JP2010251591A - 薄膜トランジスタおよび該薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタおよび該薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Katsura Hirai
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Abstract

【課題】低温で簡便なプロセスにより形成可能で、移動度、on/off比に優れ、立ち上がり電圧のマイナス側へのシフト、S値劣化、素子間の性能バラツキを改良した、安定性の高い薄膜トランジスタ、および該薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】基板106上にゲート電極104、ゲート絶縁層105、ソース電極102、ドレイン電極103、及び半導体層101を有する薄膜トランジスタにおいて、半導体層101が塗布によって形成された酸化物半導体からなり、フッ素化合物含有層107がゲート電極104と半導体層101との間に設けられる。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属酸化物半導体を用いた電界効果型の薄膜トランジスタ(以下、薄膜トランジスタ素子、または素子ともいう。)および薄膜トランジスタの製造方法に関する。
ガラス基板上にアモルファスシリコン等の薄膜を形成しこれを活性層として用いる電界効果型薄膜トランジスタ(TFT)、またこれらを用いたアクティブマトリクス回路等はよく知られている。
しかしながら、アモルファスシリコンを用いたTFTは、キャリア移動度が低く、また連続駆動時の特性が不安定であるため、有機ELアクティブマトリクス回路等に用いるには、キャリア移動度の高い、安定な薄膜トランジスタが求められている。高移動度のTFTとして、ポリシリコン薄膜を用いたTFTが開発されているが、高精度な制御が求められるレーザーアニーリングが必要となるなど、製造プロセスが煩雑であり、素子間の性能ばらつきも問題となっている。簡便な製造プロセスが適用できるTFTとして、有機半導体を用いたTFTがよく知られているが、キャリア移動度が低く、連続駆動時の性能劣化、素子間のバラツキが大きいため、有機ELアクティブマトリクス回路等に用いるには不十分であることが分かってきた。簡便な製造プロセスが適用でき、連続駆動時の安定性やキャリア移動度が高く、素子間のバラツキの小さい、高移動度のTFTとして、近年、金属酸化物半導体を用いたTFTの開発が活発に行われている。
中でも、In−Ga−Zn−Oの組成を持つアモルファス金属酸化物が薄膜トランジスタの半導体として優れていることがわかってきた(例えば、特許文献1〜3参照)。
更に、簡便、低温、大気圧下形成が可能な溶液プロセスで、酸化物半導体層を形成する方法についても開示(例えば、特許文献4参照)されている。しかし、これらの方法の多くは、半導体として機能させるために400℃以上での高温焼成が必要とされており、樹脂基板に適用できる方法とは言い難いのが実状である。
また、溶液プロセスで形成された酸化物半導体層を有するトランジスタ特有の課題として、トランジスタ特性における立ち上がり電圧(Von)のマイナス側へのシフトや、オフ電流からオン電流への立ち上がりのシャープさを表すS値の劣化及びバラツキが問題となることが、発明者らの検討で分かってきた。
特開2006−165527号公報 特開2006−165528号公報 特開2007−73705号公報 特開2001−244464号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、低温で簡便なプロセスにより形成可能で、移動度、on/off比に優れ、更には、立ち上がり電圧のマイナス側へのシフト、S値劣化、素子間の性能バラツキを改良した、安定性の高い薄膜トランジスタ、および該薄膜トランジスタの製造方法を提供することにある。
1.基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層を有する薄膜トランジスタにおいて、
前記半導体層が塗布によって形成された酸化物半導体からなり、
フッ素化合物含有層が前記ゲート電極と前記半導体層との間に設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
2.前記フッ素化合物含有層が前記ゲート絶縁層と前記半導体層との間に設けられたことを特徴とする前記1に記載の薄膜トランジスタ。
3.前記フッ素化合物含有層が前記ゲート絶縁層中に設けられたことを特徴とする前記1に記載の薄膜トランジスタ。
4.前記フッ素化合物含有層が前記ゲート電極と前記ゲート絶縁層との間に設けられたことを特徴とする前記1に記載の薄膜トランジスタ。
5.前記フッ素化合物含有層がフッ素系樹脂を有してなることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
6.前記酸化物半導体が亜鉛又はインジウムを含む酸化物半導体からなることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
7.前記酸化物半導体が、亜鉛とインジウムを含む酸化物、亜鉛とガリウムを含む酸化物、又は、インジウムとガリウムを含む酸化物、を含む酸化物半導体からなることを特徴とする前記6に記載の薄膜トランジスタ。
8.前記酸化物半導体が、亜鉛とインジウムとガリウムとからなる酸化物、又は、インジウムとガリウムとからなる酸化物、を含有する酸化物半導体であることを特徴とする前記6に記載の薄膜トランジスタ。
9.前記半導体層が酸化物半導体の前駆体を用いた溶液プロセスで形成された膜からなることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
10.前記半導体層が酸化物半導体の前駆体を塗布して得られた膜にマイクロ波エネルギーを照射して形成された膜からなることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
11.1〜10のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタを製造することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
本発明によれば、低温で簡便なプロセスにより形成可能で、移動度、on/off比に優れ、更には、立ち上がり電圧のマイナス側へのシフト、S値劣化、素子間の性能バラツキを改良した、安定性の高い薄膜トランジスタ、および該薄膜トランジスタの製造方法を提供することができる。
薄膜トランジスタ素子の代表的な素子構成を示す図である。 薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタシートの1例を示す概略の等価回路図である。 実施例において例に挙げて説明する薄膜トランジスタ素子の構成を示す図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明は、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層を有する薄膜トランジスタにおいて、
前記半導体層が塗布によって形成された酸化物半導体からなり、
フッ素化合物含有層が前記ゲート電極と前記半導体層との間に設けられたことを特徴とする。
以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
(フッ素化合物含有層)
本発明におけるフッ素化合物含有層は、フッ素原子を含有する化合物を有してなる層であり、フッ素原子を含有する低分子化合物からなる層又はフッ素原子を含有する低分子化合物を含んでなる層、あるいは、フッ素系樹脂からなる層又はフッ素系樹脂を含んでなる層、である。
フッ素原子を含有する低分子化合物からなる層又はフッ素原子を含有する低分子化合物を含んでなる層は、例えば、酸化ケイ素などからなるゲート絶縁層(ゲート絶縁膜ともいう。)上に、表面処理剤として一般的に知られる、フッ素原子を含有するアルキル基(フルオロアルキル基)やパーフルオロアルキル基を有する、シラン化合物、アルキルシラザン類などを用いて、例えば、自己組織化単分子膜(SAMともいう。)として形成することができる。ゲート絶縁膜上にSAMを形成可能な化合物として、具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン
(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン
(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン
パーフルオロドデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(信越化学社製KBM7103)
ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシラザン
(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン
ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン
ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン
ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン
ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン
1,8−ビス(トリクロロシリルエチルヘキサデカフルオロオクタン
これら上記の化合物は、信越化学社等から製品として入手可能である。
また、本発明におけるフッ素化合物含有層として、フッ素系樹脂からなる層又はフッ素系樹脂を含んでなる層は、塗布などで簡単に膜形成が可能なフッ素系樹脂も好ましく用いることができる。本発明に用いられるフッ素系樹脂としては、パーフロロポリエーテル系材料、フッ素化単環ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニリデン−三フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これら上記の化合物は、例えば、フォンブリデンドールDOL−4000(アウジモンド社製)やサイトップ(旭硝子社製)などの製品として入手可能である。
(フッ素化合物含有層の位置)
本発明は、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層を有する薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層が塗布によって形成された酸化物半導体からなり、フッ素化合物含有層が前記ゲート電極と前記半導体層との間に設けられる。
本発明において、フッ素化合物含有層を設ける位置は、前記ゲート絶縁層と前記半導体層との間、前記ゲート絶縁層中、前記ゲート電極と前記ゲート絶縁層との間、のいずれの位置でもよいが、前記ゲート絶縁層と前記半導体層との間の前記半導体層に接するように設けることがより好ましい。フッ素化合物含有層は複数の位置に2層以上設けてもよいし、別の材料からなる層を複数層積層して設けてもよい。
(ゲート絶縁層)
本発明の薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセス(溶液プロセス)が挙げられ、材料に応じて使用できる。
これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法、あるいは、ウェットプロセス(溶液プロセス)である。
ウェットプロセス(溶液プロセス)は、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥するゾルゲル法等を用いることができるが、Si−N結合を含むポリシラザン等の無機高分子材料の薄膜を塗布により形成して、これを加熱などの酸化処理によって、酸化ケイ素や酸化チタンを主成分として含有する無機膜に変換したものが好ましい。
これらの無機高分子材料、例えば、ポリシラザン(パーハイドロポリシラザン)は、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、アクアミカNP110、NN110等として市場から入手可能である。
無機高分子材料から無機膜への転化は、加熱処理によって行うのが一般的だが、UVオゾン酸化、Oプラズマ酸化などによって行うこともでき、熱酸化との組み合わせも効果的である。また、加熱処理は水蒸気あるいは酸素存在下で行うと転化反応の進行が早くて好ましい。
ゲート絶縁層(膜)が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等を用いることもできる。
上記有機化合物皮膜の形成方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセス(溶液プロセス)が挙げられる。
無機酸化物皮膜と有機化合物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
(酸化物半導体)
本発明において酸化物半導体は金属酸化物であり、本発明は、金属酸化物半導体の金属成分を含み且つ該金属酸化物半導体の前駆体となる材料の薄膜を設けた後、該薄膜に熱酸化等の半導体変換処理を行って、金属酸化物半導体に変換し半導体の薄膜を得るものである。
金属酸化物半導体前駆体としては、金属原子含有化合物が挙げられ、金属原子含有化合物には、金属原子を含む、金属塩、ハロゲン化金属化合物、有機金属化合物等を挙げることができる。
金属塩、ハロゲン金属化合物、有機金属化合物の金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
本発明において、これらの金属塩においては、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)のいずれかの塩を1つ以上含むことが好ましく、それらを併用して混合させてもよい。
また、その他の金属として、ガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)のいずれかの塩を含むことが好ましい。
金属塩としては、硝酸塩、酢酸塩等を、ハロゲン金属化合物としては塩化物、ヨウ化物、臭化物等を好適に用いることができる。
有機金属化合物としては、下記の一般式(I)で示すものが挙げられる。
一般式(I) R MR
式中、Mは金属、Rはアルキル基、Rはアルコキシ基、Rはβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基およびケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、いずれも0または正の整数である。Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。Rのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることができる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。Rのβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基およびケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンあるいはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えばアセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等を挙げることができ、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることができる。これらの基の炭素原子数は18以下が好ましい。また直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子にしたものでもよい。有機金属化合物のなかでは、分子内に少なくとも1つ以上の酸素を有するものが好ましい。このようなものとしてRのアルコキシ基を少なくとも1つを含有する有機金属化合物、またRのβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基およびケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも1つ有する金属化合物が最も好ましい。金属塩のなかでは、硝酸塩が好ましい。硝酸塩は高純度品が入手しやすく、また使用時の媒体として好ましい水に対する溶解度が高い。硝酸塩としては、硝酸インジウム、硝酸錫、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム等が挙げられる。
以上の金属酸化物半導体前駆体のうち、好ましいのは、金属の硝酸塩、金属のハロゲン化物、アルコキシド類である。具体例としては、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム、硝酸スズ、硝酸アルミニウム、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化スズ(2価)、塩化スズ(4価)、塩化ガリウム、塩化アルミニウム、トリ−i−プロポキシインジウム、ジエトキシ亜鉛、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、トリ−i−プロポキシガリウム、トリ−i−プロポキシアルミニウムなどが挙げられる。
なかでも、本発明においては、金属酸化物半導体の前駆体として、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩を用いることが好ましい。
本発明においては、前駆体として、上記金属の硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩を用いることによりキャリア移動度の大きい、TFT素子としたときon/off比の大きい良好な特性を示す金属酸化物半導体を得ることができる。
これらの金属塩は、他の無機塩、また有機金属化合物を用いる場合に比べ、加水分解、脱水反応を含むと予想される酸化反応のエネルギーが小さいこと、酸化物生成過程で発生する分解物が効率よく気化、排出されるために膜に残存しにくく、生成した酸化物中に存在する炭素などの不純物成分が少ないため、良好な半導体特性が得られるものと推定される。
不純物低減、半導体特性の向上の観点から、上記金属塩の中でも硝酸塩が最も好ましい。
金属塩、特に硝酸塩で得られる半導体特性向上の効果は、加熱温度が100℃以上、400℃以下の温度範囲で得られる非晶質の金属酸化物半導体において、特に顕著である。非晶質酸化物の半導体の良好な状態が、金属塩を原料とした半導体薄膜で得られることは従来知られておらず、本発明で得られる顕著な効果といえる。
これらの塩を用いると、また、半導体変換処理として電磁波(マイクロ波)で実質低温において変換するとき照射時間を短くでき好ましい。
(前駆体薄膜の成膜方法、パターン化方法)
これらの金属酸化物半導体の前駆体を含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などを用いることができるが、本発明においては、前述した金属酸化物半導体の前駆体を適切な溶媒に溶解した溶液を用い基板上に塗設することが好ましく、これにより生産性を大幅に向上させることができる。
金属酸化物半導体の前駆体を溶解する溶媒としては、水の他、用いる金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではなく、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、更に、キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなど、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を用いることができる。
中でも、金属塩などの溶解性、塗布後の乾燥性の観点から水および低級アルコールが好ましく、低級アルコールの中ではメタノール、エタノール、プロパノール(1−プロパノール及びイソプロパノール)が乾燥性の観点で好ましい。また、溶媒として低級アルコールを単独で用いてもよいし、水と任意の割合で混合して用いてもよい。溶解性と溶液安定性および乾燥性の観点から水とこれら低級アルコール類を混合して本発明の「水溶液」を作製することが好ましい。低級アルコールを混合して水溶液を作製すると、大きな組成の変化を行わず表面張力を下げることができるので、インクジェット塗布等において出射性が向上するので好ましい。
本発明の水溶液とは溶媒中の水含有率が30質量%以上の混合溶媒および水(水含有率=100質量%)に溶質(本発明では金属塩とその他必要に応じて添加される添加剤)を溶解した溶液を意味する。金属塩等溶質の溶解性、溶液安定性の観点から好ましくは水含有率は50質量%以上であり、さらに好ましくは水含有率が70質量%以上である。
また、乾燥性およびインクジェット出射性、薄膜トランジスタの特性などの半導体特性を考慮した場合、溶媒比率で5質量%以上の低級アルコール添加が好ましく、いずれの特性(乾燥、出射性と溶液安定性)も満たすには水/低級アルコール比率が5/5〜95/5であることが好ましい。
さらに、アルコール類添加の効果として、半導体特性の向上の効果が認められる。たとえば薄膜トランジスタの移動度、on/off比、閾値などの特性の向上が認められる。この効果の原因について明確でないが、加熱による酸化物の生成プロセスに影響しているものと推察される。
特に、硝酸塩等の金属塩は、金属アルコキシド類のように室温で加水分解することがなく、水を主たる溶媒として用いることができるので、製造工程上、また環境上もより好ましい。
また、金属塩化物等の金属塩は大気中での劣化、分解と(特にガリウム等の場合)、強い潮解性とが激しいが、硝酸塩等の無機塩については潮解、また劣化等がなく使い易いことも製造環境上より好ましい。
前記金属塩の中でも、水に対する劣化、分解、また容易に溶けること、さらに、潮解性等の性能においても優れた性質をもつ硝酸塩が最も好ましい。
本発明においては、金属塩などを含有する溶液を基材上に適用して、金属酸化物半導体の前駆体を含有する薄膜を形成する。
金属塩などを含有する溶液を基材上に適用して、金属酸化物半導体の前駆体薄膜を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、など、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等、広い意味での塗布による方法が挙げられ、また、これによりパターン化する方法などが挙げられる。塗布膜からフォトリソグラフ法、レーザーアブレーションなどによりパターン化してもよい。これらのうち、好ましいのは薄膜の塗布が可能な、インクジェット法、スプレーコート法等である。
例えばインクジェット法を用いて成膜する場合、金属塩溶液を滴下して、80℃〜100℃程度で溶媒(水)を揮発させることにより金属塩を含有する半導体前駆体層薄膜が形成される。尚、溶液を滴下する際、基板自体を80℃〜150℃程度に加熱しておくと、塗布、乾燥の2プロセスを同時に行え、前駆体膜の造膜性も良好なため好ましい。
(金属の組成比)
本発明の方法により、前述した金属原子から選ばれた単独、または複数の金属原子を含む金属酸化物半導体の薄膜を作製する。金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。
形成された金属酸化物半導体に含まれる金属原子は、前駆体の記述に挙げたものと同様に、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)のいずれかを含むことが好ましく、さらにガリウム(Ga)またはアルミニウム(Al)を含むことが好ましい。
これらの金属を成分として含む前駆体溶液を作製する場合、好ましい金属の組成比としては、In、Snの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属A)と、Ga、Alの金属塩から選ばれる塩に含有される金属(金属B)と、Znの金属塩に含有される金属(金属C=Zn)とのモル比率(金属A:金属B:金属C)が、以下の関係式を満たすことが好ましい。
金属A:金属B:金属C=1:0.2〜1.5:0〜5
である。
金属塩としては、硝酸塩が最も好ましいので、In、Sn(金属A)と、Ga、Al(金属B)と、Zn(金属C)とのモル比率(A:B:C)が、上記の関係式を満たすように、各金属の硝酸塩を、水を主成分とした溶媒に溶解・形成した塗布液を用いて金属無機塩を含む前駆体薄膜を塗布により形成することが好ましい。
また、前駆体となる金属無機塩を含む薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。
(非晶質酸化物)
形成される金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。非晶質であることは、X線回折や電子線回折により確認でき、結晶に固有の回折パターンが観測されなければ、非晶質とみなすことができる。
金属酸化物半導体の前駆体となる金属化合物材料から形成された、本発明に係る金属酸化物である非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満が実現されていればよい。電子キャリア濃度は室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択されるある温度である。なお、本発明に係るアモルファス酸化物の電子キャリア濃度は、0℃から40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度をさらに下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリーオフのTFTが歩留まり良く得られる。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることができる。
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
本発明においては、前駆体材料(金属塩)、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、さらには1015/cm以上1016/cm以下の範囲にすることが好ましいものである。
前記半導体変換処理、即ち金属無機塩から形成された前駆体薄膜を金属酸化物半導体に変換する方法としては、酸素プラズマ法、熱酸化法、UVオゾン法等の酸化処理が挙げられる。また後述するマイクロ波照射を用いることができる。
本発明において、前駆体材料を加熱する温度は前駆体を含有する薄膜表面の温度が50℃〜1000℃の範囲で任意に設定することができるが、電子デバイスの、デバイスの特性や生産効率の観点から、100℃〜400℃にすることが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計、放射温度の測定が可能な放射温度計、ファイバー温度計などにより測定できる。により測定できる。加熱温度は電磁波の出力、照射時間、さらには照射回数により制御することが可能である。また、前駆体材料を加熱する時間は、任意に設定できるが、電子デバイスの特性や生産効率の観点から、1秒以上60分以下の範囲が好ましい。より好ましくは5分〜30分である。
本発明において硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩から選ばれる金属塩を用いることで比較的低い温度において半導体変換処理を行うことができる。
また、金属酸化物の形成はESCA等により検知でき、半導体への変換が充分行われる条件を予め選択することができる。
また、酸素プラズマ法としては大気圧プラズマ法を用いるのが好ましい。また酸素プラズマ法、UVオゾン法においては、基板を50℃〜300℃の範囲で加熱させることが好ましい。
大気圧プラズマ法では、大気圧下で、アルゴンガス等の不活性ガスを放電ガスとして、これと共に反応ガス(酸素を含むガス)を放電空間に導入して、高周波電界を印加して、放電ガスを励起させ、プラズマ発生させ、反応ガスと接触させて酸素を含むプラズマを発生させ、基体表面をこれに晒すことで酸素プラズマ処理を行う。大気圧下とは、20〜110kPaの圧力を表すが、好ましくは93〜104kPaである。
大気圧プラズマ法を用いて、酸素含むガスを反応性ガスとして、酸素プラズマを発生させ、金属塩を含有する前駆体薄膜を、プラズマ空間に晒すことでプラズマ酸化により前駆体薄膜は酸化分解して、金属酸化物からなる層が形成する。
高周波電源として0.5kHz以上、2.45GHz以下、また、対向電極間に供給する電力は、好ましくは0.1W/cm以上、50W/cm以下である。
使用するガスは、基本的に、放電ガス(不活性ガス)と、反応ガス(酸化性ガス)の混合ガスである。反応ガスは好ましくは酸素ガスであり混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。0.1〜10体積%であることがより好ましいが、さらに好ましくは、0.1〜5体積%である。
上記不活性ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンや、窒素ガス等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスが好ましく用いられる。
また、反応ガスを放電空間である電極間に導入するには、常温常圧で構わない。
大気圧下でのプラズマ法については特開平11−61406号、同11−133205号、特開2000−121804号、同2000−147209号、同2000−185362号等に記載されている。
また、UVオゾン法は、酸素の存在下で、紫外光を照射し、酸化反応を進行させる方法である。紫外光の波長は、100nm〜450nm、特に好ましくは150〜300nm程度の所謂、真空紫外光を照射することが好ましい。光源は、低圧水銀灯、重水素ランプ、キセノンエキシマーランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーなどを用いることができる。
ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては100mW/cm〜100kW/cm、照射エネルギーとしては10〜5000mJ/cmが好ましく、100〜2000mJ/cmがより好ましい。
紫外線照射の際の照度は1mW〜10W/cmが好ましい。
また、本発明においては、酸化処理に加えて前記酸化処理の後、あるいは前記酸化処理と同時に加熱処理を施すことが好ましい。これにより酸化分解を促進できる。
また、金属塩を含有する薄膜を酸化処理したのち、基材を50℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃の範囲で、加熱時間としては1分〜10時間の範囲で加熱することが好ましい。
加熱処理は、酸化処理と同時に行ってもよく、酸化による金属酸化物半導体への変換を迅速に行うことができる。
金属酸化物半導体への変換後、形成される半導体薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmが好ましい。
本発明においては、前記半導体変換処理として、マイクロ波(0.3〜50GHz)照射の工程を含むことが好ましい。また、酸素の存在下で、マイクロ波を照射することが、短時間で金属酸化物半導体前駆体の酸化反応を進行させる上で好ましい。
(マイクロ波の照射)
本発明においては、金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属無機塩材料から形成された薄膜を半導体に変換する方法として、マイクロ波照射を用いることが好ましい。
即ち、これらの金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属塩材料を含む薄膜を形成した後、該薄膜に対し、電磁波、特にマイクロ波(周波数0.3GHz〜50GHz)を照射する。
金属酸化物半導体の前駆体となる前記金属塩材料を含む薄膜にマイクロ波を照射することで、金属酸化物前駆体中の電子が振動し、熱が発生して薄膜が内部から、均一に加熱される。ガラスや樹脂等の基板には、マイクロ波領域に吸収が殆どないため、基板自体は殆ど発熱せずに薄膜部のみを選択的に加熱し熱酸化、金属酸化物半導体へ変換することが可能となる。
マイクロ波加熱においては一般的な様に、マイクロ波吸収は吸収が強い物質に集中し、尚且つ非常に短時間で昇温することが可能なため、本発明にこの方法を用いた場合に、基材自身には殆ど電磁波による加熱の影響を与えず、短時間で前駆体薄膜のみを酸化反応が起きる温度まで昇温でき、金属酸化物前駆体を金属酸化物に変換することが可能となる。また、加熱温度、加熱時間は照射するマイクロ波の出力、照射時間で制御することが可能であり、前駆体材料、基板材料に合わせて調整することが可能である。
一般的に、マイクロ波とは0.3GHz〜50GHzの周波数を持つ電磁波のことを指し、携帯通信で用いられる0.8GHzおよび1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHzなどは全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。また、28GHz、また50GHz等の発振機を市場で入手できる。
オーブンなどを用いた通常の加熱方法に比較し、本発明の電磁波(マイクロ波)照射による加熱方法を用いることで、より良好な金属酸化物半導体層を得ることができる。金属酸化物半導体前駆体材料から金属酸化物半導体が生成するに際し、伝導熱以外の作用、例えば金属酸化物半導体前駆体材料への電磁波の直接的な作用を示唆する効果が得られている。機構は十分に明らかになっていないが、金属酸化物半導体前駆体材料の加水分解や脱水、分解、酸化等による金属酸化物半導体への転化が電磁波により促進された結果と推定される。
前記金属塩を含有する半導体前駆体層にマイクロ波照射を行って、半導体変換処理を行う方法は、短時間で選択的に酸化反応を進行させる方法である。尚、酸素の存在下で、マイクロ波を照射することが、短時間で金属酸化物半導体前駆体の酸化反応を進行させる上で好ましい。但し、熱伝導により少なからず基材にも熱が伝わるため、特に樹脂基板のような耐熱性の低い基材の場合は、マイクロ波の出力、照射時間、さらには照射回数を制御することで前駆体を含有する薄膜の表面温度が100℃以上〜400℃未満になる様に処理することが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計、また非接触の表面温度計により測定が可能である。
また、ITOのような強い電磁波吸収体が近傍(例えばゲート電極等)に存在する場合、これもマイクロ波を吸収し発熱するため、これに隣接する領域を更に短時間に加熱することができる。
(素子構成)
図1は、本発明に係わる金属酸化物半導体を用いた、薄膜トランジスタ素子の代表的な素子構成を示す図である。
薄膜トランジスタの構成例を幾つか断面図にて図1(a)〜(f)に示す。図1において、ソース電極102、ドレイン電極103を、金属酸化物半導体からなる半導体層101がチャネルとして連結するよう構成される。
同図(a)は、支持体106上に本発明の方法によりソース電極102、ドレイン電極103を形成して、これを基材(基板)として、両電極間に半導体層101を形成し、その上にゲート絶縁層105を形成し、さらにその上にゲート電極104を形成して電界効果薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、半導体層101を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極および支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、支持体106上に、まず、半導体層101を形成し、その後ソース電極102、ドレイン電極103、そして絶縁層105を形成した後、ゲート電極104を形成したものを表す。本発明においては、半導体層およびフッ素化合物含有層(フッ素化合物含有層については図示してない。)が本発明の構成や方法で形成されていればよい。
同図(d)は、支持体106上にゲート電極104を形成した後、ゲート絶縁層105を形成し、その上にソース電極102およびドレイン電極103を形成し、該電極間に半導体層101を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
図2は、薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタシートの1例を示す概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート120はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ素子124を有する。121は各薄膜トランジスタ素子124のゲート電極のゲートバスラインであり、122は各薄膜トランジスタ素子124のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ素子124のドレイン電極には、出力素子126が接続され、この出力素子126は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子126として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。125は蓄積コンデンサ、127は垂直駆動回路、128は水平駆動回路である。これら薄膜トランジスタシート120における各トランジスタ素子のソース、ドレイン電極又ゲート電極等、さらにゲートバスライン、ソースバスライン、また回路配線の製造に本発明を用いることができる。
次いで、TFT素子を構成する各要素について説明する。
(電極)
本発明において、TFT素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
(電極等の形成方法)
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース、ドレイン、あるいはゲート電極等の電極、またゲート、あるいはソースバスライン等を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
(基板)
基板(支持体)を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「部」あるいは「%」の表示は、「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
ボトムゲート・トップコンタクト構成の薄膜トランジスタ素子を作製した。
以下、図3(a)、(b)、(c)、(d)の構成の薄膜トランジスタ素子を例に挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
支持体106(図3(a))としてポリイミドフィルム(厚み200μm)を用い、この上に、まず、50W/m/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層(図では記載を省略した。)とした。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
次いで、ゲート電極を形成する。スパッタ法により、厚さ150nmのITO皮膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてゲート電極104を形成した(図3(a))。
(ゲート絶縁層及びフッ素化合物含有層の形成工程)
(薄膜トランジスタ1の作製)
上記で作製したゲート電極104を形成した支持体の上に、アクアミカNP110−10(パーヒドロポリシラザン/アミン系触媒/キシレン10質量%溶液:AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)をスピンコート(2000rpm×30sec)にて塗布、乾燥し、絶縁膜前駆体層を形成した。次いで、大気中で1時間、ホットプレート上(200℃)で加熱処理を行い、ポリシラザンから転化したSiO膜であるゲート絶縁層(膜)105(図3(a))(膜厚180nm)を形成した。
続いて、ゲート絶縁層(膜)105が形成された基板を、CF(CHSi(OEt)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、室温)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥させることで、ゲート絶縁膜表面にCF(CHSi基が自己組織的に配列結合したフッ素化合物含有層107(図3(a))を形成した。
次ぎに、半導体層を形成する。
(半導体前駆体薄膜、半導体層(IGZO)、の形成(プレカーサ塗布法))
硝酸インジウム〔In(NO〕、硝酸亜鉛〔Zn(NO〕、硝酸ガリウム〔Ga(NO〕を金属比率で1:1:1(モル比)で混合した10質量%水溶液としたものをインクとして、基板温度を100℃に保ちながらチャネル形成部にインクジェット塗布し150℃で10分間処理して乾燥し半導体前駆体薄膜を形成した。
その後、この基板に、マルチモードタイプの2.45GHzマイクロ波照射機(四国計測工業(株)製 μ−reactor)を用いて、大気雰囲気下、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。半導体面側のみ断熱材で保温し、熱電対による表面温度計を用いて、500W出力で300℃まで昇温後、マイクロ波出力をPID制御しながら薄膜の表面温度を300℃に保つように、30分間マイクロ波の照射を行った。半導体前駆体材料薄膜は半導体層101に変換された(図3(a))。
次に、マスクを介して金を蒸着することで、ソース電極102、ドレイン電極103を形成し薄膜トランジスタ素子を作製した。それぞれのサイズは、幅10μm、長さ50μm(チャネル幅)厚さ50nmであり、ソース電極、ドレイン電極の距離(チャネル長)は15μmとなるようにした。
これにより薄膜トランジスタ1(本発明)を作製した(図3(a))。
(薄膜トランジスタ2(比較)の作製)
薄膜トランジスタ1の作製において、フッ素化合物含有層を形成しなかった他は、
同様にして薄膜トランジスタ2(比較)を作製した。
(薄膜トランジスタ3(比較)の作製)
薄膜トランジスタ1の作製において、半導体層101の作製(半導体前駆体薄膜、半導体層、の形成(プレカーサ塗布法))を、下記の如くして、半導体層1の作製(スパッタ法)に代えた他は同様にして薄膜トランジスタ3(比較)を作製した。
(半導体層の形成(スパッタ法))
半導体層をスパッタ法により形成した。スパッタのターゲットにはIn:Ga:Znの組成比を1:1:1とした複合酸化物を用い、DCマグネトロン方式のスパッタ装置で製膜した。(必要の場合には、パターン化は通常のフォトリソエッチング法を用い、エッチャントはITO用の市販品を使用することができる)。形成した酸化物半導体層101の平均膜厚は30nmであった(図3(a))。
(薄膜トランジスタ4(比較)の作製)
薄膜トランジスタ3の作製において、フッ素化合物含有層を形成しなかった他は、
同様にして薄膜トランジスタ4(比較)を作製した。
(薄膜トランジスタ5(本発明)の作製)
薄膜トランジスタ1の作製において、CF(CHSi基が自己組織的に配列結合したフッ素化合物含有層の形成を、下記の如くして、サイトップからなるフッ素化合物含有層の形成に代えた他は同様にして薄膜トランジスタ5(本発明)を作製した。
(サイトップからなるフッ素化合物含有層の形成)
ゲート絶縁層(膜)上に、CTL−809M(サイトップ、旭硝子製フッ素系樹脂、9質量%パーフルオロトリブチルアミン溶液)を5質量%になるように希釈した液を用い、スピンコート(4000rpm×30sec)にて塗布した後、乾燥し、180℃にて1時間加熱することで、ゲート絶縁膜上にサイトップからなるフッ素化合物含有層(膜厚160nm)を形成した。
(薄膜トランジスタ6(本発明)の作製)
薄膜トランジスタ5(本発明)の作製において、ゲート絶縁層として、ポリシラザンから転化したSiO膜の代わりに、下記の如くしてポリビニルフェノール膜からなるゲート絶縁膜を設けた他は同様にして、薄膜トランジスタ6(本発明)を作製した。
(ポリビニルフェノールからなるゲート絶縁膜の形成)
ゲート電極を有する支持体上に、ポリ4−ビニルフェノール、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)メチレート84質量%1−ブタノール溶液、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、が質量%比で10:5:85になるように混合した液を用い、スピンコート(6000rpm×30sec)にて塗布した後、乾燥し、200℃にて2時間加熱することで、ポリビニルフェノールからなるゲート絶縁膜(膜厚300nm)を形成した。
(薄膜トランジスタ7(比較)の作製)
薄膜トランジスタ6本発明)の作製において、サイトップからなるフッ素化合物含有層を設けなかった他は同様にして薄膜トランジスタ7(比較)を作製した。
(薄膜トランジスタ8(本発明)の作製)
薄膜トランジスタ6(本発明)の作製において、半導体層IGZO(In,Ga、Zn酸化物)(プレカーサ塗布法)の代わりに、下記の如くにして半導体層IGO(In,Ga酸化物)(プレカーサ塗布法)を設けた他は同様にして、薄膜トランジスタ8(本発明)を作製した。
(半導体前駆体薄膜、半導体層(IGO)、の形成(プレカーサ塗布法))
硝酸インジウム〔In(NO〕、硝酸ガリウム〔Ga(NO〕を金属比率で1:0.5(モル比)で混合した10質量%水溶液としたものをインクとして、基板温度を100℃に保ちながらチャネル形成部にインクジェット塗布し150℃で10分間処理して乾燥し半導体前駆体薄膜を形成した。
その後、この基板に、マルチモードタイプの2.45GHzマイクロ波照射機(四国計測工業(株)製 μ−reactor)を用いて、大気雰囲気下、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。半導体面側のみ断熱材で保温し、熱電対による表面温度計を用いて、500W出力で300℃まで昇温後、マイクロ波出力をPID制御しながら薄膜の表面温度を300℃に保つように、30分間マイクロ波の照射を行った。半導体前駆体材料薄膜は半導体層101に変換された(図3(a))。
(薄膜トランジスタ9(本発明)の作製)
薄膜トランジスタ6(本発明)の作製において、ゲート絶縁層、次ぎにフッ素化合物含有層を設けた代わりに、順序を逆にして、フッ素化合物含有層、次ぎにゲート絶縁層を設けた他は同様にして、薄膜トランジスタ9(本発明)を作製した(図3(b))。
(薄膜トランジスタ10(本発明)の作製)
薄膜トランジスタ6(本発明)の作製において、ゲート絶縁層、次ぎにフッ素化合物含有層を設けた代わりに、ゲート絶縁層、次ぎにフッ素化合物含有層を設けた後に、次ぎに更にゲート絶縁層(前記ゲート絶縁層と同一)を設けた他は同様にして、薄膜トランジスタ10(本発明)を作製した(図3(c))。
(薄膜トランジスタ11(本発明)の作製)
薄膜トランジスタ6(本発明)の作製において、ゲート絶縁層、次ぎにフッ素化合物含有層を設けた代わりに、下記に記載の如くして、ゲート絶縁層、フッ素化合物含有層の材料を混合して用いた層(ゲート絶縁層=フッ素化合物含有層)を設けた他は同様にして、薄膜トランジスタ11(本発明)を作製した。
(ポリビニルフェノール・サイトップ混合使用層(ゲート絶縁層=フッ素化合物含有層)の作製)
CTL−809M(サイトップ、旭硝子製フッ素系樹脂、9質量%パーフルオロトリブチルアミン溶液)を5質量%になるようにパーフルオロトリブチルアミンにて希釈した液であるサイトップ溶液と、ポリ4−ビニルフェノール、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)メチレート84質量%1−ブタノール溶液、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、が質量%比で10:5:85になるように混合した液であるポリビニルフェノール溶液と、を1:1で混合し、同様にスピンコート(4000rpm×30sec)にて塗布した後、乾燥し、200℃にて2時間加熱することで、ポリビニルフェノール・サイトップ混合使用層(ゲート絶縁層=フッ素化合物含有層)(膜厚450nm)を形成した。
《評価》
(薄膜トランジスタ素子特性(キャリア移動度、on/off比))
各薄膜トランジスタ素子の特性を、それぞれ、ドレインバイアスを40Vとし、ゲートバイアスを−40Vから+40Vまで掃引したときのドレイン電流の増加(伝達特性)について観測し、その飽和領域から見積もられた移動度(キャリア移動度)(cm/Vs)と、on/off比(最大電流値と最小電流値の比)について見積もった。各水準毎に10素子をランダムに選出し、それぞれについて10素子の平均値を求め、キャリア移動度、on/off比として求めた。
(立ち上がり電圧(Von))
立ち上がり電圧(Von)は、ゲートバイアスを−40Vから+40Vまで掃引したときに、ドレイン電流が急激に増加し始める(立ち上がる)点、すなわちオフ電流からオン電流に変わる点におけるゲート印加電圧の値(V)として求めた。前述した薄膜トランジスタ素子特性の評価で各水準毎に選出した10素子において、立ち上がり電圧Vonの最大値をVon/MAX、最小値をVon/MINとした。
(S値)
また、オフ電流からオン電流への立ち上がりのシャープさを表すS値は、次のように求めた。前記立ち上がり電圧Vonにおけるドレイン電流値が、1×10倍になった点におけるゲート印加電圧をVとしたとき、VとVonの差、すなわち、S値(V)=V−Vonとして求めた。前述した薄膜トランジスタ素子特性の評価で各水準毎に選出した10素子の平均値を求め、最終的なS値とした。
(素子間の性能バラツキ)
素子間の性能バラツキは、前述した薄膜トランジスタ素子特性の評価で各水準毎に選出した10素子において、立ち上がり電圧Vonの最大値をVon/MAX、最小値をVon/MINとしたとき、Von/MAXとVon/MINの差、すなわち
on/MAX−Von/MIN
として求めた値を、下記評価基準に則り素子間の性能バラツキとして評価した。
◎:(Von/MAX−Von/MIN)が、1V未満
○:(Von/MAX−Von/MIN)が、1V以上5V未満
△:(Von/MAX−Von/MIN)が、5V以上15V未満
×:(Von/MAX−Von/MIN)が、15V以上
結果を表2に示す。
Figure 2010251591
Figure 2010251591
表2から、本発明の場合には、移動度、on/off比に優れ、更には、立ち上がり電圧のマイナス側へのシフト、S値劣化、および、素子間の性能バラツキ、の改良に優れ、安定性の高い薄膜トランジスタであることがわかる。
本発明により、低温で簡便なプロセスにより形成可能で、移動度、on/off比に優れ、更には、立ち上がり電圧のマイナス側へのシフト、S値劣化、および、素子間の性能バラツキ、を改良した、安定性の高い薄膜トランジスタ、および該薄膜トランジスタの製造方法を提供できることがわかる。
101 半導体層
102 ソース電極
103 ドレイン電極
104 ゲート電極
105 ゲート絶縁層
106 支持体(基板)
107 フッ素化合物含有層

Claims (11)

  1. 基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、及び半導体層を有する薄膜トランジスタにおいて、
    前記半導体層が塗布によって形成された酸化物半導体からなり、
    フッ素化合物含有層が前記ゲート電極と前記半導体層との間に設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 前記フッ素化合物含有層が前記ゲート絶縁層と前記半導体層との間に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記フッ素化合物含有層が前記ゲート絶縁層中に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 前記フッ素化合物含有層が前記ゲート電極と前記ゲート絶縁層との間に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  5. 前記フッ素化合物含有層がフッ素系樹脂を有してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
  6. 前記酸化物半導体が亜鉛又はインジウムを含む酸化物半導体からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
  7. 前記酸化物半導体が、亜鉛とインジウムを含む酸化物、亜鉛とガリウムを含む酸化物、又は、インジウムとガリウムを含む酸化物、を含む酸化物半導体からなることを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスタ。
  8. 前記酸化物半導体が、亜鉛とインジウムとガリウムとからなる酸化物、又は、インジウムとガリウムとからなる酸化物、を含有する酸化物半導体であることを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスタ。
  9. 前記半導体層が酸化物半導体の前駆体を用いた溶液プロセスで形成された膜からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
  10. 前記半導体層が酸化物半導体の前駆体を塗布して得られた膜にマイクロ波エネルギーを照射して形成された膜からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
  11. 1〜10のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタを製造することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
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