JP4728819B2 - 杭抜装置及び杭抜方法 - Google Patents
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なお、前記した従来の杭抜装置100では、門型フレーム120の上枠体121に設けられた滑車群127と、可動ブロック130に設けられた滑車群131とに移動式クレーン110の昇降用ワイヤ111(索条)が掛け渡されており、滑車群127,131を用いることよって昇降用ワイヤ111の張力が増大されている。
さらに、複数本のケーシングを上下方向に取り付け可能となるように構成してもよく、この構成では、大深度に埋設された杭を引き抜く場合に、ケーシングを順次に継ぎ足してケーシング全体を延長させることができる。
また、各支持ブロックに対して同時に引張力を付与して杭を吊り上げることもでき、杭を吊り上げるときの引張力が大きくなるため、地盤と杭の摩擦抵抗力が大きい場合であっても、杭を地盤から引き抜くことができる。
また、支持ブロックを昇降させるための索条は、門型フレームに設けられたブロック用滑車群と、支持ブロックに設けられた滑車群とに掛け渡されており、滑車群を用いることによって、索条の張力が増大されるため、吊上能力が小さい小型の索条巻回手段を用いて杭の引き抜き作業を行うことができる。
さらに、各支持ブロックは別々の駆動系統で昇降するように構成されており、各支持ブロックによって杭を複数の箇所で支持し、杭を吊り上げる方向を調整しながら引き抜くことができるため、杭が地盤内で曲がっている場合であっても、杭を容易に引き抜くことができる。
本実施形態の杭抜装置は、地盤に埋設された杭を引き抜く装置であり、この実施形態では、地盤に埋設された円柱状のコンクリート杭を引き抜く場合を例として説明する。
図1は、本実施形態の杭抜装置を示した全体側面図である。図2は、本実施形態の杭抜装置を示した図で、(a)は部分正面図、(b)は図2(a)のA−A断面図である。図3は、本実施形態の杭抜装置を示した図で、部分側面図である。図4は、本実施形態の杭抜装置を示した図で、(a)はケーシング回転手段の正面図、(b)はケーシング回転手段の側面図である。なお、以下の説明における前後、左右方向とは、図2(a)及び(b)に示す前後、左右方向に対応している。
まず、本実施形態の杭抜装置の構成について説明する。
杭抜装置1は、図1及び図2に示すように、地盤Gに埋設された杭Kを引き抜くための装置であって、上下方向に傾動可能なアーム部12を有する移動式クレーン10と、移動式クレーン10のアーム部12の先端部に取り付けられている門型フレーム20と、門型フレーム20内に配置されているケーシング回転手段40と、ケーシング回転手段40に着脱自在に取り付けられている掘削用ケーシング50と、門型フレーム20内に配置されている二体の支持ブロック30,30と、から構成されている。
移動式クレーン10は、図1に示すように、既存の機構を用いた揚重手段である。具体的には、上下方向に傾動可能であるとともに、伸縮自在なアーム部12を有する本体部13と、移動手段である履帯14と、から構成されている。なお、本体部13は水平方向に旋回可能となっている。
そして、三本の昇降用ワイヤ11A,11B,11Bは、アーム部12の先端部から左右方向に並んだ状態で吊り下げられており、ケーシング用索条巻回手段に巻架されている昇降用ワイヤ11Aが中央に配置されている。
門型フレーム20は、図2(a)及び(b)に示すように、平面視でコの字形状の板状部材である底版23と、所定間隔を離して底版23上に立設されている二本の支柱22,22と、各支柱22,22の上端に支持されている上枠体21と、から構成されている。
そして、中央のケーシング用滑車群27Aは、後記するケーシング回転手段40に設けられた滑車群44に対応して配置されており、外側の各ブロック用滑車群27B,27Bは、各支持ブロック30,30に設けられた滑車群31,31にそれぞれ対応して配置されている。
ケーシング回転手段40は、図2(a)に示すように、軸方向が上下方向に配置されている出力軸41Aを有する駆動モータ41と、各支柱22,22にスライド可能な状態で取り付けられているスライド部42A,42Aとから構成されており、各スライド部42A,42Aによって駆動モータ41が支持されている。
なお、各スライド部42A,42Aは、各従動ローラ43・・・(図4(a)及び(b)参照)が支柱22に当接しながらスライドするように構成されているため、支柱22の基部25と可動部26による段差部に干渉することなく、各支柱22,22をスムーズにスライドすることができる。
掘削用ケーシング50は、図2(a)に示すように、引き抜き対象の杭Kを内挿可能な円筒体であり、軸方向が上下方向に配置された状態で、ケーシング回転手段40の駆動モータ41の出力軸41Aに対して着脱自在に取り付け可能となっている。
そして、駆動モータ41の出力軸41Aに掘削用ケーシング50を取り付けた状態で、出力軸41Aを軸周りに回転させることにより、掘削用ケーシング50を出力軸41Aと同心位置で軸周りに回転させることができる。
二体の支持ブロック30,30は、図2(a)に示すように、引き抜き対象の杭Kを支持するための吊り具であり、上部の滑車群31と、下部のシャックル32とから構成されている。この各支持ブロック30,30は、門型フレーム20の各支柱22,22の間で、ケーシング回転手段40の左右両側に配置されている。
そして、支持ブロック30に設けられた滑車群31の各滑車と、門型フレーム20に設けられたブロック用滑車群27Bの各滑車とには、移動式クレーン10のブロック用索条巻回手段(図示せず)に巻架されている昇降用ワイヤ11Bが交互に掛け渡されている。
なお、各支持ブロック30,30の滑車群31,31に巻架される昇降用ワイヤ11B,11Bは、上枠体21内に設けられた複数の滑車21A・・・によって左右に振り分けられた後に、上枠体21のブロック用滑車群27B及び支持ブロック30の滑車群31に掛け渡されている。
次に、本実施形態の杭抜装置1を用いた杭抜方法について説明する。
図5は、本実施形態の杭抜方法を示した図で、(a)は杭の周囲を掘削する態様を示した正面図、(b)は杭をケーシング内に内挿させた状態を示した正面図である。図6は、本実施形態の杭抜方法を示した図で、(a)は延長用ケーシングを引き抜く態様を示した正面図、(b)は延長用ケーシングを取り外す態様を示した正面図である。図7は、本実施形態の杭抜方法を示した図で、(a)は右側の支持ブロックによって杭を吊り上げる態様を示した正面図、(b)は左側の支持ブロックによって杭を保持している態様を示した正面図、(c)は左側の支持ブロックによって杭を吊り上げる態様を示した正面図である。図8は、本実施形態の杭抜方法を示した図で、杭を吊り上げる態様を示した側面図である。
このとき、上方に橋梁が架設されている施工用地など、上方の高さが制限された施工用地内に門型フレーム20を設置する場合には、門型フレーム20の各支柱22,22を収縮させ、門型フレーム20全体の高さを低くすることにより対応することができる。
さらに、ケーシング回転手段40によって掘削用ケーシング50を回転させながら、掘削用ケーシング50を地盤G内に掘進させることにより、掘削用ケーシング50内に杭Kが内挿されるように地盤Gを掘削する。
このようにして、掘削用ケーシング50を地盤G内に掘進させて杭Kの周囲を掘削し、掘削用ケーシング50の上部まで杭Kが内挿された状態で掘削を停止する。
さらに、同様にして、順次に延長用ケーシング50´及び掘削用ケーシング50を地盤G内から引き抜いて撤去する。
この状態で左側の支持ブロック30に取り付けられた支持用ワイヤW2を、杭Kの切断位置Cよりも下方に巻着させて、左側の支持ブロック30によって杭Kを支持する。
最後に、杭Kが埋設されていた場所に形成された穴を埋め戻して、杭Kの引き抜き作業を完了する。
例えば、本実施形態では、図2(a)に示すように、門型フレーム20内に二体の支持ブロック30,30を用いて杭Kを吊り上げているが、支持ブロック30の個数は限定されるものではなく、少なくとも二体以上の支持ブロックが設けられていればよい。
そして、本実施形態では、図7(a)及び(c)に示すように、一体の支持ブロック30によって杭Kを吊り上げているが、複数の支持ブロック30によって杭Kを支持し、各支持ブロック30に対して同時に引張力を付与して杭Kを吊り上げることもできる。この構成では、杭Kを吊り上げるときの引張力が大きくなるため、地盤Gと杭Kの摩擦抵抗力が大きい場合であっても、杭Kを地盤Gから引き抜くことができる。
10 移動式クレーン
11A 昇降用ワイヤ
11B 昇降用ワイヤ
20 門型フレーム
21 上枠体
22 支柱
23 底版
27A 滑車群(上枠体)
27B 滑車群(上枠体)
30 支持ブロック
31 滑車群(支持ブロック)
32 シャックル
40 ケーシング回転手段
44 滑車群(ケーシング回転手段)
50 掘削用ケーシング
K 杭
Claims (3)
- 地盤に埋設された杭を引き抜くための杭抜装置であって、
所定間隔を離して立設された二本の支柱によって、上枠体が支持されている門型フレームと、
引き抜き対象の前記杭を支持するための複数の支持ブロックと、
複数のブロック用索条巻回手段と、を備え、
前記門型フレームの上枠体には複数のブロック用滑車群が設けられているとともに、前記各支持ブロックには滑車群がそれぞれ設けられており、
前記各ブロック用索条巻回手段に巻架されている索条が、前記門型フレームに設けられたブロック用滑車群と、前記支持ブロックに設けられた滑車群とに掛け渡され、
前記各ブロック用索条巻回手段によって前記索条を繰り出し又は巻き取ることにより、前記各支持ブロックが昇降するように構成されていることを特徴とする杭抜装置。 - 前記杭抜装置は、
前記門型フレームの前記各支柱に案内されながら昇降可能なケーシング回転手段と、
前記ケーシング回転手段によって回転可能であり、引き抜き対象の前記杭を内挿可能なケーシングと、
ケーシング用索条巻回手段と、を備え、
前記門型フレームの上枠体にはケーシング用滑車群が設けられているとともに、前記ケーシング回転手段には滑車群が設けられており、
前記ケーシング用索条巻回手段に巻架されている索条が、前記門型フレームに設けられたケーシング用滑車群と、前記ケーシング回転手段に設けられた滑車群とに掛け渡され、
前記ケーシング用索条巻回手段によって前記索条を繰り出し又は巻き取ることにより、前記ケーシング回転手段が昇降するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の杭抜装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の杭抜装置を用いて、地盤に埋設された杭を引き抜く杭抜方法であって、
一の前記支持ブロックによって前記杭の上部を支持し、一の前記支持ブロックに対して引張力を付与して前記杭を吊り上げる段階と、
他の前記支持ブロックによって、前記杭を切断位置よりも下方で支持する段階と、
他の前記支持ブロックによって前記杭を保持しながら、前記杭を前記切断位置で切断して、前記杭の上部を撤去する段階と、
他の前記支持ブロックに対して引張力を付与して前記杭を吊り上げる段階と、を含むことを特徴とする杭抜方法。
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