JP2010123844A - 薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産効率の高い薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】基板上に、少なくともゲート電極、酸化物半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタの製造方法において、前記酸化物半導体層の上に流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、前記撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料を供給して前記流動性電極材料を前記撥液パターンで分断することにより、前記流動性電極材料からなるソース電極及びドレイン電極を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。さらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーまたはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極等の金属薄膜を基板上に順次形成して製造される。
ソース電極、ドレイン電極の形成には、特許文献1、2に記載のように、CVD、スパッタリング等の真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、これらは、煩雑な工程が必要になり製造コストも高くなりやすく、チャネル形成の精度が悪く、かつチャネル長も短くできないため素子の性能が悪くかつばらつきも大きくなりやすいという問題点があった。また、ソース電極、ドレイン電極の形成に液体材料をそれぞれ個別に形成しているため、それらがショートしやすく、ショートした場合は素子が形成されないという問題があった。
特開2006−165528号公報 特開2006−186319号公報
本発明の目的は、生産効率の高い薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成によって達成される。
1.基板上に、少なくともゲート電極、酸化物半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタの製造方法において、前記酸化物半導体層の上に流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、前記撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料を供給して前記流動性電極材料を前記撥液パターンで分断することにより、前記流動性電極材料からなるソース電極及びドレイン電極を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
2.前記酸化物半導体層が塗布により形成されることを特徴とする前記1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
3.前記酸化物半導体層の材料が、In、Zn、Sn、Ga、Alのいずれかの元素を含むことを特徴とする前記1または2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
4.前記撥液パターンの少なくとも一部が、シランカップリング材またはチタンカップリング材からなることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法で製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明により、生産効率の高い薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することができた。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基板上に、少なくともゲート電極、酸化物半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタの製造方法において、前記酸化物半導体層の上に流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、前記撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料を供給して前記流動性電極材料を前記撥液パターンで分断することにより、前記流動性電極材料からなるソース電極及びドレイン電極を形成する薄膜トランジスタの製造方法により、生産効率の高い薄膜トランジスタの製造方法が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の薄膜トランジスタは、ボトムゲート型とトップゲート型に大別される。ボトムゲート型とは、基板上に、直接または下引き層等のその他の層を介して、ゲート電極が設けられ、次いで、ゲート絶縁層を介して酸化物半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極からなる層構成を有する。また、トップゲート型とは、基板上に酸化物半導体層に接したソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極が設けられた層構成を有する。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法について図1及び図2により説明する。
図1はボトムゲート型の薄膜トランジスタの製造方法の一例を示す図である。
薄膜トランジスタの製造工程において、例えば、無機ガラス基板からなる支持体101上にITOをスパッタし、フォトリソグラフ法によりITOからなるゲート電極102を形成し(図1(1))、その上に大気圧プラズマ法によりSiOからなるゲート絶縁層103を形成し(図1(2))、その上に大気圧プラズマ法によりOTS(オクチルトリクロロシラン)膜104を形成する(図1(3))。
さらに、低圧水銀灯からマスク121を介してUV照射(254nm)し(図1(4))、露光部のOTSを光分解し、その部分のゲート絶縁層103が親水化される(図1(5))。
次に、酸化物半導体層の形成に先だって、前記、親水化されたゲート絶縁層103上に、先ず、酸化物半導体の前駆体材料(後述する)、例えば、金属の硝酸塩等、具体的には、例えば、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した(10質量%)水溶液105′を静電吸引型のインクジェット装置により吐出する(図1(6))。このとき基板温度は80℃とする。次に、100℃で熱処理して、酸化物半導体前駆体層(IGZO前駆体層)を形成し、さらにマイクロ波を照射して250℃で20分の処理を行うことで、酸化物半導体前駆体層は酸素の存在下、熱酸化を受けて酸化物半導体層105に転化する(図1(7))。酸化物半導体前駆体材料から酸化物半導体が生成するためには酸素が必要であり、空気(酸素)の存在下において、電磁波照射を行うことで、熱酸化が起こって、酸化物半導体前駆体材料層は半導体層に変換される。樹脂基板のような耐熱性の低い基板を用いる場合には、電磁波の出力、照射時間、さらには照射回数を制御することで基板温度は50〜200℃、前駆体を含有する薄膜の表面温度は200〜600℃になるように処理することが好ましい。
次に、この上に流動性電極材料反撥性を有するOTS(オクチルトリクロロシラン)膜106を形成する(図1(8))。
さらに、低圧水銀灯からマスク122を介してソース電極及びドレイン電極形成予定部分にUV照射(254nm)し(図1(9))、露光部のOTSを光分解する(図1(10))。図1(9)のUV照射を図1(9′)のように背面から露光してもよい。このようにして流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料、具体的には、例えば、銀ナノメタル分散液107′をインクジェット装置により吐出する(図1(11))。吐出された銀ナノメタル分散液は、流動性電極材料反撥性を有する撥液パターン(OTS膜106)で分断され、OTS膜の無い面に自然に集まって(図1(12))、次いで、乾燥、熱定着により、ソース電極108及びドレイン電極109が形成される。
このような方法を取ることでゲートパターンに位置、寸法が一致したソース電極及びドレイン電極を形成することができる。このような薄膜トランジスタの製造方法は生産効率が高い。
図2はトップゲート型の薄膜トランジスタの製造方法の一例を示す図である。
薄膜トランジスタの製造工程において、例えば、無機ガラス基板からなる支持体201上に大気圧プラズマ法によりOTS(オクチルトリクロロシラン)膜202を形成する(図2(1))。次に、低圧水銀灯からマスク221を介して酸化物半導体層形成予定部にUV照射(254nm)し(図2(2))、露光部のOTSを光分解し、その部分の酸化物半導体層形成予定部分が親水化される(図2(3))。
次に、酸化物半導体層の形成に先だって、前記、親水化された部分に、先ず、酸化物半導体の前駆体材料、例えば、金属の硝酸塩等、具体的には、例えば、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した(10質量%)水溶液205′を静電吸引型のインクジェット装置により吐出する(図2(4))。このとき基板温度は80℃とする。次に、100℃で熱処理して、酸化物半導体前駆体層(IGZO前駆体層)を形成し、さらに電気炉内で300℃20分の処理を行い、酸化物半導体前駆体層を酸化物半導体層205に転化させる(図2(5))。
次に、この上に流動性電極材料反撥性を有するOTS(オクチルトリクロロシラン)膜206を形成する(図2(6))。
さらに、低圧水銀灯からマスク222を介してソース電極及びドレイン電極形成予定部分にUV照射(254nm)し(図2(7))、露光部のOTSを光分解する(図2(8))。このようにして流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料、具体的には、例えば、銀ナノメタル分散液207′をインクジェット装置により吐出する(図2(9))。吐出された銀ナノメタル分散液は、流動性電極材料反撥性を有する撥液パターン(OTS膜206)で分断され、OTS膜の無い面に自然に集まり(図2(10))、次いで、乾燥、熱定着により、ソース電極208及びドレイン電極209が形成される(図2(11))。
さらに、低圧水銀灯からUV照射(254nm)し、残存するOTS膜202、206を光分解し(図2(12))、その上に大気圧プラズマ法によりSiOからなるゲート絶縁層203を形成し(図2(13))、さらにその上に大気圧プラズマ法によりOTS(オクチルトリクロロシラン)膜204を形成する(図2(14))。
次に、低圧水銀灯からマスク223を介してゲート電極形成予定部分にUV照射(254nm)し(図2(15))、露光部のOTSを光分解する(図2(16))。
OTSが光分解されたゲート電極形成予定部分に、流動性電極材料、具体的には、例えば、ナノメタル分散液210′をインクジェット装置により吐出する(図2(17))。吐出されたナノメタル分散液は、乾燥、熱定着により、ゲート電極210が形成される。
このような方法を取ることでゲートパターンに位置、寸法が一致したソース電極及びドレイン電極を形成することができる。このような薄膜トランジスタの製造方法は生産効率が高い。
〔酸化物半導体層〕
本発明においては酸化物半導体層(以下、酸化物半導体膜ともいう)の形成に先立って、酸化物半導体前駆体(以下、単に前駆体ともいう)の層(薄膜)を先ず基板上に形成し、その後酸化物半導体に転換することが好ましい。本発明において前駆体としては、熱酸化を受けて、酸化物半導体に転換される材料である。
(前駆体)
本発明において酸化物半導体の前駆体材料としては、金属原子含有化合物が挙げられ、金属原子含有化合物には、金属原子を含む、金属塩、ハロゲン化金属化合物、有機金属化合物等を挙げることができる。
金属塩、ハロゲン金属化合物、有機金属化合物の金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
それらの金属塩のうち、In(インジウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)のいずれかの金属イオンを含むことが好ましく、それらを併用して混合させてもよい。また、その他の金属として、Ga(ガリウム)またはAl(アルミニウム)を含むことが好ましい。
金属塩としては、硝酸塩、酢酸塩等を、ハロゲン金属化合物としては塩化物、ヨウ化物、臭化物等を好適に用いることができる。
有機金属化合物としては、下記の一般式(I)で示すものが挙げられる。
一般式(I) RxMRyR
式中、Mは金属、Rはアルキル基、Rはアルコキシ基、Rはβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、いずれも0または正の整数である。R1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。R2のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることができる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。R3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンまたはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えばアセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等を挙げることができ、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることができる。これらの基の炭素原子数は18以下が好ましい。また直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子にしたものでもよい。有機金属化合物の中では、分子内に少なくとも1つ以上の酸素を有するものが好ましい。このようなものとしてRのアルコキシ基を少なくとも1つを含有する有機金属化合物、またRのβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも1つ有する金属化合物が最も好ましい。金属塩のうちでは、硝酸塩が好ましい。硝酸塩は高純度品が入手しやすく、また使用時の媒体として好ましい水に対する溶解度が高い。硝酸塩としては、硝酸インジウム、硝酸錫、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム等が挙げられる。
以上の酸化物半導体の前駆体のうち、好ましいのは、金属の硝酸塩、金属のハロゲン化物、アルコキシド類である。具体例としては、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム、硝酸スズ、硝酸アルミニウム、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化スズ(2価)、塩化スズ(4価)、塩化ガリウム、塩化アルミニウム、トリ−i−プロポキシインジウム、ジエトキシ亜鉛、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、トリ−i−プロポキシガリウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム等が挙げられる。
(前駆体薄膜の成膜)
これらの酸化物半導体の前駆体となる金属を含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等種々の方法を用いることができるが、本発明においては金属塩、ハロゲン化物、有機金属化合物等を適切な溶媒に溶解した溶液を用いて基板上に連続的に塗布により形成することで生産性を大幅に向上することができ好ましい。溶解性の観点からも、金属化合物として、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、金属アルコキシド等を用いることが好ましい。
溶媒としては、水の他、金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではないが、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリル等、さらに、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカン等の脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を好適に用いることができる。
金属ハロゲン化物及び/または金属アルコキシドを用いた場合には、比較的極性の高い溶媒が好ましく、中でも沸点が100℃以下の水、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、またはこれらの混合物を用いると乾燥温度を低くすることができため、樹脂基板に塗設することが可能となりより好ましい。
また、溶媒中に金属アルコキシドと種々のアルカノールアミン、α−ヒドロキシケトン、β−ジケトン等の多座配位子であるキレート配位子を添加すると、金属アルコキシドを安定化したり、カルボン酸塩の溶解度を増加させることができ、悪影響が出ない範囲で添加することが好ましい。
酸化物半導体の前駆体材料を含有する液体を基材上に適用して薄膜を形成する方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、バーコート法、ダイコート法等塗布法、また、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェット等の印刷法等、広い意味での塗布による方法が挙げられる。薄膜の塗布が可能な、インクジェット法、スプレーコート法等も好ましい方法である。
成膜する場合、塗布後、50〜150℃程度で溶媒を揮発させることにより金属酸化物前駆体の薄膜が形成される。なお、溶液を滴下する際、基板自体を上記温度に加熱しておくと、塗布、乾燥の二つのプロセスを同時に行うことができ好ましい。
(金属の組成比)
好ましい、金属の組成比としては、Inを1とした時、ZnSn1−y(ここにおいてyは0〜1の正数)は0.2〜5、好ましくは0.5〜2とする。さらにInを1とした時に、Gaの組成比は0.2〜5、好ましくは0.5〜2が好ましい。
また、前駆体薄膜の膜厚は1〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。
(酸化物半導体への転換)
本発明において前記前駆体を、熱酸化して酸化物半導体に転換することが好ましい。熱酸化はマイクロ波照射により加熱する方法が好ましい。
本発明においては、電磁波として、マイクロ波が好ましく、マイクロ波照射が好ましい。即ち、電磁波吸収能を持つ酸化物半導体前駆体である金属を含む薄膜を形成した後、該薄膜に対し、電磁波、特にマイクロ波(周波数0.3〜50GHz)を照射することにより、電磁波吸収能をもつ酸化物半導体前駆体を加熱し、酸化物半導体を製造する。
なお、本発明では、酸素の存在下で、マイクロ波を照射することが、短時間で酸化物半導体前駆体の酸化反応を進行させる上で好ましい。
また、マイクロ波照射において、熱伝導により少なからず基材にも熱は伝わることがあり、特に樹脂基板のような耐熱性の低い基材の場合は、マイクロ波の出力、照射時間、更には照射回数を制御することで基板温度が50〜200℃、前駆体を含有する薄膜の表面温度が200〜600℃になるように処理することが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計により測定できる。
また、金属酸化物半導体前駆体を含む薄膜は、形成後、マイクロ波照射の前に、例えば、酸素プラズマ、UVオゾン洗浄等のドライ洗浄プロセスによって洗浄し、薄膜中及び薄膜表面に存在し不純物の原因となる有機物を分解、洗浄して、金属成分以外の有機物を排除しておくことも好ましい。
一般的に、マイクロ波とは0.3〜50GHzの周波数を持つ電磁波のことを指し、携帯通信で用いられる0.8MHz及び1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHz等は全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。
〔ソース、ドレイン電極の形成〕
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを挟み近接する領域に、下記に示す流動性電極材料を供給し、供給された流動性電極材料が撥液パターンで分断されることにより、一方にソース電極、他方にドレイン電極を形成することが特徴である。
(流動性電極材料)
本発明に係る上述したような流動性を有する電極材料とは、具体的には、下記に示す導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、金属薄膜前駆体材料、液状分散物等である。
(導電性材料)
導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITO及び炭素が好ましい。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子等を好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
これらの金属からなる微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。
このような金属微粒子の分散物の作製方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
さらに、ソース電極、ドレイン電極としては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。これによりソース電極とドレイン電極と有機半導体層との接触抵抗を低減することができる。
本発明において、上記のソース電極、ドレイン電極等のパターニング方法は、電極材料反撥性を有する撥液パターンを挟み近接する領域に流動性電極材料を供給して、ソース電極、ドレイン電極を分断することによりパターニングが可能なものであればどのようなものを用いても構わない。本発明では、インクジェット法により、電極材料反撥性を有する撥液パターンを挟み近接する領域に流動性電極材料を供給することが好ましい。
(撥液パターンの形成)
本発明において、流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンとは、電極(具体的には、ソース電極やドレイン電極である)となる流動性電極材料を反撥する性能を有している領域である。
撥液パターンを形成するには、撥液膜材料を酸化物半導体層上に塗布または大気圧プラズマにより薄膜を形成した後、低圧水銀灯からマスクを介してソース電極及びドレイン電極形成予定部分にUV照射し、露光部の撥液膜材料を光分解する。また、撥液膜材料を酸化物半導体層上にインクジェット法で吐出し、直接撥液パターンを形成することもできる。インクジェット法としては、ピエゾ方式等公知のインクジェットを用いることができるが、微小なパターンを描画できる観点から、極微細な、吐出液滴の1滴当たりの容量が1〜400fl、好ましくは1〜100flの液滴を吐出するSIJ装置(静電吸引方式のインクジェット装置)によることが好ましい。
撥液パターン処理する面に設ける撥液膜について説明する。撥液膜を設けることで、流動性電極材料が分断され、ソース電極、ドレイン電極を得る。
撥液膜材料としては、シランカップリング材、チタンカップリング材またはアルミニウムカップリング剤が挙げられ、シランカップリング材またはチタンカップリング材からなることが好ましい。
シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位にそれぞれ1個の硅素原子に結合した水酸基を有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
なお、本発明において撥液処理する基板面がシランカップリング剤により処理されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認することができる。
撥液膜の厚みは、撥液膜の材料、形成方法により適宜決めればよい。
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリアシルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
アルミニウムカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
〔ゲート絶縁層の形成〕
本発明の薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤または水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法による製膜または陽極酸化法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等またはこれらを2種類以上組み合わせた混酸またはそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1質量%〜80質量%、電解液の温度5℃〜70℃、電流密度0.5A/dm2〜60A/dm、電圧1V〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸、ホウ酸、酒石酸等やそれらの塩の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5質量%〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dmで20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、またはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、例えばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸等の自己組織化配向膜が好適に用いられる。
〔ゲート電極の形成〕
本発明に係るゲート電極の構成材料は、上記ソース電極、ドレイン電極の構成材料と同様な材料を使用することができる。
ゲート電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ゲート電極を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版またはインクジェット法による印刷等が用いられる。
〔基板〕
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素等のセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基板、紙、不織布等を用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
〔保護層〕
また薄膜トランジスタ上には保護層を設けることも可能である。保護層としては無機酸化物または無機窒化物、アルミニウム等の金属薄膜、ガス透過性の低いポリマーフィルム、及びこれらの積層物等が挙げられ、このような保護層を有することにより、薄膜トランジスタの耐久性が向上する。これらの保護層の形成方法としては、前述したゲート絶縁膜の形成法と同様の方法を挙げることができる。また、ポリマーフィルム上に各種の無機酸化物等が積層されたフィルムを単にラミネートする等といった方法で保護層を設けてもよい。
〔薄膜トランジスタ〕
図3は薄膜トランジスタの代表的な構成を示す図である。
同図(a)は、基板6上にソース電極2、ドレイン電極3を形成し、両電極間に酸化物半導体層1を形成し、その上にゲート絶縁層5を形成し、さらにその上にゲート電極4を形成して電界効果薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、酸化物半導体層1を、(a)では電極間に形成したものを、コート法等を用いて電極及び基板表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、基板6上に先ず酸化物半導体層1を形成し、その後ソース電極2、ドレイン電極3、ゲート絶縁層5、ゲート電極4を形成したものを表す。
同図(d)は、基板6上にゲート電極4、ゲート絶縁層5を形成し、その上に、ソース電極2及びドレイン電極3を形成し、該電極間に酸化物半導体層1を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
図4は、薄膜トランジスタが複数配置される薄膜トランジスタシートの1例の概略の等価回路図である。
薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ14を有する。11は各薄膜トランジスタ14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各薄膜トランジスタ14のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ14のドレイン電極には、出力素子16が接続され、この出力素子16は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
このような、基板上にTFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタシートの作製に本発明の方法を用いることができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
ボトムゲート構成の薄膜トランジスタの製造例
図1に記載の製造プロセスで薄膜トランジスタを製造した。
無機ガラス基板からなる支持体上にITOをスパッタしてITO膜を作製し、フォトリソグラフ法によりパターニングしてゲート電極とした(厚み100nm)。
次いで、大気圧プラズマCVD法により、厚さ200nmの酸化珪素からなるゲート絶縁膜を形成した。大気圧プラズマ処理装置は、特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
その上に大気圧プラズマ法によりOTS(オクチルトリクロロシラン)膜を形成した。
さらに、低圧水銀灯からマスクを介してUV照射(254nm)し、露光部のOTSを光分解し、その部分のゲート絶縁層を親水化した。
次に、親水化されたゲート絶縁層上に、酸化物半導体の前駆体材料である、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した(10質量%)水溶液を静電吸引型のインクジェット装置により吐出した。このとき基板温度は80℃とした。次に、100℃で熱処理して、厚み30nmの酸化物半導体前駆体層(IGZO前駆体層)を形成し、さらに、酸素と窒素の分圧が1:1の雰囲気下、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。マイクロ波の照射は、電磁波出力を調整しながら200℃で15分間保持した。
マイクロ波を照射することで、酸化物半導体前駆体材料は、熱酸化されて酸化物半導体層に転化した(厚さ50nm)。
次に、この上に流動性電極材料反撥性を有するOTS(オクチルトリクロロシラン)膜を形成した。
さらに、低圧水銀灯からマスクを介してソース電極及びドレイン電極形成予定部分にUV照射(254nm)し、露光部のOTSを光分解した。このようにして流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料である、銀ナノメタル分散液(Carbot社製、銀含有率20質量%)をインクジェット装置により吐出した。吐出された銀ナノメタル分散液は、流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンで分断され、OTS膜の無い面に自然に集まった。次いで、乾燥、熱定着し、ソース電極及びドレイン電極が形成され、薄膜トランジスタを作製した。サイズは、幅10μm、長さ50μm(チャネル幅)厚さ50nmであり、ソース電極、ドレイン電極の距離(チャネル長)は15μmとなるようにした。
以上の方法により作製した薄膜トランジスタはp型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを−10Vとし、ゲートバイアスを+10Vから−40Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられた移動度は1.0cm/Vs、on/off比は6桁であり、良好に駆動し、p型のエンハンスメント動作を示す薄膜トランジスタであった。
この製造方法は、ソース電極、ドレイン電極の形成に同じ液体材料を用いて同時に形成しているため、生産効率が高い。
実施例2
トップゲート構成の薄膜トランジスタの製造例
図2に記載の製造プロセスで薄膜トランジスタを製造した。
無機ガラス基板からなる支持体上に大気圧プラズマ法により流動性電極材料反撥性を有するOTS(オクチルトリクロロシラン)膜を形成した。
次に、低圧水銀灯からマスクを介して酸化物半導体層形成予定部にUV照射(254nm)し、露光部のOTSを光分解し、その部分の酸化物半導体層形成予定部分を親水化した。
次に、親水化されたゲート絶縁層上に、酸化物半導体の前駆体材料である、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した(10質量%)水溶液を静電吸引型のインクジェット装置により吐出した。このとき基板温度は80℃とした。次に、100℃で熱処理して、厚み30nmの酸化物半導体前駆体層(IGZO前駆体層)を形成し、さらに、酸素と窒素の分圧が1:1の雰囲気下、大気圧条件で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射した。マイクロ波の照射は、電磁波出力を調整しながら200℃で15分間保持した。
マイクロ波を照射することで、酸化物半導体前駆体材料は、熱酸化されて酸化物半導体層に転化した(厚さ50nm)。
次に、この上に流動性電極材料反撥性を有するOTS(オクチルトリクロロシラン)膜を形成した。
さらに、低圧水銀灯からマスクを介してソース電極及びドレイン電極形成予定部分にUV照射(254nm)し、露光部のOTSを光分解した。このようにして流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料である、銀ナノメタル分散液をインクジェット装置により吐出した。吐出された銀ナノメタル分散液は、流動性電極材料反撥性を有する撥液パターン(OTS膜)で分断され、OTS膜の無い面に自然に集まった。次いで、乾燥、熱定着し、ソース電極及びドレイン電極を形成した。
さらに、低圧水銀灯からUV照射(254nm)し、残存するOTS膜を光分解し、その上に大気圧プラズマ法によりSiOからなるゲート絶縁層203を形成した。さらに、その上に大気圧プラズマ法によりOTS(オクチルトリクロロシラン)膜を形成した。
次に、低圧水銀灯からマスクを介してゲート電極形成予定部分にUV照射(254nm)し、露光部のOTSを光分解した。OTSが光分解されたゲート電極形成予定部分に、流動性電極材料である、ITOナノ微粒子インク(シーアイ化成 NanoTek Slurry ITO(トルエン))をインクジェット装置により吐出した。吐出されたITOナノ微粒子インクは、乾燥、熱定着により、厚み50nmのゲート電極が形成された。
作製した薄膜トランジスタは、移動度は5cm/Vs以上であり、on/off比は5桁以上であり良好に駆動し、電極や、絶縁層及び半導体層への変換が行われたことが分かった。
この製造方法は、ソース電極、ドレイン電極の形成に同じ液体材料を用いて同時に形成しているため、生産効率が高い。
ボトムゲート型の薄膜トランジスタの製造方法の一例を示す図である。 トップゲート型の薄膜トランジスタの製造方法の一例を示す図である。 薄膜トランジスタ子の代表的な構成を示す図である。 薄膜トランジスタが複数配置された薄膜トランジスタシートの1例の概略の等価回路図である。
符号の説明
1 酸化物半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 ゲート絶縁層
10 薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
12 ソースバスライン
14 薄膜トランジスタ
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路

Claims (5)

  1. 基板上に、少なくともゲート電極、酸化物半導体層、ソース電極及びドレイン電極を有する薄膜トランジスタの製造方法において、前記酸化物半導体層の上に流動性電極材料反撥性を有する撥液パターンを形成後、前記撥液パターンを挟み近接する領域に、流動性電極材料を供給して前記流動性電極材料を前記撥液パターンで分断することにより、前記流動性電極材料からなるソース電極及びドレイン電極を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 前記酸化物半導体層が塗布により形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記酸化物半導体層の材料が、In、Zn、Sn、Ga、Alのいずれかの元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記撥液パターンの少なくとも一部が、シランカップリング材またはチタンカップリング材からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法で製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
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