JP2010254745A - 制震部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードニング特性を抑えると共に、良好な耐亀裂成長特性と低温特性の両立を図ることのできるゴム組成物を用いて得られた制震部材を提供する。
【解決手段】分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、かつフーリエ変換赤外分光法による測定において、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上、かつビニル結合含量が0.3%以下であるブタジエン系重合体を50質量%以上含むゴム組成物を用いた制震部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、制震部材に関する。さらに詳しくは、本発明は、ハードニング特性を抑えると共に、良好な耐亀裂成長特性と低温特性の両立を図ることのできるゴム組成物を用いて得られた制震部材に関するものである。
耐地震建築構造として、免震構造や制震構造等が知られている。免震構造は、建築物の足元を地面から切り離し、その間に免震部材を組み込み、ここで集中的に地震動のエネルギーを吸収し、建築物への地震動の入力を著しく低減させる構造である。この免震構造は、大地震動による地面の激しく速い揺れを、建築物にゆっくりした大きな揺れに変えるような応答制御する構造である。
一方、制震構造は、上記免震構造と同様に建築物の応答制御を行う構造システムであり、建築物にダンパー等の制震部材を組み込み、大地震動により建築物に入力する地震動のエネルギーをそこで吸収する構造である。
従来、建築物を大地震動から守るため、壁や土台等にダンパー等の制震部材が用いられている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。これらのダンパー等の制震部材には、通常ゴム材料が用いられており、制震効果を発現している。
制震部材に用いられるゴム材料は、エネルギー吸収のため、カーボンブラック、オイル及び減衰付与剤等の種々の添加剤が多量に配合されるため、繰り返し剪断回数の早期に亀裂が発生し、亀裂の成長や破断も早くなる傾向がある。
これを改善するために、現状の制震部材においては、ゴム材料に、耐久性に優れ、亀裂成長性の低い天然ゴム(NR)やスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を配合することが行われている。しかしながら、これらのNRやSBRを配合したゴム材料においては、上記NRやSBRのガラス転移温度(Tg)が高いために、常温対比で低温での弾性率の変化が大きくなり、さらに、該NRやSBRは伸張結晶性が高いために、大変形時に応力が高くなってしまい(ハードニング現象)、取り付け部材の強度を必要以上に大きくしなければならない。
低温特性を改善し、大変形時の応力上昇を制御するには、TgがNRよりも低く、かつ伸張結晶性が小さいポリブタジエンゴム(BR)を使用することが考えられるが、従来通常用いられているBRでは、亀裂成長性がNR対比で劣るために、配合量が制限されるのを避けられず、充分に目的とする効果を発現することができないという問題が生じる。
一方、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上の超ハイシスブタジエン系重合体及びそれを用いたゴム組成物が開示されている(例えば特許文献4参照)。しかしながら、この超ハイシスブタジエン系重合体を用いたゴム組成物の用途は、タイヤ部材用であって、制震部材については何ら言及されていない。
特開2000−110399号公報 特開2000−248620号公報 特開2000−352218号公報 特開2005−15590号公報
本発明は、このような状況下になされたもので、ハードニング特性を抑えると共に、良好な耐亀裂成長特性と低温特性の両立を図ることのできるゴム組成物を用いて得られた制震部材を提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、フーリエ変換赤外分光法による測定において、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上、かつビニル結合含量が0.3%以下となるブタジエン系重合体を一定量以上含むゴム成分を含有するゴム組成物を用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、かつフーリエ変換赤外分光法による測定において、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上、かつビニル結合含量が0.3%以下であるブタジエン系重合体を50質量%以上含むゴム組成物を用いた制震部材、
[2]ブタジエン系重合体が、シス−1,4結合含量とビニル結合含量とが、下記式:
ビニル結合含量(%)≦0.25×[シス−1,4結合含量(%)−97]
の関係を満たすものである、上記[1]に記載の制震部材、
[3]ブタジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜2.7である、上記[1]又は[2]に記載の制震部材、
[4]ブタジエン系重合体の数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の制震部材、
[5]ブタジエン系重合体の数平均分子量(Mn)が150,000〜300,000である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の制震部材、
[6]ブタジエン系重合体が、1,3−ブタジエン単量体80〜100質量%と、1,3−ブタジエンと共重合可能な他の単量体20〜0質量%からなるものである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の制震部材、
[7]ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体の単独重合体である、上記[6]に記載の制震部材、
[8]ゴム成分が、天然ゴム、イソプレンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の制震部材、
[9]ゴム組成物がゴム成分と共に樹脂を含む、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の制震部材、
[10]樹脂が、ポリエステルポリオール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪・脂環族C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、テルペン樹脂、並びにこれらの共重合体及び変性品の中から選ばれる少なくとも1種である、上記[9]に記載の制震部材、
を提供するものである。
本発明によれば、分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、かつフーリエ変換赤外分光法による測定において、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上であり、かつビニル結合含量が0.3%以下である超ハイシスブタジエン系重合体を一定量以上含むゴム成分を用いることにより、ハードニング特性を抑えると共に、良好な耐亀裂成長特性と低温特性の両立を図ることのできるゴム組成物を用いて得られた制震部材を提供することができる。
地震エネルギーを吸収するための制震部材を建築物に組み込んだ状態を示す模式図である。 ゴム組成物の剪断弾性係数測定用サンプルの構成を示す概略図であり、(A)はゴムシートを挟む状態を示し、(B)はゴムシートを接着した状態を示す。
まず、本発明で使用するゴム組成物(以下、単にゴム組成物と略称することがある。)について説明する。
[ゴム組成物]
本発明で使用するゴム組成物は、分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、かつフーリエ変換赤外分光法による測定において、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上、かつビニル結合含量が0.3%以下であるブタジエン系重合体を50質量%以上含むゴム成分を含有する。
なお、本発明における制震部材は、地震用のみでなく、他の一般の各種振動用も包含するが、積層ゴムアイソレータ用途は含まれない。
(ブタジエン系重合体)
上記ゴム組成物において、ゴム成分に用いられるブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエン単量体単位を有し、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)で測定した1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上であり、かつビニル結合含量が0.3%以下であることを要す。
ここで、当該ブタジエン系重合体を規定するシス−1,4結合含量及びビニル結合含量は、FT−IRで測定される値である。なお、FT−IRによるミクロ構造の測定方法は、公知の方法に従えばよく、例えば特開2005−15590号公報を参照できる。
ブタジエン系重合体中の1,3−ブタジエン単量体単位のミクロ構造の分析法としては、従来、1H−NMR及び13C−NMRによりシス−1,4結合含量、トランス−1,4結合含量及びビニル結合含量を求める方法が知られているが、13C−NMRによる測定結果では、ビニル結合含量が過少に評価され、実際の値より小さい値が出てしまう。これに対し、当該ブタジエン系重合体は、シス−1,4結合含量が高いことに加え、ビニル結合含量が極めて小さいことを特徴とするため、ビニル結合含量の測定精度が高いFT−IR法により測定する。
該ブタジエン系重合体としては、前記シス−1,4結合含量とビニル結合含量とが、下記式:
ビニル結合含量(%)≦0.25×[シス−1,4結合含量(%)−97]
の関係を満たすものが好ましい。
このような性状を有する超ハイシスの当該ブタジエン系重合体は、従来のBRに比べて、耐亀裂発生・成長性に優れ、さらに天然ゴム(NR)やスチレン−ブタジエンゴム(SBR)に比べて高歪での応力が小さいことから、当該ブタジエン系重合体をゴム成分として含む本発明で使用するゴム組成物は、ハードニング特性を抑えると共に、良好な耐亀裂成長特性を発現することができる。
また、従来のBRに比べて耐亀裂発生・成長性に優れることから、超ハイシスBRの配合量を増やすことが可能で、温度依存性の改善も図ることができる。
本発明で使用するゴム組成物においては、ゴム成分中の当該ブタジエン系重合体の含有量は、ハードニング特性を抑えると共に、良好な耐亀裂成長特性と温度依存性の両立を図るためには、50質量%以上であることを要し、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
当該ブタジエン系重合体と併用することのできるゴム成分としては、NR、通常のBR、SBR、イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム等を挙げることができるが、これらの中で、得られるゴム組成物の性能の点から、NR、イソプレンゴム、SBRが好適である。これらのゴム成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該ブタジエン系重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であるのが好ましく、1.6〜2.7であるのがより好ましく、1.9〜2.7であるのがさらに好ましく、2.2〜2.4であるのが特に好ましい。ここで、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。ブタジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5の範囲にあれば、それを含むゴム組成物をロール機により混練りする際にバギング(ロール間隙を通過したゴムバンドが浮き上がる現象)が発生しにくく、混練作業性が良好となり、ゴム組成物の物性を向上させることができる。また、数平均分子量(Mn)は100,000〜500,000であるのが好ましく、150,000〜300,000であるのが更に好ましい。ブタジエン系重合体の数平均分子量が上記の範囲にあれば、上記と同様に、当該ブタジエン系重合体を含むゴム組成物の作業性が向上し、混練りが良好となり、ゴム組成物の物性を向上させることができる。
当該ブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエン単量体が80〜100質量%、1,3−ブタジエンと共重合可能な他の単量体20〜0質量%からなるのが好ましい。重合体中の1,3−ブタジエン単量体含量が80質量%以上であると、重合体全体に対する1,4−シス結合含量が十分となり、本発明の効果を発揮することができる。なお、当該ブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエン単量体のみからなるのが特に好ましく、即ち、ポリブタジエンゴム(BR)であるのが特に好ましい。
ここで、1,3−ブタジエンと共重合可能な他の単量体としては、例えば、炭素数5〜8の共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体等が挙げられ、これらの中でも、炭素数5〜8の共役ジエン単量体が好ましい。上記炭素数5〜8の共役ジエン単量体としては、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。上記芳香族ビニル単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
(ブタジエン系重合体の製造)
当該ブタジエン系重合体は、以下に詳述する(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる触媒系の存在下、25℃以下の温度で少なくとも1,3−ブタジエンを含む単量体を重合させることで得られる。ここで、単量体としては、1,3−ブタジエンの他、上述した1,3−ブタジエンと共重合可能な他の単量体が挙げられる。
当該ブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(A)成分は、周期律表の原子番号57〜71の希土類元素を含有する化合物、又はこれらの化合物とルイス塩基との反応物である。ここで、原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム等、又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。
上記希土類元素含有化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な塩が好ましく、具体的には、上記希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩が挙げられ、これらの中でも、カルボン酸塩及びリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が特に好ましい。ここで、炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上記希土類元素含有化合物の中でも、ネオジムのリン酸塩、及びネオジムのカルボン酸塩が更に好ましく、特にネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのネオデカン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のネオジムの分岐カルボン酸塩が最も好ましい。
また、(A)成分は、上記希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物でもよい。該反応物は、ルイス塩基によって、希土類元素含有化合物の溶剤への溶解性が向上しており、また、長期間安定に貯蔵することができる。上記希土類元素含有化合物を溶剤に容易に可溶化させるため、また、長期間安定に貯蔵するために用いられるルイス塩基は、希土類元素1モル当り0〜30モル程度、好ましくは1〜10モルの割合で、両者の混合物として、又は予め両者を反応させた生成物として用いられる。ここで、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコールが挙げられる。
前記(A)成分は1種を単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
当該ブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(B)成分は、有機アルミニウム化合物であり、例えばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等が好ましい。以上に述べた(B)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種を単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。
当該ブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系の(C)成分は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物、及び活性ハロゲンを含む有機化合物から選択される少なくとも一種のハロゲン化合物である。
上記ルイス酸は、ルイス酸性を有し、炭化水素に可溶であり、例えば塩化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、及び二臭化エチルアルミニウムが好ましい。また、トリエチルアルミニウムと臭素の反応生成物のようなアルキルアルミニウムとハロゲンの反応生成物を、好ましく挙げることができる。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、例えば塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましく、例えばリン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が好適である。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル程度、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
当該ブタジエン系重合体の製造に使用する触媒系には、上記(A)〜(C)成分の他に、更に(D)成分として、有機アルミニウムオキシ化合物、所謂アルミノキサンを添加するのが好ましい。ここで、該アルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、クロロアルミノキサン等が挙げられる。(D)成分としてアルミノキサンを加えることで、分子量分布がシャープになり、触媒としての活性も向上する。
本発明で使用する触媒系の各成分の量又は組成比は、その目的又は必要性に応じて適宜選択される。このうち、(A)成分は、1,3−ブタジエン100gに対し、0.00001〜1ミリモル用いるのが好ましく、0.0001〜0.5ミリモル用いるのが更に好ましい。(A)成分の使用量が0.00001ミリモル未満では、重合活性が低くなり、1ミリモルを超えると、触媒濃度が高くなり、脱灰工程が必要となる。また、(A)成分と(B)成分の割合は、モル比で、(A)成分:(B)成分が1:1〜1:700程度、好ましくは1:3〜1:500である。更に、(A)成分と(C)成分中のハロゲンの割合は、モル比で、1:0.1〜1:30程度、好ましくは1:0.2〜1:15、更に好ましくは1:2.0〜1:5.0である。また、(D)成分中のアルミニウムと(A)成分との割合は、モル比で、1:1〜700:1程度、好ましくは3:1〜500:1である。
触媒成分として、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分以外に、必要に応じて、1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体を少量、具体的には、(A)成分の化合物1モル当り0〜1000モルの割合で用いてもよい。触媒成分としての1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体は必須ではないが、これを併用すると、触媒活性が一段と向上する利点がある。
上記触媒は、例えば、溶媒に(A)成分〜(C)成分を溶解させ、さらに必要に応じて、1,3−ブタジエンを反応させることにより、調製することができる。その際、各成分の添加順序は、特に限定されず、更に(D)成分としてアルミノキサンを添加してもよい。重合活性の向上、重合開始誘導期間の短縮の観点からは、これら各成分を、予め混合して、反応させ、熟成させることが好ましい。ここで、熟成温度は、0〜100℃程度であり、20〜80℃が好ましい。0℃未満では、充分に熟成が行われず、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが起こる。また、熟成時間は、特に制限なく、重合反応槽に添加する前にライン中で接触させることでも熟成でき、通常は、0.5分以上あれば充分であり、数日間は安定である。
当該ブタジエン系重合体の製造は、溶液重合で行うことが好ましい。ここで、溶液重合の場合、重合溶媒としては、不活性の有機溶媒を用いる。不活性の有機溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数5〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜6の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が特に好ましい。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
当該ブタジエン系重合体の製造は、25℃以下の重合温度で行うことが肝要であり、−78〜10℃で行うのが好ましい。重合温度が25℃を超えると、重合反応を充分に制御することができず、生成したブタジエン系重合体のシス−1,4結合含量が低下し、ビニル結合含量が上昇してしまう。また、重合温度が−78℃未満では、溶媒の凝固点を下まわってしまうため、重合を行うことができない。
当該ブタジエン系重合体の製造は、回分式及び連続式のいずれで行ってもよい。また、当該ブタジエン系重合体の製造において、上記希土類元素化合物系触媒及び重合体を失活させないために、重合の反応系内に酸素、水、二酸化炭素等の失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が肝要である。
(ゴム成分と併用される樹脂)
本発明で使用するゴム組成物には、前述の超ハイシスブタジエン系重合体を含むゴム成分と共に、減衰特性付与のため、種々の樹脂を含有することができる。
この樹脂としては、例えばポリエステルポリオール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪・脂環族C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、テルペン樹脂、並びにこれらの共重合体及び変性品等を挙げることができる。
ここで、ポリエステルポリオール樹脂としては、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物であって、1分子内に水酸基を2個以上有する樹脂を挙げることができ、具体的にはセバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の二塩基酸と、モノ、ジ、トリエチレングリコールやモノ、ジプロピレングリコール等の二価アルコールとを縮合させて得られた両末端に水酸基を有するポリエステルジオール等を挙げることができる。
ジシクロペンタジエン樹脂は、ジシクロペンタジエンをAlCl3やBF3等のフリーデルクラフト触媒等を用いて重合させた樹脂である。
ロジン樹脂は、生松やに、トール油等に含有されている樹脂であって、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンの3種が知られている。ロジン樹脂の変性品としては、重合ロジンを始め、グリセリンエステルロジンや、その部分水添ロジン、完全水添ロジン、重合ロジン、さらにはペンタエリスリトールエステルロジンや、その部分水添ロジン、重合ロジン等がある。
フェノール樹脂としては、p−tert−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、キシレン樹脂としては、m−キシレンとホルムアルデヒドを酸性触媒の存在下に反応させて得られた樹脂等が挙げられる。
脂肪・脂環族C5系石油樹脂としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの二量体でC10であるが、C5系留分に包含される。)、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン等のC5系留分を原料とする共重合樹脂が挙げられ、C5/C9系石油樹脂としては、上記C5系留分と、インデン、スチレン、メチルインデン、α−メチルスチレン等のC9系留分の混合物を原料とする共重合樹脂が挙げられる。
また、C9系石油樹脂としては、上記C9系留分を原料とする共重合樹脂が挙げられる。
テルペン樹脂としては、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂等を挙げることができる。
また、前記の脂肪・脂環族C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、及びこれらの水素添加樹脂を変性してなる極性基が導入された石油樹脂も用いることができる。
導入される極性基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基等が挙げられる。
導入される極性基の量としては、水酸基価(mgKOH/g)として、2〜400であることが好ましく、10〜300であることがより好ましい。石油樹脂中に存在する極性基の量は、JIS K0070に記載の方法により測定することができる。
本発明で使用するゴム組成物において、ゴム成分と併用される樹脂の重量平均分子量(Mw)は、300〜4000であることが好ましく、500〜3000の範囲であることがより好ましい。分子量がこの範囲において、十分な減衰性を得ることができる。
当該樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、2〜80質量部であることが好ましく、10〜65質量部であることがより好ましい。当該樹脂の含有量が2〜80質量部の範囲にあれば、その添加効果を実用的なものとすることができる。
(その他の成分)
本発明の制震部材に使用する上記ゴム組成物には、上記成分と共に、通常のゴム組成物に使用される配合剤を含有させることができる。例えば、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、硫黄系加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤(スコーチ防止剤)、各種プロセスオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸等の脂肪酸、各種軟化剤、ワックス、老化防止剤、クレーや炭酸カルシウム等の各種充填剤等の一般的に用いられる各種配合剤を挙げることができる。
使用するカーボンブラックの例としては、標準品種であるSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス)、MTカーボンブラック(熱分解カーボン)を挙げることができる。
カーボンブラックを使用する場合、その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、20〜120質量部であることが好ましく、30〜110質量部であることがより好ましい。カーボンブラックの他に、更にセバシン酸ジオクチル等の可塑剤を加えても良い。
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄等、一般にゴム用加硫剤として用いられている硫黄が挙げられる。硫黄系加硫剤を使用する場合、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができる。加硫促進剤を使用する場合、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。
また、本発明で使用するゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。
老化防止剤としては、公知の老化防止剤を選択し用いることができる。例えば、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6C)やN−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3C)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)等が挙げられる。老化防止剤を使用する場合、その使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.5〜5質量部であるのが好ましい。
(ゴム組成物の調製)
本発明で使用するゴム組成物は、前述した各成分を、ゴム工業において通常使用されるバンバリーミキサー、ロール、ニーダ等の混練装置を使用して好ましくは100〜170℃で混練することにより調製することができる。
本発明で使用するゴム組成物は、シート状、直方体、長方形、多角体、円筒、球状等の種々の形状に、加硫成形可能である。シート状に加硫成形し、これを打ち抜いて使用することも可能である。使用目的に応じて変則的な形状とすることも可能である。
該ゴム組成物は、ハードニング特性を抑えると共に、良好な耐亀裂成長特性と低温特性の両立を図ることができるため、制震部材のゴム材料として利用する。
[制震部材]
本発明の制震部材は、前述したゴム組成物を用いて得られたことを特徴とする。
制震部材は、建築物を大地震動から守るために、壁や土台等に組み込まれるダンパー等の部材であって、地震動のエネルギーを吸収する機能を有する。
このような機能を有する制震部材に使用されているゴム材料に、前述したゴム組成物を用いることにより、該制震部材は、ハードニング特性が抑えられると共に、耐亀裂成長特性及び低温特性の良好なものとなる。
本発明の制震部材を用いることにより、大変形時に応力が高くなるハードニング特性が抑えられるので、該制震部材を取り付ける部材の強度を必要以上に高くする必要がない。また耐亀裂成長特性が良好であることから、繰り返し剪断変形に対しても亀裂成長を抑えることができる。
図1は、地震エネルギーを吸収するための制震部材を建築物に組み込んだ状態を示す模式図であって、地震エネルギーは、ダンパー等の制震部材1によって吸収される。
なお、本発明の制震部材は、地震以外に、一般の各種振動に対しても適用することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)BRの物性
<FT−IRによるミクロ構造の分析法>
同一セルの二硫化炭素をブランクとして、5mg/mLの濃度に調製したブタジエン系重合体の二硫化炭素溶液のFT−IR透過率スペクトルを測定し、該スペクトルの1130cm-1付近の山ピーク値をa、967cm-1付近の谷ピーク値をb、911cm-1付近の谷ピーク値をc、736cm-1付近の谷ピーク値をdとしたとき、下記行列式
Figure 2010254745
から導かれるe、f、gの値を用い、下記式:
(シス−1,4結合含量)=e/(e+f+g)×100 (%)
(トランス−1,4結合含量)=f/(e+f+g)×100 (%)
(ビニル結合含量)=g/(e+f+g)×100 (%)
に従って1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量及びビニル結合含量を求める。なお、上記スペクトルの1130cm-1付近の山ピーク値aはベースラインを、967cm-1付近の谷ピーク値bはトランス−1,4結合を、911cm-1付近の谷ピーク値cはビニル結合を、736cm-1付近の谷ピーク値dはシス−1,4結合を示す。
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定>
GPC[東ソー株式会社製、HLC−8020]により検出器として屈折計を用いて測定し、単分散ポリスチレンを標準としたポリスチレン換算で示した。なお、カラムはGMHXL[東ソー株式会社製]で、溶離液はテトラヒドロフランである。
(2)加硫ゴム物性
JIS K6301に準拠して、破断伸び(Eb)及び引張強度(Tb)を測定した。
(3)剪断弾性係数(G100%)及び等価減衰係数(Heq100%)
(a)剪断弾性係数の測定サンプルの作製
ゴムシートを25mm×25mmの方形状に打ち抜いた1枚の方形状ゴムシートを作製し、これを25mm×60mm×厚み2.3mmの2枚の鉄板で挟んだ。すなわち、図2(A)に示すように、接着剤を塗布した2枚の鉄板3の間に、ゴムシート2を、断面クランク状となるように挟んだ。このように、鉄板3とこれに接するゴムシート2の面とを接着した状態で加硫を行い、鉄板3とゴムシート面との接着を行った。これにより図2(B)に示す形状のサンプルを得た。
(b)剪断弾性係数(G100%)及び等価減衰係数(Heq100%)の測定
サンプルを、バネ剛性、損失エネルギー測定装置[鷺宮製作所製、型式「EFH−26−8−10」]に配置した。上述の2枚の鉄板(図2(B))を介してゴムシートに、歪率±100%の剪断力を、周波数0.2Hzで付与する操作を3サイクル行い、各サイクルにおける測定値を平均して、G100%及びHeq100%を算出した。なお、測定温度は20℃であった。
(4)温度依存性(G0℃/G20℃)
0℃及び20℃でのG100%を測定し、その比を算出することで、温度依存性の指標とした。
(5)亀裂発生回数
歪250%、0.3Hzで繰り返し剪断を加えた際にサンプルに亀裂が発生した回数を測定した。
製造例(超ハイシスBRの製造)
−触媒の調製−
乾燥及び窒素置換された容積100mLのゴム栓付きガラスビンに、順次、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(ネオジム濃度:0.56mol/L)0.59mL、PMAO[商品名、ポリメチルアルミノキサン、東ソーファインケム株式会社製]のトルエン溶液(アルミニウム濃度:3.23mol/L)10.32mL、水素化ジイソブチルアルミニウム[関東化学株式会社製]のヘキサン溶液(0.90mol/L)7.77mLを投入し、室温で2分間熟成した後、塩化ジエチルアルミニウム[関東化学株式会社製]のヘキサン溶液(0.95mol/L)1.45mLを加え、室温で時折撹拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジム濃度は、0.011mol/Lであった。
−超ハイシスBRの製造−
乾燥及び窒素置換された容積約1Lのゴム栓付きガラスビンに、乾燥精製された1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及び乾燥シクロヘキサンをそれぞれ投入し、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:5.0質量%)400gが投入された状態とし、10℃の水浴中で十分に冷却した。次に、上記のようにして調製した触媒溶液1.56mL(ネオジム換算で0.017mmol)を加え、10℃の水浴中で3.5時間重合を行った。引き続き、老化防止剤2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール溶液(NS−5の濃度:5質量%)2mLを加えて反応を停止させ、更に、微量のNS−5を含むイソプロパノール溶液中で再沈澱させた後、常法にて乾燥して、収率約100%で超ハイシスBR(数平均分子量205,000、分子量分布2.3)を得た。FT−IR(機種:IR Presfige-21、株式会社島津製作所製)によりミクロ構造を分析したところ、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量は98.43%であり、ビニル結合含量は0.13%であった。また、0.25×[シス−1,4結合含量−97]=0.48であった。
実施例1〜3及び比較例1〜5
表1に示す種類と量の第一ステージの配合成分を混練りしたのち、この混練物と、表1に示す種類と量の第二ステージの配合成分とを混練りすることにより、9種類のゴム組成物を調製した。なお、表1に示されるゴム成分の内訳は、表2に示すとおりである。
得られた各ゴム組成物を、ゴム圧延用ロールを用いて2mm厚に圧延して、未加硫ゴムシートを作製した。この未加硫ゴムシートを用い、加硫処理してEb及びTb測定用のサンプルを作製すると共に、剪断弾性係数測定用のサンプルを作製し、性能の評価を行った。なお、加硫処理条件は140℃、60分間である。
評価結果を表2に示す。
Figure 2010254745
[注]
1)カーボンブラック:旭カーボン株式会社製「旭♯80−N」
2)硬化脂肪酸:花王株式会社製「LUNAK RA」
3)老化防止剤6C:MONSANTO社製「サントフレックス13」
4)ワックス:精工化学株式会社製「サンタイト」
5)フェノール樹脂:住友ベークライト株式会社製「スミライトレジン217」
6)ジシクロペンタジエン樹脂:XXON CHEMICALS社製「ESCOREZ8180」
7)キシレン樹脂:フドー株式会社製「ニカノールL5R」
8)アロマオイル:出光興産株式会社製「ダイアナプロセスオイルAH−58」
9)亜鉛華混合硫黄:鶴見化学工業株式会社製「Z硫黄」
10)加硫促進剤CZ:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ−G」
Figure 2010254745
[注]
11)NR:天然ゴム、RSS#4
12)BR:JSR株式会社製「BR01」、ポリブタジエンゴム、シス−1, 4結合含量=96.29%、ビニル結合含量=2.20%
13)超ハイシスBR:製造例で得られたポリブタジエンゴム
14)SBR:JSR株式会社製「SBR1507」
表2における諸特性において、破断伸び[Eb]は大きいほど良く、引張強度[Tb]はハードニング特性を抑える観点から低い方が良い。剪断弾性係数[G100%]は、小さい方が良く、等価減衰係数[Heq100%]はヒステリシスロスを示し、大きい方が良い。温度依存性[G−10℃/G20℃]は小さいほど良い。亀裂発生回数は亀裂が発生し難さを示し、大きいほど良い。これらの特性の中で、Eb、Heq100%及び亀裂発生回数が特に重要であり、これらがバランス良く優れていることが好ましい。
表2から、本発明の制振部材に使用するゴム組成物(実施例1〜3)は、Ebが920〜990%と高く、Tbが2.98〜3.52MPaと低い範囲にあり、Heq100%が0.325〜0.334と高く、かつ亀裂発生回数が500〜1200であって亀裂が発生し難く、温度依存性が1.4〜1.7の範囲にある。したがって、ハードニング特性が抑えられると共に、良好な耐亀裂成長特性と低温特性を有する性能バランスに優れるものである。
実施例1と、比較例1及び比較例2とを比べると、比較例1は、亀裂発生回数は多いものの、Tbが大きい上に、Heq100%が小さく、しかも温度依存性が2.12であり、大きい。一方、比較例2は、Tbが小さく、Heq100%が大きいが、亀裂発生回数が200回と極めて少ない。
実施例2及び3と、比較例3〜5とを比べると、比較例3は、Ebが高く、Tbは低いものの、亀裂発生回数がはるかに少ない。また、比較例4及び5は、亀裂発生回数は多いものの、Ebが小さく、Tbが非常に大きく、かつHeq100%が小さい。
本発明の制震部材は、地震用及び他の一般の各種振動用(積層ゴムアイソレータ用途を除く。)として利用可能であり、各種建築物に組み込むことができる。
1 制震部材
2 ゴムシート
3 鉄板

Claims (10)

  1. 分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であり、かつフーリエ変換赤外分光法による測定において、1,3−ブタジエン単量体単位中のシス−1,4結合含量が98%以上、かつビニル結合含量が0.3%以下であるブタジエン系重合体を50質量%以上含むゴム組成物を用いた制震部材。
  2. ブタジエン系重合体が、シス−1,4結合含量とビニル結合含量とが、下記式:
    ビニル結合含量(%)≦0.25×[シス−1,4結合含量(%)−97]
    の関係を満たすものである、請求項1に記載の制震部材。
  3. ブタジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜2.7である、請求項1又は2に記載の制震部材。
  4. ブタジエン系重合体の数平均分子量(Mn)が100,000〜500,000である、請求項1〜3のいずれかに記載の制震部材。
  5. ブタジエン系重合体の数平均分子量(Mn)が150,000〜300,000である、請求項1〜3のいずれかに記載の制震部材。
  6. ブタジエン系重合体が、1,3−ブタジエン単量体80〜100質量%と、1,3−ブタジエンと共重合可能な他の単量体20〜0質量%からなるものである、請求項1〜5のいずれかに記載の制震部材。
  7. ブタジエン系重合体が1,3−ブタジエン単量体の単独重合体である、請求項6に記載の制震部材。
  8. ゴム成分が、天然ゴム、イソプレンゴム及びスチレン−ブタジエンゴムからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜7のいずれかに記載の制震部材。
  9. ゴム組成物がゴム成分と共に樹脂を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の制震部材。
  10. 樹脂が、ポリエステルポリオール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪・脂環族C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、テルペン樹脂、並びにこれらの共重合体及び変性品の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載の制震部材。
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