JP2009054763A - 金属酸化物半導体の製造方法及びこれを用い作製された酸化物半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタ - Google Patents

金属酸化物半導体の製造方法及びこれを用い作製された酸化物半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタ Download PDF

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桂 平井
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Abstract

【課題】本発明の目的は、キャリア移動度や安定性が高い金属酸化物半導体を得ることにあり、更に生産効率が向上した金属酸化物半導体の製造方法を得ることにあり、これを用いて安定に動作する薄膜トランジスタ(TFT)素子を得ることにある。
【解決手段】基板上に、金属酸化物半導体の前駆体を含む薄膜を形成した後、該薄膜に対し、還元処理を行った後、酸化処理を施すことを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、前駆体の薄膜を酸化処理する金属酸化物半導体の製造方法およびこれを用いた薄膜トランジスタに関する。
ガラス基板上にアモルファスシリコン等の薄膜を形成しこれを活性層として用いる電界効果型薄膜トランジスタ(TFT)、又これらを用いたアクティブマトリクス回路等はよく知られている。
しかしながら、アモルファスシリコンを用いたTFTは、キャリア移動度が低く、また連続駆動時の特性が不安定であるため、有機ELアクティブマトリクス回路等に用いるには、キャリア移動度の高い、安定な薄膜トランジスタが求められている。高移動度のTFTとして、ポリシリコン薄膜を用いたTFTが開発されているが、高精度な制御が求められるレーザーアニーリングが必要となるなど、製造プロセスが煩雑であり、素子間の性能ばらつきも問題となっている。簡便な製造プロセスが適用でき、連続駆動時の安定やキャリア移動度が高く、素子間のバラツキの小さい、高移動度のTFTとして、近年、金属酸化物半導体を用いたTFTの開発が活発に行われている。
金属酸化物半導体を作製する技術として、例えば、有機金属を分解酸化(加熱、分解反応)することで、非晶質酸化物を形成する方法が知られている(例えば特許文献1)。
また、酸化物半導体作製を、塩化亜鉛等の金属ハライドプレカーサー溶液をインクジェット法等により基板上に適用したのちこれを大気中で加熱処理して酸化物半導体に転化して活性層とする電界効果トランジスタの製造方法も知られている(例えば、非特許文献1)。
同様に、塩化亜鉛、又塩化錫等の金属ハライド溶液を基板上に適用して薄膜を形成した後、数百度の温度で処理しこれを熱分解させて金属酸化物半導体薄膜を得る方法も知られている(例えば非特許文献2)。
いずれも前駆体を熱酸化して酸化物半導体を得ているが、熱酸化を用いる場合、これらにおいては、300℃以上の高い温度域での処理しているため、エネルギー効率が悪く、安価で軽量な樹脂基板に適用することは困難である。
特開2003−179242号公報 Advanced Materials 2007,19,843−847 Electrochemical and Solid−State Letters,10(5) H135−H138 (2007)
従って、本発明の目的は、キャリア移動度や安定性が高い金属酸化物半導体を得ることにあり、更に生産効率が向上した金属酸化物半導体の製造方法を得ることにあり、これを用いて安定に動作する薄膜トランジスタ(TFT)素子を得ることにある。
本発明の上記課題は以下の手段により達成される。
1.基板上に、金属酸化物半導体の前駆体を含む薄膜を形成した後、該薄膜に対し、還元処理を行った後、酸化処理を施すことを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
2.酸化処理がプラズマ酸化によることを特徴とする前記1に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
3.プラズマ酸化が大気圧プラズマ法によることを特徴とする前記2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
4.還元処理又は酸化処理において、基板温度が150℃〜300℃であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
5.金属酸化物半導体の前駆体を含む薄膜がパターン化されていることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
6.還元処理が大気圧プラズマ法によることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法を用いて作製された酸化物半導体薄膜を活性層に用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明により、移動度が高く、OFF電流が小さい、安定に動作する薄膜トランジスタ(TFT)素子を、生産効率よく得ることができる。
以下本発明を実施するための最良の形態について説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
金属酸化物半導体の前駆体となる材料としては、銅、インジウム、錫、亜鉛、ガリウム、アルミニウム等の金属のハロゲン化物、例えば、塩化亜鉛(ZnCl2)、塩化インジウム(InCl3)、酸化錫(SnCl2)等の金属ハライドが好ましい。
これらの金属酸化物半導体の前駆体となる金属ハライドを含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、などを用いることができるが、本発明においては、これらの金属酸化物半導体の前駆体となる金属ハライドを含有する薄膜は、溶液を、印刷、塗布、又インクジェット等の方法を用いキャスティング形成することが好ましい。例えば、半導体組成を考慮し金属ハライドを所定の比率に混合し、例えばアセトニトリル等これらを溶解する有機溶媒に溶解したのち、溶液を基板上に、適用して薄膜をキャスティング形成する。多くの金属ハライドは湿気により加水分解し易いため有機溶媒溶液を用いることが好ましい。
基板上に形成された前駆体の薄膜は、先ず、これに対し、還元処理を施し一旦金属薄膜とした後、更に酸化処理を施して、金属酸化物半導体に転化させ、酸化物半導体薄膜とする。
また、形成する金属ハライドを含む薄膜の膜厚は1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜100nmである。
これらの金属酸化物半導体の前駆体となる金属ハライドを含有する薄膜を形成するための金属ハライドを溶解乃至分散する有機溶媒としては、金属ハライド混合物を溶解できればとくに限定はなく、アルコール、酢酸エチル、エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、アセトン、トルエン等用いることができるが、金属ハライド化合物は湿気に対し不安定であり、中でも非プロトン性溶媒であるアセトニトリル、エーテル等が特に好ましい。
(成膜方法、パターン化方法)
金属酸化物半導体の前駆体となる金属ハライド溶液を含む薄膜を形成する方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、などの塗布による方法、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、また、インクジェットなどの印刷法でパターン化する方法などが挙げられ、特に印刷、インクジェット法は、パターン形成が容易であり、生産効率が向上するため好ましい。塗布膜からフォトリソグラフ法、レーザーアブレーションなどによりパターン化してもよい。金属微粒子を含む薄膜の成膜、パターン化には従来の公知な方法が適用できる。
これらのうち、好ましいのは薄膜の塗布が可能な、スプレーコート、ミスト法である。
金属ハライドは、湿気に対し不安定であり、加水分解が進むので、金属ハライドを含む薄膜は、形成後、還元処理を行って金属薄膜とする。
薄膜の還元処理としては限定されないが、薄膜の還元処理としては、大気圧プラズマ法によるものが好ましい。即ち、薄膜表面を還元性のプラズマに曝すことで前駆体の薄膜は還元されて金属薄膜に転化される。
ミスト法における好ましい液滴の形成方法について以下に述べる。
図1は、薄膜形成材料を含有する液体を液滴として基材上に付与もしくは電極間に供給する場合に用いられる超音波噴霧器の概略図である。これにより微小液滴(液滴)を形成することができる。図1中、1は超音波噴霧器、11は窒素ガスを導入する導入管、12は液滴原料としての薄膜形成材料を含有する液体Lを貯留する原料貯留部、13は超音波発生部、14は超音波発生部13に接続された電源、15は発生した液滴を放出する放出管である。導入管11から原料貯留部12に窒素ガスを導入し、かつ、電源14をONすることにより超音波発生部13から超音波を発生させると、液滴が発生する。このようにして発生した液滴は、放出管15を通って超音波噴霧器1外へ放出され、図示しない大気圧プラズマ装置の適宜の場所において基材上に、液滴が噴霧され、基材上に形成される該薄膜に対し、還元処理が施されることが好ましく、例えば、大気圧プラズマ処理装置において、プラズマ還元処理が施されることになる。
図2は、超音波噴霧器を備えた枚葉式の大気圧プラズマ処理装置の概略図であり、これにより液滴の噴霧による薄膜の形成と大気圧プラズマ処理による還元処理または酸化処理が連続して或いは同時に行える。図2中、1は図1と同様の超音波噴霧器である。超音波噴霧器1から下部方向に噴霧された液滴Mは、噴霧空間Aで基材S上に付与されることになる。21は固定された第1電極、22は基材Sを支持し、図中矢印の方向に反復運動することが可能な第2電極である。第1電極21と第2電極22とは所定のギャップを有して対向して設けられ、このギャップが放電空間Dを構成する。第1電極21と第2電極22は、それぞれ負荷であるフィルタ27Aまたは27Bと、さらにマッチングボックス26Aまたは26Bと、さらに高周波電源25Aまたは25Bと接続され、接地されている。フィルタは、異なる2種類の高周波電界を前記放電空間で重畳するため、互いの電源に互いの高周波が影響を与えないために挿入するものである。また、マッチングボックスは、高周波電源のエネルギーを有効に利用するため、負荷の持つリアクタンス成分をキャンセルし、インピーダンスを補正するために挿入している。
高周波電源25Aにより発生させる第1の高周波電界及び高周波電源25Bにより発生させる第2の高周波電界は、次の関係を満たす。第1の高周波電界の周波数ω1より第2の高周波電界の周波数ω2が高く、かつ、前記第1の高周波電界の強さV1、前記第2の高周波電界の強さV2及び放電開始電界の強さIVとの関係が、V1≧IV>V2、または、V1>IV≧V2を満たす。前述したように、この関係を満たす2種類の高周波電界を重畳することで、放電開始電界強度が大きい窒素等のガスを用いた場合でも、安定して高密度な放電状態を達成することができ、質の高い処理や製膜を行うことができる。
例えば、第1の高周波電界としては周波数100kHzの高周波を、それと対向する第2の高周波電界としては周波数13.56MHzの高周波を用いる。そして、電極間には、窒素ガスに対し、例えば、還元性ガスまた酸化性ガスを例えば0.1体積%程度混合したガスを導入し放電空間を形成させる。
ガラス等の基材Sは、第2電極22上に載置され、噴霧空間Aと放電空間Dとの間を反復移動する。噴霧空間Aでは薄膜形成材料を含有した液体の液滴が基材S上に付与される。放電空間Dでは、窒素等の放電ガスが供給され、2種類の高周波電界が重畳され、高密度なプラズマが発生しており、ここに液滴が付与された基材Sが晒される。これを繰り返すことによって還元処理、または酸化処理等のプラズマ処理が行われる。
図3も、超音波噴霧器を備えたロール式の大気圧プラズマ処理装置の概略図である。図3中、参照符号で図2と同一であるものは、図2で説明した部材と同じである。図3においてSはプラスチックフィルム等の長尺の基材である。基材Sは第2電極であるロール電極22Rの周囲に巻回され図中の矢印の方向に搬送されている。超音波噴霧器1から噴霧される薄膜形成材料を含有する液滴Mは、噴霧空間Aにおいて、基材S上に付与される。その後、第1電極21と第2電極22Rとの間で形成される放電空間Dを、液滴Mが付与された基材Sが通過すると、薄膜が形成される。
大気圧プラズマ処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成液滴に与え、プラズマ還元処理や、プラズマ酸化処理を行う。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2、より好ましくは20W/cm2である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。これにより、さらなる均一高密度プラズマを生成でき、さらなる製膜速度の向上と膜質の向上が両立できる。好ましくは5W/cm2以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cm2である。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
いずれにせよこれらにより、薄膜形成材料を含有する液体は、基材上に噴霧等により液滴として付与されることが好ましい。液滴の平均粒径は5μm以下、好ましくは1μm以下である。液滴の平均粒径の測定方法は、液滴群にレーザー光を照射し、そこから発せられる回折・散乱光の強度分布パターンから粒度分布を算出する方法が簡便であり、東日コンピュータアプリケーションズ株式会社のLDSA−1500A等が利用できる。
本発明においては、このように、金属酸化物半導体の前駆体となる金属を含有する薄膜を形成した後、該薄膜に対し、還元処理を行っ手金属薄膜とした後、酸化処理を施すことにより金属酸化物半導体を製造する。
(大気圧プラズマ法)
大気圧プラズマ法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下、対向する電極間に反応性ガスを含有するガスを供給し、該電極間に高周波電界を発生させることによってこれを励起プラズマとし、基材を晒すことによって基材の処理を行うものである。
大気圧プラズマ法によれば、反応性ガスとして、還元的雰囲気を形成する化学的還元性を有するガスを用いることで還元処理を行える。尚、晒す工程とは接触させる工程である。
大気圧プラズマ処理を行う装置については、前記の他、国際公開第02/48428号パンフレットや特開2004−68143号公報に、また、装置についても特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−147209号公報、特開2000−185362号公報、WO2006/129461等に記載のものを用いることができる。
大気圧もしくはその近傍の圧力下の圧力とは、90〜110kPa程度であり、93〜104kPaが好ましい。
電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、更に好ましくは対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。誘電体としては比誘電率が6〜45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としてはアルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいはケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。
プラズマ還元処理において、対向する電極間に供給するガスとしては、放電ガスと共に用いられる還元性ガスとして、水素、アンモニア、メタン等のガスが挙げられる。放電ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンや、窒素ガス等が挙げられるが、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスのうち1種類以上を含有することが好ましい。
放電ガスは電極間に高周波電界を発生させることによって励起プラズマとなる。なお、例えば水素等の還元性ガスの含有量はガス全量に対して0.01〜5体積%含有させることが好ましく、それによって還元処理を行い前駆体薄膜を金属薄膜とすることができる。
電極間に発生させる高周波電界は断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わない。
電極間に供給するガスが放電ガスとして窒素を含有する場合は、大きい放電開始電界強度が必要となるため、前記のように2種類の高周波電界を重畳する装置を用いることが好ましい。このようにすることによって、放電ガスが窒素であっても高密度なプラズマの発生が達成でき、良質な薄膜が得られ、高速に製膜でき、更には安価、且つ安全に運転でき、環境負荷の低減も達成できる。
尚、大気圧プラズマ法による還元処理を用いると基板温度が150℃〜300℃という比較的低温において還元処理を行うことができるのでプラスチック基板等を用いることができ好ましい。
また、反応ガスを放電空間である電極間への導入は常温常圧で行えばよい。
このような還元処理は一方でドライ洗浄プロセスであり、これによって前駆体を含有する薄膜中の有機物、不純物を分解、洗浄して、金属成分以外の成分を排除しておくことができる。
次いで、本発明においては、前駆体を含む薄膜を還元処理して得られた金属薄膜に酸化処理を施す。
(薄膜酸化工程)
前駆体となる金属ハライドを含む薄膜を還元処理し形成された金属薄膜を酸化する方法としては限定はなく、熱酸化法、UVオゾン法、プラズマ酸化法、等を用いることができる。しかしながら酸素プラズマ法、また中でも、大気圧プラズマ法が好ましい。熱酸化法においては、300℃以上、数百度以上の高温が必要であり、また、UVオゾン法においても、基板を〜400℃の加熱が必要であるが、プラズマ酸化法、中でも大気圧プラズマ法を用いることで、150℃〜300℃という比較的低温において酸化処理を行うことができ好ましい。また、前記のような図2または3で示される装置を用いれば、薄膜形成から、プラズマ還元、またプラズマ酸化処理が連続して行え好ましい。
プラズマ酸化においては、前記大気圧プラズマ法において、反応性ガスとして酸化ガス(酸素、炭酸ガス等が挙げられる)を用いればよい。
即ち、前駆体を含有する薄膜から形成した金属薄膜を有する基板を、大気圧下で、放電ガス(例えばアルゴンガス)と共に酸化ガス(例えば酸素)を用い、これを放電空間に導入して、高周波電界を印加して、放電ガスを励起させ、プラズマ発生させ、酸化ガスと接触させて励起酸素プラズマを発生させ、薄膜表面をこれに晒すことでプラズマ酸化処理を行うことができる。金属薄膜を、酸素プラズマに晒すことで、金属薄膜は表面からプラズマ酸化を受け透明な金属酸化物に転化して金属酸化物半導体が形成される。反応の終了は薄膜が透明になることで、また質量変化をモニタしてもみることができる。
電極間に発生させる高周波電界は断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには連続したサイン波であることが好ましい。また、酸化処理において、酸化ガスは、放電ガス(上記不活性ガス)及び酸化ガスを含む混合ガスに対し、0.01〜5体積%含有させることが好ましい。尚、大気圧プラズマ法を用いたプラズマ酸化においては、基板を150℃〜300℃の範囲で加熱させることが好ましい。
(酸化物半導体薄膜)
本発明の方法により、前述した金属原子から選ばれた単独、または複数の金属原子を含む金属酸化物半導体の薄膜を作製する。金属酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜を用いる。
形成された金属酸化物半導体に含まれる金属原子は、前駆体の記述に挙げたものと同様に、インジウム、錫、亜鉛のいずれかを含むことが好ましく、さらにガリウムまたはアルミニウムを含むことが好ましい。好ましい組成比としては、Inを1とした時に、ZnySn1-y(ここにおいてyは0〜1の正数)は0.2〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2である。また、Inを1とした時に、Ga及びまたはAlの組成比は各々0〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2である。
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、1〜300nmが好ましく、より好ましくは5〜200nmである。特に10〜100nmが好ましい。
本発明においては、前記プラズマ酸化において、前駆体材料、及び組成比、またプラズマ酸化におけるガス組成比、流量、電極条件(周波数、電位等)などの製造条件を制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm3以上1018/cm3未満とする。より好ましくは1013/cm3以上1017/cm3以下、更には1015/cm3以上1016/cm3以下の範囲にすることが好ましいものである。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることが出来る。
本発明に係る酸化物半導体薄膜は、電界効果トランジスタ(薄膜トランジスタ:TFT)に用いることができる。
(素子構成)
図4に、本発明に係わる酸化物半導体薄膜を用いた、薄膜トランジスタの代表的な素子構成を示す図である。
本発明に係わる金属酸化物半導体の製造方法により製造した酸化物半導体薄膜を用いた薄膜トランジスタの構成例の幾つかを図4(a)〜(f)に断面図にて示す。図4において、酸化物半導体薄膜は、ソース電極、ドレイン電極が、これをチャネルとして連結するよう構成されることが好ましい。
同図(a)は、支持体106上に金属箔等によりソース電極102、ドレイン電極103を形成し、これを基材(基板)として、本発明の方法により、両電極間に本発明の酸化物半導体薄膜からなる半導体層101を形成し、その上に絶縁層105を形成し、更にその上にゲート電極104を形成して電界効果薄膜トランジスタを形成したものである。同図(b)は、半導体層1を、(a)では電極間に形成したものを、電極及び支持体表面全体を覆うように形成したものを表す。(c)は、支持体106上に先ず本発明の方法を用いて、半導体層101を形成し、その後ソース電極102、ドレイン電極103、絶縁層105、ゲート電極104を形成したものを表す。
同図(d)は、支持体106上にゲート電極104を金属箔等で形成した後、絶縁層105を形成し、その上に金属箔等で、ソース電極102及びドレイン電極103を形成し、該電極間に本発明の酸化物半導体薄膜により形成された半導体層101を形成する。その他同図(e)、(f)に示すような構成を取ることもできる。
図5は、本発明の薄膜トランジスタ素子が複数配置される薄膜トランジスタシート120の概略等価回路図の1例である。
薄膜トランジスタシート120はマトリクス配置された多数の薄膜トランジスタ素子124を有する。121は各薄膜トランジスタ素子124のゲート電極のゲートバスラインであり、122は各薄膜トランジスタ素子124のソース電極のソースバスラインである。各薄膜トランジスタ素子124のドレイン電極には、出力素子126が接続され、この出力素子126は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子126として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。125は蓄積コンデンサ、127は垂直駆動回路、128は水平駆動回路である。
この様な、支持体上にTFT素子を2次元的に配列した薄膜トランジスタシートの作製に本発明の方法を用いることができる。
以下、本発明に係わる電界効果トランジスタ或いはTFTシートの各要素について説明する。
(電極)
本発明において、TFT素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。金属微粒子を含有する分散物としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1〜100nm、好ましくは1nm〜50nm、更に好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の作製方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報、特許第2561537号などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
(電極等の形成方法)
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース、ドレイン、或いはゲート電極等の電極、またゲート、或いはソースバスライン等を、エッチング又はリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により前記部分に無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒と、メッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
(ゲート絶縁膜)
本発明の薄膜トランジスタのゲート絶縁膜としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁膜(層)が陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等を用いることもできる。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
(基板)
基板を構成する支持体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物又は無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。
以下、本発明に係る金属酸化物半導体の製造方法及びこれにより得られた酸化物半導体薄膜を活性層に用いた薄膜トランジスタ素子について実施例を挙げて説明する。
図6に示した薄膜トランジスタ作製工程の模式図を用い説明する。
実施例1
樹脂支持体11として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず、50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施した。その後以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層18とした(図6(1))。
大気圧プラズマ処理装置は、特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
次いで、ゲート電極を形成する。スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法により、エッチングしてゲート電極12を形成した(図6(2))。
(陽極酸化被膜形成工程)
ゲート電極12を形成したのち基板をよく洗浄し、30質量%燐酸アンモニウム水溶液中で、2分間、30Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるまで陽極酸化をおこなった(図では省略)。
次いで、さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により厚さ30nmの酸化珪素膜を設け、前記した陽極酸化アルミニウム層を併せて、厚さ150nmのゲート絶縁膜13を形成した(図6(3))。
次に、Sn、Znの組成比で1:1となるよう、それぞれ塩化錫(純度99.995% シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製)、塩化亜鉛(純度99.995% シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製)を0.02モル濃度でアセトニトリルに超音波を用いて溶解した溶解液を、インクジェット装置を用いて、乾燥空気中において、ゲート電極の配置されたゲート絶縁膜上、チャネル領域に吐出して、金属ハライドを含有する薄膜を成膜した(図6(4))。平均膜厚は30nmであった。
得られた前駆体からなる薄膜を、前記と同様の装置を用いて大気圧プラズマ法により還元処理を行った。以下の条件でフィルム(基板)温度200℃にて行った。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム 99.85体積%
反応性ガス:水素ガス 0.15体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm2
外観変化、又質量でモニタすることで金属への転化が確認された。
次いで、更に、大気圧プラズマ法において、以下のように条件を変えて、酸化処理を行った。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム 99.5体積%
反応性ガス:酸素ガス 0.5体積%
(放電条件)
高周波電源:13.56MHz
放電出力:10W/cm2
酸化処理によって金属薄膜は透明に変化し、厚さ約60nmの金属酸化物からなる酸化物半導体薄膜14に転換された。
次いで、マスクを用いて金を蒸着し、ソース電極15およびドレイン電極16を形成した(図6(5))。それぞれのサイズは、幅10μm、長さ50μm(チャネル幅)厚さ50nmであり、ソース電極15、ドレイン電極16の距離(チャネル長)は15μmとした。以上の方法により薄膜トランジスタ(電界効果トランジスタ)を作製した。
作製した電界効果トランジスタは良好に駆動し、n型のエンハンスメント動作を示した。即ち、ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられたキャリア移動度は7cm2/Vs、on/off比は5桁であった。
実施例2
前駆体溶液を次のように変更した以外は、実施例1と同様に薄膜トランジスタを作製した。
In、Znの組成比で1:1となるよう、それぞれ塩化インジウム(純度99.995% シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製)、塩化亜鉛(純度99.995% シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製)を0.02モル濃度でアセトニトリルに超音波を用いて溶解した溶解液を用いた。
作製した電界効果トランジスタは良好に駆動し、n型のエンハンスメント動作を示した。即ち、ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。その飽和領域から見積もられたキャリア移動度は10cm2/Vs、on/off比は6桁であった。
超音波噴霧器の一例を示す概略図である。 枚葉式の大気圧プラズマ処理装置の一例を示す概略図である。 ロール式の大気圧プラズマ処理装置の一例を示す概略図である。 薄膜トランジスタの構成例を幾つかを示す断面図である。 薄膜トランジスタシートの一例の概略の等価回路図である。 薄膜トランジスタ作製工程の模式図を示す。
符号の説明
1 超音波噴霧器
11 導入管
12 原料貯留部
13 超音波発生部
14 電源
15 放出管
21 第1電極
22、32 第2電極
22R、35 ロール回転電極
25A、25B 高周波電源
26A、26B マッチングボックス
27A、27B フィルタ
101 半導体層
102 ソース電極
103 ドレイン電極
104 ゲート電極
105 絶縁層
120 薄膜トランジスタシート
121 ゲートバスライン
122 ソースバスライン
124 薄膜トランジスタ素子
125 蓄積コンデンサ
126 出力素子
127 垂直駆動回路
128 水平駆動回路

Claims (7)

  1. 基板上に、金属酸化物半導体の前駆体を含む薄膜を形成した後、該薄膜に対し、還元処理を行った後、酸化処理を施すことを特徴とする金属酸化物半導体の製造方法。
  2. 酸化処理がプラズマ酸化によることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  3. プラズマ酸化が大気圧プラズマ法によることを特徴とする請求項2に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  4. 還元処理又は酸化処理において、基板温度が150℃〜300℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  5. 金属酸化物半導体の前駆体を含む薄膜がパターン化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  6. 還元処理が大気圧プラズマ法によることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属酸化物半導体の製造方法を用いて作製された酸化物半導体薄膜を活性層に用いたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
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