JP2010246234A - 車載用電源装置 - Google Patents

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隆浩 浦壁
Yuya Tanaka
優矢 田中
Giichi Tsunoda
義一 角田
Takao Mitsui
貴夫 三井
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Abstract

【課題】電気機器と電力の授受を行うにあたって、電気機器が低負荷状態、無負荷状態であっても、効果的に効率の低下を防止する車載用電源装置を得る。
【解決手段】制御装置5からのゲート制御信号6に従って変換主回路4内の半導体スイッチング素子をオン、オフさせて直流電源3と電気機器9の間を昇圧動作、降圧動作するにあたって、電圧変換器2の一次側電圧と電流、電圧変換器2の二次側電圧と電流、回転機巻線の電圧と電流、回転機15aの回転速度と回転機巻線の電流の四組の状態量情報に基づいて電力負荷量を算定し、電力負荷量に応じてゲート制御信号の周波数、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度を調整する。
【選択図】図17

Description

本発明は、車載用電源装置、特に車両の状態や車載用電源装置に組み合わされる電気機器の状態に応じて車載用電源装置内の半導体スイッチング素子のゲート制御信号を調整することを特徴とする車載用電源装置に関するものである。
従来の車載用電源装置として、例えば、特許文献1に開示されたDC/DC電力変換装置を直流電源と組み合わせ、車両に用いるものがある。この装置では、電力変換装置を構成する半導体スイッチング素子の直列接続体を平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る回路を単位回路として、複数の該単位回路を直列に接続すると共に、上記複数回路の上記高電圧側素子と上記低電圧側素子との接続点を中間端子として、一の単位回路の中間端子と他の単位回路の中間端子との間にそれぞれ電力移行用のコンデンサとインダクタの直列体を接続する。この構成によってDC/DC電力変換装置を小型とすることができる。
WO 2008/032424号公報
しかしながら、上記DC/DC電力変換装置を車載用電源装置として適用した場合、特に電気機器が低負荷時、すなわち、車載用電源装置の扱い電力が小さい場合に、電気機器に供給する電力に比して、車載用電源装置自身の動作のために消費する電力が相対的に大きくなり、効率が低下するという問題があった。
これは、低負荷時には、導通電流が小さくなることから、電流導通に伴って電流経路の抵抗成分によって生じる導通損失や、半導体スイッチング素子のターンオン、ターンオフ時に半導体スイチング素子に導通する電流と半導体スイッチング素子の電流路の両端電圧の時間積として生じるターンオン損失、ターンオフ損失は小さくなるものの、半導体スイッチング素子のオン、オフ制御を行う際のゲート部分に構造的に存在する容量(ゲート容量
)成分への電荷の充放電や、半導体スイッチング素子の電流路の両端間に存在する容量(
出力容量)成分への電荷の充放電に伴う電力は、導通電流の多少に大きな影響を受けず、
ある一定量が固定的に存在する。これは、例え、電気機器が無負荷状態であり、導通電流が理論的にゼロとなる状態であっても、半導体スイッチング素子のオン、オフ動作を行う限り、ゲート容量成分、出力容量成分の充放電に消費される電力が損失として生じることとなる。このことより、電気機器の負荷量が小さいほど、車載用電源装置の効率が低下するという課題があった。
この効率が低下する課題に対し、電気機器の負荷量がゼロの場合には車載用電源装置の動作を停止し、半導体スイッチング素子のオン、オフに伴い生じる損失をカットすることも考えられるが、わずかでも負荷量が有る場合には動作を停止できない。また、動作を停止すれば、DC/DC電力変換装置に備わるコンデンサの漏れ電流によって車載用電源装置と電気機器の接続端子部の電圧が低下してしまう。電気機器の負荷量が回復する際に接続端子部の電圧が低下して動作電圧範囲外となっていれば、再び動作電圧範囲内まで電圧を増加させるまでの間、電気機器は稼動できず、起動時間遅れを生じて、不適当である。
特に、電気機器の動作が車両の乗員に体感できる場合には、起動時間遅れについて違和感を与えるため、商品性を削ぎ、好ましくない。例えば、電気機器がハイブリッド自動車
において内燃機関と連動する回転機とインバータである場合、燃費向上のため、車両停止期間中に内燃機関の動作を休止(アイドルストップ)するが、この状態から車両発進に際して回転機によって内燃機関を再始動する場合に、インバータ、及び、回転機の起動時間遅れが発生すると、乗員の不安感を高めることとなり、ひいては車両の商品性を損なうおそれがある。
また、電気機器の動作が車両の乗員に体感できない場合であっても、車載用電源装置の生涯使用期間に亘って、電気機器の低負荷状態、無負荷状態の滞留比率が高い場合には、効率向上が、より重要となる。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、車両に用いられて電気機器と電力の授受を行うにあたって、電気機器が低負荷状態、無負荷状態であっても、効果的に効率の低下を防止する車載用電源装置を提供することを目的とする。
また、車載用電源装置内のコンデンサの漏れ電流に起因する電気機器の負荷量回復時の起動時間遅れの発生の防止と、車載用電源装置の効率向上とを両立する車載用電源装置を提供することを目的とする。
この発明に係る車載用電源装置は、直流電源と、一次側接続端子が上記直流電源に接続され、二次側接続端子が電気機器と接続される電圧変換器と、情報伝送手段を備え、上記電気機器と電力の授受を行う車載用電源装置であって、上記電圧変換器は、上記一次側接続端子と二次側接続端子との間に、半導体スイッチング素子から成る高電圧側素子及び低電圧側素子を直列接続して平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る2以上の回路を直列に接続して、該複数の回路の内、所定の一回路と他の回路との間にそれぞれ電力移行用のコンデンサを接続し、かつ上記コンデンサを充放電する経路にインダクタを配した変換主回路と、上記半導体スイッチング素子のオン、オフの状態を制御するゲート制御信号を生成し、上記半導体スイッチング素子に伝送する制御装置とを具備し、上記情報伝送手段は、車両の状態の検出信号、上記車載用電源装置の状態の検出信号、および、上記電気機器の状態の検出信号のいずれか一つ以上を信号処理して上記制御装置へ情報伝送するものであり、上記制御装置は、上記情報伝送手段からの入力情報に基づいて上記電気機器の電力負荷量を算出し、該電力負荷量に応じて上記ゲート制御信号を調整するようにしたものである。
この発明の車載用電源装置によれば、制御装置は車両の状態、及び/または、電気機器の状態に基づいてゲート制御信号を調整することで、電気機器が低負荷状態、無負荷状態であることを把握して、半導体スイッチング素子のオン、オフに伴い発生する損失を低減し、車載用電源装置の効率を向上させることができる。このため、車載用電源装置の生涯使用期間に亘って、電気機器の低負荷状態、無負荷状態の滞留時間比率が高い場合であっても、総損失量を効果的に低減することが可能となる。
また、車載用電源装置に内蔵するコンデンサの漏れ電流によって車載用電源装置と電気機器の接続端子の電圧が低下してしまうことを防ぎ、電気機器の負荷量が回復する際の電圧増加過程による起動時間遅れを解消する効果がある。
上述した、またその他の、この発明の目的、特徴、効果は、以下の実施の形態における詳細な説明および図面の記載からより明らかとなるであろう。
本発明の実施の形態1の車載用電源装置と、電気機器を組み合わせたシステムの全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1の電力の流れを説明する模式図である。 本発明の実施の形態1における変換主回路の詳細な回路配線図である。 本発明の実施の形態1におけるゲート制御信号とMOS-FET導通電流の波形図である。 従来技術による電圧変換器の効率特性図である。 従来技術による電圧変換器の損失内訳を説明する図である。 MOS-FETと端子間に寄生する容量成分の模式図である。 MOS-FETのターンオン動作過程を説明する図である。 MOS-FETのターンオン動作時のゲート容量充電動作を説明する図である。 MOS-FETのターンオフ動作過程を説明する図である。 MOS-FETのターンオフ動作時の出力容量充電動作を説明する図である。 従来技術によるゲート制御信号出力休止時の動作を説明する波形図である。 本発明の実施の形態1におけるゲート制御信号とMOS-FET導通電流の波形図である。 本発明の実施の形態1におけるゲート制御信号の調整動作を説明する図である。 本発明の実施の形態1におけるゲート制御信号の調整動作を説明する図である。 本発明の実施の形態1におけるゲート制御信号の調整動作を説明する図である。 本発明の実施の形態2の車載用電源装置と、電気機器を組み合わせたシステムの全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における電機システム情報伝送手段の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における制御装置の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2における回転機の回転速度と電力負荷量の関係を示す図である。 本発明の実施の形態2における電力処理手段の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3におけるハイブリッド車の構成要素を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3の車載用電源装置と、電気機器を組み合わせたシステムの全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における制御装置の詳細な構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3における車両の速度と回転機の回転速度の関係を示す図である。
以下、この発明の実施の形態の車載用電源装置について、図面を参照して説明する。
なお、各図中、同一符号は、同一あるいは相当部分を示すものとする。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるシステムの全体構成を示すブロック図であり、図1において、車載用電源装置1は電圧変換器2と直流電源3から構成されている。
電圧変換器2は、変換主回路4と制御装置5を備えており、電圧変換器2と直流電源3の間は、電力経路の接続端子として、変換主回路4の一次側の高電圧側端子P1、低電圧側
端子N1を介して接続されている。
また、車載用電源装置1の外部には電力の授受を行う電気機器9があり、車載用電源装置1と組合わさって、車両に用いられる電機システムを構成している。電気機器9と電圧変換器2の間は、電力経路の接続端子として変換主回路4の二次側の高電圧側端子P2、低電圧側端子N2を介して接続されている。
電圧変換器2は一次側に接続する直流電源3と二次側に接続する電気機器9との間で、一次側接続端子電圧と二次側接続端子電圧を変換し、相互に電力授受する。この時、電圧の変換は、制御装置5から出力されるゲート制御信号6に従い、変換主回路4に備わる半導体スイッチング素子のオン、オフを制御することによってなされる。
情報伝送手段7は、車両の状態の検出信号、車載用電源装置の状態の検出信号、電気機
器の状態の検出信号のいずれか一つ以上を信号処理して状態情報8となし、制御装置5へ伝送する。
制御装置5は情報伝送手段7からの状態情報8に基づいて電気機器9の電力負荷量を算定し、後述する方法で周波数の増減、間欠による信号休止頻度の増減により、ゲート制御信号6を調整する。
図2は、実施の形態1における直流電源3と電気機器9との間の電圧変換と電力の流れを模式的に図示したものである。
図2において、直流電源3は充電、放電の両動作が可能な電源であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池、鉛電池といった二次電池の他、太陽電池、燃料電池などの電源に電気二重層キャパシタや二次電池を組み合わせたものなどが想定される。
電気機器9は少なくとも電気負荷を含んで発電装置、及び/または、蓄電装置と組み合わさって成る電力消費、電力供給の両動作が可能な機器である。
電圧変換器2は一次側接続端子電圧V1と二次側接続端子電圧V2について、V1≦V2の関係のもとで電圧変換を行う。ここで、図2(a)に示すように、直流電源3が放電動作であり電気機器9が電力消費動作の場合、電圧変換器2は一次側から二次側の方向へ電圧を昇圧して電力を送り込む。また、図2(b)に示すように、直流電源3が充電動作であり電気機器9が電力供給動作の場合、電圧変換器2は二次側から一次側の方向へ電圧を降圧して電力を送り込む。
ここで、電圧変換器2の詳細な動作内容について図3から図12を用いて説明する。
図3は変換主回路4の回路配線を示す図であり、一次側から二次側へ最大比率4倍で昇圧
の、二次側から一次側へ最大比率1/4倍で降圧の、電圧変換を行うものの例である。
変換主回路4は、一次側接続端子P1、N1の間の電圧V1、二次側接続端子P2、N
2の間の電圧V2を平滑化し、またエネルギ移行のための電圧源としても機能する平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3、Cs4と、複数の半導体スイッチング素子であるMOS-FETとを備え

二つのMOS-FETを組(Mos1L、Mos1H)、(Mos2L、Mos2H)、(Mos3L、Mos3H)、(Mos4L、Mos4H)として低電圧側半導体スイッチング素子、高電圧側半導体スイッチング素子の直
列体とし、各平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3、Cs4の両端子間に接続した単位回路A1、A2、A3、A4を直列接続して構成されている。
さらに、回路A1と回路A2内の高電圧側MOS-FETと低電圧側MOS-FETの接続点を中間端子として、回路A1の中間端子と回路A2の中間端子との間に、電力移行用コンデンサCr12とインダクタLr12の直列体を接続する。
また、同様に、回路A1の中間端子と回路A3の中間端子との間に、電力移行用コンデンサCr13とインダクタLr13の直列体を、回路A1の中間端子と回路A4の中間端子との間に、電力移行用コンデンサCr14とインダクタLr14の直列体を、それぞれ接続する。
これら、電力移行用コンデンサとインダクタの直列体は電力移行素子として機能する。
尚、各MOS-FETは、ソース、ドレイン間に寄生ダイオードが形成されているパワーMOS-FETである。
続けて、変換主回路4の接続の詳細について説明する。
平滑コンデンサCs1の両端子は、変換主回路4の一次側の高電圧側端子P1、低電圧側端
子N1に接続されており、低電圧側端子N1は変換主回路4の二次側の低電圧側端子N2とも接続の上、接地されている。高電圧側端子P1は、平滑コンデンサCs2の一方の端子
に接続され、平滑コンデンサCs2の他方の端子は平滑コンデンサCs3の一方の端子に接続される。さらに、平滑コンデンサCs3の他方の端子は平滑コンデンサCs4の一方の端子に、平滑コンデンサCs4の他方の端子は変換主回路4の二次側の高電圧側端子P2に接続されて
いる。
Mos1Lのソース端子は端子N1に、ドレイン端子はMos1Hのソース端子に、Mos1Hのドレ
イン端子は端子P1に接続されている。
Mos2Lのソース端子は平滑コンデンサCs2の低電圧側の端子に、Mos2Lのドレイン端子はMos2Hのソース端子に、Mos2Hのドレイン端子は平滑コンデンサCs2の高電圧側の端子に接続されている。
Mos3Lのソース端子は平滑コンデンサCs3の低電圧側の端子に、Mos3Lのドレイン端子はMos3Hのソース端子に、Mos3Hのドレイン端子は平滑コンデンサCs3の高電圧側の端子に接続されている。
Mos4Lのソース端子は平滑コンデンサCs4の低電圧側の端子に、Mos4Lのドレイン端子はMos4Hのソース端子に、Mos4Hのドレイン端子は端子P2に接続されている。
電力移行用コンデンサCr12とインダクタLr12の直列体の一端は、Mos1LとMos1Hの接続点に接続され、他端はMos2LとMos2Hの接続点に接続されている。
電力移行用コンデンサCr13とインダクタLr13の直列体の一端は、Mos1LとMos1Hの接続点に接続され、他端はMos3LとMos3Hの接続点に接続されている。
電力移行用コンデンサCr14とインダクタLr14の直列体の一端は、Mos1LとMos1Hの接続点に接続され、他端はMos4LとMos4Hの接続点に接続されている。
それぞれ、Cr12とLr12の直列体、Cr13とLr13の直列体、Cr14とLr14の直列体の容量値とインダクタンス値から定まる共振周期の値は、等しくなるように設定されている。
また、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3、Cs4の容量値は、電力移行用コンデンサCr12、Cr13、Cr14の容量値と比較して十分大きな値に設定されている。
図3には示されない制御装置5からは、ゲート制御信号6としてMOS-FETをオン、オフ
制御するための信号が、MOS1L、Mos1H、Mos2L、Mos2H、Mos3L、Mos3H、Mos4L、Mos4Hに対応して、それぞれGate1L、Gate1H、Gate2L、Gate2H、Gate3L、Gate3H、Gate4L、Gate4H信号として、絶縁伝送素子121L、121H、122L、122H、123L、123H、124L、124Hに入力される。
絶縁伝送素子121L、121Hの出力端子はゲート駆動回路111の入力端子に接続されており、ゲート制御信号を電気的に絶縁して、ゲート駆動回路111に伝送する。
同様に、絶縁伝送素子122L、122Hの出力端子はゲート駆動回路112の入力端子に、絶縁伝送素子123L、123Hの出力端子はゲート駆動回路113の入力端子に、絶縁伝送素子124L、124Hの出力端子はゲート駆動回路114の入力端子に接続されており、絶縁伝送素子122L、122H、123L、123H、124L、124Hは、入力したゲート制御信号を電気的に絶縁して、それぞれ、ゲート駆動回路112、113、114に伝送する。
絶縁伝送素子121L、121H、ゲート駆動回路111は、Mos1Lのソース端子を基準電位と
した電源Vs1に接続されており、動作のための電力供給を受ける。
同様に、絶縁伝送素子122L、122H、ゲート駆動回路112は、Mos2Lのソース端子を基準
電位とした電源Vs2に、絶縁伝送素子123L、123H、ゲート駆動回路113は、Mos3Lのソース端子を基準電位とした電源Vs3に、絶縁伝送素子124L、124H、ゲート駆動回路114は
、Mos4Lのソース端子を基準電位とした電源Vs4に接続されており、それぞれ、動作のための電力供給を受ける。
尚、ゲート駆動回路111〜114は、一般的なブートストラップ方式の駆動回路であり、ハーフブリッジインバータ回路駆動用のドライバICや高電圧側のMOS-FETを駆動するた
めのコンデンサ等で構成されている。
ゲート駆動回路111の出力端子は、Mos1L、Mos1Hのゲート端子に接続されており、Mos1LはGate1L信号に、Mos1HはGate1H信号に対応したゲート駆動回路111の出力信号に従って、オン、オフ動作する。
また、同様に、ゲート駆動回路112の出力端子は、Mos2L、Mos2Hのゲート端子に、ゲート駆動回路113の出力端子は、Mos3L、Mos3Hのゲート端子に、ゲート駆動回路114の出力端子は、Mos4L、Mos4Hのゲート端子に、接続されており、Mos2LはGate2L信号に、Mos2HはGate2H信号に対応したゲート駆動回路112の出力信号に、Mos3LはGate3L信号に、Mos3HはGate3H信号に対応したゲート駆動回路113の出力信号に、Mos4LはGate4L信号に
、Mos4HはGate4H信号に対応したゲート駆動回路114の出力信号に、それぞれ従って、
オン、オフ動作する。
次に、変換主回路4の動作の詳細について説明する。
上述のように、図3に示した変換主回路4は、一次側接続端子P1、N1から二次側接続端子P2、N2へ最大比率4倍で昇圧の、二次側接続端子P2、N2から一次側接続端子P1、N1へ最大比率1/4倍で降圧の電圧変換を行う。
まず、一次側から二次側への昇圧動作について説明する。
一次側電圧V1を、約4倍に昇圧された二次側電圧V2として端子P2、N2間に出力するものであり、また、二次側に接続された電気機器9が電力消費動作のため、二次側電圧V2は4×V1 (一次側電圧の4倍値)よりも低い値となっている。定常状態では、平滑
コンデンサCs1には一次側電圧V1と同電圧が充電されており、平滑コンデンサCs2、Cs3
、Cs4には平均的に(V2−V1)/3の電圧が充電されている。
ここで、単位回路A1は、一次側端子P1、N1間に入力される電力を、MOS-FET(Mos1L、Mos1H)のオン、オフ動作により、高電圧側(二次側)に送る駆動用スイッチ回路として
用いられる。また、単位回路A2、A3、A4は、駆動用スイッチ回路A1で駆動された電流を整流し、電力を高電圧側に移行する整流回路として用いられる。
この単位回路内のMOS-FETのオン、オフ動作と導通する電流の関係を図示すると、図4(
a)のようになる。図4(a)は、低電圧側MOS-FET(Mos1L、Mos2L、Mos3L、Mos4L)に対応す
るゲート制御信号Gate xL、高電圧側MOS-FET(Mos1H、Mos2H、Mos3H、Mos4H)に対応するゲート制御信号Gate xH、駆動用スイッチ回路A1および整流回路A2〜A4内の高電圧側MOS-FET(Mos1H、Mos2H〜Mos4H)に流れる電流、低電圧側MOS-FET(Mos1L、Mos2L〜Mos4L
)に流れる電流を示したものである。
駆動用スイッチ回路A1内のMOS-FETではドレインからソースに電流が流れ、整流回路
A2〜A4内のMOS-FETではソースからドレインに電流が流れる。MOS-FETは、ゲート制御信号がハイ電圧でオンする。
図4(a)のように、ゲート制御信号(Gate xL、Gate xH)は、LrとCrの直列体のインダクタンス値、容量値で定まる共振周期をスイッチング周期に合わせたデューティ 約50
%のオン、オフ信号である。
低電圧側MOS-FETへのゲート制御信号Gate xLによって、各単位回路A1〜A4の低電
圧側MOS-FETであるMos1L、Mos2L、Mos3L、Mos4Lがオン状態となると、電圧差があるため
、平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に蓄えられた一部の電力が、以下に示す経路でコンデン
サCr12、Cr13、Cr14に移行する。
Cs1⇒Mos2L⇒Lr12⇒Cr12⇒Mos1L
Cs1⇒Cs2⇒Mos3L⇒Lr13⇒Cr13⇒Mos1L
Cs1⇒Cs2⇒Cs3⇒Mos4L⇒Lr14⇒Cr14⇒Mos1L
次いで、高電圧側MOS-FETへのゲート制御信号Gate xHによって、各単位回路A1〜A4の高電圧側MOS-FETであるMos1H、Mos2H、Mos3H、Mos4Hがオン状態となると、電圧差があ
るため、コンデンサCr12、Cr13、Cr14に充電された電力が、以下に示す経路で平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4に移行する。
Cr12⇒Lr12⇒Mos2H⇒Cs2⇒Mos1H
Cr13⇒Lr13⇒Mos3H⇒Cs3⇒Cs2⇒Mos1H
Cr14⇒Lr14⇒Mos4H⇒Cs4⇒Cs3⇒Cs2⇒Mos1H
このように、コンデンサCr12、Cr13、Cr14の充放電により、平滑コンデンサCs1から平
滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4に電力を移行する。そして、端子P1とN1の間に入力され
た一次側電圧V1を約4倍に昇圧された二次側電圧V2にして端子P2、N2間に出力する。また、各電力移行用コンデンサCr12、Cr13、Cr14には、インダクタLr12、Lr13、Lr14が直列に接続されてLC直列体を構成するため、この電力の移行動作は共振現象を利用したものとなり、大きな電力量を効率よく移行できる。
また、整流回路A2〜A4にMOS-FETを用いており、ソースからドレイン方向に電流を
流す際にも、MOS-FET部分に導通させるため、ダイオードを用いたものに比して導通損失
が低減でき、電力変換の効率を向上できる。
次に、二次側から一次側への降圧動作について説明する。
この場合、単位回路A2〜A4を駆動用スイッチ回路に、単位回路A1を整流回路として用いる。二次側電圧V2を約1/4倍に降圧された一次側電圧V1として端子P1、N1間に出力するものであり、また、二次側に接続された電気機器9が電力供給動作のため、一次側電圧V1は1/4×V2(二次側電圧の1/4倍値)よりも低い値となっている。
この単位回路内のMOS-FETのオン、オフ動作と導通する電流の関係を図示すると、図4(
b)のようになる。図4(b)は、低電圧側MOS-FET(Mos1L、Mos2L、Mos3L、Mos4L)に対応す
るゲート制御信号Gate xL、高電圧側MOS-FET(Mos1H、Mos2H、Mos3H、Mos4H)に対応するゲート制御信号Gate xH、整流回路A1および駆動用スイッチ回路A2〜A4内の高電圧側MOS-FET(Mos1H、Mos2H〜Mos4H)に流れる電流、低電圧側MOS-FET(Mos1L、Mos2L〜Mos4L
)に流れる電流を示したものである。
駆動用スイッチ回路A2〜A4内のMOS-FETではドレインからソースに電流が流れ、整
流回路A1内のMOS-FETではソースからドレインに電流が流れる。MOS-FETは、ゲート制御信号がハイ電圧でオンする。この各MOS-FET内の電流の導通方向は、図4(a)に示され
る昇圧動作時の導通方向と逆のものであり、単位回路が受け持つ役割に対応した極性となっている。すなわち、駆動用スイッチ回路のMOS-FETはドレインからソースへ、整流回路
のMOS-FETはソースからドレインに電流が導通する。
尚、昇圧動作時のゲート制御信号と同じく、降圧動作時も、図4(b)のように、ゲート制御信号(Gate xL、Gate xH)は、LrとCrの直列体のインダクタンス値、容量値で定まる共振周期をスイッチング周期に合わせたデューティ 約50%のオン、オフ信号である。
高電圧側MOS-FETへのゲート制御信号Gate xHによって、各単位回路A1〜A4の高電圧側MOS-FETであるMos1H、Mos2H、Mos3H、Mos4Hがオン状態となると、電圧差があるため、
平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4に蓄えられた一部の電力が、以下に示す経路でコンデンサCr12、Cr13、Cr14に移行する。
Cs2⇒Cs3⇒Cs4⇒Mos4H⇒Lr14⇒Cr14⇒Mos1H
Cs2⇒Cs3⇒Mos3H⇒Lr13⇒Cr13⇒Mos1H
Cs2⇒Mos2H⇒Lr12⇒Cr12⇒Mos1H
次いで、低電圧側MOS-FETへのゲート信号Gate xLによって、各単位回路A1〜A4の低電圧側MOS-FETであるMos1L、Mos2L、Mos3L、Mos4Lがオン状態となると、電圧差があるた
め、コンデンサCr12、Cr13、Cr14に充電された電力が、以下に示す経路で平滑コンデンサCs1、Cs2、Cs3に移行する。
Cr14⇒Lr14⇒Mos4L⇒Cs3⇒Cs2⇒Cs1⇒Mos1L
Cr13⇒Lr13⇒Mos3L⇒Cs2⇒Cs1⇒Mos1L
Cr12⇒Lr12⇒Mos2L⇒Cs1⇒Mos1L
このように、コンデンサCr12、Cr13、Cr14の充放電により、平滑コンデンサCs2、Cs3、Cs4から平滑コンデンサCs1に電力を移行する。そして、端子P2とN2の間に入力された二次側電圧V2を、約1/4倍に降圧された一次側電圧V1にして端子P1、N1間に出力する。また、降圧動作の場合も、前述の昇圧動作の場合と同様に、電力の移行動作は各電力移行用コンデンサCr12、Cr13、Cr14とインダクタLr12、Lr13、Lr14が直列接続されたLC直列体の共振現象を利用したものとなり、大きな電力量を効率よく移行できる。また、整流回路A1にMOS-FETを用いており、ソースからドレイン方向に電流を流す際にも、MOS-FET部分に導通させるため、ダイオードを用いたものに比して導通損失が低減でき、電力変換の効率を向上できる。
以上のように、変換主回路4は、制御装置5から入力するゲート制御信号6に基づいて内部のMOS-FETをオン、オフ制御することにより、電圧変換器2として、一次側から二次
側の方向へ電圧を昇圧して電力を送り込む昇圧動作と、二次側から一次側の方向へ電圧を降圧して電力を送り込む降圧動作との、双方の動作を行うことができる。
ここで、電気機器9の電力負荷量に対する電圧変換器2の効率の特性は、図5に図示するものとなる。図5は、横軸に電気機器9の電力負荷量を電力消費時に正極性、電力供給時に負極性として表し、縦軸に電圧変換器2の効率を表した図である。
図5において、電気機器の負荷量の絶対値が小さい場合には低効率であるものの、負荷量の絶対値が大きくなると効率も増加する。しかし、さらに負荷量の絶対値が大きくなると効率は上昇から下降へ転換し、この後は負荷量の絶対値の増加に連れて、効率は下降を続ける。この負荷量に対する効率の特性は、電気機器9が電力消費動作であっても、電力供
給動作であっても同様である。
ここで、負荷量の絶対値が小さい場合の動作点を点A、大きい場合の動作点を点Bと表すと、点A、点Bでの電圧変換器2で発生する損失の内訳は、図6のように例示される。点A、点Bの発生損失を対比すると、負荷量に連動する損失成分と負荷量に非連動な損失成分に大きく分かれる。負荷量に連動する損失成分は点Bにおいて大部分を占め、点Bの効率低下の主要因である。
負荷量に連動する損失成分は、電流導通に伴って電流経路の抵抗成分によって生じる導通損失が大きく、次いで、半導体スイッチング素子のターンオン、ターンオフ時に半導体スイチング素子に導通する電流と、半導体スイッチング素子の電流路の両端電圧の時間積として生じるターンオン損失、ターンオフ損失を有する。電力負荷量の増加は、電流導通量の増加に影響し、また、導通損失は導通電流の二乗に略比例することから、電力負荷量が増加するほど、導通損失が著しく増加し、効率は低下する。
一方、点Aにおいて導通電流が小さいため、負荷量に連動する損失成分は極めて小さくなり、損失全体に占める割合は小さくなる。
負荷量に非連動の損失成分としては、半導体スイッチング素子のゲート容量充電損失成
分と出力容量充電損失成分、及び、その他成分に分かれる。非連動の損失成分は、点A、点Bにおいて、同程度に存在し、ゲート容量充電損失成分と出力容量充電損失成分が主なものとなる。点Bでは電力負荷量が大のため導通損失が大であり、これら負荷量非連動の損失成分の効率低下への影響度は低いが、点Aでは、電力負荷量が小さい一方で負荷量非
連動の損失成分が固定的に存在するため、(電力負荷量−全損失)/電力負荷量 の関係
から算出される効率は低下する。このことが、すなわち、電気機器の負荷量が小さいほど、車載用電源装置の効率が低下するという課題の原因である。
続いて、非連動の損失成分である半導体スイッチング素子のゲート容量充電損失成分と出力容量充電損失成分に関して、さらに詳しく述べる。
図7は、半導体スイッチング素子を代表してMOS-FETと、その端子間に寄生する容量成分
を模式的に示したものであり、MOS-FETと寄生容量成分を電気記号で表している。
図中、MOS-FETの端子として記号Dはドレイン端子を、記号Sはソース端子を、記号Gは
ゲート端子を示し、ゲート-ソース間には容量CGSが、ゲート-ドレイン間には容量CGDが、ドレイン-ソース間には容量CDSが、それぞれ半導体の形成構造に起因して寄生している。ゲート容量充電損失成分と出力容量充電損失成分は、この寄生容量の充放電動作に伴って生じるものである。
まず、ゲート容量充電損失成分について、図8と図9を用いて説明する。
図8は、横軸に時間の経過を表し、縦軸に(a)としてゲート制御信号の電圧レベルを、(b)としてMOS-FETのG(ゲート)-S(ソース)間電圧VGSを、(c)としてMOS-FETのD(
ドレイン)-S(ソース)間電圧VDSと、D(ドレイン)の導通電流IDを、時間を同期させて表
したものであり、MOS-FETはゲート制御信号がハイ電圧の時にオンし、ロー電圧の時にオ
フする。MOS-FETがオフ状態からオン状態へ移行する動作をターンオンと称し、図8にタ
ーンオンの動作過程について示している。
図9は、ターンオン動作時のMOS-FETのゲート容量充電動作について説明する図であり
、図中、60はMOS-FETを、61はゲート制御信号源を、601はG(ゲート)-S(ソース)間容量CGSの充放電電流を、602はG(ゲート)-D(ドレイン)間容量CGDの充放電電流で
ある。ゲート制御信号源61は図8(a)のゲート制御信号の波形図に示すハイ電圧、ロー電圧を生成して、G(ゲート)端子に伝送する。
図8において、ターンオン動作過程は、時刻ta1からta4までの変化で表され、時刻ta1
からta2までの期間をS1、時刻ta2からta3までの期間をS2、時刻ta3からta4までの期
間をS3で表す。
ターンオンの動作過程は次のようになる。
先ず、時刻ta1でゲート制御信号がロー電圧からハイ電圧に切替り、図9(a)のCGS充放電電流601の矢印の方向に電流が流れCGSは充電されるとともに、図8(b)のように
電圧VGSは増加し、時刻ta2で所定の閾値(一般的にスレショルド電圧Vthと表される)に達
する[期間S1]。MOS-FETは時刻ta2よりオンし始め、D−S間電圧VDSは減少、ドレイン
電流IDは増加し始める。D−S間電圧VDSが減少することから、G−D間の電圧も減少す
ることとなり、CGDの両端電圧は減少し、図9(b)のCGD充放電電流602の矢印の方向に電流が流れ放電される。CGDの放電の間、CGSの充電は一旦休止し、電圧VGSの増加は止
んで一定値となる[期間S2]。時刻ta3でCGDの放電がほぼ終了すると、図9(a)のようにCGS充放電電流601の矢印の方向に電流が流れCGSの充電が再開する。電圧VGSは増加
して行き、ゲート制御信号のハイ電圧に達して、時刻ta4でターンオン動作が終了する[期間S3]。
以上のように、ターンオン動作に際してCGSの充電、CGDの放電が起こる。
図示しないが、これとは逆にMOS-FETがオン状態からオフ状態へ移行するターンオフ動作
によってCGSの放電、CGDの充電が起こり、時刻ta1のターンオン前における各電荷充放電
状態に戻る。
このようにゲート制御信号のオン、オフを一対として、CGSの充放電、CGDの放充電が生じるため、寄生容量CGS、CGDから成るゲート容量の充電損失が、電力負荷量の多寡に関わらず発生することとなる。
続いて、出力容量充電損失成分について、図10と図11を用いて説明する。
図10は、図8と同様に横軸に時間の経過を表し、縦軸に(a)としてゲート制御信号の電圧レベルを、(b)としてMOS-FETのG(ゲート)-S(ソース)間電圧VGSを、(c)とし
てMOS-FETのD(ドレイン)-S(ソース)間電圧VDSと、D(ドレイン)の導通電流IDを、時間
を同期させて表したものであり、MOS-FETはゲート制御信号がハイ電圧の時にオンし、ロ
ー電圧の時にオフする。図10にターンオフの動作過程について示している。
図11は、ターンオフ動作時のMOS-FETの出力容量充電動作について説明する図であり
、図中、60はMOS-FETを、61はゲート制御信号源を、603はD(ドレイン)-S(ソー
ス)間容量CDSの充放電電流である。ゲート制御信号源61は図10(a)のゲート制御信号の波形図に示すハイ電圧、ロー電圧を生成して、G(ゲート)端子に伝送する。
図10において、ターンオフ動作過程は、CDSの充放電に注目して時刻tb1からtb4まで
の変化で表され、時刻tb1からtb2までの期間をS4、時刻tb2からtb3までの期間をS5、時刻tb3からtb4までの期間をS6で表す。
ターンオフの動作過程は次のようになる。
先ず、時刻tb1でゲート制御信号がハイ電圧からロー電圧に切替り、図10(b)のよう
に電圧VGSは減少(G(ゲート)-S(ソース)間容量CGSを放電)し、時刻tb2で所定の閾値(Vth)に達する[期間S4]。時刻tb2よりD−S間電圧VDSは増加し始めることより、CDSの両端電圧は増加し、図11のCDS充放電電流603の矢印の方向に電流が流れ充電される。
また、図示しないが同時にG(ゲート)-D(ドレイン)間容量CGDが充電される。この間、CGSの放電は一旦休止し、電圧VGSの減少は止んで一定値となる。時刻tb3ではD−S間電圧VDSはほぼ増加しきる[期間S5]。時刻tb3でCGDの充電がほぼ終了するとCGSの放電が再開
し、D(ドレイン)の導通電流IDは減少していく。時刻tb4でIDは減少しきって、ターンオ
フ動作が終了する[期間S6]。
上述のように、ターンオフ動作に際してCDSの充電が起こる。図示しないが、これとは
逆にターンオン動作によってCDSの放電が起こり、時刻tb1でのターンオフ前における電荷充放電状態に戻る。
このようにゲート容量成分と同様、出力容量成分に関してもゲート制御信号のオン、オフを一対として、CDSの充放電が生じるため、この充電損失が、電力負荷量の多寡に関わ
らず発生することとなる。
以上のようにゲート制御信号のオン、オフ動作に伴い、半導体スイッチング素子のゲート容量充電損失と出力容量充電損失が生じ、これに起因して電気機器の負荷量が小さいほど、車載用電源装置の効率が低下してしまう。これを回避するために、例えば、電力負荷量がゼロ(無負荷)の場合にゲート制御信号のオン、オフ動作を停止して、ゲート容量充電損失と出力容量充電損失を無くすことが考えられる。しかし、この場合、ゲート制御信号のオン、オフ動作停止中に、変換主回路4内の平滑コンデンサCs1〜Cs4の漏れ電流によって電圧変換器2の二次側端子P2、N2間の電圧V2が低下してしまう。電圧V2の低下によって電気機器9の動作電圧範囲外となってしまうと、電気機器9の電力負荷量が回復する際に、再び動作電圧範囲内まで電圧を増加させるまでの間、電気機器は稼動できず、起動時間遅れを生じて問題である。これを図示すると図12のようになる。
図12は、横軸に時間の経過を表し、縦軸にゲート制御信号Gate xL、Gate xH、及び、電圧変換器2の二次側端子P2、N2間の電圧V2を表した波形図である。図の時刻tc1
においてゲート制御信号のオン、オフ動作を停止すると、半導体スイッチング素子のゲート容量充電損失と出力容量充電損失は無くなるが、平滑コンデンサCs1〜Cs4の漏れ電流によって電圧V2が低下して行く。時刻tc2で電力負荷量をゲート制御信号のオン、オフ動
作を再開する際に、電圧V2が電気機器9の動作電圧範囲下限を下回っていると、ゲート制御信号のオン、オフ動作によって電圧V2が再び増加して電気機器動作電圧範囲下限に達する時刻tc3までは電気機器9は稼動できないため、時刻tc2からtc3までの間は電圧ス
タンバイ遅れ期間となってしまう。
また、僅かでも電力負荷量が有る場合には、ゲート制御信号のオン、オフ動作を停止できず、ゲート容量充電損失と出力容量充電損失の削減効果は限定的である。
これに対応すべく、この実施の形態1においては、電気機器9の電力負荷量に応じてゲート制御信号6を、周波数の増減、及び/または、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減によって調整することで、電気機器が低負荷状態、無負荷状態であることを識別して、上述のゲート容量充電損失と出力容量充電損失を削減する。このことを、図13〜図16を用いて説明する。
図13(a)、(b)、(c)、(d)は、電圧変換器2の一次側から二次側へ電圧を昇圧して電力を送り込む昇圧動作であって、(a)がゲート制御信号の調整をいずれも行わない場合、(b)がゲート制御信号の周波数を減少させた場合、(c)がゲート制御信号を間欠させた場合、(d)がゲート制御信号の周波数を減少させ、かつ、ゲート制御信号を間欠させた場合を示しており、それぞれ、横軸に時間の経過を表し、縦軸に低電圧側MOS-FETに対応するゲート制御信号Gate xL、高電圧側MOS-FETに対応するゲート制御信号Gate xH、低電圧側、高電圧側各MOS-FETのゲート容量又は出力容量の充電タイミング、
低電圧側、高電圧側各MOS-FETの導通電流を、時間を同期させて表したものである。
図13(a)を参照して、ゲート制御信号Gate xL、Gate xHは図4(a)に図示されるものと同じであり、周期T1でGate xLとGate xHの位相差を180度とした矩形波信号であ
る。Gate xLがハイ電圧の場合に低電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。
またGate xHがハイ電圧の場合に高電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。
Gate xL、Gate xHのいずれか一方は間断なくハイ電圧となることから、低電圧側MOS-FET
と高電圧側MOS-FETのいずれかに常に電流が流れる。これは上述の電圧変換器2の動作原
理に則った電力移送動作を繰り返している状態であって、電気機器9の電力負荷量が大きい場合であっても、最大限の能力で電力移送を行う。この場合、MOS-FETのゲート容量又
は出力容量の充電タイミングはゲート制御信号Gate xL、Gate xHそれぞれのターンオン、ターンオフタイミング毎に発生しており、すなわち、低電圧側、高電圧側各MOS-FETのゲ
ート容量充電損失又は出力容量充電損失は間断なく発生している。
これに対し図13(b)は、ゲート制御信号Gate xL、Gate xHの周波数を減少させ、周期を3×T1である矩形波信号とした場合を示している。Gate xLがハイ電圧の場合に低
電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。またGate xHがハイ電圧の場合に高電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。しかし、電流の導通は電力移行用コンデンサCrとインダクタLrの直列体による共振現象を利用したものであり、図示されるようにゲート制御信号のタ
ーンオンタイミングを起点に周期T1/2の間に電流が流れる。これは、電力移行用コンデンサCrの容量とインダクタLrのインダクタンスで定まる共振周期に依存してMOS-FETに
電流が流れるためである。
ゲート制御信号の周期を3×T1と増加(周波数を1/3倍に減少)させることから、電流の導通頻度は1/3倍に減少する。よって、同様の電力負荷量ならば、図13(a)の場合に比してMOS-FETの導通電流の振幅は大きくなる。しかしながら、MOS-FET、電力移行用コンデンサCr、及び、インダクタLrの許容電流に上限制約があることを考慮すれば、図13(b)のようにゲート制御信号の周波数を減少させて行くと電圧変換器2が取り扱える
電力負荷量の上限も減少して行くこととなる。
一方、ゲート容量又は出力容量の充電タイミングはゲート制御信号の周波数の減少に連れて減少するため、低電圧側、高電圧側各MOS-FETのゲート容量充電損失又は出力容量充
電損失も減少することになる。
言い換えると、電気機器の電力負荷量が小さい場合には、上述のようにゲート制御信号のオン、オフ動作を停止する方法によって平滑コンデンサCs1〜Cs4の漏れ電流に起因する電圧変換器2の二次側電圧V2の低下を引き起こすようなことなく、電力負荷量の大小に合わせてゲート制御信号の周波数を調整することにより、適切にMOS-FETのゲート容量充電
損失と出力容量充電損失を低減し、電圧変換器2の効率を向上することができる。
この電力負荷量に対するゲート制御信号の周波数の調整は、図14に示されるような形態で実現することができる。
図14は横軸を電力負荷量、縦軸をゲート制御信号周波数とした関係図であり、電力負荷量に対応するゲート制御信号周波数の設定を表すものである。制御装置5は、このゲート制御信号周波数の設定値に対応してゲート制御信号6を生成し変換主回路4へ伝送する。
図中、fLCは電力移行用コンデンサCrの容量とインダクタLrのインダクタンスで定まる
共振周波数であり周波数調整範囲の上限である。fL_LMTは周波数調整範囲の下限として設定する周波数である。
fL_LMTとして、代表的には電気機器9の無負荷状態における電圧変換器2の負荷量非連動損失に基づいて設定する値と可聴周波数帯の上限周波数とのいずれか高い周波数に設定すると良い。
すなわち、周波数を低下し過ぎると、上述のゲート制御信号のオン、オフ動作を停止した場合と同様に、平滑コンデンサの漏れ電流によって電圧変換器2の二次側電圧V2が低下してしまい、電気機器9の動作電圧範囲外となる問題が生じ得るため、MOS-FETのゲート
容量充電損失と出力容量充電損失が妥当な量まで低減できるのに相当する周波数を周波数調整範囲の下限に設定する、若しくは、可聴周波数帯の上限周波数を周波数調整範囲の下限に設定し、ゲート制御信号周波数を低下しても、騒音として聞こえないようにする。
両者のいずれか高い周波数に設定することは、両者ともの問題発生を避けることに対応する。
図14で、電力負荷量が大きい場合、ゲート制御信号の周波数は周波数調整範囲の上限のfLCに調整される。電力負荷量が減少すると、その電力負荷量に対応したゲート制御信
号の周波数の一点に調整される。さらに電力負荷量が減少するとfL_LMTに調整される。
周波数調整範囲上限fLCと周波数調整範囲下限fL_LMTとの間は連続的に結ばれており、ゲ
ート制御信号の周波数は連続的に変化する。
尚、図14では周波数調整範囲上限fLCと周波数調整範囲下限fL_LMTとの間を直線状に結
んでいるが、必ずしもこの限りでなく、連続的な曲線状に結ばれていても良い。ゲート制御信号の周波数を連続的に調整することは、電圧変換器2の取扱い電力負荷量の上限も連続的に推移することとなるため、電力負荷量の急峻な変化に対しても、昇圧動作の過渡的な変動を抑制し、振動的な動作となるのを防ぐことができる。
また、電力負荷量に対するゲート制御信号の周波数調整の別な方法として、図15に示されるような形態で実現することもできる。
図15は横軸を電力負荷量、縦軸をゲート制御信号周波数とした関係図であり、電力負荷量に対応するゲート制御信号周波数の設定を表すものである。図中、fLCは図14で示す
ものと同じく電力移行用コンデンサCrの容量とインダクタLrのインダクタンスで定まる共振周波数であり周波数調整範囲の上限である。またfL_LMTは図14で示すものと同じく周波数調整範囲の下限として設定する周波数であって、fLC、fL_LMTは図14で例示した上
述の設定値で良い。
図14に対する相違は、周波数調整範囲上限fLCと周波数調整範囲下限fL_LMTとの間が連
続的に結ばれておらず、1以上の電力負荷量閾値Laに関して、ヒステリシス特性を持ってゲート制御信号の周波数を切替える点である。
図15で、電力負荷量閾値LaはLa1とLa2の二つ、ゲート制御信号周波数設定値はfLC、fm
、fL_LMTの三段階である。
電力負荷量が大きい状態から小さい状態へ推移するとすれば、まず電力負荷量がLa1よ
り大きい場合にゲート制御信号周波数はfLCに設定される。ここから電力負荷量が低下し
てLa1以下となった時点でゲート制御信号周波数はfmに設定される。さらに電力負荷量が
低下してLa2以下となった時点でゲート制御信号周波数はfL_LMTに設定される。
逆に、電力負荷量が小さい状態から大きい状態へ推移するとすれば、まず電力負荷量がLa2+ΔLaより小さい場合にゲート制御信号周波数はfL_LMTに設定される。ここから電力負荷量が上昇してLa2+ΔLa以上となった時点でゲート制御信号周波数はfmに設定される。さらに電力負荷量が上昇してLa1+ΔLa以上となった時点でゲート制御信号周波数はfLCに設
定される。
ΔLaはヒステリシス特性の緩衝幅であり、電力負荷量の変動幅がΔLaを超えない限りゲート制御信号周波数を切替えないことで、電力負荷量の微小で頻繁な変動が有ってもこれに反応せずゲート制御信号周波数を頻繁には切替えないよう働く。
このように、ゲート制御信号の周波数は段階的に変化するものであるから、ゲート制御信号の生成に係る処理量を軽減することができる。
すなわち、ゲート制御信号の周波数を連続的に変化させようとすると、ゲート制御信号の生成をアナログの電子回路により行う場合は、一般的に発振回路の周波数を設定する受動素子の定数を連続的に変化させることで行うが、受動素子の定数のばらつきに起因してゲート制御信号の周波数を高精度に設定することが難しい。
また、マイクロプロセッサなどディジタル演算回路を援用してゲート制御信号の生成を行う場合にも、ゲート制御信号の周波数を連続的に変化させるためにゲート制御信号の周波数に対して充分高速な演算処理を行う必要があり、部品が高価となる。
ゲート制御信号の周波数を段階的に変化させる方式であれば、ゲート制御信号の生成をアナログの電子回路により行う場合に、発振回路の受動素子を異なる定数で切替える形態で実現でき、また、ゲート制御信号の生成をディジタル演算回路を援用して行う場合に低速な演算処理でかまわないため廉価な部品を用いて実現できる。
以上説明した形態で、ゲート制御信号の周波数の調整が行われ、ひいては電力負荷量に対応付けてゲート容量充電損失と出力容量充電損失の調整が行われる。
尚、図14、図15に関して、電力負荷量が正、すなわち電気機器9が電力を消費している場合について説明しているが、これは、図13(b)にて電圧変換器2が昇圧動作であることに対応する便宜上のものである。図14、図15の横軸を電力負荷量の絶対値と読み替えてゲート制御信号の周波数を調整すれば、電力負荷量が負、すなわち電気機器9が電力を供給している場合についても対応する。
次にゲート制御信号を間欠させる場合を、図13(c)と図16を用いて説明する。
図13(c)は、図13(a)に対してゲート制御信号Gate xL、Gate xHを間欠し、4パ
ルス中の3パルスを休止した場合を示している。
Gate xLがハイ電圧の場合に低電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。またGate xHがハ
イ電圧の場合に高電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。しかし、電流の導通は上述の
図13(b)に係る説明と同じく、図示されるようにゲート制御信号のターンオンタイミングを起点に周期T1/2の間となる。
4パルス中の3パルスを休止しているため、電流の導通頻度は1/4倍に減少する。
よって、電圧変換器2が取り扱える電力負荷量の上限も減少するが、ゲート容量又は出力容量の充電タイミングはゲート制御信号の間欠によって減少するため、低電圧側、高電圧側各MOS-FETのゲート容量充電損失又は出力容量充電損失も減少することになる。
すなわち、電気機器の電力負荷量が小さい場合には、上述のようにゲート制御信号のオン、オフ動作を停止する方法によって平滑コンデンサCs1〜Cs4の漏れ電流に起因する電圧変換器2の二次側電圧V2の低下を引き起こすようなことなく、電力負荷量の大小に合わせてゲート制御信号の間欠による信号休止頻度を調整することにより、適切にMOS-FETのゲ
ート容量充電損失と出力容量充電損失を低減し、電圧変換器2の効率を向上することができる。
この電力負荷量に対するゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の調整は、図16に示されるような形態で実現することができる。
図16は横軸を電力負荷量、縦軸をゲート制御信号の間欠休止パルス数とした関係図であり、電力負荷量に対応するゲート制御信号周波数の休止頻度の設定を表すものである。電力負荷量閾値LbはLb0からLb(m-1)のm個、ゲート制御信号間欠休止パルス数の設定は0からmの(m+1)段階であり、各電力負荷量閾値Lbに関して、ヒステリシス特性を持ってゲート制御信号間欠休止パルス数の設定を切替える。
制御装置5は、パルス数Nを組単位として、この内、間欠休止パルスの設定数だけ、パルス出力を休止するようゲート制御信号6を生成し変換主回路4へ伝送する。
ここで、間欠休止パルス数最大設定値mと組単位パルス数Nの比m/Nは、代表的には電気機器9の無負荷状態における電圧変換器2の負荷量非連動損失に基づいて設定すると良い。
すなわち、周波数を低下し過ぎると、上述のゲート制御信号のオン、オフ動作を停止した場合と同様に、平滑コンデンサの漏れ電流によって電圧変換器2の二次側電圧V2が低下してしまい、電気機器9の動作電圧範囲外となる問題が生じるため、MOS-FETのゲート容
量充電損失と出力容量充電損失が妥当な量まで低減できるのに相当するm/Nの値を設定する。
ゲート制御信号の間欠休止パルス数設定動作について、電力負荷量が大きい状態から小さい状態へ推移するとすれば、まず電力負荷量がLb0より大きい場合に、ゲート制御信号
の間欠休止パルス数はゼロ、すなわち、パルスは休止せず、Gate xL、Gate xHのいずれか一方は間断なくハイ電圧となり、低電圧側MOS-FETと高電圧側MOS-FETのいずれかに常に電流が流れるように設定される。
ここから電力負荷量が低下してLb0以下となった時点で間欠休止パルス数は1に設定さ
れる。これは、ゲート制御信号のパルス組単位のうち1パルスの出力を休止することである。さらに電力負荷量が低下してLb1以下となった時点で間欠休止パルス数は2に、電力
負荷量がLb2以下となった時点で間欠休止パルス数は3に、という具合に順次間欠休止パ
ルス数を増やして行く。電力負荷量が低下してLb(m−1)以下となった時点で間欠休止パルス数は最大値であるmに設定され、これより電力負荷量が低下しても、間欠休止パルス数設定値はmを保持する。
逆に、電力負荷量が小さい状態から大きい状態へ推移するとすれば、まず電力負荷量がLb(m−1)+ΔLbより小さい場合に、ゲート制御信号の間欠休止パルス数は最大値である
mに設定される。
ここから電力負荷量が上昇してLb(m−1)+ΔLb以上となった時点で間欠休止パルス数はm−1に設定される。さらに電力負荷量が上昇してLb(m−2)+ΔLb以上となった時点で
間欠休止パルス数はm−2に設定される。ここから電力負荷量が上昇していった場合も、
電力負荷量に応じて、順次、間欠休止パルス数を減少して行く。電力負荷量が上昇してLb0+ΔLb以上となった時点で間欠休止パルス数はゼロに設定され、これより電力負荷量が上昇しても、間欠休止パルス数設定値はゼロを保持する。
ΔLbはヒステリシス特性の緩衝幅であり、電力負荷量の変動幅がΔLbを超えない限りゲート制御信号の間欠休止パルス数を切替えないことで、電力負荷量の微小で頻繁な変動が有ってもこれに反応せずゲート制御信号の間欠休止パルス数を頻繁には切替えないよう働く。
このように、ゲート制御信号の間欠休止パルス数を段階的に増減調整することで、MOS-FETのゲート容量充電損失と出力容量充電損失を調整することができる。
ゲート制御信号の間欠によるパルス休止動作は、ゲート制御信号6を生成する制御装置5において、各ゲート制御信号のパルス数をカウントし、カウント値と間欠休止パルス数の突き合わせによってパルス出力の実行、停止を切替えることで実現できるため、この機能をアナログの電子回路で実現する場合も、マイクロプロセッサなどのディジタル演算回路を援用して実現する場合も、いずれであっても廉価な部品を用いて実現できる。
以上説明した形態で、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の調整が行われれ、ひいては電力負荷量に対応付けてゲート容量充電損失と出力容量充電損失の調整を行える。尚、図16に関して、電力負荷量が正、すなわち電気機器9が電力を消費している場合について説明しているが、これは、図13(c)にて電圧変換器2が昇圧動作であることに対応する便宜上のものである。
図16の横軸を電力負荷量の絶対値と読み替えてゲート制御信号の間欠による信号休止頻度を調整すれば、電力負荷量が負、すなわち電気機器9が電力を供給している場合についても対応する。
尚、上述の電力負荷量に対応付けたゲート制御信号の周波数の調整、及び、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の調整は、必ずしも単独に適用する必要は無く、組合わせても良い。
図13(d)は、ゲート制御信号Gate xL、Gate xHの周波数を減少させて周期を3×T1である矩形波信号とし、さらに、ゲート制御信号を間欠し、2パルス中の1パルスを休止した場合を示している。
図13(d)において、Gate xLがハイ電圧の場合に低電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。またGate xHがハイ電圧の場合に高電圧側MOS-FETはオンし電流が導通する。
しかし、電流の導通は上述の図13(b)、図13(c)に係る説明と同じく、図示されるようにゲート制御信号のターンオンタイミングを起点に周期T1/2の間となる。
図13(d)に示されるように、ゲート制御信号の周波数の減少と、間欠動作による信号休止頻度の増加の双方に対応して、ゲート容量又は出力容量の充電タイミングは減少するため、低電圧側、高電圧側各MOS-FETのゲート容量充電損失又は出力容量充電損失も減
少する。
さらには、調整対象の操作量がゲート制御信号の周波数とゲート制御信号の間欠休止パルス数の二つあることから、半導体スイッチング素子のオン、オフタイミングを二自由度で操作できることに該当する。よって、所定期間内でオン、オフ回数を同数に保ちつつ、オン、オフタイミングを時間的に前後へ容易にずらすことができる。このため、オン、オフタイミングの間隔、すなわち、スイッチングの間隔を分散可能であり、スイッチングによるノイズの周波数を特定の周波数に集中させず、分散できる。
従って、図14、図15に示す周波数調整範囲の下限fL_LMTでの半導体スイッチング素子のオン、オフ回数よりさらに回数を減少させつつも、スイッチングに係るノイズ成分の周波数を分散、最大振幅を低減(=ノイズのエネルギを低減)でき、スイッチングの周波数帯が可聴周波数帯に含まれるとしても耳障りな騒音を抑止できる効果を得る。
以上のように、この発明の実施の形態1の車載用電源装置によれば、電力負荷量に応じてゲート制御信号を、周波数の増減、及び/または、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減によって調整することで、電気機器の電力負荷量が低い場合に、半導体スイッチング素子のオン、オフに伴って発生する損失を低減し、効率を向上させることができる。このため、車載用電源装置の生涯使用期間に亘って、電気機器の低負荷状態、無負荷状態の滞留時間比率が高い場合であっても、総損失量を効果的に低減することが可能となる。
また、車載用電源装置に内蔵するコンデンサの漏れ電流によって車載用電源装置と電気機器の接続端子の電圧が低下してしまうことを防ぎ、電気機器の負荷量が回復する際の電圧増加過程による起動時間遅れを解消する効果がある。
また、ゲート制御信号の周波数の下限を、電気機器の無負荷状態における電圧変換器の消費電力に基づいて定める周波数と可聴周波数帯の上限周波数とのいずれか高い周波数に設定することで、半導体スイッチング素子のオン、オフ動作に伴う騒音の発生という別の課題が新規に生じるのを防止できる。
尚、上述の実施の形態1においては、変換主回路に、半導体スイッチング素子から成る高電圧側素子及び低電圧側素子を直列接続して平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る単位回路を4つ直列に接続する構成の例を示したが、必ずしもこれに限定されず、単位回路を2以上の整数n個で直列に接続する構成でもよい。この場合、電圧変換器は一次側から二次側へ最大比率n倍で昇圧の、二次側から一次側へ最大比率1/n倍で降圧の電圧変換を行うものとなる。
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を、図17〜図21を用いて説明する。
図17はこの発明の実施の形態2におけるシステムの全体構成を示すブロック図であり、図17において図1と同一の符号を付したものは、同一または相当部分を示す。
また、図1との同一または相当部分は、実施の形態1と同様に作用し、同様な効果を得ることができるため、適宜説明を省略する。
この実施の形態2においては、電気機器9としてインバータと回転機の対を二つ備えており、(I)電圧変換器と直流電源の間の電圧と電流、(II)電圧変換器とインバータの間
の電圧と電流、(III)インバータと回転機の間の電圧と電流、(IV)回転機の回転速度とイ
ンバータ及び回転機の間の電流、の四組の状態量情報の内、いずれか一組以上の状態量情報より、電気機器9の電力負荷量を算定する。さらに、電力負荷量に基づいて、周波数の増減、及び/または、間欠による信号休止頻度の増減によってゲート制御信号6を調整することで、電気機器の電力負荷量が低い場合に、半導体スイッチング素子のオン、オフに伴って発生する損失を低減し、効率を向上するものである。
図17において、電気機器9は、回転機15aとこれに組合わさるインバータ16a、回転機15bとこれに組合わさるインバータ16b、回転機15aの回転を検出する回転検出器17a、回転機15bの回転を検出する回転検出器17b、回転機15aとインバータ16aの接続端子の電圧を検出する回転機電圧検出器18a、回転機15bとインバータ16bの接続端子の電圧を検出する回転機電圧検出器18b、回転機15aとインバータ16aの間で回転機15aに流れる電流を検出する回転機電流検出器19a、回転機15bとインバータ16bの間で回転機15bに流れる電流を検出する回転機電流検出器19bから構成されている。
また、車載用電源装置1は、電圧変換器2の一次側接続端子P1、N1間の電圧を検出
する一次側電圧検出器21、電圧変換器2と直流電源3の間の電流を検出する一次側電流検出器22、電圧変換器2の二次側接続端子P2、N2間の電圧を検出する二次側電圧検出器23、電圧変換器2とインバータ16a、16bとの間の電流を検出する二次側電流検出器24、上述の回転機の回転、回転機の電圧、電流、電圧変換器の一次側の電圧、電流、電圧変換器の二次側の電圧、電流の各検出器からの検出信号を入力して電機システム状態情報8aとなし、制御装置5へ伝送する電機システム情報伝送手段7aを備えている。
ここで、各検出器の検出信号は電気信号であり、電機システム情報伝送手段7a、制御装置5は電子部品で構成される回路によって動作する。
次に、詳細な構成と動作について説明する。
まず、回転機15aは三相の交流回転機であって、そのU相、V相、W相の三相巻線はそれぞれU、V、Wの接続端子を介してインバータ16aの二次側電力経路と接続している。また、インバータ16aの一次側電力経路は電圧変換器2の二次側の接続端子P2、N2を介して変換主回路4に接続されている。
回転機15bも三相の交流回転機であって、その三相巻線はU、V、Wの接続端子を介してインバータ16bの二次側電力経路と接続している。また、インバータ16bの一次側電力経路はインバータ16aの場合と同様に電圧変換器2の二次側の接続端子P2、N2を介して変換主回路4に接続されている。すなわち、インバータ16aとインバータ16bの一次側電力経路は接続されており、接続端子P2、N2間の電圧V2が等しく印加される。
インバータ16a、16bはそれぞれ半導体スイッチング素子を内蔵しており、後述の回転機制御ユニットが処理する制御演算の結果として、ゲート制御信号を入力して半導体スイッチング素子がオン、オフ動作をする。このオン、オフ動作は回転機15a、15bのトルクや回転速度を所望の状態に制御するためにU、V、Wの接続端子間の電圧の振幅と位相を調整するものであり、インバータ16a、16bは一次側の直流電力と二次側の三相交流電力を相互に変換して電力の授受を行う。
ここで、回転機15a、15bは電力を機械力として変換出力する力行動作と機械力を電力として変換出力する回生動作の双方向の動作を行う。力行動作は電力を消費し、回生動作は電力を供給する。
インバータ16aの一次側電力経路とインバータ16bの一次側電力経路は、共に電圧変換器2の二次側の接続端子P2、N2へ接続されていることから、電気機器9の電力負荷量は回転機15aと回転機15bの電力の和となる。
すなわち、回転機15aと回転機15bがいずれも同程度に電力負荷量を持っていても、一方が力行動作、他方が回生動作であれば、電力の和は相殺されて車載用電源装置1から見た電気機器9の電力負荷量は小さいものとなる。また、回転機15aと回転機15bの電力の和に依存して電気機器9が電力消費状態であるか電力供給状態であるかが切替り、これに対応して、電圧変換器2が昇圧動作であるか降圧動作であるかが切替る。
昇圧動作の場合、電圧変換器2は一次側から二次側の方向へ電圧を昇圧して直流電源3の放電電力を送り込み、降圧動作の場合、電圧変換器2は二次側から一次側の方向へ電圧を降圧して直流電源3へ充電電力を送り込む。
以上の電気機器9と車載用電源装置1の構成、動作において、本発明の実施の形態1に係るゲート制御信号6の調整は、上述の各検出器からの検出信号により算定した電力負荷量見積りに基づいて行われる。
検出器の動作として、電気機器9において、回転検出器17aは回転機15aの回転速度207aを、回転検出器17bは回転機15bの回転速度207bを、回転機電圧検出器18aは回転機15aの三相巻線の線間の回転機電圧208aを、回転機電圧検出器18
bは回転機15bの三相巻線の線間の回転機電圧208bを、回転機電流検出器19aは回転機15aの三相巻線に流れる回転機電流209aを、回転機電流検出器19bは回転機15bの三相巻線に流れる回転機電流209bをそれぞれ検出する。
また、車載用電源装置1において、一次側電圧検出器21は電圧変換器2の一次側の接続端子P1、N1間の一次側電圧201を、二次側電圧検出器23は電圧変換器2の二次側の接続端子P2、N2間の二次側電圧203を、一次側電流検出器22は電圧変換器2の一次側の電力経路に流れる一次側電流202を、二次側電流検出器24は電圧変換器2の二次側の電力経路に流れる二次側電流204をそれぞれ検出する。
これら、各検出器の出力信号は、電機システム情報伝送手段7aに入力される。
電機システム情報伝送手段7aは、各検出器の出力信号を信号処理し、電機システム状態情報8aとして制御装置5へ伝送する。
電機システム情報伝送手段7aの構成は図18に例示される。
図18において、電機システム情報伝送手段7aは信号インタフェース回路71aと回転機制御ユニット72aを備えている。各検出器からの信号201〜204、207a、
207b、208a、208b、209a、209bは、信号インタフェース回路71a、回転機制御ユニット72aのいずれか、もしくは両方に入力する。
信号インタフェース回路71aは、入力信号を電子回路によって例えばノイズ除去、ダイナミックレンジ調整などの波形整形や、入力信号のアナログ波を時間離散化し、パルス幅変調を掛けてディジタル波に変換するといった信号処理を施した後、情報81aとして出力する。
回転機制御ユニット72aは、マイクロプロセッサなどのディジタル演算回路によって回転機15a、15bを制御するための制御演算を行い、インバータ16a、16bが内蔵する半導体スイッチング素子をオン、オフ動作するためのゲート制御信号を出力する。回転機制御のための制御演算に際して、回転機の回転速度、回転機に流れる電流、回転機巻線の線間電圧、インバータの直流側電圧などを用いることから、回転機制御ユニット
72aには、上述の回転速度207a、207b、回転機電圧208a、208b、回転機電流209a、209b、電圧変換機の二次側電圧203、二次側電流204が入力されている。
さらに、回転機制御ユニット72aは、回転機15a、15bのトルクや回転速度の目標値を受信したり、回転機の制御状態を送信するよう、図示しない別な制御ユニットとの間で、例えばCAN (Controller Area Network)やLIN (Local Interconnect Network)
といった規格に拠って通信する機能を持つ。
この通信機能を用いて、回転機制御ユニット72aは上述の検出信号を信号処理し、情報82aとして送信する。
以上の情報81a、82aは、電機システム状態情報8aとして制御装置5へ伝送される。
続いて制御装置5は、電機システム状態情報8aに基づいて電気機器9の電力負荷量を算定し、周波数の増減、間欠による信号休止頻度の増減により、ゲート制御信号6を調整する。制御装置5の詳細な構成は図19に示される。
図19において、31a、31bは回転速度処理手段、32a、32bは回転機電力処理手段、33は一次側電力処理手段、34は二次側電力処理手段、40aはゲート制御信号調整手段、41はゲート制御信号生成部、42は間欠処理部である。
電機システム状態情報8aは、電機システム情報伝送手段7aにて各検出器の検出信号に信号処理を施して伝送され、個別には、電圧変換器の一次側電圧情報301、一次側電流情報302、電圧変換器の二次側電圧情報303、二次側電流情報304、回転機15
aの回転速度情報307a、回転機電圧情報308a、回転機電流情報309a、回転機15bの回転速度情報307b、回転機電圧情報308b、回転機電流情報309bが伝送される。
制御装置5の具体的な動作は、次のようになる。
まず、回転速度処理手段31aは回転速度情報307aと回転機電流情報309aを入力して回転機15aの電力負荷量情報へ対応付けて出力する。
同じく、回転速度処理手段31bは回転速度情報307bと回転機電流情報309bを入力して回転機15bの電力負荷量情報へ対応付けて出力する。
回転速度情報、及び、回転機電流情報に対する回転機の電力負荷量情報の対応付けは、図20に基づいてなされる。
図20は横軸を回転機の回転速度、縦軸を回転機の電力負荷量として、回転速度に対する回転機の電力負荷量の変化範囲について、下端を特性線Jl、上端を特性線Juで囲われた領域Aで示している。
特性線Jlは回転機の出力トルクをゼロとした場合の回転機の負荷特性を示しており、回転機の無負荷損失に相当する。回転機が無負荷動作であるのに関わらず、回転速度が上昇するに連れて特性線Jlが増加するのは、回転軸の軸受けの抵抗分や、回転機の界磁弱めに要する電流の影響である。
また、特性線Juは回転機の出力トルクを最大とした場合の回転機の負荷特性を示している。回転機の機械出力は回転速度とと出力トルクの積に比例することから、低回転速度域では回転速度が上昇するに連れて電力負荷量は増加する。回転速度がna2以上の高回転速度域では、電力負荷量はPd2でクリップされる。これは、回転速度の上昇によって回転機の誘起電圧が増加し、回転速度na2でインバータが印可可能な電圧に飽和するため、これよりも高回転速度域では出力トルクを減少させて電力負荷量を制限するためである。
この図20において、特性線Juを領域Aの代表として見ると、回転速度na1での電力負荷量の最大値はPd1となる。Pd1を低負荷であるか否かの判定閾値とすれば、回転速度na1よりも低回転速度域では、電力負荷量はPd1よりも小さく、低負荷であると判定できる。
さらに、同一回転速度における特性線Juと特性線Jlの間は、回転機電流を用いて補間により算出できる。すなわち、特性線Juと特性線Jlは回転機の出力トルクが最大である場合とゼロの場合の特性を示しており、出力トルク量は回転機電流に略比例する関係から、特性線Juでの回転機電流設定値に対する実際の回転機電流値の割合によって、当該動作状態での回転機の電力負荷量を捕間して見積りできる。
また、回転機電力処理手段32aは回転機電圧情報308aと回転機電流情報309aを入力して、回転機15aの電力負荷量情報を出力する。
同じく、回転機電力処理手段32bは回転機電圧情報308bと回転機電流情報309bを入力して、回転機15bの電力負荷量情報を出力する。
さらに、一次側電力処理手段33は電圧変換器の一次側電圧情報301と一次側電流情報302を入力して、電気機器9の電力負荷量情報を出力する。
また、二次側電力処理手段34は電圧変換器の二次側電圧情報303と二次側電流情報304を入力して、電気機器9の電力負荷量情報を出力する。
回転機電力処理手段32a、32b、一次側電力処理手段33、二次側電力処理手段34の内部の構造は、図21に示すものとなる。
図21は電力処理手段の構造の雛形であり、電力処理手段38として乗算器381、電力演算部382を備える。電圧情報と電流情報が組 (308a、309a)、(308b、309b)、(301、302)、(303、304)として電力処理手段38に入力され、乗
算器381にて乗算される。この乗算結果は電力演算部382に入力され、例えば移動平均や上下限値でのクリッピング、時間経過に対する変化度合いの緩衝といったフィルタ演算を施されて出力される。
次に、回転速度処理手段31a、31b、回転機電力処理手段32a、32b、一次側電力処理手段33、二次側電力処理手段34の出力は、ゲート制御信号調整手段40aへ入力される。
ゲート制御信号調整手段40aは、回転速度処理手段31aと31bの出力どうしを加算したもの、回転機電力処理手段32aと32bの出力どうしを加算したもの、及び、一次側電力処理手段33の出力、二次側電力処理手段34の出力に基づいて、これらの内の平均値、最大値、最小値、あるいは他の諸演算法を用いて、ゲート制御信号6を周波数の増減、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減によって調整する際の参照元となる電気機器9の電力負荷量を算定する。
ここで、回転速度処理手段31aと31bの出力どうし、回転機電力処理手段32aと32bの出力どうしを加算するのは、上述のように電気機器9の電力負荷量が回転機15aと回転機15bの電力の和となるためである。
続いて、ゲート制御信号調整手段40aは算出した電気機器9の電力負荷量を参照し、実施の形態1で説明したゲート制御信号の周波数の増減調整方法、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減調整方法に則って、周波数の設定値をゲート制御信号生成部41へ、信号休止頻度となる間欠休止パルス数設定値を間欠処理部42へ伝送する。
ゲート制御信号生成部41は、入力された周波数設定値にてゲート制御信号を生成し、間欠処理部42へ出力する。
間欠処理部42は、伝送されたゲート制御信号に対して、そのパルス数をカウントし、そのカウント値と間欠休止パルス数の突き合わせによって当該カウント値でのパルス出力の実行、停止を切替える。
次に、間欠処理部42でのゲート制御信号の間欠休止処理を経て電力負荷量に応じた調整が済んだゲート制御信号6が、制御装置5から変換主回路4へ伝送される。
変換主回路4内では、ゲート制御信号6を構成するGate xLに従って低電圧側半導体スイ
ッチング素子が、Gate xHに従って高電圧側半導体スイッチング素子がオン、オフ動作を
行う。このオン、オフ動作によって電圧変換器2の一次側から二次側へ電圧を昇圧して電力を送り込む昇圧動作と、二次側から一次側へ電圧を降圧して電力を送り込む降圧動作がなされる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態2の車載用電源装置によれば、電気機器9に生じている電力負荷量は、それぞれ、(I)電圧変換器2の一次側電圧と電流、(II)
電圧変換器2の二次側電圧と電流、(III)回転機巻線の電圧と電流、(IV)回転機の回転速
度と回転機巻線の電流という、四組の状態量情報の組合せに基づいて昇圧動作、降圧動作の最中に算出されているため、電力負荷量に応じたゲート制御信号の調整は即時性をもって実行される。このため、電力負荷量の増減に追従して、より効果的に半導体スイッチング素子のオン、オフに伴って発生する損失を低減し、効率を向上できる。
また、実施の形態1で述べた効果に加えて、さらに、複数の電気機器の電力消費と電力供給が混在し、電気機器の状態に関する情報の入力数が多く、制御装置による電気機器の負荷状態の識別が難しい場合であっても、適切にゲート制御信号の周波数の増減、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減による調整を実施しつつ、安定的に電圧変換を行えるという効果がある。
尚、上述した実施の形態2では、電力負荷量の算定を、車載用電源装置1の状態である
(I)電圧変換器2の一次側電圧と電流、(II)電圧変換器2の二次側電圧と電流、及び、電
気機器の状態である(III)回転機巻線の電圧と電流、(IV)回転機の回転速度と回転機巻線
の電流、の四組の状態検出信号に基づいて行う例を示しているが、必ずしも全ての状態検出信号を用いて電力負荷量の算定を行う必要はない。
いずれの組の状態検出信号からも電力負荷量を算定することができるため、(I)から(IV)
のいずれか一組以上の状態検出信号を用いればよい。そのため、使用しない状態検出信号に対応する検出器は、別の用途で用いるものでない限り、備えていなくともよい。
また、本実施の形態2では、制御装置5における電力負荷量に応じたゲート制御信号の調整を、ゲート制御信号の周波数と、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度を設定する間欠休止パルス数の二つの操作量の調整によって行っているが、いずれか一つの操作量の調整で行ってもよい。
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を、図22〜図25を用いて説明する。
図22はこの発明の実施の形態3による車載用電源装置を適用した車両としてハイブリッド車の構成要素を示すブロック図、また、図23はこの発明の実施の形態3におけるシステムの全体構成を示すブロック図であり、図1、図17と同一の符号を付したものは、同一または相当部分を示す。また、図1、図17との同一または相当部分は、実施の形態1、実施の形態2と同様に作用し、同様な効果を得ることができるため、適宜説明を省略する。
この実施の形態3の車載用電源装置は、実施の形態2で示した構成において、さらに、回転機は動力伝達機構を介して車両の駆動力、及び/または、制動力を発し、車両の速度と関連するものであり、電気機器9の電力負荷量を、
(I) 電圧変換器と直流電源の間の電圧と電流、
(II) 電圧変換器とインバータの間の電圧と電流、
(III) インバータと回転機の間の電圧と電流、
(IV) 回転機の回転速度とインバータ及び回転機の間の電流、
(V) 車両の速度
(VI) 回転機の駆動負荷指示量と制動負荷指示量
の六組の状態量情報の内、いずれか一組以上の状態量情報より算定し、さらに、電力負荷量に基づいて、周波数の増減、および/または、間欠による信号休止頻度の増減によってゲート制御信号6を調整することで、電気機器の電力負荷量が低い場合に、半導体スイッチング素子のオン、オフに伴って発生する損失を低減し、効率を向上するものである。
図22において、ハイブリッド車の動力源たる内燃機関52の出力シャフトは、変速機50に連結されている。また、回転機15aの回転シャフトは連結シャフト51aを介して、回転機15bの回転シャフトは連結シャフト51bを介して、それぞれ変速機50に連結されている。変速機50の回転出力機構は差動歯車53に連結し、差動歯車53は、さらに、ドライブシャフト54、車輪55a、55bへと連結している。
回転機15a、15bと内燃機関52の動力は、変速機50で突き合わされて、差動歯車53、ドライブシャフト54、車輪55a、55bへと伝達することにより、車両の駆動力となる。
また、車両が減速する際には、車輪55a、55bで生じる制動力がドライブシャフト54、差動歯車53、変速機50と伝達して行き、回転機15a、15bへと伝わる。
ハイブリッド車では、車両の燃費改善を主目的に、内燃機関52、回転機15a、15bの動力が複雑に変化する。車両が加速する場合は、内燃機関52、回転機15a、15bの動力の総和は駆動であり、一方、車両が減速する場合は、内燃機関52、回転機15a、15bの動力の総和は制動である。
車両動作状態の滞留時間比率が高いのは、動力が低出力の場合であり、車両の急加減速時を除いて、車両の燃費改善のため、内燃機関52の動作点は、高効率運転領域に入るよう制御される。このことから、車両の状態を検出して、回転機15a、15bの電力負荷量の概略を算出することができる。
この実施の形態3においては、車両の状態の検出を、車両に備わる車両速度検出器57からの車両速度210、駆動指示発生器58からのアクセルペダルの踏量に類する駆動指示量211、制動指示発生器59からのブレーキペダルの踏量に類する制動指示量212に基づいて行う。
車両速度210、駆動指示量211、制動指示量212は車両情報伝送手段7bに入力され、信号処理を施されて、車両状態情報8bとして制御装置5へ伝送される。
次に、図23を参照して、車両情報伝送手段7bの構成と動作について説明する。
車両情報伝送手段7bは信号インタフェース回路71bと車両制御ユニット72bを備えている。車両速度210、駆動指示量211、制動指示量212は、車両制御ユニット72bに入力され、あるいは、さらに信号インタフェース回路71bにも入力される。
車両制御ユニット72bは、マイクロプロセッサ等のディジタル演算回路によって内燃機関52、回転機15a、15bの動力目標量を演算したり、内燃機関52、変速機50を制御するための制御演算を行う。
動力目標量の演算に際して、車両速度や、動力指示量を用いることから、車両制御ユニット72bには、車両速度210、駆動指示量211、制動指示量212が入力されている。また、車両制御ユニット72bは図示しない回転機制御ユニット72aへ、回転機15a、15bのトルクや回転速度の目標値を送信したり、図示しない別な制御ユニットとの間で情報の送受信を行うために、例えばCAN (Controller Area Network)やLIN (Local Interconnect Network)といった規格に拠って通信する機能を持つ。
この通信機能を用いて、車両制御ユニット72bは上述の車両速度210、駆動指示量211、制動指示量212を信号処理し、情報82bとして車両速度情報310、回転機15aの動力目標量311、回転機15bの動力目標量312を送信する。
また、信号インタフェース回路71bは、入力信号を電子回路によって例えばノイズ除去、ダイナミックレンジ調整などの波形整形や、入力信号のアナログ波を時間離散化し、パルス幅変調を掛けてディジタル波に変換するといった信号処理を施した後、情報81bとして出力する。これには、例えば、車両制御ユニット72bを経ずに車両速度210を信号処理した後、車両速度情報310として出力する場合がある。
以上の情報82b、81bは、車両状態情報8bとして制御装置5へ伝送される。
続いて制御装置5は、電機システム状態情報8aと車両状態情報8bとに基づいて、電気機器9の電力負荷量を算出し、周波数の増減、間欠による信号休止頻度の増減により、ゲート制御信号6を調整する。
制御装置5の詳細な構成は図24に示される。
図24において、35は速度変換部、36a、36bは回転速度処理手段、37は加算器である。尚、図24において、図19と同一の符号を付したものは、同一または相当部分を示しており、上述の実施の形態2と同様に作用して同様な効果を得ることができるため、適宜説明を省略する。
制御装置5は、電気機器9の電力負荷量を電機システム状態情報8aに基づいて算出するのに加えて、車両状態情報8bに基づいても算出する。
車両状態情報8bに基づく電力負荷量の算出は次のようになる。
まず、速度変換部35は車両速度情報310を入力して回転機15a、15bの回転速度情報307c、307dに変換してゲート制御信号調整手段40bへ出力する。
回転速度情報への変換は、図25に示す特性に基づいて行われる。
図25は、横軸を車両の速度、縦軸を回転機の回転速度とした関係図であり、特性線E1は回転機15aの特性を、特性線E2は回転機15bの特性を示している。車両の速度と回転機の回転速度の関係は、車輪55a、55bから回転機15a、15bの回転シャフトにいたる動力伝達機構の回転速度比に依存しており、特に変速機50での変速比の影響により変化するが、特性線E1、特性線E2として、それぞれ代表的な変速比による速度比を設定すればよい。
続いて、回転速度処理手段36aは、回転速度情報307cと回転機電流情報309aを入力して回転機15aの電力負荷量情報へ対応付けて出力する。
また、回転速度処理手段36bは、回転速度情報307dと回転機電流情報309bを入力して回転機15bの電力負荷量情報へ対応付けて出力する。
回転速度処理手段36a、36bの動作は、実施の形態1で説明した回転速度処理手段32a、32bの動作と同様である。
次に、加算器37は、回転機15aの動力目標量311と、回転機15bの動力目標量312を加算して、ゲート制御信号調整手段40bに伝送する。
ゲート制御信号調整手段40bは、回転速度処理手段31aと31bの出力どうしを加算したもの、回転機電力処理手段32aと32bの出力どうしを加算したもの、一次側電力処理手段33の出力、二次側電力処理手段34の出力、に加えて、さらに、回転速度処理手段36aと36bの出力どうしを加算したもの、加算器37の出力に基づいて、これらの内の平均値、最大値、最小値、あるいは他の諸演算法を用いて、ゲート制御信号6を周波数の増減、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減によって調整する際の参照元となる電気機器9の電力負荷量を算定する。
ここで、回転速度処理手段31aと31bの出力どうし、回転機電力処理手段32aと32bの出力どうし、回転速度処理手段36aと36bの出力どうしを加算するのは、電気機器9の電力負荷量が回転機15aと回転機15bの電力の和となるためである。
加算器37にて、回転機15aの動力目標量311と回転機15bの動力目標量312を加
算するのも、同じ理由である。
尚、回転速度処理手段31aと31bの出力どうしを加算したものは、回転速度処理手段36aと36bの出力どうしを加算したものに相当する情報であるため、ゲート制御信号調整手段40bには、いずれか一方が入力していればよい。
続いて、ゲート制御信号調整手段40bは算出した電気機器9の電力負荷量を参照し、実施の形態1で説明したゲート制御信号の周波数の増減調整方法、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減調整方法に則って、周波数の設定値をゲート制御信号生成部41へ、信号休止頻度となる間欠休止パルス数設定値を間欠処理部42へ伝送する。
以降の動作は、実施の形態2で説明したものと同じであり、ゲート制御信号生成部41は、入力した周波数設定値にてゲート制御信号を生成し、間欠処理部42へ出力する。
間欠処理部42は、伝送されたゲート制御信号に対して、そのパルス数をカウントし、そのカウント値と間欠休止パルス数の突き合わせによって当該カウント値でのパルス出力の実行、停止を切替える。
次に、間欠処理部42でのゲート制御信号の間欠休止処理を経て電力負荷量に応じた調整が済んだゲート制御信号6が、制御装置5から変換主回路4へ伝送される。
変換主回路4内では、ゲート制御信号6を構成するGate xLに従って低電圧側半導体スイ
ッチング素子が、Gate xHに従って高電圧側半導体スイッチング素子がオン、オフ動作を
行う。このオン、オフ動作によって電圧変換器2の一次側から二次側へ電圧を昇圧して電
力を送り込む昇圧動作と、二次側から一次側へ電圧を降圧してして電力を送り込む降圧動作がなされる。
以上、説明したように、この発明の実施の形態3の車載用電源装置によれば、電気機器9に生じている電力負荷量は、それぞれ、(I)電圧変換器2の一次側電圧と電流、(II)
電圧変換器2の二次側電圧と電流、(III)回転機巻線の電圧と電流、(IV)回転機の回転速
度と回転機巻線の電流、(V)回転機の動力目標量、(VI)車両の駆動指示量と制動指示量と
いう
、六組の状態量情報の組合せに基づいて昇圧動作、降圧動作の最中に算出されているため、電力負荷量に応じたゲート制御信号の調整は即時性をもって実行される。このため、電力負荷量の増減に追従して、より効果的に半導体スイッチング素子のオン、オフに伴って発生する損失を低減し、効率を向上できる。
また、実施の形態1、実施の形態2で述べた効果に加えて、さらに、電気機器がハイブリッド自動車において内燃機関と連動する回転機とインバータである場合、燃費向上のため、車両停止期間中に内燃機関の動作を休止した後、車両発進に際して回転機によって内燃機関を再始動する際に、インバータ、及び、回転機の起動時間遅れを無くし、乗員が不安感を持つことを避けることができるという効果がある。
尚、上述した実施の形態3では、電力負荷量の算出を、車載用電源装置1の状態である(I)電圧変換器2の一次側電圧と電流、(II)電圧変換器2の二次側電圧と電流、電気機器
の状態である(III)回転機巻線の電圧と電流、(IV)回転機の回転速度と回転機巻線の電流
、車両の状態である(V)車速、(VI)車両の駆動指示量と制動指示量、の六組の状態検出信
号に基づいて行う例を示しているが、必ずしも全ての状態検出信号を用いて電力負荷量の算出を行う必要はない。
いずれの組の状態検出信号からも電力負荷量を算出することができるため、(I)から(VI)
のいずれか一組以上の状態検出信号を用いればよい。そのため、使用しない状態検出信号に対応する検出器は、別の用途で用いるものでない限り、備えていなくともよい。
尚、この発明に関する実施の形態を、実施の形態1から実施の形態3によって説明したが、これら実施の形態は、本発明の好適な実施事例を例示したものに過ぎない。
本発明は、これら実施の形態の構成、動作に限定されるものでなく、本発明の範囲内にある限り、別な構成、動作へ変更を加えて実施してもよい。
1 車載用電源装置、2 電圧変換器、3 直流電源、4 変換主回路
5 制御装置、6 ゲート制御信号、7 情報伝送手段、
7a 電機システム情報伝送手段、7b 車両情報伝送手段、8 状態情報
8a 電機システム状態情報、8b 車両状態情報、9 電気機器、
15a、15b 回転機、16a、16b インバータ、
17a、17b 回転検出器、18a、18b 回転機電圧検出器、
19a、19b 回転機電流検出器、
21 一次側電圧検出器、22 一次側電流検出器、
23 二次側電圧検出器、24 二次側電流検出器、
31a、31b 回転速度処理手段、32a、32b 回転機電力処理手段、
33 一次側電力処理手段、34 二次側電力処理手段、
35 速度変換部、36a、36b 回転速度処理手段、
37 加算器、38 電力処理手段、40a、40b ゲート制御信号調整手段、
41 ゲート制御信号生成部、42 間欠処理部、
57 車両速度検出器、58 駆動指示発生器、59 制動指示発生器
60 MOS-FET、61 ゲート制御信号源、
71a、71b 信号インタフェース回路、72a 回転機制御ユニット、
72b 車両制御ユニット、
81a、82a 電機システム状態情報の一形態、
81b、82b 車両状態情報の一形態、
82a 電機情報制御ユニット信号、82b 車両情報制御ユニット信号、
111、112、113、114 ゲート駆動回路、
121H〜124H、121L〜124L 絶縁伝送素子、Vs1、Vs2、Vs3、Vs4 駆動用電源、
Cs1、Cs2、Cs3、Cs4 平滑コンデンサ、Cr12、Cr13、Cr14 電力移行コンデンサ、
Lr12、Lr13、Lr14 インダクタ、
Mos1H、Mos1L、Mos2H、Mos2L、Mos3H、Mos3L、Mos4H、Mos4L MOS-FET、
Gate1H、Gate1L、Gate2H、Gate2L、Gate3H、Gate3L、Gate4H、Gate4L ゲート制御信号、P1一次側高電位端子、N1 一次側低電位端子、
P2 二次側高電位端子、N2 二次側低電位端子。

Claims (6)

  1. 直流電源と、一次側接続端子が上記直流電源に接続され、二次側接続端子が電気機器と接続される電圧変換器と、情報伝送手段を備え、上記電気機器との間で電力の授受を行う車載用電源装置であって、上記電圧変換器は、上記一次側接続端子と二次側接続端子との間に、半導体スイッチング素子から成る高電圧側素子及び低電圧側素子を直列接続して平滑コンデンサの正負端子間に接続して成る2以上の回路を直列に接続すると共に、該複数の回路の内、所定の一回路と他の回路との間にそれぞれ電力移行用のコンデンサを接続し、かつ上記コンデンサを充放電する経路にインダクタを配した変換主回路と、上記半導体スイッチング素子のオン、オフの状態を制御するゲート制御信号を生成し、上記半導体スイッチング素子に伝送する制御装置とを具備し、上記情報伝送手段は、車両の状態の検出信号、上記車載用電源装置の状態の検出信号、および、上記電気機器の状態の検出信号のいずれか一つ以上を信号処理して上記制御装置へ情報伝送するものであり、上記制御装置は、上記情報伝送手段からの入力情報に基づいて上記電気機器の電力負荷量を算出し、該電力負荷量に応じて上記ゲート制御信号を調整するようにしたことを特徴とする車載用電源装置。
  2. 上記制御装置における上記ゲート制御信号の調整は、ゲート制御信号の周波数の増減、および/または、ゲート制御信号の間欠による信号休止頻度の増減によって行うことを特徴とする請求項1に記載の車載用電源装置。
  3. 上記直流電源は充電、放電の両動作が可能な電源であり、上記電気機器は、少なくとも電気負荷を含んで発電装置、および/または、蓄電装置と組み合わさって成る電力消費、電力供給の両動作が可能な機器であり、上記電圧変換器は、一次側接続端子から二次側接続端子へ電圧を昇圧して電力を移行する昇圧動作と、二次側接続端子から一次側接続端子へ電圧を降圧して電力を移行する降圧動作の双方向動作を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用電源装置。
  4. 上記電気機器は1台以上の回転機と1台以上のインバータとを備え、上記電気機器の状態の検出信号は、上記回転機の回転速度、及び、上記インバータと上記回転機の間の電圧、電流であり、上記車載用電源装置の状態の検出信号は、上記電圧変換器と上記インバータの間の電圧、電流、及び、上記電圧変換器と上記直流電源の間の電圧、電流であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車載用電源装置。
  5. 上記回転機は、動力伝達機構を介して車両の駆動力および/または制動力を発生し、車両の速度と関連するものであり、上記車両状態の検出信号は、上記車両の速度、上記車両の駆動指示情報、及び、上記車両の制動指示情報であることを特徴とする請求項4に記載の車載用電源装置。
  6. 上記ゲート制御信号の周波数は、上限が上記電力移行用コンデンサの容量と上記インダクタのインダクタンスとで決まる共振周波数であり、下限が上記電気機器の無負荷状態における上記電圧変換器の損失に基づいて定める周波数と可聴周波数帯の上限周波数とのいずれか高い周波数であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車載用電源装置。
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