JP2010242008A - 接着剤組成物 - Google Patents

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【課題】速硬化性、接着性、深部硬化性に優れ、臭気がない接着剤組成物の提供。
【解決手段】反応性基としてトリメトキシシリル基および/またはトリエトキシシリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と、式(1)で表される繰り返し単位(式中、Xは炭素原子数6〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)を含み、末端に加水分解性シリル基を有する数平均分子量300〜6,000の加水分解性シリル基変性ポリエステルと、硬化触媒とを含有し、前記トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と前記加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比が10:90〜90:10である接着剤組成物。
Figure 2010242008

【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物に関する。
従来、樹脂成分が(a)シリコーン反応性基がトリメトキシシリル基及び/又はトリエトキシシリル基で、主鎖が実質的にポリオキシプロピレン構造であるシリコーン系樹脂、(b)シリコーン反応性基がメチルジメトキシシリル基及び/又はメチルジエトキシシリル基で、主鎖が実質的にポリオキシプロピレン構造であるシリコーン系樹脂並びに(c)分子内に0.1〜20重量%のポリアルコキシシリル基を含有し、アルキル基の炭素数が1〜20であるアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を主成分として重合させることにより得られるシリコーン反応性基を有するアクリル系樹脂からなり、上記(a)のシリコーン系樹脂と(b)のシリコーン系樹脂との配合割合が前者:後者=10〜90:90〜10(重量比)であり、且つ(c)のアクリル系樹脂の配合割合が(a)のシリコーン系樹脂及び(b)のシリコーン系樹脂の合計量に対して5〜200重量%である樹脂を含有するシリコーン系樹脂組成物(特許文献1)が提案されている。
また、架橋可能な加水分解性トリアルコキシシリル基を含有する有機重合体(a)と、架橋可能な加水分解性シリル基を含有する有機重合体(b)から成ることを特徴とする硬化性組成物が提案されている(特許文献2)。
特開平10−251552号公報 特開2006−249250号公報
従来、加水分解性シリル基を含有する樹脂を主ポリマーとする接着剤が種々提案されているが、これらは金属への密着は比較的良好であったが樹脂への密着性が悪いという点が課題であった。それに対して、アクリル重合体を加水分解性シリル基含有樹脂に混合する手法が提案されているが、アクリル重合体の添加によって樹脂への接着性は向上するが、1液湿気硬化型の場合にはアクリル成分は湿気を通しにくい為に、深部硬化が著しく悪化するという問題点が新たに出てきた。
また、アクリル樹脂は特有の臭気があるためエアコン用途等の臭気に敏感な用途には不適であることが広く知られている。
そこで、本発明は、速硬化性、接着性、深部硬化性に優れ、臭気がない接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、反応性基としてトリメトキシシリル基および/またはトリエトキシシリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と、
下記式(1)で表される繰り返し単位を含み、末端に加水分解性シリル基を有する数平均分子量300〜6,000の加水分解性シリル基変性ポリエステルと、
硬化触媒とを含有し、
前記トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と前記加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比が10:90〜90:10である組成物が、速硬化性、接着性、深部硬化性に優れ、臭気がない接着剤組成物となりうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記1〜5を提供する。
1.反応性基としてトリメトキシシリル基および/またはトリエトキシシリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と、
下記式(1)で表される繰り返し単位を含み、末端に加水分解性シリル基を有する数平均分子量300〜6,000の加水分解性シリル基変性ポリエステルと、
硬化触媒とを含有し、
前記トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と前記加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比が10:90〜90:10である接着剤組成物。
Figure 2010242008
(式中、Xは炭素原子数6〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)
2.前記Xが−(CH28−である上記1に記載の接着剤組成物。
3.さらに、分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有する上記1または2に記載の接着剤組成物。
4.前記加水分解性シリル基変性ポリエステルが、さらに少なくとも1つのウレタン結合を有する上記1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
5.さらに、水を含有し、前記水の量が、前記トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が有するアルコキシ基に対して0.5〜5当量である上記1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
本発明の接着剤組成物は、速硬化性、接着性、深部硬化性に優れ、臭気がない。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の接着剤組成物は、
反応性基としてトリメトキシシリル基および/またはトリエトキシシリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と、
下記式(1)で表される繰り返し単位を含み、末端に加水分解性シリル基を有する数平均分子量300〜6,000の加水分解性シリル基変性ポリエステルと、
硬化触媒とを含有し、
前記トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と前記加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比が10:90〜90:10である。
Figure 2010242008
(式中、Xは炭素原子数6〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体について以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有されるトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、反応性基としてトリメトキシシリル基および/またはトリエトキシシリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンである重合体である。
本発明の接着剤組成物はトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体を含有することによって、速硬化性に優れ、発泡させずに室温における硬化を速くする(タックフリータイム:30分以下が可能。)ことができる。
本発明において、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の主鎖は、実質的にポリオキシアルキレンである。ポリオキシアルキレンは特に制限されない。例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンが挙げられる。なお本発明において主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるとは、主鎖を構成する繰り返し単位としてオキシアルキレン基を繰り返し単位の総モル数の50%以上の量で含むことをいう。ポリオキシアルキレンが含むことができる、オキシアルキレン基以外の繰り返し単位は特に制限されない。トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体において主鎖はホモポリマーまたは共重合体であってもよい。
また、主鎖は直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。主鎖が直鎖状の場合硬化物の伸びに優れる。主鎖が分岐状の場合せん断強度により優れる。
本発明において、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は反応性基としてトリメトキシシリル基および/またはトリエトキシシリル基を有する。反応性基の数は、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体1分子あたり1〜4個であるのが好ましい。
反応性基は主鎖の末端におよび/または側鎖として結合することができる。速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、反応性基は主鎖の少なくとも両末端に結合するのが好ましい。
反応性基は主鎖と直接にまたは有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が挙げられる。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、2個以上の末端にトリメトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体、2個以上の末端にトリエトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体が好ましく、両末端にトリメトキシシリル基を有する直鎖状のポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリエトキシシリル基を有する直鎖状のポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリメトキシシリル基を有し側鎖の末端にトリメトキシシリル基を有する3官能の分岐状ポリオキシプロピレン重合体、両末端にトリエトキシシリル基を有し側鎖の末端にトリエトキシシリル基を有する3官能の分岐状ポリオキシプロピレン重合体がより好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体としては、例えば、下記式(V)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010242008
式中、R1、R2は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、R3はメチル基またはエチル基であり、nは9〜900の整数であり、mは1〜5の整数であり、Aは原料として使用される、ポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる開始剤の残基である。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体を製造する際、原料としてポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを使用することができるが、そのポリオキシアルキレンモノオールまたはポリオキシアルキレンポリオールを製造する際に用いられる開始剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、貯蔵安定性、速硬化性により優れ、増粘を抑制することができ組成物の粘度を適正なものとすることができるという観点から、式(V)で表されるものが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、組成物を低粘度にすることを目的として、2個以上の末端にトリメトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体および/または2個以上の末端にトリエトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体に対して、片末端にトリメトキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体および/または片末端にトリエトキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体を混合することができる。片末端にトリメトキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体または片末端にトリエトキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体は、別の末端にトリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基を有さずヒドロキシ基を有してもよい。
片末端にトリメトキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体および/または片末端にトリエトキシシリル基を1個有するポリオキシプロピレン重合体の量は、2個以上の末端にトリメトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体および/または2個以上の末端にトリエトキシシリル基をそれぞれ1個有するポリオキシプロピレン重合体に対して、10質量%以下であるのが硬化物の物性(強度と伸び)が極端に低下しないという点から好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の分子量は、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、3,000〜50,000であるのが好ましく、1,0000〜30,000であるのがより好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、速硬化性、貯蔵安定性により優れ、本発明の接着剤組成物の粘度を適正なものとすることができるという観点から、ウレタン結合、ウレア結合を含まないのが好ましい。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体はその製造について特に制限されない。例えば、ポリオキシアルキレンモノオールおよび/またはポリオキシアルキレンポリオール(例えば、A−[(OR1n−OH]mで表される化合物が挙げられる。R1、n、mは、Aは上記式(V)と同義である。)と、ハロゲン化不飽和炭化水素基(例えば、R2−Xで表される化合物が挙げられる。R2は炭素原子数1〜10の、不飽和結合を有する炭化水素基であり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子である。)とを反応させ、不飽和結合を有するポリオキシアルキレン化合物(例えば、A−[(OR1n−O−R2mで表される化合物。)を得ることができる。
次に、不飽和結合を有するポリオキシアルキレン化合物を白金ビニルシロキサン錯体のような白金触媒の存在下においてヒドロトリアルコキシシラン(例えば、HSi(OR33で表される化合物。R3は上記式(V)と同義である。)と反応させることによってトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体を製造することができる。
白金触媒は、ヒドロシラン化合物と不飽和炭化水素基との反応に使用できるものであれば特に制限されない。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
加水分解性シリル基変性ポリエステルについて以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有される加水分解性シリル基変性ポリエステルは、下記式(1)で表される繰り返し単位を含み、末端に加水分解性シリル基を有する数平均分子量300〜6,000の化合物である。
Figure 2010242008
(式中、Xは炭素原子数6〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)
式(1)におけるXは炭素原子数6〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。
炭素原子数6〜20のアルキレン基は、直鎖状でも分岐状であってもよい。例えば、−(CH26−、−(CH27−、−(CH28−、−(CH29−、−(CH210−、−(CH211−、−(CH212−、−(CH213−、−(CH214−、−(CH215−、−(CH216−、−(CH217−、−(CH218−、−(CH219−、−(CH220−が挙げられる。
シクロへキシレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、ノルボルニレン基などが挙げられる。シクロへキシレン基はアルキル基のような置換基を有することができる。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。アリーレン基はアルキル基のような置換基を有することができる。
なかでも、Xは、速硬化性、接着性、深部硬化性に優れるという観点から、アルキレン基であるのが好ましく、−(CH28−であるのがより好ましい。
本発明において、加水分解性シリル基変性ポリエステルは、主鎖として式(1)で表される繰り返し単位を含むポリエステルと、末端として加水分解性シリル基とを少なくとも有する。
式(1)で表される繰り返し単位は、速硬化性、接着性、深部硬化性に優れるという観点から、加水分解性シリル基変性ポリエステルの主鎖としてのポリエステルを構成する繰り返し単位の総モル数中の20モル%以上の量で含まれるのが好ましく、30〜100モル%であるのがより好ましい。
加水分解性シリル基変性ポリエステルが含むことができる式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位は特に制限されない。
加水分解性シリル基変性ポリエステルが有する加水分解性シリル基は特に制限されない。例えば、式(5)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010242008
式(5)中、R4、R5はそれぞれアルキル基を示し、mは1〜3の整数である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
4は速硬化性に優れるという観点から、メチル基あるいはエチル基であるのが好ましい。
mは、速硬化性に優れるという観点から、3であるのが好ましい。
加水分解性シリル基は、硬化物の伸び(Emax)に優れるという観点から、加水分解性シリル基変性ポリエステルの両末端に結合するのが好ましい。
加水分解性シリル基変性ポリエステルは、硬化物の強度(Tmax)つまり凝集力に優れるという観点から、さらに少なくとも1つのウレタン結合を有するのが好ましく、1〜6個のウレタン結合を有するのがより好ましい。
加水分解性シリル基変性ポリエステルにおいて、加水分解性シリル基と主鎖とは直接に結合することができる。また、加水分解性シリル基と主鎖とは、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる炭化水素基を介して結合することができる。
加水分解性シリル基と主鎖とを介する炭化水素基は例えばウレタン結合を有することができる。
加水分解性シリル基変性ポリエステルとしては、例えば、式(4)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010242008
式(4)中、R、R3はそれぞれ分岐してもよいアルキレン基を示し、R1は炭化水素基を示し、R2は水素原子、炭化水素基を示し、R4、R5はそれぞれアルキル基を示し、mは1〜3の整数であり、Xは炭素原子数6〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。加水分解性シリル基変性ポリエステルの数平均分子量は300〜6000である。
アルキレン基は直鎖状でも分岐状でもよい。アルキレン基の炭素原子数は3〜10であるのが好ましい。アルキレン基としては、例えば、トリメチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基などが挙げられる。
Rは接着性に優れるという観点から、3−メチル−1,5−ペンチレン基であるのが好ましい。
3は、−(CH2n−(n=1〜3)が速硬化性という観点から好ましい。
1としての炭化水素基は2価の炭化水素基であれば特に制限されない。例えば、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、アルキル基を有する2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。R1は、ジイソシアネート化合物におけるイソシアネート基以外の残基とすることができる。
1としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI),1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ジイソシアネートの残基;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)等の脂肪族ジイソシアネートの残基;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6XDI(水添XDI)、H12MDI(水添MDI)等の脂環式ジイソシアネートの残基;テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)の残基が挙げられる。
2としての炭化水素基は1価の炭化水素基であれば特に制限されない。例えば、1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基、アルキル基を有する1価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
4、R5、mは上記式(5)と同義である。Xは上記式(1)と同義である。
式(4)中のnは、分子量300〜6000に対応する数値とすることができる。
加水分解性シリル基変性ポリエステルは、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がないう観点から、式(4)で表される化合物が好ましく、Xが−(CH28−であり、Rが3−メチル−1,5−ペンチレン基であり、R3がトリメチレン基であり、R1がアルキル基を有するフェニレン基であり、R2がフェニル基であり、R4がメチル基であり、mが3であるのがより好ましい。
本発明において、加水分解性シリル基変性ポリエステルの数平均分子量300〜6,000である。
加水分解性シリル基変性ポリエステルの数平均分子量は、組成物の粘度と硬化物の伸び(Emax)のバランス、揮発しにくいという2点から、1000〜5000であるのが好ましい。
加水分解性シリル基変性ポリエステルはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比(トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体:加水分解性シリル基変性ポリエステル)は、10:90〜90:10である。トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比がこのような範囲である場合、速硬化性、接着性、深部硬化性に優れ、臭気がない。
トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比は接着性、深部硬化性により優れるという観点から、20:80〜80:20であるのが好ましい。
加水分解性シリル基変性ポリエステルはその製造について特に制限されない。例えば、ポリエステルポリオール[例えば、カルボン酸成分としてHOOC−X−COOH(Xは上記式(4)におけるXと同義である。)とポリオール成分として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを少なくとも含むポリオールとから得られるもの。]とR−(NCO)a(Rは上記式(4)におけるRと同義であり、aは2以上である。)とを90〜140℃の条件下で反応させウレタンプレポリマーを得て、次に、得られたウレタンプレポリマーと、アミノシラン(例えば、下記式(7)で表されるもの)とを混合し、50〜90℃の条件下で反応させることによって、加水分解性シリル基変性ポリエステルを製造することができる。
Figure 2010242008
式中、R2は水素原子、炭化水素基を示し、R3は分岐してもよいアルキレン基を示し、R4、R5はそれぞれアルキル基を示し、mは1〜3の整数である。R2、R3、R4、R5、mは上記式(4)と同義である。
硬化触媒について以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有される硬化触媒は、シラノール縮合触媒として使用されるものであれば特に制限されない。例えば、チタン系エステル類、錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、ビスマス化合物、アミン化合物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、貯蔵安定性に優れるという観点から、錫化合物が好ましく、4価の錫化合物がより好ましい。
4価の錫化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ラウリン酸スズのようなカルボン酸塩;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジアルキルスタノキサンジカルボキシレート;ジブチルスズジメトキシドのようなジアルキルスズアルコラート;(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物;ジブチルスズジアセチルアセトナートのようなキレートが挙げられる。
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、下記式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010242008
式中、R5は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R6は炭素原子数1〜10の炭化水素基でありR5,R6は同一でも異なっていてもよい。mは0〜3の整数である。
炭素原子数1〜10の炭化水素基(R5)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1〜10の炭化水素基(R6)としては、例えば、ブチル基が挙げられる。
(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物としては、例えば、ジブチル錫塩(例えば、ジブチル錫アセテートが挙げられる。)と正珪酸エチルとの反応生成物が挙げられる。
なかでも、速硬化性、貯蔵安定性により優れ、ポリエーテルに対して安定であるという観点から、ジアルキルスズアルコラート、キレート、(ジアルキルスタノキサン)ジシリケート化合物が好ましく、ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物がより好ましい。
硬化触媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化触媒の量は、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、貯蔵安定性に優れるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であるのがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらに分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有することができる。
ポリエーテルについて以下に説明する。
本発明の接着剤組成物がさらに含有することができるポリエーテルは、分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されている化合物である。
本発明の接着剤組成物がさらに含有することができるポリエーテルは、本発明の接着剤組成物に含有される、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体および硬化触媒に対して不活性であり、硬化触媒を失活させることがない。
本願発明者らは、数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルがトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体および硬化触媒に対して安定性を有することを見出した。
本発明の接着剤組成物は、可塑剤として数平均分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有することによって、エステル系可塑剤を含有する場合に比べて、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体および硬化触媒に対して安定であり、速硬化性、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体に対する貯蔵安定性に優れ、増粘しにくく、作業性および硬化速度が経時で変化しない。
ポリエーテルの主鎖はオキシアルキレン基を繰り返し単位として有する重合体であれば特に制限されない。例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、それらの共重合体が挙げられる。
ポリエーテルの主鎖は、耐湿熱性に優れるという観点から、ポリオキシプロピレン重合体であるのが好ましい。
本発明においてポリエーテルの末端に結合するヒドロキシ基は封鎖されている。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は特に制限されない。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルシリル基が挙げられる。
なかでも、アルキル基、アルコキシ基、アルキルシリル基で封鎖した場合には、添加量によって硬化速度、硬化後の物性が変化しない観点から扱いやすく好ましい。
アルキル基は、炭素原子数1〜3のものが挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。
アルコキシ基は、炭素原子数1〜3のものが挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。
アルキルシリル基としてはアルキル基部分の炭素原子数1〜3のものが挙げられる。アルキルシリル基のケイ素原子に酸素原子が結合することができる。例えば以下のトリアルキルシリル基が挙げられる。
Figure 2010242008
ポリエーテルとしては、例えば、下記式(VI)、式(III)で表される化合物が挙げられる。
B−R4−(OR4n−B (VI)
式(VI)中、R4は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、nは1〜120の整数であり、Bは末端ヒドロキシ基を封鎖する基である。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は上記と同義である。なお式(VI)中、原料としてのポリオキシアルキレンジオールを製造する際に使用される重合開始剤は省略する。
D−(OR4n−B (III)
式(III)中、R4は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、nは1〜120の整数であり、Bは末端ヒドロキシ基を封鎖する基であり、Dは重合開始剤として使用したモノオール残基である。末端ヒドロキシ基を封鎖する基は上記と同義である。
本発明において、ポリエーテルの分子量は100〜5,000である。ポリエーテルの分子量がこのような範囲の場合、ポリエーテルが揮発しにくく本発明の接着剤組成物を無溶媒とすることができる。
組成物から揮発成分がなく低粘度化できるという観点から、ポリエーテルの分子量は、500〜3,000であるのがより好ましい。
ポリエーテルはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエーテルはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。ポリエーテルを製造する際に使用される原料としての、ヒドロキシ基を有するポリエーテルはヒドロキシ基を1個以上有するポリエーテル(例えば、ポリオキシプロピレンモノオール、ポリオキシプロピレンポリオール)であれば特に制限されない。
本発明において、ポリエーテルの量は、せん断強度を維持したまま低粘度化できるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、5〜50質量部であるのが好ましい。
ポリエーテルの量は、せん断強度を維持したまま低粘度化できるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、5〜20質量部であるのがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらに、水を含有することができる。
本発明の接着剤組成物が水を含有する場合、本発明の接着剤組成物を初期強度に優れるものとすることができる。特に、被着体が金属同士である場合のように湿気が入りにくい条件下において使用することができる。
水の量は、初期強度が発現し、かつ不要な残留水分が無視できる領域という点で、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が有するアルコキシ基に対して0.5〜5当量であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらにエポキシ樹脂を含有することができる。
本発明の接着剤組成物がさらにエポキシ樹脂を含有する場合、せん断強度に優れる。
本発明の接着剤組成物に含有することができるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レゾルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレートが挙げられる。
なかでも、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ樹脂の量は、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、粘度と可撓性のバランスに優れるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して、3〜100質量部であるのが好ましく、10〜50質量部であるのがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらにケチミンを含有することができる。
本発明の接着剤組成物がさらにケチミンを含有する場合、せん断強度に優れる。
本発明の接着剤組成物に含有することができるケチミンとしては、例えば、下記式(I)で表されるカルボニル化合物とポリアミンとを反応させることによって得られる化合物が挙げられる。
Figure 2010242008
式中、R1は炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2はメチル基またはエチル基であり、R3は水素原子、メチル基またはエチル基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、nは1または2である。
1とR2とは互いに結合して環構造を形成することができる。R1とR4とは互いに結合して環構造を形成することができる。
ケチミンが有する1つのイミノ基(−N=)は湿気と反応して加水分解することで1級のアミンになり、1個または2個のエポキシ基と反応することができる。
カルボニル化合物について以下に説明する。
本発明の接着剤組成物に含有することができるケチミンの製造の際に使用されるカルボニル化合物としては例えば、式(I)で表されるものが挙げられる。
式(I)において、炭素原子数1〜6のアルキル基は直鎖状および分岐状のうちのいずれであってもよい。炭素原子数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基が挙げられる。
4としてのアルキル基は特に制限されない。例えば、上記の炭素原子数1〜6のアルキル基と同様のものが挙げられる。
カルボニル化合物としては、例えば、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノンのような式(I)中のnが1でありR4がアルキル基であるケトン;式(I)中のnが2であるケトン:式(I)中のnが1でありR4が水素原子であるアルデヒド化合物が挙げられる。
なかでも、速硬化性により優れ、貯蔵安定性、せん断強度に優れるという観点から、式(I)中のnが1でありR4がアルキル基であるケトンが好ましく、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノンがより好ましい。
ケチミンの製造の際に使用されるポリアミンについて以下に説明する。
ポリアミンは、アミノ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、式(II)で表される化合物が挙げられる。
R−(CH2−NH2n (II)
式中、Rは例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基であり、nは2以上の整数である。
Rは速硬化性により優れ、貯蔵安定性、せん断強度に優れるという観点から、炭素原子数1〜10であるのが好ましい。
nは、せん断強度に優れ、入手が容易な、2〜4であるのが好ましい。
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンのような脂肪族ポリアミン;サンテクノケミカル社製のジェファーミンEDR148のようなポリエーテル骨格のジアミン;1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、三井東圧化学(株)製のNBDA(ノルボルナンジアミン)に代表されるノルボルナン骨格のジアミンのような脂環式炭化水素基を有するポリアミン;芳香族ポリアミン;メタキシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミンのような芳香族炭化水素基に結合する脂肪族炭化水素基を有するポリアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミンが挙げられる。
なかでも、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、エポキシ樹脂との貯蔵安定性に優れるという観点から、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、NBDAが好ましい。
カルボニル化合物とポリアミンとの組み合わせとしては、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度、速硬化性と貯蔵安定性とのバランスに優れるという観点から、メチルイソプロピルケトン(MIPK)とヘキサメチレンジアミン(HMDA)との組み合わせ、メチルイソプロピルケトン(MIPK)とNBDAとの組み合わせが好ましい。
ケチミンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ケチミンが有するイミノ基の量は、速硬化性、接着性、深部硬化性により優れ、臭気がなく、せん断強度に優れるという観点から、エポキシ樹脂が有するエポキシ基に対して、0.5〜1.5当量であるのが好ましく、0.7〜1.0当量であるのがより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらにヒュームドシリカを含有することができる。
本発明の接着剤組成物がさらにヒュームドシリカを含有する場合、高いせん断強度を得ることができる。
ヒュームドシリカは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ヒュームドシリカは、より高いせん断強度を得ることができるという観点から、疎水性ヒュームドシリカであるのが好ましい。
ヒュームドシリカの平均粒径は、0.005〜0.5μmであると補強の効果が大きく好ましい。
貯蔵安定性を向上させる為に、ヒュームドシリカとして表面のシラノール基をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物等で処理されたものを使用することができる。
ヒュームドシリカはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒュームドシリカはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ヒュームドシリカの量は、せん断強度に優れ、せん断強度と組成物の粘度とのバランスに優れるという観点から、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して1〜10質量部であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらに、表面処理炭酸カルシウムを含有することができる。本発明の接着剤組成物がさらに表面処理炭酸カルシウム、特にコロイダル炭酸カルシウムを含有する場合、補強性に効果があり、結果せん断強度に優れる。
表面処理炭酸カルシウムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
表面処理剤は特に制限されない。例えば、脂肪酸、各種シランカップリング剤、ウレタン樹脂・パラフィン等のワックスが挙げられる。なかでも、樹脂への分散がよく、補強効果の大きいウレタン樹脂で処理することが好ましい。
表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、耐熱性、貯蔵安定性、せん断強度に優れるという観点から、0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
表面処理炭酸カルシウムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理炭酸カルシウムはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
表面処理炭酸カルシウムの量はせん断強度と組成物の粘度のバランスから、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体100質量部に対して10〜100質量部であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、さらに、難燃剤を含有することができる。
本発明の接着剤組成物がさらに難燃剤を含有する場合、難燃性に優れるものとなる。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系化合物、酸化アンチモン、赤リン、リン酸エステル、無機フィラー系難燃剤が挙げられる。なかでも、ダイオキシンやホスフィンのような有害物質を発生させず、速硬化性により優れ、難燃性に優れるという観点から、無機フィラー系難燃剤が好ましい。
本発明において、無機フィラー系難燃剤は高温時に熱分解して水を発生する性質をもつフィラーを意味する。
無機フィラー系難燃剤のなかでも、吸熱量が大きく、熱分解温度が低いという観点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム水和物、硫酸マグネシウム水和物が好ましい。
難燃剤は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、脂肪酸、シランカップリング剤、樹脂酸が挙げられる。なかでも、難燃性により優れるという観点から、脂肪酸、シラン化合物が好ましい。
難燃剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理剤としてのシラン化合物としては、例えば、有機チタネート化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、アルコキシシランなどが挙げられる。
有機チタネート化合物として、例えば、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン、ジプロキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムプロポキシオクチレングリコレート、チタニウムステアレート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジートリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ジルコニウムラクテート、ステアリン酸ジルコニウムブチレートが挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビストリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
表面処理剤としての脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸などの不飽和脂肪酸、ナフテン酸などの脂環族カルボン酸が挙げられる。
表面処理剤としての樹脂酸としては、例えば、アビチエン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸等が挙げられる。
難燃剤の平均粒径は、難燃性に優れるという観点から、0.5〜30μmであるのが好ましく、0.5〜10μmであるのがより好ましい。
難燃剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
難燃剤の量は、せん断強度に優れ、難燃性、組成物の粘度・物性のバランスに優れるという観点から、接着剤組成物の全重量のうち、30〜70質量%であるのが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、上記成分のほかに必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、さらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、表面処理炭酸カルシウム以外の充填剤(例えば、コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムのような炭酸カルシウム、湿式シリカ)、本発明の接着剤組成物に含有されるポリエーテル以外の可塑剤、ビニルシランのような脱水剤、エポキシ系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤、脂肪酸ポリアマイド系ワックスのようなチクソトロピー付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、接着付与剤、分散剤、溶剤、硬化剤が挙げられる。
アミン系シランカップリング剤としては、例えば、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
また、本発明の接着剤組成物は溶剤を含有しないものとすることができる。
本発明の接着剤組成物はその製造について特に制限されない。例えば、上述の各成分を減圧し窒素雰囲気下において混合ミキサー等の攪拌装置を用いて十分混練し、均一に分散させて製造する方法が挙げられる。
本発明の接着剤組成物は、1液型または2液型として製造することができる。
本発明の接着剤組成物がさらに水を含有する場合、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体、加水分解性シリル基変性ポリエステル、エポキシ樹脂、ケチミン、ポリエーテル、難燃剤および硬化触媒を含有する主剤と、水を少なくとも含有する硬化剤とを有する2液型とするのが好ましい態様の1つとして挙げられる。ヒュームドシリカ、表面処理炭酸カルシウム、添加剤は、それぞれ主剤および/または硬化剤に加えることができる。
本発明の接着剤組成物は室温(5〜35℃)で硬化することができる。
また、本発明の接着剤組成物は例えば大気中の湿気、組成物に含有することができる充填剤のような成分中に含まれる水分によって硬化することができる。
本発明の接着剤組成物は、20℃、55%RHの条件下におけるタックフリータイムが30分以下であるのが好ましく、15分以下であるのがより好ましく、10分以下であるのがさらに好ましい。
本発明において、タックフリータイムは、接着剤組成物を20℃、55%RHの条件下に置き、接着剤組成物の表面にポリエチレンフィルムを押しあてて接着剤組成物がフィルムに付着しなくなるまでの時間とする。
本発明の接着剤組成物を適用することができる被着体は特に制限されない。例えば、金属、プラスチック、ゴム、ガラス、セラミックが挙げられる。
本発明の接着剤組成物を被着体に適用する方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の接着剤組成物の用途としては、例えば、シーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料、ポッティング材が挙げられる。
本発明の接着剤組成物は、各種電気・電子分野用、建築物用、自動車用、土木用等に使用可能である。
本発明の接着剤組成物は、エアコン、ファンヒーター、送風機、除湿機、加湿器に使用することができる。
また、本発明の接着剤組成物は難燃性製品の部品接着に使用することができる。難燃性製品としては、例えばスピーカー、ビデオカセットプレイヤー、テレビ、ラジオ、自動販売機、冷蔵庫、パーソナルコンピューター、カード型電池、ビデオカメラ、カメラ、自動車部品、精密機器等が挙げられる。
また、本発明の接着剤組成物を高圧部品、高圧となりうる回路やその周辺で使用される部品の接着、長時間連続運転される電器製品内の接着に適用することができる。これらの部品の具体例としては、例えば、コネクター、スイッチ、リレー、電線ケーブル、フライバックトランス、偏向ヨークが挙げられる。
本発明の接着剤組成物は、接着性に優れる。なかでも、ABS樹脂に対する接着性(常態における接着性、耐熱接着性、耐温水接着性)に優れる。また、本発明の接着剤組成物は接着性と深部硬化性との両立を達成することができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
1.トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体の製造
脱水したポリオキシプロピレンジオール(直鎖状、数平均分子量約3、000、1分子あたりのヒドロキシ基数:2)を開始剤とし、プロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約20,000の水酸基末端ポリプロピレンオキシドを得た。続いて、この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換し、末端がアリル基である数平均分子量約20,000の2官能のアリルポリプロピレンオキシドを得た。
得られた2官能のアリルポリプロピレンオキシド100重量部に対し、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3wt%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として、下記化学式:HSi(OCH33
と90℃で2時間反応させ、トリメトキシシリル基を有する重合体(末端シリル直鎖ポリエーテル樹脂)を得た。
得られた重合体について、1H−NMRによる分析を行い、分子末端にトリメトキシシリル基を1分子あたり平均2個有するトリアルコキシシリル基変性ポリオキシエチレン重合体であることを確認した。
得られたトリアルコキシシリル基変性ポリオキシプロピレン重合体をトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルコキレン重合体とする。
2.ケチミンの製造
ヘキサメチレンジアミン(試薬、和光純薬工業社製)580g、メチルイソプロピルケトン(試薬、和光純薬工業社製)860g、トルエン(試薬、和光純薬工業社製、以下同じ)710g、および酢酸(試薬、和光純薬工業社製、以下同じ)1.65gをフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら120℃で15時間反応を続けた。次に、150℃、5mmHg下で減圧蒸留をしてトルエン、残留ケトン等を除いた。
3.加水分解性シリル基変性ポリエステルの製造
(1)加水分解性シリル基変性ポリエステル1
下記式(2)で表されるポリエステルポリオール(カルボン酸成分:セバシン酸、ポリオール成分:3−メチル−1,5−ペンタンジオール、商品名P−3050、クラレ社製、水酸基価:37、数平均分子量3000)100質量部と2,4−トリレンジイソシアネート(三井化学社製、以下同様。)11.4質量部とを90℃の条件下で24時間反応させウレタンプレポリマー(インデックス:2.0)を得た。
得られたウレタンプレポリマーは下記式(3)で表される。
Figure 2010242008
得られたウレタンプレポリマー111.4質量部と、N−フェニル―3−アミノプロピルトリメトキシシラン6.3質量部(信越化学工業社製、以下同様。)とを混合し、70℃の条件下で9時間反応させ、加水分解性シリル基変性ポリエステルを製造した。
得られた化合物のNCO%を測定したところ、0.07%となっており得られた化合物中のイソシアネート成分が反応し、両末端にトリメトキシシリル基を有し、ウレタン結合を2個有する下記式(6)で表されるトリメトキシシリル基変性ポリエステルであることを確認した。得られた化合物の数平均分子量は4,000であり、実施例において加水分解性シリル基変性ポリエステル1として使用した。
Figure 2010242008
(2)加水分解性シリル基変性ポリエステル2
上記式(3)であらわされるウレタンプレポリマー111.4質量部とN−(n−ブチル)―3−アミノプロピルトリメトキシシラン5.8質量部(DEGUSSA社製、以下同様。)とを混合し、70℃の条件下で9時間反応させ、加水分解性シリル基変性ポリエステルを製造した。
得られた化合物のNCO%を測定したところ、0.05%となっており得られた化合物中のイソシアネート成分が反応し、両末端にトリメトキシシリル基を有し、ウレタン結合を2個有する下記式(7)で表されるトリメトキシシリル基変性ポリエステルであることを確認した。得られた化合物の数平均分子量は4,000であり、実施例において加水分解性シリル基変性ポリエステル2として使用した。
Figure 2010242008
(3)加水分解性シリル基変性ポリプロピレングリコール
ポリプロピレングリコール(商品名EXL3020、旭硝子社製、水酸基価:35.6、数平均分子量3,000)10.67質量部と2,4−トリレンジイソシアネート(三井化学社製)11.4質量部とを90℃の条件下で24時間反応させウレタンプレポリマー(インデックス:2.0)を得た。
得られたウレタンプレポリマー100質量部と、N−フェニル―3−アミノプロピルトリメトキシシラン16.2質量部とを70℃の条件下で9時間反応させ、加水分解性シリル基変性ポリプロピレングリコールを製造した。
得られた化合物のNCO%を測定したところ、0.07%となっており得られた化合物中のイソシアネート成分が反応し、得られた化合物が両末端にトリメトキシシリル基を有するトリメトキシシリル基変性ポリプロピレングリコールであることを確認した。
得られた化合物を実施例においてトリメトキシシリル基変性PPGとして使用した。
4.末端封鎖ポリエーテルの製造
乾燥した数平均分子量800のポリオキシプロピレンモノオール(旭硝子:XS−1003P)の水酸基末端を水酸化ナトリウムによりアルコラート化し、次いで塩化メチルを反応させることにより、末端ヒドロキシ基をメチルエーテル(メトキシ基)で封鎖した。水酸基が完全に消滅していることはIRスペクトルにより確認した。
5.評価
下記のようにして得た接着剤組成物について、以下に示す方法で、タックフリータイム、せん断強度、深部硬化性、臭気、接着性を評価した。結果を第1表、第2表に示す。
(1)タックフリータイム(T.F.T.、速硬化性、)
・初期:下記のようにして得られた接着剤組成物を20℃、55%RHの条件下に置き、接着剤組成物の表面にポリエチレンフィルムを押しあてて接着剤組成物がフィルムに付着しなくなるまでの時間を測定した。
・貯蔵促進後:下記のようにして得られた接着剤組成物を70℃の条件下に24時間置き、接着剤組成物の貯蔵促進後のタックフリータイムを初期のタックフリータイムと同様にして測定した。
(2)せん断強度
長さ150mm、幅25mm、厚さ1mmの鋼板2枚を用い、接着面積が10mm×25mmで、接着層厚さ0.3mmとなるように接着剤組成物を1枚の鋼板の片面に塗布し、直ちに2枚を重ね合わせて密着させ、20℃、55%RHの条件下で1時間養生させ、試験体を得た。
養生後、試験機器 引張試験機(AGS−10kNG、島津製作所社製)を用いて引っ張り速度10mm/分の条件で試験体の初期のせん断強度(常態、20℃)を測定した。
また、鋼板を重ね合わせて密着させてから20℃、55%RHの条件下で14日養生させたのち、得られた試験体について上記と同様に14日後のせん断強度を測定した。
(3)深部硬化性
下記のようにして得た接着剤組成物を円筒型の容器に膜厚30mmとなるように塗布して試験片を得た。得られた試験片を20℃、55%RHの条件下に24時間おいて養生させ、養生後硬化が進んでいる部分の塗膜表面からの厚さを測定した。
(4)臭気
下記のようにして得た接着剤組成物の臭気を人の嗅覚で確認した。
(5)接着性
下記のようにして得た接着剤組成物を被着体[陽極酸化アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)]の上に膜厚約10mmとなるようにビード状に塗布した後、20℃、55%RHの条件下に7日間置いて養生させ、試験体を得た。
得られた試験体について、ビード部分を手で剥離し凝集破壊の面積比率を記録した。
6.接着剤組成物の製造(実施例I)
第1表に示す成分を同表に示す量(質量部)で使用しそれらを攪拌機を用いて混合して接着剤組成物を得た。
Figure 2010242008
第1表に示されている各成分は、以下のとおりである。
・トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体:上述のとおり製造したもの
・トリアルコキシシリル基変性アクリル樹脂:商品名サイリルMA440、カネカ社製
・加水分解性シリル基変性ポリエステル1、2:上述のとおり製造したもの
・加水分解性シリル基変性PPG:上述のとおり製造したもの
・表面処理炭酸カルシウム:カルファイン200、丸尾カルシウム株式会社、脂肪酸表面処理
・フュームドシリカ:疎水性フュームドシリカ、R−972、日本アエロジル社製、粒径0.016μm
・可塑剤:上述のとおり製造した末端封鎖ポリエーテル
・チクソ性付与剤:脂肪酸アマイド(ディスパロン#6500、楠本化成株式会社)
・アミノシラン:アミノエチルトリメトキシシリルプロピルアミン(KBM 603、信越化学工業株式会社)
・錫触媒:4価スズ化合物(ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物、構造式:(C49)2Sn[OSi(OC253]2
第1表に示す結果から明らかなように、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体および加水分解性シリル基変性ポリエステルを含有せず、トリアルコキシシリル基変性アクリル樹脂を含有する比較例1は、深部硬化性に劣り、臭気が強かった。加水分解性シリル基変性ポリエステルを含有せず、代わりに加水分解性シリル基変性ポリプロピレングリコールを含有する比較例2は、接着性に劣った。
これに対して、実施例I−1〜4は、速硬化性、深部硬化性、接着性に優れ、臭気がなかった。また、実施例I−1〜4はABSに対する接着性に優れる。
7.接着剤組成物の製造(実施例II)
第2表に示す成分を同表に示す量(質量部)で使用しそれらを攪拌機を用いて混合して2液型(実施例II−1)、1液型(実施例II−2)の接着剤組成物を得た。
Figure 2010242008
第2表に示す成分の詳細は以下のとおりである。
・トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体:上述のとおり製造したもの
・加水分解性シリル基変性ポリエステル:上述のとおり製造した加水分解性シリル基変性ポリエステル1
・コロイダル炭酸カルシウム(0.07μ):カルファイン200、丸尾カルシウム株式会社、平均粒径0.07μm
・フュームドシリカ:疎水性フュームドシリカ、R−972、日本アエロジル社製、粒径0.016μm
・末端封鎖ポリエーテル:第1表の可塑剤と同様。
・チクソ付与剤:脂肪酸アマイド(ディスパロン#6500、楠本化成株式会社)
・アミノシラン:アミノエチルトリメトキシシリルプロピルアミン(KBM 603、信越化学工業株式会社)
・錫触媒:4価スズ化合物(ジブチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物、構造式:(C49)2Sn[OSi(OC253]2
なお、第2表において、水の量は、トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が有するアルコキシ基に対して1.3当量である。
第2表に示す結果から明らかなように、実施例II−1〜2の接着剤組成物は速硬化性に優れ、せん断強度に優れる。また臭気がない。2液型の接着剤組成物は、1液型の接着剤組成物よりも金属間の接着における初期せん断強度により優れる。

Claims (5)

  1. 反応性基としてトリメトキシシリル基および/またはトリエトキシシリル基を有し主鎖が実質的にポリオキシアルキレンであるトリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と、
    下記式(1)で表される繰り返し単位を含み、末端に加水分解性シリル基を有する数平均分子量300〜6,000の加水分解性シリル基変性ポリエステルと、
    硬化触媒とを含有し、
    前記トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体と前記加水分解性シリル基変性ポリエステルとの質量比が10:90〜90:10である接着剤組成物。
    Figure 2010242008
    (式中、Xは炭素原子数6〜20のアルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)
  2. 前記Xが−(CH28−である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. さらに、分子量が100〜5,000であり末端ヒドロキシ基が封鎖されているポリエーテルを含有する請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記加水分解性シリル基変性ポリエステルが、さらに少なくとも1つのウレタン結合を有する請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. さらに、水を含有し、前記水の量が、前記トリアルコキシシリル基変性ポリオキシアルキレン重合体が有するアルコキシ基に対して0.5〜5当量である請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
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