JP2010254376A - 圧縮されたフィルタトウ梱包体の梱包方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結束バンドを用いず、作業性が良好でベール梱包体の破れがなく、美麗なベールを製造する方法を提供する。
【解決手段】圧縮時にプレスベースの間隔を所望する梱包ベールの高さよりも50mmから250mm、より好ましくは80mmから200mm、更に好ましくは90mmから180mm低い高さまで過剰圧縮に圧縮した後、包装するか、または包装しない状態でプレスベースの間隔を所望する高さに調整した後に、プレスベールのプレス圧力を解放してトウベールの梱包体を仕上げる梱包方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、糸状体、トウ、フィラメントのフィルタトウの圧縮された梱包体の梱包方法に関するものであり、特にはたばこフィルタ用トウフィラメントの梱包方法に関する。これらのフィラメントなどの圧縮された後シールなどの接合方法で梱包される梱包体の梱包方法に関するものである。
特には、酢酸セルロースのフィルタトウから成りプレスなどの加圧手段により内容物が圧縮されて梱包された梱包体において、これら内容物を圧縮することにより生じる反発内圧を減少させた上で全周シールやドットシールや接着などをおこない、反発力を抑制する梱包方法に関するものである。
糸状体、トウ、フィラメントなどは嵩密度が低いものである。例えば酢酸セルロースのフィラメントから成るフィルタトウは嵩密度が100Kg/m3程度と小さく輸送効率やタバコのフィルターに加工する際の横持ちでの取り扱いを考慮してフィラメントの梱包時においてプレスなどの加圧手段により圧縮して300〜600Kg/m3に嵩密度を上げて梱包したものにしている。このような梱包体はベール(トウベール)と称されている。
フィルタトウのベールの包装方法と包装装置はベール圧縮装置(ベール梱包装置)としてWO02/32,238 A2に記載されている。この文献に記載された技術によれば、製造されたフィルタトウは、連続した糸状体の形態をしている。すなわち、たばこフィルタの製造装置は、その運転速度が400m/min〜600m/minと高速であるので、フィルタに加工されるフィルタトウの長さは長いものが生産効率上有利である。このため、前記の通りフィルタトウの長さは長くすることが必要である。一般的な、単繊維径が3D(denier以下同様)の場合であると、トウフィラメントの集積体であるトウバンドはこの単繊維を10000本から13000本引き揃えたものである。したがって、このフィラメント及びその集積体であるトウバンドは例えば30000Dのトウバンドでトウベールの重量500Kgであれば15Kmの長さになる。前記のWO02/32,238 A2に記載されているベールの梱包及びベール圧縮装置としては、この長さのトウバンドがいわゆる充填容器(充填缶あるいは圧縮缶とも称される)に振り入れられる。この状態では充填容器内のフィルタトウは極めて嵩高い嵩を有している。
このため充填缶は例えば6mもの高さになる。当然このようなものを運送や貯蔵するのは極めて非効率であるので、常用技術としては、この充填缶に振り入れられたフィルタトウを圧縮して、運送や貯蔵に適した大きさにする必要がある。このため常用技術では、次に、この充填容器に入れられた内容物は上下に加圧され、圧縮される。圧縮力は非常に大きなものであり、数百トン、一般的には約300tから600t、例えば500tの圧力である。この圧縮後に、その圧縮応力下にある状態で、フィルタトウの圧縮体は包装材(梱包材と記すこともある)により梱包される。この包装材は、例えば厚紙、段ボール紙、不織布、プラスチックフィルム、合成繊維などのフィルムである。そしてこれらの包装材は、フィルタトウの圧縮体それぞれの面を各々の包装材で覆う。これらの包装材は、フィルタトウの圧縮体の圧力を取り除かれたときに、フィルタトウベールの反発力によりトウベールが破裂しないように、鉄製やプラスチック製のバンド(これらを結束バンドと称する)によって結束する梱包体形態を用いていた。すなわち、残存するフィルタトウの反発内圧はこの結束バンドによって保持していた。
前記の通り高圧縮されたベールのプレス圧縮圧力は最大で5000kPa(500t/m2)に達し、たとえ圧縮圧力が低い場合でも1000kPa(100t/m2)を下回ることは無い。
このため、前記の通り、梱包の後もフィルタトウの梱包内には圧縮に反発する応力のため、20kPa〜400kPaの反発圧力(ベールの膨張力)が残存する。このような反発圧力については従来より知られている。例えば特開 昭53−87890号公報(特許文献1)には「内部圧力が少なくとも0.2daN/cm2(20kPa)存在し、そして短時間内には約3.3daN/cm2(330kPa)までのかなり高い圧力が存在する」ことが記載されている。(2頁、右下カラム20行目から3頁左上カラム1行目)
このような反発内圧に耐える梱包体とするために、従来技術においては前記の通りフィルタトウの梱包は金属又はプラスチックバンドから成る結束バンドで結束されていた。結束バンドは包装材とプレスベールとを一体化する。従来の技術では、通常の梱包体では腹部の包装材と天井又は底の包装材は結束バンドによって一体化される。これによりトウベールは破裂することを避けられるが、しかしながらトウベールの膨張に伴い、膨張できない結束バンドの部分以外の部分が膨らむことになる。
その結果、結束バンドがフィルタトウの表層に食い込み、トウベールに括れが生じる。括れの部分では高い圧力で部分的にフィルタトウが圧縮されるため、フィルタトウを連続した糸状体として取り出す場合にその部分でフィルタトウ同士が擬似付着して、これが引張られることにより、フィルタトウバンドが破断する可能性もある。また、開梱時に結束バンドを切断する必要があるが、この時に切断した結束バンドが弾け飛ぶために作業者が負傷する危険性が存在していた。
このため結束バンドを省く梱包形態が検討された。例えば前記特許文献1には、これらのバンドによるフィルタトウ結束の問題を改善するために圧縮したフィルタトウを包装材で包装し、この包装材に塗布した接着剤で貼合する梱包体が開示されている。この場合にはトウベールの反発圧力は包装材に加わる。
このため、この前記特許文献1によれば、圧縮したフィルタトウは内側にアルミ蒸着したPPと紙のラミネートで包み、その外側を溶剤型の接着剤すなわち具体的にはクロロプレンゴムの溶剤型接着剤で結合したダンボールで包んでいる梱包体が記載されている。
前記の通り前記特許文献1では圧縮されたベールの膨張力は梱包体にかかる。このため、前記特許文献1では包装の外装の各部分が重なり合う場合において、接着部に少なくとも0.39daN/cm2(39kPa)の前段強度を与える接着剤により相互に結合されていることを特徴としている。(特許請求の範囲)このように、前記特許文献1では接着部の接着強度はかなり大きくする必要があり、また包装材料もベールの膨張圧力に耐える特別な素材である必要があり、前記特許文献1の実施様態の通り、紙とポリオレフィン樹脂とアルミ箔の複合材からなる内装材とボール紙製の外装材の複層構成とする必要があった。
また特開平7-215338号公報(特許文献2)には面ファスナテープを用いて、接着剤を用いないで、収集コンテナの上部部品と中心部品を接合する技術が開示されている。この技術では収集コンテナの外周を取囲み、境界を定める数個の直立可能な側部部品を備えている。この側部部品により、結束バンドがなくても、反発内圧に耐えることが可能となっている。すなわち、この梱包体の側部においては側部部品と収集コンテナの間に面ファスナが存在し、収集コンテナの反発内圧により、面ファスナは常に圧着され強固に接着される。一方このため、側部部品は収集コンテナの反発内圧に耐えられる剛性や強度を有することが求められ、梱包形態は大掛かりになり、コストも高いものとなっている。このためこれらの梱包体ではワンウエイの梱包に適用することができず、これらの梱包材料を回収し再使用することが可能な範囲内でしか使用することができない。
特表平9-508880号公報(特許文献3)にはプラスチックフィルムあるいはシートによる密封梱包が開示されている。以下、特許文献3の記載に沿い天部、底部、胴部の3枚のシートにより梱包する3シート包装で説明する。すなわち、この包装の場合には、腹部に巻くように設けられた包装材切片は包装材のロールから必要な長さ引出され、端部で閉じられ、底部と天部により上下方向を閉鎖されたチューブを成すようにプレスベールを取囲んで溶着される梱包形態を開示している。そして、この梱包形態であれば結束バンドを省略することができることが記載されている。この梱包でベールは圧縮された後、胴部はフィルムを巻くことで形成され、底部と天部は事前にベール圧縮装置にセットされている必要がある。
特許文献3では、この天部と胴部、底部と胴部の包装材は全周でヒートシールしてもよいし、(頁23、2〜6行目)また結合箇所においてストライプ状又は点状ドットシールであっても良い事が記載されている。そして、ドットシールであれば手または適当な機械で比較的容易に引き剥がして解消できることが記載されている。(頁21、27〜37行目)そして、このような包装形態を取ることで、プレスベールに掛けられたプレス圧を除いた後でも膨らむベールの力に耐え、バンド及びそれに類似したもので付加的に補強することを不要にすることが記載されている。(19頁、28〜32行目)
特許文献3に記載の技術では、ベールはプレス圧を除去された後に膨張し、その場合の膨張力は結合箇所にも加わる。このため、結合箇所の接着強度をその膨張圧力に耐える程度に高くする必要があり、また膨張時に結合箇所が外れる可能性もある。
英国特許1280932号公報(特許文献4)には、比較的深い袋ベース部と、比較的浅い袋キャップ部の2つの部分よりなっているベール梱包体が開示されている。この両方の袋はストックされており、ベールプレスに供給される。比較的浅いキャップ部はベールの底部を形成し、比較的深いベース部は天部と胴部を形成する。ベース部にプランジャーにより嵩高いトウが押し込まれ、圧縮される。ベース部とキャップ部は連続的に溶着(シール)される(全周シールされた)ベールが開示されている。(カラム2 14行目〜59行目)
この特許文献4では、ベールは圧縮後に膨張して比較的浅いキャップ部(ベールに梱包した場合には底部に相当する)は、ベール圧縮下においては上に凸部を形成している。すなわち底部は上げ底になっている。そしてベールの膨張力により底部の凸部は折り返されて、凹部となり、ベールの梱包が終了する。(Fig.8〜11)
この技術の場合には、袋ベース部を事前に成型しておく必要がある。この袋ベース部は成形されているため積み重ねて保管することができず、保管や移動に不便である。
更に、フィルタトウは予備圧縮した連続した糸状体の塊として、圧縮缶の中に挿入されるが、袋ベース部を圧縮缶の中に設置した上で、圧縮工程で糸条体の塊の挿入時における摩擦により、袋ベース部が設置部分から外れることがあるという問題点もあった。そしてベールの圧縮圧力除去時には、ベールの膨張力でキャップ部(底部)の上げ底部分が折り返されて凹部(下に凸部)となるが、この膨張の場合にキャップ部と袋ベース部には応力が加わりシールが剥れたり、また均一に膨張しない場合もある。
特表2005-528096号公報(特許文献5)には、前記の特許文献3や特許文献4において真空ポンプなどの手段を用いて、ベールの内圧を負圧にすることでより表面が平滑になる技術が開示されている。この文献によれば、前記の特許文献3から5に記載されている通り、プラスチックのシートあるいはフィルムなどからなるパッケージ(梱包材料)をヒートシールすることで梱包を密封化して、ベールの膨張に伴いベール内部に負圧を発生させ、また追加の負圧の獲得手段として、ベール内部を脱気して大気圧とベールの反発内圧をバランスさせてベールの膨張を抑制する方法が提案されている。
すなわち前記特許文献5でも記載されている通り、圧縮状態にあるフィルタトウを気密シールで密封した後に、梱包した材料に負荷されている外圧を解放する。その結果、梱包体内部で材料が自己の弾性復元力の作用下で膨張する。そして、パッケージの容量が増加することで、梱包された範囲内において負圧が発生する。パッケージのサイズは、圧縮されたフィルタトウが完全に膨張できないように、つまり、包装材内部のフィルタトウが、その部分的な膨張後にも、パッケージ内部で特定の度合いで圧縮状態に維持されるように選択することが好ましいことが記載されている。(段落番号[0021])
このように、脱気を行う場合は、フィルタトウの圧縮体が完全に膨張してしまうことを防ぐために、パッケージ内部の余分な空気を排除する目的で行われる。そして負圧の最小値としては0.01barあれば良いことが記載されている。(特許請求の範囲1)0.01barは1kPaに相当し、上記の20kPa〜400kPaのベールの膨張力(反発圧力)と比較して小さいため、負圧にベールの膨張を抑制する効果はなく、特許文献5で開示されているのは、ベールの包装体の伸張による応力とベールの反発圧力が釣り合うまでベールが膨張して梱包させる技術であり、この場合も包装材料のヒートシール部には大きな応力が加わり、シール部などが破断する問題点があった。
特表2006−517896号公報(特許文献6)では、3ピース構造あるいは2ピース構造の梱包体に排気孔(evacuator)を設けたトウ梱包システムが開示されている。この文献では、フィルムを天部と底部に2枚使用して4辺をヒートシールすることで、ベールを大きく包み込むパッケージを作り、排気孔(evacuator)から余分な空気を脱気することで気密梱包として、ベールの余分な膨張を抑制する技術が開示されている。このような、梱包形態で2枚のフィルムをベールの上下から挟むように配置・シールする場合、ベールを包装材で覆うのは簡便になるが、一方ベールを梱包した後の包装材(フィルム)に多量の余剰部分ができるため空気持ち込み量が多くなる。
このため、ベールの自然な膨張による内部容積の増加によっても、それよりも余剰空気の量が多いため負圧の発生は期待できない。そして包装材内部の余剰空気を排出して、負圧を発生させるためには真空ポンプなどで空気を除去する必要がある。そして脱気する空気量が大きいため、作業効率も悪い。そして、前記特許文献5と同様に仮に絶対真空までベール内部を脱気することができたとしても、それにより得られる大気による圧力は100kPaに過ぎず、ベールの膨張を抑制することはできないため、やはりベールの包装材料に応力が加わるという問題点があった。
また、排気孔(evacuator)を設置した特殊な包装材料を容易する必要があり、包装材料のコストが高いという問題点があった。更には、このような作業性の問題以外にも、梱包後のフィルムが大きく余るため、余った部分をキレイに収納しなければいけないという問題が生じる。フィルムの余剰部分の収納具合がよくないとその部分がベールの積載や運搬の障害となったり、またフィルムの余剰部分が擦れたりする事によりピンホールが生じ、内圧を失いベールが膨張する原因となったりする場合がある。
特開昭53−87890号公報 特開平7-215338号公報 特表平9-508880号公報 英国特許1280932号公報 特表2005-528096号公報 特表2006−517896号公報
解決しようとする課題は、糸状体、トウ、フィラメントなどは嵩密度が低いもので、圧縮して梱包されるため反発内圧が高い物の梱包体で、結束バンドを使用しないで、かつ溶剤臭の問題も生じないし、取り扱いも簡便である梱包体およびそのような梱包体を得る検便な梱包方法が無い点である。
すなわち、これまでの結束バンドを無くす梱包形態としては、全周をヒートシールなどの方法で気密梱包する方法は開示されていたが、この方法ではベールは反発圧力により自然に膨張するため包装体に応力が加わる。この結果、ベール梱包体の破れなどの問題が生じた。
解決しようとする別の課題は、ベールの反発力を抑制することができればベールの梱包体が破れる等の問題を生ずることが無く、仕上がりベールの梱包の品質が向上するがこのような方法はなかったことである。
更に、解決しようとする別の課題、ベールの梱包時の作業性を良好にしながら、完成したベールは梱包体の余剰部分がなく、美麗なベールを製造する技術がなかったことである。
本発明人らは前記の課題について検討した結果、
糸状体、トウ、フィラメントの圧縮された梱包体のような反発内圧の大きな梱包において、圧縮時にプレスベース(ベール圧縮装置における加圧部分であり、上部のプレスベースと下部のプレスベースがある。多くの場合、上部プレスベースも下部ブレスベースも可動式であるが、可動範囲は上下何れかのプレスベースの方が大きく設計されている。)の間隔を、
所望する梱包ベールの高さよりも50mmから250mm、より好ましくは80mmから200mm、更に好ましくは90mmから180mm短い間隔になるまで圧縮(以下この圧縮状態のことを「過剰圧縮」とする)した後、包装するか、または包装しない状態でプレスベースの間隔を所望する高さに調整し(すなわち上下のプレスベースの間隔広げる)、
少なくともこの状態で梱包を仕上げた後に、プレスベール(プレスベース間で圧縮された状態にあるベールの事を称する。)のプレス圧力を解放してトウベールの梱包体を仕上げる梱包形態を用いる。
これにより、プレスベースの圧力解放後のプレスベールの膨張圧力は減衰され小さくなる。その結果、プレスベールのプレス圧力の開放に伴う膨張が存在しないか極めて小さいトウベールとして梱包できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、プレスベールの反発圧力(膨張圧力)は梱包密度や圧縮圧力に依存する。そして、例えば300tの圧力で梱包密度666kg/m3程度に圧縮した場合であれば、図1に示す通り圧縮完了直後においては、実に970kPaもの反発圧力を示すことを見出した。この反発圧力は時間経過と伴に減衰するものの10分経過後であっても600kPa余りの反発圧力を示す。前記特許文献3や5に記載されている通り、この反発圧力が残留した状態のプレスベールのプレス圧を開放すると、この反発圧力によりプレスベールは膨張して、包装材を伸張させる。そして、包装材料の伸張に伴う反発力の消費、プレスベールの膨張に伴う反発圧力の減衰、及び密封されている場合にはベールの膨張に伴う負圧により生じる外部からの圧力が均等する状態でベールの膨張は停止する。
この間にベールの包装材料の接合部には膨張による応力が作用する。この応力は実に梱包直後であれば4000N/15mmにもなる。このような剪断力が包装材料の接合部や包装材料自体に作用するために、ベールの梱包の接合部には強固な接着を施す必要があり、前記特許文献3の技術を用いた場合でもシール部の破断などの現象が生じるのであった。大気圧とベール内部の負圧の差圧は最大でも(すなわち絶対真空状態であっても)100kPaに過ぎないので、ベール内部での負圧によりベールの膨張を抑制することはできず、実際前記特許文献5でもベールは膨張することが記載されている。(段落番号[0021])
しかしながら、本発明の発明者らは、プレスベールを加圧下で50mmから250mm程度伸張させることで、プレスベールの反発圧力は急速に減衰することを見出し、本発明に到達した。
尚、トウベールの梱包体のサイズは輸送などにより制限される。特にたばこフィルタ用のトウベールは海外に輸出される場合も多く、この場合輸出入用の国際コンテナの標準サイズに依存する。このため、本発明の実施様態としては、予め所望するベール高さよりも過剰に圧縮(以下過剰圧縮という場合もある。)した上で、改めてプレスベールの距離(高さ)を50mmから250mm伸張(以下この移動させる長さを「過剰圧縮距離」と記載することもある。)させることで、輸出入に用いることができるベール梱包体を得ることができる。このように過剰圧縮した後、梱包することで、プレスベールのプレス圧を開放した段階でベールは膨張することなく、ベール梱包における破裂の問題を回避することができる。
プレスベースの移動距離、すなわち過剰圧縮距離は前記の通り50mmから250mm、より好ましくは80mmから200mm、更に好ましくは90mmから180mm、よりよく好ましくは90mmから150mmである。過剰圧縮移動距離が50mmよりも小さい場合には、プレスベールの反発圧力の緩和効果が充分ではない。本発明の発明者らの検討では、過剰圧縮距離は最低でも50mm確保しないと反発圧力の減衰効果が少なく、包装終了後にプレスベールは更に膨張をする。尚、後に記載する追加の補助的なベールの膨張抑制手段として、プレスベール内部の脱気などを行った場合は過剰圧縮距離が50mmのプレスベースの移動距離でもプレスベールのプレスベース圧力解放後の膨張を抑制することができる。
機械工学的あるいは物理学的正確性を期すのであれば、過剰圧縮距離すなわち過剰圧縮の長さ(前記プレスベースの移動距離)については、所望するベールの高さとその割合により規定されるべきものである。すなわち、例えば高さ500mmのベールと高さ1500mmのベールに対しては、同じ過剰圧縮距離でもその過剰圧縮の程度が異なるためである。その意味では、過剰圧縮距離に対するベールの高さの割合として標記した場合には、所望するベール高さに対して、5%から20%過剰に圧縮することが好ましい。より好ましくは8%から20%、更に好ましくは9%から18%、よりよく好ましくは9%から15%である。
上記の過剰圧縮距離はベールの高さが700mmから1100mmまでのものに主に適用される。すなわち所望するプレスベールを輸送、保管するのに最も効率がよい高さとして選択できる。より好ましいベール高さとしては800mmから1100mmであり、さらに好ましいベール高さは900mmから1100mmである。これらは適宜選択することができるが、輸送効率の点から、本発明ではベール高さが700mmから1100mmのものに対して、上記の過剰圧縮距離を適用することが好ましい。
更に、厳密に議論すれば、ベール高さが低いベールにおいては、ベール重量を確保するためには梱包密度を上げてやる必要がある。梱包密度を大きくすると必然的にベールの反発力は大きくなる。このため例えば高さ700mmのベールの場合であれば、望ましい過剰圧縮距離は大きくする必要が生じる。例えば、700mmのベールであれば、その大きな梱包密度に対するためには所望するベール高さに対して7%程度の過剰圧縮距離は必要となる。このため前記のことを勘案すると工業的には本発明の技術的特徴は過剰圧縮距離で標記する方が適切となる。一般的に、ベールの高さが低いほど、輸送や保管には都合が良く、梱包作業は前期の梱包密度の問題でより困難となる。
しかしながら、追加の手段を用いない場合にはプレスベースの移動距離は90mm以上とすることが望ましい。尚、プレスベースの移動距離が250mmを超えた場合はプレスベールの膨張力は完全に消失する。この意味ではプレスベースの移動距離が大きいほうが好ましいが、逆に梱包密度が低下してベールの輸送効率が低下するという問題がある。
また、梱包作業効率を考慮した場合には、プレスベースの移動距離は小さい方が好ましい。このため、プレスベースの移動距離の上限は250mm好ましくは、好ましくは200mm、更に好ましくは180mmよりよく好ましくは150mmである。尚、本発明の技術上の意義はプレスベールをプレスベースの加圧下で制御された状態で膨張させ、ブレスベールの反発圧力を減衰、好ましくは消失させることであり、プレスベールの膨張限界以上にプレスベースを移動させることでも、本発明のプレスベールの膨張を抑制したベールを製造することはできる。プレスベースの移動距離の上限は単に梱包作業効率の点と本発明の効果が、ある程度大きな過剰圧縮距離(プレスベース移動距離に等しい)よりも大きくしたとしても、プレスベースの板反発圧力が消失している状態では意義がないからである。
また、第2の解決手段は前記の所望するベールの高さよりも50mmから250mm低い高さで圧縮した状態で5分から15分保持した後にプレスベースの間隔を所望する高さに調整し、少なくともこの状態までに梱包を仕上げた後に、プレスベースの圧力を開放する工程である。すなわち、前記の通りプレスベールの反発圧力は圧力を保持されている時間経過と伴に減衰する。しかしながら、時間経過による反発圧力の減衰効果のみを期待したとしても、図1に示すとおり100kPa余程度まで低下するには10時間以上要する。しかしながら、本発明において過剰圧縮状態で5分から15分程度放置することで、プレスベールの反発力は対数近似で減衰する。
前記の通り、10分間放置すると反発圧力は600kPa程度となる。この状態でプレスベースの間の距離を所望するベールの高さに調整する。すなわち、プレスベールの圧縮距離を緩和して50mmから250mm程度伸張させる。この構成を用いることで、プレスベールの反発圧力はより減衰して、プレスベースの移動距離が少ない場合でも、プレスベース圧力解放時(プレスベールに掛かるプレス圧力を無くす、すなわち、プレスベールはその内部圧力により自由に膨張できる状態になる。)にプレスベールの膨張を抑制することができる。
次に、プレスベースの上昇速度について説明する。プレスベースの上昇速度は任意に設定できかなり速い速度例えば70mm/sec程度の速度で上昇させることもできる。好ましくは1〜100mm/sec、より好ましくは5〜90mm/sec、更に好ましくは10〜50mm/sec、よりよく好ましくは10〜30mm/secの速度で上昇させることである。上昇速度が遅すぎる場合には、プレスベースの上昇に時間が掛かり過ぎ生産効率が低下するし、上昇速度が速すぎる場合にはプレスベースの上昇速度にプレスベールの体積膨張が追いつかず、プレスベールの制御されない膨張を招く。本発明のプレスベールをプレスベースの圧力保持下で制御された状態で体積膨張させることである。前記の通りプレスベースの移動距離は50mmから250mmである。このように移動距離は小さいのでプレスベースの移動速度も例えば20mm/sec程度に設定することができる。
更に、第3の解決手段としては、前記の所望するベールの高さよりも50mmから250mm低い高さで圧縮した状態で梱包を仕上げた後に、プレスベースの間隔を所望する高さに調整し、その後にプレスベースの圧力を開放する工程である。
すなわち、本発明においてはあらかじめボトム側フィルムをベール圧縮装置の圧縮缶の下部プレスベース(以下、下部ベースと記する場合もある。)に設置する。また、トップ側フィルムはボトム側フィルムと同様に圧縮缶の上部プレスベース(以下、上部ベースと記する場合もある。)に設置しておく。
次に、トウフィラメントを通常の圧縮缶に振り入れ、嵩高いトウフィラメントベールを形成する。そしてこのベールを圧縮缶の上部ベースと下部ベースで圧縮することで圧縮状態のベールとする。(プレスベールとする。)
常用技術であれば、圧縮状態とした高さは所望するベールの高さであるが、本発明では所望する梱包ベールの高さよりも50mmから250mm低い高さまで圧縮する。(過剰圧縮)前記の通り本発明での好ましい様態としては、この状態で5分から10分保持することである。そこでプレスベールの梱包において、この保持時間の間にプレスベールを梱包することで生産性を向上できる。(ベールの梱包時間を短縮することができる。)
本発明において過剰圧縮段階で梱包することは前記の生産性の向上のみならず、梱包の作業性を向上させる。すなわち、ベールの包装材料は所望するベールのサイズに合わせてその縦横の長さが定められている。したがって、前記特許文献3、5の方法でベールの圧縮状態でプレスベールを梱包する場合は包装材料に余裕がなく、例えば3ピース包装でサイド部フィルム(胴部のフィルム)をトップ側フィルムやボトム側フィルムと接合する場合に、胴部のフィルムが少しでも歪に接合した場合は包装材の長さが足りなくなり、梱包できないという問題が生じた。
これを回避するためには、予め余裕を持った大きさの包装材料で包装する。または余裕を持った大きさの包装材料を用いた上で、余剰部を切断する必要があった。前者の場合であれば、前記特許文献6の通り梱包後のフィルムが大きく余る為、余った部分をキレイに収納しなければいけないという問題が生じる。そして、前記の通り余剰部が擦れたりすることに起因する問題が生じる。
しかしながら、本発明においては、プレスベールの高さは所望する梱包ベールの高さよりも50mmから250mm余裕があるので、少なくとも胴部フィルムの上下方向に関しては弛ませた状態で作業が行えるので問題が少なくなる。
更に、第4の解決手段はベールを包装する包装材料を2ピース構成とすることである。すなわち、あらかじめボトム側フィルムを製袋しておき(袋状フィルムにしておき)、このボトム側の袋をベール圧縮装置の圧縮缶の下部ベースに袋口を開き、かつ折り畳んだ状態で設置する。また、トップ側フィルム(蓋材)は圧縮缶の上部ベースに設置しておく。
次に、前記の本発明の工程と同様に、圧縮缶の上部ベースと下部ベースで圧縮することで圧縮状態とする。(プレスベールとする。)但し、フィルタトウは、袋口から袋内部に袋底面に接触するようにして入れる。そして、この圧縮状態にあるフィルタトウに圧縮缶の下部ベースに畳まれた袋を引き上げて被せる事で、圧縮状態にあるフィルタトウ(プレスベール)をボトム側の袋に収納する。
そして、ボトム側の袋と上部ベースに設置したトップ側フィルムとを4辺シールすることで、簡便に余分な容量が少ない気密梱包を4辺のみのシールで達成する。この工程を用いた場合には、接合(例えばヒートシール)が必要なのはボトム側袋とトップ側フィルムのみの4辺のみになるのでベールの梱包作業が簡便になる。また、ボトム側袋とトップ側フィルム部分以外の接合部は予め接合しておくことができるので信頼性の高い接合部を形成することができる。
上記の様態においてはこの下部ベースに設置する袋(袋状フィルム)の製袋において、製袋品の上部開口部(袋口)の寸法を製袋品の底面部(底辺)の寸法よりも大きくすることで、下部ベースに畳まれた袋を引き上げて被せる作業が容易に行える。
ボトム側の袋の下部サイズはフィルムの弾性により若干伸びるので、ベール寸法よりも10mmから30mm(1%から3%程度)好ましくは10mmから20mm程度小さいサイズでも良い。
袋状フィルムは、袋口(開口部)と底面が同形状であるものが好ましく、袋口と底面がいずれも正方形であるとすると、上部サイズ(袋口の一辺の長さ)の下部サイズ(底面の一辺の長さ)に対する大きさは105%から120%であり、好ましくは107%から118%である。より好ましくは110%から115%である。
そして、この上部サイズが下部サイズよりも大きくなる大きさとしては、40mmから180mmの長さ、好ましくは60mmから160mmの長さ、特に好ましくは80mmから140mm長さを確保しておくのが好ましい。
本発明のベール重量としては400kg以上で1200kg以下であることが好ましい。特に好ましくは500kg以上で1000kg以下である。400kg未満であると、梱包重量が不足して積載効率が低下する。また1200Kgを超えると、梱包密度を700kg/m3程度にしようとすると圧縮ベールのサイズが大きくなり過ぎ積載効率に問題が生じる。そして1200Kgの重量のベールでベールのサイズを1.6m3程度に留めようとすると梱包密度が高くなり過ぎる。
本発明で好適なベール梱包密度としては、少なくとも300kg/m3以上の梱包密度である。より好ましくは、350kg/m3以上かつ1200kg/m3以下であり、更に好ましくは400kg/m3以上かつ1100kg/m3以下であり、よりよく好ましくは450kg/m3以上かつ1000kg/m3以下であり、もっとも好ましいのは500kg/m3以上かつ900kg/m3である。梱包密度が350kg/m3以上であるとベールの反発圧力が大きくなる。そして、ベールの反発圧力は450kg/m3を超えるとより大きくなるので本発明が好ましく適用できる。ベール梱包密度が高くなりすぎると、トウベールの品質を損なう恐れがある。
プレスベールの圧縮圧力(プレス圧力)は100t/m2以上、好ましくは200〜500t/m2、より好ましくは250〜500t/m2の圧力が加えられる。この高い圧縮圧力によりプレスベールは圧縮され、圧縮された状態のプレスベールとなる。圧縮圧力が小さい場合には所望する梱包密度を得ることができず、圧縮圧力が高い場合にはベールのトウの品質を損なう可能性がある。
本発明のベール仕上げ時の梱包密度は500kg/m3から1000kg/m3の範囲で設定することができる。
本発明においては前記先行文献3に記載されているようなプレスベールの膨張に伴う負圧を必須とするものではない。しかしながら、本発明の様態においては、プレスベールを包装材料で略包装後にシールを行っていない部分から梱包体内部の空気を脱気し、内部に負圧を発生させた上で、完全にシールしてからプレスベースのプレス圧力を解放してもよい。この場合には、プレスベースのプレス圧力を解放前からプレスベールの梱包体内部に負圧が存在している。その後、本発明の通りプレスベース圧力解放を行う。
プレスベース圧力解放により、前記の50mmから250mmの過剰圧縮の程度が少ない場合には、プレスベールは内部圧力により膨張をする。上記の場合、プレスベール内部に負圧が発生している場合にはプレスベールの膨張はより抑制され好ましい。しかしながら、前記の通りプレスベール内部の負圧は最大でも大気圧であり、大気圧によるプレスベールの膨張抑制作用は最大でも大気圧であり、1.013bar(101.3kPa)に過ぎず、プレスベールの膨張を抑制する主な作用は本発明では、プレスベールの過剰圧縮によりもたらされる。
また、プレスベールの梱包(包装)に伴い生じる包装材料の不可避的な余剰部分がベールに圧着され、余剰部が目立たなくなり、フィルムの余剰部分の収納具合がよくなる。そして、フィルムの余剰部分の収納具体によるベールの積載や運搬の障害がなくなる。更にフィルムの余剰部分が擦れたりする事によりピンホールが生じことようなことも無い。尚、前記の通り、本発明においてはベール内部に負圧が存在することは必要な要件ではないので、ベール梱包体を全て密封する必要はない。しかしながら、フィルタトウベールにおいては臭気の付着や虫のベール内部への侵入は品質上の大問題であるので、このためベールを密封で梱包することが好ましい。
またプレスベールに与える負圧としては少なくとも3kPa(0.03bar)以上が好ましく、好ましくは4kPa(0.04bar)以上かつ9kPa(0.09bar)以下、好ましくは5kPa(0.05bar)以上かつ8kPa(0.08bar)以下、より好ましくは、5kPa(0.05bar)以上かつ7kPa(0.07bar)以下である。4kPa以上ないとフィルムの余剰部をベールに密着させる力が不足する。また9kPa以上とするには、脱気に時間がかかる。
本発明のフィルタトウベールの梱包方法により梱包されたベールは、プレスベール解放時のプレスベールの反発圧力による膨張がないかまたは極めて少ない。このため、ベールの包装材に加わる応力が少ない。この結果、ベール梱包体の破れなどの問題が生じ難い。
そして、ベールの梱包時の作業性を良好でありながら、完成したベールは梱包体の余剰部分がなく、美麗なベールとすることができる。
実験1のベールの反発力の減衰を表したグラフ。 本発明で用いたベール梱包装置の断面図。 ボトム袋の図。 実験1及び実験2での30分間のベールの反発力の減衰を表したグラフ。
(梱包装置)
前記の通り本発明のフィルタトウベールを梱包する装置としては、フィルタトウベールの通常の梱包装置を用いることができる。このような包装方法と包装装置は、ベール圧縮装置(ベール梱包装置)としてWO02/32,238 A2に記載されている。このような装置は、充填容器内に集積されたフィルタトウを上下のプレスベース間で圧縮することにより、プレスベールを作り、梱包する。図2に梱包装置の一例の断面図を示す。
(フィルム)
本発明においては、ベールの包装材料としては、伸張性があり、残存するベールの反発力に耐える強度を有していれば、特に限定されない。好ましい、包装材としては、フィルムあるいはシートである。尚、一般的にフィルムとシートの用語は明確には区別されていないが、概ね300μm以下の合成樹脂で作られた板状態のものをフィルムと称し、300μmを超えるものシートと称する場合が多い。
本発明においてはフィルムもシートも用いることができるが後述の本発明で好適に用いられる厚みの関係でフィルムと称する。
フィルムとしては、合成樹脂製のフィルムが好ましい。所謂汎用プラスチックフィルムが好適に使用できる。一般的な包装材料としてのプラスチックフィルムには、延伸フィルムと無延伸フィルムが存在しているが、フィルムの接合部(シール部)をヒートシールで行った場合の収縮の問題がおき難いので、無延伸フィルムを好適に用いることができる。
また、プラスチックフィルムとしては、単層と多層のフィルムがあり、単層フィルムであっても使用することができるが、多層フィルムを好適に用いることができる。好適なシートの材質としては、多層フィルムからなり、少なくとも最外層はポリオレフィンが好ましく、特に好ましくはポリエチレン(PE)である。ポリエチレンでも低密度ポリエチレン(LD)が好ましく、特にはLLDPE(線状低密度ポリエチレン)が好ましい。これらのフィルムの総厚みは150μmから350μmであれば良く、好ましくは200μmから270μmである。
これらのフィルム層構成は4層以上の層構成でも、バリヤー層を有する層構成であってもよい。好ましくは2層または3層の層構成を持つ多層フィルムである。特に好ましい層構成としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を中心層としてLLDPE/EVA/LLDPE、PE/EVA/PEなどの層構成が好ましく、また、ポリアミド(PA)を中心層としてPE/PA/PEの層構成が好ましい。層構成は中心層を挟んで対称であることが好ましい。
LLDPE/EVA/LLDPEで構成する場合、各層厚みは、LLDPE/EVA/LLDPE=80〜100/30〜70/80〜100(μm)であれば良い。印刷はLLDPEのフィルムに印刷した上で印刷面を積層する面とすることで、印刷インキが直接トウベールに触れることを避けられる。
PE/EVA/PEの層構成フィルムの製造方法としては、80〜100μmのフィルム二枚の間にEVAを押出ラミネートすることで製造できる。
また、PE/PA/PEの層構成のフィルムであれば、PAのフィルムにPEフィルムをドライラミネートすることで製造することができる。PAのフィルムは延伸フィルムであっても良い。延伸したPAフィルムを用いた3層構成以上のフィルムを用いた場合には、フィルムの腰が適度に保てるので、製袋作業の時に好適である。
本発明には前記の通り所謂酸素ガスバリヤ性は必要ないが、前記のフィルタトウ材料に外部の臭気が付着するのを防ぐために、ナイロンやEVOHなどの樹脂を構成層に有する多層フィルムであってもよい。
(トップ側フィルム)
本発明においてトップ側の包装材は特に成型する必要はないが、フィルムが成形された物であってもよい。好適には、単なる一枚物のフィルムであれば良い。したがってその形状、大きさについては、ベール梱包機の上部圧縮ベースの圧縮面を覆うことができるのであれば何でも良い。しかしながら、梱包後のベールに余分な包装材が生じないようにする観点から、ボトム側袋の上部サイズにシール部の糊代を加えたサイズの四角形の形に裁断され用いられるのが好ましい。糊代部の寸法としては、20mmから100mm程度、好ましくは30mmから80mm程度である。
(トップ側フィルムのベール梱包機へのセット)
トップ側フィルムはベール梱包機の上部ベースの圧縮面に両面テープ、あるいは粘着テープ様のもので固定しておけば良い。また上部ベースの側面に一部分を折り込ませた上で、上部ベースの側面をゴムチューブなどの収縮バンドで締める事により固定しても良い。いずれにしても、ベール梱包機の上部ベースのフィルタトウと接触する圧縮面にトップ側フィルムが設置されていれば良い。
(ボトム側フィルム)
前記のトップ側フィルムと同様のものを用いることができる。またボトム側フィルムのベール梱包機へのセットも、トップ側フィルムと同様に行える。何れにしても、フィルタトウの集積物に接している面にボトムとトップフィルムが設置されていれば良い。
(サイド部フィルム)
プレスベールの胴部を包装するフィルムは、トップフィルムやボトムフィルムと同じ材質のフィルムが使うことができる。サイド部フィルムは、連続したフィルムでプレスベールの胴部をひと巻きできるものでもよく、側面部と正面及び背面の4枚のフィルムで構成されていてもよい。4枚のフィルムで構成されている場合には、これらの4枚のフィルムも後述のフィルム接合で接合される。
(ベール梱包方法)
図2に示す梱包装置を用いたフィルタトウベールの梱包方法を説明する。
<ステップ(a)>
前記の通り、ボトム側フィルム(又はボトム側袋)15は、ベール梱包機の下部ベース13にセットされる。また、ベール梱包機の上部ベース12の圧縮面にトップ側フィルム20がセットされる。これらの上部及び下部ベース12、13は、ベール梱包機の圧縮缶11内を移動して、上部ベース12と下部ベース13の間に圧縮されていないフィルタトウ10が入れられる。
<ステップ(b)>
次に、上部ベース12と下部ベース13が移動して、その間隔を狭くして、フィルタトウ10を圧縮する。
本発明では、上部ベース12と下部ベース13の間で100t/m2以上の圧力で圧縮が行われ、そのプレスベース12、13間の間隔は、所望する仕上がりのベールの高さよりも50mmから250mm小さい間隔に調整されることで、フィルタトウ10を過剰圧縮する。例えば所望するベール高さを1000mmとした場合は、ベース間の間隔を900mmとする。この状態でベール梱包機内のフィルタトウ10はプレスベールとなる。
本発明の好ましい様態では、この圧縮状態で5分から10分保持される。その間にプレスベールは、胴部フィルム、(またはボトム側袋を使用したときはボトム側袋)で包装される。その後、プレスベース12、13にかけられている圧力は解放される。(以下「プレスベールの解放」と称する場合もある。)
<ステップ(c)>
プレスベールをフィルムで包装した後、シールする。ステップ(c)のプレスベール(フィルタトウ10の圧縮物)の包装の接合(シール)は、特に限定されない。ヒートシールでもよいし、超音波シールであってもよい。すなわち、本発明の弱いプレスベールの反発圧力に耐えられる程度の接着強度があればよい。接着剤で張り合わせるのことであっても良い。好適には、ヒートシールが好ましい。ヒートシールとしては線シールであっても、スポットシールであっても良い。
またシール面は、シール幅方向(長手方向)への溝を形成したシール面であっても良いし、所謂碁盤目シール面であっても良い。シール幅については3〜15mmの範囲で適宜設定することができるが、好適には5mm〜10mmのシール幅が好ましい。シール幅が広い時には、開梱時にシール部を手で剥離し難くなるため開梱性が悪くなる。このため、好適には狭い幅のシールを全周に渡り施すことで、外部臭気の付着を絶つことができる。逆にシール部の幅が狭すぎた場合には、シール部の不良が発生する可能性がある。
<ステップ(d)>
上部ベース12と下部ベース13により圧縮したまま、上部ベース12と下部ベース13の間隔を50mmから250mmの範囲で大きくして、プレスベール(フィルタトウ10の圧縮物)を膨張させる。
プレスベース12、13の移動距離(前記の上部ベース12と下部ベース13の間隔)、すなわち過剰圧縮距離は、前記の通り50mmから250mm、より好ましくは80mmから200mm、更に好ましくは90mmから180mm、よりよく好ましくは90mmから150mmである
<ステップ(e)>
シール後にプレスベール(フィルタトウ10の圧縮物)の圧縮圧力を解放する。このようなステップ(a)〜(e)までを有する梱包方法を適用することにより、プレスベール解放時のプレスベールの反発圧力による膨張がないかまたは膨張を抑制することができる。
(2ピース包装)
本発明においては、プレスベールを包装する包装材料はトップ側フィルムとボトム側袋の2つの部分から構成してもよい。このような形態の包装は、以下「2ピース包装」と称す。2ピース包装において下部ベースに設置するボトム側袋は、袋の形状に予め成型されているもの(図2の袋状フィルム15)であってもよい。そして、その成型されたボトム側袋が、袋口を開きかつ畳んだ状態で、ベール梱包装置の下部ベース(場合により上部ベースであっても構わない)に設置される。この袋状フィルム15を用いた場合には、ステップ(a)において、袋状フィルム15は、底面16側ベール梱包機の下部ベース13上にあり、折り畳まれた側面17と袋口18が下部ベース13の裏側(フィルタトウ10と反対側)になるようにして、下部ベース13に被せられている。このとき、油圧ロッド14は、袋15の裏面側で包囲された状態になっている。そして、フィルタトウ10は、底面16に接触するように置く。
プレスベールを作製した段階(ステップ(b))において、下部ベース13(または上部ベース12)から引出したボトム側袋を引き上げて(または引き下げて)圧縮ベールに被せることができる。この圧縮したトウベールにボトム側袋を被せるために、ボトム側袋は変形した直方体となっていてもよい。
すなわち、トップ側フィルムが被せられる面を上面として、上面の方が開いている変形の直方体となっていてもよい。すなわち、ボトム側袋を立体に立ち上げた状態での側面投影図は、上面に向かって広がっている形状をなしている。このような形状を用いると、ボトム側袋をプレスベールに被せる作業が容易に行える。
この形状をなすために、ボトム側袋のサイズは重要である。すなわち、ボトム側袋の上部サイズは、下部サイズよりも大きくしておく必要がある。このように、上部サイズを下部サイズよりも大きくすることで、上記のように下部ベースより繰り出した袋を圧縮された状態のベールに容易に被せることができる。上部サイズの下部サイズに対する大きさは105%から120%であり、好ましくは107%から118%である。より好ましくは110%から115%である。
そして、この下部サイズよりも大きい上部サイズの大きさとしては、40mmから180mmの長さ、好ましくは60mmから160mmの長さ、特に好ましくは80mmから140mm長さを確保しておくのが好ましい。すなわち、この下部サイズよりも大きくなっている上部サイズは、圧縮されたベールに包装材を被せ、四辺をヒートシールして密封し、ベールの圧縮力を開放した場合に、余剰部となる。同時にこの余剰部は、ベールを開梱する場合のカット代となるからである。
したがって、上部サイズの大きさが40mm以上である場合には、充分なカット代を確保することができ、梱包性も開梱性も良くなるが。即ち、フィルムをカットする場合にベールの内容物に接触する可能性が生じる。ベールの内容物は連続した糸状体のトウであるので、開封時カッターが接触した場合には、連続した糸状体が破断する可能性があり、フィルターロッドの巻き上げ工程でのトラブルとなる可能性がある。一方、180mm以下である場合には、包装材に梱包されたあとでの余剰部分も少なくなるので好ましい。
前記ボトム側袋は、2枚のフィルムをシールすることで容易に製造することができる。すなわち、包装材料となる2枚のフィルムを重ね合わせた上で、上部サイズの幅と長さを足し合せた寸法と下部サイズの幅と長さを足し合せた寸法に3辺をカットしてシールする。その後、シールされていない一辺の口を開き、所定の高さになるように折り込む。袋は、直方体(正確には上部サイズと下部サイズが異なる変形の6面体)に立ち上げる。立ち上げることにより、底辺の側面部には折込部分(船底部分)が生じる。この折り込みで生じた船底部分を側面の底辺を形成する様に更にシールすることで、折り込んだ部分は直方体の角底を形成する。
この製袋品の場合は、側面と底面の中央部(中心線)にシール部が生じ更に、側面と底面の接合部にもシール部が生じる変形三方シール袋となる。折り畳んだ状態では、側面にガゼットを生じた袋となる。三方シールした製袋品の一例を図3に示す。
ボトム側袋においては、前面と側面及び後面と側面とのなす頂点の角上部を20mmから40mm程度の大きさの三角形に切り欠いておくことが有効である。こうする事でボトム側袋を圧縮されたベールに被せ、トップ側シートとシールする場合において、ボトム側袋とトップ側シートのシールが容易になる。切り欠きについては、図3に示す円内に図示する。切り欠きを形成していない場合には、ボトム側袋の上部開口部をトップ側シートとシールする際に、ボトム側袋の方に皺がより易く、シールリークの原因となる場合もある。
以下図面を参照しながら、好ましい実施様態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
図2により説明する。括弧内に図2の番号を付している。
<ステップ(a)>
ベールを梱包する包装材料として市販の#100(厚み100μm)のLDPEフィルムを用いてEVAで押出ラミネートして貼り合わせて得られたLDPE/EVA/LDPEの多層フィルム(厚み250μm)を用いた。
次に、WO02/32,238 A2に記載されているような充填容器(充填缶)(11)に、製造されたフィルタトウ(10)を連続した糸状体として振り入れた。充填容器(11)のサイズは幅1130mmであり、奥行きは990mmであった。充填容器(11)内のフィルタトウ(10)は極めて嵩高いものであり、高さは4000mmであった。前記のボトム側袋(袋状フィルム)(15)を、底面(16)がベール梱包機の下部ベース(13)上にあり、折り畳まれた側面(17)と袋口(18)が下部ベース(13)の裏側に位置し、油圧ロッド(14)を包囲するようにしてセットした。さらにトップ側フィルムを上部ベース(12)にセットした。
<ステップ(b)>
本実施例では所望するベール高さを1000mとした。そして過剰圧縮は100mmとした。そこで、この充填容器(11)に入れられたフィルタトウ(10)を上下のベース(12)、(13)により、圧力283トン/ベール断面積(すなわち2940kPa)で、上下のベース(12)、(13)間距離900mmとなるように加圧し、圧縮した。この状態でプレス圧を10分間保持した。
プレスベール(フィルタトウ(10)の圧縮物)が上下のベース(12)、(13)に挟まれた状態で、上下のベース(12)、(13)の間隔をプレスベールの高さである900mmに保ったまま、圧縮容器を取り除いた。プレスベールは、上下のベース(12)、(13)に挟まれ、プレスベールの側面が露出された状態になった。その後、下部ベース(13)にセットされていた袋(15)の側面(17)を引き上げて、プレスベールを覆った。
<ステップ(c)>
次に、幅980mmのフィルムを用いて、プレスベールの胴部をひと巻きした。サイド部フィルム(胴部のフィルム)とトップフィルム及び袋(15)を、夫々幅10mmのヒートシール装置で全周に渡りヒートシールした。最後に、胴部の端部を幅10mmのヒートシール装置で全幅ヒートシールした。
<ステップ(d)>
その後、上部のプレスベース(12)を移動速度20mm/secで100mm移動して、プレスベールの高さを1000mmとした。プレスベールは、上部プレスベース(12)の移動速度に追従して膨張した。
<ステップ(e)>
この状態から上部プレスベース(12)を移動速度70mm/secで300mm移動させ、上下のベース(12)、(13)の圧力を完全に解放したが、プレスベールはもはや膨張することなく、平滑な上面を持つフィルタトウベールを製造することができた。このようなベール(梱包体)を100体作製し、その破裂などの状況を調査した。破裂状況は、ベール梱包後72時間後においてベールの高さ変化の有無で判定し、ベールの高さが変わっているベールについては破裂したベールと判定した。結果を表1に記載する。
(実施例2)
前記実施例1と同様の包装材料、同様の幅、長さ、高さを有するフィルタトウベールを製造した。過剰圧縮距離も実施例1と同様に100mmとした。但し、過剰圧縮状態での保持時間を0として、高さ1000mmで10分保持した。この実施様態では、プレスベースの解放後、約1秒間にプレスベールは僅かに膨張し、その後に静止した。膨張したベールの高さは1005mmとなった。前記実施例1と同様に、この方法でベールを100体作製しその破裂などの状況を調査した。結果を表1に記載する。
(実施例3)
前記実施例1と同様の包装材料、寸法のフィルタトウベールを製造した。但し、過剰圧縮距離を50mmとした。したがって、プレスベース間の距離は950mmであった。過剰圧縮時間は15分とした。
この実施様態では、補助的な手段として、サイド部フィルム(胴部のフィルム)とトップフィルム及び袋を夫々幅10mmのヒートシール装置で接合した後、胴部の端部を幅10mmのヒートシール装置で中央部に70mmヒートシールしない部分を残し、全幅ヒートシールした。70mmのヒートシールしていない部分からホースを入れて、プレスベール内の空気を脱気した。プレスベール内には、気圧計(メーカ:株式会社三王(Sunoh)、型番:SAL7030)を入れた。包装フィルムは透明であるので、包装フィルム越しに気圧計の数値を確認した。脱気を終了後、70mmのヒートシールしていない部分について改めて、ヒートシールしてプレスベールを密封した。
密封時のプレスベール内気圧は983hPa(0.983bar)、したがって負圧は0.03barであった。過剰圧縮工程を終了後、実施例1と同様に上部のプレスベースを移動速度20mm/secで50mm移動して、プレスベールの高さを1000mmとした。
その後、実施例1と同様に上部プレスベースを移動速度70mm/secで300mm移動させ、プレスベース圧力を解放した。この実施様態では、プレスベースの解放時、1秒程度でプレスベールは膨張し、その後静止した。膨張したベールの高さは1020mmとなり、ベール内気圧は963hPa(0.963bar)であり、負圧は0.05barとなったが、ベールの膨張量が少ないので、ベールは破裂せず、ベールの上部は平滑であった。また、包装材はベールに密着した状態であり、美麗なトウベールを形成することができた。前記実施例1と同様に、この方法でベールを100体作製し、その破裂などの状況を調査した。結果を表1に記載する。
(実施例4)
前記実施例3と同様に、プレスベール内を脱気した。すなわち実施例1と同様の包装材料、寸法のフィルタトウベールを製造した。過剰圧縮距離を100mm、過剰圧縮時間は15分とした。プレスベール密封時のプレスベール内気圧は983hPa(0.983bar)で、負圧は0.03barであった。過剰圧縮工程を終了後、実施例1と同様に上部のプレスベースを移動速度20mm/secで100mm移動して、プレスベールの高さを1000mmとした。
その後、実施例1と同様に上部プレスベースを移動速度70mm/secで300mm移動させプレスベース圧力を解放した。この実施様態では、ベールは実施例1と同様に膨張することはなく、また、包装材はベールに密着した状態であり、美麗なトウベールを形成することができた。プレスベール解放後のベール内気圧は983hPa(0.983bar)で、負圧は0.03barであった。前記実施例1と同様に、この方法でベールを100体作製し、その破裂などの状況を調査した。結果を表1に記載する。
(比較例1)
本発明の過剰圧縮を用いることなく、前記特許文献3に記載されている密封梱包を行った。すなわち前記実施例1と同様のフィルタトウを用いて、同様の包装材料、同様の幅、長さ、高さを有するフィルタトウベールを製造した。但し、本比較例では、過剰圧縮は行わなかった。
すなわち、所望するベール高さを1000mとした。充填容器に入れられたフィルタトウを上下のベースにより圧力283トン/ベール断面積(すなわち、2940kPa)、ベース間距離1000mmとなるように加圧し、圧縮した。この状態でプレス圧を10分間保持した。
プレスベースが上下のベースに挟まれた状態で、上下のベースの間隔をプレスベールの高さである1000mmに保ったまま圧縮容器の下部からプレスベールを排出させた。プレスベースは上下のベースに挟まれプレスベールの側面が露出された状態になった。
その後、上部及び下部ベースにセットされていたトップフィルムとボトムフィルムを引出した。次に、幅980mmのフィルムを用いて、プレスベールの胴部をひと巻きした。サイド部フィルム(胴部のフィルム)とトップフィルム及びボトムフィルムを夫々幅10mmのヒートシール装置で全周に渡りヒートシールした。最後に、胴部の端部を幅10mmのヒートシール装置で全幅ヒートシールした。
その後、上部プレスベースを移動速度70mm/secで300mm移動させプレスベース圧力を解放した。プレスベールは圧力解放後、1.4秒間に100mm膨張して、その後、ベールの膨張は停止した。ベールの高さは1100mmとなったが、このベールは最終的には破裂したベールとなった。
このようなベール(梱包体)を100体作成し、上記と同様に破裂状況を調査した。結果を表1に記載する。
(比較例2)
前記実施例4と同様に、プレスベール内を脱気した。すなわち実施例1と同様の包装材料、寸法のフィルタトウベールを製造した。比較例1と同様に過剰圧縮は行わなかったので、プレスベース間の距離を1000mmとした。そして、実施例3と同様に、サイド部フィルム(胴部のフィルム)とトップフィルム及びボトムフィルムを夫々幅10mmのヒートシール装置で接合した後、胴部の端部を幅10mmのヒートシール装置で中央部に70mmヒートシールしない部分を残し全幅ヒートシールした。70mmのヒートシールしていない部分からホースを入れて、プレスベール内の空気を脱気した。脱気を終了後、70mmのヒートシールしていない部分について改めて、ヒートシールしてプレスベールを密封した。
プレスベール内の負圧は前記実施例3及び4と同様に密封時のプレスベール内気圧は983hPa(0.983bar)であり負圧は0.03barであった。この状態から上部プレスベースを移動速度70mm/secで300mm移動させプレスベース圧力を解放した。この実施様態ではプレスベースの解放時、1.4秒程度の間にプレスベールは膨張し、その後静止した。膨張したベールの高さは1100mmとなり、プレスベール内気圧は883hPa(0.883bar)であり、最大で負圧は0.10barとなったが、ベールが破裂しているため、負圧は時間の経過と伴に減衰して行き、最終的にベール内部の気圧は大気圧となった。比較例1と同様に、このようなベールを100体作製し、上記と同様に破裂状況を調査した。
Figure 2010254376
表1より明らかな通り、本発明の過剰圧縮を行ったベールは破裂が少ない。すなわち、ベール梱包後のベールの高さ変化が少ない。比較例2のように脱気を行ったプレスベールでは、比較例1に対して破裂する確立が少ないものの尚、十分ではない。フィルタトウベールは、前記の通り、海外に輸出される比率が高い製品であり、このような輸出の場合は国際標準の輸送コンテナが仕様される。コンテナ内でベール高さが変動するベールが一体でもあった場合には、コンテナ内からベールを搬出することが困難となり、積み下ろし作業の効率が低下する。これに対して本発明の過剰圧縮を行ったベールを用いることで、ベールの破裂が抑制され、ベール高さが変化することが無い。そのため、安定した輸送を行うことができる。
実施例比較例のベールの破裂率
(プレスベールの反発圧力の測定)
以下の実施例では、本発明の効果を検証するためにプレスベールの反発圧力を測定した。測定方法は以下の通りで行った。
[実験1]
3デニールのフィラメント1万本からなるトウベール(重量500kg)をたて1M×よこ0.75M、高さ0.98Mの大きさに303トンの圧縮力で圧縮しプレスベールを作成した。圧縮後の上部ベースの動きを超音波センターを用いてベース間距離を980mに維持するように、プレス圧を減圧した、プレス天板はプレス圧の減少に伴い、上方にトウベールの反発力で動こうとするが、動き始めた場合には超音波センターの信号に従い、プレス圧力を高くするようにデジタル信号制御を行い、逆にプレス圧力が高すぎてベール間距離が980mmよりも小さくなる場合には、プレス圧力を減圧した。これらの制御は一般的な工業で用いられるPID制御によりほぼ静止状態を保つようにした。
前記の通り、ベールの膨張力に見合うプレス圧力のみを加え、上部プレスベースがほとんど動かないようにした状態で、プレスベールの高さを一定にたもつために必要な圧力の経過時間変化を観察した。データーのサンプリング時間は10秒間隔である。11時間の減衰挙動を図1に示す。また30分間の減衰挙動を図4に示す。
[実験2]
次に、本発明の過剰圧縮の効果を検証するために、過剰圧縮の場合の反発力を測定した。すなわち、上記の実験1と同様のプレスベールを作成したのち、ベース間距離980mmで10分保持後、上部プレスベースを移動速度20mm/secで100mm移動してプレスベールの高さを1080mmとした。すなわち、100mm、10分の過剰圧縮を行ったと看做せる。上部プレスベース静止後に、更に実験1と同様にしてプレスベールの反発圧力を測定した。尚、上部プレスベースの移動時間(5秒)のデーターはサンプリングできない。(上部プレスベース移動に油圧を用いるため)結果を図1に示す破線で示す。
図4から明らかな通り、本発明の過剰圧縮を行った場合はプレスベールの反発圧力は激減させることができる。これによりプレスベールの包装材料に加わる応力を当然緩和することができる。そして、プレスベールの膨張が無いか極めて少ないため、ベールの梱包の破裂を避けることができる。
10 フィルタトウ
11 充填容器(圧縮缶)
12 上部プレスベース
13 下部プレスベース
14 油圧ロッド

Claims (6)

  1. 上部プレスベースと下部プレスベースを有する圧縮装置を用いてフィルタトウを圧縮梱包するフィルタトウベールの製造方法であって、
    (a)上部プレスベースの圧縮面にトップ側フィルムを配置し、下部プレスベースの圧縮面にボトム側フィルムを配置して、上部プレスベースと下部プレスベースの圧縮面間にフィルタトウを入れるステップと;
    (b)前記上部プレスベースと前記下部プレスベースにより、100t/m2以上の圧力でフィルタトウを圧縮し、プレスベールとなすステップと;
    (c)プレスベールをフィルムで包装した後、気密状態にシールするステップと;
    (d)ステップ(b)、(c)における前記上部プレスベースと前記下部プレスベースの間隔を50mmから250mmの範囲で大きくして、プレスベールを膨張させるステップと;
    (e)シール後にプレスベールの圧縮圧力を解放するステップを備えたフィルタトウベールを圧縮梱包するフィルタトウベールの梱包方法。
  2. ステップ(b)が、前記上部プレスベースと前記下部プレスベースの間隔を、所望する仕上がりのベールの高さよりも50mmから250mm小さい間隔にしてフィルタトウを圧縮するステップである請求項1に記載のフィルタトウベールの梱包方法。
  3. ステップ(b)が、100t/m2以上の圧力を加えた状態で5分から15分保持するステップである請求項1又は2に記載のフィルタトウベールの梱包方法。
  4. ステップ(c)が、ステップ(b)において100t/m2以上の圧力を加えた状態で5分から15分保持した状態にて、プレスベールをフィルムで気密状態にシールするステップである請求項1又は2に記載のフィルタトウベールの梱包方法。
  5. ステップ(a)が、上部プレスベースの圧縮面にトップ側フィルムを配置し、下部プレスベースの圧縮面に、袋口を開き、かつ畳まれた状態で袋状フィルムを配置した後、上部プレスベースと下部プレスベースの圧縮面間であり、かつ前記袋状フィルム内にフィルタトウを入れる工程である、請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルタトウベールの梱包方法。
  6. ステップ(a)において、上部プレスベースの圧縮面にトップ側フィルムを配置し、下部プレスベースの圧縮面に、袋口を開き、かつ畳まれた状態で袋状フィルムを配置した後、上部プレスベースと下部プレスベースの圧縮面間であり、かつ前記袋状フィルム内にフィルタトウを入れる工程であり、
    前記袋状フィルムが、袋口(開口部)が底面よりも大きいものであり、袋口と底面がいずれも正方形であるとすると、袋口の一辺の長さが、底面の一辺の長さに対して105%から120%大きいものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルタトウベールの梱包方法。
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