JP2010258206A - 金属酸化物半導体の製造方法、金属酸化物半導体及びこれを用いた半導体素子、薄膜トランジスタ - Google Patents

金属酸化物半導体の製造方法、金属酸化物半導体及びこれを用いた半導体素子、薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体の、半導体特性(移動度、on/off、Vg(ON))を向上させ、ばらつきを低減させて、生産効率が向上した製造方法を提供することであり、また、この酸化物半導体を用いた半導体素子、薄膜トランジスタを提供することにある。
【解決手段】金属塩を含有する半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法において、加熱時の昇温速度が1〜100℃/分であることを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体特性が向上した生産効率の高い金属酸化物半導体の製造方法に関し、また、これを用いた半導体素子、特には薄膜トランジスタに関する。
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタの技術については、例えば、特許文献1、2また3、また非特許文献1などに開示されている。これらに記載された薄膜トランジスタはスパッタなど真空系の装置を用いるもので、生産効率が低いことが挙げられる。また製造時のばらつきが問題であり、半導体特性を向上させ、ばらつきを解消するには高温処理の必要が避けられなかった。
一方で、常圧において半導体が成膜できる薄膜トランジスタの技術が提案されているが(特許文献4)、さらに高温の処理が必要となるうえ、キャリア移動度が低い、off電流が高い、閾値(Vg(ON))が悪化するなどの問題があった。
従って、ばらつきを解消し、安定して特性の向上した、生産性の高い金属酸化物半導体を得ることは難しかった。
特開2006−165527号公報 特開2006−165528号公報 特開2007−73705号公報 米国特許出願公開第2007/0184576号明細書
IDW’07(International Display Workshop 2007) p1783
従って、本発明の目的は、酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体の、半導体特性(移動度、on/off、Vg(ON))を向上させ、ばらつきを低減させて、生産効率が向上した製造方法を提供することであり、また、この酸化物半導体を用いた半導体素子、薄膜トランジスタを提供することにある。
本発明の上記課題は以下の手段によって達成されるものである。
1.金属塩を含有する半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法において、加熱時の昇温速度が1〜100℃/分であることを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
2.半導体前駆体層が金属塩の溶液または分散液の塗布膜から形成されることを特徴とする前記1に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
3.前記金属塩の溶液が水溶液であることを特徴とする前記2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
4.前記金属塩がIn、Zn、Snのいずれかの塩を含むことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
5.前記金属塩がGa、Alのいずれかの塩を含むことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
6.前記金属塩が硝酸塩を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
7.加熱時の半導体前駆体層の最大温度が150〜300℃であることを特徴とする前記1または2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
8.前記加熱処理がマイクロ波(周波数0.3GHz〜50GHz)照射を含む処理であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法により作成される金属酸化物半導体を用いたことを特徴とする半導体素子。
10.前記1〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法により作成される金属酸化物半導体を用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明により、半導体特性(移動度、on/off比、閾値)が向上し、ばらつきを低減させて、生産効率が向上した金属酸化物半導体の製造方法を提供することが出来る。また、この酸化物半導体を用いて半導体素子、薄膜トランジスタを提供することができる。
本発明に係わる酸化物半導体を用いた、薄膜トランジスタの代表的な素子構成を示す図である。 薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタシートの1例を示す概略の等価回路図である。 本発明による薄膜トランジスタの作成プロセスを説明する図である。 薄膜トランジスタの伝達特性の一例を示す図である。
以下本発明を実施するための形態について説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明は、金属塩を含有する半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法であり、金属塩を含有する半導体前駆体層の加熱処理において、加熱時の昇温速度を1〜100℃/分とすることを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法であります。
本発明において半導体は金属酸化物であり、本発明は、金属酸化物半導体の前駆体となる金属酸化物の金属成分を含む金属塩の薄膜を設けた後、該薄膜に加熱処理を行って、金属酸化物半導体にこれを変換し金属酸化物半導体の薄膜を得るものである。
前記の加熱処理によって、半導体特性を向上させるため、半導体前駆体層の加熱を、半導体前駆体層乃至酸化物半導体層の温度において、昇温速度が1〜100℃/分の範囲となるよう、所定の昇温速度にコントロールして、形成される金属酸化物半導体の半導体特性のばらつきをなくし、キャリア移動度、半導体特性を向上させることができる。
金属酸化物半導体の前駆体を熱酸化することにより金属酸化物半導体をうることは知られている。金属酸化物半導体の前駆体として用いることのできる金属化合物としては非常に広い範囲の無機塩類や有機金属化合物、また有機金属錯体等が知られている。
本発明においては、金属酸化物半導体の前駆体として硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩を用いるものである。
金属塩における金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
本発明において、これらの金属塩においては、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)のいずれかの塩を1つ以上含むことが好ましく、それらを併用して混合させてもよい。
また、その他の金属として、ガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)のいずれかの塩を含むことが好ましい。
本発明においては、前駆体として、上記金属塩を用いて半導体前駆体層を形成しこれを前記の昇温速度で制御して加熱処理を行うことで、キャリア移動度の大きい、TFT素子としたときon/off比の大きい良好な特性を示す金属酸化物半導体を得ることができる。
これらの金属塩は、酸化反応のエネルギーが小さいことや、金属酸化物生成過程で発生する分解物が効率よく気化、排出されることなどから、不純物成分が少なく、好ましいが、この観点から上記金属塩の中でも硝酸塩が最も好ましい。
これらの金属塩を用いることで、最高加熱温度が150〜300℃の温度範囲において、良好な状態で非晶質の金属酸化物半導体が薄膜で得られる。
また、これらの金属塩を用いると、また、半導体変換処理として電磁波(マイクロ波)で実質低温において変換するとき照射時間を短くでき好ましい。
(前駆体薄膜の成膜方法、パターン化方法)
これらの金属酸化物半導体の前駆体である金属塩を含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などを用いることができるが、本発明においては、前記硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩を適切な溶媒に溶解した溶液を用い基板上に塗設することが好ましく、これにより生産性を大幅に向上させることができる。
金属塩を溶解する溶媒としては、水の他、用いる金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではなく、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、更に、キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなど、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を用いることができる。
本発明の金属塩溶液に用いる溶媒としては、金属塩が溶解する溶媒であれば特に限定されないが、金属塩の溶解性、塗布後の乾燥性の観点から水および低級アルコールが好ましく、低級アルコールの中ではメタノール、エタノール、プロパノール(1−プロパノール及びイソプロパノール)が乾燥性の観点で好ましい。また、溶媒として低級アルコールを単独で用いてもよいし、水と任意の割合で混合して用いてもよい。溶解性と溶液安定性および乾燥性の観点から水とこれら低級アルコール類を混合して本発明の「水溶液」を作成することが好ましい。低級アルコールを混合して水溶液を作成すると、大きな組成の変化を行わず表面張力を下げることができるので、インクジェット塗布等において出射性が向上するので好ましい。
さらに、アルコール類添加の効果として、半導体特性の向上の効果が認められる。たとえば薄膜トランジスタの移動度、on/off比、閾値などの特性の向上が認められる。この効果の原因について明確でないが、加熱による酸化物の生成プロセスに影響しているものと推察される。
また、乾燥性およびインクジェット出射性、薄膜トランジスタの特性などの半導体特性を考慮した場合、溶媒比率で5質量%以上の低級アルコール添加が好ましく、いずれの特性(乾燥、出射性と溶液安定性)も満たすには水/低級アルコール比率が5/5〜95/5であることが好ましい。
本発明の水溶液とは溶媒中の水含有率が30質量%以上の混合溶媒および水(水含有率=100質量%)に溶質(本発明では金属塩とその他必要に応じて添加される添加剤)を溶解した溶液を意味する。金属塩等溶質の溶解性、溶液安定性の観点から好ましくは水含有率は50質量%以上であり、さらに好ましくは水含有率が70質量%以上である。
本発明に係る金属塩中でも、水に対する劣化、分解、また容易に溶けること、さらに、潮解性等の性能においても優れた性質をもつ硝酸塩が最も好ましい。
本発明においては、金属塩を含有する溶液を基材上に適用して、金属酸化物半導体の前駆体を含有する薄膜を形成する。
金属塩を含有する溶液を基材上に適用して、金属酸化物半導体の前駆体薄膜を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、など、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等、広い意味での塗布による方法が挙げられ、また、これによりパターン化する方法などが挙げられる。塗布膜からフォトリソグラフ法、レーザーアブレーションなどによりパターン化してもよい。これらのうち、好ましいのは薄膜の塗布が可能な、インクジェット法、スプレーコート法等である。
例えばインクジェット法を用いて成膜する場合、金属塩溶液を滴下して、80℃〜100℃程度で溶媒(水)を揮発させることにより金属塩を含有する半導体前駆体層薄膜が形成される。尚、溶液を滴下する際、基板自体を80℃〜150℃程度に加熱しておくと、塗布、乾燥の2プロセスを同時に行え、前駆体膜の造膜性も良好なため好ましい。
(金属の組成比)
本発明の方法により、前述した金属原子から選ばれた単独、または複数の金属原子を含む金属酸化物半導体の薄膜を作製する。金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。
形成された金属酸化物半導体に含まれる金属原子は、前駆体の記述に挙げたものと同様に、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)のいずれかを含むことが好ましく、さらにガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)を含むことが好ましい。
これらの金属を成分として含む前駆体溶液を作製する場合、好ましい金属の組成比としては、In、Snの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属A)と、Ga、Alの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属B)と、Znの金属塩に含有される金属(金属C=Zn)とのモル比率(金属A:金属B:金属C)が、以下の関係式を満たすことが好ましい。
金属A:金属B:金属C=1:0.2〜1.5:0〜5
である。
金属塩としては、硝酸塩が最も好ましいので、In、Sn(金属A)と、Ga、Al(金属B)と、Zn(金属C)とのモル比率(A:B:C)が、上記の関係式を満たすように、各金属の硝酸塩を、水を主成分とした溶媒に溶解・形成した塗布液を用いて金属無機塩を含む前駆体薄膜を塗布により形成することが好ましい。
また、前駆体となる金属無機塩を含む薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。
(非晶質酸化物)
形成される金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。非晶質であることは、X線回折や電子線回折により確認でき、結晶に固有の回折パターンが観測されなければ、非晶質とみなすことができる。
金属酸化物半導体の前駆体となる金属化合物材料から形成された、本発明に係る金属酸化物である非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満が実現されていればよい。電子キャリア濃度は室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択されるある温度である。なお、本発明に係るアモルファス酸化物の電子キャリア濃度は、0℃から40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度をさらに下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリーオフのTFTが歩留まり良く得られる。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることができる。
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
本発明においては、前駆体材料(金属塩)、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、さらには1015/cm以上1016/cm以下の範囲にすることが好ましいものである。
金属無機塩から形成された前駆体薄膜を金属酸化物半導体に変換する半導体変換処理としては、前記加熱処理、また後述するマイクロ波照射による加熱処理を用いることができる。
本発明において、前駆体材料薄膜を加熱する温度は前駆体を含有する薄膜表面の温度が最高温度100℃〜400℃の範囲で任意に設定することができるが、電子デバイスの、デバイスの特性や生産効率の観点から、150℃〜300℃にすることが好ましい。薄膜表面の温度(基板の温度でみても良い)を熱電対を用いた表面温度計、放射温度の測定が可能な放射温度計、ファイバー温度計などにより測定しつつ、昇温速度が、前記の範囲となるよう制御しつつ、加熱処理をおこなう。予め条件を設定しておいてからその昇温プログラムに則り実行しても良い。マイクロ波照射の場合にも温度は電磁波の出力、照射時間、さらには照射回数等を制御して、所定の昇温速度、また最高温度となるように制御することが可能である。また、前駆体材料を加熱する時間は、任意に設定できるが、電子デバイスの特性や生産効率の観点から、2分以上200分以下の範囲が好ましい。より好ましくは10分〜30分である。
加熱処理は所定の昇温速度での加熱が可能な方法であればこれらの方法に限定されない。
前記加熱処理による金属酸化物の形成はESCA等により検知でき、半導体への変換が充分行われる条件を予め選択することができる。
金属酸化物半導体への変換後、形成される半導体薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmが好ましい。
本発明においては、前記半導体変換処理における熱処理に、マイクロ波(0.3〜50GHz)照射の用いることが好ましい。また、酸素の存在下で、マイクロ波を照射することが、短時間で金属酸化物半導体前駆体の酸化反応を進行させる上で好ましい。
(マイクロ波の照射)
本発明においては、金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属無機塩材料から形成された薄膜を半導体に変換する方法として、マイクロ波照射を用いることも好ましく、加熱処理をマイクロ波照射で行う場合にも、本発明の昇温速度範囲となるよう、電磁波の出力、照射時間、さらには照射回数等を制御して、最高温度となるまで昇温速度を制御しつつ、マイクロ波を照射する。
金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属塩材料を含む薄膜にマイクロ波(周波数0.3GHz〜50GHz)を照射することで、金属酸化物前駆体中の電子が振動し、熱が発生して薄膜が内部から、均一に加熱される。ガラスや樹脂等の基板には、マイクロ波領域に吸収が殆どないため、基板自体は殆ど発熱せずに薄膜部のみを選択的に加熱し熱酸化、金属酸化物半導体へ変換することが可能となる。
マイクロ波加熱においては一般的な様に、マイクロ波吸収は吸収が強い物質に集中し、尚且つ非常に短時間で昇温することが可能なため、基材自身には殆ど電磁波による加熱の影響を与えず、短時間で前駆体薄膜のみを加熱できる。
一般的に、マイクロ波とは0.3GHz〜50GHzの周波数を持つ電磁波のことを指し、携帯通信で用いられる0.8GHzおよび1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHzなどは全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。また、28GHz、また50GHz等の発振機を市場で入手できる。
オーブンなどを用いた通常の加熱方法に比較し、電磁波(マイクロ波)照射による加熱方法を用いることで、より良好な金属酸化物半導体層を得ることができる。金属酸化物半導体前駆体材料から金属酸化物半導体が生成するに際し、伝導熱以外の作用、例えば金属酸化物半導体前駆体材料への電磁波の直接的な作用を示唆する効果が得られている。機構は十分に明らかになっていないが、金属酸化物半導体前駆体材料の加水分解や脱水、分解、酸化等による金属酸化物半導体への転化が電磁波により促進された結果と推定される。
前記金属塩を含有する半導体前駆体層にマイクロ波照射を行って、半導体変換処理を行う方法は、短時間で選択的に熱酸化反応を進行させる方法である。尚、酸素の存在下で、マイクロ波を照射することが、短時間で金属酸化物半導体前駆体の熱酸化反応を進行させる上で好ましい。但し、熱伝導により少なからず基材にも熱が伝わるため、特に樹脂基板のような耐熱性の低い基材の場合は、マイクロ波の出力、照射時間、さらには照射回数を制御することで前記の様に制御しつつ金属酸化物半導体前駆体材料層を昇温させることが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計、また非接触の表面温度計により測定が可能である。
また、ITOのような強い電磁波吸収体が近傍(例えばゲート電極等)に存在する場合、これもマイクロ波を吸収し発熱するため、加熱の効率が向上する。
本発明に係る金属塩から形成される金属酸化物半導体薄膜は、トランジスタ、ダイオードなどの各種の半導体素子、また電子回路等に用いることができ、基板上に前駆体材料の溶液を塗布することによって低温プロセスでの金属酸化物半導体材料層の作製が可能であり、樹脂基板を用いる薄膜トランジスタ素子(TFT素子)等、半導体素子の製造に好ましく適用することができる。
本発明の金属酸化物半導体を用いて、ダイオードやフォトセンサに用いることもできる。たとえば、後述する電極材料からなる金属薄膜と重ねることで、ショットキーダイオードやフォトダイオードを作製することも可能である。
(素子構成)
図1は、本発明に係わる金属酸化物半導体を用いた、薄膜トランジスタ素子の代表的な素子構成を示す図である。
薄膜トランジスタの構成例を幾つか断面図にて図1(a)〜(f)に示す。図1において、ソース電極102、ドレイン電極103を、金属酸化物半導体からなる半導体層101がチャネルとして連結するよう構成される。
同図(a)は、支持体106上に本発明の方法によりソース電極102、ドレイン電極103を形成して、これを基材(基板)として、両電極間に半導体層101を形成し、その上にゲート絶縁層105を形成し、さらにその上にゲート電極104を形成して電界効果薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、半導体層101を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極および支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、支持体106上に、まず、半導体層101を形成し、その後ソース電極102、ドレイン電極103、そして絶縁層105を形成した後、ゲート電極104を形成したものを表す。本発明においては、半導体層が本発明の方法で形成されていればよい。
同図(d)は、支持体106上にゲート電極104を形成した後、ゲート絶縁層105を形成し、その上にソース電極102およびドレイン電極103を形成し、該電極間に半導体層101を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
図2は、薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタシートの1例を示す概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート120はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ124を有する。121は各薄膜トランジスタ124のゲート電極のゲートバスラインであり、122は各薄膜トランジスタ124のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ124のドレイン電極には、出力素子126が接続され、この出力素子126は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子126として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。125は蓄積コンデンサ、127は垂直駆動回路、128は水平駆動回路である。これら薄膜トランジスタシート120における各トランジスタ素子のソース、ドレイン電極又ゲート電極等、さらにゲートバスライン、ソースバスライン、また回路配線の製造に本発明を用いることができる。
次いで、薄膜トランジスタを構成する各要素について説明する。
(電極)
本発明において、TFT素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
(電極等の形成方法)
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース、ドレイン、あるいはゲート電極等の電極、またゲート、あるいはソースバスライン等を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
(ゲート絶縁層)
本発明の薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁層(膜)が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等を用いることもできる。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
(基板)
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するがこれのみに限定されるものではない。
実施例1
本発明の金属酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを製造した。製造の各工程は図7の断面模式図を用いて説明する。
支持体301として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず、50W/m/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層(バリア層)310とした(図7(1))。なお、大気圧プラズマ処理装置は特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
次いで、ゲート電極を形成する。スパッタ法により、厚さ300nmのITO膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてゲート電極302を形成した。(図7(1))
次いで、さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により厚さ180nmの酸化珪素膜を設けゲート絶縁膜303を形成した。(図7(2))
次いで、オクチルトリクロロシラン(C17SiCl)(OTS)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に基板を10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、さらに、超音波洗浄器中で10分間処理後、乾燥させることで、ゲート絶縁膜表面全面がOTSと反応し表面処理された。表面処理によりオクチルトリクロロシランによる単分子膜が形成するが図では便宜的に表面処理層308でこの単分子膜を表した(図7(3))。
この表面処理を行ったSiウェハー上に、半導体チャネル領域に対応させた光透過部を有するフォトマスクMを介して、低圧水銀灯から波長254nmの紫外光を照射した(図7(4))。これにより、露光部の表面が分解され、表面処理部が親水化された。エタノールで洗浄し分解物を除去して、チャネル領域に対応する部分のゲート絶縁層303表面を露出させた(図7(5))。
(半導体層の形成)
次ぎに、硝酸インジウム、硝酸ガリウムを金属比率で1:1(モル比)で混合した10質量%水溶液としたものをインクとして、ピエゾ方式のインクジェット装置にて、半導体層パターン(略ゲート電極パターン)に従ってインクを吐出し、半導体の前駆体材料薄膜306’を形成した(図7(6))。ノズル吐出口の内径は10μmとし、ノズル吐出口と基材とのギャップは500μmに保持した。
100℃で熱処理し乾燥し、形成した前駆体材料薄膜306’の平均膜厚は30nmであった。
さらに、支持体側からマイクロ波照射を行った。即ち、酸素と窒素の分圧が1:1の雰囲気、大気圧条件下で、マイクロ波(2.45GHz)を照射した。前駆体材料薄膜の表面温度を表面温度計でモニタしつつ、表1に記載の温度まで、マイクロ波の出力、また照射時間、照射間隔を調整し、前駆体材料薄膜表面の表1に記載した昇温速度に制御して昇温・加熱処理を行った。
ゲート絶縁膜上、ゲート電極302に対向して酸化物半導体層306が形成された(図7(7))。
さらに、オクチルトリクロロシラン(C17SiCl)(OTS)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に基板を10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、さらに、超音波洗浄器中で10分間処理後、乾燥させることで、形成した酸化物半導体層306表面もOTSと反応し単分子膜が形成され表面処理された。同様に、表面処理層308でこの単分子膜を表した(図7(8))。
次いで、半導体層上の保護膜の形成領域以外を覆うマスクを用いて、保護膜形成領域を254nmの紫外光にて照射した(図7(9))。半導体層上の保護膜形成領域の表面処理層308を分解し半導体層を露出させた。なお、保護膜の幅がチャネル長(ソース電極304、ドレイン電極305の距離)を形成するので、保護膜の幅が15μmとなるよう露光領域を調整し半導体層のチャネル領域のみ露出させた(図7(10))。
次に酸化物半導体層306上にパーヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製 アクアミカNP110(登録商標))キシレン溶液を前記同様の静電吸引方式のインクジェット装置を用いて酸化物半導体層内の所定の領域に適用した(図7(11))。次いでこれを150℃〜500℃の範囲、ここでは前記同様にマイクロ波を照射してゲート電極の発熱により200℃、で20分程度の熱処理を行って、二酸化ケイ素の薄膜層に転化させ保護層307を形成した(図7(12))。保護層の厚みは200nmであった。
次に、前記と同様の大気圧プラズマ装置を用い下記条件で酸素プラズマ処理し残っている表面処理層308を分解し、ゲート絶縁層303および酸化物半導体層306の表面の一部を露出させた(図7(13))。
(使用ガス)
不活性ガス:窒素ガス 98体積%
反応性ガス:酸素ガス 2体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm
次ぎに、銀微粒子分散液(Cabot社製 CCI−300(銀含有率20質量%))を、ピエゾ方式のインクジェットヘッドから射出し、半導体層の露出領域を含むソース電極、ドレイン電極部分に印刷を施した。次いで200℃で30分間熱処理して、ソース電極304およびドレイン電極305を形成した(図2(14))。それぞれのサイズは、幅40μm、長さ100μm(チャネル幅)厚さ100nmであり、ソース電極304、ドレイン電極305の距離(チャネル長)は20μmとした。
以上の方法により加熱処理における昇温速度、また到達最高温度の異なる(表1に記載)薄膜トランジスタ1〜12を得た。
作製した薄膜トランジスタについて、ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)について観測した。図4に伝達特性の一例を示す。その飽和領域から移動度(cm/Vs)について見積もり、on/off比についても見積もった。閾値Vg(ON)はゲートバイアス(Vg)に対するドレイン電流値(Id)の平方根√Idの関係にて、√Id=0に外挿して得たゲートバイアスの値とした(図4に示す。)。図4はon/off比、またVg(ON)の異なった伝達特性を有する二つの薄膜トランジスタの例を示す。
結果を表1に示す。
Figure 2010258206
昇温速度が本発明外になる薄膜トランジスタ1また7は移動度が低く、on/off比について薄膜トランジスタ1はまずまずであるが、閾値も比悪的絶対値が大きい部類であり、全体としての特性は良くない。それに比して、本発明の範囲内で昇温を行って金属酸化物半導体を形成したものは移動度等の特性も良い。但し中では、特に閾値において、最高温度が150℃〜300℃のものが良い結果を与える。以上のように、昇温速度を1〜100℃/分で昇温加熱処理して製造された金属酸化物半導体が、移動度が高く、on/off比が高く、閾値が低く特性が良好であることが分かる。昇温速度が上がると、off電流が低下しon/off比が向上する傾向にあるが、昇温速度が100℃/分を超えるものについては、膜中もしくは半導体界面に何らかの欠陥が生じると思われ移動度も低下している。
また、前記薄膜トランジスタ4及び薄膜トランジスタ5について、それぞれの条件で素子作成を繰り返したところ(N=10)、薄膜トランジスタ4、5それぞれ10個のいずれの素子についても、前記同様の評価を行ったところ、薄膜トランジスタ4、5ともに素子性能は同一で安定しており、再現性がある製造方法であることが確認された。
1、101 半導体層
2、102 ソース電極
3、103 ドレイン電極
4、104 ゲート電極
5、105 ゲート絶縁層

Claims (10)

  1. 金属塩を含有する半導体前駆体層に加熱処理を行って金属酸化物半導体を形成する金属酸化物半導体の製造方法において、加熱時の昇温速度が1〜100℃/分であることを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
  2. 半導体前駆体層が金属塩の溶液または分散液の塗布膜から形成されることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  3. 前記金属塩の溶液が水溶液であることを特徴とする請求項2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  4. 前記金属塩がIn、Zn、Snのいずれかの塩を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  5. 前記金属塩がGa、Alのいずれかの塩を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  6. 前記金属塩が硝酸塩を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  7. 加熱時の半導体前駆体層の最大温度が150〜300℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  8. 前記加熱処理がマイクロ波(周波数0.3GHz〜50GHz)照射を含む処理であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法により作成される金属酸化物半導体を用いたことを特徴とする半導体素子。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法により作成される金属酸化物半導体を用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
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