JP2010248575A - シール装置と、このシール装置を備える連続成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 連続成膜装置1は、ロール13a,13bの軸方向に延び、ロール13a,13bの周面に接する軸方向シール部と、ロール13,14の軸方向とほぼ直交する方向に延び、ロール13,14の各周面に連続して接する連続シール部とが環状に繋げられて、一体に形成され、ロール13,14で仕切られる各空間11a,11b,11cを、通気不能にシールするシール装置20を備える構成としてある。
【選択図】 図2
Description
そのため、連続成膜装置では、真空処理室を含め、装置内を複数の空間に区画するとともに、真空処理室に近づくにつれて真空度が高まるよう、それぞれの空間を異なる圧力に保つ必要がある。
複数の空間をそれぞれの圧力に保つためには、各空間の気密性を高めるとともに、排気ポンプで各空間を異なる圧力となるように排気しなければならない。
しかしながら、基材は帯状に連なることから、装置全体として繋がる一つの空間を、少なくとも基材が通過する領域を確保しつつ、複数の空間に区画するとともに、区画された各空間を可能な限り気密状態にする必要がある。
例えば、特許文献1には、シールブロックを用いた連続成膜装置が提案されている。
この連続成膜装置では、基材が通過可能な隙間を有して対向配置されたシールブロックで装置内を仕切り、複数の予備室に区画するとともに、このシールブロックにより各予備室の気密性が保たれるようになっている。
このシール装置では、相対する二つのロールで装置内を仕切り、複数の予備室に区画するとともに、シール部材を各ロールに接するようにロールの周囲に配置して、各予備室の気密性を保持するように構成されている。
例えば、特許文献1記載の発明では、対向配置されたシールブロック間の隙間により、各予備室が連通することから、この隙間を介して、隣り合う予備室間で空気が流通することになり、圧力差を減少させる要因となっていた。その結果、圧力差を保持するために、保持する圧力より多めに排気しなければならないことから、排気容量の大きい排気ポンプを使用せざるを得ず、燃料コストを増大させていた。
ところが、特許文献2に記載のシール装置では、ロールの周囲を全てシールする構成になっているため、以下のような弊害が生じていた。
このように、ロールを四方から囲む構成では、シールする範囲も自ずと広くなり、その分、空気漏れを生じさせる可能性も増大し、気密性の確保が困難となっていた。
また、ロール端面をシールする構成において、ロールは温度や湿度の変化に伴い特に軸方向に大きく伸縮することから、ロールが縮むことにより、空気漏れが生じるおそれがあった。
具体的には、軸方向シール部と連続シール部は、各々ロール周面に接するとともに、環状に繋げられて、一体に形成されるため、開口部とシール装置外部を、シール装置本体で隔てて、通気不能にシールすることができる。
そこで、本発明のシール装置を、例えば、送出側の空間を開口部に連通させ、送入側の空間をシール装置外部と連通させて取付けた場合には、開口部と連通する送出側の空間は、シール装置の内周面と複数のロールとで塞ぐことができるため、送入側の空間と送出側の空間を、通気不能とすることができる。
これにより、軸方向シール部と連続シール部は、温度や湿度の変化によりロールが軸方向に伸縮したときでも、常にロール周面に接しているため、安定したシール性能を発揮することができる。
すなわち、連続シール部は、基材の幅が確保されるように、平行に配置されるとともに、各ロール周面に連続して接し、また、軸方向シール部は、基材の厚みを確保しつつ、ロール周面に接する間隔を設けて平行に配置されれば足りることから、四方からロールを囲んでシールする従来のシール構造と比べると、シール範囲を狭くすることができ、その分、空気漏れの発生を低減させることができる。つまり、外形をコンパクトにしつつ、シール性能を向上させることができる。
また、一体型であることから、取付けも容易となり、かつ、汎用性も向上する。
すなわち、この閉空間が、送入側の空間と送出側の空間のほぼ中間の圧力となるように排気孔から排気することで、送入側の空間と送出側の空間との空気の流通がこの閉空間により緩和され、送入側の空間と送出側の空間においてそれぞれ保持される圧力の安定性を増大させることができる。
また、この閉空間は、容積が小さいことから、排気容量の小さい排気ポンプを用いて排気することができ、省力化を図りつつ、かつ装置全体において各室の圧力を効率よく保持できる。
このような構成とすることにより、複数のロールを干渉するように接して配置しても、弾性ロールが弾性変形するため、それぞれのロールが回動不能となることもなく、また、ロールの間に挟まれる基材の幅方向に隙間が形成されず、ロール間が弾性体で閉ざされてシールされるため、各室の気密性を向上させることができる。
これにより、弾性ロールと他のロールとの距離を調整することで、弾性ロールと他のロールとの密着度を調整でき、各室の気密性を増大させる調整を行うことができる。
本実施形態に係る連続成膜装置は、図1に示すように、帯状の基材Bを、装置内に近接して配置された複数のロールの間に通して、大気圧力下から減圧された複数の予備室11a〜11cを介して所定の成膜処理を行う真空処理室内10a,10bに搬入させるとともに、成膜処理された基材Bを減圧された複数の予備室11d〜11fを介して大気圧力下に搬出させる連続成膜装置1である。
具体的には、連続成膜装置1は、大気圧力下に設置され、巻回された基材Bを装置内に巻き出す巻出ロール12aと、真空状態に減圧され、基材Bに各々異なる成膜処理を行う真空処理室10a,10bと、成膜処理された基材Bを巻き取る巻取ロール12bとを備えている。
また、巻出ロール12aと真空処理室10aとの間であって、基材Bを真空処理室10に搬入する側には、予備室11a〜11cが設けられ、真空処理室10bと巻取ロール12bとの間であって、基材Bを真空処理室10から搬出する側には、予備室11d〜11fが設けられている。
具体的には、真空処理室10は、高真空度(例えば、0.1torr)に保持されるように排気され、予備室11a〜11cは、真空処理室10に近づくにつれ、低圧になるように段階的に減圧され、予備室11d〜11fは、反対に、真空処理室10から遠ざかるにつれ、段階的に増圧するように差動排気される。
このように本発明の連続成膜装置1は、基材Bを、大気圧力下から徐々に減圧させて真空処理室内10a,10bに搬入させるとともに、成膜処理された基材Bを徐々に増圧させて大気圧力下に搬出させる、いわゆるAir−to−Air方式の連続成膜装置として構成されている。
具体的には、本実施形態の真空処理室10は、例えば、プラスチック(PET)からなる基材Bに、銅(Cu)、インジウム(In)、ガルバニウム(Ga)、セレン(Se)などの化合物からなる光吸収層を形成し、CIS系、CIGS系の光電変換セル(太陽電池)を製造する真空チャンバーとして構成され、複数の真空処理室10a,10bを設けることで、光吸収層に加え、窓層(ZnO:Al)、バッファ層、電極層(Mo)などを室別に積層させ、基材Bに多層膜を形成できるようになっている。
なお、真空処理室10は、二室に限られず、成膜処理を行う工程に対応させて一室でもよく、また、三室以上設けることもできる。
同図は予備室11を拡大した図であり、真空処理室10に対して搬送側に設置された予備室11a〜11cを示している。なお、予備室11a〜11cと予備室11d〜11fは、真空処理室10を挟んで左右対称に形成され、ほぼ同じように構成されている。
各金属ロール13は、所定の間隔をおいて、平行に配置されるとともに、図示しないモータにより駆動され、軸17を中心に回動するように構成されている。
弾性ロール14は、各金属ロール13それぞれに隙間なく接し、各金属ロール13が回動することで、これに伴い、軸17を中心に従動する。
本実施形態では、基材Bは、金属ロール13aと弾性ロール14との間を通して搬送するようになっている。
例えば、予備室11aに設けられた各金属ロール13及び弾性ロール14と、予備室11bに設けられた各金属ロール13及び弾性ロール14との間の空間を予備室11bとし、この空間を排気ポンプで排気して、予備室11a及び予備室11cと異なる圧力に保持する。
このように、本実施形態では、各予備室11a〜11fに設けられた各金属ロール13及び弾性ロール14と、これと隣接する予備室11に設けられた各金属ロール13及び弾性ロール14とで、各予備室11と真空処理室10とに区画されている。
すなわち、本実施形態の連続成膜装置1は、図1に示すように、基材Bが連続して搬送される一つの空間として形成された装置内が、各金属ロール13及び弾性ロール14で順次仕切られ、複数の予備室11と真空処理室10とが形成されている。
各室を気密にするシール手段として、各金属ロール13と弾性ロール14との間をシールするシール構造(ロールシール方式)と、これらのロール周面に接する本発明のシール装置20とが設けられている。
その結果、金属ロール13aと弾性ロール14との間において、基材Bの幅方向に形成される隙間が弾性ロール14で閉ざされ、各室間をシールすることができる。
これにより、金属ロール13a,13bと弾性ロール14との距離を変化させることで、これらのロール間の密着度を調整できるようになっている。
なお、調整手段は、空気により可動するエアシリンダ15に限られず、油圧により可動させる油圧シリンダを用いてもよい。また、弾性ロール14を、電気を動力とするモータにより可動させ、各金属ロール13との距離を調整することもできる。
次に、本発明のシール装置20は、金属ロール13a,13bと弾性ロール14の各ロール周面に接することで、各ロール13,14と各予備室11の壁面との間に形成される隙間をシールするように構成されている。以下に、シール装置20について図面を参照しつつ、詳述する。
これらの図に示すように、本実施形態のシール装置20は、基材Bを送入出可能に開口させた開口部24を囲む、軸方向シール部21と連続シール部22とが環状に繋げられて、一体に形成されている。
このように、軸方向シール部21は、各金属ロール13の軸方向Xをシールするように構成されている。
各連続シール部22a〜22cは、各々接するロール13,14と同じ曲率を有する円弧状に形成されるとともに、各連続シール部22a〜22cが連続して連なることで、ロール13,14の軸方向Xと直交する方向Yをシールするように構成されている。
摺接面20a,20bの背面側となる底面20eは、平面状に形成され、シール装置20は、この底面20eが予備室11の壁面に接して、ボルト等で固着される。
また、環状に繋げられた軸方向シール部21と連続シール部22とで囲まれる開口部24は、金属ロール13aと弾性ロール14、及び金属ロール13bと弾性ロール14のそれぞれの間に通じ、金属ロール13aと弾性ロール14との間に挟まれる基材Bが送入出可能に開口されている。
図5の例では、基材Bは、予備室11aから予備室11bに向かって搬送されるものとする。その結果、金属ロール13a,13bと弾性ロール14とで仕切られる予備室11aは基材Bの送入側の空間となり、予備室11bは基材Bの送出側の空間となる。
そして、シール装置20は、その底面20eが送出側の空間(予備室11aにおける予備室11b側の壁面)に固着され、その摺接面20a,20bが金属ロール13a,13bと弾性ロール14の回動に伴って各ロール周面に摺接するように取付けられている。
その結果、送入側の空間(予備室11a)と送出側の空間(予備室11b)は、環状に形成されたシール装置20によって隔てられ、空気の流通ができない状態、すなわち、通気不能となる。
このように構成することで、開口部24が小さくなり、シール範囲をさらに狭小化させることもできる。
また、シール装置20は、このようにコンパクトで、一体に形成されるため、取付けも容易であり、汎用性も向上する。
これにより、この閉空間23bを、送入側の空間(予備室11a)と送出側の空間(予備室11b)との圧力差を緩和させる緩衝空間として利用することができる。
また、この閉空間23bは、容積が小さいことから、排気容量の小さい排気ポンプを用いて排気することができ、省力化を図りつつ、かつ装置全体において各室の圧力を効率よく保持できる。
さらに、シール装置20を送入側と送出側の両方に取付けることもできる。
また、上述した実施形態の連続成膜装置1では、ロール13,14を利用して、各室を区画するとともに、通気不能にシールしたが、シールブロックを併設して、気密性をさらに高めることもできる。
また、上述した実施形態では、各空間を仕切るロールの数を三つとしたが、二つ以上であればロールの数はいくつでもよい。
10 真空処理室
11 予備室
12a 巻出ロール
12b 巻取ロール
13 金属ロール
14 弾性ロール
15 エアシリンダ
17 軸
20 シール装置
21 軸方向シール部
22 連続シール部
23 溝部
24 開口部
Claims (5)
- 帯状の基材を、近接して配置された複数のロールの間に通して、圧力の異なる複数の空間に亘って搬送しつつ、この基材に所定の成膜処理を行う成膜装置内に取付けられ、前記複数のロールで仕切られる送入側の空間と送出側の空間を、通気不能にシールするシール装置であって、
前記複数のロールの間と通じて、前記基材を送入出可能に開口させた開口部と、
前記ロールの軸方向に延びるとともに、前記開口部を挟んで平行に設けられ、ロール周面に接する軸方向シール部と、
前記ロールの軸方向とほぼ直交する方向に延びるとともに、前記開口部を挟んで平行に設けられ、各ロール周面に連続して接する連続シール部と、を備え、
前記軸方向シール部と前記連続シール部とが環状に繋げられて、一体に形成されるとともに、
前記送入側の空間又は前記送出側の空間のいずれか一方の空間を前記開口部と連通させ、他方の空間を当該装置外部に連通させて取付けられ、前記送入側の空間と前記送出側の空間をシールすることを特徴とするシール装置。 - 前記ロールと接する面側において、前記各シール部に沿って凹設され、前記ロールとの間に連続した帯状の閉空間を形成させる溝部と、
前記閉空間を排気可能に外部と連通させる排気孔と、を備える請求項1記載のシール装置。 - 帯状の基材を、近接して配置された複数のロールの間に通して、大気圧力下から少なくとも一の減圧された予備室を介して所定の成膜処理を行う真空処理室内に搬入させるとともに、成膜処理された基材を少なくとも一の減圧された予備室を介して大気圧力下に搬出させる連続成膜装置であって、
前記複数のロールで仕切られる送入側の空間と送出側の空間を、通気不能にシールするシール装置を備え、
前記シール装置が、請求項1又は2記載のシール装置であることを特徴とする連続成膜装置。 - 前記複数のロールのうち少なくとも一のロールを弾性ロールとし、前記弾性ロールを他のロールに接するように配置した請求項3記載の連続成膜装置。
- 前記弾性ロールと前記他のロールとの距離を調整可能な調整手段を備える請求項4記載の連続成膜装置。
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