JP2010244697A - 有機el装置、有機el装置の製造方法、電子機器 - Google Patents

有機el装置、有機el装置の製造方法、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】長い発光寿命を実現することができる有機EL装置、有機EL装置の製造方法、電子機器を提供すること。
【解決手段】有機EL装置10は、素子基板1上に設けられた複数の有機EL素子12と、複数の有機EL素子12を含む発光領域6の少なくとも外縁部を覆う無機材料からなる吸水層43と、発光領域6の周辺領域6aにおいて吸水層43の外縁部43aを覆うと共に、発光領域6を平面的に少なくとも覆う無機材料からなる第1ガスバリア層42と、を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL(エレクトロルミネセンス)素子を備えた有機EL装置、有機EL装置の製造方法、電子機器に関する。
上記有機EL装置として、基板上に設けられた発光素子と、該発光素子を覆う保護膜とを有し、該保護膜がアンモニアガスを用いた化学的気相成長法によって成膜された膜密度が異なる窒化シリコン(SiN)膜によって構成され、該保護膜における表面層の窒化シリコン膜がその下層の窒化シリコン膜よりも高密度となっている表示装置が知られている(特許文献1)。
また、駆動用基板の有機発光素子を有する表示領域が設けられた側に保護膜を形成する工程と、該表示領域に対向する領域に封止基板を配置する工程と、封止基板をマスクとして保護膜を異方性エッチングして該駆動用基板において外部接続領域を露出させる工程とを備えた表示装置の製造方法が知られている(特許文献2)。
上記特許文献1および特許文献2における保護膜は、いずれも水分等の浸入によって発光素子が失活して発光が起こらない部分が生ずることを防止するバリア膜の機能を有している。
このようなバリア膜の製造方法としては、湿式の塗布法を用い、被加工物上に有機膜を成膜する工程と、イオンプレーティング法を用い該被加工物上方に酸化窒化シリコン(SiON)膜または酸化シリコン(SiOx)膜を成膜する工程とを有するバリア多層膜の製造方法が知られている(特許文献3)。
特開2007−184251号公報 特開2007−234610号公報 特開2005−34831号公報
上記特許文献1の表示装置では、基板の周縁において保護膜の周端を露出させずに樹脂で完全に覆ってから該基板と封止基板とを貼り合せている。しかしながら、各実施例1〜3において具体的にどの程度の膜厚で低密度と高密度の窒化シリコン膜を積層したのか明らかでない。実施例1の保護膜において、信頼性を評価する高温(80℃)高湿(75%)試験では、基板の端面から2mm以上内側の窒化シリコン膜まで水分の浸入が認められている。
上記特許文献2の表示装置の製造方法では、実施例として設定膜厚が2μmの窒化シリコン(SiNx)膜を異方性エッチングして断面が駆動用基板に対して鉛直な保護膜を形成している。言い換えれば、封止用基板の端部において保護膜が露出されている。
したがって、上記特許文献1および特許文献2の保護膜の構成では、基板の端面側から浸入する水分等に対して十分なバリア性を有していないという課題がある。
また、特許文献3のバリア多層膜の製造方法では、基板上の段差や異物に対して被覆性が高い有機膜を無機材料である酸化窒化シリコン膜や酸化シリコン膜で覆うバリア多層膜の構成を提案している。しかしながら、無機材料に比べて有機膜自体の水蒸気透過度が大きいので、バリア多層膜の有機膜と無機膜との界面や基板とバリア多層膜との界面から水分等が浸入するおそれがあり、やはり十分なバリア性を有していないという課題がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る有機EL装置は、基板上に設けられた複数の有機EL素子と、前記複数の有機EL素子を含む発光領域の少なくとも外縁部を覆う無機材料からなる吸水層と、前記発光領域の周辺領域において前記吸水層の外縁部を覆うと共に、前記発光領域を平面的に少なくとも覆う無機材料からなる第1ガスバリア層と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、発光領域が無機材料からなる第1ガスバリア層で平面的に覆われているので、発光領域に平面的に重なる領域における水分の浸入が抑えられる。また、発光領域の周辺領域において、発光領域の外縁部が吸水層に覆われ、さらに吸水層の外縁部が第1ガスバリア層に覆われているので、発光領域の周辺領域における水分の浸入も抑えられる。ここで、発光領域の周辺領域において、基板と第1ガスバリア層との界面から水分が浸入した場合、その水分は発光領域に到達する前に吸水層により吸収される。このため、発光領域および周辺領域からの水分等の浸入による有機EL素子の失活を防ぐことができる。これにより、長い発光寿命が得られる有機EL装置を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記吸水層は、平面的に前記発光領域を覆うように設けられていることが好ましい。
この構成によれば、吸水層は周辺領域だけでなく発光領域も覆っている。このため、発光領域に平面的に重なる領域において第1ガスバリア層にクラック等があってそこから水分等が浸入した場合でも、その水分等は吸水層により吸収される。このため、水分等の浸入による有機EL素子の失活を効果的に防ぐことができる。
[適用例3]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記発光領域の周辺領域において、前記基板の前記有機EL素子が設けられた面に沿った方向における前記吸水層の幅は、前記第1ガスバリア層の幅よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、基板と第1ガスバリア層との界面から基板の有機EL素子が設けられた面に沿った方向に水分が浸入した場合でも、発光領域との間において浸入した水分が吸収される領域を長くすることができる。このため、発光領域へ水分等が浸入することを効果的に抑え、水分等の浸入による有機EL素子の失活をより効果的に防ぐことができる。
[適用例4]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記吸水層および前記第1ガスバリア層の膜応力が100MPa以下であることが好ましい。
この構成によれば、吸水層および第1ガスバリア層のそれぞれの膜応力が100MPa以下に抑えられているので、膜応力による歪で各層にクラックなどの不具合が生ずることを低減できる。これにより、発光寿命において高い信頼性を得ることができる。
[適用例5]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記吸水層が窒化シリコンからなることが好ましい。
この構成によれば、窒化シリコンは、浸入した水分と反応して無害化する。これにより、吸水性能が優れた吸水層を構成できる。
[適用例6]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記吸水層の膜厚が0.5μm〜10μmであることが好ましい。
この構成によれば、吸水層は、有機EL素子等による表面の凹凸を緩和することや、有機EL素子の成膜時に表面に異物が付着していた場合その異物を被覆することができる。これにより、上層の第1ガスバリア層におけるクラック等の不具合の発生が抑えられるので、高い信頼性を有する有機EL装置を提供することができる。なお、吸水層の膜厚は0.5μm〜3.0μmがより好ましく、吸水層の膜応力をより低い状態とすることができる。
[適用例7]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記発光領域を平面的に少なくとも覆うと共に、前記発光領域と前記吸水層との間に配置された無機材料からなる第2ガスバリア層をさらに備えていることが好ましい。
この構成によれば、発光領域が無機材料からなる第2ガスバリア層で平面的に覆われているので、第1ガスバリア層内に水分が浸入した場合でも発光領域への水分の浸入が抑えられる。
[適用例8]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第2ガスバリア層の膜応力が100MPa以下であることが好ましい。
この構成によれば、第2ガスバリア層の膜応力が100MPa以下に抑えられているので、膜応力による歪で各層にクラックなどの不具合が生ずることを低減できる。
[適用例9]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第1ガスバリア層および前記第2ガスバリア層が酸化窒化シリコンからなることが好ましい。
この構成によれば、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層が酸化窒化シリコンからなるので、ガスバリア性および透明性に優れた多層のガスバリア構造を実現できる。
[適用例10]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記第1ガスバリア層および前記第2ガスバリア層の膜厚が200nm〜1200nmであることが好ましい。
この構成によれば、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層のガスバリア性を確保しつつ膜厚を増やしてもクラック等の不具合が生じにくいので、高い信頼性を有する有機EL装置を提供することができる。なお、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層の膜厚は200nm〜600nmがより好ましく、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層の膜応力をより低い状態とすることができる。
[適用例11]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、基板上に複数の有機EL素子を含む発光領域を有する有機EL装置の製造方法であって、前記基板上に前記複数の有機EL素子を形成する発光素子形成工程と、前記発光領域の外縁部を少なくとも覆うように無機材料からなる吸水層を形成する吸水層形成工程と、前記発光領域の周辺領域において前記吸水層の外縁部を覆うと共に、前記発光領域を平面的に少なくとも覆うようにイオンプレーティング法を用いて無機材料からなる第1ガスバリア層を形成する第1ガスバリア層形成工程と、を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、発光領域を覆って無機材料からなる第1ガスバリア層をイオンプレーティング法で形成するので、発光領域に平面的に重なる領域における水分の浸入が膜密度の高いガスバリア層により抑えられる。また、発光領域の周辺領域を覆って吸水層と第1ガスバリア層とを形成するので、発光領域の周辺領域における水分の浸入も抑えられる。ここで、発光領域の周辺領域において、基板と第1ガスバリア層との界面から水分が浸入した場合、その水分は発光領域に到達する前に吸水層により吸収される。このため、発光領域および周辺領域からの水分等の浸入による有機EL素子の失活を防ぐことができる。これにより、長い発光寿命が得られる有機EL装置を製造することができる。
[適用例12]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記吸水層形成工程では、平面的に前記発光領域を覆うように前記吸水層を形成することが好ましい。
この方法によれば、周辺領域だけでなく発光領域も覆って吸水層を形成する。このため、発光領域に平面的に重なる領域において第1ガスバリア層にクラック等があってそこから水分が浸入した場合でも、その水分は吸水層により吸収される。このため、水分等の浸入による有機EL素子の失活をより効果的に防ぐことができる。
[適用例13]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記吸水層形成工程および前記第1ガスバリア層形成工程では、前記発光領域の周辺領域において、前記基板の前記有機EL素子が形成された面に沿った方向における前記吸水層の幅が、前記第1ガスバリア層の幅よりも大きくなるように、前記吸水層、前記第1ガスバリア層を形成することが好ましい。
この方法によれば、基板と第1ガスバリア層との界面から基板の有機EL素子が設けられた面に沿った方向に水分が浸入した場合でも、発光領域との間において浸入した水分が吸収される領域を長くすることができる。このため、発光領域へ水分等が浸入することを効果的に抑え、水分等の浸入による有機EL素子の失活をより効果的に防ぐことができる。
[適用例14]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記吸水層形成工程および前記第1ガスバリア層形成工程では、100℃以下の成膜温度で前記吸水層、前記第1ガスバリア層を形成することが好ましい。
この方法によれば、吸水層および第1ガスバリア層をそれぞれの膜応力を低く抑えて形成できるので、膜応力による歪で各層にクラックなどの不具合が生ずることを低減できる。これにより、発光寿命において高い信頼性を得ることができる。
[適用例15]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記吸水層形成工程では、窒化シリコンからなる前記吸水層を形成することが好ましい。
この方法によれば、窒化シリコンは、水分と反応して無害化するので、吸水性能に優れた吸水層を形成できる。
[適用例16]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記吸水層形成工程では、前記吸水層を0.5μm〜10μmの膜厚で形成することが好ましい。
この方法によれば、有機EL素子等による表面の凹凸や、有機EL素子の成膜時に表面に異物が付着していた場合その異物を被覆して吸水層を形成できる。これにより、上層に形成する第1ガスバリア層におけるクラック等の不具合の発生が抑えられるので、高い信頼性を有する有機EL装置を製造することができる。なお、吸水層の膜厚は0.5μm〜3.0μmがより好ましく、吸水層の膜応力をより低い状態とすることができる。なお、形成方法としては、プラズマCVD法を用いることが成膜面に対する被覆性が優れている点で好ましい。
[適用例17]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記吸水層形成工程の前に、前記発光領域を平面的に少なくとも覆うように、イオンプレーティング法を用いて無機材料からなる第2ガスバリア層を形成する第2ガスバリア層形成工程をさらに備えていることが好ましい。
この方法によれば、発光領域が無機材料からなる第2ガスバリア層で平面的に覆われるので、第1ガスバリア層内に水分が浸入した場合でも発光領域への水分の浸入が抑えられる。
[適用例18]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記第2ガスバリア層形成工程では、100℃以下の成膜温度で前記第2ガスバリア層を形成することことが好ましい。
この方法によれば、第2ガスバリア層の膜応力を低く抑えて形成できるので、膜応力による歪で各層にクラックなどの不具合が生ずることを低減できる。
[適用例19]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記第1ガスバリア層形成工程および前記第2ガスバリア層形成工程では、酸化窒化シリコンからなる前記第1ガスバリア層、前記第2ガスバリア層を形成することが好ましい。
この方法によれば、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層を酸化窒化シリコンで形成するので、ガスバリア性および透明性に優れた多層のガスバリア構造を形成できる。
[適用例20]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記第1ガスバリア層形成工程および前記第2ガスバリア層形成工程では、前記第1ガスバリア層、前記第2ガスバリア層を200nm〜1200nmの膜厚で形成することが好ましい。
この方法によれば、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層のガスバリア性を確保しつつ膜厚を増やしてもクラック等の不具合が生じにくいので、高い信頼性を有する有機EL装置を製造することができる。なお、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層の膜厚は200nm〜600nmがより好ましく、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層の膜応力をより低い状態とすることができる。
[適用例21]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の有機EL装置、または上記に記載の有機EL装置の製造方法を用いて製造された有機EL装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、発光特性において長い発光寿命と高い信頼性とを兼ね備えた電子機器を提供することができる。
実施形態1の有機EL装置の構成を示す概略正面図。 実施形態1の有機EL装置の構成を示す概略正面図。 実施形態1の有機EL装置の構造を示す要部断面図。 実施形態1の有機EL素子の構成を示す模式図。 実施形態1の有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。 マザー基板を示す概略平面図。 (a)〜(c)は機能層の成膜用マスクを示す概略平面図。 ガスバリア層の成膜用マスクを示す概略平面図。 (a)〜(g)は実施形態1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 (h)〜(j)は実施形態1の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 膜応力と膜厚との関係を示すグラフ。 実施形態2の有機EL装置の構造を示す要部概略断面図。 実施形態3の電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図。 変形例のガスバリア構造を示す概略断面図。
以下に、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、参照する図面において、構成をわかりやすく示すため、構成要素の膜厚や寸法の比率等は適宜異ならせてある。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
(実施形態1)
<有機EL装置>
まず、本実施形態の有機EL装置について、図1〜図4を参照して説明する。図1および図2は、実施形態1の有機EL装置の構成を示す概略正面図である。詳しくは、図2は有機EL装置の発光領域の周辺領域を拡大して示す平面図である。図3(a),(b)は、実施形態1の有機EL装置の構造を示す要部断面図である。詳しくは、図3(a)は図1のA−A’線に沿った部分断面図であり、図3(b)は図2のB−B’線に沿った部分断面図である。図4は実施形態1の有機EL素子の構成を示す模式図である。
図1に示すように、有機EL装置10は、それぞれの画素7に対応して発光素子である有機EL素子12(図3(a)参照)が設けられた素子基板1と、素子基板1に接合され、複数の有機EL素子12を少なくとも封止する封止基板2とを備えている。
素子基板1は、有機EL素子12を駆動する駆動素子を備えた回路部11(図3(a)参照)を有している。そして、発光領域6において赤(R)、緑(G)、青(B)のうち同一の発光色が得られる画素7が、同一方向に配列する所謂ストライプ方式の構成となっている。なお、画素7は、実際には非常に微細なものであり、図示の都合上拡大している。
素子基板1は、封止基板2よりも一回り大きく、額縁状に張り出した部分には、駆動素子であるTFT(Thin Film Transistor)素子8(図3(a)参照)を駆動する2つの走査線駆動回路部3と1つのデータ線駆動回路部4が設けられている。素子基板1の端子部1aには、これらの駆動回路部3,4と外部駆動回路とを接続するためのフレキシブルな中継基板5が実装されている。
図3(a)に示すように、有機EL装置10において、有機EL素子12は、陽極31と、陽極31を区画する隔壁部33と、陽極31上に積層形成された有機膜からなる発光層を含む機能層32とを有している。また、機能層32を介して陽極31と対向するように形成された陰極34を有している。
隔壁部33は、フェノールまたはポリイミドなどの絶縁性を有する感光性樹脂からなり、画素7を構成する陽極31の周囲を一部覆って、複数の陽極31をそれぞれ区画するように設けられている。
陽極31は、素子基板1上に形成されたTFT素子8の3端子のうちの1つに接続しており、例えば、透明電極材料であるITO(Indium Tin Oxide)を厚さ100nm程度に成膜した電極である。なお、図示省略したが、陽極31の下層(平坦化層28側)に、絶縁層を介してAl(アルミニウム)からなる反射層が設けられている。当該反射層は、機能層32における発光を封止基板2側に反射するものである。また、当該反射層はAlに限定されず、発光を反射する機能(反射面)を有していればよい。例えば、絶縁性の有機材料あるいは無機材料を用いて凹凸を有する反射面を形成する方法、陽極31自体を反射機能を有する導電材料で構成し、表面層にITO膜を形成する方法などが挙げられる。
陰極34は、同じく、ITOなどの透明電極材料により形成されている。
このような複数の有機EL素子12が設けられた発光領域6(図1参照)を少なくとも覆うように第2ガスバリア層41が設けられている。また、第2ガスバリア層41を覆うように吸水層43が設けられており、吸水層43を覆うように第1ガスバリア層42が設けられている。
第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41は、無機材料からなる。第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41は、例えばSiON(酸化窒化シリコン)膜であり、イオンプレーティング法を用いて透明性を有するように成膜されたものである。第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41は、吸水層43に比べて膜密度が高くなるように成膜されている。これにより、第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41は、外部から浸入しようとする水分等に対して優れたガスバリア性を有する。
第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41の膜厚は、例えば200nm〜1200nm程度であり、200nm〜600nmがより好ましい。第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41の膜密度は、2g/cm3以上であることが好ましい。
吸水層43は、外部から第1ガスバリア層42内に水分等が浸入してしまった場合、その水分を吸収するために設けられている。吸水層43は、無機材料からなる。吸水層43は、例えばSi34等のSixy(窒化シリコン)膜であり、プラズマCVD法を用いて透明性を有するように成膜されたものである。
吸水層43の膜密度は2g/cm3以下であることが好ましく、吸水層43の膜組成における水素(H)の含有率は40at%以上であることが好ましい。また、吸水層43のヤング率は、例えば50GPa以下であり、30GPa以下がより好ましい。吸水層43は、このような特性のSixy(窒化シリコン)膜であることにより、多孔性であり水分を吸収する機能を有する。
吸水層43は、浸入した水分に対して以下の化学反応式に示すような反応を起こす。
Si34+6H2O→3SiO2+6H2+2N2
この反応の結果、吸水層43は水分と反応してSiO2(二酸化シリコン)となる。そして、吸水層43に浸入した水分は再び放出されない。このため、例えば第1ガスバリア層42にピンホールやクラック等があってそこから水分が浸入した場合でも、第1ガスバリア層42と第2ガスバリア層41との間に配置された吸水層43によりその水分が吸収されるので、有機EL素子12への水分等の浸入を抑え、無害化することができる。
また、吸水層43は、有機EL素子12等による表面の凹凸を緩和するとともに、有機EL素子12や第2ガスバリア層41の成膜に際して付着した異物等を被覆する役割も有している。これにより、吸水層43の上層に位置する第1ガスバリア層42におけるピンホールやクラック等の不具合の発生が抑えられる。吸水層43の膜厚は、例えば0.5μm〜10μm程度である。吸水層の膜厚は0.5μm〜3.0μmがより好ましい。この膜厚によれば、吸水層43の膜応力をより低い状態とすることができる。なお、吸水層43の材料は、上述の特性を有する膜を形成できる材料であればSixyに限定されるものではなく、例えば(アルミニウムやマグネシウム等の)金属酸化物等であってもよい。
なお、第1ガスバリア層42、第2ガスバリア層41、および吸水層43は、共に膜応力が所定の値よりも小さくなるように成膜されている。詳しくは後述する有機EL装置の製造方法において述べる。
封止基板2は、透明なガラス等からなる基板を用いている。有機EL素子12に面する側には、画素7の配置に対応した赤(R)、緑(G)、青(B)、3色のフィルターエレメント36R,36G,36Bとこれを区画する遮光部37が設けられている。
有機EL装置10は、いわゆるトップエミッション型の構造となっており、陽極31と陰極34との間に駆動電流を流して機能層32で発光した白色光を前述した反射層で反射させ、フィルターエレメント36R,36G,36Bを介して封止基板2側から取り出す構成となっている。トップエミッション型の構造であるため、素子基板1は、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
素子基板1には、有機EL素子12を駆動する回路部11が設けられている。すなわち、素子基板1の表面にはSiO2(二酸化シリコン)を主体とする下地保護層21が下地として形成され、その上にはシリコン層22が形成されている。このシリコン層22の表面には、SiO2(二酸化シリコン)および/またはSixy(窒化シリコン)を主体とするゲート絶縁層23が形成されている。
また、シリコン層22のうち、ゲート絶縁層23を挟んでゲート電極26と重なる領域がチャネル領域22aとされている。なお、このゲート電極26は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層22を覆い、ゲート電極26を形成したゲート絶縁層23の表面には、SiO2(二酸化シリコン)を主体とする第1層間絶縁層27が形成されている。
また、シリコン層22のうち、チャネル領域22aのソース側には、低濃度ソース領域および高濃度ソース領域22cが設けられる一方、チャネル領域22aのドレイン側には低濃度ドレイン領域および高濃度ドレイン領域22bが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain)構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域22cは、ゲート絶縁層23と第1層間絶縁層27とにわたって開孔するコンタクトホール25aを介して、ソース電極25に接続されている。このソース電極25は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域22bは、ゲート絶縁層23と第1層間絶縁層27とにわたって開孔するコンタクトホール24aを介して、ソース電極25と同一層からなるドレイン電極24に接続されている。
ソース電極25およびドレイン電極24が形成された第1層間絶縁層27の上層には、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とする平坦化層28が形成されている。この平坦化層28は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、TFT素子8やソース電極25、ドレイン電極24などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
そして、陽極31が、この平坦化層28の表面上に形成されると共に、該平坦化層28に設けられたコンタクトホール28aを介してドレイン電極24に接続されている。すなわち、陽極31は、ドレイン電極24を介して、シリコン層22の高濃度ドレイン領域22bに接続されている。陰極34は、GNDに接続されている。したがって、スイッチング素子としてのTFT素子8により、上記電源線から陽極31に供給され陰極34との間で流れる駆動電流を制御する。これにより、回路部11は、所望の有機EL素子12を発光させカラー表示を可能としている。
なお、有機EL素子12を駆動する回路部11の構成は、これに限定されるものではない。
図4に示すように、有機EL素子12は、陽極31と陰極34とに挟まれた機能層32を有する。機能層32は、例えば、正孔輸送層(HTL)32h、各色の発光層32LR,32LB,32LG、電子輸送層(ETL)32eと呼ばれる複数の薄膜層からなり、素子基板1上の陽極31側からこの順で積層されている。
正孔輸送層(HTL)32hとしては、例えば、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等が挙げられる。
発光層32LR,32LB,32LGの形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。例えば、発光層32LRを形成する材料としては、Alq3(トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム)をホストとしてアシストドーパントであるルブレンと赤色ドーパントであるDCM2(ジアノメチレンピラン誘導体)とを含む発光材料が挙げられる。発光層32LBを形成する材料としては、BH215をホストとして青色ドーパントであるBD102を含む発光材料が挙げられる。発光層32LGを形成する材料としては、BH215をホストとして緑色ドーパントであるGD206を含む発光材料が挙げられる。本構成は、いわゆる「ドーパント法」に基づく3色の発光層を備え、白色発光を可能としている。ホストであるBH215、ドーパントであるBD102、GD206は、いずれも出光興産製の公知材料である。
電子輸送層(ETL)32eの形成材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が挙げられる。
これらの正孔輸送層(HTL)32h、発光層32LR,32LB,32LG、電子輸送層(ETL)32eの形成材料は所謂低分子系材料であり、真空蒸着法により成膜することができる。
このような有機EL素子12が設けられた素子基板1は、空間35を介して透明な封止基板2と対向配置され、発光領域6の周辺領域6aにおいてシール材9により接合され封止されている(図3(b)参照)。
次に、発光領域6の周辺領域6aの構成について、図2および図3(b)を参照して説明する。なお、図2では、説明に必要な構成要素以外は図示を省略している。
第2ガスバリア層41は、発光領域6を平面的に覆う程度の範囲に設けられている。発光領域6の周辺領域6aにおいて、吸水層43は第2ガスバリア層41の外縁部41aを覆うように設けられており、第1ガスバリア層42は吸水層43の外縁部43aを覆うように設けられている。
吸水層43の外縁部43aは、発光領域6に対して第2ガスバリア層41の外側で、幅L1にわたって有機EL素子12が設けられた素子基板1(回路部11)の表面に接している。第1ガスバリア層42の外縁部42aは、発光領域6に対して吸水層43の外側で、幅L2にわたって素子基板1の表面に接している。幅L1と幅L2との合計は例えば2mm以下であり、幅L1>幅L2となっている。
ここで、例えば、素子基板1の端面側、すなわち素子基板1と第1ガスバリア層42の外縁部42aとの界面から水分が浸入した場合、その水分は素子基板1の有機EL素子12が設けられた表面に沿った方向に第1ガスバリア層42の内側へ進む。そして、水分が吸水層43の外縁部43aに到達すると、第2ガスバリア層41の外縁部41aに到達する前に吸水層43に吸収される。前述の通り、浸入した水分は吸水層43と反応し再び放出されないので、発光領域6への水分等の浸入を抑えることができる。
また、吸水層43の外縁部43aが素子基板1の表面に接している幅L1は、第1ガスバリア層42の外縁部42aが素子基板1の表面に接している幅L2よりも大きいので、素子基板1と第1ガスバリア層42の外縁部42aとの界面から浸入した水分が素子基板1の表面に沿って発光領域6に到達するまでの経路をより長くできるとともに、より多くの水分を吸収することができる。このため、素子基板1と第1ガスバリア層42との界面から発光領域6へ水分等が浸入することをより効果的に抑えることができる。
有機EL装置10は、複数の有機EL素子12が設けられた発光領域6を覆い膜密度が高い第2ガスバリア層41と、第2ガスバリア層41を覆い水分を吸収する吸水層43と、吸水層43を覆い膜密度が高い第1ガスバリア層42とを有している。また、発光領域6の周辺領域6aにおいて、第2ガスバリア層41の外縁部41aを覆うように吸水層43が形成され、吸水層43の外縁部43aを覆うように第1ガスバリア層42が形成されている。このようなガスバリア構造を有しているため、水分等のガスが発光領域6の上部や周辺領域6aから発光領域6に浸入することが防止されている。したがって、当該ガスの浸入によって有機EL素子12の発光が失活したダークスポットと呼ばれる画素欠陥等の発生が防止され、長い発光寿命が実現されている。
なお、有機EL装置10は、トップエミッション型に限定されず、陰極34を反射機能を有する不透明なAl等の導電材料を用いて成膜し、有機EL素子12の発光を陰極34で反射させて、素子基板1側から取り出すボトムエミッション型の構造としてもよい。
<有機EL装置の製造方法>
図5は有機EL装置の製造方法を示すフローチャート、図6はマザー基板を示す概略平面図、図7(a)〜(c)は機能層の成膜用マスクを示す概略平面図、図8はガスバリア層の成膜用マスクを示す概略平面図、図9(a)〜(g)および図10(h)〜(j)は有機EL装置の製造方法を示す概略図である。なお、図10(h)〜(j)では、図の左側に図2のB−B’線に沿った断面を示し、図の右側に図1のA−A’線に沿った断面を並べて示している。
図5に示すように、本実施形態の有機EL装置10の製造方法は、素子基板1に表面処理を施すプラズマ処理工程(ステップS1)と、正孔輸送層形成工程(ステップS2)と、R,B,Gの発光色が得られる発光層32LR,32LB,32LGをそれぞれ成膜する発光層形成工程(ステップS3〜ステップS5)と、電子輸送層形成工程(ステップS6)と、陰極形成工程(ステップS7)と、イオンプレーティング法を用いて第2ガスバリア層41を成膜する第2ガスバリア層形成工程(ステップS8)と、プラズマCVD法を用いて吸水層43を成膜する吸水層形成工程(ステップS9)と、イオンプレーティング法を用いて第1ガスバリア層42を成膜する第1ガスバリア層形成工程(ステップS10)とを備えている。
以降、素子基板1における有機EL素子12の形成方法を説明するが、実際には、図6に示すように、素子基板1に該当する領域がマトリクス状に面付けされたマザー基板である基板Wに対して、その各発光領域6内に有機EL素子12の各構成を形成するものである。基板Wには、後述する成膜用マスクとの位置合わせのため四隅にアライメントマークAL1〜AL4が設けられている。なお、有機EL素子12を駆動するための回路部11および陽極31並びに隔壁部33は、公知の製造方法を用いて形成することができる。したがって、有機EL装置10の製造方法を示す概略図においては、特に回路部11の表示を省略するものである。
図5のステップS1は、プラズマ処理工程である。ステップS1では、陽極31と隔壁部33とが形成された素子基板1をプラズマ処理装置に投入する。そして、図9(a)に示すように、酸素を処理ガスとして陽極31の表面をプラズマ処理する。これは酸素プラズマによって陽極31のHOMOレベルを有機膜(正孔輸送層)のHOMOレベルに近づけることで、陽極31から注入される正孔に対する有機膜(正孔輸送層)の障壁を相対的に低くして、有機EL素子12の発光性能を高めるためである。そして、ステップS2へ進む。
以降のステップS2〜ステップS6では、真空蒸着法により成膜用マスクを用いて膜形成領域Eごとに有機膜を成膜する。
<成膜用マスク>
より具体的には、図7(a)に示すように、成膜用マスクとしての蒸着マスク50は、基材51に対してマトリクス状に配置された複数のマスク領域52と、基材51の四隅に配置された4つのアライメントマーク53とを有している。1つのマスク領域52は、1つの有機EL装置10に対応するものであって、マスク領域52には、成膜パターンすなわち基板Wの膜形成領域Eに対応した開口部50aが形成されている。
蒸着マスク50に設けられた開口部50aは、例えば同図(b)に示すように、1つの画素7(図1参照)に対応するように開口したものである。基板W(素子基板1)との重ね合わせ精度を考慮して膜形成領域Eよりもやや大きな開口面積を有している。また、これに限らず、例えば同図(c)に示すように、同色の発光が得られる複数の画素7からなる列に対応してスリット状に開口したものも有り得る。
本実施形態では、メタルマスクを用いて蒸着マスク50を構成した。メタルマスクの材料としては、例えばインバーと呼ばれるFe−36wt%Niの強磁性材体などを用いることができる。その厚みはおよそ30μm〜50μm程度である。なお、蒸着マスク50はメタルマスクに限定されず、高精度に開口部50aを形成可能なシリコン基板を用いたシリコンマスクでもよい。
このような蒸着マスク50は、額縁状のフレーム(図示省略)に歪まないように取り付けられ、前述したように基板Wと重ね合わされて用いられる。
図5のステップS2は、正孔輸送層形成工程である。ステップS2では、図示を省略するが、チャンバーと、チャンバーの底部に設けられ膜形成材料を収納して蒸発させる蒸着源と、蒸着源に対向して設けられ基板Wをほぼ水平な状態に保持する基板保持部とを有する蒸着装置を用いて正孔輸送層を形成する。
ステップS2では、図9(b)に示すように、成膜用マスクとしての蒸着マスク50の開口部50aと、隔壁部33によって区画された陽極31を有する膜形成領域Eとが合致するように素子基板1と蒸着マスク50とを位置決めして密着させる。そして、蒸着装置にセットされ、チャンバー内に設けられた蒸着源から正孔輸送層形成材料が蒸発して、膜形成領域Eごとに正孔輸送層32hが形成される。そして、ステップS3〜ステップS5へ順次進む。
図5のステップS3〜ステップS5は、発光層形成工程である。ステップS3〜ステップS5では、図9(c)〜(e)に示すように、素子基板1は、蒸着マスク50と重ね合わされた状態で、チャンバー内に設けられた蒸着源から発光層形成材料が蒸発して、膜形成領域Eごとに発光層32LR,32LB,32LGが順に成膜される。そして、ステップS6へ進む。
図5のステップS6は、電子輸送層形成工程である。ステップS6では、図9(f)に示すように、素子基板1は、蒸着マスク50と重ね合わされた状態で、チャンバー内に設けられた蒸着源から電子輸送層形成材料が蒸発して、膜形成領域Eごとに電子輸送層32eが成膜される。
以上のステップS2〜ステップS6が機能層形成工程に相当する。機能層形成工程では、素子基板1と蒸着マスク50とが隔壁部33を介して密着しているので、プラズマ処理された陽極31や成膜後の各種有機膜の表面に蒸着マスク50が直接に触れない。したがって、蒸着マスク50が陽極31や各種有機膜に直接接触することによる膜欠陥などの不具合が回避されている。また、膜形成領域E以外に成膜されないので、所望の膜厚を有する機能層32が成膜される。そして、ステップS7へ進む。
図5のステップS7は、陰極形成工程である。ステップS7では、図9(g)に示すように、蒸着マスク50が外され機能層32が形成された素子基板1に対して、例えば真空蒸着法により機能層32と隔壁部33とを覆うように陰極34を成膜する。陰極34はITOであり、膜厚は、100nm〜200nmである。これにより、陽極31と陰極34との間に機能層32を有する有機EL素子12が形成される。そして、ステップS8へ進む。
図5のステップS8は、第2ガスバリア層形成工程である。ステップS8では、図10(h)に示すように、発光領域6に設けられた複数の有機EL素子12を覆うように第2ガスバリア層41を形成する。具体的には、図6に示す複数の有機EL素子12が形成された基板Wと、図8に示す成膜用マスク70とを所定の位置で重ね合わせ、イオンプレーティング法を用いてSiON(酸化窒化シリコン)からなる第2ガスバリア層41を対応する素子基板1ごとに成膜する。
図示を省略するが、イオンプレーティング法では、上部の成膜室と下部のプラズマ室とからなる気密性のチャンバー(真空容器)と、プラズマビームを発生するプラズマビーム発生器と、蒸発源としてのハース(陽極)と、チャンバー内を減圧する真空ポンプとを備えたイオンプレーティング装置を用いる。
イオンプレーティング装置において、真空ポンプによりチャンバー内を所定の減圧状態(真空状態)とする。そして、プラズマビーム発生器から発生したプラズマビームを成膜材料が収納されたハースに導くことにより、成膜材料にプラズマビームを照射する。プラズマビームが照射された成膜材料はジュール熱により加熱され蒸発する。蒸発した成膜材料は、基板Wに到達して薄膜として形成される。また、プラズマ室に反応性ガスを導入すれば、蒸発した成膜材料と反応性ガスとを反応させ、反応物からなる薄膜を基板Wの表面に形成することもできる。
ここでは、成膜材料として一酸化シリコン(SiO)を用い、反応性ガスとして窒素(N2)を導入する。蒸発したSiOは、N2と結びついてSiON(酸化窒化シリコン)となり基板Wの表面に成膜される。このときの成膜温度(基板Wの表面温度)は100℃以下であって、膜厚が200nm〜1200nm(好ましくは200nm〜600nm)となるように成膜する。形成された酸化窒化シリコンの屈折率は1.79、膜応力は50MPa、膜密度は2.7g/cm3であった。なお、膜厚が200nm〜600nmとなるように成膜することで、第2ガスバリア層41の膜応力をより低い状態とすることができる。また、成膜時に、成膜圧力、プラズマビームのパワー、あるいは反応性ガスの流量を調整すること等により、所望の膜厚における膜応力、膜密度を得ることができる。
また、基板Wに対する成膜と同時に試料片にも成膜を行う。膜応力は試料片のソリ量から求められる。同じく膜密度は試料片における酸化窒化シリコンの膜厚と単位面積当たりの重量とから求められる。屈折率は特定波長の光に対する試料の透過率を測定することにより求められる。そして、ステップS9へ進む。
図5のステップS9は、吸水層形成工程である。ステップS9では、図10(i)に示すように、第2ガスバリア層41の外縁部41aを少なくとも覆うように吸水層43を形成する。本実施形態では、平面的に第2ガスバリア層41を覆うように吸水層43を形成する。具体的には、基板Wと成膜用マスクとを所定の位置で重ね合わせ、プラズマCVD法を用いてSixy(窒化シリコン)からなる吸水層43を対応する素子基板1ごとに成膜する。
図示を省略するが、プラズマCVD法では、密閉可能なチャンバーと、チャンバー内において所定の間隔を置いて互いに対向するように設けられた一対の高周波電極とを備えたプラズマCVD装置を用いる。なお、吸水層43の成膜時に用いる成膜用マスクは、例えばメタルマスクであり、基板Wの発光領域6に対応した複数の開口部を有する。該開口部の平面的な大きさは、第2ガスバリア層41の成膜時に用いられた成膜用マスク70の開口部72より一回り大きい。
プラズマCVD装置において、チャンバー内は予め減圧手段により所定の圧力となるように減圧され、その後に成膜材料を含むキャリアガスがチャンバー内に導入される。一対の高周波電極間において放電を起こすことにより、チャンバー内に導入された処理ガスが励起されてプラズマ状態となる。プラズマ状態となった処理ガスに基板Wを晒すことにより、成膜用マスクの開口部に対応した領域に成膜材料からなる膜を形成することができる。
ステップS9では、成膜材料としてシラン(SiH4)ガスを用い、キャリアガスとして窒素(N2)ガスを用いて室温にて放電させプラズマを生成させる。成膜条件としては、室温(100℃以下)で、成膜速度が100nm/min以上となるように、シランガスと窒素ガスの流量を調整する。これにより膜厚が0.5μm〜10μm(好ましくは0.5μm〜3μm)のSixy(窒化シリコン)からなる吸水層43を形成する。
形成された吸水層43の屈折率はおよそ1.86、膜応力は50Mpa以下、膜密度は1.74g/cm3、ヤング率は30GPa、水素の含有率は40at%であった。これらの値は、第2ガスバリア層41の場合と同様な方法で同時に成膜した試料片を分析することにより得られる。また、ヤング率はナノインデンテーション法により測定でき、水素の含有率はHFS法により測定できる。なお、成膜時に、一対の高周波電極間に印加する電圧を下げること、成膜圧力を上げること、あるいは水素ガスを添加して流量を増やすこと等により、所望の膜厚における膜応力、膜密度、ヤング率等を得ることができる。
ここで、前述の方法により形成された吸水層43において水分を吸収する効果の確認を行った結果を説明する。表1に、成膜直後および水分吸収後における吸水層43の原子数密度と膜密度とを示す。
Figure 2010244697
表1に示すように、成膜直後における吸水層43は、酸素(O)をほとんど含んでいない。一方、水分吸収後における吸水層43は酸素を含んでおり、シリコン(Si)と酸素との原子比率はほぼ1:2となっている。これにより、Si34からなる吸水層43が、水分と反応してSiO2(二酸化シリコン)に変化したことがわかる。
また、上記の結果から、吸水層43の乾燥容量を一般的に乾燥剤として用いられる材料の乾燥容量と比較した。表2に、吸水層43および一般的な乾燥剤の乾燥容量を示す。なお、乾燥容量は、未吸湿の乾燥剤100gが何%の水分を吸収するかを表している。
Figure 2010244697
表2に示すように、吸水層43は、一般的な乾燥剤と比較して遜色のない乾燥容量を有している。したがって、このようなSixyからなる吸水層43は、第1ガスバリア層42のピンホールやクラック等から浸入した水分を吸収する役割を果たす。なお、吸水層43が水分を吸収する速度は遅いと思われるが、吸水層43内を水分が拡散する速度は有機膜等の場合に比べて遅いので、浸入した水分が発光領域6に到達する前に無害化することができる。
なお、高い被覆性を有するプラズマCVD法を用いて成膜するので、発光領域6を含む成膜面において多少の凹凸を有していても、これに対応して被覆された吸水層43が得られる。吸水層43を厚く成膜することで平坦化層および応力緩和層の機能を持たせることができる。また、成膜用マスクの開口部を容易に廻り込んで成膜がされるため、発光領域6の周辺領域6aにおいて素子基板1の表面に接する幅L1が大きくなるように吸水層43を形成することができる。そして、ステップS10へ進む。
図5のステップS10は、第1ガスバリア層形成工程である。ステップS10では、図10(j)に示すように、発光領域6の周辺領域6a(図3(b)参照)において吸水層43の外縁部43aを覆うと共に、平面的に少なくとも第2ガスバリア層41を覆うようにSiON(酸化窒化シリコン)からなる第1ガスバリア層42を形成する。本実施形態では、発光領域6および周辺領域6aにおいて吸水層43を覆うように第1ガスバリア層42を形成する。
具体的には、第2ガスバリア層形成工程と同様に、複数の有機EL素子12が形成された基板Wと成膜用マスクとを所定の位置で重ね合わせ、イオンプレーティング法を用いてSiONからなる第1ガスバリア層42を対応する素子基板1ごとに成膜する。このときの成膜温度(基板Wの表面温度)は100℃以下であって、膜厚が200nm〜1200nm(好ましくは200nm〜600nm)となるように成膜する。形成された酸化窒化シリコンの屈折率は1.79、膜応力は50MPa、膜密度は2.7g/cm3であった。なお、膜厚が200nm〜600nmとなるように成膜することで、第1ガスバリア層42の膜応力をより低い状態とすることができる。また、成膜時に、成膜圧力、プラズマビームのパワー、あるいは反応性ガスの流量を調整すること等により、所望の膜厚における膜応力、膜密度を得ることができる。
第1ガスバリア層42の成膜時に用いられた成膜用マスクは、基板Wの発光領域6に対応した複数の開口部を有する。該開口部の平面的な大きさは、吸水層43の成膜時に用いられた成膜用マスクの開口部より一回りやや大きい。ここで用いる成膜用マスクもメタルマスクが用いられている。イオンプレーティング法を用いた第1ガスバリア層42の成膜は、プラズマCVD法を用いた吸水層43の成膜に比べて成膜用マスクの開口部を廻り込み難い。それゆえに、吸水層43の外縁部43aを覆うように成膜するために、ここで用いる成膜用マスクの開口部の大きさは、吸水層43の成膜時の廻り込みを考慮して設計されている。これにより、発光領域6の周辺領域6aにおいて素子基板1の表面に接する幅L2を確保することができる。
このようにして複数の有機EL素子12が設けられた発光領域6を覆うガスバリア構造が出来上がる。そして、図3(a),(b)に示すように、フィルターエレメント36R,36G,36Bを有する封止基板2と素子基板1とが発光領域6の周辺領域6aに配置されたシール材9を介して接合され封着される。シール材9は例えば熱硬化型あるいは紫外線硬化型のエポキシ系接着剤である。シール材9の一部が第1ガスバリア層42の外縁部42aを覆うように配置されている。発光領域6の周辺領域6aでは、第2ガスバリア層41の外縁部41aを覆って吸水層43が形成され、吸水層43の外縁部43aを覆って第1ガスバリア層42が形成されている。
このような有機EL装置10の製造方法によれば、第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41を、高い膜密度が得られるイオンプレーティング法を用いてSiON(酸化窒化シリコン)で形成することにより、高いガスバリア性と光透過性との両方を高いレベルで実現できる。また、第1ガスバリア層42と第2ガスバリア層41との間に、プラズマCVD法を用いて、第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41よりも低い膜密度のSiN(窒化シリコン)で水分を吸収する吸水層43を形成することにより、第1ガスバリア層42内に水分が浸入した場合でもその水分を吸収できる。
特に、発光領域6の周辺領域6aにおいて、第2ガスバリア層41の外縁部41aが吸水層43によって覆われ、さらに吸水層43の外縁部43aが高いガスバリア性を有するSiON(酸化窒化シリコン)からなる第1ガスバリア層42によって覆われているため、水分等の発光寿命を妨げるガスがシール材9を透過しても第1ガスバリア層42内に浸入することが防げ、万が一素子基板1と第1ガスバリア層42との界面から浸入したとしても吸水層43により発光領域6に浸入することを防ぐことができる。それゆえ、長い発光寿命と安定した発光特性とを兼ね備えた有機EL装置10を歩留まりよく製造することができる。
なお、吸水層43に平坦化層および応力緩和層の機能を持たせることで、第1ガスバリア層42の膜応力が100MPa以上となるように膜密度をさらに上昇させて成膜してもよい。これによりさらにガスバリア性を向上させることができる。
図11は、膜応力と膜厚との関係を示すグラフである。無機材料であるSiONは、ガスバリア性を得るために少なくとも200nm程度の膜厚が必要である。また、1.7〜2.7g/cm3程度の膜密度で成膜した場合には、厚く成膜するとクラック等の欠陥が生ずるおそれがある。それゆえに、第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41の膜厚は、200nm〜1200nmの範囲が適当である。
一方で複数の有機EL素子12が設けられた発光領域6を覆う第1ガスバリア層42、第2ガスバリア層41は、有機EL素子12に対して成膜時に余計な熱や応力が加わらないことが好ましい。それゆえに、図11に示すように、膜応力と膜厚との積が、120000MPa・nm以下となるように斜線でハッチングした領域内で成膜条件を設定することが好ましい。
例えば、有機EL素子12を直接覆う第2ガスバリア層41としては、膜応力を100MPa以下として、膜厚の上限を1200nmとする。また、例えば、応力緩和層の機能を有する吸水層43を覆う第1ガスバリア層42としては、膜応力を600MPaまで上昇させ、膜厚は200nmに抑える。このようにすれば長い発光寿命と高い信頼性とを両立させることが可能となる。
(実施形態2)
次に他の実施形態の有機EL装置について図12を参照して説明する。図12は実施形態2の有機EL装置の構造を示す要部概略断面図である。なお、図12は、発光領域6の周辺領域6aにおける部分断面図であり、図2のB−B’線に沿った断面に対応している。実施形態1と同様な構成については、同じ符号を付して説明する。
図12に示すように、本実施形態の有機EL装置10Aは、実施形態1の有機EL装置10に対して、吸水層43の代わりに発光領域6の周辺領域6aに吸水層43bを備えている点が異なっているが、その他の構成は同じである。
有機EL装置10Aは、素子基板1上において、隔壁部33により区画された陽極31と、陽極31上に形成された発光層を含む機能層32と、機能層32上に形成された陰極34とからなる有機EL素子12が複数設けられた発光領域6を有する。
有機EL装置10Aは、ガスバリア構造として、第1ガスバリア層42と吸水層43bと第2ガスバリア層41とを備えている。第2ガスバリア層41は、発光領域6を平面的に覆っている。吸水層43bは、発光領域6の周辺領域6aに配置されており、第2ガスバリア層41の外縁部41aを覆っている。第1ガスバリア層42は、第2ガスバリア層41を覆うと共に、吸水層43bを覆っている。したがって、発光領域6においては、第2ガスバリア層41上に第1ガスバリア層42が積層されている。発光領域6の周辺領域6aにおいては、第2ガスバリア層41と吸水層43bと第1ガスバリア層42とにより、実施形態1の有機EL装置10と同様のガスバリア構造を有している。
吸水層43bは、発光領域6に対して第2ガスバリア層41の外側で、幅L1にわたって素子基板1の表面に接している。第1ガスバリア層42の外縁部42aは、発光領域6に対して吸水層43bの外側で、幅L2にわたって素子基板1の表面に接している。幅L1と幅L2との合計は例えば2mm以下であり、幅L1>幅L2となっている。
吸水層43bは、有機EL装置10の吸水層43と同様の成膜方法および成膜条件で成膜されているが、成膜時に用いられる成膜用マスクは異なっている。吸水層43bの成膜に用いられる成膜用マスクでは、発光領域6の周辺領域6aに開口部が設けられており、発光領域6には開口部が設けられていない。
上記実施形態2の有機EL装置10Aの構成によれば、発光領域6の周辺領域6aにおいて、実施形態1の有機EL装置10と同様のガスバリア構造を有しているので、水分等の発光寿命を妨げるガスがシール材9を透過しても第1ガスバリア層42内に浸入することが防げ、万が一素子基板1と第1ガスバリア層42との界面から浸入したとしても吸水層43bにより発光領域6に浸入することを防ぐことができる。それゆえ、長い発光寿命と安定した発光特性とを兼ね備えた有機EL装置10Aを歩留まりよく製造することができる。
(実施形態3)
次に本実施形態の電子機器について図13を参照して説明する。図13は、電子機器としての携帯型電話機を示す概略斜視図である。
図13に示すように、本実施形態の電子機器としての携帯型電話機500は、操作ボタン503を備えた本体502と、本体502にヒンジを介して折畳式に取り付けられた表示部501とを備えている。
表示部501には、上記実施形態1の有機EL装置10または上記実施形態2の有機EL装置10Aが搭載されている。
したがって、発光寿命が長く見栄えのよい携帯型電話機500を提供することができる。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記実施形態の有機EL装置10,10Aにおいて、ガスバリア構造はこれに限定されない。図14(a),(b)は変形例のガスバリア構造を示す概略断面図である。なお、図14(a),(b)は、発光領域6の周辺領域6aにおける部分断面図であり、図2のB−B’線に沿った断面に対応している。
例えば図14(a)に示す有機EL装置10Bのように、順に積層された第2ガスバリア層41、吸水層43、および第1ガスバリア層42の上に、さらに吸水層44と第3ガスバリア層45とが積層された構成としてもよい。吸水層44はプラズマCVD法を用いて成膜されたSixy(窒化シリコン)からなり、第3ガスバリア層45はイオンプレーティング法を用いて成膜されたSiONからなる。この場合には、各層の膜厚は200nm程度が適当である。
この構成によれば、有機EL装置10の構成に加えて、水分を吸収する吸水層44と膜密度が高い第3ガスバリア層45とが積層されるので、発光領域6への水分の浸入を防ぎより長い発光寿命を実現可能である。なお、第3ガスバリア層45上に吸水層とガスバリア層とがさらに積層された構成としてもよい。
また、図14(b)に示す有機EL装置10Cのように、発光領域6においては第1ガスバリア層42と第2ガスバリア層41との間に平坦化層および応力緩和層としての有機樹脂層43cが設けられ、発光領域6の周辺領域6aにおいて第1ガスバリア層42と第2ガスバリア層41との間に吸水層43dが設けられていてもよい。
この構成によれば、有機EL装置10Aの構成に加えて、膜密度が高い第1ガスバリア層42および第2ガスバリア層41の間に有機樹脂層43cが配置される。このため、上層の第1ガスバリア層42におけるクラック等の不具合の発生が抑えられるので、より長い発光寿命を実現可能である。
(変形例2)上記実施形態の有機EL装置10,10Aにおいて、ガスバリア構造はこれに限定されない。有機EL装置10,10Aは、第2ガスバリア層41を備えていないガスバリア構造を有していてもよい。このようなガスバリア構造であっても、外部から第1ガスバリア層42内に水分等が浸入してしまった場合、浸入した水分は吸水層43と反応して吸収され再び放出されないので、発光領域6への水分等の浸入を抑えることができる。
(変形例3)上記実施形態の有機EL装置10,10Aの製造方法において、機能層形成工程は、機能層32を構成する有機膜を蒸着法にて成膜する方法に限定されない。例えば、機能性材料を含む液状体を塗布して固化する方法を用いて機能層32を形成するとしてもよい。このような液状体塗布法を用いても上記実施形態のガスバリア構造を適用することができる。
(変形例4)上記実施形態の有機EL装置10,10Aにおいて、有機EL素子12は白色発光が得られるものに、限定されない。例えば、発光領域6内に赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色が得られる有機EL素子をそれぞれ配置してもよい。その場合に、封止基板2にはフィルターエレメント36R,36G,36Bを設けなくてもよい。
(変形例5)上記実施形態の有機EL装置10,10Aにおいて、素子基板1と封止基板2とをシール材9を用いて接合してできた空間35は、透明な樹脂材料で充填してもよい。素子基板1と封止基板2とを所定の間隔を保って対向配置することができる。
(変形例6)上記実施形態の有機EL装置10,10Aが搭載された電子機器は、携帯型電話機500に限定されない。例えば、パーソナルコンピューターや携帯型情報端末、ナビゲーター、ビューワーなどの表示部を有する電子機器が挙げられる。また、有機EL装置10,10Aはフルカラーの発光(表示)が可能なものに限らず、単色発光としてもよい。単色の場合には照明装置や感光性のトナーを露光する露光装置などへの適用が考えられる。
1…基板としての素子基板、6…発光領域、6a…発光領域の周辺領域、10,10A…有機EL装置、12…有機EL素子、41…第2ガスバリア層、41a…第2ガスバリア層の外縁部、42…第1ガスバリア層、43…吸水層、43a…吸水層の外縁部、500…電子機器としての携帯型電話機。

Claims (21)

  1. 基板上に設けられた複数の有機EL素子と、
    前記複数の有機EL素子を含む発光領域の少なくとも外縁部を覆う無機材料からなる吸水層と、
    前記発光領域の周辺領域において前記吸水層の外縁部を覆うと共に、前記発光領域を平面的に少なくとも覆う無機材料からなる第1ガスバリア層と、
    を備えたことを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記吸水層は、平面的に前記発光領域を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  3. 前記発光領域の周辺領域において、前記基板の前記有機EL素子が設けられた面に沿った方向における前記吸水層の幅は、前記第1ガスバリア層の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置。
  4. 前記吸水層および前記第1ガスバリア層の膜応力が100MPa以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  5. 前記吸水層が窒化シリコンからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  6. 前記吸水層の膜厚が0.5μm〜10μmであることを特徴とする請求項5に記載の有機EL装置。
  7. 前記発光領域を平面的に少なくとも覆うと共に、前記発光領域と前記吸水層との間に配置された無機材料からなる第2ガスバリア層をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  8. 前記第2ガスバリア層の膜応力が100MPa以下であることを特徴とする請求項7に記載の有機EL装置。
  9. 前記第1ガスバリア層および前記第2ガスバリア層が酸化窒化シリコンからなることを特徴とする請求項7または8に記載の有機EL装置。
  10. 前記第1ガスバリア層および前記第2ガスバリア層の膜厚が200nm〜1200nmであることを特徴とする請求項9に記載の有機EL装置。
  11. 基板上に複数の有機EL素子を含む発光領域を有する有機EL装置の製造方法であって、
    前記基板上に前記複数の有機EL素子を形成する発光素子形成工程と、
    前記発光領域の外縁部を少なくとも覆うように無機材料からなる吸水層を形成する吸水層形成工程と、
    前記発光領域の周辺領域において前記吸水層の外縁部を覆うと共に、前記発光領域を平面的に少なくとも覆うようにイオンプレーティング法を用いて無機材料からなる第1ガスバリア層を形成する第1ガスバリア層形成工程と、
    を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  12. 前記吸水層形成工程では、平面的に前記発光領域を覆うように前記吸水層を形成することを特徴とする請求項11に記載の有機EL装置の製造方法。
  13. 前記吸水層形成工程および前記第1ガスバリア層形成工程では、前記発光領域の周辺領域において、前記基板の前記有機EL素子が形成された面に沿った方向における前記吸水層の幅が、前記第1ガスバリア層の幅よりも大きくなるように、前記吸水層、前記第1ガスバリア層を形成することを特徴とする請求項11または12に記載の有機EL装置の製造方法。
  14. 前記吸水層形成工程および前記第1ガスバリア層形成工程では、100℃以下の成膜温度で前記吸水層、前記第1ガスバリア層を形成することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
  15. 前記吸水層形成工程では、窒化シリコンからなる前記吸水層を形成することを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
  16. 前記吸水層形成工程では、前記吸水層を0.5μm〜10μmの膜厚で形成することを特徴とする請求項15に記載の有機EL装置の製造方法。
  17. 前記吸水層形成工程の前に、前記発光領域を平面的に少なくとも覆うように、イオンプレーティング法を用いて無機材料からなる第2ガスバリア層を形成する第2ガスバリア層形成工程をさらに備えたことを特徴とする請求項11乃至16のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法。
  18. 前記第2ガスバリア層形成工程では、100℃以下の成膜温度で前記第2ガスバリア層を形成することを特徴とする請求項17に記載の有機EL装置の製造方法。
  19. 前記第1ガスバリア層形成工程および前記第2ガスバリア層形成工程では、酸化窒化シリコンからなる前記第1ガスバリア層、前記第2ガスバリア層を形成することを特徴とする請求項17または18に記載の有機EL装置の製造方法。
  20. 前記第1ガスバリア層形成工程および前記第2ガスバリア層形成工程では、前記第1ガスバリア層、前記第2ガスバリア層を200nm〜1200nmの膜厚で形成することを特徴とする請求項19に記載の有機EL装置の製造方法。
  21. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の有機EL装置、または請求項11乃至20のいずれか一項に記載の有機EL装置の製造方法を用いて製造された有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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