抵抗が極めて大きくなってしまうという課題があった。
さらに、シリコン半導体基板にトレンチをあらかじめ形成した後にN-GaN層を形成する製造方法について特許文献4に開示されている。この文献では、金属領域がトレンチを形成された下層内に形成され窒化ガリウム層と接触している構成が開示されている。しかしながら、具体的なデバイス構造および窒化ガリウム層と金属領域との接合については、開示されていない。
また、シリコンなどからなる基板の上に、バッファ層を介して高不純物濃度の窒化ガリウム層と低不純物濃度の窒化ガリウム層を順次エピタキシャル成長させ、基板裏面から高不純物濃度の窒化ガリウム層に達するトレンチを形成し、トレンチ内に導電体を埋め込む窒化ガリウムMOSFETについて、特許文献5(図7)に記載されている。しかし、この文献に記載されている窒化ガリウムMOSFETは、高濃度の窒化ガリウム層を有し、基板裏面から形成されるトレンチが、この高濃度の窒化ガリウム層で留まるもので、逆耐圧を有するMOSFETではない。
また、コレクタ層を突き抜けドリフト層に達するトレンチを基板裏面から形成し、トレンチ内で導電体を埋めて、この導電体とドリフト層とがショットキー接触する、シリコンを用いたIGBTが特許文献6に記載されている。しかしながら、この文献には、MISFETについては記載されていない。
特開2004−31896号公報 特開2003−60212号公報 特開平5−343741号公報 特開2006−165191号公報 特開2009−54659号公報 米国特許第7132321号明細書
H.タカハシ(H.Takahashi)、外2名、「1200V クラス リバース ブロッキング IGBT(RB−IGBT)フォ AC マトリックス コンバータ(1200V class Reverse Blocking IGBT (RB−IGBT) for AC Matrix Converter)」、 プロシーディング オブ 2004 インターナショナル シンポジウム オン パワー セミコンダクタ デバイスズ & アイシーズ(Proceedings of 2004 International Symposium on Power Semiconductor Devices & ICs)、2004年5月24日、 p.121−124 T.ナイトウ (T.Naito)、 外2名、 「1200V リバース ブロッキング IGBT ウィズ ロー ロス フォ マトリックス コンバータ(1200V Reverse Blocking IGBT with low loss for Matrix Converter)」、プロシーディング オブ 2004 インターナショナル シンポジウム オン パワー セミコンダクタ デバイスズ & アイシーズ(Proceedings of 2004 International Symposium on Power Semiconductor Devices & ICs)、2004年5月24日、 p.125−128 兼近将一、外8名、「絶縁ゲートAlGaN/GaN−HFETの縦型動作」、電気学会研究会、EDD−06−104、 2006年
まず本発明の目的は、大口径化が可能で安価な基板上にバッファ層を設け、その上に窒化ガリウム半導体層を成長させた基板を用い、前記成長基板およびバッファ層の抵抗に関係なく、パワーデバイスとして十分な電流を流せる、高信頼性を有する縦型素子が容易に作成可能な素子構造を提供することにある。さらに、これに逆阻止能力を有するようにすることで、マトリックスコンバータなどにも適用可能な低オン抵抗で高速スイッチング特性を有する素子を提供することにある。しかしながら、以下に示す課題がある。
第一に、従来、逆阻止能力をもつ単体素子として逆阻止IGBTがよく知られているが、これはシリコンによって作成されている。当然ながら素子耐圧が高くなってくると、シリコン自身の抵抗が大きくなることから、全体の効率が低下し、またデバイスサイズも非常に大きくなって、実用性が損なわれる。
第二に、逆方向耐圧を実現するために、100μm〜200μm程度の深いP+層の拡散が必要であるため、百時間以上の拡散が必要で結晶内に欠陥が生じやすく、また素子作成のリードタイムが極めて長く効率が悪い。
第三に、窒化ガリウム(以下GaN)などのいわゆるワイドバンドギャップ材料を用いるパワーデバイスが開発されているが、これらの材料においては、PN接合のビルトイン電圧が3V程度と極めて大きいことから、これらの材料でIGBTを構成すると順方向電圧が大きくなり損失が増大してしまう。
第四に、逆阻止IGBTにおいては、フリーホイーリングダイオード(FWD)としての動作も要求される。したがって、IGBTとしての最適なデバイス構造とダイオードとしての最適な構造をひとつの構造で実現する必要がある。現在の最先端IGBTであるFS−IGBT構造においては、順方向に耐圧が印加された場合の空乏層ストッパーであるn型高濃度層、いわゆるフィールドストップ層(FS層)が必要であるが、この層があると逆阻止能力を持たせることができないため、現在の逆阻止IGBTはN型高濃度層を設けないで、しかたなくベース層を厚く設定している。そのため、IGBTもダイオードもそのドリフト層が厚くなり、スイッチング特性やオン電圧がそれぞれ最適化されたIGBTならびにFWDデバイスよりも悪化するという課題がある。
前記の目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1記載の発明によれば、半導体基板と、前記半導体基板と該半導体基板に成長させる窒化ガリウム半導体層との間の結晶構造変換ならびに結晶品質改善のために前記半導体基板の一面上に設けられるバッファ層と、前記バッファ層上に設けられた窒化ガリウム半導体層と、前記半導体基板の他面から前記窒化ガリウム半導体層に到達する複数のトレンチ溝と、該トレンチ溝内に露出する前記窒化ガリウム半導体層と接触して形成された導電物と、を備え、前記トレンチ溝内の導電物と窒化ガリウム半導体層とがショットキー接合を形成している逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置とする。
また、特許請求の範囲の請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、前記基板の他面から形成されたトレンチ溝が素子端部にも形成されており、そこに絶縁体が充填されていることとする。
また、特許請求の範囲の請求項3記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明において、前記半導体基板がシリコンであることとする。
また、特許請求の範囲の請求項4記載の発明によれば、絶縁体基板と、前記絶縁体基板と該絶縁体基板に成長させる窒化ガリウム半導体層との間の結晶構造変換ならびに結晶品質改善のために前記絶縁体基板の一面上に設けられるバッファ層と、前記バッファ層上に設けられた窒化ガリウム半導体層と、前記絶縁体基板の他面から前記窒化ガリウム半導体層に到達する複数のトレンチ溝と、該トレンチ溝内に露出する前記窒化ガリウム半導体層と接触して形成された導電物と、を備え、前記トレンチ溝内の導電物と窒化ガリウム半導体層とがショットキー接合を形成している逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置とする。
また、特許請求の範囲の請求項5記載の発明によれば、請求項4に記載の発明において、前記絶縁体基板の他面から形成されたトレンチ溝が素子端部には形成されていないこととする。
また、特許請求の範囲の請求項6記載の発明によれば、請求項4または5に記載の発明において、前記絶縁体基板がサファイアであることとする。
また、特許請求の範囲の請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、縦型窒化ガリウム半導体装置が、MOSFET、もしくはMISFETであることとする。
この発明によれば、高抵抗層であるバッファ層ならびにシリコン基板またはサファイア等の絶縁基板の抵抗に関係なく、電流はトレンチ溝内に形成された導電物を流れることとなり、大電流が導通可能で低オン抵抗・高速スイッチング特性を有する縦型素子が完成する。さらに、窒化ガリウム層とトレンチ内金属層の間で形成されるショットキー接合と半導体基板の場合には素子端部に絶縁膜を充填されたトレンチ溝によりもれ電流が少なく逆阻止能力を有することができる。
本発明第1実施形態のGaN−MOSFETの概略断面図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET製造工程の概略断面図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET製造工程の概略断面図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET製造工程の概略断面図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET製造工程の概略断面図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET素子端部の概略断面図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET素子平面概略図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET素子の耐圧波形を示す図である。 本発明第1実施形態のGaN−MOSFET素子ならびにシリコンIGBT(トレンチFS−IGBTならびにシリコンRB−IGBT)のI−V特性の比較図である。 本発明第1実施にて比較のために用いたシリコントレンチFS−IGBTの活性部の断面図である。 本発明第1実施にて比較のために用いたシリコンRB−IGBTの素子端部ならび活性部の断面図である。 本発明第2実施形態のGaN−MOSFET素子端部の断面図である。 従来の電力変換装置とマトリクスコンバータを示す図である。 双方向スイッチの構成を示す図である。 逆阻止型パワーデバイスの特性を示す図である。 逆阻止型パワーデバイスの断面構造を示す図である。
実施の形態を以下の実施例で説明する。従来構造と同一部位には同一の符号を付した。
以下、本発明の実施の形態について、図1から図11を参照して説明する。なお本実施例では、縦型素子として、耐圧600VのMOSFETを示した。
図1は、本実施例の窒化ガリウムMOSFET装置の概略断面図を示す。この図に示すように、本実施例の窒化ガリウムMOSFETは、シリコン基板101とその上にバッファ層として窒化アルミニウム(AlN)層102とGaN層103が形成され、その上に低濃度N-GaN層104が配置されている。さらにシリコン基板101には裏面から前記N-GaN層104に達するトレンチ溝112が掘られ、その中に導電物として金属膜113が形成されさらに半田層114で充填されている。本実施例では金属膜113はN-GaN層104とショットキー接合をするショットキー電極として機能し、このショットキー電極としてニッケル(Ni)を用い、その後金(Au)をメッキした。
次に、MOSFETの製造方法を説明する。
図2から図5は、本発明第1実施形態のGaN−MOSFET製造工程の概略断面図である。まず、シリコン基板101として主面が(111)面である基板を準備し、この上に、周知の技術である有機金属化学的気相成長法(MOCVD)を用いてAlN層102とノンドープのGaN層103を形成する。シリコン(111)面の格子定数は0.3840nmで、GaNのそれは0.3819nmであり比較的近い値であるため、シリコン(111)面を選択した。シリコン基板101は、直径200mm厚さ500μmであり、その上に形成したAlN層102は15nm、ノンドープのGaN層103は200nmの厚みを持っている。また、AlN層102は結晶構造の変換のために、またGaN層103は結晶の品質改善のための層として形成している。さらに、その上にN-GaN層104μmをエピタキシャル成長させる。不純物濃度は2.1×1016cm-3とした。このとき、ガリウムの材料としてトリメチルガリウムを、また、窒素の材料としてアンモニアガスを用いた。またN型化するために、ドーパント材料としてモノシランを用いた。その上にP-GaN層105μmをエピタキシャル成長させる。不純物濃度は2×1017cm-3とし、ドーパント材としてマグネシウムを用いた。これで、図2に示すように基本的な層構成は完成する。次にP-GaN層105の表面にシリコン酸化膜(SiO2膜)を形成し、パターニンングし、マスク酸化膜120をマスクとしてP+層106を形成する(図3)。前記P+層106は、マグネシウムを加速電圧45keV、不純物濃度3×1018cm-3とした。その後、前記マスク酸化膜(SiO2膜)120を除去し、再度SiO2を選択的に形成してマスク酸化膜121を形成し、N+層107を形成する(図4)。前記N+層107はシリコンならびにアルミニウムを不純物としてイオン注入して形成した。その時の不純物濃度は3×1018cm-3とした。その後、表面から深さ3μmのトレンチ溝108を形成後、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜109を厚さ100nmにて形成する。その後不純物をドープした低抵抗ポリシリコンを埋め込んでゲート電極110を形成する。なお、本実施例ではゲート絶縁膜109としてシリコン酸化膜を用いたが、たとえば窒化シリコン膜等、シリコン酸化膜以外の絶縁膜を用いてても何ら問題もない。また、ソース電極111としてチタンとアルミニウムの積層膜を前記N+層107、P+層106にオーミック接触するように形成する(図5)。次に厚さ500μmあるシリコン基板101を裏面からバックグラインドしトータル厚さ100μmにする。通常シリコン基板は500μm程度と厚いため、本実施例ではその後のトレンチエッチング工程を簡略化するためにバックグラインドをしたが、元の基板が十分薄ければバックグラインド工程を省いても良い。その後、シリコン基板101の裏面に厚さ1.6μmの酸化膜を成長させ、フォトリソグラフおよびエッチングにより6μmおきに6μm幅の酸化膜マスクを形成した後、トレンチエッチングによりシリコン基板101、AlN層102、GaN層103をエッチングにより取り除く。その際、N-GaN層104に達するまで掘ることでトレンチ溝112先端にN-GaN層104が現れる。その後Ni膜とAu膜の2層からなる金属膜113をメッキ法で形成した。このNi膜とN-GaN層104とがショットキー接合を形成し、例えばドレイン電極となる金属膜113に負の電圧を印加する(このとき、ゲート電極110とソース電極111はゼロ電圧とする)と、前記ショットキー接合が印加された逆電圧を保持する。
図6は、本発明第1実施形態のGaN−MOSFET素子端部の概略断面図である。また、図7は、本発明第1実施形態のGaN−MOSFET素子平面概略図であり、1チップ分の平面図である。また、図7は、図6においてトレンチ溝112の途中でトレンチ溝112と垂直方向に切断したものをトレンチ溝112側から見た平面概略図である。なお、素子活性領域702に形成されているトレンチ溝112は、図示されていない。
このように、裏面から形成するトレンチ溝112を素子端部にも形成しそこに絶縁体130を充填する。そうすれば逆電圧を印加した際、素子端部701での電界は前記絶縁体130内で負担することとなる。つまり空乏層がダイシング部の結晶欠陥に直接接触することなく、その結果逆耐圧を保持することができる。ウェハ状態からチップ状態にするダイシング時に、半導体結晶にはダイシングによるダメージによって結晶欠陥が多数存在するため、そこに空乏層がかかるともれ電流が発生し、十分な逆耐圧が得られない。そこで、前記のような構造をとれば、もれ電流を極めて少なく逆耐圧特性を得ることが可能となる。こうすることで縦型の逆阻止型GaN−MOSFETが完成する。なお、本実施例ではメッキ法で金属膜113を形成したが、CVD法、蒸着法、さらにはスパッタ法にて形成してもよい。
その後、ウェハから個別チップにするためにダイシングで切り分けた後、パッケージに組み立てる。その際、チップの裏面とパッケージを半田付けする必要がある。そこで半田シートをチップ裏面に載せ、10Pa(パスカル)に減圧後350℃に過熱して半田層114を前記トレンチ溝112内に埋め込むように形成した。これにより、半田層114にボイドが形成されずに均一な導電体層が形成された。なお、トレンチ溝112を半田層114により埋めた後で、ウェハをダイシングによりチップに切り分けてもよい。この場合、ダイシング時にウェハにクラックが入ることを抑制できる。また、形成条件としては、上記では、10Paとしたが30Pa以下の減圧雰囲気下で形成できる。
図8、9は上記実施例に基づいて作成した逆阻止型GaN−MOSFET(RB−MOSFET)の耐圧特性ならびにI−V特性を示す。本発明実施例素子の耐圧特性を測定したところ、順方向素子耐圧712V、逆方向素子耐圧687Vとなり、600V耐圧素子として十分な阻止特性を示していることがわかる。今回の測定に用いた素子のチップサイズは5mm×5mm、定格電流を50A(活性面積=0.2cm2、電流密度は250.0A/cm2)とした。また比較のために、通常の定格電圧600Vで定格電流50AのシリコントレンチFS−IGBTならびにシリコン逆阻止IGBTの波形も示す(活性面積=0.2cm2、電流密度は250.0A/cm2)。図10は、比較のために用いたシリコントレンチFS−IGBTの活性部の断面図である。ベース領域806内にエミッタ領域805が形成され、N-層に達するトレンチ801内に絶縁膜804を介してゲート電極802が形成され、エミッタ領域805とベース領域806に接触しているエミッタ電極803を有する。N-層の下にはFS層(フィールドストップ層)807が形成され、その下にはコレクタ領域808とコレクタ領域808に接触するコレクタ電極809が形成されている。図11は、比較のために用いたシリコンRB−IGBTの概略断面図であり、同図(a)は、主に素子端部の概略断面図を示し、同図(b)は、活性部の断面図を示す。
活性部912は、表面側には、ベース領域906内にエミッタ領域905が形成され、ベース領域906とエミッタ領域905にエミッタ電極903が接触している。N-層とエミッタ領域905との間のベース領域906の表面上には、絶縁膜904を介してゲート電極902が形成されている。活性部912には、これらの領域が複数形成されている。
活性部912の裏面側は、図10のFS層807は形成されず、コレクタ領域908とそれに接触するコレクタ電極909が形成されている。
素子端部911は、複数の平面形状が環状に形成されたガードリング910により耐圧構造を形成し、ガードリング910間の表面には絶縁層913が形成されている。ガードリング910はそれぞれ浮遊領域である。この耐圧構造の外側には、コレクタ領域908と接触して形成されたP+領域からなる接合分離領域を有する。
厚さはトレンチ図10のFS−IGBTが65μm、図11のRB−IGBTが100μmである。本発明素子は、オン電圧1.28VとシリコントレンチFS−IGBTや逆阻止IGBTよりも十分低オン電圧が得られている。また、図9のI−V波形から、定格電流の2倍以上(100A)の電流が流れても抵抗が増加することもないことがわかり、このことからシリコントレンチFS−IGBTならびに逆阻止IGBT以上の特性を示し、縦型デバイスとして十分機能している。
さらに、ターンオフ特性を測定すると、シリコントレンチFS−IGBT(Eoff=4.11mJ)ならびにシリコン逆阻止IGBT(4.32mJ)に比べ、約4分の1のEoff=1.10mJのターンオフ損失となり、低損失化が図られている。なお、ターンオフ損失の測定はすべて125℃で計測した。さらに、本発明素子とシリコン逆阻止IGBTのダイオードモードでの逆回復損失も併せて測定したところ、本発明素子では0.42mJであったのに対し、シリコン逆阻止IGBTでは4.13mJと約10分の1の低損失化が実現できることを確認した。
図12は、本発明第2実施形態のGaN−MOSFET素子端部の断面図である。
図12のGaN−MOSFETは、図1に示したGaN−MOSFETのシリコン基板101をサファイア基板140に代えたものである。このように、実施例1のシリコン基板101をサファイア基板140に代えてもよい。
製造方法としては、サファイア基板140上に周知の技術である有機金属化学的気相成長法(MOCVD)を用いてバッファ層としてAlN層102とノンドープのGaN層103を形成する。サファイア基板140は直径75mm厚さ500μmであり、その上に形成したAlN層102は15nm、ノンドープのGaN層103は200nmの厚みを持っている。また、AlN層102は結晶構造の変換のために、またGaN層103は結晶の品質改善のための層として形成している。さらに、その上にN-GaN層104μmをエピタキシャル成長させる。不純物濃度は2.1×1016cm-3とした。このとき、ガリウムの材料としてトリメチルガリウムを、また窒素の材料としてアンモニアガスを用いた。また、N型化するために、ドーパント材料としてモノシランを用いた。その上にP-型GaN層105を2μmの厚さでエピタキシャル成長させる。不純物濃度は2×1017cm-3とし、ドーパント材としてマグネシウムを用いた。その後は前記実施例1と同様の作成法を用いた。ただし、サファイア基板140が絶縁体であるため、前記実施例1のように素子端部にトレンチ溝112を形成し絶縁体を充填する必要が無いため、図12に示すように素子端部にトレンチ溝112を形成しない構造とした。本発明実施例素子の耐圧特性を測定したところ、順方向素子耐圧716V、逆方向素子耐圧692Vとなり、600V耐圧素子として十分な阻止特性を示していることがわかる。今回の測定に用いた素子のチップサイズは前記実施例1と同様、5mm×5mm、定格電流を50A(活性面積=0.2cm2、電流密度は250.0A/cm2)とした。本発明素子は、オン電圧1.28Vと前記実施例1とまったく同一の特性を示すことを確認し、これはシリコントレンチFS−IGBTや逆阻止IGBTよりも十分低オン電圧な特性である。定格電流の2倍以上(100A)の電流が流れても抵抗が増加することもないことがわかり、このことからシリコントレンチFS−IGBTならびに逆阻止IGBT以上の特性を示し、縦型デバイスとして十分機能している。さらにターンオフ特性を測定すると、実施例1とほぼ同等のEoff=1.03mJとなった。これは、シリコントレンチFS−IGBTならびにシリコン逆阻止IGBTに比べ、それぞれ約4分の1の1ターンオフ損失となり、低損失・高速化が図られている。なお、ターンオフ損失の測定はすべて125℃で計測した。さらに、本発明素子とシリコン逆阻止IGBTのダイオードモードでの逆回復損失も併せて測定したところ、本発明素子では0.40mJで低損失化が実現できることを確認した。
以上の実施例では、MOSFETについて説明しているが、ゲート絶縁膜をシリコン酸化膜以外の絶縁膜を用いて形成するMISFETとしても同様の効果を奏する。
101 シリコン基板
102 AlN層
103 GaN層
104 N-GaN層
105 P-GaN層
106 P+
107 N+
108 トレンチ溝
109 ゲート絶縁膜
110 ゲート電極
111 ソース電極
112 トレンチ溝
113 金属膜
114 半田層
120、121 マスク酸化膜
130 絶縁体
140 サファイア基板
701 素子端部
702 素子活性領域

Claims (7)

  1. 半導体基板と、前記半導体基板と該半導体基板に成長させる窒化ガリウム半導体層との間の結晶構造変換ならびに結晶品質改善のために前記半導体基板の一面上に設けられるバッファ層と、前記バッファ層上に設けられた窒化ガリウム半導体層と、前記半導体基板の他面から前記窒化ガリウム半導体層に到達する複数のトレンチ溝と、該トレンチ溝内に露出する前記窒化ガリウム半導体層と接触して形成された導電物と、を備え、
    前記トレンチ溝内の導電物と窒化ガリウム半導体層とがショットキー接合を形成していることを特徴とする逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置。
  2. 前記基板の他面から形成されたトレンチ溝が素子端部にも形成されており、そこに絶縁体が充填されていることを特徴とする請求項1の逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置。
  3. 前記半導体基板がシリコンであることを特徴とする請求項1または2に記載の逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置。
  4. 絶縁体基板と、前記絶縁体基板と該絶縁体基板に成長させる窒化ガリウム半導体層との間の結晶構造変換ならびに結晶品質改善のために前記絶縁体基板の一面上に設けられるバッファ層と、前記バッファ層上に設けられた窒化ガリウム半導体層と、前記絶縁体基板の他面から前記窒化ガリウム半導体層に到達する複数のトレンチ溝と、該トレンチ溝内に露出する前記窒化ガリウム半導体層と接触して形成された導電物と、を備え、
    前記トレンチ溝内の導電物と窒化ガリウム半導体層とがショットキー接合を形成していることを特徴とする逆耐圧を有する窒化ガリウム半導体装置。
  5. 前記絶縁体基板の他面から形成されたトレンチ溝が素子端部には形成されていないことを特徴とする請求項4の逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置。
  6. 前記絶縁体基板がサファイアであることを特徴とする請求項4または5に記載の逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置。
  7. 縦型窒化ガリウム半導体装置が、MOSFET、もしくはMISFETであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の逆耐圧を有する縦型窒化ガリウム半導体装置。
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