JP2007184290A - 膜状部材の製造方法及び電気光学装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止性を維持しつつ光の外部取り出し効率を向上でき、高い視認性が実現される電気光学装置を提供する。
【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、光を透過可能な基板2と、一対の電極7,8に挟持された発光層5及び正孔輸送層6を有する有機エレクトロルミネッセンス素子9とを備えている。そして、基板2と有機エレクトロルミネッセンス素子9のうち電極8との間には、基板2より屈折率が低い低屈折率層3と、有機エレクトロルミネッセンス素子9への基板2側からの大気の侵入を遮断する封止層4とが積層されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気光学装置、この電気光学装置に設けられて好適な膜状部材、積層膜、低屈折率膜、多層積層膜、この電気光学装置を備えた電子機器に関するものである。
各画素に対応して有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)素子を備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置(電気光学装置)は、高輝度で自発光であること、直流低電圧駆動が可能であること、応答が高速であること、などから表示性能に優れており、また、表示装置の薄型化、軽量化、低消費電力化が可能であるため、将来的に液晶表示装置に続く表示装置として期待されている。
図16は模式的な有機エレクトロルミネッセンス表示装置の一例を示す断面図である。この有機エレクトロルミネッセンス表示装置100においては、ガラス基板101上に、発光層102と正孔輸送層103とが金属電極(陰極)104と透明電極(陽極)105との間に挟持された有機エレクトロルミネッセンス素子106が形成されている。図示しないが、アクティブマトリクス型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の場合、実際には複数のデータ線と複数の走査線とが格子状に配置され、これらデータ線や走査線に区画されたマトリクス状に配置された各画素毎に、スイッチングトランジスタやドライビングトランジスタ等の駆動用トランジスタと上記の有機エレクトロルミネッセンス素子106とが配置されている。そして、データ線や走査線を介して駆動信号が供給されると電極間に電流が流れ、有機エレクトロルミネッセンス素子106が発光してガラス基板101の外面側に光が出射され、その画素が点灯する。
ところで、発光層102においては全方向にわたって発光が生じるが、広角(例えば、臨界角以上)に出射した光は、図17に示す模式図のように、ガラス基板101内で導波し、ガラス基板101の外部に取り出すことができない。すなわち、光の取り出し効率が悪いために、発光層102に所定の電流を供給して発光が生じても、そのうちの一部の光しか表示に寄与しないことになり、視認性の低下につながる。
一方で、有機エレクトロルミネッセンス素子や、有機エレクトロルミネッセンス素子を挟持する電極は酸素や水蒸気(水分)などの素子劣化の要因となる物質によって劣化する。また、トランジスタなどの能動素子を備えた、いわゆるアクティブ型電気光学装置においては、酸素や水蒸気(水分)、さらには種々のイオン種が能動素子に到達することにより能動素子が劣化することがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、本発明の一つの目的は封止性を維持しつつ光の外部取り出し効率を向上させ、高い視認性が実現される電気光学装置を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明の電気光学装置は、発光素子を有する電気光学装置であって、物質の透過を遮断する封止層を備え、前記発光素子の発した光が取り出される方向に低屈折率層が配置されていることを特徴とする。
封止層は、透過を抑制すべき物質によって適宜選択することが可能である。例えば、酸素や水の浸透の抑制には、例えば、セラミック、特に窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ケイ素などが好ましい。また、有機材料や無機材料に乾燥剤及び吸着剤の少なくとも一方を分散したものであってもよい。金属イオンの浸透の抑制には、例えば、絶縁膜に種々の元素を添加したものが好ましい。
ここでは、低屈折率層の屈折率としては1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。なお、光の取り出し方向において空気と界面をなす部材を備えている場合は、低屈折率層の屈折率はその部材より低ければ良い場合がある。
本発明によれば、発光層から射出した光は、低屈折率層を通過するので、空気中に光が出る際の反射が低減され、光の取り出し効率が向上するが、さらに封止層を、光を取り出す方向に配置することによって、光を取り出す方向から侵入する、酸素や水などの発光素子の劣化因子を封止層で遮断することが可能となる。
低屈折率層としては、例えば、光を透過可能な多孔質体、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウムあるいはこれを含む材料、フッ化マグネシウムの微粒子を分散したゲル、フッ素系ポリマーあるいはこれを含む材料、デンドリマーなど分岐構造を有するような多孔性ポリマー、所定の材料に無機微粒子及び有機微粒子の少なくともいずれか一方を含有した材料などが挙げられる。
発光素子を配置するための基板として一般的に用いられるガラス基板の側から光を取り出す場合は、ガラスの屈折率は1.54であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下に設定されていることが望ましい。1.2以下であることがさらに好ましい。
上記の電気光学装置において、前記発光素子の通電制御を行う通電制御部が基板上に配置されていても良い。この場合、前記発光素子の発した光は前記通電制御部が配置された基板から取り出すことが可能であり、さらに前記発光素子の、前記基板の反対側からも、前記発光素子の発した光を取り出すことができる。
前記通電制御部としては、例えば、トランジスタやダイオードが使用可能である。特に、薄膜トランジスタは光透過性を有し、しかも安価なガラス基板上に形成することができるので、前記通電制御部として好適である。
本発明の電気光学装置は、発光素子を備えた電気光学装置であって、前記発光素子の発した光が取り出される方向には、乾燥剤及び吸着剤のうち少なくとも一方が分散された低屈折率層が配置されていることを特徴とする。
上記の電気光学装置は、乾燥剤または吸着剤が分散された低屈折率層を備えているので、光の取り出し効率が高く、しかも、発光素子や電極などの劣化因子となる物質の透過を抑制することができる。
上記の電気光学装置において、前記発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であっても良い。有機エレクトロルミネッセンス素子は水や酸素などとの接触により発光効率や素子寿命が短くなることがあるので、封止層を設けることにより素子の劣化を低減することができる。また、一般的には、有機エレクトロルミネッセンスを挟持する電極の少なくとも一方は、水や酸素などによって容易に劣化する金属で形成されるので、電極の劣化を低減することが可能となる。
本発明の膜状部材は、低屈折率層と、物質の透過を抑制する封止層とを有することを特徴とする。ここで、低屈折率層とは、屈折率が1.5以下である層を意味する。特に低屈折率層の屈折率が1.2以下であることが好ましい場合がある。例えば、電気光学的な機能を有する素子や装置は本発明の膜状部材により被覆されることにより長時間、所望の機能を保持することができる。
上記の膜状部材において、前記低屈折率と前記封止層とのうち少なくともいずれか一つに乾燥剤及び吸着剤のうち少なくとも一方が分散されていても良い。
本発明の積層膜は、低屈折率層と物質の透過を抑制する封止層とを有することを特徴とする。ここで、低屈折率層とは、屈折率が1.5以下である層を意味する。特に低屈折率層の屈折率が1.2以下であることが好ましい場合がある。例えば、電気光学的な機能を有する素子や装置は本発明の積層膜により被覆されることにより長時間、所望の機能を保持することができる。
上記の積層膜の、前記低屈折率層としては、多孔質体を利用することができる。多孔質体は空隙の占有率が高いために、十分屈折率を低くすることができる。
上記の積層膜の、前記低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウムあるいはこれを含む材料、フッ化マグネシウムの微粒子を分散したゲル、フッ素系ポリマーあるいはこれを含む材料、分岐構造を有するような多孔性ポリマー、所定の材料に無機微粒子及び有機微粒子の少なくともいずれか一方を含有した材料などが挙げられる。つまり、空隙の占有率が高い材料、あるいは低密度材料、または原子屈折率や分子屈折率が低い材料が採用可能である。
本発明の低屈折率膜は、低屈折率材料に乾燥剤及び吸着剤のうち少なくとも一方が分散されていることを特徴とする。
本発明によれば、低屈折率材料に乾燥剤あるいは吸着剤を分散することにより、低屈折率膜は物質の透過を抑制することができる。したがって、本発明の低屈折率膜は電気光学素子や電気光学装置に好適である。
本発明の多層積層膜は、上記積層膜と、上記低屈折率膜とを備えたことを特徴とする。本発明のように膜を多層化することにより、物質の透過をさらに抑制することができる。また、複数の封止層のそれぞれに異なる物質の透過を抑制させることも可能である。
したがって、本発明の多層積層膜は電気光学素子または電気光学装置に好適である。
本発明の電気光学装置は、電気光学素子と、上記積層膜、低屈折率膜、多層積層膜のうち少なくともいずれか1つを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、上記膜を備えることにより、光の取り出し効率を向上できるとともに、種々の電気光学素子や電気光学装置の劣化を防止できる。
上記の電気光学装置は、さらに前記電気光学素子の通電制御を行う通電制御部と、前記通電制御部を支持する基板と、を備えていることを特徴とする。
前記積層膜、前記低屈折率膜、前記多層積層膜のうち少なくとも1つが前記基板の少なくともいずれかの主面に配置されていても良い。このような場合、前記基板側から侵入する物質をブロックあるいは吸着することにより上記の電気光学装置の劣化を防止することができる。
前記電気光学素子の、前記基板とは反対側に、前記膜状部材、前記積層膜、前記低屈折率膜、及び前記多層積層膜のうち少なくともいずれか一つが配置されていても良い。このような場合、前記電気光学素子の上方から侵入する物質をブロックあるいは吸着することができるので、上記の電気光学装置の劣化を防止することができる。
前記通電制御部としては、例えば、トランジスタやダイオードが使用可能である。特に、薄膜トランジスタは、光透過性を有し、しかも安価なガラス基板上に形成することができるので、前記通電制御部として好適である。
前記電気光学素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であってもよい。
本発明の電子機器は、上記本発明の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、表示品位に優れ、所望の機能を長時間保持できる電子機器を実現できる。
《第1実施形態》
以下、本発明の電気光学装置について図1を参照しながら説明する。図1は本発明の電気光学装置である有機エレクトロルミネッセンス表示装置の第1実施形態の一例を示す断面図である。
図1において、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、光を透過可能な基板(光透過層)2と、基板2の一方の面側に設けられ一対の陰極(電極)7及び陽極(電極)8に狭持された有機エレクトロルミネッセンス材料からなる発光層5と正孔輸送層6とからなる有機エレクトロルミネッセンス素子(発光素子)9と、基板1と有機エレクトロルミネッセンス素子9との間に積層されている低屈折率層3及び封止層4とを備えている。低屈折率層3は封止層4より基板2側に設けられている。
ここで、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、発光層5からの発光を基板2側から装置外部に取り出す形態であり、基板2の形成材料としては、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などが挙げられる。特に、基板2の形成材料としては、安価なソーダガラスが好適に用いられる。
一方、基板と反対側から発光を取り出す形態の場合には、基板は不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミック、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
陽極8は、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等からなる透明電極であって光を透過可能である。正孔輸送層6は、例えば、トリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等からなる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4'−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。ポリエチレンジオキシチオフェンまたはポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子系材料も使用可能である。
なお、正孔輸送層に代えて正孔注入層を形成するようにしてもよく、さらに正孔注入層と正孔輸送層を両方形成するようにしてもよい。その場合、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。
発光層5の形成材料としては、低分子の有機発光色素や高分子発光体、すなわち各種の蛍光物質や燐光物質などの発光物質、Alq3(アルミキレート錯体)などの有機エレクトロルミネッセンス材料が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン又はポリフルオレン構造を含むものなどが特に好ましい。低分子発光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。陰極7はアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)等からなる金属電極である。また、これらの金属を積層したものも陰極として使用可能である。
なお、陰極7と発光層5との間に、電子輸送層や電子注入層を設けることができる。電子輸送層の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。
低屈折率層3は、基板2より光の透過屈折率が低い層であり、シリカエアロゲルによって構成されている。シリカエアロゲルとは、シリコンアルコキシドのゾルゲル反応により形成される湿潤ゲルを超臨界乾燥することによって得られる均一な超微細構造を持った光透過性の多孔質体である。シリカエアロゲルは体積の90%以上を空隙が占め、残りが樹枝状に凝集した数十nmの微細なSiO2粒子で構成された材料であり、粒子径が光の波長よりも小さいため、光透過性を有し、その屈折率は1.2以下である。また、空隙率を変化させることによって屈折率を調整できる。ここで、基板2の材料であるガラスの屈折率は1.54、石英の屈折率は1.45である。
シリカエアロゲルは、ゾル−ゲル法により湿潤ゲルを作製する工程、湿潤ゲルを熟成させる工程、及び超臨界乾燥法により湿潤ゲルを乾燥してエアロゲルを得る超臨界乾燥工程を経て製造される。超臨界乾燥法は、固相と液相とからなるゼリー状のゲル物質中の液体を超臨界流体と置換、除去することにより、ゲルを収縮させることなくゲル物質を乾燥するのに適した方法であって、高い空隙率を有するエアエロゲルが得られる。
なお、低屈折率層3を、超臨界乾燥法を用いたシリカエアロゲル層とせずに、多孔性を有するSiO2膜としてもよい。このSiO2膜は、プラズマCVD法(プラズマ化学的気相成長法)により形成され、反応ガスとしてSiH4とN2Oを用いる。さらに、このSiO2膜の上に、多孔性を有するSiO2膜を形成する。このSiO2膜は常圧CVD法(常圧化学的気相成長法)により形成され、TEOS(テトラエトキシシラン)とO2(酸素)と低濃度のO3(オゾン)とを含む反応ガスを用いる。ここで、低濃度のO3とは、上記TEOSの酸化に必要な濃度よりも低い濃度のO3を言うものである。
封止層4は、基板2側の外部から電極7,8を含む有機エレクトロルミネッセンス素子9に対して大気が侵入するのを遮断するものであって、膜厚や材料を適宜選択することにより光を透過可能となっている。封止層4を構成する材料としては、例えばセラミックや窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化珪素などの透明な材料が用いられ、中でも酸化窒化珪素が透明性、ガスバリア性の観点から好ましい。金属イオンなども素子の劣化の原因となることがあるが、そのような場合、例えば、ホウ素、炭素、窒素、アルミニウム、ケイ素、リン、イッテルビウム、サマリウム、エルビウム、イットリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ネオジウム、などの元素から選ばれた少なくとも1つの元素を含む絶縁膜を封止層4として利用することもできる。例えば、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、ベントナイト、酸性白土、モンモリナイト、珪藻土、活性アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、シリカ、ジルコニア、酸化バリウムなどの乾燥剤または吸着剤から選ばれた少なくとも一つ材料を含むものも、酸素や水分を吸着または吸蔵するので、封止層4として利用することもできる。なお、封止層4の厚さは発光層5から射出される光の波長より小さくなるように設定されることが好ましい(例えば0.1μm)。
有機エレクトロルミネッセンス表示装置1はアクティブマトリクス型である場合は、図示してはいないが、複数のデータ線と複数の走査線とが格子状に配置され、これらデータ線及び走査線に区画されたマトリクス状に配置された各画素毎に、スイッチングトランジスタやドライビングトランジスタ等のトランジスタによって有機エレクトロルミネッセンス素子9が駆動される。そして、データ線や走査線を介して駆動信号が供給されると電極間に電流が流れ、有機エレクトロルミネッセンス素子9の発光層5が発光して基板2の外面側に光が射出され、その画素が点灯する。
また、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1のうち、有機エレクトロルミネッセンス素子9を挟んで封止層4と反対側の表面にも、電極7,8を含む有機エレクトロルミネッセンス素子9に対して大気が侵入するのを遮断する封止部材10が形成されている。
有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を製造する際には、まず、基板2上にエアロゲルの原料である湿潤ゲルをコーティングし、超臨界乾燥して低屈折率層3を形成する。なお、一般的にエアロゲルは吸湿性が高いので、吸湿性を低減したい場合は、コーティングによって形成された湿潤ゲルの薄膜をヘキサメチルジシラザンなどにより疎水化した後、超臨界乾燥を行っても良い。次いで、低屈折率層3上にプラズマCVD法によって封止層4として窒化シリコン膜を形成する。なお、低屈折率層と封止層との間には密着性改善のために樹脂などからなる緩衝層を設けてもよい。そして、封止層4上にスパッタリングやイオンプレーティング、真空蒸着法などを用いて陽極8を形成し、陽極8上に順次、正孔輸送層6、発光層5、陰極7を蒸着して積層することにより、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1が製造される。
上記構成の有機エレクトロルミネッセンス表示装置1においては、発光層5から射出した光は透明電極8を透過し、封止層4、低屈折率層3を経て基板2に入射する。この時、シリカエアロゲルからなる低屈折率層3の方がガラスや石英からなる基板2よりも屈折率が低いため、光は低屈折率材料から高屈折率材料に入射することになり、臨界角以上の角度で低屈折率層3に入射した光が基板2との界面で臨界角以下となる方向に屈折し、基板2内での全反射条件から外れるため、光の取り出し効率を向上させることができる。
以上説明したように、発光層5から射出した光は、基板2より低屈折率な低屈折率層3を通過してから基板2に入射するので、臨界角以上の角度で低屈折率層3に入射した光は基板2との界面で臨界角以下となる方向に屈折し、基板2内での全反射条件から外れ、外部に取り出される。これにより、光の取り出し効率が向上し、高い視認性を得ることができる。また、低屈折率層3がシリカエアロゲルのような通気性の高い材料で構成されていても、封止層4によって基板2側からの大気の侵入が抑えられるので、電極7,8を含む有機エレクトロルミネッセンス素子9は大気に晒されず、劣化を防止される。したがって、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は良好な発光特性を維持できる。また、低屈折率層3を基板2に近接して設けることにより、基板2側から外光が照射されても、内側からの反射が抑えられ、有機エレクトロルミネッセンス素子9からの光の高い視認性を維持できる。
なお、本実施形態において、低屈折率層3や封止層4を含む各層は、プラスマCVD法やスパッタ法、または蒸着法によって順次積層することによって形成されるが、図2に示すように、低屈折率層3と封止層4とを有する膜状部材(積層膜)20を予め形成しておき、この膜状部材を基板2と陽極8との間に配置させるようにしてもよい。
本実施形態においては、基板2上に低屈折率層3を設け、低屈折率層3上に封止層4を設けた構成であるが、基板2上に封止層4を設け、封止層4上に低屈折率層3を設ける構成としてもよい。このように、陽極8(有機エレクトロルミネッセンス素子9)と基板2との間における層構成は、基板2/低屈折率層3/封止層4/陽極8でもよいし、基板2/封止層4/低屈折率層3/陽極8でもよい。更には、基板2/封止層4/低屈折率層3/封止層4/陽極8と封止層を複数層設けてもよい。
封止層(バリア層)4と陽極8との間、あるいは低屈折率層3と封止層4との間にポリマー層を介在させてもよい。このポリマー層を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなど、一般的な炭化水素系高分子が使用可能である。モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)などにより合成されるポリマー微粒子も使用可能である。フッ素原子を含む含フッ素高分子も使用可能である。含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例には、フルオロオレフィン類(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類およびフッ素化ビニルエーテル類が含まれる。フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例には、オレフィン類(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類およびアクリルニトリル類が含まれる。
低屈折率層3をシリカエアロゲルによって形成する際、基板2にスピンコートなどによって湿潤ゲルを塗布した後、超臨界乾燥するが、湿潤ゲルに合成樹脂(有機物)を混合しておいてもよい。この場合の合成樹脂は、その熱変性温度が超臨界流体の臨界温度よりも高く光を透過可能な合成樹脂であることが好ましい。超臨界流体として例えばアルコールを用いた場合、その熱変性温度がアルコールの臨界温度よりも高く光を透過可能な合成樹脂としては、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC),ポリビニルブチラール(PVB),エチルセルロース(EC)等が挙げられる(なお、PVB及びECはアルコールに可溶で水には不溶)。溶媒としてエーテルを用いる場合には樹脂として塩素系ポリエチレン等を選択し、またCO2を溶媒として用いる場合にはHPC等を選択することが望ましい。
本実施形態における低屈折率層3はシリカエアロゲルであるが、アルミナを基調としたエアロゲルでもよく、基板2より低屈折率で光を透過可能な多孔質体であればよい。そして、多孔質体(エアロゲル)は密度が0.4g/cm3以下であることが好ましい。
一方、低屈折率層3としては多孔質体でなくてもよく、エポキシ系接着剤(屈折率:1.42)やアクリル系接着剤(屈折率:1.43)など、光を透過可能で基板2より低屈折率な高分子材料からなる接着剤でもよい。これらの接着剤を単独で使用した場合であっても、基板2を構成するガラスや石英よりも屈折率が低いため、光の取り出し効率を向上できる。また、これらの接着剤を使用する場合には、基板2と封止層4とを貼り合わせることによって有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を製造できる。
更に、低屈折率層3としては、多孔質シリカでもよいし、フッ化マグネシウム(屈折率:1.38)あるいはこれを含む材料でもよい。フッ化マグネシウムによる低屈折率層3はスパッタリングによって形成可能である。あるいは、フッ化マグネシウムの微粒子を分散したゲルでもよい。あるいは、フッ素系ポリマー又はこれを含む材料、例えば、パーフルオロアルキル−ポリエーテル、パーフルオロアルキルアミン、またはパーフルオロアルキル−ポリエーテル−パーフルオロアルキルアミン混合フィルムでもよい。
更には、所定のポリマーバインダーに、可溶性もしくは分散性である低屈折率のフルオロカーボン化合物を混在したものでもよい。
ポリマーバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸ナトリウム塩、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリα−トリフルオロメチルアクリル酸、ポリビニルメチルエーテル−コ−無水マレイン酸、ポリエチレングリコール−コ−プロピレングリコール、ポリメタアクリル酸などが挙げられる。
また、フルオロカーボン化合物としては、パーフルオロオクタン酸−アンモニウム塩、パーフルオロオクタン酸−テトラメチルアンモニウム塩、C−7とC−10のパーフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、C−7とC−10のパーフルオロアルキルスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩、フッ素化アルキル第4級アンモニウムアイオダイド、パーフルオロアジピン酸、およびパーフルオロアジピン酸の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
更に、低屈折率層3として空隙を導入する方法が有効であるため、上記エアロゲルの他に、微粒子を用いて微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして空隙を形成してもよい。微粒子としては、無機微粒子あるいは有機微粒子を低屈折率層に用いることができる。
無機微粒子は、非晶質であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさらに好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すなわちシリカである。
無機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成することができる。シリカの分子を架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号の各公報記載)または析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することができる。また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。ミクロボイドを有する無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
有機微粒子も、非晶質であることが好ましい。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むことが好ましい。含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例には、フルオロオレフィン類(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類およびフッ素化ビニルエーテル類が含まれる。フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例には、オレフィン類(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類およびアクリルニトリル類が含まれる。
有機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒子を形成するポリマーを架橋させることにより形成することができる。ポリマーを架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの20モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。多官能モノマーの割合は、30乃至80モル%であることがさらに好ましく、35乃至50モル%であることが最も好ましい。多官能モノマーの例には、ジエン類(例、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールとアクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価アルコールとメタクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート)、ジビニル化合物(例、ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルスルホン、ビスアクリルアミド類(例、メチレンビスアクリルアミド)およびビスメタクリルアミド類が含まれる。粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより形成することができる。
低屈折率層3を、微細空孔と微粒子状無機物とを有する材料によって構成してもよい。この場合、低屈折率層3はコーティングにより形成され、微細空孔は層の塗布後に活性化ガス処理を行ない、ガスが層から離脱することによって形成される。あるいは、2種類以上の超微粒子(例えば、MgF2とSiO2)を混在させて、膜厚方向にその混合比を変化させることによって低屈折率層3を形成してもよい。混合比を変化させることにより屈折率が変化する。超微粒子は、エチルシリケートの熱分解で生じたSiO2により接着している。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼によって、二酸化炭素と水蒸気も発生する。二酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒子の間に間隙が生じている。あるいは、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有して低屈折率層3を形成してもよいし、含フッ素ポリマーからなる微粒子を2個以上積み重ねることにより、微粒子間に空隙を形成した低屈折率層3を形成してもよい。
分子構造レベルで空隙率を向上させることもできる。例えばデンドリマーなどの分岐構造を有するポリマーを用いても低屈折率が得られる。
そして、上記の材料を用いて、低屈折率層3は、屈折率が1.5以下に設定されていることが望ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。
《第2実施形態》
図3に本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の第2実施形態を示す。なお、図3を用いた説明において上記第1実施形態と同一あるいは同等の構成部分については説明を省略する。
図3において、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、光を透過可能な基板2と、基板2の一方の面に設けられ一対の電極7,8に挟持された発光層5及び正孔輸送層6を備える有機エレクトロルミネッセンス素子9と、基板2と有機エレクトロルミネッセンス素子9のうち陽極8との間に設けられ、基板2より屈折率が低い低屈折率層(低屈折率膜)11とを備えている。低屈折率層11には、乾燥剤及び吸着剤の少なくとも一方が分散されている。
すなわち、本実施形態では封止層が無く、本実施形態に係る低屈折率層11は、第1実施形態で説明した低屈折率層を構成する材料に、乾燥剤あるいは吸着剤を分散したものである。
低屈折率層11は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂などの光透過可能且つ基板2より低い屈折率を有する合成樹脂に粉末乾燥剤を混入したものである。合成樹脂に乾燥剤の粉末が混入されているので、低屈折率層11を透過する水分を低減することができる。また、樹脂としては、エポキシ樹脂など2液混合もしくは紫外線照射によって硬化するタイプのものを用いるのがよい。加熱によって有機エレクトロルミネッセンス素子9が劣化する恐れがない場合は、加熱して硬化させるタイプのものを用いても良い。乾燥剤は、低屈折率層11を硬化させる前に混入し、充分に練り合わせてから樹脂を硬化させると、低屈折率層11中に均等に混入させることができる。乾燥剤としては、化学吸着性の物質を用いることができる。化学吸着性の乾燥剤の例としては、例えば酸化カルシウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物、五酸化リンなどが挙げられる。この他、例えば、酸性白土、モンモリナイト、珪藻土、活性アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、シリカ、ジルコニアなども使用可能である。
以上説明したように、低屈折率層11の主成分が合成樹脂など通気性の高いものであっても、乾燥剤の粒子を分散させることによって、低屈折率層11に封止機能(バリア機能)を付与できる。したがって、基板側2からの酸素や水分などの素子劣化の要因となる成分の侵入を低屈折率層11によって抑えることができ、良好な発光特性を維持できる。
そして、本実施形態においても、乾燥剤を含む低屈折率層11を膜状部材(低屈折率膜)として予め形成しておき、この膜状部材を基板2と陽極8との間に配置させるようにしてもよい。
更に、第1実施形態で示した低屈折率層と封止層とを有する積層膜と、第2実施形態で示した乾燥剤あるいは吸着剤が分散された低屈折率膜とを組み合わせて多層積層膜として用いることももちろん可能である。
《第3実施形態》
次に、第3実施形態として、本発明に係る電気光学装置の具体的な構成例について図4,図5,図6を参照しながら説明する。
図4,図5は本発明に係る電気光学装置を、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたアクティブマトリクス型の表示装置に適用した場合の一例を示すものである。
この有機エレクトロルミネッセンス表示装置S1は、回路図である図4に示すように基板上に、複数の走査線131と、これら走査線131に対して交差する方向に延びる複数の信号線132と、これら信号線132に並列に延びる複数の共通給電線133とがそれぞれ配線されたもので、走査線131及び信号線132の各交点毎に、画素(画素領域素)ARが設けられて構成されたものである。
信号線132に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路90が設けられている。
一方、走査線131に対しては、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が設けられている。また、画素領域ARの各々には、走査線131を介して走査信号がゲート電極に供給される第1の薄膜トランジスタ22と、この第1の薄膜トランジスタ22を介して信号線132から供給される画像信号を保持する保持容量capと、保持容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2の薄膜トランジスタ24と、この第2の薄膜トランジスタ24を介して共通給電線133に電気的に接続したときに共通給電線133から駆動電流が流れ込む画素電極23と、この画素電極(陽極)23と対向電極(陰極)222との間に挟み込まれる発光部(発光層)60とが設けられている。
このような構成のもとに、走査線131が駆動されて第1の薄膜トランジスタ22がオンとなると、そのときの信号線132の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、第2の薄膜トランジスタ24の導通状態が決まる。そして、第2の薄膜トランジスタ24のチャネルを介して共通給電線133から画素電極23に電流が流れ、さらに発光層60を通じて対向電極222に電流が流れることにより、発光層60は、これを流れる電流量に応じて発光するようになる。
ここで、各画素ARの平面構造は、対向電極や有機エレクトロルミネッセンス素子を取り除いた状態での拡大平面図である図5に示すように、平面形状が長方形の画素電極23の四辺が、信号線132、共通給電線133、走査線131及び図示しない他の画素電極用の走査線によって囲まれた配置となっている。
図6は図5のA−A矢視断面図である。ここで、図6に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が配置された基板2側とは反対側から光を取り出す形態を採っている。
図6に示すように、有機エレクトロルミネッセンス表示装置S1は、基板2と、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明電極材料からなる陽極(画素電極)23と、陽極23から正孔を輸送可能な正孔輸送層70と、電気光学物質の1つである有機エレクトロルミネッセンス物質を含む発光層(有機エレクトロルミネッセンス層、電気光学素子)60と、発光層60の上面に設けられている電子輸送層50と、電子輸送層50の上面に設けられているアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)等の金属のうち少なくとも1つからなる陰極(対向電極)222と、基板2上に形成され、画素電極23にデータ信号を書き込むか否かを制御する通電制御部としての薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と称する)24とを有している。更に、陰極222の上層、すなわち発光層60からの光が外部に取り出される側には、低屈折率層3及び封止層4からなる積層膜20が設けられている。なお、図6では、低屈折率層3が陰極222の上層に配置され、最上層に封止層4が配置されている構成であるが、陰極222の上層に封止層4を配置し、この封止層4の上層に低屈折率層3を配置する構成としてもよい。また、陰極222上に有機材料または無機材料からなるパッシベーション膜あるいは保護膜、または平坦化膜を形成し、その上に低屈折率層3あるいは封止層4を設けても良い。TFT24は、走査線駆動回路80及びデータ線駆動回路90からの作動指令信号に基づいて作動し、画素電極23への通電制御を行う。
TFT24は、SiO2を主体とする下地保護層281を介して基板2の表面に設けられている。このTFT24は、下地保護層281の上層に形成されたシリコン層241と、シリコン層241を覆うように下地保護層281の上層に設けられたゲート絶縁層282と、ゲート絶縁層282の上面のうちシリコン層241に対向する部分に設けられたゲート電極242と、ゲート電極242を覆うようにゲート絶縁層282の上層に設けられた第1層間絶縁層283と、ゲート絶縁層282及び第1層間絶縁層283にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層241と接続するソース電極243と、ゲート電極242を挟んでソース電極243と対向する位置に設けられ、ゲート絶縁層282及び第1層間絶縁層283にわたって開孔するコンタクトホールを介してシリコン層241と接続するドレイン電極244と、ソース電極243及びドレイン電極244を覆うように第1層間絶縁層283の上層に設けられた第2層間絶縁層284とを備えている。
そして、第2層間絶縁層284の上面に画素電極23が配置され、画素電極23とドレイン電極244とは、第2層間絶縁層284に設けられたコンタクトホール23aを介して接続されている。また、第2層間絶縁層284の表面のうち有機エレクトロルミネッセンス素子が設けられている以外の部分と陰極222との間には、合成樹脂などからなる第3絶縁層(バンク層)221が設けられている。
なお、シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチャネル領域とされている。また、シリコン層241のうち、チャネル領域のソース側にはソース領域が設けられている一方、チャネル領域のドレイン側にはドレイン領域が設けられている。このうち、ソース領域が、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極243に接続されている。一方、ドレイン領域が、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホールを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。画素電極23は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241のドレイン領域に接続されている。
本例では、TFT24が設けられている基板2とは反対側から発光光を取り出す構成であるため、基板2は不透明であってもよく、その場合、アルミナ等のセラミック、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
一方、有機エレクトロルミネッセンス素子では後述するような、発光層からの発光光をTFTが設けられている基板側から取り出す構成とすることも可能である。発光光を基板側から取り出す構成とする場合、基板材料としてはガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明なものが用いられるが、特に安価なソーダガラスが好適に用いられる。ソーダガラスを用いた場合、これにシリカコートを施すのが、酸アルカリに弱いソーダガラスを保護する効果を有し、さらに基板の平坦性をよくする効果も有するため好ましい。
また、基板に色フィルター膜や発光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を配置して、発光色を制御するようにしてもよい。
下地保護層281を形成する際には、基板2に対し、TEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法によって製膜することにより、下地保護層281として厚さ約200〜500nmのシリコン酸化膜が形成される。
シリコン層241を形成する際には、まず、基板2の温度を約350℃に設定して、下地保護膜281の表面にプラズマCVD法あるいはICVD法により厚さ約30〜70nmのアモルファスシリコン層を形成する。次いで、このアモルファスシリコン層に対してレーザアニール法、急速加熱法、または固相成長法などによって結晶化工程を行い、アモルファスシリコン層をポリシリコン層に結晶化する。レーザアニール法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば200mJ/cm2とする。ラインビームについては、その短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査する。次いで、ポリシリコン層をフォトリソグラフィ法によってパターンニングして、島状のシリコン層241とする。
なお、シリコン層241は、図4に示した第2の薄膜トランジスタ24のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となるものであるが、異なる断面位置においては第1の薄膜トランジスタ22のチャネル領域及びソース・ドレイン領域となる半導体膜も形成されている。つまり、二種類のトランジスタ22、24は同時に形成されるが、同じ手順で作られるため、以下の説明において、トランジスタに関しては、第2の薄膜トランジスタ24についてのみ説明し、第1の薄膜トランジスタ22についてはその説明を省略する。
ゲート絶縁層282を形成する際には、シリコン層241の表面に対して、TEOSや酸素ガスなどを原料としてプラズマCVD法を用いて製膜することにより、厚さ約60〜150nmのシリコン酸化膜または窒化膜からなるゲート絶縁層282が形成される。また、ゲート絶縁層282を、多孔性を有するシリコン酸化膜(SiO2膜)としてもよい。多孔性を有するSiO2膜からなるゲート絶縁層282は、反応ガスとしてSi26とO3とを用いて、CVD法(化学的気相成長法)により形成される。これらの反応ガスを用いると、気相中に粒子の大きいSiO2が形成され、この粒子の大きいSiO2がシリコン層241や下地保護層281の上に堆積する。そのため、ゲート絶縁層282は、層中に多くの空隙を有し、多孔質体となる。そして、ゲート絶縁層282は多孔質体となることによって低誘電率を有するようになる。
なお、ゲート絶縁層282の表面にH(水素)プラズマ処理をしてもよい。これにより、空隙の表面のSi−O結合中のダングリングボンドがSi−H結合に置き換えられ、膜の耐吸湿性が良くなる。そして、このプラズマ処理されたゲート絶縁層282の表面に別のSiO2層を設けてもよい。こうすることにより、誘電率な絶縁層が形成できる。
また、ゲート絶縁層282をCVD法で形成する際の反応ガスは、Si26+O3の他に、Si26+O2、Si38+O3、Si38+O2としてもよい。更に、上記の反応ガスに加えて、B(ホウ素)含有の反応ガス、F(フッ素)含有の反応ガスを用いてもよい。
更に、多孔質体であるゲート絶縁層282を形成する際、多孔性を有するSiO2膜と、通常の減圧化学的気相成長法により形成されたSiO2膜とを積層することにより、膜質の安定した多孔質体としてのゲート絶縁層282を形成することもできる。そして、これらの膜を積層するには、減圧下におけるSiH4とO2の雰囲気中において、プラズマを断続的、又は周期的に発生させることによって可能となる。具体的には、ゲート絶縁層282は、基板2を所定のチャンバ内に収容し、例えば400℃に保持しながら、反応ガスとしてSiH4とO2を用い、RF電圧(高周波電圧)をチャンバに印加することにより形成される。成膜中においては、SiH4流量、O2流量が一定であるのに対し、RF電圧は10秒の周期でチャンバに印加される。これにともない、プラズマが10秒の周期で発生、消滅する。このように、時間変化するプラズマを用いることにより、1つのチャンバー内で、減圧CVDを用いるプロセスと、減圧下におけるプラズマCVDを用いるプロセスとを繰り返し行うことができる。そして、減圧CVDと減圧下におけるプラズマCVDとを繰り返し行うことにより、膜中に多数の空隙を有するSiO2膜が形成される。すなわち、ゲート絶縁層282は多孔性を有することになる。
ゲート電極242は、ゲート絶縁層282上にアルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属を含む導電膜をスパッタ法により形成した後、これをパターニングすることにより形成される。
シリコン層241にソース領域及びドレイン領域を形成するには、ゲート電極242を形成した後、このゲート電極242をパターニング用マスクとして用い、この状態でリンイオンを注入する。その結果、ゲート電極242に対してセルフアライン的に高濃度不純物が導入されて、シリコン層241中にソース領域及びドレイン領域が形成される。なお、不純物が導入されなかった部分がチャネル領域となる。
第1層間絶縁層283は、ゲート絶縁層282同様、シリコン酸化膜または窒化膜、多孔性を有するシリコン酸化膜などによって構成され、ゲート絶縁層282の形成方法と同様の手順でゲート絶縁層282の上層に形成される。
ソース電極243及びドレイン電極244を形成するには、まず、第1層間絶縁層283にフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、ソース電極及びドレイン電極に対応するコンタクトホールを形成する。次に、第1層間絶縁層283を覆うように、アルミニウムやクロム、タンタル等の金属からなる導電層を形成した後、この導電層のうち、ソース電極及びドレイン電極が形成されるべき領域を覆うようにパターニング用マスクを設けるとともに、導電層をパターニングすることにより、ソース電極243及びドレイン電極244が形成される。
第2層間絶縁層284は、第1層間絶縁層283同様、シリコン酸化膜または窒化膜、多孔性を有するシリコン酸化膜などによって構成され、第1層間絶縁層283の形成方法と同様の手順で第1層間絶縁層283の上層に形成される。ここで、第2層間絶縁層284を形成したら、第2層間絶縁層284のうちドレイン電極244に対応する部分にコンタクトホール23aを形成する。
有機エレクトロルミネッセンス素子に接続する陽極23は、ITOやフッ素をドープしてなるSnO2、更にZnOやポリアミン等の透明電極材料からなり、コンタクトホール23aを介してTFT24のドレイン電極244に接続されている。陽極23を形成するには、前記透明電極材料からなる膜を第2層間絶縁層284上面に形成し、この膜をパターニングすることにより形成される。
第3絶縁層221はアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂によって構成されている。第3絶縁層221は、陽極23が形成された後に形成される。具体的な第3絶縁層221の形成方法としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に融かしたものを、スピンコート、ディップコート等により塗布して絶縁層を形成する。なお、絶縁層の構成材料は、後述するインクの溶媒に溶解せず、しかもエッチング等によってパターニングしやすいものであればどのようなものでもよい。更に、絶縁層をフォトリソグラフィ技術等により同時にエッチングして、開口部221aを形成することにより、開口部221aを備えた第3絶縁層221が形成される。
ここで、第3絶縁層221の表面には、親インク性を示す領域と、撥インク性を示す領域とが形成される。本実施形態においてはプラズマ処理工程により、各領域を形成するものとしている。具体的にプラズマ処理工程は、予備加熱工程と、開口部221aの壁面並びに画素電極23の電極面を親インク性にする親インク化工程と、第3絶縁層221の上面を撥インク性にする撥インク化工程と、冷却工程とを有している。
すなわち、基材(第3絶縁層等を含む基板2)を所定温度(例えば70〜80土程度)に加熱し、次いで親インク化工程として大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラスマ処理)を行う。続いて、撥インク化工程として大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラスマ処理(CF4プラスマ処理)を行い、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親インク性及び撥インク性が所定箇所に付与されることとなる。なお、画素電極23の電極面についても、このCF4プラスマ処理の影響を多少受けるが、画素電極23の材料であるITO等はフッ素に対する親和性に乏しいため、親インク化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親インク性が保たれる。
正孔輸送層70は陽極23の上面に形成されている。ここで、正孔輸送層70の形成材料としては、特に限定されることなく公知のものが使用可能であり、例えばピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等が挙げられる。具体的には、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好ましく、中でも4,4'−ビス(N(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。
なお、正孔輸送層に代えて正孔注入層を形成するようにしてもよく、さらに正孔注入層と正孔輸送層を両方形成するようにしてもよい。その場合、正孔注入層の形成材料としては、例えば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロシアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。
正孔注入/輸送層70を形成する際には、インクジェット法を用いることができる。すなわち、上述した正孔注入/輸送層材料を含む組成物インクを陽極23の電極面上に吐出した後に、乾燥処理及び熱処理を行うことにより、電極23上に正孔注入/輸送層70が形成される。なお、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、正孔注入/輸送層70及び発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)60の酸化を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。例えば、インクジェットヘッド(不図示)に正孔注入/輸送層材料を含む組成物インクを充填し、インクジェットヘッドの吐出ノズルを陽極23の電極面に対向させ、インクジェットヘッドと基材(基板2)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインキ滴を電極面に吐出する。次に、吐出後のインク滴を乾燥処理して組成物インクに含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層70が形成される。
なお、組成物インクとしては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体と、ポリスチレンスルホン酸等との混合物を、イソプロピルアルコール等の極性溶媒に溶解させたものを用いることができる。ここで、吐出されたインク滴は、親インク処理された陽極23の電極面上に広がり、開口部221aの底部近傍に満たされる。その一方で、撥インク処理された第3絶縁層221の上面にはインク滴がはじかれて付着しない。したがって、インク滴が所定の吐出位置からはずれて第3絶縁層221の上面に吐出されたとしても、該上面がインク滴で濡れることがなく、はじかれたインク滴が第3絶縁層221の開口部221a内に転がり込むものとされている。
発光層60は、正孔注入/輸送層70上面に形成される。発光層60の形成材料としては、特に限定されることなく、低分子の有機発光色素や高分子発光体、すなわち各種の蛍光物質や燐光物質からなる発光物質が使用可能である。発光物質となる共役系高分子の中ではアリーレンビニレン構造を含むものが特に好ましい。低分子蛍光体では、例えばナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、ポリメチン系、キサテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン誘導体等、または特開昭57−51781、同59−194393号公報等に記載されている公知のものが使用可能である。
発光層60の形成材料として高分子蛍光体を用いる場合には、側鎖に蛍光基を有する高分子を用いることができるが、好ましくは共役系構造を主鎖に含むもので、特に、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリアリーレンビニレン、ポリフルオレンおよびその誘導体が好ましい。中でもポリアリーレンビニレンおよびその誘導体が好ましい。該ポリアリーレンビニレンおよびその誘導体は、下記化学式(1)で示される繰り返し単位を全繰り返し単位の50モル%以上含む重合体である。繰り返し単位の構造にもよるが、化学式(1)で示される繰り返し単位が全繰り返し単位の70%以上であることがさらに好ましい。
−Ar−CR=CR'− (1)
〔ここで、Arは、共役結合に関与する炭素原子数が4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環化合物基、R、R'はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20の複素環化合物、シアノ基からなる群から選ばれた基を示す。〕
該高分子蛍光体は、化学式(1)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、芳香族化合物基またはその誘導体、複素環化合物基またはその誘導体、およびそれらを組み合わせて得られる基などを含んでいてもよい。また、化学式(1)で示される繰り返し単位や他の繰り返し単位が、エーテル基、エステル基、アミド基、イミド基などを有する非共役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらの非共役部分が含まれていてもよい。
前記高分子蛍光体において化学式(1)のArとしては、共役結合に関与する炭素原子数が4個以上20個以下からなるアリーレン基または複素環化合物基であり、下記の化学式(2)で示す芳香族化合物基またはその誘導体基、複素環化合物基またはその誘導体基、およびそれらを組み合わせて得られる基などが例示される。
Figure 2007184290
(R1〜R92は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基;炭素数6〜18のアリール基およびアリールオキシ基;ならびに炭素数4〜14の複素環化合物基からなる群から選ばれた基である。)
これらのなかでフェニレン基、置換フェニレン基、ビフェニレン基、置換ビフェニレン基、ナフタレンジイル基、置換ナフタレンジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基、置換アントラセン−9,10−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、置換ピリジン−2,5−ジイル基、チエニレン基および置換チエニレン基が好ましい。さらに好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレンジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、チエニレン基である。
化学式(1)のR、R'が水素またはシアノ基以外の置換基である場合について述べると、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、4−C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、4−C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示される。
溶媒可溶性の観点からは化学式(1)のArが、1つ以上の炭素数4〜20のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基、炭素数6〜18のアリール基およびアリールオキシ基ならびに炭素数4〜14の複素環化合物基から選ばれた基を有していることが好ましい。
これらの置換基としては以下のものが例示される。炭素数4〜20のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。また、炭素数4〜20のアルコキシ基としては、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましい。炭素数4〜20のアルキルチオ基としては、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、デシルオキシ基、ラウリルチオ基などが挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、4−C1〜C12アルコキシフェニル基、4−C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示される。アリールオキシ基としては、フェノキシ基が例示される。複素環化合物基としては2−チエニル基、2−ピロリル基、2−フリル基、2−、3−または4−ピリジル基などが例示される。これら置換基の数は、該高分子蛍光体の分子量と繰り返し単位の構成によっても異なるが、溶解性の高い高分子蛍光体を得る観点から、これらの置換基が分子量600当たり1つ以上であることがより好ましい。
なお、前記高分子蛍光体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。また、ここで形成する有機エレクトロルミネッセンス素子は、薄膜からの蛍光を利用することから、該高分子蛍光体は固体状態で蛍光を有するものが用いられる。
該高分子蛍光体に対して溶媒を使用する場合に、好適なものとしては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが例示される。高分子蛍光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1wt%以上溶解させることができる。
また、前記高分子蛍光体としては、分子量がポリスチレン換算で103〜107であることが好ましく、それらの重合度は繰り返し構造やその割合によっても変わる。成膜性の点から一般には繰り返し構造の合計数で好ましくは4〜10000、さらに好ましくは5〜3000、特に好ましくは10〜2000である。
このような高分子蛍光体の合成法としては、特に限定されないものの、例えばアリーレン基にアルデヒド基が2つ結合したジアルデヒド化合物と、アリーレン基にハロゲン化メチル基が2つ結合した化合物とトリフェニルホスフィンとから得られるジホスホニウム塩からのWittig反応が例示される。また、他の合成法としては、アリーレン基にハロゲン化メチル基が2つ結合した化合物からの脱ハロゲン化水素法が例示される。さらに、アリーレン基にハロゲン化メチル基が2つ結合した化合物のスルホニウム塩をアルカリで重合して得られる中間体から熱処理により該高分子蛍光体を得るスルホニウム塩分解法が例示される。いずれの合成法においても、モノマーとして、アリーレン基以外の骨格を有する化合物を加え、その存在割合を変えることにより、生成する高分子蛍光体に含まれる繰り返し単位の構造を変えることができるので、化学式(1)で示される繰り返し単位が50モル%以上となるように加減して仕込み、共重合してもよい。これらのうち、Wittig反応による方法が、反応の制御や収率の点で好ましい。
さらに具体的に、前記高分子蛍光体の1つの例であるアリーレンビニレン系共重合体の合成法を説明する。例えば、Wittig反応により高分子蛍光体を得る場合には、例えばまず、ビス(ハロゲン化メチル)化合物、より具体的には、例えば2,5−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジブロミドをN,N−ジメチルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウム塩を合成し、これとジアルデヒド化合物、より具体的には、例えば、テレフタルアルデヒドとを、例えばエチルアルコール中、リチウムエトキシドを用いて縮合させるWittig反応により、フェニレンビニレン基と2,5−ジオクチルオキシ−p−フェニレンビニレン基を含む高分子蛍光体が得られる。このとき、共重合体を得るために2種類以上のジホスホニウム塩および/または2種類以上のジアルデヒド化合物を反応させてもよい。
これらの高分子蛍光体を発光層の形成材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、合成後、再沈精製、クロマトグラフによる分別等の純化処理をすることが望ましい。
また、前記の高分子蛍光体からなる発光層の形成材料としては、フルカラー表示をなすため、赤、緑、青の三色の発光層形成材料が用いられ、それぞれが所定のパターニング装置(インクジェット装置)によって予め設定された位置の画素ARに射出され、パターニングされる。
なお、前記の発光物質としては、ホスト材料にゲスト材料を添加した形態のものを用いることもできる。
このような発光材料としては、ホスト材料として例えば高分子有機化合物や低分子材料が、またゲスト材料として得られる発光層の発光特性を変化させるための蛍光色素、あるいは燐光物質を含んでなるものが好適に用いられる。
高分子有機化合物としては、溶解性の低い材料の場合、例えば前駆体が塗布された後、以下の化学式(3)に示すように加熱硬化されることによって共役系高分子有機エレクトロルミネッセンス層となる発光層を生成し得るものがある。例えば、前駆体のスルホニウム塩の場合、加熱処理されることによりスルホニウム基が脱離し、共役系高分子有機化合物となるもの等がある。
また、溶解性の高い材料では、材料をそのまま塗布した後、溶媒を除去して発光層にし得るものもある。
Figure 2007184290
前記の高分子有機化合物は固体で強い蛍光を持ち、均質な固体超薄膜を形成することができる。しかも、形成能に富みITO電極との密着性も高く、さらに、固化した後は強固な共役系高分子膜を形成する。
このような高分子有機化合物としては、例えばポリアリーレンビニレンが好ましい。ポリアリーレンビニレンは水系溶媒あるいは有機溶媒に可溶で第2の基体11に塗布する際の塗布液への調製が容易であり、さらに一定条件下でポリマー化することができるため、光学的にも高品質の薄膜を得ることができる。
このようなポリアリーレンビニレンとしては、PPV(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))、MO−PPV(ポリ(2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレンビニレン))、CN−PPV(ポリ(2,5−ビスヘキシルオキシ−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)))、MEH−PPV(ポリ[2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキシルオキシ)]−パラ−フェニレンビニレン)、等のPPV誘導体、PTV(ポリ(2,5−チエニレンビニレン))等のポリ(アルキルチオフェン)、PFV(ポリ(2,5−フリレンビニレン))、ポリ(パラフェニレン)、ポリアルキルフルオレン等が挙げられるが、なかでも化学式(4)に示すようなPPVまたはPPV誘導体の前駆体からなるものや、化学式(5)に示すようなポリアルキルフルオレン(具体的には化学式(6)に示すようなポリアルキルフルオレン系共重合体)が特に好ましい。
PPV等は強い蛍光を持ち、二重結合を形成するπ電子がポリマー鎖上で非極在化している導電性高分子でもあるため、高性能の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
Figure 2007184290
Figure 2007184290
Figure 2007184290
なお、前記PPV薄膜の他に発光層を形成し得る高分子有機化合物や低分子材料、すなわち本例においてホスト材料として用いられるものは、例えばアルミキノリノール錯体(Alq3)やジスチリルビフェニル、さらに化学式(7)に示すBeBq2やZn(OXZ)2、そしてTPD、ALO、DPVBi等の従来より一般的に用いられているものに加え、ピラゾリンダイマー、キノリジンカルボン酸、ベンゾピリリウムパークロレート、ベンゾピラノキノリジン、ルブレン、フェナントロリンユウロピウム錯体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物を用いることができる。
Figure 2007184290
一方、このようなホスト材料に添加されるゲスト材料としては、前記したように蛍光色素や燐光物質が挙げられる。特に蛍光色素は、発光層の発光特性を変化させることができ、例えば、発光層の発光効率の向上、または光吸収極大波長(発光色)を変えるための手段としても有効である。すなわち、蛍光色素は単に発光層材料としてではなく、発光機能そのものを担う色素材料として利用することができる。例えば、共役系高分子有機化合物分子上のキャリア再結合で生成したエキシトンのエネルギーを蛍光色素分子上に移すことができる。この場合、発光は蛍光量子効率が高い蛍光色素分子からのみ起こるため、発光層の電流量子効率も増加する。したがって、発光層の形成材料中に蛍光色素を加えることにより、同時に発光層の発光スペクトルも蛍光分子のものとなるので、発光色を変えるための手段としても有効となる。
なお、ここでいう電流量子効率とは、発光機能に基づいて発光性能を考察するための尺度であって、下記式により定義される。
ηE=放出されるフォトンのエネルギー/入力電気エネルギー
そして、蛍光色素のドープによる光吸収極大波長の変換によって、例えば赤、青、緑の3原色を発光させることができ、その結果フルカラー表示体を得ることが可能となる。
さらに蛍光色素をドーピングすることにより、エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を大幅に向上させることができる。
蛍光色素としては、赤色の発色光を発光する発光層を形成する場合、レーザー色素のDCM−1、あるいはローダミンまたはローダミン誘導体、ペニレン等を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素をPPVなどホスト材料にドープすることにより、発光層を形成することができるが、これらの蛍光色素は水溶性のものが多いので、水溶性を有するPPV前駆体であるスルホニウム塩にドープし、その後、加熱処理すれば、より均一な発光層の形成が可能になる。このような蛍光色素として具体的には、ローダミンB、ローダミンBベース、ローダミン6G、ローダミン101過塩素酸塩等が挙げられ、これらを2種以上混合したものであってもよい。
また、緑色の発色光を発光する発光層を形成する場合、キナクリドン、ルブレン、DCJTおよびその誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素についても、前記の蛍光色素と同様、PPVなどホスト材料にドープすることにより、発光層を形成することができるが、これらの蛍光色素は水溶性のものが多いので、水溶性を有するPPV前駆体であるスルホニウム塩にドープし、その後、加熱処理すれば、より均一な発光層の形成が可能になる。
さらに、青色の発色光を発光する発光層を形成する場合、ジスチリルビフェニルおよびその誘導体を用いるのが好ましい。これらの蛍光色素についても、前記の蛍光色素と同様、PPVなどホスト材料にドープすることにより、発光層を形成することができるが、これらの蛍光色素は水溶性のものが多いので、水溶性を有するPPV前駆体であるスルホニウム塩にドープし、その後、加熱処理すれば、より均一な発光層の形成が可能になる。
また、青色の発色光を有する他の蛍光色素としては、クマリンおよびその誘導体を挙げることができる。これらの蛍光色素は、PPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。また、これらのうち特にクマリンは、それ自体は溶媒に不溶であるものの、置換基を適宜に選択することによって溶解性を増し、溶媒に可溶となるものもある。このような蛍光色素として具体的には、クマリン−1、クマリン−6、クマリン−7、クマリン120、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン337、クマリン343等が挙げられる。
さらに、別の青色の発色光を有する蛍光色素としては、テトラフェニルブタジエン(TPB)またはTPB誘導体、DPVBi等を挙げることができる。これらの蛍光色素は、前記赤色蛍光色素等と同様に水溶液に可溶であり、またPPVと相溶性がよく発光層の形成が容易である。
以上の蛍光色素については、各色ともに1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
なお、このような蛍光色素としては、化学式(8)に示すようなものや、化学式(9)に示すようなもの、さらに化学式(10)に示すようなものが用いられる。
Figure 2007184290
Figure 2007184290
Figure 2007184290
これらの蛍光色素については、前記共役系高分子有機化合物等からなるホスト材料に対し、後述する方法によって0.5〜10wt%添加するのが好ましく、1.0〜5.0wt%添加するのがより好ましい。蛍光色素の添加量が多過ぎると得られる発光層の耐候性および耐久性の維持が困難となり、一方、添加量が少な過ぎると、前述したような蛍光色素を加えることによる効果が十分に得られないからである。
また、ホスト材料に添加されるゲスト材料としての燐光物質としては、化学式(11)に示すIr(ppy)3、Pt(thpy)2、PtOEPなどが好適に用いられる。
Figure 2007184290
なお、前記の化学式(11)に示した燐光物質をゲスト材料とした場合、ホスト材料としては、特に化学式(12)に示すCBP、DCTA、TCPBや、前記したDPVBi、Alq3が好適に用いられる。
また、前記蛍光色素と燐光物質については、これらを共にゲスト材料としてホスト材料に添加するようにしてもよい。
Figure 2007184290
なお、このようなホスト/ゲスト系の発光物質によって発光層60を形成する場合、例えば予めパターニング装置(インクジェット装置)にノズル等の材料供給系を複数形成しておき、これらノズルからホスト材料とゲスト材料とを予め設定した量比で同時に吐出させることにより、ホスト材料に所望する量のゲスト材料が添加されてなる発光物質による、発光層60を形成することができる。
発光層60は、正孔注入/輸送層70の形成方法と同様の手順で形成される。すなわち、インクジェット法によって発光層材料を含む組成物インクを正孔注入/輸送層70の上面に吐出した後に、乾燥処理及び熱処理を行うことにより、第3絶縁層221に形成された開口部221a内部の正孔注入/輸送層70上に発光層60が形成される。この発光層形成工程も上述したように不活性ガス雰囲気化で行われる。吐出された組成物インクは撥インク処理された領域ではじかれるので、インク滴が所定の吐出位置からはずれたとしても、はじかれたインク滴が第3絶縁層221の開口部221a内に転がり込む。
電子輸送層50は発光層60の上面に形成される。電子輸送層50も発光層60の形成方法と同様、インクジェット法により形成される。電子輸送層50の形成材料としては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−70257号、同63−175860号公報、特開平2−135359号、同2−135361号、同2−209988号、同3−37992号、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適とされる。
なお、前述した正孔注入/輸送層70の形成材料や電子輸送層50の形成材料を発光層60の形成材料に混合し、発光層形成材料として使用してもよく、その場合に、正孔注入/輸送層形成材料や電子輸送層形成材料の使用量については、使用する化合物の種類等によっても異なるものの、十分な成膜性と発光特性を阻害しない量範囲でそれらを考慮して適宜決定される。通常は、発光層形成材料に対して1〜40重量%とされ、さらに好ましくは2〜30重量%とされる。
陰極222は、電子輸送層50及び第3絶縁層221の表面全体、あるいはストライプ状に形成されている。陰極222については、もちろんAl、Mg、Li、Caなどの単体材料やMg:Ag(10:1合金)の合金材料からなる1層で形成してもよいが、2層あるいは3層からなる金属(合金を含む。)層として形成してもよい。具体的には、Li2O(0.5nm程度)/AlやLiF(0.5nm程度)/Al、MgF2/Alといった積層構造のものも使用可能である。陰極222は上述した金属からなる薄膜であり、光を透過可能である。
低屈折率層3及び封止層4は陰極222の上面に形成される。これら低屈折率層3及び封止層4の形成材料、形成方法は上述した第1,第2実施形態と同等であるため、説明を省略する。
以上説明したように、本発明の積層膜20をトップエミッション型の電気光学装置に適用することにより、視認性を大幅に向上できるとともに、素子劣化の要因となるガスの侵入を防止できる。
なお、図6に示した積層膜20にかえて、第2実施形態で説明した乾燥剤あるいは吸着剤を含む低屈折率膜11を適用することももちろん可能である。
また、前記の正孔注入/輸送層70、発光層60、電子輸送層50に加えて、ホールブロッキング層を例えば発光層60の対向電極222側に形成して、発光層60の長寿命化を図ってもよい。このようなホールブロッキング層の形成材料としては、例えば化学式(13)に示すBCPや化学式(14)で示すBAlqが用いられるが、長寿命化の点ではBAlqの方が好ましい。
Figure 2007184290
Figure 2007184290
《第4実施形態》
次に、本発明の第4実施形態として、上述した第3実施形態の変形例について図7を参照しながら説明する。ここで、図6と同一または同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7に示す表示装置S2は、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、発光層60からの発光光は基板2と反対側から装置外部に取り出される。そして、本実施形態に係る表示装置S2においては、積層膜20の表面に光を透過可能なポリマー層(光透過層)21が形成されている。
ポリマー層21の形成材料としては、In23、SnO3、ITO、SiO2、Al23、TiO2、AlN、SiN、SiC、SiON、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、あるいはこれらの混合物が挙げられる。ここで、低屈折率層3の透過屈折率はポリマー層21の透過屈折率より低く設定される。
以上説明したように、トップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、光の取り出し側にポリマー層21を設ける構成とすることもできる。
《第5実施形態》
次に、本発明の第5実施形態として、上記第4実施形態の変形例を図8を参照しながら説明する。
図8に示す表示装置S3はトップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。この表示装置S3は、陰極222の上層に設けられ、この陰極222を保護する保護層51と、保護層51の上層に設けられた前記低屈折率層3及び前記封止層4からなる積層膜20と、積層膜20の上層に設けられ、接着層52を介して積層膜20に接着されている封止基板53とを有している。
保護層51は、セラミックや窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化珪素など、封止層4と同等な材料からなり、陰極222表面にプラズマCVD法(プラズマ化学的気相成長法)により形成される。保護層51は、光を透過可能で接着層52や封止基板53より低い屈折率を有する。
接着層(光透過層)52は、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの光透過可能な材料によって構成されている。なお、接着層用樹脂としては、エポキシ樹脂など2液混合もしくは紫外線照射によって硬化するタイプのものを用いるのがよい。加熱によって有機エレクトロルミネッセンス素子9が劣化する恐れがない場合は、加熱して硬化させるタイプのものを用いても良い。
封止基板(光透過層)53はバリア性を有し、光を透過可能な材料によって構成されている。封止基板53の形成材料としては、例えば封止層4同様、セラミックや窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化珪素などの透明な材料が挙げられる。あるいは、上記材料からなる封止基板53のかわりに、所定の合成樹脂からなる保護用シートとしてもよい。
以上説明したように、陰極222を保護する保護層51を設けるとともに、表示装置S3全体を保護しつつ素子劣化の要因となるガスの侵入を防ぐ封止基板53を設けることができる。この場合、表示装置S3においては十分なバリア効果が得られる。なお、保護層51を設けずに、封止基板53と積層膜20とを接着層52を介して接着させるだけでも、十分なバリア効果が得られる。
また、図7を用いて説明したポリマー層21の上層に、図8を用いて説明した封止基板53を接着層52を介して設けてもよい。
《第6実施形態》
次に、本発明の第6実施形態に係る表示装置を図9を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等な構成部分については同一の符号を付すとともにその説明を簡略又は省略する。
図9に示す表示装置S4は、発光層60からの発光光をTFT24が設けられている基板2側から装置外部に取り出すいわゆるバックエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
図9に示すように、有機エレクトロルミネッセンス表示装置S4は、上記実施形態同様、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極23の下層に設けられている第2層間絶縁層284と、第2層間絶縁層284の下層に設けられている第1層間絶縁層283と、第1層間絶縁層283の下層に設けられているゲート絶縁層282と、ゲート絶縁層282の下層に設けられている下地保護層281とを備えている。そして、下地保護層281と基板2との間には、低屈折率層3及び封止層4からなる積層膜20が設けられている。
ここで、図9に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置S4はバックエミッション型であるため、基板2は光を透過可能な材料からなっており、基板2の形成材料としては、上述したように、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明なものが用いられるが、特に安価なソーダガラスが好適に用いられる。
一方、陰極222の上層には、EL素子に対する素子劣化に起因する物質(酸素、水分など)の侵入を防止する封止層54が形成されている。この封止層54としては、バリア性を有する金属膜(金属基板)、樹脂膜、セラミックや窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化珪素、あるいは、本発明に係る積層膜20や低屈折率膜11を用いることができる。
また、発光層60からの発光光が通過する第2層間絶縁層284、第1層間絶縁層283、ゲート絶縁層282などは、光を透過可能な材料からなっている。これら絶縁層の形成材料としては、シリコン酸化膜や多孔性を有するポリマー、シリカエアロゲルなどが挙げられる。
以上説明したように、本発明の積層膜20はバックエミッション型の電気光学装置にも適用可能であり、素子劣化の要因となるガスの侵入を防止しつつ視認性を大幅に向上できる。
なお、本実施形態において、封止層54と陰極222との間に光を反射可能な反射層を設けてもよい。反射層を設けることにより、発光層60から陰極222側に射出した光は反射層で反射して基板2側に進むので、光の取り出し効率を向上できる。
《第7実施形態》
次に、本発明の第7実施形態として、上記第6実施形態の変形例を図10を参照しながら説明する。
図10に示す表示装置S5はバックエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、最上層に封止層54を有している。そして、下地保護層281の下層には光を透過可能な基板2が設けられ、基板2の下層にはポリマー層55が設けられ、ポリマー層55の下層には封止層4及び低屈折率層3からなる積層膜20が設けられ、積層膜20の下層には封止基板53が設けられている。
ポリマー層55の形成材料としては、第4実施形態で説明したポリマー層21と同様、In23、SnO3、ITO、SiO2、Al23、TiO2、AlN、SiN、SiC、SiON、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、あるいはこれらの混合物が挙げられる。あるいは、ポリマー層55を低屈折率層3と同等の低屈折率材料によって形成してもよい。
以上説明したように、ポリマー層や低屈折率層、封止層の層構成は任意に設定可能であり、高いバリア性を実現することができる。
なお、図10はバックエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置を示しているが、もちろん、図11に示すようなトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置S6においても、様々な層構成を採用することができる。こうすることにより、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置においても、高いバリア性を実現でき、素子劣化を防止できる。ここで、陰極222の上層には低屈折率層3と封止層4とからなる積層膜20が形成されている。なお、図11に示すポリマー層55'は、低屈折率性を有している必要はなく、高いバリア性を有する所定の材料によって構成可能である。
《第8実施形態》
次に、本発明の第8実施形態について図12を参照しながら説明する。
図12に示す表示装置S7はパッシブマトリクス型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、図12(a)は平面図、図12(b)は図12(a)のB−B断面図である。パッシブマトリクス型有機エレクトロルミネッセンス表示装置S7は、基板121上に設けられた複数の第1のバス配線300と、これに直交する歩行に配設された複数の第2のバス配線310とを備えている。また、電子輸送層141と発光層142と正孔輸送層143とを有する発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)140が配置される所定位置を取り囲むように、例えばSiO2等からなる絶縁膜320が配設されている。
そして、バス配線310の上層にはこのバス配線310を保護する保護層51が設けられ、保護層51の上層には低屈折率層3が設けられ、低屈折率層3の上層には封止層4が設けられ、封止層4の上層には接着層52を介して封止基板53が設けられている。
このように、本発明にかかる低屈折率層3及び封止層4は、パッシブマトリクス型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置に対しても適用可能であり、低屈折率層3及び封止層4を設けることによって、素子劣化に起因するガスの侵入を防止しつつ良好な視認性を得ることができる。
なお、上記各実施形態において、各層(各膜)や基板の側部にシール剤や合成樹脂を設けることが可能である。
なお、上記各実施形態では、電気光学装置として有機エレクトロルミネッセンス表示装置を例としてとりあげたが、液晶表示装置はプラズマ表示装置などにも本発明の積層膜20(低屈折率膜11)を適用可能である。
[電子機器]
上記実施の形態の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を備えた電子機器の例について説明する。図13は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図13において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を用いた表示部を示している。
図14は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図14において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を用いた表示部を示している。
図15は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図15において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を用いた表示部を示している。
図13〜図15に示す電子機器は、上記実施の形態の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を備えているので、表示品位に優れ、明るい画面の有機エレクトロルミネッセンス表示部を備えた電子機器を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施の形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
本発明の電気光学装置によれば、光透過層と発光素子との間に光透過層より屈折率が低い低屈折率層とガスの侵入を遮断する封止層とを設けたことにより、低屈折率層によって光の取り出し効率を充分に向上でき、高い視認性を得ることができる。また、封止層によって発光素子が素子劣化に起因する物質に作用されることを防止できるので、良好な発光特性を長期間維持できる。
また、本発明の電気光学装置によれば、光透過層と発光素子との間に乾燥剤または吸着剤が分散された低屈折率層を設けたことによって、低屈折率層に封止機能(バリア機能)を付与できる。したがって、光透過層側からのガスの侵入を低屈折率層によって抑えることができ、発光素子が素子劣化に起因する物質に作用されることを防止できるので、良好な発光特性を長期間維持できる。
本発明の膜状部材、積層膜、低屈折率膜、多層積層膜によれば、膜を透過する光は所望の状態に調整されるとともに、不要なガスの出入りが防止されるので、電気光学装置に適用した際、良好な性能が発揮される。
本発明の電子機器によれば、表示品位に優れ、明るい画面の表示部を備えた電子機器を実現できる。
本発明の電気光学装置の第1実施形態を示す概略構成図である。 本発明の膜状部材を示す断面図である。 本発明の電気光学装置の第2実施形態を示す概略構成図である。 アクティブマトリクス型有機エレクトロルミネッセンス表示装置を示す回路図である。 図4の表示装置における画素部の平面構造を示す拡大図である。 本発明の電気光学装置の第3実施形態を示す図であって、図5のA−A矢視断面図である。 本発明の電気光学装置の第4実施形態を示す断面図である。 本発明の電気光学装置の第5実施形態を示す断面図である。 本発明の電気光学装置の第6実施形態を示す断面図である。 本発明の電気光学装置の第7実施形態を示す断面図である。 本発明の電気光学装置の第7実施形態に関する他の例である。 本発明の電気光学装置の第8実施形態に係るパッシブマトリクス型有機エレクトロルミネッセンス表示装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。 本発明の電気光学装置を備えた電子機器の一例を示す図である。 本発明の電気光学装置を備えた電子機器の一例を示す図である。 本発明の電気光学装置を備えた電子機器の一例を示す図である。 従来の電気光学装置の一例を示す概略構成図である。 発光層からの光が基板によって屈折する様子を説明するための図である。
符号の説明
1…有機エレクトロルミネッセンス表示装置(電気光学装置)、2…基板、3,11…低屈折率層、4…封止層、5…発光層、6…正孔輸送層、7…陰極(電極)、8…陽極(電極)、9…有機エレクトロルミネッセンス素子(発光素子)、11…低屈折率膜、20…積層膜。

Claims (34)

  1. 発光素子を有する電気光学装置であって、
    前記発光素子の発した光が取り出される方向に配置された低屈折率層と、
    封止層と、備えた電気光学装置。
  2. 請求項1に記載の電気光学装置において、
    前記封止層は、前記発光素子の発した光が取り出される方向に配置されていること、
    を特徴とする電気光学装置。
  3. 請求項1または2に記載の電気光学装置において、
    前記封止層はガスの透過を抑制すること、
    を特徴とする電気光学装置。
  4. 前記低屈折率層は、多孔質体であること、
    を特徴とする請求項1記載の電気光学装置。
  5. 前記低屈折率層は、エアロゲル、多孔質シリカ、及びフッ化マグネシウム、ポリマー、から選ばれた少なくとも1つの材料を含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気光学装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれかに記載の電気光学装置において、
    前記低屈折率層は、無機微粒子及び有機微粒子のうち少なくとも一つの材料を含むこと、
    を特徴とする電気光学装置。
  7. 前記低屈折率層は、フッ化マグネシウムの微粒子を分散したゲルを含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気光学装置。
  8. 前記低屈折率層は、フッ素系ポリマーを含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気光学装置。
  9. 前記低屈折率層は、多孔性ポリマーを含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気光学装置。
  10. 前記低屈折率層は、屈折率が1.5以下に設定されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の電気光学装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の電気光学装置において、
    前記発光素子の通電制御を行う通電制御部が基板上に配置されていること、
    を特徴とする電気光学装置。
  12. 請求項11に記載の電気光学装置において、
    前記基板の側から前記発光素子の発した光が取り出されること、
    を特徴とする電気光学装置。
  13. 請求項11に記載の電気光学装置において、
    前記発光素子の、前記基板とは反対側から、前記発光素子の発した光が取り出されること、
    を特徴とする電気光学装置。
  14. 発光素子を備えた電気光学装置であって、
    前記発光素子の発した光が取り出される方向には、乾燥剤及び吸着剤のうち少なくとも一方が分散された低屈折率層が配置されていること、
    を特徴とする電気光学装置。
  15. 前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であること、
    を特徴とする請求項1〜14のいずれか一項記載の電気光学装置。
  16. 低屈折率層と、物質の透過を抑制する封止層と、を有すること、
    を特徴とする膜状部材。
  17. 請求項16に記載の膜状部材において、前記低屈折率層と前記封止層のうち、少なくとも一つは乾燥剤及び吸着剤のうち少なくとも一方を含んでいること、
    を特徴とする膜状部材。
  18. 低屈折率層と物質の透過を抑制する封止層とを有すること、
    を特徴とする積層膜。
  19. 前記低屈折率層は、光を透過可能な多孔質体であることを特徴とする請求項18記載の積層膜。
  20. 前記低屈折率層は、エアロゲル、多孔質シリカ、及びフッ化マグネシウムから選ばれた少なくとも1つの材料を含むこと、を特徴とする請求項18記載の積層膜。
  21. 前記低屈折率層は、フッ化マグネシウムの微粒子を分散したゲルを含むこと、
    を特徴とする請求項18記載の積層膜。
  22. 前記低屈折率層は、フッ素系ポリマーを含むこと、
    を特徴とする請求項18記載の積層膜。
  23. 前記低屈折率層は、多孔性ポリマーを含むこと、
    を特徴とする請求項18記載の積層膜。
  24. 前記低屈折率層は、所定の材料に無機微粒子及び有機微粒子のうち少なくともいずれか一方を含有したものであること、
    を特徴とする請求項18記載の積層膜。
  25. 前記低屈折率層は、低屈折率材料に乾燥剤及び吸着剤のうち少なくとも一方が分散されているものであること、
    を特徴とする請求項18〜24のいずれか一項記載の積層膜。
  26. 低屈折率材料に乾燥剤及び吸着剤のうち少なくとも一方が分散されていること、
    を特徴とする低屈折率膜。
  27. 請求項18〜26のいずれか一項に記載の積層膜と、請求項28記載の低屈折率膜とを備えたこと、
    を特徴とする多層積層膜。
  28. 電気光学素子と、請求項16または17に記載の膜状部材、請求項18〜25のいずれか一項に記載の積層膜、請求項26記載の低屈折率膜、及び請求項27記載の多層積層膜のうち、少なくともいずれか1つとを備えたこと、
    を特徴とする電気光学装置。
  29. 請求項28に記載の電気光学装置において、さらに前記電気光学素子の通電制御を行う通電制御部と、前記通電制御部を支持する基板と、を備えていること、
    を特徴とする電気光学装置。
  30. 請求項29に記載の電気光学装置において、
    前記基板は光を透過する基板であり、前記基板の少なくともいずれかの主面に、前記膜状部材、前記積層膜、前記低屈折率膜、及び前記多層積層膜のうち少なくともいずれか一つが配置されていること、
    を特徴とする電気光学装置。
  31. 請求項29に記載の電気光学装置において、
    前記電気光学素子の、前記基板とは反対側に、前記膜状部材、前記積層膜、前記低屈折率膜、及び前記多層積層膜のうち少なくともいずれか一つが配置されていること、
    を特徴とする電気光学装置。
  32. 前記電気光学素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であること、
    を特徴とする請求項28〜31のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  33. 請求項10に記載の電気光学装置において、前記低屈折率層は、屈折率が1.2以下に設定されていることを特徴とする電気光学装置。
  34. 請求項1〜15または請求項28〜33のいずれか一項記載の電気光学装置を備えたこと、
    を特徴とする電子機器。
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