JP2010255300A - 地中残存杭の引抜き工法及び同工法に使用する治具 - Google Patents

地中残存杭の引抜き工法及び同工法に使用する治具 Download PDF

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Abstract

【課題】残存杭引抜きの成功率を向上させる。
【解決手段】ケーシングスクリュー5下端部にワイヤロープ6の輪部15を保持させ、保持を解放する手段を備え、地中残存杭14にケーシングスクリューを嵌合するように下降させ、解放手段により輪部の保持を解放した後、輪部を残してケーシングスクリューを除去し、ワイヤロープを引っ張って杭を引抜く残存杭引抜き工法において、保持手段がケーシングスクリューの下端付近に設けた複数個の小孔10に条体9を挿通して輪部を保持し、解放手段が解放用ロープ19の途中をワイヤロープの輪部に沿わせて共に条体で結束しておいて、端部を地上側で引っ張ることにより条体を切断する。輪部はワイヤロープを2回巻きする。治具1は、テーブルと、輪部の部分を支持する内側支持部3と、その隙間8に対応して設けられケーシングスクリューの小孔から差し込まれる条体が輪部の部分を周回して折り返す案内部11とを有する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、既設のPC杭等を抜く時に杭が途中で折れてその下部が地中に残った場合に、主に適用する地中残存杭の引抜き工法に関し、またその工法において使用する治具に関する。
頭部が地表に出た杭の引抜き工法としては、例えば、特許文献1に見られるようなものがある。従来、杭抜き工法によって頭部が地表に出た杭を抜く際に、途中で杭が折れてその下部が地中に残ってしまうことがかなりの割合で発生していた。地中に折れ残った杭(以下残存杭と記す。)は、その場所に新たな構築物を設置する場合に新たに杭等を打ち込む時の邪魔になるから、残らず除去しておくことが好ましい。この残存杭の除去を確実に行うには、杭の直径の3〜4倍の直径のケーシングチューブを使用する全回転型オールケーシング掘削機を用い、残存杭の周辺を大きく余裕を持って掘り進むことによって破砕して除去することができる。しかし、大規模な工事となり、除去工事費が高くなる。別に、工事費があまり嵩まない従来の比較的小規模な残存杭の除去方法は、残存杭の外径より少し大きい内径のケーシングスクリューを用い、その下端の掘削用刃部(ケーシングパイプの下端に取り付けたフリクションカッター)に杭を引き抜くためのワイヤロープを針金により仮保持した状態で、残存杭の周を抱き込むように左右交互に回転させながら掘削するように下降させ、残存杭にワイヤロープを掛ける適当な位置で下降を停止させ、その位置でケーシングスクリューを左右交互に回転させるなどすることにより仮保持用針金による仮保持を解放する。そして、ケーシングスクリューを引き上げる。前記ケーシングスクリューの下端に仮保持してあったワイヤロープは、一端に小環を設けられたもので他端をその小環に挿通して引っ張ることにより杭を締め付け保持できるように投げ縄状に輪部を作ってあり、その輪部がケーシングスクリューと共に残存杭の外周に嵌まり込んで下降して来たものであり、仮保持を解放したことによりその位置に残る。つまり、ワイヤロープは下端部の輪部が残存杭の途中に嵌合し、他端が地上部にある状態である。従って他端を巻き上げ機等で引っ張ることにより輪部と杭の間の摩擦抵抗で輪部が小さくなって残存杭の途中を締め付け保持し、さらに引っ張ることで残存杭を引き抜くのである。
特開平7−82744号公報
前述した従来行われている小規模な残存杭の引抜き工法では、ワイヤロープ下端の輪部をケーシングスクリュー下端部に針金で仮保持する作業が熟練を要し、所望時に確実に解放できるとは限らない問題がある。つまり、針金による仮保持の状態は作業者によってそれぞれに異なり、仮保持の強弱、例えば針金を掛ける位置や曲げ加減の相違、針金の太さや強度の相違等、によって前記輪部が残存杭に嵌合しない間に解放されるとか、容易に解放されないという事態が起こる。また、仮保持の解放状態がケーシングスクリューを上昇させなければ確認できない問題や、杭を引抜く時にワイヤロープの輪部が確実に杭を締め付け保持出来ないでワイヤロープを引っ張る最初にあるいは途中で杭から外れてしまう問題もある。なお、この方法による残存杭の引抜きに失敗したときは、多くの場合杭が傾いてしまい、同じ方法ではケーシングスクリューで杭を内側に抱え込む掘削が不可能となり、引抜くことができなくなるので、本来は確実性が要求される作業である。
本発明は、前記小規模な残存杭の引抜き工法を改善して、熟練しなくてもワイヤロープをケーシングスクリュー下端部に確実且つ適切に保持することが容易にでき、また、保持を確実に解放でき、ワイヤロープの輪部が杭を確実に締め付けることができるようにする、つまり、小規模な残存杭の引抜き工法の成功率を大幅に向上させることを課題とする。
本発明の手段は、使用するケーシングスクリューの下端部にその下端部円周に沿う状態に杭引抜き用ワイヤロープの一方端に小環を設け他端を挿通して形成した輪部を保持手段により予め保持させてあり、その保持手段は前記保持を解放する解放手段を備えており、地中に残存している杭の上側から前記ケーシングスクリューを杭の途中まで嵌合するように下降させ、前記解放手段によって前記輪部の保持を解放し、前記輪部を残して前記ケーシングスクリューを上昇させて除去し、地上側にある前記ワイヤロープの他方を引っ張ることにより残存杭の途中に嵌合して残された前記輪部に杭の途中を締め付け保持させて前記杭を引抜く残存杭引抜き工法において、前記保持手段が、ケーシングスクリューの下端付近に周方向に適当な間隔で半径方向に穿設した複数個の小孔に条体を挿通して前記輪部を保持し、前記解放手段が、前記保持を解放する解放用ロープの途中を前記ワイヤロープの輪部の部分に沿わせて共に結束状態に前記条体で締め付け保持し端部を地上側に位置させた構成であり、前記解放手段のロープは地上側で比較的強力に引っ張ることにより前記条体を切断状態にできるようにしてあることを特徴とする(請求項1)。
この手段によると、保持手段が、ケーシングスクリューの下端付近に穿設した小孔を使用して条体でワイヤロープの輪部をケーシング下端部に締め付け固定してあるので、その輪部を確実に保持して残存杭の所望途中位置まで運ぶことができ、またその位置で解放手段のロープを引っ張ることにより条体を確実に切断状態として輪部を確実に解放するから、ケーシングスクリューを抜き去るときに杭引抜き用ワイヤロープの輪部がケーシングスクリューと共に移動することがなく、所望位置に確実に残る。
前記ケーシングスクリューの下端に保持させてあるワイヤロープの一方端の前記輪部が、前記ワイヤロープを2回巻きしてワイヤロープ端の前記小環に他端を挿通して形成される構成とするのがよい(請求項2)。
この構成によると、輪部が、ワイヤロープを2回巻きにしてあることにより、残存杭の途中に嵌合し単独で位置する状態でワイヤロープを地上側へ引っ張ったときに、従来の1回巻きに比べて杭の表面を滑り難く、確実に縮径して杭を締め付けるので、杭から輪部が外れることがなく、確実に杭を引抜くことができる。
また、本発明の方法に、残存杭引抜き用ワイヤロープをケーシングスクリューに装着する際に治具を使用し、その治具は、ケーシングスクリューの下端を支持するテーブルと、その下端支持状態における前記ケーシングスクリュー内側位置の前記テーブル上面に複数個が隙間を隔ててほぼ等間隔に凸設され杭引き抜き用ワイヤロープの輪部を形成するように環状に位置決め支持する内側支持部と、前記内側支持部の前記隙間に対応して前記環状に位置決め支持されるワイヤロープ内側位置の前記テーブル上面に凸設され前記ケーシングスクリュー下端部に穿設した小孔から差し込まれる前記条体が前記輪部の部分を周回して折り返すように案内される案内部と、を有することを特徴とする(請求項3)。
この治具の使用は、先ずテーブル上面の内側支持部を利用してワイヤロープの2重巻きの一巻き目の輪部を形成する。次にケーシングスクリューをテーブル上の所定位置に下降させ、二巻き目の輪部を刃部外側に形成し、その二巻き目の輪部に沿うようにケーシングスクリュー下部に解放手段のロープを1回巻きつける。ケーシングスクリューの小孔は予め刃と刃の間に対応して設けられており、ケーシングスクリューの下降時に、小孔の位置が案内部に対応した所定位置となるようにケーシングスクリュー回転位置を決める。その所定位置では、ケーシングスクリューの下端の幾つかの刃がテーブル上面に支えられており、刃と刃の間がケーシングスクリューの内側に連通し、その連通部に案内部と小孔が対応している。従って、小孔外側から条体を差し込むと、条体先端がワイヤロープの一巻き目の輪部の部分の上側を通り、案内部に当接して案内されて下方へそして外方へ方向を変え、つまり一巻き目のワイヤロープを周回する形で、刃と刃の間から出て来るかあるいは摘まみ出せる状態になり、先端を外側に出す。条体の出てきた先端部分と外側にある基端部分とを結合するのであるが、その時外側のワイヤロープの二巻き目の輪部と、1回巻きつけてある解放手段のロープと、を一緒に結束状態にして、締め付けると共に結合する。各小孔について同様に条体を適用すれば、ワイヤロープの輪部が解放手段のロープと共に複数の条体でケーシングスクリューの下部に保持される。解放手段のロープは、1回巻きつけた状態であるが、条体を結合締結した後で、巻きつけて出会った片側部分をその上を折り返してほぼ一回巻き戻し、他の片側部分に引き揃える。なお、ワイヤロープを1重回巻きとする場合には、その2巻目の輪部を省略して同様にすればよい。この治具の使用により、ワイヤロープの輪部を、ケーシングスクリュー下端部の好ましい保持位置に位置決めでき、その位置に複数箇所で夫々にケーシングスクリューの小孔から差し込まれる条体によってケーシングスクリュー下端部に保持できる。
請求項1に係る発明は、残存杭引抜き用ワイヤロープの輪部が、残存杭に嵌合し、残存杭の所望途中位置で確実にケーシングスクリューから解放され、その所望途中位置に確実に残され、ケーシングスクリューを除去するときに共に引き上げられることがない。従って、残存杭の引抜きの失敗が大幅に低減する効果を奏する。
請求項2に係る発明は、残存杭引抜き用ワイヤロープの輪部が残存杭に嵌合した状態でワイヤロープを地上側へ引っ張ったときに、輪部が殆ど滑らないで締まり、杭から輪部が外れることがなく、確実に杭を引抜くことができる効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、熟練を要しなくてもワイヤロープをケーシングスクリュー下端部に確実且つ適切に仮保持することが容易にできる効果を奏する。
本発明の工法の実施例で使用する治具の実施例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 本発明の工法の実施例においてワイヤロープで輪部を治具上に形成する段階を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。 同実施例においてケーシングスクリューの下部にワイヤロープの輪部を保持させる状態を示し、(a)は治具上に載ったケーシングスクリューの下部の横断平面図((b)のD−D断面図)、(b)は(a)のC−O−C断面図である。 同実施例においてワイヤロープと解放手段のロープとを保持させた状態を示し、(a)はケーシングスクリューの下部の横断平面図((b)のF−F断面図)、(b)は(a)のE−O−E断面図である。 同実施例において輪部を保持したケーシングスクリューの下端部を示し、(a)は(b)のG−G断面図、(b)は(a)のE−O−E断面図である。 従来の工法による地上露出杭の引抜き方法の概略説明図でクレーン支持されたケーシングスクリューを示し、(a)は杭周りの掘削を始める状態の側面図、(b)は杭の下端まで掘り進んだ状態の側面図、(c)は掘削を終わって抜き出した状態を示す側面図である。 地中残存杭が発生した状態に続いて前記実施例の方法を説明する概略説明図でクレーン支持されたケーシングスクリュー等を示し、(a)は残存杭が発生した状態の側面図、(b)はケーシングスクリューが下降する前の状態の側面図、(c)は所定位置にケーシングスクリューが下降した状態の側面図である。 図7に続く概略説明図でクレーン支持されたケーシングスクリュー等を示し、(a)は輪部が残りケーシングスクリューが抜き出された状態の側面図、(b)はワイヤロープを引っ張る前の状態を示す側面図、(c)は残存杭が引抜かれた状態を示す側面図である。
使用するケーシングスクリューの下端部にその下端部円周に沿う状態に杭引抜き用ワイヤロープの一方端に小環を設け他端を挿通して形成した輪部を保持手段により予め保持させてあり、その保持手段は前記保持を解放する解放手段を備えており、地中に残存している杭の上側から前記ケーシングスクリューを杭の途中まで嵌合するように下降させ、前記解放手段によって前記輪部の保持を解放し、前記輪部を残して前記ケーシングスクリューを上昇させて除去し、地上側にある前記ワイヤロープの他方を引っ張ることにより残存杭の途中に嵌合して残された前記輪部に杭の途中を締め付け保持させて前記杭を引抜く残存杭引抜き工法において、前記保持手段が、ケーシングスクリューの下端付近に周方向に適当な間隔で半径方向に穿設した複数個の小孔に条体を挿通して前記輪部を保持し、前記解放手段が、前記保持を解放する解放用ロープの途中を前記ワイヤロープの輪部の部分に沿わせて共に結束状態に前記条体で締め付け保持し端部を地上側に位置させた構成であり、前記解放手段のロープは地上側で比較的強力に引っ張ることにより前記条体を切断状態にできるようにしてある。また、前記ケーシングスクリューの下端に保持させてあるワイヤロープの前記輪部が、前記ワイヤロープを2回巻きしてワイヤロープ端の前記小環に他端を挿通して形成されている構成とする。そして、残存杭引抜き用ワイヤロープの輪部をケーシングスクリューに装着する際に治具を使用する。その治具は、ケーシングスクリューの下端を支持するテーブルと、その下端支持状態における前記ケーシングスクリュー内側位置の前記テーブル上面に複数個が隙間を隔ててほぼ等間隔に凸設され杭引抜き用ワイヤロープの輪部を形成するように環状に位置決め支持する内側支持部と、前記内側支持部の前記隙間に対応して前記環状に位置決め支持されるワイヤロープ内側位置の前記テーブル上面に凸設され前記ケーシングスクリュー下端部に穿設した小孔から差し込まれる前記条体が前記輪部の部分を周回して折り返すように案内される案内部と、を有する構成とする。
本発明の1実施例を、図を用いて説明する。この工法は治具1を使用する。その治具1は、図1に示すように、テーブル2に、内側支持部3と、案内部4と、を設けたものである。テーブル2は、鋼板製で適当な厚さ寸法を有し、作業現場で上面を水平にして設置されるもので、図では円形に示してあるが、上面の広さが杭抜きに使用するケーシングスクリュー5の下端が余裕を持って支持される広さのものであればよく、特に形状は限定されない。内側支持部3は、テーブル2にケーシングスクリュー5の下端を支持した状態において、そのケーシングスクリュー5内側位置に対応して杭引抜き用ワイヤロープ6(以下ワイヤロープ6と記す)を輪に支持できるように、上面に凹所7を有するブロック状のものを複数個、例えば8個を隙間8を隔てて所定の円に沿って等間隔で配置し固定したものである。つまり、内側支持部3は凹所7にワイヤロープ6を載せることによって所定の大きさの環状に位置決め支持できるようになっている。案内部4は、ワイヤロープ6をケーシングスクリュー5に保持するための後述する条体9を、その使用時に案内するものであり、内側支持部3の間の隙間8に対応しており、環状に位置決め支持されるワイヤロープ6内側位置のテーブル2上面にブロック状に凸設され、ケーシングスクリュー5下端部に穿設した小孔10から差し込まれる条体9が前記輪部の部分を周回して折り返すように案内される案内斜面11を設けてある。
残存杭の引抜きには、通常の前述した小規模杭抜き工法に使用するケーシングスクリュー5を使用し、残存杭が発生した際に、治具1を使用して残存杭引抜き用のワイヤロープ6をケーシングスクリュー5に設置する。この点を少し説明しておくと、ケーシングスクリュー5はそれまで使用していたもの、すなわち、図6(a)、(b)、(c)に従来の杭抜き工法を示すように、ラフタークレーン12を用いる比較的手軽なものである。図6(a)は抜こうとする杭30の周りの掘削を始める状態であり、ケーシングスクリュー5が引抜こうとする杭30の上に位置しており、この状態から杭30の周りを掘削しながら下降して行き、(b)は杭30の下端まで掘り進んだ状態であり、(c)は掘削を終わったケーシングスクリュー5を抜き出した状態を順次示している。これに続いて地上に出ている杭30の上端に引抜き用のワイヤロープ(実施例のものとは端部の構成が異なる)31を取り付けて引っ張り上げる。このとき杭が途中で半分に折れていた時に、あるいは折れた時に、杭の上半分30aが引き抜かれるが、下半分が地中に残り、図7(a)に示すように、残存杭14となる。
図7(a)に示すような地中に折れ残った残存杭14を引抜くのが、次に説明するこの実施例の残存杭引き抜き工法である。ケーシングスクリュー5の下端にワイヤロープ6の輪部15を保持させる。このために治具1を使用する。図2(a)にみられるように、ワイヤロープ6の一方の端に予め形成した小環16にワイヤロープ6の他端を挿通して輪部15とする。輪部15は2重巻きとしてその大きさは略ケーシングスクリュー5の下端部の円形に相当するものとする。そして図2(a)に示すように、小環16を内側支持部3のやや外側に位置させ、その小環16からワイヤロープ6他端に向かう部分が、内側支持部3間の一つの間隙8から内側に入り、順次各内側支持部3の凹所7に載せられ、一周して元の位置に戻った部分を先に通った間隙8を通って内側支持部3の外側に出され、さらにそのまま一周して小環16に挿通した状態となり、他端側へ伸延しているようにする。ワイヤロープ6が隙間8を通る部分で交差するが、その交差状態の上下関係はいずれが上であってもよい。ワイヤロープ6の外側を一周している部分は、図示のように、やや拡大した状態にしておく。これはケーシングスクリュー5の下端を治具1上に載せるときに確実にケーシングスクリュー5の下敷きにならないように外側に位置させるためである。なお、図2にはケーシングスクリュー5の下端部を載置した状態を仮想線で示してある。
図2(a)、(b)に示したように、ワイヤロープ6を治具1上に準備した後に、同図に仮想線で示したように、ケーシングスクリュー5を下降させ、その下端部を治具1上に載せる。ケーシングスクリュー5の下端部には掘削用の刃17が例えば8個、周方向に、等間隔で配列され、下方に向かって凸出した状態に設けてあり、刃17の下端がデーブル1上面に当接する。この時ケーシングスクリュー5の回転位置を、刃17と刃17の間が案内部4の位置に対応した、つまり内側支持部3の隙間8に対応した位置となるように調節する。ケーシングスクリュー5の下端部には予めワイヤロープ6の輪部15を保持するための条体9が挿通される小孔10を穿設してある。小孔10の位置は、刃が取付けられた円筒部の下端縁近くで、刃17と刃17の間の略中間である。使用する条体9は、例えば直径が0.5mm程度の針金を使用するが、特に材質や断面形状等が制限されるものではなく、要は以下に述べる作業に支障がなければよい。
治具1上にケーシングスクリュー5の下端部が載せられた状態で、図3(a)、(b)に示すように、ワイヤロープ6の2重巻きの外側部分18を締め込むように操作してケーシングスクリュー5の下端部外周に添わせる。また、図3(b)に示すように、ワイヤロープ6の保持を解放するための別に準備したロープ19の途中部分をワイヤロープ6の外側部分18の上に沿って一周した状態に配置する。そしてその状態で図3(b)に矢印20で示すように、小孔10から条体9を差し込み、案内部4に先端が当接した状態でさらに押し込むと、条体9先端が案内斜面に従って下方へ向きを変え、さらに押しこむことによってテーブル2上面に沿って外側へ向かい、ケーシングスクリュー5の下端縁下側の刃17と刃17の間から外方へ出てくる。この条体9により、図4(a)、(b)に示すように、ワイヤロープ6の2重巻きの内側と外側の部分18及び解放用ロープ19を結束するように締め付けてねじり固定する。8個の各小孔10毎に同様に条体9で固定すれば、輪部15の保持が完了する。図中、条体9による締め付け固定部を21で示す。なお、図4(b)では治具1の内側支持部3、案内部4の図示は省略してある。解放用ロープ19は、ワイヤロープ6の2重巻きの輪部15外側部分18に沿って条体9で結束された状態であり、隣り合う一組の条体9の間で一周してきた両側の部分が出会っており、その一方を折り返して結束されている部分の上側を逆戻りさせ、他方と引き揃えた状態にする。
図5(a)、(b)はワイヤロープ6の輪部15を保持したケーシングスクリュー5を上昇させて治具1から離れた状態を示し、この状態で残存杭14のある位置の上側に移動させて下降させる。ワイヤロープ6他方は杭引抜き用に車載されているウィンチ(図示せず)に連結され、図7(b)にみられるように、解放用のロープ19の端部側は別に用意したウインチ22に巻き取るように連結されている。ケーシングスクリュー5を下降させる位置は、先の失敗した杭の引き抜き作業で掘削していた所であるから、中心位置を合わせて、例えば、ケーシングスクリュー5を交互に半回転くらいさせながら下降させることにより、比較的容易に残存杭14を内側に抱き込むようにその所望の途中位置まで下降させることができる。もちろん下降に従ってワイヤロープ6とロープ19は適当に緩められる。
図7(c)に示すように、その所望下降位置で、ケーシングスクリュー5の下降と回転を停止させる。ウインチ22により解放用ロープ19の引き揃えた双方若しくは一方を引っ張る。なお、一方を引っ張る時は他方を固定しておく。これにより折り返し部分19aが移動し、条体9による保持を開放する。つまり、ロープ19を引っ張ることにより折り返し部分19aで条体9と係合した状態となり、予め選択して決められた条体9の破断荷重を超えて引っ張ることで条体9を一本ずつ切断して行き、すべてが切断状態になってからロープ19の折り返し部19aが地上へ出てくる。これによってケーシングスクリュー5に保持されていたワイヤロープ6が解放されたことが確認される。次にケーシングスクリュー5を上昇させると、図8(a)に示す状態になる。つまり、ケーシングスクリュー5は引き出され、ワイヤロープ6の輪部15が残存杭14の途中に勘合した状態で残る。
この状態でワイヤロープ6が残存杭14の略真上に位置するように引き上げ用の最初の滑車23の位置を図8(b)に示すように調節し、車載ウインチを動作させてワイヤロープ6を引っ張ると、先ず輪部15が縮小して残存杭14の途中を締め付けた状態となり、続いて残存杭14が引抜かれ始める。そして、図8(c)に示すように、確実に残存杭14が引抜かれる。
この実施例の工法によると、ケーシングスクリュー5の下端部にワイヤロープ6の輪部15を保持させるために、ケーシングスクリュー5の下端部に小孔10を設けてこれに条体9を挿通して保持するようにしたから、また、治具1を使用したから、殆ど熟練を要しない作業で保持作業を行うことができる。そしてこの輪部15の保持状態は、条体9の締結によって必要な強度で保持でき、従って確実に残存杭14に間嵌合させることができる。また、その輪部15を保持した状態を開放するための手段が、解放用のロープ19をワイヤロープ6の輪部15と共に条体9で結束状態としてあり、地上側で引っ張ることによって解放用のロープ19の折り返し部19aが個々の条体9に順次確実に係合するから、無理なく切断状態とすることができ、確実に解放できる。そして更に、ワイヤロープ6の輪部15を2重巻きとしたから、杭との摩擦抵抗が大きくワイヤロープ6の地上側を引っ張ることにより確実に締まり、滑って杭から外れることがない。これ等のことによって、比較的安価な作業費用で、残存杭14を確実に除去できる。
1 治具
2 テーブル
3 内側支持部
4 案内部
5 ケーシングスクリュー
6 ワイヤロープ
7 凹所
8 隙間
9 条体
10 小孔
11 案内斜面
12 ラフタークレーン
14 残存杭
15 輪部
16 小環
17 刃
18 外側部分
19 ロープ(開放用)
19a 折り返し部
20 矢印
21 締め付け固定部
22 ウインチ
23 滑車
30 引抜こうとする杭
30a 上半分
31 ワイヤロープ

Claims (3)

  1. 使用するケーシングスクリューの下端部にその下端部円周に沿う状態に杭引抜き用ワイヤロープの一方端に小環を設け他端を挿通して形成した輪部を保持手段により予め保持させてあり、その保持手段は前記保持を解放する解放手段を備えており、地中に残存している杭の上側から前記ケーシングスクリューを杭の途中まで嵌合するように下降させ、前記解放手段によって前記輪部の保持を解放し、前記輪部を残して前記ケーシングスクリューを上昇させて除去し、地上側にある前記ワイヤロープの他方を引っ張ることにより残存杭の途中に嵌合して残された前記輪部に杭の途中を締め付け保持させて前記杭を引抜く残存杭引抜き工法において、前記保持手段が、ケーシングスクリューの下端付近に周方向に適当な間隔で半径方向に穿設した複数個の小孔に条体を挿通して前記輪部を保持し、前記解放手段が、前記保持を解放する解放用ロープの途中を前記ワイヤロープの輪部の部分に沿わせて共に結束状態に前記条体で締め付け保持し端部を地上側に位置させた構成であり、前記解放手段のロープは地上側で比較的強力に引っ張ることにより前記条体を切断状態にできるようにしてあることを特徴とする残存杭引抜き工法。
  2. 前記ケーシングスクリューの下端に保持させてあるワイヤロープの一方端の前記輪部が、前記ワイヤロープを2回巻きしてワイヤロープ端の前記小環に他端を挿通して形成されることを特徴とする請求項1記載の残存杭引抜き工法。
  3. ケーシングスクリューの下端を支持するテーブルと、その下端支持状態における前記ケーシングスクリュー内側位置の前記テーブル上面に複数個が隙間を隔ててほぼ等間隔に凸設され杭引き抜き用ワイヤロープの輪部を形成するように環状に位置決め支持する内側支持部と、前記内側支持部の前記隙間に対応して前記環状に位置決め支持されるワイヤロープ内側位置の前記テーブル上面に凸設され前記ケーシングスクリュー下端部に穿設した小孔から差し込まれる前記条体が前記輪部の部分を周回して折り返すように案内される案内部と、を有することを特徴とする残存杭引抜き用ワイヤロープをケーシングスクリューに装着する治具。
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