JP2010246588A - 自動製パン機 - Google Patents

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Teruaki Taguchi
輝明 田口
Toshiharu Fujiwara
敏治 藤原
Yoshinari Shirai
吉成 白井
Masao Hayase
正雄 早勢
Risuke Shimozawa
下澤  理如
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Abstract

【課題】穀物粒から直接パンを製造するのに便利な仕組みを備えた自動製パン機を提供する。
【解決手段】自動製パン機1の本体10内の焼成室30に、パン容器40が挿入される。自動製パン機1の蓋20は内部に昇降デッキ50を備え、そこからパン容器40内に、下端に粉砕ブレード63を備えた回転軸62と、回転軸62及び粉砕ブレード63を囲む混練体76が垂下する。混練体76は、粉砕ブレード63を囲むドーム形の生地捏ね部77と、生地捏ね部77の上方に設けられた回転体状の生地返し部78を備える。生地捏ね部77と生地返し部78の間には、放射方向に突き出す捏ねアーム79が設けられている。回転軸62は粉砕モータ60で駆動され、混練体76は混練モータ70で駆動される。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として一般家庭で使用される自動製パン機に関する。
市販の家庭用自動製パン機は、製パン原料を入れたパン容器を本体内の焼成室に入れ、パン容器内の製パン原料を混練ブレードで混練して捏ね上げ、発酵工程を経た後、パン容器をそのままパン焼き型としてパンを焼き上げる仕組みのものが一般的である。特許文献1に自動製パン機の一例を見ることができる。
製パン原料にレーズンやナッツ等の具材を混ぜ、具材入りパンを焼くこともある。特許文献2には、レーズン、ナッツ類、チーズ等の製パン副材料を自動的に投入する手段を備えた自動製パン機が記載されている。
特開2000−116526号公報 特許第3191645号公報
パンを製造する場合、これまでは、小麦や米などの穀物を製粉した粉や、それに各種補助原料を混ぜたミックス粉を入手するところから始めなければならなかった。手元に穀物粒(典型的なものは米)があっても、それから直接パンを製造することは困難であった。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、穀物粒から直接パンを製造するのに便利な仕組みを備えた自動製パン機を提供し、パン製造をより身近なものにすることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、製パン原料を入れたパン容器を本体内の焼成室に受け入れ、前記製パン原料の混練工程、発酵工程、及び焼成工程を順次遂行する自動製パン機において、下端に粉砕ブレードを備えた回転軸と、前記回転軸と粉砕ブレードを囲む混練体を上方より前記焼成室内の前記パン容器内に垂下させたことを特徴としている。
この構成によると、焼成室内のパン容器に穀物粒を入れてそれを粉砕ブレードで粉砕することにより、焼成室内のパン容器で製パン原料を製造することができる。そして粉砕穀物粒をパン容器内で混練体により混練してパン生地に仕上げた後、パンに焼き上げることができるから、穀物粒の粉砕からパンの焼成までの一貫作業を焼成室内のパン容器で行うことができる。このため、他の容器内で穀物粒を粉砕してからパン容器に移すのと異なり、他の容器に残留してパン容器に入らないという、移し替えに伴うロスが発生しない。回転軸と粉砕ブレードは混練体で囲まれているから、回転軸や粉砕ブレードに手指などが接触して怪我をするといった危険を低減できる。そして、粉砕ブレードと混練体はいずれもパン容器に設置されるものではなく、上方から垂下してパン容器の内部に位置するものであるから、パン容器の構造を簡素化できる。
また本発明は、上記構成の自動製パン機において、前記混練体は、前記粉砕ブレードを囲むドーム形の生地捏ね部と、前記生地捏ね部の上方に設けられた回転体状の生地返し部を備えることを特徴としている。
粉砕ブレードを囲むドーム形の生地捏ね部で生地を捏ねるとき、生地は上方にせり上がろうとする。生地のせり上がりは上方の生地返し部で押しとどめられるので、生地は生地捏ね部から離れない。このため、生地を十分に捏ねることができる。
また本発明は、上記構成の自動製パン機において、前記混練体は、前記生地捏ね部と生地返し部の間に、放射方向に突き出す捏ねアームを備えることを特徴としている。
この構成によると、捏ねアームが生地を引っ掛けて、生地を混練体に確実に追随させるから、生地を十分に捏ねることができる。
また本発明は、上記構成の自動製パン機において、前記回転軸と混練体が別個のモータで駆動されることを特徴としている。
この構成によると、粉砕ブレードに求められる高速回転と、混練体に求められる低速・高トルクの回転を、無理なく実現することができる。
また本発明は、上記構成の自動製パン機において、前記回転軸を回転させるモータと、前記混練体を回転させるモータは、共通の制御装置で制御されることを特徴としている。
この構成によると、粉砕ブレードの回転と混練体の回転を互いに関連づけて制御することが可能であるから、穀物粒を粉砕する段階と、粉砕後の穀物粉を混練する段階において、穀物粒の種類や量に適した回転を粉砕ブレードと混練体に与え、パンの品質を向上させることができる。
また本発明は、上記構成の自動製パン機において、前記回転軸及び粉砕ブレードと前記混練体は、自動製パン機内に設けた昇降デッキに支持され、前記昇降デッキの昇降で、前記パン容器の内部に垂下した状態と、前記パン容器から引き上げられた状態をとり得ることと特徴としている。
この構成によると、粉砕ブレードと混練体が焼成室内のパン容器内に垂下した状態と、そこから引き上げられた状態を、簡単に実現できる。
また本発明は、上記構成の自動製パン機において、前記回転軸及び粉砕ブレードと前記混練体が前記パン容器から引き上げられた状態で、パンの焼成が行われることを特徴としている。
この構成によると、回転軸、粉砕ブレード、及び混練体の痕跡を残すことなくパンを焼き上げることができる。
本発明によると、手持ちの穀物粒を用いてパンを焼き上げることができ、穀物粉を買い求める必要がなくなる。米の場合で言えば、玄米から白米まで、好みの精白度の米でパンを焼くことができる。そして、穀物粒の粉砕からパンの焼成までの一貫作業を焼成室内のパン容器で行うことができるので、粉砕穀物粒を容器から容器へ移すといった手間が不要で、粉砕穀物粒が他の容器に付着して残るという、移し替えに伴うロスが発生しない。回転軸と粉砕ブレードは混練体で囲まれているから、回転軸や粉砕ブレードに手指などが接触して怪我をするといった危険を低減できる。粉砕ブレードと混練体はパン容器に設置されるのではなく、上方から垂下してパン容器の内部に位置するものであるから、パン容器の構造を簡素化できる。
本発明の実施形態に係る自動製パン機の垂直断面図である。 図1と同様の自動製パン機の垂直断面図で、図1と異なる状態を示すものである。 混練体を断面して示す回転軸の側面図である。 混練体の上面図である。 混練体と粉砕ブレードの下面図である。 混練作業の第1の説明図である。 混練作業の第2の説明図である。 混練作業の第3の説明図である。 混練作業の第4の説明図である。 混練作業の第5の説明図である。 図1の自動製パン機の制御ブロック図である。 第1態様パン製造工程の全体フローチャートである。 第1態様パン製造工程の粉砕前含浸工程のフローチャートである。 第1態様パン製造工程の粉砕工程のフローチャートである。 第1態様パン製造工程の練り工程のフローチャートである。 第1態様パン製造工程の発酵工程のフローチャートである。 第1態様パン製造工程の焼成工程のフローチャートである。 第2態様パン製造工程の全体フローチャートである。 第2態様パン製造工程の粉砕後含浸工程のフローチャートである。 第3態様パン製造工程の全体フローチャートである。
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2において、図の左側が自動製パン機1の正面(前面)側、図の右側が自動製パン機1の背面(後面)側である。
自動製パン機1は、合成樹脂製の外殻を備えた箱形の本体10を有する。本体10の上面は合成樹脂製の蓋20で覆われる。蓋20は蝶番軸21で本体10の背面側の縁に取り付けられており、蝶番軸21を支点として垂直面内で回動する。
本体10の内部には焼成室30が設けられる。焼成室30は板金製で、上面が開口しており、ここからパン容器40が入れられる。焼成室30は水平断面矩形の周側壁30aと周側壁30aの底部を閉ざす底壁30bを備える。
底壁30bには、焼成室30の中心にあたる箇所にアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなるパン容器支持部31が固定されている。パン容器支持部31の内部は、底壁30bに形成された開口部を通じて焼成室30の内部に露出している。
パン容器支持部31は、パン容器40の底面に固定された筒状の台座41を受け入れてパン容器40を支える。台座41もアルミニウム合金のダイキャスト成型品である。
パン容器40は板金製で、バケツのような形状をしており、口縁部には手提げ用のハンドル(図示せず)が取り付けられている。パン容器40の水平断面は四隅を丸めた矩形であり、四辺のうち対向する二辺の内面には、垂直方向に延びるうね状の突部40aが形成されている。
パン容器40の底部中心には垂直な受け軸42が配置されている。受け軸42は、パン容器40の底部中心にシール対策を施して回転自在に支持されており、上端は小径部となっている。
パン容器支持部31の内周面と台座41の外周面には、それぞれ図示しない突起が形成される。これらの突起は周知のバヨネット結合を構成する。すなわちパン容器40をパン容器支持部31に取り付ける際、台座41の突起がパン容器支持部31の突起に干渉しないようにしてパン容器40を下ろし、台座41がパン容器支持部31にはまり込んだ後、パン容器40を水平にひねると、パン容器支持部31の突起の下面に台座41の突起が係合して、パン容器40が上方に抜けなくなるようにする。パン容器40の取り付け時ひねり方向は後述する混練体の回転方向に一致させ、混練体が回転してもパン容器40が外れないようにしておく。
焼成室30の内部に配置された加熱装置32がパン容器40を包囲し、製パン原料を加熱する。加熱装置32はシーズヒータにより構成される。
蓋20の内部には水平な昇降デッキ50が設けられる。昇降デッキ50は図示しない案内手段に沿って、水平状態を保ったまま昇降する。昇降デッキ50を昇降させるのは蓋20の背面側に配置された昇降モータ51である。昇降モータ51は竪軸で、下向きに突き出したモータ軸52に送りねじ53が固定されており、この送りねじ53に、昇降デッキ50から張り出すブラケット54に取り付けられたナット55が結合している。昇降モータ51が送りねじ53を回転させると、送りねじ53の軸線方向にナット55が移動し、これにより、昇降デッキ50に昇降が生じる仕組みである。動力伝達ロスを少なくするため、送りねじ53とナット55にはボールねじとボールナットの組み合わせを用いるのがよい。
昇降デッキ50の上面には粉砕モータ60と混練モータ70が固定されている。粉砕モータ60と混練モータ70はいずれも竪軸で、モータ軸61、71が下向きに突き出している。モータ軸61には、下端に粉砕ブレード63を備えた垂直な回転軸62が直結される。
回転軸62の外側には、回転軸62に対し相対回転可能且つ軸線方向には相対移動不能に筒軸72が設けられる。筒軸72の上端にはプーリ73が固定される。プーリ73はモータ軸71に固定されたプーリ74にベルト75で連結している。プーリ74はプーリ73を減速回転させるものであり、これにより筒軸72は低速・高トルクで回転する。
筒軸72には混練体76が固定される。混練体76は、粉砕ブレード63とそれを取り付けた回転軸62を囲むドーム形の生地捏ね部77と、生地捏ね部77の上方に設けられた回転体状の生地返し部78を備える。生地捏ね部77は半球をやや偏平にした形状、生地返し部78は算盤玉形状であって、両者は同程度の直径を有する。生地捏ね部77と生地返し部78の間のくびれた部分からは、複数の捏ねアーム79が放射状に突き出す。捏ねアーム79の先端は、生地捏ね部77と生地返し部78の各最大直径部よりも引っ込んでいる。捏ねアーム79の数に限定はないが、あまり多くなるとその間に生地が入り込めなくなるので、2本から4本程度とするのがよい。
混練体76は、合成樹脂または金属で一体成形することもできるし、合成樹脂製部品の組み合わせ、金属製部品の組み合わせ、または合成樹脂製部品と金属製部品の組み合わせで構成することもできる。
自動製パン機1の動作制御は、図11に示す制御装置80によって行われる。制御装置80は本体10内の適所(焼成室30の熱の影響を受けにくい箇所が望ましい)に配置された回路基板により構成される。制御装置80には、加熱装置32の他、本体10の表面の適所、例えば正面に設けられた操作部11と、昇降モータ51のモータドライバ81、粉砕モータ60のモータドライバ82、混練モータ70のモータドライバ83、及び温度センサ84が接続される。温度センサ84は焼成室30内に配置され、焼成室30の温度を検知する。85は各構成要素に電力を供給する商用電源である。
続いて、自動製パン機1を用いて穀物粒からパンを製造する工程を、図12から図20まで及び図6から図10までの図を参照しつつ説明する。その中で、図12から図17までの図に示すのが第1態様パン製造工程である。
図12は第1態様パン製造工程の全体フローチャートである。図12では、粉砕前含浸工程#10、粉砕工程#20、混練工程#30、発酵工程#40、焼成工程#50の順で工程が進行する。続いて、各工程の内容を説明する。
図13に示す粉砕前含浸工程#10では、まずステップ#11において、使用者が穀物粒を計量し、所定量をパン容器40に入れる。穀物粒としては米粒が最も入手しやすいが、それ以外の穀物、例えば小麦、大麦、粟、稗、蕎麦、とうもろこしなどの粒も利用可能である。
ステップ#12では使用者が液体を計量し、所定量をパン容器40に入れる。液体として一般的なのは水であるが、だし汁のような味成分を有する液体でもよく、果汁でもよい。アルコールを含有していてもよい。なおステップ#11とステップ#12は順序が入れ替わっても構わない。
パン容器40に穀物粒と液体を入れる作業は、パン容器40を焼成室30から出して行ってもよく、パン容器40を焼成室30に入れたまま行ってもよい。パン容器40を出し入れするため、あるいは焼成室30内のパン容器40に穀物粒と液体を入れるために蓋20を開けるときは、昇降デッキ50を図1に示す上昇位置に置き、回転軸62、粉砕ブレード63、及び混練体76のいずれもが蓋20から外にはみ出さないようにしておく。
焼成室30内のパン容器40に穀物粒と液体を入れたら、あるいは外部で穀物粒と液体を入れたパン容器40を焼成室30に取り付けたら、蓋20を閉じる。そして昇降デッキ50を降下させると、回転軸62、粉砕ブレード63、及び混練体76はパン容器40内に垂下して行く。限界まで昇降デッキ50を降下させると、図2に示す通り、回転軸62の下端面に形成した凹部が受け軸42の上端の小径部に係合する。これにより、回転軸62の下端のぶれがくい止められる。以後、受け軸42は回転軸62と一体になって回転する。
この時点で、粉砕ブレード63と生地捏ね部77は、パン容器40の底部近くに位置している。使用者は操作部11の中の所定の操作キーを押し、液体含浸のタイムカウントをスタートさせる。ここからステップ#13が始まる。
ステップ#13では穀物粒と液体の混合物をパン容器40内で静置し、穀物粒に液体を含浸させる。一般的に、液体温度が高くなるほど含浸が促進されるので、加熱手段31に通電して焼成室30の温度を高めるようにしてもよい。
ステップ#14では穀物粒と液体の静置を開始してからどれだけ時間が経過したかを制御装置80がチェックする。所定時間が経過したら粉砕前含浸工程#10は終了する。このことは、操作部11における表示や、音声などで使用者に報知される。
粉砕前含浸工程#10に続き、図14に示す粉砕工程#20が遂行される。使用者が操作部11を通じ粉砕作業データ(穀物粒の種類や量、これから焼くパンの種類など)を入力し、スタートキーを押すと、粉砕が開始される。
ステップ#21では、制御装置80が粉砕モータ60を駆動し、回転軸62を回転させる。すると、穀物粒と液体の混合物の中で粉砕ブレード63が回転を開始する。混練体76は停止している。粉砕ブレード63による粉砕は、穀物粒に液体が浸み込んだ状態で行われるから、穀物粒を芯まで容易に粉砕することができる。
このようにして、粉砕ブレード63が回転している間、パン容器40内の穀物粒は、液体と共に、生地捏ね部77とパン容器40の内底面の間の隙間から生地捏ね部77の中に入り、粉砕ブレード63で粉砕されて生地捏ね部77の外に出ることを繰り返し、細片化されて行く。
ステップ#22では、所望の粉砕穀物粒を得るために設定通りの粉砕パターン(粉砕ブレードを連続回転させるか、停止期間を織り交ぜて断続回転させるか、断続回転させる場合、どのようにインターバルをとるか、回転時間の長さをどのようにするか等)が完遂されたかどうかを制御装置80がチェックする。設定通りの粉砕パターンが完遂されたらステップ#23に進んで粉砕ブレード63の回転を終了し、粉砕工程#20は終了する。このことは、操作部11における表示や、音声などで使用者に報知される。
以上の説明では、粉砕前含浸工程#10の後、使用者の操作で粉砕工程#20が開始されるものとしたが、使用者が粉砕前含浸工程#10の前か、粉砕前含浸工程#10の途中で粉砕作業データを入力すれば、粉砕前含浸工程#10の終了後、自動的に粉砕工程#20が開始されるように構成してもよい。
粉砕工程#20に続き、図15に示す混練工程#30が遂行される。混練工程#30に入る時点では、パン容器40の中の穀物粒と液体は、ペースト状またはスラリー状の生地原料となっている。なお本明細書では、混練工程#30の開始時点のものを「生地原料」と呼称し、混練が進行して目的とする生地の状態に近づいたものは、半完成状態であっても「生地」と呼称することとする。
ステップ#31では使用者が蓋20を開け、生地原料に所定量のグルテンを投入する。必要に応じ、食塩、砂糖、ショートニングといった調味材料も投入する。図6がこの状況に対応する。
使用者は、ステップ#31に前後して、操作部11よりパンの種類や調理内容の入力を行う。準備が整ったところで使用者がスタートキーを押すと、混練工程#30から発酵工程#40、さらに焼成工程#50へと自動的に連続する製パン作業が開始される。
ステップ#32では、制御装置80は混練モータ70を駆動する。これにより、生地原料の中で混練体76が回転を開始する。また制御装置80は、加熱装置32に通電し、焼成室30の温度を上げる。混練体76が回転するに従い生地捏ね部77で生地原料は混練され、所定の弾力を備える、一つにつながった生地(dough)に練り上げられて行く。
図7から図8に示すように、生地Aは生地捏ね部77の外周から生地捏ね部77の上面にせり上がろうとする。上方に生地返し部78が控えているので、生地Aのせり上がりは一定限界に留まる。この状態の生地Aを、図9に示すように捏ねアーム79が引っ掛け、生地Aを混練体76に確実に追随させるから、生地Aを十分に捏ねることができる。パン容器40の内壁に形成された突部40aが捏ねを助ける。
ステップ#33では混練体76の回転開始以来どれだけ時間が経過したかを制御装置80がチェックする。所定時間が経過したらステップ#34に進む。
ステップ#34では使用者が蓋20を開け、生地にイースト菌を投入する。ここで生地に投入するイースト菌は、ドライイーストでよい。イースト菌の代わりにベーキングパウダーを用いてもよい。
ステップ#35では生地にイースト菌を投入してからどれだけ時間が経過したかを制御装置80がチェックする。所望の生地を得るのに必要な時間が経過したらステップ#36へ進んで混練体76の回転が終了する。この時点で、一つにつながり、所要の弾力を備えた生地が完成している。
混練体76の回転終了後、制御装置80は昇降モータ51を駆動して昇降デッキ50を上昇させる。回転軸62、粉砕ブレード63、及び混練体76は図10に示すようにパン容器40から引き上げられる。生地Aは生地捏ね部77の外周面とパン容器40の内周面との間をすり抜けてパン容器40の底部に落下する。焼成時には、生地Aの内部に回転軸62、粉砕ブレード63、及び混練体76が存在しないので、それらの痕跡を残すことなくパンを焼き上げることができ、パンの見栄えが良くなる。
混練工程#30に続き、図16に示す発酵工程#40が遂行される。ステップ#41では混練工程30を経た生地が発酵環境に置かれる。すなわち制御装置80は焼成室30を、必要があれば加熱装置32に通電して、発酵が進む温度帯とする。使用者は生地を、必要に応じ形を整えて静置する。
ステップ#42では生地を発酵環境に置いてからどれだけ時間が経過したかを制御装置80がチェックする。所定時間が経過したら発酵工程#40は終了する。
発酵工程#40に続き、図17に示す焼成工程#50が遂行される。ステップ#51では発酵した生地が焼成環境に置かれる。すなわち制御装置80はパン焼きに必要な電力を加熱装置32に送り、焼成室30の温度をパン焼き温度帯まで上昇させる。
ステップ#52では生地を焼成環境に置いてからどれだけ時間が経過したかを制御装置80がチェックする。所定時間が経過したら焼成工程#50は終了する。ここで操作部11における表示または音声により製パン完了の報知がなされるので、使用者は蓋20を開けてパン容器40を取り出す。
続いて第2態様製パン工程を図18と図19に基づき説明する。図18は第2態様パン製造工程の全体フローチャートである。図16では、粉砕工程#20、粉砕後含浸工程#60、練り工程#30、発酵工程#40、焼成工程#50の順で工程が進行する。続いて、図19に基づき粉砕後含浸工程#60の内容を説明する。
ステップ#61では、粉砕工程#20で形成された生地原料がパン容器40の内部で静置される。この生地原料は、粉砕前含浸工程を経ていなかったものである。静置されている間に、粉砕穀物粒に液体が浸み込んで行く。制御装置80は必要に応じ加熱装置32に通電して生地原料を加熱し、含浸を促進する。
ステップ#62では静置開始以来どれだけ時間が経過したかを制御装置80がチェックする。所定時間が経過したら粉砕後含浸工程#60は終了する。粉砕後含浸工程#60が終了すれば自動的に混練工程#30に移行する。混練工程#30以降の工程は第1態様製パン工程と同じである。
続いて第3態様製パン工程を図20に基づき説明する。図20は第3態様パン製造工程の全体フローチャートである。ここでは、粉砕工程#20の前に第1態様の粉砕前含浸工程#10を置き、粉砕工程#20の後に第2態様の粉砕後含浸工程60を置いている。混練工程30以降の工程は第1態様製パン工程と同じである。
粉砕ブレード63は、穀物粒を粉砕するだけでなく、ナッツ類や葉物野菜などの具材の細片化にも用いることができる。このため、粒の細かい具材を入れたパンを焼くことができる。粉砕ブレード63は、パンに混ぜる具材以外の食材や、生薬原料の粉砕にも利用できる。
単一の制御装置80により、粉砕ブレード63の回転と混練体76の回転を互いに関連づけて制御することが可能であるから、穀物粒を粉砕する段階と、粉砕後の穀物粉を混練する段階において、穀物粒の種類や量に適した回転を粉砕ブレード63と混練体76に与え、パンの品質を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
本発明は、主として一般家庭で使用される自動製パン機に広く利用可能である。
1 自動製パン機
10 本体
20 蓋
30 焼成室
32 加熱装置
40 パン容器
50 昇降デッキ
51 昇降モータ
60 粉砕モータ
62 回転軸
63 粉砕ブレード
70 混練モータ
72 筒軸
76 混練体
77 生地捏ね部
78 生地返し部
79 捏ねアーム
80 制御装置

Claims (7)

  1. 製パン原料を入れたパン容器を本体内の焼成室に受け入れ、前記製パン原料の混練工程、発酵工程、及び焼成工程を順次遂行する自動製パン機において、
    下端に粉砕ブレードを備えた回転軸と、前記回転軸と粉砕ブレードを囲む混練体を上方より前記焼成室内の前記パン容器内に垂下させたことを特徴とする自動製パン機。
  2. 前記混練体は、前記粉砕ブレードを囲むドーム形の生地捏ね部と、前記生地捏ね部の上方に設けられた回転体状の生地返し部を備えることを特徴とする請求項1に記載の自動製パン機。
  3. 前記混練体は、前記生地捏ね部と生地返し部の間に、放射方向に突き出す捏ねアームを備えることを特徴とする請求項2に記載の自動製パン機。
  4. 前記回転軸と混練体が別個のモータで駆動されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の自動製パン機。
  5. 前記回転軸を回転させるモータと、前記混練体を回転させるモータは、共通の制御装置で制御されることを特徴とする請求項4に記載の自動製パン機。
  6. 前記回転軸及び粉砕ブレードと前記混練体は、自動製パン機内に設けた昇降デッキに支持され、前記昇降デッキの昇降で、前記パン容器の内部に垂下した状態と、前記パン容器から引き上げられた状態をとり得ることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の自動製パン機。
  7. 前記回転軸及び粉砕ブレードと前記混練体が前記パン容器から引き上げられた状態で、パンの焼成が行われることを特徴とする請求項6に記載の自動製パン機。
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