JP2010283002A - 金属酸化物薄膜パターンの製造方法、金属酸化物薄膜、半導体および薄膜トランジスタ - Google Patents

金属酸化物薄膜パターンの製造方法、金属酸化物薄膜、半導体および薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】簡便かつ低コストで高性能、高安定性の金属酸化物薄膜パターンの製造方法及びそれを用いた薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】基板上の所定の領域に金属酸化物薄膜パターンを製造する方法であって、該金属酸化物となる金属のイオンを含むインク組成物をインクジェット方式により塗布する工程を含み、該インク組成物の、粘度が3〜40mPa・s、かつ表面張力が10〜70mN/mであることを特徴とする金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は金属酸化物薄膜パターンの製造方法、特にインクジェット方式による塗布型の金属酸化物薄膜パターンの製造方法に関するものである。
近年、低温かつ大気圧プロセスで形成可能な薄膜トランジスタ(TFT)を樹脂などのフレキシブル基板へ適用することにより、低コストで簡便なプロセスで製造可能な、フレキシブル薄膜トランジスタシートの開発が盛んに検討されている。
このような薄膜トランジスタの場合、従来のシリコンを用いたトランジスタでは具現することが出来ないフレキシブルな表示装置、電子本など新しい応用分野が考えられる。
低コストで簡便なプロセスにより薄膜トランジスタをフレキシブル基板上へ形成していくためには、絶縁層、半導体層をはじめとする全ての構成要素が印刷などの溶液プロセスで形成可能であることが好ましい。
その中でも、金属酸化物半導体層をインクジェット(IJ)方式により形成する方法が開示されている。
例えば、IGZO微粒子分散液をIJ方式でパターニングし、焼成することによる半導体膜製造方法が開示(例えば、特許文献1参照。)されているが、粒子界面が無い均一な半導体膜を作製するためには高温処理が必要であり、比較的低温での焼成処理では不均一膜となり、半導体として十分な性能が得られていない。
また、ポリイミド基材上にアルカリ液をIJでパターニング塗布して、基材表面にカルボキシル基を出させ、ここに金属イオン溶液を接触させ、カルボキシル基とカルボン酸塩を形成し、この塩を還元して金属又は金属酸化物を析出させることによる半導体膜の形成方法が開示(例えば、特許文献2参照。)されている。しかしながら、この方法ではアルカリで処理するため、基本的にはゲート絶縁層と半導体層との界面部が粗れてしまうため、TFT特性としてはあまり優れたものではなかった。
また、有機半導体又は酸化物半導体のIJ塗布による形成方法が開示(例えば、特許文献3参照。)されているが、有機半導体形成に関する記載はあるものの、実際には酸化物半導体の記載は無く、半導体に関しては実質有機半導体の構成のみであり、有機半導体では、有機エレクトロルミネセンス(有機EL)素子を駆動するためには、移動度および安定性に問題があるものであった。
また、有機EL材料のIJ塗布や液晶配向膜のIJ塗布による形成方法も開示(例えば、特許文献4または5参照。)されているが、何れも有機薄膜の形成方法であり有機溶剤系の塗布によるものである。
本発明の金属イオンを含有する水溶液を用いた、インクジェット方式により精度良くパターニングし、金属酸化物半導体層を形成するものは、未だ開示されていない。
特開2007−42690号公報 特開2005−45236号公報 特開2006−196851号公報 特開2007−103381号公報 特開2008−37910号公報
本発明目的は、簡便かつ低コストで高性能、高安定性の金属酸化物薄膜パターンの製造方法及びそれを用いた薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の他の目的は、IJ方式による直描パターニングを可能にし、かつ均一な金属酸化物薄膜を形成するものである。更に他の目的としては、微細なパターニングを可能にするため、液物性を最適にし、且つ残留物(特に有機系添加物に起因するC)を極力低減することを目的とするものである。
上記課題は、以下の本発明の構成により解決することができた。
1.基板上の所定の領域に金属酸化物薄膜パターンを製造する金属酸化物薄膜パターンの製造方法であって、該金属酸化物となる金属のイオンを含むインク組成物をインクジェット方式により塗布する工程を含み、該インク組成物の、粘度が3〜40mPa・s、かつ表面張力が10〜70mN/mであることを特徴とする金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
2.前記インク組成物の固形物濃度がインク組成物全体に対し0.1〜50質量%であることを特徴とする前記1に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
3.前記インク組成物が、溶媒として少なくとも水を全溶媒中10質量%以上含有する水系インクであることを特徴とする前記1または2に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
4.前記インク組成物が、溶媒として少なくとも1種の沸点100℃以下の低級アルコールを含有することを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
5.前記インク組成物が、溶媒として少なくとも1種の沸点200℃以下の多価(2以上)アルコール成分を含有することを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
6.前記沸点200℃以下の多価(2以上)アルコール成分がエチレングリコールを含有することを特徴とする前記5に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
7.前記インク組成物の室温における動的粘度が、1〜50mPa・s(せん断速度500Hz)であることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
8.前記インク組成物が金属塩を溶解した溶液であることを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
9.前記金属塩が金属硝酸塩であることを特徴とする前記8に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
10.前記インク組成物をインクジェット法により塗布して、半導体前駆体層を形成し、該半導体前駆体層を変換することにより金属酸化物半導体層を形成することを特徴とする前記1〜8の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
11.前記半導体前駆体層を金属酸化物半導体層に変換する処理が、100℃以上400℃以下の熱処理であることを特徴とする前記10に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
12.前記半導体前駆体層を金属酸化物半導体層に変換する処理が、マイクロ波(0.3GHz〜50GHz)照射工程を含むことを特徴とする前記10または11に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
13.前記金属酸化物半導体層が少なくともIn、Zn、Snのいずれか1つ以上の金属を含むことを特徴とする前記1〜12の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
14.前記金属酸化物半導体層が少なくともGa、Alのいずれか1つ以上の金属を含むことを特徴とする前記1〜13の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
15.前記1〜14の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法で製造されたことを特徴とする金属酸化物薄膜。
16.前記15に記載の金属酸化物薄膜であることを特徴とする半導体。
17.前記16に記載の半導体を用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明により、IJ方式によるパターニングにより、ゲート絶縁膜上に金属化合物の薄膜を形成し、焼成することにより金属酸化物半導体層を、容易に、精度良く形成することが可能となり、薄膜トランジスタを安価に形成することが可能となった。
本発明は、金属酸化物となる金属の該イオンを水溶液として含有し、該水溶液の粘度および表面張力を特定の範囲としたインクジェット(IJと記す。)インクとして、基板へパターニングするとき、優れたパターニング精度が得られることを見いだしたものである。また、得られた金属化合物の薄膜を焼成することにより金属酸化物としたとき、優れた半導体特性が得られることが分かったものである。
まず、本発明の水溶液中で金属イオンを形成し得る金属化合物(以下、本発明の金属化合物ともいう。)を含有する水溶液のIJインクの作製について説明する。
本発明の金属化合物としては、金属の水酸化物、塩化物、硝酸塩、リン酸、硫酸塩、炭酸塩、有機酸塩、次亜塩素酸等を挙げることができる。
金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
これらの金属化合物を溶質とした水溶液とし、IJインクとしての印字特性を得るために、表面張力を10〜70mN/mおよび粘度を3〜40mPa・sとすることが必要であることが分かった。
これらの水溶液の表面張力および粘度を調整する方法としては、金属イオンを含有する水溶性に、親水性の有機溶媒を用いて調整することが好ましい。
親水性の有機溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ジメチルスルホキシド、二硫化炭素等を挙げることができる。
これらの溶質と水および親水性有機溶媒を用いて、表面張力を10〜70mN/mおよび粘度を3〜40mPa・sの範囲とすることは、若干の試行は必要であるが、容易に調整することができる。
表面張力に調整に有効な溶媒としては、アルコール系溶媒が、粘度調整に有効な溶媒としては、多価アルコール系やポリビニルアルコール系、ピロリドン系の溶媒が好ましく用いられる。エチレングリコールを粘度調整剤として用いることで、後述する焼成の過程で、溶媒自身がマイクロ波を吸収し、より均一な金属酸化物を形成できるので好ましい。
このようにして得られたインク組成物中の溶質の固形物濃度はインク組成物全体に対し0.1〜50質量%であることが好ましい。
また、インク組成物が、溶媒として少なくとも水を全溶媒中10質量%以上含有する水系インクであることが好ましい。
また、溶媒として少なくとも1種の沸点100℃以下の低級アルコールを含有することが好ましく、更に、溶媒として少なくとも1種の沸点200℃以下の多価(2以上)アルコール成分を含有することが好ましく、沸点200℃以下の多価(2以上)アルコール成分がエチレングリコールを含有することが好ましい。
アルコール類添加の効果として、半導体特性の向上の効果が認められる。たとえば薄膜トランジスタの移動度、On/Off比、閾値(Vth)などの特性の向上が認められる。この効果の原因について明確でないが、加熱による酸化物の生成プロセスに影響しているものと推察される。
本発明に係る金属化合物は、金属アルコキシド類のように室温で加水分解することがなく、水を溶媒として用いることができるので、製造工程上、また環境上も好ましい。
例えば、金属塩化物等の金属塩は大気中での劣化、分解と(特にガリウム等の場合)、強い潮解性等を示すが、本発明に係る硝酸塩等の無機塩については潮解、また劣化等がなく使い易いことも製造環境上好ましい。
本発明に係る金属塩中でも、水に対する劣化、分解がなく、また容易に溶けること、さらに、潮解性等の性能においても優れた性質をもつ硝酸塩が最も好ましい。
また、インクの室温における動的粘度が、1〜50mPa・s(せん断速度500Hz)であることが、出射安定性やサテライ低減の観点から好ましい。
次に、金属酸化物薄膜パターンの製造方法について説明する。
本発明は、上記で得られたIJインクを用い、IJ方式により基板上の所定の領域に金属化合物薄膜パターンを形成し、その後焼成により金属酸化物薄膜パターンを製造する方法であって、IJ方式としては、特に制限はなく、ピエゾ方式であっても、バブルジェット(登録商標)方式であってもよく、特に方式に限定されない。
このようにして得られた金属化合物の薄膜パターンを焼成することにより金属酸化物薄膜パターンとする方法としては、加熱炉による加熱やマイクロ波による加熱、UV光オゾン酸化、プラズマ法等、種々の酸化方法等を単独で、或いは組み合わせて用いることが出来る。
金属酸化物半導体層に変換する処理の場合は、100℃以上400℃以下の熱処理であることが必要であり、マイクロ波(0.3GHz〜50GHz)照射工程を含むものであることが好ましい。マイクロ波の作用については明確にはなっていないが、一般的にIn酸化物やGa酸化物はマイクロ波吸収能をもつため、半導体前駆体が金属酸化物半導体へ変化していく過程で、半導体層が自らマイクロ波を吸収し、発熱するようになる事で金属酸化物への反応が、より進行すると推察している。
《薄膜トランジスタの製造方法》
本発明を薄膜トランジスタの製造方法に用いる場合について、以下に説明する。
薄膜トランジスタの製造においては、基板上にゲート電極、その上にゲート絶縁膜を形成し、その上に、本発明の金属イオンを含有するIJインクを用いて、金属化合物の薄膜を形成し、熱処理を施すことにより金属酸化物半導体層とし、更にその上にソース電極およびドレイン電極を形成することにより薄膜トランジスタを製造するものである。
本発明においては、上記金属の硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩を用いることによりキャリア移動度の大きい、TFT素子としたときOn/Off比の大きい良好な特性を示す金属酸化物半導体を得ることができた。
(金属の組成比)
本発明の方法により、前述した金属原子から選ばれた単独、または複数の金属原子を含む金属酸化物半導体の薄膜を作製する。金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。
形成された金属酸化物半導体に含まれる金属原子は、金属化合物の記述に挙げたものと同様に、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)のいずれかを含むことが好ましく、さらにガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)を含むことが好ましい。
これらの金属を成分として含む金属化合物溶液を作製する場合、好ましい金属の組成比としては、In、Snの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属A)と、Ga、Alの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属B)と、Znの金属塩に含有される金属(金属C=Zn)とのモル比率(金属A:金属B:金属C)が、以下の関係式を満たすことが好ましい。
金属A:金属B:金属C=1:0.2〜1.5:0〜5
金属塩としては、硝酸塩が最も好ましいので、In、Sn(金属A)と、Ga、Al(金属B)と、Zn(金属C)とのモル比率(A:B:C)が、上記の関係式を満たすように、各金属の硝酸塩を、水を主成分とした溶媒に溶解・形成した塗布液を用いて金属無機塩を含む前駆体薄膜を塗布により形成することが好ましい。
また、前駆体となる金属無機塩を含む薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。
(非晶質酸化物)
形成される金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。非晶質であることは、X線回折や電子線回折により確認でき、結晶に固有の回折パターンが観測されなければ、非晶質とみなすことができる。
本発明に係る金属酸化物である非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満が実現されていればよい。電子キャリア濃度は室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択されるある温度である。なお、本発明に係るアモルファス酸化物の電子キャリア濃度は、0℃から40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度をさらに下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリーオフのTFTが歩留まり良く得られる。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることができる。
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
本発明においては、前駆体材料(本発明の金属化合物)、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、さらには1015/cm以上1016/cm以下の範囲にすることが好ましいものである。
前記半導体変換処理、即ち本発明の金属化合物から形成された前駆体薄膜を金属酸化物半導体に変換する方法としては、酸素プラズマ法、熱酸化法、UVオゾン法等の酸化処理が挙げられる。また後述するマイクロ波照射を用いることができる。
本発明において、前駆体材料を加熱する温度は前駆体を含有する薄膜表面の温度が50℃〜1000℃の範囲で任意に設定することができるが、電子デバイスの、デバイスの特性や生産効率の観点から、100℃〜400℃にすることが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計、放射温度の測定が可能な放射温度計、ファイバー温度計などにより測定できる。加熱温度は電磁波の出力、照射時間、さらには照射回数により制御することが可能である。また、前駆体材料を加熱する時間は、任意に設定できるが、電子デバイスの特性や生産効率の観点から、1秒以上60分以下の範囲が好ましい。より好ましくは5分〜30分である。
本発明に係る硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩を用いることで比較的低い温度において半導体変換処理を行うことができる。
また、金属酸化物の形成はESCA等により検知でき、半導体への変換が充分行われる条件を予め選択することができる。
また、酸素プラズマ法としては大気圧プラズマ法を用いるのが好ましい。また酸素プラズマ法、UVオゾン法においては、基板を50℃〜300℃の範囲で加熱させることが好ましい。
大気圧プラズマ法では、大気圧下で、アルゴンガス等の不活性ガスを放電ガスとして、これと共に反応ガス(酸素を含むガス)を放電空間に導入して、高周波電界を印加して、放電ガスを励起させ、プラズマ発生させ、反応ガスと接触させて酸素を含むプラズマを発生させ、基体表面をこれに晒すことで酸素プラズマ処理を行う。大気圧下とは、20〜110kPaの圧力を表すが、好ましくは93〜104kPaである。
大気圧プラズマ法を用いて、酸素を含むガスを反応性ガスとして、酸素プラズマを発生させ、金属塩を含有する前駆体薄膜を、プラズマ空間に晒すことでプラズマ酸化により前駆体薄膜は酸化分解して、金属酸化物からなる層が形成される。
高周波電源として0.5kHz以上、2.45GHz以下、また、対向電極間に供給する電力は、好ましくは0.1W/cm以上、50W/cm以下である。
使用するガスは、基本的に、放電ガス(不活性ガス)と、反応ガス(酸化性ガス)の混合ガスである。反応ガスは好ましくは酸素ガスであり混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。0.1〜10体積%であることがより好ましいが、さらに好ましくは、0.1〜5体積%である。
上記不活性ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンや、窒素ガス等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスが好ましく用いられる。
また、反応ガスを放電空間である電極間に導入するには、常温常圧で構わない。
大気圧下でのプラズマ法については特開平11−61406号、同11−133205号、特開2000−121804号、同2000−147209号、同2000−185362号等に記載されている。
また、UVオゾン法は、酸素の存在下で、紫外光を照射し、酸化反応を進行させる方法である。紫外光の波長は、100nm〜450nm、特に好ましくは150〜300nm程度の所謂、真空紫外光を照射することが好ましい。光源は、低圧水銀灯、重水素ランプ、キセノンエキシマーランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーなどを用いることができる。
ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては100mW/cm〜100kW/cm、照射エネルギーとしては10〜5000mJ/cmが好ましく、100〜2000mJ/cmがより好ましい。
紫外線照射の際の照度は1mW〜10W/cmが好ましい。
また、本発明においては、酸化処理に加えて前記酸化処理の後、あるいは前記酸化処理と同時に加熱処理を施すことが好ましい。これにより酸化分解を促進できる。
また、金属化合物を含有する薄膜を酸化処理したのち、基材を50℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃の範囲で、加熱時間としては1分〜10時間の範囲で加熱することが好ましい。
加熱処理は、酸化処理と同時に行ってもよく、酸化による金属酸化物半導体への変換を迅速に行うことができる。
金属酸化物半導体への変換後、形成される半導体薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmが好ましい。
(マイクロ波の照射)
本発明においては、金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属化合物から形成された薄膜を半導体に変換する方法として、マイクロ波照射を用いることが好ましい。
即ち、これらの金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属化合物を含む薄膜を形成した後、該薄膜に対し、電磁波、特にマイクロ波(周波数0.3GHz〜50GHz)を照射する。
金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属化合物を含む薄膜にマイクロ波を照射することで、金属化合物前駆体中の電子が振動し、熱が発生して薄膜が内部から、均一に加熱される。ガラスや樹脂等の基板には、マイクロ波領域に吸収が殆どないため、基板自体は殆ど発熱せずに薄膜部のみを選択的に加熱し熱酸化、金属酸化物半導体へ変換することが可能となる。
マイクロ波加熱においては一般的な様に、マイクロ波吸収は吸収が強い物質に集中し、尚且つ非常に短時間で昇温することが可能なため、本発明にこの方法を用いた場合に、基材自身には殆ど電磁波による加熱の影響を与えず、短時間で前駆体薄膜のみを酸化反応が起きる温度まで昇温でき、金属酸化物前駆体を金属酸化物に変換することが可能となる。また、加熱温度、加熱時間は照射するマイクロ波の出力、照射時間で制御することが可能であり、前駆体材料、基板材料に合わせて調整することが可能である。
一般的に、マイクロ波とは0.3GHz〜50GHzの周波数を持つ電磁波のことを指し、携帯通信で用いられる0.8GHzおよび1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHzなどは全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。また、28GHz、また50GHz等の発振機を市場で入手できる。
オーブンなどを用いた通常の加熱方法に比較し、本発明の電磁波(マイクロ波)照射による加熱方法を用いることで、より良好な金属酸化物半導体層を得ることができる。金属酸化物半導体前駆体材料から金属酸化物半導体が生成するに際し、伝導熱以外の作用、例えば金属酸化物半導体前駆体材料への電磁波の直接的な作用を示唆する効果が得られている。機構は十分に明らかになっていないが、金属酸化物半導体前駆体材料の加水分解や脱水、分解、酸化等による金属酸化物半導体への転化が電磁波により促進された結果と推定される。
前記金属塩を含有する半導体前駆体層にマイクロ波照射を行って、半導体変換処理を行う方法は、短時間で選択的に酸化反応を進行させる方法である。尚、酸素の存在下で、マイクロ波を照射することが、短時間で金属酸化物半導体前駆体の酸化反応を進行させる上で好ましい。但し、熱伝導により少なからず基材にも熱が伝わるため、特に樹脂基板のような耐熱性の低い基材の場合は、マイクロ波の出力、照射時間、さらには照射回数を制御することで前駆体を含有する薄膜の表面温度が100℃以上〜400℃未満になる様に処理することが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計、また非接触の表面温度計により測定が可能である。
また、ITOのような強い電磁波吸収体が近傍(例えばゲート電極等)に存在する場合、これもマイクロ波を吸収し発熱するため、これに隣接する領域を更に短時間に加熱することができる。
本発明に係る金属塩から形成される金属酸化物半導体薄膜は、トランジスタ、ダイオードなどの各種の半導体素子、また電子回路等に用いることができ、基板上に前駆体材料の溶液を塗布することによって低温プロセスでの金属酸化物半導体材料層の作製が可能であり、樹脂基板を用いる薄膜トランジスタ素子(TFT素子)等、半導体素子の製造に好ましく適用することができる。
本発明の金属酸化物半導体を用いて、ダイオードやフォトセンサに用いることもできる。たとえば、後述する電極材料からなる金属薄膜と重ねることで、ショットキーダイオードやフォトダイオードを作製することも可能である。
以下、薄膜トランジスタの製造に用いる材料について説明する。
〈基板〉
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において好ましい支持体としてはプラスチックフィルムシートである。
プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができると共に、衝撃に対する耐性を向上できる。
〈ソース、ドレイン、ゲート電極〉
本発明において、TFT素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
また、前記のように、これらの電極材料と、前記電磁波吸収能を有する物質とを組み合わせ、電磁波吸収能を有する電極材料として用いることができる。
(電極等の形成方法)
これらの電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース、ドレイン、あるいはゲート電極等の電極、またゲート、あるいはソースバスライン等を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
〈ゲート絶縁層〉
種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、ペントオキサイドタンタル、ジオキサイドチタン、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。
無機酸化物皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法とゾルゲル法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法については以下にように説明される。
上記大気圧下でのプラズマ製膜処理とは、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理を指し、その方法については特開平11−133205号、特開2000−185362号、特開平11−61406号、特開2000−147209号、同2000−121804号等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。
これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
本発明に係るIJインクは、表面張力を10〜70mN/mおよび粘度を3〜40mPa・sとすることにより、飛翔性、出射性等を優れたものとすると共に、ゲート絶縁層の表面の濡れ性がパターン精度に大きく寄与することから、好ましいゲート絶縁層としては、酸化ケイ素膜である。
〔保護層〕
また有機薄膜トランジスタ素子上には保護層を設けることも可能である。保護層としては無機酸化物または無機窒化物、アルミニウム等の金属薄膜、ガス透過性の低いポリマーフィルム、およびこれらの積層物等が挙げられ、このような保護層を有することにより、有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。これらの保護層の形成方法としては、前述したゲート絶縁層の形成法と同様の方法を挙げることができる。また、ポリマーフィルム上に各種の無機酸化物等が積層されたフィルムを単にラミネートするなどといった方法で保護層を設けても良い。
ITO硝子基板(ITO電極が予めパターニングされた基板)上にポリシラザン溶液を塗布し、150℃10分予備乾燥した後、450℃1時間焼成を行い酸化ケイ素ゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層付き基板を作製した。
実施例1
〈金属酸化物半導体層の形成〉
次に、前記基板のゲート絶縁層上に、IJ方式により、インク組成を下記表1の様に変化させて、縦横300μmピッチで直径約50μmのドットパターンを出射し、150℃で10分間乾燥し半導体前駆体薄膜を形成した。形成された半導体前駆体薄膜を、マルチモードタイプの2.45GHzマイクロ波照射機(四国計測工業(株)製、μ−reactor)を用いて、大気雰囲気下、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。半導体面側のみ断熱材で保温し、熱電対による表面温度計を用いて、500W出力で200℃まで昇温後、マイクロ波出力をPID制御しながら薄膜の表面温度を200℃に保つように、15分間マイクロ波の照射を行った。半導体前駆体薄膜は金属酸化物半導体層に変換された。顕微鏡観察により出射性を下記項目で評価した。
尚、溶質は硝酸インジウムと硝酸ガリウムを用い、インジウム:ガリウム=2:1(mol比)となるようにして溶媒中に溶解(室温超音波30分)したものを用いた。
〈TFT素子の作製〉
次に、マスクを介して金を蒸着することで、ソース電極、ドレイン電極を形成しTFT素子を作製した。それぞれのサイズは、幅10μm、長さ50μm(チャネル幅)厚さ50nmであり、ソース電極、ドレイン電極の距離(チャネル長)は15μmとなるようにした。
評価は、下記の基準で行った。
《出射性》
インクの出射性を下記の項目で評価した。
〈誤差範囲〉
○:±5μm以内(サテライト無し)
△:±10μm以内(多少のサテライト)
×:±10μmを超える(多数のサテライト)
〈出射欠〉
○:欠無し
△:稀に欠が発生
×:頻繁に欠が発生
〈飛翔性〉
○:直線で飛翔
△:稀に曲がる液滴有り
×:頻繁に曲がる
〈膜厚均一性〉
○:全面に亘り、均一である
△:僅かであるが、ムラが見られる
×:明らかにムラが見られる。
《素子性能の評価》
ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−40Vから+40Vまで掃引したときのドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられた移動度(cm/Vs)と、On/Off比(log値)、そして閾値(Vth)について見積もった。閾値Vthはゲートバイアスに対するドレイン電流値の平方根√Idの関係にて、√Id=0に外挿して得たゲートバイアスの値とした。
各溶液毎にn=20の素子特性を測定し、最大On/Off比および移動度の最大値(Max)、及び最小値(Min)を求めバラつきの目安とした。最大、最小の巾が小さいほどバラつきが少なく作製できる事を示している。
評価結果を表1に示す。
Figure 2010283002
インクジェットインクの表面張力および粘度を本発明の範囲とすることにより、優れたパターニング精度が得られることが分かる。
また、本発明は、パターニング精度に優れるだけでなく、TFT素子にした場合の素子性能及び複数素子間の性能誤差が格段に向上することが分かる。
詳細は明らかではないが、素子性能には膜厚などの半導体層のプロファイル以外に造膜過程における構造形成が重要であると考えられる。すなわち本発明の液物性にすることによって乾燥工程や焼成工程での造膜性が最適化し性能向上につながったと考えられる。
実施例2
実施例1の試料No.5における、5%溶質濃度および粘度調整剤を、表2記載の様に変化し、更に焼成プロセスを表2に記載の方法(電気炉もしくはマイクロ波照射)として金属酸化物半導体層を形成し、実施例1と同様の方法でTFT素子を形成し、同様の各特性を評価した。尚、On/Off比および移動度は平均値で示した。
また、試料No.8は主溶媒をアセトニトリル55%(残りをN−メチルピロリドン45%)とし、原料は、塩化インジウム、塩化ガリウム比=2:1で溶解した。
評価結果を表2に示す。
Figure 2010283002
本発明に於いて、粘度調整剤や半導体層前駆体となる溶質の種類を変えることで、素子特性が変化することがわかる。
中でも、試料No.7は粘度調整剤としてエチレングリコールを用い、半導体の焼成方法としてマイクロ波(MW)加熱を用いる事で、更に良好な素子特性を得ることができる。
また、溶質を硝酸塩としたとこにより、試料No.8の塩化物に比べ、半導体焼成温度を低温化しても良好な特性が得られる事が分かる。

Claims (17)

  1. 基板上の所定の領域に金属酸化物薄膜パターンを製造する金属酸化物薄膜パターンの製造方法であって、該金属酸化物となる金属のイオンを含むインク組成物をインクジェット方式により塗布する工程を含み、該インク組成物の、粘度が3〜40mPa・s、かつ表面張力が10〜70mN/mであることを特徴とする金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  2. 前記インク組成物の固形物濃度がインク組成物全体に対し0.1〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  3. 前記インク組成物が、溶媒として少なくとも水を全溶媒中10質量%以上含有する水系インクであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  4. 前記インク組成物が、溶媒として少なくとも1種の沸点100℃以下の低級アルコールを含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  5. 前記インク組成物が、溶媒として少なくとも1種の沸点200℃以下の多価(2以上)アルコール成分を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  6. 前記沸点200℃以下の多価(2以上)アルコール成分がエチレングリコールを含有することを特徴とする請求項5に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  7. 前記インク組成物の室温における動的粘度が、1〜50mPa・s(せん断速度500Hz)であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  8. 前記インク組成物が金属塩を溶解した溶液であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  9. 前記金属塩が金属硝酸塩であることを特徴とする請求項8に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  10. 前記インク組成物をインクジェット法により塗布して、半導体前駆体層を形成し、該半導体前駆体層を変換することにより金属酸化物半導体層を形成することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  11. 前記半導体前駆体層を金属酸化物半導体層に変換する処理が、100℃以上400℃以下の熱処理であることを特徴とする請求項10に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  12. 前記半導体前駆体層を金属酸化物半導体層に変換する処理が、マイクロ波(0.3GHz〜50GHz)照射工程を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  13. 前記金属酸化物半導体層が少なくともIn、Zn、Snのいずれか1つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  14. 前記金属酸化物半導体層が少なくともGa、Alのいずれか1つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載の金属酸化物薄膜パターンの製造方法で製造されたことを特徴とする金属酸化物薄膜。
  16. 請求項15に記載の金属酸化物薄膜であることを特徴とする半導体。
  17. 請求項16に記載の半導体を用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
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