JP2010255214A - 既設杭引抜き用ケーシング - Google Patents

Abstract

【課題】 既設杭に損壊や破断があっても確実に引き抜く。
【解決手段】 下端縁に掘削爪を有し、引き抜くべき既設杭の外径より内径の大きい円筒状ケーシングにおいて、
上記ケーシングの下端に近い周壁に、複数個の爪を互に周方向に等間隔をあけて設け、
上記各爪は、ケーシング正転時に、ケーシング内土圧によりケーシング周壁にほぼ沿って倒伏した位置と、ケーシング逆転時に、ケーシング内土圧によりほぼ求心方向へ起立した位置と、に揺動自在にそれぞれ軸支され、
さらに、上記各爪は、上記既設杭の外周に上記ケーシングを圧入したとき、上記求心方向への起立位置にあるときの爪が上記既設杭の下端に係止しうる爪の長さとしてある、
既設杭引抜き用ケーシング。
【選択図】 図２

Description

本願発明は、コンクリート杭、鋼管杭等の既設杭を地上に引き抜くための引抜き用ケーシングに関する。

従来、既設杭の引き抜き方法として、鋼管からなるケーシングを回転させて既設杭の外周に圧入し、それにより既設杭と周囲の地山との摩擦を切り、ついで上記既設杭の上端部分にクレーンのワイヤロープを巻きつけ、該ワイヤロープの巻き取りにより既設杭を地上に引き抜く方法が広く知られている。

しかし、上記の従来方法では、既設杭がコンクリート杭の場合、既設杭のワイヤロープ巻きつけ部分が損壊し易く、損壊後はワイヤロープ巻きつけ位置を下げて再び巻き直す作業に手間のかかる欠点があり、又古いコンクリート杭の場合には、引き抜き時に杭の中間部で破断することがしばしばあり、一旦破断したときは、土中に残った杭残部を引き抜くことは極めて困難な作業となる難点があった。

本願発明は、既設杭を、損壊や破断があっても、確実に地上に引き抜く引抜き用ケーシングを提供する。

上記課題解決の手段として、本願発明は、
下端縁に掘削爪を有し、引き抜くべき既設杭の外径より内径の大きい円筒状ケーシングにおいて、
上記ケーシングの下端に近い周壁に、複数個の爪を互に周方向に等間隔をあけて設け、
上記各爪は、ケーシング正転時に、ケーシング内土圧によりケーシング周壁にほぼ沿って倒伏した位置と、ケーシング逆転時に、ケーシング内土圧によりほぼ求心方向へ起立した位置と、に揺動自在にそれぞれ軸支され、
さらに、上記各爪は、上記既設杭の外周に上記ケーシングを圧入したとき、上記求心方向への起立位置にあるときの爪が上記既設杭の下端に係止しうる爪の長さとしてある、
既設杭引抜き用ケーシングを提供する。

本願発明の既設杭引抜き用ケーシングによれば、ケーシングを正転して、その間各爪を倒伏させて、既設杭の外周に圧入し、ついでケーシングの逆転により複数爪を既設杭の下端下に起立させた後、ケーシングを引き抜けば、上記複数の起立爪によって既設杭を下から支えた状態で且つ既設杭全体をケーシング内に抱きかかえた状態で、そのまま引き上げることができ、従って既設杭に損壊や破断があっても何ら支障なく確実に地上に引き抜くことができるのである。

（イ）本発明による既設杭引抜き用ケーシングを装備した既設杭引抜き装置の側面図である。 （ロ）本発明による既設杭引抜き用ケーシングを既設杭の外周に圧入した状態の一部省略拡大縦断面図である。 図１（ロ）のＡ−Ａ線拡大断面図である。 （イ）図１（イ）の引抜き用ケーシングの爪部分の拡大横断面図である。 （ロ）爪を起立させた状態の同上横断面図である。 爪及びブラケット板の分離状態の拡大斜面図である。

図１（イ）の既設杭引抜き装置は、ベースマシン（１）の前端部に垂直に支持されたマスト（２）の前面がわに、マスト全長にわたる案内レール（３）、（３）を敷設し、該案内レール（３）、（３）に、モータ及び減速機を含む回転駆動部（４）を摺動自在に支持させると共に、トップシーブから垂下したワイヤロープ（５）により昇降自在に吊支してあり、この駆動部（４）の下端から突出された出力軸（６）に連結キャップ（７）を取りつけ、該連結キャップ（７）に、本発明による引抜き用ケーシング（Ｋ）の上端部を着脱自在に接続してある。

（８）は、上記ケーシング（Ｋ）に下方への引張りを加える絞りワイヤロープで、上記駆動部（４）の下端部に吊支された滑車（８’）に掛け渡してある。

引抜き用ケーシング（Ｋ）の構造は次のようである。鋼管からなるケーシング本体（９）の下端近くの周壁に、本例では３個のほぼ矩形状穴（１０）‥を同一円周上に等間隔をおいて開設し、これら穴（１０）‥の外周面に、図４に示すように、ほぼコ字形の基板（１２）の溝をはさんで内側面に一対のブラケット（１３）、（１３）を突設してなるブラケット板（１１）を、そのブラケット（１３）、（１３）を図３に示すように上記矩形穴（１０）内に陥入した状態で、ブラケット板（１１）周辺部を溶接により固定してある。

一方、爪（１４）‥は、図４に示すように基端に、ピン孔（１５）を有するボス部（１６）を突出すると共に、該ボス部（１６）の根元にカギ形のストッパー（１７）を張り出させ、そして上記ボス部（１６）から先端まで凸湾曲面（１８）に、上記ストッパー（１７）から先端までほぼ平坦にそれぞれ形成してあり、この爪（１４）‥を、図３のようにケーシング本体（９）の内側に位置させた状態で、各ボス部（１６）を上記ブラケット板（１１）‥の各一対のブラケット（１３）、（１３）の間に係合してピン（１９）‥によりそれぞれ揺動自在に支持させてある。

この場合、各爪（１４）‥は、ケーシング（Ｋ）の正転（図３（イ）の矢印方向）時には、図示のようにケーシング内の土圧によりケーシング内周面にほぼ沿った倒伏状態にあり、その際爪（１４）の凸湾曲面（１８）が、ケーシングの矩形状穴（１０）の縁に当接して、同図（イ）のように爪（１４）先端をケーシング本体（９）内周面から半開きの状態でやや立ち上がっている。

この状態で、ケーシング（Ｋ）が逆転した時は、同図（ロ）のように上記半開きに立ち上っている爪（１４）‥の凸湾曲面（１８）の先端部にケーシング内土圧が作用して該爪（１４）‥をピン（１９）を中心に起立方向に揺動させ、そしてストッパー（１７）がケーシング本体（９）内周面に当接したとき、爪（１４）‥を求心方向に起立させ、それ以上の揺動を阻止するようにしてある。

（２０）…は、上記ケーシング（Ｋ）の下端縁に形成した掘削爪である。

上例の引抜き装置による既設杭引き抜き操作を作用とともに次に説明する。既設杭（Ｐ）の真上に引抜き用ケーシング（Ｋ）を垂真に位置させ、その状態で駆動部（４）の始動によりケーシング（Ｋ）を正転させ、その下端の掘削爪（２０）…により既設杭（Ｐ）の外周へ掘削を開始すると共に、ワイヤロープ（５）をゆるめてケーシング（Ｋ）、駆動部（４）等の重量によりケーシング（Ｋ）を圧入していく。地盤の性状により圧入が容易でない場合は、絞りワイヤロープ（８）の引張りを加える。

上記ケーシング（Ｋ）の正転圧入時には、ケーシング下端近くの爪（１４）‥は、ケーシング内の土砂の圧力により、図３（イ）に示すように、ケーシング（Ｋ）周壁に沿った倒伏状態に維持される。

上記ケーシング（Ｋ）が、図１（ロ）のように既設杭（Ｐ）の下端から若干下まで圧入したら、そこで正転、圧入を停止し、ついで駆動部（４）の逆転駆動によりケーシング（Ｋ）を逆転させると、ケーシング（Ｋ）内の土砂の圧力により、各爪（１４）‥のやや立上っている凸湾曲面（１８）を押して、図３（ロ）のように爪（１４）‥を立ち上げていき、そのストッパー（１７）がケーシング本体（９）内周面に当接する位置まで起立させる。

各爪（１４）‥が、図２に示すように既設杭（Ｐ）の下端下に求心方向に向けて突出することとなる。そこで、逆転を停止し、又は逆転を継続しつつワイヤロープ（５）により駆動部（４）と共にケーシング（Ｋ）を引き上げると、ケーシング（Ｋ）の３本の爪（１４）‥で既設杭（Ｐ）を下から支えつつ、既設杭（Ｐ）全体をケーシング（Ｋ）内にかかえこんだ状態で地上に引き上げる。

Ｋ 既設杭引抜き用ケーシング
Ｐ 既設杭
１４ 爪
１９ ピン
２０ 掘削爪

Claims (1)

1. 下端縁に掘削爪を有し、引き抜くべき既設杭の外径より内径の大きい円筒状ケーシングにおいて、
   上記ケーシングの下端に近い周壁に、複数個の爪を互に周方向に等間隔をあけて設け、
   上記各爪は、ケーシング正転時に、ケーシング内土圧によりケーシング周壁にほぼ沿って倒伏した位置と、ケーシング逆転時に、ケーシング内土圧によりほぼ求心方向へ起立した位置と、に揺動自在にそれぞれ軸支され、
   さらに、上記各爪は、上記既設杭の外周に上記ケーシングを圧入したとき、上記求心方向への起立位置にあるときの爪が上記既設杭の下端に係止しうる爪の長さとしてある、
   既設杭引抜き用ケーシング。

Images