JP2010251181A - 光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光電変換素子及び太陽電池に関する。
近年、無限で有害物質を発生しない太陽光の利用が精力的に検討されている。このクリーンエネルギー源である太陽光利用として現在実用化されているものは、住宅用の単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン及びテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。
しかしながら、これらの無機系太陽電池の欠点としては、例えば、シリコン系では、非常に純度の高いものが要求され、当然精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
その一方で、有機材料を使う太陽電池も多く提案されている。有機太陽電池としては、p型有機半導体と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型光電変換素子、p型有機半導体とn型無機半導体、あるいはp型有機半導体と電子受容性有機化合物を接合させるヘテロ接合型光電変換素子等があり、利用される有機半導体は、クロロフィル、ペリレン等の合成色素や顔料、ポリアセチレン等の導電性高分子材料、またはそれらの複合材料等である。これらを真空蒸着法、キャスト法、またはディッピング法等により、薄膜化し電池材料が構成されている。有機材料は低コスト、大面積化が容易等の長所もあるが、変換効率は1%以下と低いものが多く、また耐久性も悪いという問題もあった。
こうした状況の中で、良好な特性を示す太陽電池がスイスのグレッツェル博士らによって報告された(非特許文献1参照)。提案された電池は色素増感型太陽電池であり、ルテニウム錯体で分光増感された酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の利点は酸化チタン等の安価な金属化合物半導体を高純度まで精製する必要がないこと、従って安価で、更に利用できる光は広い可視光領域にまでわたっており、可視光成分の多い太陽光を有効に電気へ変換できることである。
反面、資源的制約があるルテニウム錯体が使われているため、この太陽電池が実用化された場合に、ルテニウム錯体の供給が危ぶまれている。また、このルテニウム錯体は高価で有ることと、経時での安定性に問題があり、安価で安定な有機色素へ変更することが出来れば、この問題は解決出来る。
電子供与能を有するπ電子共役系および電子吸引性を有する酸性吸着基を併せ持つ色素分子が光電変換効率の高い素子を与えることが知られている。電子供与性のπ電子系としてはトリアリールアミン誘導体が広く用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、これらの色素は酸化チタンへの吸着が劣っていたり、高い増感効果を得るには至っておらず、耐久性にも問題があることが解った。
Nature,353,737(1991),B.O’ReganとM.Gratzel
本発明の目的は、増感色素型の光電変換素子に用いられる、新規で、変換効率が高く、高耐久性の増感色素を提供し、高効率の光電変換素子及びそれを用いた太陽電池を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.対向電極間に、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
(式中、R1〜R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、又は複素環基を表す。Q1〜Q3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、複素環基を表す。Q1〜Q3のうち少なくとも一つは酸性基を有する有機基である。T1は、チオフェン構造を有する複素環基を有する基を表す。R1〜R13、T1及びQ1〜Q3は、互いに直接或いは他の結合原子を介して環状構造を成しても良い。炭素−炭素二重結合はシス体、トランス体の何れであってもよい。)
2.前記一般式(1)におけるT1及びR7が下記一般式(2)で表される基であることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
2.前記一般式(1)におけるT1及びR7が下記一般式(2)で表される基であることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
(式中、R14〜R16はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アリール基、又は複素環基を表し、互いに直接或いは他の結合原子を介して環状構造を成しても良い。R17及びR18はそれぞれ独立に水素原子、置換されてもよいアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。nは0〜2の正の整数を表す。)
3.前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
3.前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記1に記載の光電変換素子。
(式中、R1〜R13及びT1は、前記一般式(1)におけるR1〜R13及びT1と同義の基を表す。R31及びR32はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、置換されてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基、アリール基、又は複素環基を表す。R1〜R13、T1及びR31、R32は、互いに直接或いは他の結合原子を介して環状構造を成しても良い。)
4.前記一般式(1)又は(3)で表される化合物が、カルボキシル基を有することを特徴とする前記1又は3に記載の光電変換素子。
4.前記一般式(1)又は(3)で表される化合物が、カルボキシル基を有することを特徴とする前記1又は3に記載の光電変換素子。
5.対向電極間に、少なくとも半導体層及び電荷輸送層が設けられている光電変換素子において、該半導体層が前記一般式(1)又は(3)で表される化合物を含有することを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の光電変換素子。
6.前記半導体層を形成する半導体が酸化チタンであることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の光電変換素子。
7.前記1〜6の何れか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
本発明の一般式(1)で表される化合物を用いることにより、変換効率が高く、耐久性に優れた光電変換素子及び太陽電池を得ることができた。
本発明を更に詳しく説明する。
本発明者は、発電時において増感色素は光酸化反応を繰り返すことにより電流を発生させており、耐久性向上には光安定性に優れ、酸化に対して強い色素が適していると判断した。そこで、本発明者らは、光電変換効率が高い一般式(1)で表されるトリフェニルアミンを増感色素の母核とし、光励起された電子が酸化チタン電極へ効率的に移動できるようにするため、酸性基を付加し酸化チタンと結合生成可能な構造とした。
また、増感色素はその凝集体形成により、励起状態が安定化し、光安定性が向上すると考えられる。
そこで本発明者らは、電子雲の広がりが大きく、分極率が大きい硫黄原子を含有する複素環基の導入により、分子間相互作用を強めることが可能になると考えた。
さらには、酸化チタンへの吸着部分から空間的に離れた位置でドナーユニットに連結した複素環構造を有することで、電荷発生に重要なドナー性を高め、また、複素環構造と電荷輸送層との相互作用を強めて、色素が電荷発生してカチオン状態になった時に電荷輸送層からの電子授受を速やかに行われると考えられる。また、酸化チタン表面と電荷輸送層とを空間的に分離することができ、逆電子移動が抑止され、電荷分離状態が改善するため光電変換効率の向上が期待される。
これにより、色素増感型の光電変換素子として、光電変換効率が高く、高耐久性の新規な増感色素を見出し、本発明を完成させた。
一般式(1)において、R1〜R13は、上述した各置換基を挙げることができるが、更に、R1〜R13で表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等、アルケニル基としては、エテニル基、プロぺニル基等、アルキニル基としては、エチニリル基、プロピニリル基等、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等、チオアルキル基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、tert−ブチルチオ基等、アミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチル−エチルアミノ基等、アリール基としては、フェニル基等、複素環基の母核としては、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、チアゾロン、チアゾロンジオン、ローダミン等を挙げることができる。ハロゲン原子以外の各置換基は更に置換されても良い。R1〜R6及びR8〜R13において、好ましくは、水素原子、アルキル基であり、R7において、好ましくは水素原子、アルキル基、又はT1である。
Q1〜Q3で表される置換基は、上述したR1〜R13で挙げた基を挙げることができる。Q1は、水素原子が好ましく、Q2、またはQ3は、水素原子、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、複素環基又は、複素環基を有するアルキル基又はアルケニル基が好ましい。Q2またはQ3は酸性基を有する基が好ましいが、酸性基としてはカルボキシル基が好ましい。また、Q2とQ3は結合して環を形成したものも好ましい。Q2、Q3で表される好ましい複素環基の母核としては、チオフェン、チアゾール、チアゾロン、チアゾロンジオン、オキサゾロン、ローダニン、ピラゾロン、チオヒダントイン、イミダゾロンを挙げることができる。
前記一般式(1)におけるT1及びR7は下記一般式(2)で表される基が好ましい。一般式(2)において、R14〜R18は上述した基を表すが、好ましくは水素原子、置換されてもよいアルキル基、複素環基、又は互いに直接或いは他の結合原子を介して環状構造をなすものを挙げることができる。
一般式(1)において、特に好ましくは一般式(3)で表される基である。一般式(3)において、R31、R32は、水素原子、アルキル基、アリール基、芳香族複素環基が好ましく、特に好ましくはカルボキシル基を有するアルキル基である。
以下、本発明の一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
合成例
合成例1(例示化合物A−1の合成)
合成例1(例示化合物A−1の合成)
化合物(1)0.8g(1.85×10−3モル)、ベンゾ[b]チオフェン−2−イルボロン酸0.81g(4.55×10−3モルモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.415g(3.59×10−4モル)、炭酸水素ナトリウム0.8g(9.52×10−3モルモル)を1,2−ジメトキシエタン5ml、トルエン5mlに溶解し、10時間加熱還流した。放冷後、水を加えて反応を終了した。有機相を分取し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、減圧濃縮し、得られた残査をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(2)0.5gを得た。
化合物(2)150mg(2.79×10−4モル)、ローダニン−3−酢酸54mg(2.82×10−4モル)、酢酸アンモニウム215mg(2.79×10−3モル)を酢酸8mlに溶解し、90℃で3時間加熱撹拌した。放冷後、水を加えて、沈殿物を濾取し、得られた残査を、カラムクロマトグラフィーにより精製して、例示化合物A−1を120mgを得た。得られた例示化合物A−1の1HNMRのデータを以下に示す。
1HNMR(400MHz,CDCl3+(CD3)2SO):δ7.83(2H,d,ar−H),7.78(2H,d,ar−H),7.70(4H,d,ar−H),7.53(2H,s,ar−H),7.42−7.30(6H,m,ar−H),7.24(4H,d,ar−H),7.19(2H,d,ar−H),4.84(2H,s,NCH2)。
《半導体》
本発明に係る半導体層に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する酸化物が挙げられるが、さらに上記金属の硫化物、セレン化物、窒化物等を含有することができる。
本発明に係る半導体層に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する酸化物が挙げられるが、さらに上記金属の硫化物、セレン化物、窒化物等を含有することができる。
好ましい金属の酸化物として、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物が挙げられ、これら酸化物に含有させることのできる化合物として、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
具体例としては、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti3N4等が挙げられるが、好ましく用いられるのはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbSであり、更に好ましく用いられるのはTiO2またはNb2O5であるが、中でも好ましく用いられるのはTiO2である。
本発明に係る半導体層に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
本発明に係る酸化物半導体電極に、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti3N4)を混合し本発明に係る酸化物半導体電極に用いられる酸化物半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の半導体としては、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
具体例としては、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti3N4等が挙げられるが、好ましく用いられるのはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbSであり、更に好ましく用いられるのはTiO2またはNb2O5であるが、中でも好ましく用いられるのはTiO2である。
本発明に係る半導体層に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti3N4)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
《増感処理》
本発明に係る半導体は、前記一般式(1)で表される化合物(一般式(1)で表される色素ともいう)を含むことにより増感し、本発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、該色素を含むとは半導体表面への吸着、半導体が多孔質などのポーラスな構造を有する場合には、半導体の多孔質構造に前記色素が入りこむ等の種々の態様が挙げられる。
本発明に係る半導体は、前記一般式(1)で表される化合物(一般式(1)で表される色素ともいう)を含むことにより増感し、本発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、該色素を含むとは半導体表面への吸着、半導体が多孔質などのポーラスな構造を有する場合には、半導体の多孔質構造に前記色素が入りこむ等の種々の態様が挙げられる。
また、半導体層(半導体でもよい)1m2あたりの前記一般式(1)で表される、各々の色素の総含有量は0.01〜100ミリモルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜50ミリモルであり、特に好ましくは0.5〜20ミリモルである。
本発明に係る前記一般式(1)で表される色素を用いて増感処理を行う場合、前記色素を単独で用いてもよいし、複数を併用することも、本発明に係る前記一般式(1)で表される色素と他の色素(例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の色素)とを混合して用いることもできる。
特に、本発明の光電変換素子の用途が後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
半導体に一般式(1)で表される色素を含ませるには、前記色素を適切な溶媒(エタノールなど)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
前記一般式(1)で表される色素を複数種類併用したり、その他の増感色素を併用して増感処理する際には、各々の色素の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの色素について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各色素について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記色素や増感色素等を含ませる順序がどのようであっても、本発明に記載の効果を得ることができる。また、前記色素を単独で吸着させた半導体微粒子を混合する等することにより作製してもよい。
吸着処理は半導体が粒子状の時に行ってもよいし、支持体上に膜を形成した後に行ってもよい。吸着処理に用いる色素を溶解した溶液はそれを常温で用いてもよいし、該色素が分解せず溶液が沸騰しない温度範囲で加熱して用いてもよい。また、後述する光電変換素子の製造のように、半導体微粒子の塗布後に前記色素の吸着を実施してもよい。また、半導体微粒子と本発明に係る前記色素とを同時に塗布することにより、前記色素の吸着を実施してもよい。また、未吸着の色素は洗浄によって除去することができる。
また、本発明に係る半導体の増感処理については、半導体を前記一般式(1)で表される色素を含むことにより増感処理が行われるが、増感処理の詳細については、後述する光電変換素子のところで具体的に説明する。
また、空隙率の高い半導体薄膜を有する半導体の場合には、空隙に水分、水蒸気などにより水が半導体薄膜上、並びに半導体薄膜内部の空隙に吸着する前に、前記色素や増感色素等の吸着処理(半導体の増感処理)を完了することが好ましい。
本発明に係る半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でもピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。
上記の有機塩基が液体の場合は、そのまま固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明に係る半導体を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施できる。
また、前記一般式(1)で表される色素と併用して用いることのできる色素としては、本発明に係る半導体を分光増感しうるものならばいずれの色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、且つ変換効率を上げるため2種類以上の色素を混合することが好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように混合する色素とその割合を選ぶことができる。
併用して用いる色素の中では、光電子移動反応活性、光耐久性、光化学的安定性等の総合的な観点から、金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリメチン系色素が好ましく用いられる。
〔光電変換素子〕
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上の半導体に色素を吸着させてなる半導体層と対向電極とを電荷輸送層を介して対向配置してなる。以下、半導体層、電荷輸送層、対向電極について説明する。
本発明の光電変換素子は、導電性支持体上の半導体に色素を吸着させてなる半導体層と対向電極とを電荷輸送層を介して対向配置してなる。以下、半導体層、電荷輸送層、対向電極について説明する。
《半導体層》
本発明に係る半導体層の作製方法について説明する。
本発明に係る半導体層の作製方法について説明する。
本発明に係る半導体層の一態様としては、導電性支持体上に上記の半導体を焼成により形成する等の方法が挙げられる。
本発明に係る半導体が焼成により作製される場合には、上記の色素や増感色素を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質への入り込み等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く色素の吸着処理を実施することが特に好ましい。
本発明に係る半導体が粒子状の場合には、半導体を導電性支持体に塗布あるいは吹きつけて、半導体層を作製するのがよい。また、本発明に係る半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、半導体を導電性支持体上に貼合して半導体層を作製することが好ましい。
(導電性支持体)
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えば、インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3〜5mmが好ましい。
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えば、インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3〜5mmが好ましい。
また、導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
導電性支持体は表面抵抗が50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることが更に好ましい。
(半導体微粉末含有塗布液の調製)
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜30質量%である。
(半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理)
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜)が形成される。
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜)が形成される。
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして導電性支持体等の基板上に形成された半導体微粒子集合体膜は、導電性支持体との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、前記半導体微粒子集合体膜を焼成処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜となるため好ましく行われる。
本発明においては、この焼成物膜はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
ここで、本発明に係る半導体薄膜の空隙率は10体積%以下が好ましく、更に好ましくは8体積%以下であり、特に好ましくは0.01〜5体積%以下である。なお、半導体薄膜の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。
多孔質構造を有する焼成物膜になった半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは100〜10000nmである。
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調製し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、更に好ましくは200〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300〜800℃の範囲である。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
(半導体の増感処理)
半導体の増感処理は上記のように色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には、半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、予め減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)で表される色素が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
半導体の増感処理は上記のように色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には、半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、予め減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)で表される色素が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
前記一般式(1)で表される色素を溶解するのに用いる溶媒は、前記色素を溶解することができ、且つ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、前記色素の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。
前記色素の溶解において、好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
(増感処理の温度、時間)
半導体を焼成した基板を前記一般式(1)で表される色素を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記色素が深く進入して吸着等を十分に進行させ、半導体を十分に増感させ、且つ溶液中で前記色素の分解等により生成して分解物が色素の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では3〜48時間が好ましく、更に好ましくは4〜24時間である。この効果は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については25℃条件での値であり、温度条件を変化させて場合には上記の限りではない。
半導体を焼成した基板を前記一般式(1)で表される色素を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記色素が深く進入して吸着等を十分に進行させ、半導体を十分に増感させ、且つ溶液中で前記色素の分解等により生成して分解物が色素の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では3〜48時間が好ましく、更に好ましくは4〜24時間である。この効果は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については25℃条件での値であり、温度条件を変化させて場合には上記の限りではない。
浸漬しておくにあたり前記一般式(1)で表される色素を含む溶液は、前記色素が分解しない限りにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜100℃であり、更に好ましくは25〜80℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
《電荷輸送層》
本発明に用いられる電荷輸送層について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層にはレドックス電解質が好ましく用いられる。ここで、レドックス電解質としては、I−/I3 −系や、Br−/Br3 −系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I−/I3 −系の電解質はヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電荷輸送層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電荷輸送層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては「表面科学」21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
《対向電極》
本発明に用いられる対向電極について説明する。
本発明に用いられる対向電極について説明する。
対向電極は導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3 −イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を十分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金メッキや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
〔太陽電池〕
本発明の太陽電池について説明する。
本発明の太陽電池について説明する。
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子の一態様として太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、色素増感された半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記半導体層、電荷輸送層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、半導体に吸着された本発明に係る色素は照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体を経由して対向電極に移動して、電荷輸送層のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明に係る色素は酸化体となっているが、対向電極から電荷輸送層のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷輸送層のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明これらに限定されない。
実施例1
《光電変換素子の作製》
下記に記載の手順にて、光電変換素子を作製した。
《光電変換素子の作製》
下記に記載の手順にて、光電変換素子を作製した。
〈液体電解質セルの作製〉
光電変換素子SC−1の作製(本発明)
本発明:光電変換素子SC−1の作製
市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)をフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板へスクリーンプリント法により塗布した。100℃で10分間加熱してペーストを乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行い厚さ8μmの酸化チタン薄膜を得た。
光電変換素子SC−1の作製(本発明)
本発明:光電変換素子SC−1の作製
市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)をフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板へスクリーンプリント法により塗布した。100℃で10分間加熱してペーストを乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行い厚さ8μmの酸化チタン薄膜を得た。
例示化合物A−1をエタノールに溶解させ、3×10−4モル/lの溶液を作製した。酸化チタンを塗布焼結させたFTOガラス基板を、この溶液に40℃で3時間浸漬させて、色素の吸着処理を行なった後、エタノールで洗浄、真空乾燥し、光電変換電極とした。
電解液にはヨウ化リチウム0.4モル/l、ヨウ素0.05モル/l、4−(t−ブチル)ピリジン0.5モル/lを含む3−メチルプロピオニトリル溶液を用いた。
対極に白金板を用い、先に作製した光電変換電極ならびに電解液とクランプセルで組み立てることにより光電変換素子(太陽電池)SC−1を得た。
SC−2〜SC−13の作製
光電変換素子SC−1の作製において、例示化合物A−1を例示化合物A−4、A−6、A−11、A−13、A−16、A−17、A−19、A−20、A−22、A−25、A−28、A−29に変更した以外は同様にして、光電変換素子SC−2、SC−3、SC−4、SC−5、SC−6、SC−7、SC−8、SC−9、SC−10、SC−11、SC−12、SC−13を得た。
光電変換素子SC−1の作製において、例示化合物A−1を例示化合物A−4、A−6、A−11、A−13、A−16、A−17、A−19、A−20、A−22、A−25、A−28、A−29に変更した以外は同様にして、光電変換素子SC−2、SC−3、SC−4、SC−5、SC−6、SC−7、SC−8、SC−9、SC−10、SC−11、SC−12、SC−13を得た。
光電変換素子SC−R1、SC−R2の作製(比較例)
上記の光電変換素子作製において、例示化合物を下記のR−1、R−2に変更した以外は同様にして、光電変換素子SC−R1、SC−R2を作製した。
上記の光電変換素子作製において、例示化合物を下記のR−1、R−2に変更した以外は同様にして、光電変換素子SC−R1、SC−R2を作製した。
〈固体電解質セルの作製〉
光電変換素子SE−R1の作製(比較例)
FTO電極に、アルコキシチタン溶液(松本交商:TA−25/IPA希釈)をスピンコート法にて塗布した。室温で30分放置後、450℃で間焼成を行い、短絡防止層とした。続いて、市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)を上記基版へドクターブレード法により塗布した後、60℃で10分間加熱処理後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ5μmの酸化チタン薄膜を有する半導体層基盤を得た。
光電変換素子SE−R1の作製(比較例)
FTO電極に、アルコキシチタン溶液(松本交商:TA−25/IPA希釈)をスピンコート法にて塗布した。室温で30分放置後、450℃で間焼成を行い、短絡防止層とした。続いて、市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)を上記基版へドクターブレード法により塗布した後、60℃で10分間加熱処理後、500℃で30分間焼成を行い、厚さ5μmの酸化チタン薄膜を有する半導体層基盤を得た。
R−1(Ru錯体)をエタノールに溶解させ、3×10−4モル/lの溶液を調製した。上記半導体層基盤を、この溶液に室温で16時間浸漬させて、色素の吸着処理を行なった後、クロロホルムで洗浄、真空乾燥し、光電変換電極とした。
次に、トルエン溶媒中に、ホール輸送剤として、例示化合物(下記spiro−MeO TAD)0.17モル/l、ホールドーピング剤としてN(PhBr)3SbCl6を0.33mモル/l、Li[(CF3SO2)2N]を15mモル/l溶解させ、色素吸着後の上記光電変換電極上にスピンコートし、ホール移動層を形成した。更に真空蒸着法により金を30nm蒸着し、対極を作製し、光電変換素子SE−R1を得た。
光電変換素子SE−1の作製(本発明)
光電変換素子SE−R1の作製におけるR−1(Ru錯体)を、例示化合物A−1に変更した以外は同様にして、光電変換素子SE−1を得た。
光電変換素子SE−R1の作製におけるR−1(Ru錯体)を、例示化合物A−1に変更した以外は同様にして、光電変換素子SE−1を得た。
〔発電特性の評価〕
強度100mW/cm2のキセノンランプ照射下、半導体層に5×5mm2のマスクをかけた条件下で光電変換特性の測定を行った。
強度100mW/cm2のキセノンランプ照射下、半導体層に5×5mm2のマスクをかけた条件下で光電変換特性の測定を行った。
上記のようにして得られた9種類の光電変換素子について、I−Vテスターを用いて室温にて電流−電圧特性を測定し、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、及び形状因子(F.F.)を求め、これらから変換効率(η(%))(光電変換効率)を求めた。なお、光電変換素子の変換効率(η(%))は下記式(A)に基づいて算出した。
η=100×(Voc×Jsc×F.F.)/P・・・(A)
ここで、Pは入射光強度[mW/cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、F.F.は形状因子を示す。
ここで、Pは入射光強度[mW/cm−2]、Vocは開放電圧[V]、Jscは短絡電流密度[mA・cm−2]、F.F.は形状因子を示す。
更に半導体層を、強度100mW/cm2のキセノンランプで30分間、光照射し、その後、9ppmのオゾン雰囲気下で20分間曝露させた後での光電変換特性の変化を比較した。
表1に光照射/オゾン曝露の劣化操作前後での光電変換電極を用いたときの特性評価結果を示す。
表1に示すとおり、光照射/オゾン曝露の劣化前後での光電変換効率の比から、本発明の色素は、比較色素(R−1:Ru錯体及びR−2:トリフェニルアミン系)を用いた試料に比べ、大幅に上回る酸化耐性を有しており、高耐久性の増感色素を得る指針としてトリアリールアミン母格へのチオフェン環構造の導入が有効であることが分かる。
Claims (7)
- 対向電極間に、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする光電変換素子。
- 前記一般式(1)又は(3)で表される化合物が、カルボキシル基を有することを特徴とする請求項1又は3に記載の光電変換素子。
- 対向電極間に、少なくとも半導体層及び電荷輸送層が設けられている光電変換素子において、該半導体層が前記一般式(1)又は(3)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光電変換素子。
- 前記半導体層を形成する半導体が酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光電変換素子。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
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