JP2017227049A - 埋設杭の引き抜き方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)地盤中の引き抜こうとする埋設杭10の位置を確認し、埋設杭10の周りに削孔ケーシング11を回転して先端の掘削刃12で掘削穴17を掘削し、埋設杭10と掘削穴17の内壁面との接触を切る。
(2)掘削穴17から削孔ケーシング11を引き上げて、削孔ケーシング11の下端部の一端部と他端部に所定間隔で2個ずつ形成された一端溝14と他端溝15に、図8(a)に示すようなリング状のワイヤー13を、前記一端溝14の外側を通り、削孔ケーシング11の内側から他端溝15の外側へ導き出し、前記一端溝14と他端溝15の間のワイヤー13は、点線で示すように削孔ケーシング11の内壁の引き掛け部に掛け止めして、再度削孔ケーシング11を埋設杭10の下端部まで挿入する。
(3)この状態で、ワイヤー13の他端部19を引き上げるとワイヤー13は、削孔ケーシング11の内周の引き掛け部から外れ、埋設杭10の下面部16において略平行になり、埋設杭10の下面部16を抱える状態となる。
(4)ワイヤー13に張力を与えながら削孔ケーシング11を引き上げ、埋設杭10の下面部16をワイヤー13で抱えながら引き抜く。
これらの従来の方法では、埋設杭10の下面部16を抱え込む2本で一組の平行なワイヤー13が、削孔ケーシング11の一端部から他端部まで延びており、この長さは、埋設杭10の直径より十分長い。埋設杭10の下面部16は、ワイヤー13が引掛かる引き掛け部があるわけではなく、むしろ、埋設杭10の打ち込みのためにテーパーを有しているとともに、ワイヤー13は、負荷がかかると伸びが生じるので、引抜き時にワイヤー13が下面部16から外れてしまい、引抜きができなくなる恐れがあった。平行なワイヤー13を二組が交差するように配置しても同様の問題があった。
また、埋設杭10の中心点と削孔ケーシング11の中心点は、完全に一致するように掘削穴17が削孔されるものではなく、中心に位置ずれが生じる。このような位置ずれにより2本の平行なワイヤー13に均等に負荷がかからなくなり、下面部16の抱え込みが不十分となり引抜きができなくなる恐れがあった。
埋設杭20の周りに掘削用ケーシング21で掘削穴30を掘削し、前記埋設杭20に杭保持ワイヤー23の杭保持用環状部24を巻きつけて重機40により掘削用ケーシング21とともに埋設杭20を引き抜くようにした埋設杭の引き抜き方法において、
前記掘削用ケーシング21の下端部付近からこの掘削用ケーシング21の内壁面に設けたワイヤー収納凹部25に複数本の吊りワイヤー27を垂下し、この吊りワイヤー27の吊り下げリング29に少なくとも2周した前記杭保持用環状部24を支持し、この杭保持用環状部24を前記ワイヤー収納凹部25内に仮止めし、前記杭保持用環状部24の両端部の直線部43を前記掘削用ケーシング21の外周のワイヤーガイド溝32に案内して地上の引抜用クレーンなどの重機40に連結する工程と、
前記埋設杭20の周りに前記杭保持ワイヤー23を取り付けた前記掘削用ケーシング21で掘削穴30を掘削する工程と、
前記重機40で連結棒39を介して杭保持ワイヤー23を引き上げ、前記杭保持用環状部24を絞って埋設杭20に巻きつける工程と、
前記杭保持ワイヤー23による埋設杭20への巻き付け後、前記杭保持ワイヤー23を掘削用ケーシング21に固定する工程と、
前記杭保持ワイヤー23と掘削用ケーシング21の引き上げにより、埋設杭20を引き抜く工程と
からなることを特徴とする。
杭保持ワイヤー23の直線部43に連結棒39を介して重機40を連結し、この連結棒39を固定手段44にて掘削用ケーシング21に固定する。
吊りワイヤー27は、上端の固定部28を掘削用ケーシング21の外側面に取り付け、下端の吊り下げリング29をワイヤー収納凹部25に設けたワイヤー吊り下げ切り欠き37からワイヤー収納凹部25内に吊り下げたことを特徴とする。
埋設杭20の周りに掘削用ケーシング21で掘削穴30を掘削し、前記埋設杭20に杭保持ワイヤー23を巻きつけて重機40により掘削用ケーシング21とともに埋設杭20を引き抜くようにした埋設杭の引き抜き装置において、
前記杭保持ワイヤー23は、前記埋設杭20に巻きつけるための少なくとも2周した杭保持用環状部24と、この杭保持用環状部24の両端を上向きに伸ばした直線部43とからなり、前記掘削用ケーシング21は、その下端部付近の内壁部に設けられ前記杭保持用環状部24を収納するための全周囲が内方に開口したワイヤー収納凹部25と、前記直線部43を上方へ案内するための前記掘削用ケーシング21に設けられたワイヤーガイド溝32とを有し、前記掘削用ケーシング21から垂下され、下端部に前記杭保持用環状部24を前記ワイヤー収納凹部25内で支持する吊り下げリング29を有する複数本の吊りワイヤー27を設け、前記ワイヤーガイド溝32に、前記杭保持ワイヤー23の前記埋設杭20への巻き付け位置を固定する固定手段44を設けたことを特徴とする。
前記ワイヤー収納凹部25は、内側が開口した断面コ字形をなし、上面に吊りワイヤー27の吊り下げリング29が垂下するワイヤー吊り下げ切り欠き37を設けたことを特徴とする。
埋設杭の周りに掘削用ケーシングで掘削穴を掘削し、前記埋設杭に杭保持ワイヤーの杭保持用環状部を巻きつけて重機により掘削用ケーシングとともに埋設杭を引き抜くようにした埋設杭の引き抜き方法において、
前記掘削用ケーシングの下端部付近からこの掘削用ケーシングの内壁面に設けたワイヤー収納凹部に複数本の吊りワイヤーを垂下し、この吊りワイヤーにて少なくとも2周した前記杭保持用環状部を支持し、この杭保持用環状部を前記ワイヤー収納凹部内に仮止めし、前記杭保持用環状部の両端部の直線部を前記掘削用ケーシングの外周のワイヤーガイド溝に案内して地上の重機に連結する工程と、
前記埋設杭の周りに前記杭保持ワイヤーを取り付けた前記掘削用ケーシングで掘削穴を掘削する工程と、
前記重機で連結棒を介して杭保持ワイヤーを引き上げ、前記杭保持用環状部を絞って埋設杭に巻きつける工程と、
前記杭保持ワイヤーによる埋設杭への巻き付け後、前記杭保持ワイヤーを掘削用ケーシングに固定する工程と、
前記杭保持ワイヤーと掘削用ケーシングの引き上げにより、埋設杭を引き抜く工程と
からなるので、次の効果を有する。
・掘削用ケーシングのワイヤー収納凹部に杭保持ワイヤーを仮止めして掘削穴を埋設杭の周りに掘削するので、掘削穴の掘削と杭保持ワイヤーの杭先までの送り込みを同時に行うことができる。
・杭保持ワイヤーによる埋設杭への巻き付け後、杭保持ワイヤーを掘削用ケーシングに固定するので、掘削用ケーシングと埋設杭の引抜きを同時に行うことができる。
・垂下した複数本の吊りワイヤーで杭保持用環状部を支持し、杭保持用環状部の両端部を掘削用ケーシングのワイヤーガイド溝に案内して地上の重機で引き上げるようにしたので、杭保持用環状部は、掘削用ケーシングと埋設杭に位置ずれがあっても確実に埋設杭に巻きつけることができる。
・杭保持用環状部が複数本の吊りワイヤーで支持されているので、埋設杭の引き上げ時に杭保持用環状部が確実に巻きつけ状態を保持しており、杭保持ワイヤーが埋設杭から外れる恐れがない。
・掘削刃で地盤を掘削しているときに掘削刃とワイヤーとの間に土石が挟まることがないので、掘削の際に地盤を泥水でドロドロにしなくても確実にワイヤー収納部から外れて埋設杭に巻きつけることができる。
吊りワイヤーは、少なくとも3本を略等間隔で設け、杭保持ワイヤーを絞ったとき杭保持用環状部は、多角形を形成するようにしたので、埋設杭の下端部を確実に抱え込み保持することができる。
杭保持ワイヤーの直線部に連結棒を介して重機を連結し、この連結棒を固定手段にて掘削用ケーシングに固定するようにしたので、掘削用ケーシングと杭保持ワイヤーが一体的に固定され、引き上げ時に杭保持ワイヤーが緩むことはない。
吊りワイヤーは、上端の固定部を掘削用ケーシングの外側面に取り付け、下端の吊り下げリングをワイヤー収納凹部に設けたワイヤー吊り下げ切り欠きからワイヤー収納凹部内に吊り下げたので、杭保持用環状部は、略中心に向かって絞り込まれ、杭の断面形状にかかわりなく巻きつき保持できる。
埋設杭の周りに掘削穴を掘削する掘削用ケーシングと、前記埋設杭に巻きつけて連結された重機により掘削用ケーシングとともに埋設杭を引き抜くための杭保持ワイヤーとを具備した埋設杭の引き抜き装置において、
前記杭保持ワイヤーは、前記埋設杭に巻きつけるための少なくとも2周した杭保持用環状部と、この杭保持用環状部の両端を上向きに伸ばした直線部とからなり、前記掘削用ケーシングは、下端部付近の内壁部に設けられ前記杭保持用環状部を収納するための全周囲が内方に開口したワイヤー収納凹部と、前記直線部を上方へ案内するための前記掘削用ケーシングに設けられたワイヤーガイド溝とを有し、前記掘削用ケーシングから垂下され、下端部に前記杭保持用環状部を前記ワイヤー収納凹部内で支持する複数本の吊りワイヤーを設け、前記ワイヤーガイド溝に、前記杭保持ワイヤーの前記埋設杭への巻き付け位置を固定する固定手段を設けたので、掘削用ケーシングの下端部にワイヤー収納凹部を、側面にワイヤーガイド溝を形成し、掘削用ケーシングの下端部に複数本の吊りワイヤーを設けるなどの簡単な構造の埋設杭の引き抜き装置を得ることができる。
前記杭保持ワイヤーの先端と重機とをPC鋼棒で連結し、前記固定手段は、このPC鋼棒に所定間隔で設けたロックナットを前記ワイヤーガイド溝内に締め付け固定する手段からなるので、杭保持ワイヤーで埋設杭を巻きつけた後の杭保持ワイヤーの掘削用ケーシングへの固定が確実に固定できる。
前記ワイヤー収納凹部は、内側が開口した断面コ字形をなし、上面に吊りワイヤーの吊り下げリングが垂下するワイヤー吊り下げ切り欠きを設けたので、掘削用ケーシングによる掘削穴の掘削がほとんど支障なくできる。
前記ワイヤー収納凹部は、外側面に所定間隔で設けた結び窓と、この結び窓に臨ませて前記杭保持用環状部を保持する固定部材を設けたので、ワイヤー収納凹部への杭保持用環状部の仮保持作業が容易である。
埋設杭20の周りに掘削用ケーシング21で掘削穴30を掘削し、前記埋設杭20に杭保持ワイヤー23の杭保持用環状部24を巻きつけて重機40により掘削用ケーシング21とともに埋設杭20を引き抜くようにした方法において、
前記掘削用ケーシング21の下端部付近からこの掘削用ケーシング21の内壁面に設けたワイヤー収納凹部25に複数本の吊りワイヤー27を垂下し、この吊りワイヤー27の吊り下げリング29に少なくとも2周した前記杭保持用環状部24を支持し、この杭保持用環状部24を前記ワイヤー収納凹部25内に仮止めし、前記杭保持用環状部24の両端部の直線部43を前記掘削用ケーシング21の外周のワイヤーガイド溝32に案内して地上の引抜用クレーンなどの重機40に連結する工程と、
前記埋設杭20の周りに前記杭保持ワイヤー23を取り付けた前記掘削用ケーシング21で掘削穴30を掘削する工程と、
前記重機40で連結棒39を介して杭保持ワイヤー23を引き上げ、前記杭保持用環状部24を絞って埋設杭20に巻きつける工程と、
前記杭保持ワイヤー23による埋設杭20への巻き付け後、前記杭保持ワイヤー23を掘削用ケーシング21に固定する工程と、
前記杭保持ワイヤー23と掘削用ケーシング21の引き上げにより、埋設杭20を引き抜く工程と
からなる。
前記杭保持ワイヤー23の直線部43に連結棒39を介して重機40を連結し、この連結棒39を固定手段44にて掘削用ケーシング21に固定する。
前記吊りワイヤー27は、上端の固定部28を掘削用ケーシング21の外側面に取り付け、下端の吊り下げリング29をワイヤー収納凹部25に設けたワイヤー吊り下げ切り欠き37からワイヤー収納凹部25内に吊り下げる。
埋設杭20の周りに掘削用ケーシング21で掘削穴30を掘削し、前記埋設杭20に杭保持ワイヤー23を巻きつけて重機40により掘削用ケーシング21とともに埋設杭20を引き抜くようにした装置において、
前記杭保持ワイヤー23は、前記埋設杭20に巻きつけるための少なくとも2周した杭保持用環状部24と、この杭保持用環状部24の両端を上向きに伸ばした直線部43とからなり、前記掘削用ケーシング21は、その下端部付近の内壁部に設けられ前記杭保持用環状部24を収納するための全周囲が内方に開口したワイヤー収納凹部25と、前記直線部43を上方へ案内するための前記掘削用ケーシング21に設けられたワイヤーガイド溝32とを有し、前記掘削用ケーシング21から垂下され、下端部に前記杭保持用環状部24を前記ワイヤー収納凹部25内で支持する吊り下げリング29を有する複数本の吊りワイヤー27を設け、前記ワイヤーガイド溝32に、前記杭保持ワイヤー23の前記埋設杭20への巻き付け位置を固定する固定手段44を設ける。
前記ワイヤー収納凹部25は、内側が開口した断面コ字形をなし、上面に吊りワイヤー27の吊り下げリング29が垂下するワイヤー吊り下げ切り欠き37を設ける。
前記ワイヤー収納凹部25は、外側面に所定間隔で設けた結び窓34と、この結び窓34に臨ませて前記杭保持用環状部24を保持する固定部材35を設ける。
埋設杭20は、地中に埋設され、本発明による埋設杭の引き抜き方法及びその装置により引き抜こうとするものであり、円柱状、円筒状などの外形が断面円形なものが多い。実施例1では、断面円形のものを例示しているが、断面円形なものに限られず、角柱状、矢板状などもあり、本発明は、断面形状にかかわりなく利用可能である。
符号21は、前記埋設杭20を引き抜くために、この埋設杭20の周りに掘削穴30を掘削するための掘削用ケーシングである。この掘削用ケーシング21は、埋設杭20が直径300mm程度までであれば、直径700mm、長さ1000mm、肉厚9mm程度の金属製円筒体42を主体とし、下端部に掘削刃22を設けたものからなり、この円筒体42は、埋設杭20の長さに応じて順次連結される。
前記杭保持ワイヤー23の杭保持用環状部24を埋設杭20の下に位置させて、この杭保持用環状部24を埋設杭20の径により小さく絞り込んでから杭保持用環状部24で埋設杭20の下端部を抱え込むような場合には、杭保持用環状部24が3角形、4角形などの多角形を有することが望ましいので、吊り下げる本数は、3本以上とすることが望ましい。
しかし、杭保持用環状部24がワイヤー収納凹部25内に収納された状態で埋設杭20の側部に位置させて巻きつけるようにする場合には、図5(a)に示すように、2本の吊りワイヤー27を180度の等間隔で設けてもよい。
図7(a)
地盤に埋設された埋設杭20の位置を確認し、この埋設杭20の周りを掘削用ケーシング21の回転により掘削刃22で掘削穴30を掘削開始するが、掘削穴30の掘削に先立ち、図1(a)(b)のように、掘削用ケーシング21の先端部付近の外面から垂下した複数本のそれぞれの吊りワイヤー27の吊り下げリング29に、杭保持ワイヤー23を順次少なくとも2周するように通してワイヤー収納凹部25の内側に収納される程度の大きさの杭保持用環状部24を形成し、これをワイヤー収納凹部25の内側から収納し、結び窓34から仮保持材33を差込み固定部材35に杭保持用環状部24を仮止めし、円筒体42の内側に飛び出さないようにする。また、杭保持用環状部24の一端部23aと他端部23bの上方の直線部43は、ワイヤー引き上げ切り欠き36からワイヤーガイド溝32に沿わせ、連結リング38でPC鋼棒などの連結棒39と連結する。
このようにして杭保持ワイヤー23を収納した掘削用ケーシング21により埋設杭20の先端部まで掘削する。掘削時には、掘削用ケーシング21の円筒部35の内側又は外側に沿わせたホースで先端から水等を噴射するようにしてもよい。
掘削用ケーシング21のワイヤー収納凹部25の位置が埋設杭20の先端部の杭先端部26よりやや下まで来たら、杭保持ワイヤー23の直線部43を、PC鋼棒などの連結棒39を介して上端のクレーン等の重機34にて引き上げる。この杭保持ワイヤー23は、例えば、20tonでも耐えることのできるものを使用し、仮保持材33は、500kg程度で切断できる番線などで仮保持しておくことにより、杭保持ワイヤー23を重機34で引き上げると、仮保持材33が切断され、複数本の吊りワイヤー27の中間部分がワイヤー吊り下げ切り欠き37でそれぞれ中心方向に引き込まれて円形の杭保持用環状部24が埋設杭20の直径より縮小された多角形となる。図示例では、4本の吊りワイヤー27を用いているので、略4角形の杭保持用環状部24となる。
なお、図7(a)の工程で杭保持用環状部24を埋設杭20の側面部に位置させることにより、図7(b)の工程で埋設杭20の外周に巻きつくようにしてもよく、その例は、後述する。
杭保持用環状部24が絞られた状態で、掘削用ケーシング21を杭保持ワイヤー23とともに引き上げると、図4(a)(b)に示すように、埋設杭20より縮小された多角形の杭保持用環状部24が円錐形の杭先端部26に巻きついて抱え込む。杭保持ワイヤー23の杭保持用環状部24で杭先端部26を強く巻きつけるようにクレーンなどの重機40で引っ張り荷重を掛けた状態で、杭保持ワイヤー23に連結したPC鋼棒などの連結棒39をPCロックナットなどの固定手段44の締め付けで掘削用ケーシング21のワイヤーガイド溝32に固定する。PCロックナットなどの固定手段44は、掘削用ケーシング21が地上に突出した位置で締め付けて固定できるように、連結棒39には、所定間隔で複数個設けておくことが望ましい。
掘削用ケーシング21を杭保持ワイヤー23とともに重機40で引き上げる。掘削用ケーシング21は、PCロックナットなどの固定手段44の締め付けでPC鋼棒などの連結棒39と一体に固定されているので、杭保持ワイヤー23に連結されたクレーンなどの重機40で掘削用ケーシング21を引き上げてもよいが、重機40とは異なる重機で掘削用ケーシング21を引き上げてもよい。このようにして埋設杭20を掘削用ケーシング21と杭保持ワイヤー23で掘削穴30から引き抜く。埋設杭20が長い時には、複数本の掘削用ケーシング21を連結するが、掘削用ケーシング21は、上部から順次切り離す。切り離す際に、残った掘削用ケーシング21に連結棒39を下方の固定手段44で締め付け固定してから行う。上部の掘削用ケーシング21を切り離した後、埋設杭20の地上に引き上げられた部分を5〜10m程度ずつ切断して順次引き上げることにより引き抜き作業が円滑に行われる。
前記実施例では、埋設杭20が断面円形の例を示したが、図6(a)に示すように、断面が円形以外の断面多角形状杭であってもよい。さらに、チャンネル材のような断面コ字状杭、矢板のような板状杭などであってもよい。
前記実施例では、前記杭保持ワイヤー23の杭保持用環状部24は、一端部23aから他端部23bに至り少なくとも2周する構成としたが、3周、またはそれ以上でもよい。ただし、3周以上とすると、環状部が互いに重なり合って埋設杭20への締め付けが不十分になる恐れがあるので周回数は2回であることが好ましい。
Claims (8)
- 埋設杭の周りに掘削用ケーシングで掘削穴を掘削し、前記埋設杭に杭保持ワイヤーの杭保持用環状部を巻きつけて重機により掘削用ケーシングとともに埋設杭を引き抜くようにした埋設杭の引き抜き方法において、
前記掘削用ケーシングの下端部付近からこの掘削用ケーシングの内壁面に設けたワイヤー収納凹部に複数本の吊りワイヤーを垂下し、この吊りワイヤーにて少なくとも2周した前記杭保持用環状部を支持し、この杭保持用環状部を前記ワイヤー収納凹部内に仮止めし、前記杭保持用環状部の両端部の直線部を前記掘削用ケーシングの外周のワイヤーガイド溝に案内して地上の重機に連結する工程と、
前記埋設杭の周りに前記杭保持ワイヤーを取り付けた前記掘削用ケーシングで掘削穴を掘削する工程と、
前記重機で連結棒を介して杭保持ワイヤーを引き上げ、前記杭保持用環状部を絞って埋設杭に巻きつける工程と、
前記杭保持ワイヤーによる埋設杭への巻き付け後、前記杭保持ワイヤーを掘削用ケーシングに固定する工程と、
前記杭保持ワイヤーと掘削用ケーシングの引き上げにより、埋設杭を引き抜く工程と
からなることを特徴とする埋設杭の引き抜き方法。 - 吊りワイヤーは、少なくとも3本を略等間隔で設け、杭保持ワイヤーを絞ったとき杭保持用環状部は、多角形を形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の埋設杭の引き抜き方法。
- 杭保持ワイヤーの直線部に連結棒を介して重機を連結し、この連結棒を固定手段にて掘削用ケーシングに固定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の埋設杭の引き抜き方法。
- 吊りワイヤーは、上端の固定部を掘削用ケーシングの外側面に取り付け、下端の吊り下げリングをワイヤー収納凹部に設けたワイヤー吊り下げ切り欠きからワイヤー収納凹部内に吊り下げたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の埋設杭の引き抜き方法。
- 埋設杭の周りに掘削穴を掘削する掘削用ケーシングと、前記埋設杭に巻きつけて連結された重機により掘削用ケーシングとともに埋設杭を引き抜くための杭保持ワイヤーとを具備した埋設杭の引き抜き装置において、
前記杭保持ワイヤーは、前記埋設杭に巻きつけるための少なくとも2周した杭保持用環状部と、この杭保持用環状部の両端を上向きに伸ばした直線部とからなり、前記掘削用ケーシングは、下端部付近の内壁部に設けられ前記杭保持用環状部を収納するための全周囲が内方に開口したワイヤー収納凹部と、前記直線部を上方へ案内するための前記掘削用ケーシングに設けられたワイヤーガイド溝とを有し、前記掘削用ケーシングから垂下され、下端部に前記杭保持用環状部を前記ワイヤー収納凹部内で支持する複数本の吊りワイヤーを設け、前記ワイヤーガイド溝に、前記杭保持ワイヤーの前記埋設杭への巻き付け位置を固定する固定手段を設けたことを特徴とする埋設杭の引き抜き装置。 - 前記杭保持ワイヤーの先端と重機とをPC鋼棒で連結し、前記固定手段は、このPC鋼棒に所定間隔で設けたロックナットを前記ワイヤーガイド溝内に締め付け固定する手段からなることを特徴とする請求項5記載の埋設杭の引き抜き装置。
- 前記ワイヤー収納凹部は、内側が開口した断面コ字形をなし、上面に吊りワイヤーの吊り下げリングが垂下するワイヤー吊り下げ切り欠きを設けたことを特徴とする請求項5又は6記載の埋設杭の引き抜き装置。
- 前記ワイヤー収納凹部は、外側面に所定間隔で設けた結び窓と、この結び窓に臨ませて前記杭保持用環状部を保持する固定部材を設けたことを特徴とする請求項5、6又は7記載の埋設杭の引き抜き装置。
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