JP2010040741A - 電子デバイス用の絶縁膜形成方法、電子デバイスの製造方法、薄膜トランジスタの製造方法、絶縁膜、電子デバイス及び薄膜トランジスタ - Google Patents

電子デバイス用の絶縁膜形成方法、電子デバイスの製造方法、薄膜トランジスタの製造方法、絶縁膜、電子デバイス及び薄膜トランジスタ Download PDF

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千代子 竹村
Makoto Honda
本田  誠
Katsura Hirai
桂 平井
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Abstract

【課題】簡便な溶液プロセスを用いる電子デバイス用の絶縁膜形成方法を提供し、該絶縁膜形成方法を用いる電子デバイス用の絶縁膜形成方法、薄膜トランジスタの製造方法を提供することであり、前記絶縁膜形成方法で形成した絶縁膜、該電子デバイスの製造方法で製造した電子デバイス及び該薄膜トランジスタの製造方法で製造した薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】電子デバイス用の絶縁膜形成方法において、(a)金属塩の溶液を基板上に配する工程、(b)該金属塩を金属酸化物に変換する工程からなることを特徴とする電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子デバイス用の絶縁膜形成方法、電子デバイスの製造方法、薄膜トランジスタの製造方法、絶縁膜、電子デバイス及び薄膜トランジスタに関する。
近年、低温かつ大気圧プロセスで形成可能な薄膜トランジスタ(TFT)を樹脂などのフレキシブル基板へ適用することにより、低コストで簡便なプロセスで製造可能な、フレキシブル薄膜トランジスタシートの開発が盛んに検討されている。
このような薄膜トランジスタの場合、従来のシリコンを用いたトランジスタでは具現することが出来ないフレキシブルな表示装置、電子本など新しい応用分野が考えられる。
低コストで簡便なプロセスにより薄膜トランジスタをフレキシブル基板上へ形成していくためには、絶縁層、半導体層をはじめとする全ての構成要素が印刷などの溶液プロセスで形成可能であることが好ましい。
印刷プロセスが適用可能な絶縁層材料のひとつとして、ポリマー絶縁体が数多く提案されているが、ポリマー絶縁体は熱安定性、溶媒耐性、硬度などの点において、無機絶縁体には性能が及ばないのが現状である。
無機絶縁体としては、一般的に無機酸化物、無機窒化物などが知られており(例えば、特許文献1参照。)、特に酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンなどが好ましいが、通常、スパッタなどの真空プロセスでの層形成が一般的であり、溶液プロセスによって成膜する方法はあまり知られていない。
また、印刷プロセスが適用可能な半導体としては、有機半導体、金属酸化物半導体などが考えられるが、連続駆動時の安定性、キャリア移動度、素子間のバラツキなどを考慮すると、金属酸化物半導体を用いたTFTがより好ましい。
金属酸化物半導体を印刷プロセスで形成する方法としては、例えば、塩化亜鉛等の金属ハライドプレカーサー溶液をインクジェット法等により基板上に適用した後、これを大気中で加熱処理して酸化物半導体に転化する方法などが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
同様に、塩化亜鉛、又塩化錫等の金属ハライド溶液を基板上に適用して薄膜を形成した後、数百度の温度で処理しこれを熱分解させて金属酸化物半導体薄膜を得る方法も知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
いずれも前駆体を熱酸化して金属酸化物半導体を得ているが、300℃以上の高い温度域での熱処理が必要となるため、樹脂基板への適用が困難となるため、より低温でのプロセスが望まれているのが現状である。
特開2006−190757号公報 Advanced Materials 2007,19,843−847 Electrochemical and Solid−State Letters,10(5) H135−H138 (2007)
本発明の目的は、簡便な溶液プロセスを用いる電子デバイス用の絶縁膜形成方法を提供し、該絶縁膜形成方法を用いる電子デバイス用の絶縁膜形成方法、薄膜トランジスタの製造方法を提供することであり、前記絶縁膜形成方法で形成した絶縁膜、該電子デバイスの製造方法で製造した電子デバイス及び該薄膜トランジスタの製造方法で製造した薄膜トランジスタを提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.電子デバイス用の絶縁膜形成方法において、
(a)金属塩の溶液を基板上に配する工程、
(b)該金属塩を金属酸化物に変換する工程
からなることを特徴とする電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
2.前記金属塩の溶液が水溶液であることを特徴とする前記1に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
3.前記金属塩がアルミニウム塩であることを特徴とする前記1または2に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
4.前記金属塩の溶液が硝酸アルミニウム水溶液であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
5.前記基板上の金属塩に熱エネルギーを付与することにより該金属塩を金属酸化物に変換する工程を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
6.前記熱エネルギーの付与が、マイクロ波エネルギーの照射により行われることを特徴とする前記5に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
7.基板上に、少なくとも電極配線、中間絶縁層を有する電子デバイスの製造方法において、
該中間絶縁層が前記1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法で絶縁膜が形成される工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
8.基板上に、少なくとも電子デバイス素子、素子保護層を有する電子デバイスの製造方法において、
該素子保護層として前記1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法により絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
9.基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、
該ゲート絶縁層として前記1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法により絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
10.基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層、保護層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、
該保護層として前記1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法により絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
11.前記1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法を用いて形成されたことを特徴とする絶縁膜。
12.前記7または8に記載の電子デバイスの製造方法により製造されたことを特徴とする電子デバイス。
13.前記9または10に記載の薄膜トランジスタの製造方法で製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明の電子デバイス用の絶縁膜形成方法により、簡便な溶液プロセス(ウェットプロセスともいう)で優れた絶縁性を示す絶縁膜を形成でき、該絶縁膜形成方法を用いる電子デバイスの製造方法、薄膜トランジスタの製造方法を提供することができた。
併せて、該絶縁膜の形成方法を用いて形成した絶縁膜、該電子デバイスの製造方法で製造した電子デバイス及び該薄膜トランジスタの製造方法で製造した薄膜トランジスタを提供することができた。
本発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成により、簡便な溶液プロセス(ウェットプロセスともいう)を用いて電子デバイス用の絶縁膜形成方法を提供することができ、該絶縁膜形成方法を用いる電子デバイスの製造方法、薄膜トランジスタの製造方法を提供することができた。
併せて、該絶縁膜の形成方法を用いて形成した絶縁膜、該電子デバイスの製造方法で製造した電子デバイス及び該薄膜トランジスタの製造方法で製造した薄膜トランジスタを提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
《電子デバイス用の絶縁膜形成方法》
本発明の電子デバイス用の絶縁膜形成方法について説明する。
本発明の電子デバイス用の絶縁膜形成方法では、本願請求項1に記載したように、
(a)金属塩溶液を基板上に配する工程、
(b)前記金属塩を金属酸化物に変換する工程
からなることを特徴とし、本発明に係る絶縁膜(絶縁層ともいう)は、金属塩溶液を基板上に配した後、金属酸化物に変換する処理を施すことで金属酸化物絶縁膜が形成される。
(金属塩溶液を基板上に配する工程)
本発明において、金属塩溶液を基板上に配する工程としては、公知の塗布法を適用することができ、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、など、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法などが挙げられる。
金属塩溶液を基板上に配した後、100℃〜150℃程度で溶媒を揮発させることにより金属塩膜が形成されるが、予め基板自体を100℃〜150℃程度に加熱しておくと、塗布、乾燥の2プロセスを同時に行えるため好ましい。
本発明に係る金属塩としては、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ハロゲン化物、金属アルコキシドなどが好ましい。
金属塩の中でも、金属塩が好ましく、金属硝酸塩がより好ましい。
また、金属塩の金属としては、アルミニウムが好ましく、該アルミニウム塩としては、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられるが、特に好ましいのは硝酸アルミニウムである。
本発明に係る金属塩溶液を調整するための溶媒としては、用いる金属塩を溶解するものであれば特に制限されないが、溶解性の上で水が好適に用いられる。
但し、溶液の表面張力を調整し均一な膜を形成する目的で、水に有機溶媒を適量添加することも好ましく、特に、水と相溶性の高い、アルコール類、アセトン、アセトニトリルなどを好適に用いることができるが、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類が好ましい。
本発明に係る金属塩溶液の金属塩濃度に特に制限はないが、溶媒に完溶し室温で析出しないことが好ましく、5〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。
(金属塩を金属酸化物に変換する工程)
本発明において、金属塩を金属酸化物に変換する工程としては、熱酸化、UVオゾン酸化、大気圧プラズマ酸化、後述する酸素存在下でのマイクロ波照射などが好ましく用いられるが、熱酸化、酸素存在下でのマイクロ波照射が特に好ましい。
本発明に係る金属塩(金属酸化物半導体の前駆体となる材料)に熱エネルギーの与える、マイクロ波エネルギーの照射等の→熱エネルギーやマイクロ波エネルギーを与えることにより得られる、本発明に係る金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素等が挙げられるが、中でも、酸化アルミニウムが好ましい。
(マイクロ波エネルギーの照射)
本発明においては、金属塩(金属酸化物半導体の前駆体となる金属の材料)から形成された薄膜を金属酸化物の薄膜に変換する方法としては、基板上に形成された金属塩から形成された薄膜に熱エネルギーを与える(付与ともいう)方法があるが、好ましくは、マイクロ波エネルギーの照射であり、中でも、酸素の存在下でのマイクロ波エネルギーの照射を用いることが好ましい。
即ち、これらの金属酸化物半導体の前駆体となる金属を含む薄膜を形成した後、該薄膜に対し、酸素の存在下で電磁波、特にマイクロ波(周波数0.3GHz〜30GHz)を照射することにより、薄膜自身を内部から発熱させ結果的に薄膜部のみを選択的に加熱することで、金属酸化物半導体の薄膜が形成される。
本発明においては、形成したこれらの金属酸化物半導体の前駆体となる金属を含む薄膜にマイクロ波を照射することで、金属酸化物前駆体中の電子が振動し、ジュール熱が発生して薄膜が内部から、かつ均一に加熱される。一方で、ガラスや樹脂を基板として用いた場合、マイクロ波領域に吸収が殆ど無いため、基板自体は殆ど発熱せずに薄膜部のみを選択的に加熱することが可能となる。
更に、セラミクス等のマイクロ波加熱においては一般的な様に、マイクロ波吸収は吸収が強い物質に集中し、尚且つ非常に短時間で500℃〜600℃まで昇温する事が可能なため、本発明の構成にこの方法を用いた場合に、基材自身には殆ど電磁波による加熱の影響を与えず、短時間で前駆体薄膜のみを酸化反応が起きる温度まで昇温でき、金属酸化物前駆体を金属酸化物に変換する事が可能となる。
また、加熱温度、加熱時間は照射するマイクロ波の出力、照射時間で制御することが可能であり、前駆体材料、基板材料に合わせて調整する事が可能である。
また、金属酸化物前駆体を含む薄膜は、形成後、マイクロ波照射の前に、例えば、酸素プラズマ、UVオゾン洗浄などのドライ洗浄プロセスによって洗浄し、薄膜中及び薄膜表面に存在し不純物の原因となる有機物を分解、洗浄して、金属成分以外の有機物を排除しておくことも好ましい。
一般的に、マイクロ波とは0.3〜30GHzの周波数を持つ電磁波の事を指し、携帯通信で用いられる0.8MHz及び1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダ等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダ等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHzなどは全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。
セラミクスの分野ではこの様な電磁波を焼結に利用する事が既に公知となっている。磁性を含む材料に電磁波を照射すると、その物質の複素透磁率の損失部の大きさに応じて発熱することを利用し、短時間で均一に、かつ高温にすることができる。
一方で、金属にマイクロ波を照射すると自由電子が高い周波数で運動を始めるためアーク放電が発生し、加熱できないことも良く知られている。
この様な技術背景をもとに、発明者らが鋭意検討した結果、本発明に係る金属塩)金属酸化物半導体の前駆体)は、セラミクスと同様に選択的に短時間で均一に、かつ高温まで加熱できることを見出した。
セラミクスの分野と異なるのは、本発明の材料は磁性を殆どもたないため、ジュール損失及び/又は誘電損失という電子及び/又は双極子運動に関連する損失成分が発熱の主因となっていると考えられるが、金属イオン含有溶液を塗布/乾燥したのみの薄膜でこの様な現象が起こる理由は、明らかではない。
すなわち、本発明に係る金属塩(金属酸化物の前駆体)を含む薄膜を酸素の存在下で、マイクロ波を照射する方法は、短時間で選択的に酸化反応を進行させる方法である。
但し、熱伝導により少なからず基材にも熱が伝わるため、特に樹脂基板の様な耐熱性の低い基材の場合は、マイクロ波の出力、照射時間、更には照射回数を制御する事で基板温度が50℃〜200℃、前駆体を含有する薄膜の表面温度が200℃〜600℃になる様に処理する事が好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計により測定できる。
《絶縁膜(絶縁層ともいう)》
本発明の絶縁膜(絶縁層)について説明する。
上記の(a)金属塩溶液を基板上に配する工程、及び(b)前記金属塩を金属酸化物に変換する工程を経て得られる本発明に係る絶縁膜(絶縁層)は、基板上に電極配線、中間絶縁層を有する電子デバイスにおいて、前記中間絶縁層として用いることができる。本発明に係る中間絶縁層とは、後述するゲートバスラインやデータバスライン(図2に記載の薄膜トランジスタシートの一例を参照)などの電極配線からのリーク電流防止や電極配線の保護のために、電極配線を覆うように設けた絶縁層のことを表す。
また、基板上に電子デバイス素子、素子保護層を有する電子デバイスにおいて、前記素子保護層として用いることもできる。また、基板上にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極及びドレイン電極、半導体層を有する薄膜トランジスタにおいて、前記ゲート絶縁層として好ましく用いることができる。
《電子デバイス》
本発明の電子デバイスとしては、薄膜トランジスタ、太陽電池、発光ダイオード(LED)、分子エレクトロニクス、量子エレクトロニクス等を挙げることができるが、中でも、本発明の絶縁膜は薄膜トランジスタに好ましく用いられる。
《薄膜トランジスタ》
本発明の薄膜トランジスタについて説明する。
本発明の薄膜トランジスタにおいて、好ましく用いられる半導体は金属酸化物であり、金属酸化物半導体の前駆体となる金属酸化物の金属成分を含む薄膜を設けた後、該薄膜を酸素の存在下で電磁波で照射することにより酸化して、金属酸化物半導体の薄膜を得ることが好ましい。
本発明において金属酸化物半導体の前駆体としての金属原子含有化合物には、金属原子を含む、金属塩、ハロゲン化物、有機金属化合物を挙げることができる。
金属塩、金属酸化物、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物の金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
それらの金属塩のうち、インジウム、錫、亜鉛のいずれかを含むことが好ましく、それらを併用して混合させてもよい。
また、その他の金属として、ガリウムまたはアルミニウムを含むことが好ましい。
金属塩としては、硝酸塩、酢酸塩等を、ハロゲン化物としては塩化物、ヨウ化物、臭化物等を好適にもちいることができる。
有機金属化合物としては、下記の一般式(I)で示すものが挙げられる。
一般式(I) R MR
式中、Mは金属、Rはアルキル基、Rはアルコキシ基、Rはβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、いずれも0または正の整数である。Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。Rのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることができる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。Rのβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトン或いはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えばアセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等を挙げることができ、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることができる。
これらの基の炭素原子数は18以下が好ましい。また直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子にしたものでもよい。有機金属化合物の中では、分子内に少なくとも1つ以上の酸素を有するものが好ましい。
このようなものとしてRのアルコキシ基を少なくとも1つを含有する有機金属化合物、またRのRのβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも1つ有する金属化合物が最も好ましい。
金属塩のなかでは、硝酸塩が好ましい。硝酸塩は高純度品が入手しやすく、また使用時の媒体として好ましい水に対する溶解度が高い。硝酸塩としては、硝酸インジウム、硝酸錫、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム等が挙げられる。
本発明の金属酸化物半導体の前駆体となる薄膜形成材料としては、金属原子含有化合物が好ましい。金属原子含有化合物としては、金属塩、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等を挙げることができるが、特に好ましい有機金属化合物としては、前記一般式(I)で表される金属原子含有化合物が挙げられる。
以上の前駆体のうち、好ましいのは、金属の硝酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド類である。具体例としては、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム、硝酸スズ、硝酸アルミニウム、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化スズ(2価)、塩化スズ(4価)、塩化ガリウム、塩化アルミニウム、トリ−i−プロポキシインジウム、ジエトキシ亜鉛、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、トリ−i−プロポキシガリウム、トリ−i−プロポキシアルミニウムなどが挙げられる。
(前駆体薄膜の成膜方法、パターン化方法)
これらの金属酸化物半導体の前駆体となる金属を含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などを用いることができるが、本発明については金属塩、ハロゲン化物、有機金属化合物等を適切な溶媒に溶解した溶液を用いて基板上に連続的に塗設することで生産性を大幅に向上することができる。
金属化合物としては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、金属アルコキシド等を用いる事が溶解性の観点からより好ましい。
溶媒としては、水の他、用いる金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではないが、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、更に、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を好適に用いることができる。
金属ハロゲン化物または金属アルコキシドを用いた場合には比較的極性の高い溶媒が好ましく、中でも沸点が100℃以下の水、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、またはこれらの混合物を用いると乾燥温度を低くする事ができため、樹脂基板に塗設することが可能となりより好ましい。
また、溶媒中に金属アルコキシドと種々のアルカノールアミン、α−ヒドロキシケトン、β−ジケトンなどの多座配位子であるキレート配位子を添加すると、金属アルコキシドを安定化したり、カルボン酸塩の溶解度を増加させる事ができ、悪影響が出ない範囲で添加することが好ましい。
本発明において、薄膜形成材料を含有する液体を基材上に適用して、金属酸化物半導体の前駆体を含有する薄膜を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、など、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等、広い意味での塗布による方法が挙げられ、また、これによりパターン化する方法などが挙げられる。塗布膜からフォトリソグラフ法、レーザーアブレーションなどによりパターン化してもよい。これらのうち、好ましいのは薄膜の塗布が可能な、インクジェット法、スプレーコート法等である。
例えばインクジェット法を用いて成膜する場合、金属化合物溶液を滴下して、150℃程度で溶媒を揮発させることにより金属酸化物の前駆体の薄膜が形成される。尚、溶液を滴下する際、基板自体を150℃程度に加熱しておくと、塗布、乾燥の2プロセスを同時に行えるため好ましい。
(金属の組成比)
好ましい、金属の組成比としては、Inを1とした時、ZnSn1−y(ここにおいてyは0〜1の正数)は0.2〜5、好ましくは0.5〜2とする。さらにInを1とした時に、Gaの組成比は0.2〜5、好ましくは0.5〜2とする。
また、前駆体となる金属を含む薄膜の膜厚は1nm〜200nm、より好ましくは5nm〜100nmである。
(非晶質酸化物)
本発明の薄膜トランジスタの半導体層に用いられる金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。
金属酸化物半導体の前駆体となる金属化合物材料から形成された、本発明に係る金属酸化物である非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満が実現されていればよい。電子キャリア濃度は室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択されるある温度である。なお、本発明に係るアモルファス酸化物の電子キャリア濃度は、0℃〜40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。
例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度を更に下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリーオフのTFTが歩留まり良く得られる。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることが出来る。
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10nm〜300nmが好ましい。
本発明においては、前駆体材料、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm〜1017/cm、更には1015/cm〜1016/cmの範囲にすることが好ましい。
以下、本発明の薄膜トランジスタを構成する各要素について説明する。
(電極)
本発明において、TFT素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば、公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
(電極等の形成方法)
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。
また、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。
更に、導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース電極、ドレイン電極、或いはゲート電極等の電極、また、ゲート、或いはソースバスライン等を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号公報にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。
そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
(素子構成)
図1に、本発明に係わる酸化物半導体薄膜を用いた、薄膜トランジスタ素子の代表的な素子構成を示す図である。
本発明に係わる酸化物半導体薄膜の製造方法により製造した半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタの構成例を幾つかを断面図にて図1(a)〜(f)に示す。図1において、半導体薄膜は、ソース電極、ドレイン電極が、これをチャネルとして連結するよう構成されることが好ましい。
同図(a)は、樹脂支持体6上に金属箔等によりソース電極2、ドレイン電極3を形成し、これを基材(基板)として、本発明の方法により、両電極間に本発明の酸化物半導体薄膜からなる半導体層1を形成し、その上にゲート絶縁層5(単に、絶縁層5ともいう)を形成し、更にその上にゲート電極4を形成して電界効果薄膜トランジスタを形成したものである。
同図(b)は、半導体層1を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極及び支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、樹脂支持体6上に先ず半導体層1を形成し、その後ソース電極2、ドレイン電極3、ゲート絶縁層5、ゲート電極4を形成したものを表す。
同図(d)は、樹脂支持体6上にゲート電極4を金属箔等で形成した後、ゲート絶縁層5を形成し、その上に金属箔等で、ソース電極2及びドレイン電極3を形成し、該電極間に本発明の酸化物半導体薄膜により形成された半導体層1を形成する。
その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。尚、本発明に置いては基材に熱的なダメージを伝えにくくする目的で、基材と半導体層の間に絶縁膜が構成される、例えば図1(d)〜(f)の構成が好ましい。
図2は、本発明の薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタシート10の1例の概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ素子14を有する。11は各薄膜トランジスタ素子14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各薄膜トランジスタ素子14のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ素子14のドレイン電極には、出力素子16が接続され、この出力素子16は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
この様な、支持体上にTFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタシートの製造に本発明の方法を用いることができる。
(基板)
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
以下、本発明の絶縁膜、本発明の絶縁膜を薄膜トランジスタのゲート絶縁層、保護層に適用した実施例について具体的に説明する。
実施例1
《絶縁膜1の形成》
まず、比抵抗0.02Ω/cmのSiウエハーをホットプレート(150℃)にて加熱し、すぐにAl(NOの20質量%水溶液を基板上に配して、スピンコート(1000rpm)することで、硝酸アルミニウム塗布膜を形成した。
続いて、硝酸アルミニウム塗布膜が形成された基板をホットプレート(150℃)上で10分間加熱後、更に、電気炉(300℃)にて1時間加熱することで、酸化アルミニウムからなる絶縁膜1(膜厚200nm)をSiウエハー上に形成した。
《絶縁膜の評価》
上記で得られた絶縁膜1について、下記のように表面粗さ及びリーク電流の評価をおこなった。
(表面粗さ)
作製した酸化アルミニウムからなる絶縁膜1の表面粗さを測定したところ、0.34nmであり、非常に平滑な膜が得られていることが確認された。
ここで、本発明のおける表面粗さは、平均面粗さ(Ra)であり、JIS B 0601に規定され、測定方法としては、例えば、触針法もしくは光学的方法等が挙げられるが、本発明では、原子間力顕微鏡AFM(デジタルインスツルメント社製D3100)を用いて測定した。
(リーク電流)
まず、酸化アルミニウムからなる絶縁膜1上に金を蒸着することで、100μm×100μmの電極を形成した。次に、絶縁膜間に−20Vの電界を印加した時のリーク電流を測定したところ、5nAであった。
一方、本発明の絶縁膜1と同様にSiウエハー上にスピンコートで形成したポリビニルフェノール絶縁膜を用いて、絶縁膜1と同様の条件下で測定したリーク電流は100nAであった。
以上の結果より、本発明の電子デバイス用の絶縁膜形成方法で形成した酸化アルミニウムからなる絶縁膜1は、優れた絶縁性を有することが分かった。
実施例2
《薄膜トランジスタ素子1の製造》
本発明の薄膜トランジスタ素子1の製造を、図3に示す薄膜トランジスタ製造工程の模式図を用いながら説明する。
樹脂支持体6として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず、50W/m/分の条件でコロナ放電処理を施した。その後、以下のように接着性向上のため下引き層8を形成した。
(下引き層8の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
更に、その層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層8とした(図3(1))。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(Heガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
(ゲート電極4の形成)
次いで、ゲート電極4を形成する。スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてゲート電極4を形成した(図3(2))。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極4を形成したのち基板をよく洗浄し、30質量%燐酸アンモニウム水溶液中で、2分間、30Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化をおこなった(図では省略)。
(ゲート絶縁層5の形成)
次いで、実施例1と同様の方法により、硝酸アルミニウム塗布膜を形成した後、ホットプレート(150℃)上で10分間加熱後、マイクロ波照射を行うことで、厚さ200nmの酸化アルミニウムからなるゲート絶縁層5(単に、絶縁層または絶縁膜ともいう)を形成した(図3(3))。
尚、マイクロ波の照射は、後述する半導体層のマイクロ波照射と同様の方法を用いて行った。
(金属酸化物半導体の前駆体薄膜の形成)
次に、InCl、ZnCl、GaCl(いずれもアルドリッチ製;純度99.999%)を、In、Zn、Gaの組成比1:1:1となるようにそれぞれをアセトニトリルに固形分濃度で20質量%添加し、室温で10分攪拌した後、超音波分散を10分行ったところ無色透明の溶液が得られた。
この溶液を、インクジェット装置を用いて、基材裏面側に配置したヒーターにより80℃に温度制御されたゲート電極4の配置されたゲート絶縁層5上に吐出し、キャストさせて、金属イオン含有薄膜を成膜した。
更に、150℃、で30分間の脱水処理を施し、金属酸化物半導体の前駆体薄膜を成膜した。得られた金属酸化物半導体の前駆体薄膜の平均膜厚は100nmであった。
(半導体層1の形成:金属酸化物薄膜への変換:酸化物半導体層の形成)
その後大気中で50Wの低圧水銀灯を、膜面からの距離30mmにて2分照射し、ドライ洗浄を行った。
その後、マルチモードタイプの2.45GHzマイクロ波照射機(四国計測工業(株)製 μ−reactor)を用いて酸素と窒素の分圧が1:1の雰囲気下、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波を照射した。
マイクロ波の照射は、1サイクルを90秒とし、3サイクル行った。これにより金属酸化物半導体の前駆体の薄膜は透明に変化し、厚さ約120nmの金属酸化物薄膜に変換し、半導体層1を形成した(図3(4))。
尚、樹脂基材の変形による平面性の劣化を伴うことは無かった。
因みに基板温度(裏面から測定)また薄膜表面の温度を熱電対による表面温度計を用い測定したが、それぞれ、最大150℃、最大400℃であった。
次いで、マスクを用いて金を蒸着し、ソース電極2及びドレイン電極3を形成した(図3(5))。
ソース電極2及びドレイン電極3の各々のサイズは、幅10μm、長さ50μm(チャネル幅)厚さ50nmであり、ソース電極2、ドレイン電極3の距離(チャネル長)は15μmとした。
(薄膜トランジスタ素子1の評価)
以上の方法により製造した薄膜トランジスタ1は良好に駆動し、n型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられた移動度は1cm/Vs、on/off比は4桁であり、良好なトランジスタ特性を示すことが判った。
実施例3
《薄膜トランジスタ素子2の製造》
実施例2で製造した薄膜トランジスタ素子1の半導体層上に、硝酸アルミニウム水溶液をインクジェットにより滴下後、ゲート絶縁層の形成方法と同様の方法にて、本発明の酸化アルミニウムからなる絶縁膜に変換することで、半導体層が保護された薄膜トランジスタ素子2を製造した。
(薄膜トランジスタ素子2の評価)
実施例2と同様の方法にてトランジスタ評価を行ったところ、移動度は1cm/Vs、on/off比は4桁であった。この素子2は、大気中、連続駆動100時間後も移動度1cm/Vs、on/off比4桁であり、トランジスタ特性に全く劣化は見られなかった。この結果より、本発明の電子デバイス用の絶縁膜形成方法で形成された絶縁膜は、保護膜としても優れていることが分かった。
《薄膜トランジスタ素子2aの製造》:比較例
実施例2の薄膜トランジスタ2の製造において、ゲート絶縁層5を真空チャンバー中、RFスパッタ装置(RF出力60W、RF周波数13.56MHz)を用いて形成した以外は同様にして、薄膜トランジスタ素子2a(比較例)を製造した。
得られたゲート絶縁層の厚さは、200nmであった。
(薄膜トランジスタ素子2aの評価)
実施例2と同様の方法にてトランジスタ評価を行ったところ、移動度は0.1cm/Vs、on/off比は3桁であった。
この結果を実施例2で製造した薄膜トランジスタ素子1の評価結果と比較すると、移動度、on/off比ともに1桁低下していることが分かる。
この結果より、本発明の電子デバイス用の絶縁膜形成方法で形成したゲート絶縁層は、スパッタリング法で形成された酸化アルミニウム絶縁膜と比べても、はるかに優れていることが分かった。
実施例4
《薄膜トランジスタ素子3の製造》
実施例3の薄膜トランジスタ素子2の製造において、半導体層を金属酸化物半導体の代わりに下記のTIPSペンタセンに置き換えたものを製造し、薄膜トランジスタ素子3とした。半導体層は、TIPSペンタセンの0.1%トルエン溶液をゲート絶縁膜上に滴下することで形成した。
Figure 2010040741
(薄膜トランジスタ素子3の評価)
上記で製造した薄膜トランジスタ3は良好に駆動し、p型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−10Vとし、ゲートバイアスを10Vから−20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。
その飽和領域から見積もられた移動度は0.2cm/Vs、on/off比は4桁であった。また、大気中、連続駆動30時間後も移動度0.15cm/Vs、on/off比4桁であり、トランジスタ特性には、殆ど劣化は見られなかった。
この結果より、本発明の絶縁膜は、有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層、有機半導体層保護膜としても、優れていることが分かった。
薄膜トランジスタの構成例を幾つかを示す断面図である。 薄膜トランジスタシートの一例の概略の等価回路図である。 薄膜トランジスタ製造工程の模式図を示す。
符号の説明
1 半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 ゲート絶縁層
6 樹脂支持体
8 下引き層
10 薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
12 ソースバスライン
14 薄膜トランジスタ素子
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路

Claims (13)

  1. 電子デバイス用の絶縁膜形成方法において、
    (a)金属塩の溶液を基板上に配する工程、
    (b)該金属塩を金属酸化物に変換する工程
    からなることを特徴とする電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
  2. 前記金属塩の溶液が水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
  3. 前記金属塩がアルミニウム塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
  4. 前記金属塩の溶液が硝酸アルミニウム水溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
  5. 前記基板上の金属塩に熱エネルギーを付与することにより該金属塩を金属酸化物に変換する工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
  6. 前記熱エネルギーの付与が、マイクロ波エネルギーの照射により行われることを特徴とする請求項5に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法。
  7. 基板上に、少なくとも電極配線、中間絶縁層を有する電子デバイスの製造方法において、
    該中間絶縁層が請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法で絶縁膜が形成される工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  8. 基板上に、少なくとも電子デバイス素子、素子保護層を有する電子デバイスの製造方法において、
    該素子保護層として請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法により絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  9. 基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、
    該ゲート絶縁層として請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法により絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  10. 基板上に、少なくともゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層、保護層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、
    該保護層として請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法により絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイス用の絶縁膜形成方法を用いて形成されたことを特徴とする絶縁膜。
  12. 請求項7または8に記載の電子デバイスの製造方法により製造されたことを特徴とする電子デバイス。
  13. 請求項9または10に記載の薄膜トランジスタの製造方法で製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
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