JP2010241733A - スルホニウム化合物ならびに重合開始剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】エポキシ樹脂などカチオン重合性物質の硬化開始剤を提供する。
【解決手段】化1(ただし、R1はベンゾイル基または炭素数1〜4のアルキル化ベンゾイル基であり、R1がベンゾイル基である場合は、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を、R4は、炭素数1〜4のアルキル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基のいずれかを示し、R1が炭素数1〜4のアルキル化ベンゾイル基である場合は、R3は、炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基を、R4は、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルキル置換ベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基のいずれかを示す。R2は共通して、水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを、XはPF6 を示す。)で表わされる新規スルホニウム化合物による。
【化1】
【解決手段】化1(ただし、R1はベンゾイル基または炭素数1〜4のアルキル化ベンゾイル基であり、R1がベンゾイル基である場合は、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を、R4は、炭素数1〜4のアルキル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基のいずれかを示し、R1が炭素数1〜4のアルキル化ベンゾイル基である場合は、R3は、炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基を、R4は、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルキル置換ベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基のいずれかを示す。R2は共通して、水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを、XはPF6 を示す。)で表わされる新規スルホニウム化合物による。
【化1】
Description
この発明は、新規なスルホニウム化合物ならびに重合開始剤に関する。さらに詳しくは、熱および光硬化組成物の硬化開始剤として有用であり、特にエポキシ樹脂やオキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂から選ばれた樹脂、ならびにスチレンなどのカチオン重合性ビニル化合物の重合硬化開始剤としての効果を有する新規なスルホニウム化合物、および当該スルホニウム化合物を硬化開始剤として使用することによる、良好な物性をもった硬化物を得るためのカチオン重合性組成物、その重合のための重合開始剤、これを熱および/または放射線により重合させることを特徴とするカチオン重合性物質の重合方法に関する。
本出願人は特許文献1ないし3に、この出願と類似の構造の化合物を開示している。具体的には特許文献1によれば、この出願とカチオン部が類似しているベンジル-4-ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートが開示されている。特許文献2によれば、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートが、また特許文献3によれば、4-ヒドロキシフェニルメチル(1-ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロアンチモナート、4-ヒドロキシフェニルメチル(2-メチルベンジル)スルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートなどが開示されている。
これらの開示化合物を始めとして、現在、提供されている重合開始剤のうち、スルホニウム ヘキサフルオロアンチモナート型化合物が多用されている。ところがこれらの多くは有用な硬化剤であるものの、室温のような低温域でも相当な重合活性を有するなど、重合活性が過剰であることが知られている。ひいては、硬化樹脂の透明性においてもその過剰な重合活性のために満足のいく結果は得られていない。このため、通常のスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナート型化合物は、一液性潜在性重合開始剤として使用するための特性としては不十分であると考えられている。
また最近では、アンチモン化合物が劇物であることや、重合活性が過剰であるところから、特に透明性を要求される樹脂の製造においてはスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナート化合物を回避し、これに代わる重合開始剤が賞用されている。例えば特許文献4では、アニオン部をヘキサフルオロホスファートに限定したオニウム系硬化剤の記載がある。しかしながら、これらの先行技術文献には、本出願の構成である4-ベンゾイルオキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート類、または4-(4-トルオイルオキシ)フェニルメチル化スルホニウム ヘキサフルオロホスファート類、ならびにこれらの化合物を重合開始剤として適用した例は開示されていない。
従って、本発明は、エポキシ樹脂などのカチオン重合性物質に対して熱または光で適度の活性を有し、硬化物の透明性などの物性を向上させることのできる重合開始剤として使用される新規化合物、ならびにその用途を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決すべく検討された、化2で表わされる新規なスルホニウム化合物に関するものである。この化合物は、特定のベンゾイルオキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート類を要件としており、ここに新規性が存在するものである。
また、本発明は、カチオン重合性物質と、これを熱および/または放射線により重合させることのできる化2で表わされるスルホニウム化合物を含む重合性組成物、および化2のスルホニウム化合物を主成分とする重合開始剤、更には重合方法に関する。さらに本発明の目的は、熱および/または放射線でエポキシ樹脂などのカチオン重合性物質を重合することができ、かつまた、貯蔵安定性に優れ、封止剤、複合材用マトリックス樹脂などに利用されるカチオン重合性組成物を提供し、その重合の方法、重合用の開始剤を提案することにある。
(ただし、式中R1は、ベンゾイル基または炭素数1〜4のアルキル化ベンゾイル基であり、R1がベンゾイル基である場合は、R3は、炭素数1〜4のアルキル基を、R4は、炭素数1〜4のアルキル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基のいずれかを示し、R1が炭素数1〜4のアルキル化ベンゾイル基である場合は、R3は、炭素数1〜4のアルキル基またはベンジル基を、R4は、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基、炭素数1〜4のアルキル置換ベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基のいずれかを示す。R2は共通して、水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを、XはPF6 を示す。)
本発明の化2で表わされるスルホニウム化合物には、4-(ベンゾイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート、ベンジル-4-(4-トルオイルオキシ)フェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート、4-(4-トルオイルオキシ)フェニルメチル(1-ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート、(2−メチルベンジル)-4-(4-トルオイルオキシ)フェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート等が例示される。
本発明の新規化合物であるスルホニウム化合物は、化学的に安定であり、熱潜在性で所定の温度で短時間に硬化する性質を持ち、硬化剤としての物性も優れるなど、カチオン重合性物質の重合開始剤として有効であり、これらを含有する重合性組成物は光、電子線などの放射線の照射および/または加熱処理による重合方法で重合、硬化することができる。すなわち、熱または放射線で励起されたこれらのスルホニウム塩は、活性なカチオンを放出し、前述のカチオン重合性物質の重合を進行させると考えられる。
本発明に使用されるカチオン重合性物質とは、酸重合性または酸硬化性物質、とりわけエポキシ樹脂やオキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂から選ばれた樹脂が好ましく用いられる。
さらに本発明に使用される樹脂を例示するならば、エポキシ樹脂としては、エポキシド単量体類、エピサルファイド単量体類、ポリエポキシド類(あるいはエポキシ樹脂)、ポリエピサルファイド類(あるいはエピサルファイド樹脂)およびそれらの重合体であり、これらは単独でも2種類以上の混合でもかまわない。具体的なエポキシ樹脂としては、例えば、「JER828」「JER828XA」(いずれもジャパンエポキシレジン(株)製)、「セロキサイド2021P」(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、「セロキサイド2081」、「エポリードGT401」、「エポリードPB3600」、「エポリードPB4700」、「EHPE3150」、「エポリードGT301」、「セロキサイド3000」(いずれもダイセル化学工業(株)製)や「ERL−4221」、「UVR−6128」「UVR−6105」(ダウケミカル(株)製)が例示される。
オキセタン樹脂としては、分子内にオキセタン環を有し、硬化可能な化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、1,4−ビス{〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン等が挙げられる。これらの化合物としては、例えば、東亞合成(株)製「OXT−101、121、211、221、212、610」などが例示される。
ビニルエーテル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。これらの化合物としては、例えば、丸善石油化学(株)「HEVE、HBVE、DEGV」等の市販品が例示される。
本発明における硬化開始剤とモノマーとの重合性組成物を調製するにあたっては、硬化開始剤を予め反応性のない有機溶媒と混合してからモノマーと混合するのが好ましい。ここで使用する有機溶媒としては、エステル類、ラクトン類が好ましい。
このようにして調製された重合性組成物は、ワニス、インキ、塗料、接着剤、積層板、プリプレグ、成型材料、封止材料等に使用できる。本発明の重合性組成物は、長期間保存可能で光や電子線などの放射線の照射や加熱、あるいは放射線処理と加熱の併用で速やかに重合を開始する機能を備え、高温硬化性に優れ、吸湿性がなく、耐水性、耐薬品性、透明性、電気特性に優れた硬化物を与える。
この重合性組成物の特徴としては、安定化された硬化系を提供し、簡単な加熱等でカチオン重合反応を可能とし、耐熱性があり、熱による着色がなく実用性のある重合度の高い重合体を得ることが可能になった点にある。よって所期の目的を達成する。
本化合物は、例えば特許文献3の請求範囲に記載の、4-ヒドロキシフェニルメチル(1-ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート、4-ヒドロキシフェニルメチル(2−メチルベンジル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファートなど、相当するヒドロキシフェニルスルホニウム化合物を出発原料として、これをベンゾイル基または炭素数1〜4のアルキル化ベンゾイル基のアシル化剤でアシル化することにより合成する。
アシル化剤としては、塩化ベンゾイル、2-トルオイルクロライド、4-トルオイルクロライド、4-n-ブチルベンゾイルクロライド等が例示される。これらをヒドロキシフェニルスルホニウム化合物に対して1〜3モル比で反応させる。好ましくは1〜1.2モル比である。脱ハロゲン化水素剤として添加する塩基としては、トリエチルアミン,トリメチルアミン,N−メチルモルホリン等のアミン類が好ましい。これらは、1種もしくは2種以上の混合であってもさしつかえない。
このアシル化反応溶媒としては、アセトニトリル、酢酸エチルが好ましい。反応温度は20℃以下が好ましく、生成物の分解を避ける意味から10℃以下が特に好ましい。反応時間は1〜4時間であり、好ましくは3〜4時間である。反応後、目的物が反応溶媒に溶解していなければ、ろ取することにより分離する。溶解していれば反応液を濃縮して、残渣をそのまま、または要すれば溶媒で結晶化させて、目的とする化合物が容易に高収率で得られる。なお、反応において副生するアミンの塩酸塩は、メタノール、2−プロパノール等のアルコールで洗浄することにより、目的とする化合物から分離することができる。
本発明の新規化合物は、熱および/または光硬化組成物の硬化開始剤として有用であり、特にエポキシ樹脂やオキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂の重合硬化開始剤、特に潜在性重合硬化開始剤としての効果を有している。従って、必要によってはあらかじめモノマーと開始剤を適当な溶媒を用いて一液化し、保存し、あるいは商品化することも可能である。
また、本発明の新規な化合物は、熱および/または光硬化組成物の重合硬化開始剤として、重合反応が一時に開始されるという特徴を有している。本発明の化合物は、従来の重合硬化開始剤に比べて短時間で硬化を完了させるので、シャープな硬化反応を提供することができ、安定な潜在性重合開始剤としての使用は言うに及ばず、応用の用途は広範囲に及ぶと考えられる。
本発明において、硬化開始剤として使用されるスルホニウム化合物は、硬化させる樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部より少ないと充分な重合物が得られない。20重量部を越える添加量では、重合後の物性において好ましいものが得られず、コストの面においても好ましくない。また、重合硬化は、加熱処理または放射線処理により行われ、必要によっては加熱と放射線照射を併用することも可能である。また、重合時には、必要により溶媒を用いることもできる。また、この化合物に公知の安定剤、更に場合によっては、増量剤、難燃剤、静電防止剤、界面活性剤、酸無水物に代表される助剤等を混合して使用することを妨げるものでもない。以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
4−(ベンゾイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファートの合成
4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート 15.0g(50ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン5.26g(52ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、塩化ベンゾイル7.7g(55ミリモル)を10分で滴下する。3時間撹拌後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体に2−プロパノール500mlを加え攪拌する。得られた固体を2−プロパノール及びヘキサンで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(ベンゾイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート 17.2g(収率 85.0%)を得た。
4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート 15.0g(50ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン5.26g(52ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、塩化ベンゾイル7.7g(55ミリモル)を10分で滴下する。3時間撹拌後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体に2−プロパノール500mlを加え攪拌する。得られた固体を2−プロパノール及びヘキサンで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(ベンゾイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート 17.2g(収率 85.0%)を得た。
融点 219〜223℃
IR (KBr)cm-1 1732,1214,1266,1174,844,816,559,712,1007,1066
NMR
3.15ppm(s,6H,スルホニウムメチル)
7.46〜8.25ppm(m,9H,ベンゼン核)
IR (KBr)cm-1 1732,1214,1266,1174,844,816,559,712,1007,1066
NMR
3.15ppm(s,6H,スルホニウムメチル)
7.46〜8.25ppm(m,9H,ベンゼン核)
4−(4−トルオイルオキシ)フェニルメチル(1−ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファートの合成
4−ヒドロキシフェニルメチル(1−ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(47ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン4.96g(49ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド8.0g(52ミリモル)を10分で滴下する。3時間撹拌後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体にヘキサン200mlを加え攪拌する。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルルオキシ)フェニルメチル(1−ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート 20.0g(収率 81.6%)を得た。
4−ヒドロキシフェニルメチル(1−ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(47ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン4.96g(49ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド8.0g(52ミリモル)を10分で滴下する。3時間撹拌後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体にヘキサン200mlを加え攪拌する。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルルオキシ)フェニルメチル(1−ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート 20.0g(収率 81.6%)を得た。
融点 128〜132℃
IR (KBr)cm-1 1743,1169,1262,838,857,1491,1070,1210,1224,559,804,1612
NMR
2.43ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.26ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.95〜5.57ppm(dd,2H,ナフチルメチレン)
7.15〜8.14ppm(m,15H,ベンゼン ナフタレン核)
IR (KBr)cm-1 1743,1169,1262,838,857,1491,1070,1210,1224,559,804,1612
NMR
2.43ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.26ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.95〜5.57ppm(dd,2H,ナフチルメチレン)
7.15〜8.14ppm(m,15H,ベンゼン ナフタレン核)
4−(4−トルオイルオキシ)フェニルメチル(2−メチルベンジル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファートの合成
4−ヒドロキシフェニルメチル(2−メチルベンジル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(51ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン5.46g(54ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド8.71g(56ミリモル)を10分で滴下する。3時間反応後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体にメタノール100mlを加え攪拌する。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルオキシ)フェニルメチル(2−メチルベンジル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート23.9g(収率 91.8%)を得た。
4−ヒドロキシフェニルメチル(2−メチルベンジル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(51ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン5.46g(54ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド8.71g(56ミリモル)を10分で滴下する。3時間反応後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体にメタノール100mlを加え攪拌する。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルオキシ)フェニルメチル(2−メチルベンジル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート23.9g(収率 91.8%)を得た。
融点 120〜125℃
IR (KBr)cm-1 1734,1208,1173,1266,842,1068,559,1493,1611
NMR
2.28ppm(s,3H,o-フェニルメチル)
2.42ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.23ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.75〜4.88ppm(d,2H,フェニルメチレン)
7.04〜8.10ppm(m,12H,ベンゼン核)
IR (KBr)cm-1 1734,1208,1173,1266,842,1068,559,1493,1611
NMR
2.28ppm(s,3H,o-フェニルメチル)
2.42ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.23ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.75〜4.88ppm(d,2H,フェニルメチレン)
7.04〜8.10ppm(m,12H,ベンゼン核)
4−(4−トルオイルオキシ)フェニルベンジル(メチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファートの合成
4−ヒドロキシフェニルベンジル(メチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(51ミリモル)をアセトニトリル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン5.7g(56ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド9.0g(58ミリモル)を10分で滴下する。3時間反応後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体にアセトニトリル200mlを加え攪拌する。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルオキシ)フェニルベンジル(メチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート26.1g(収率 92.7%)を得た。
4−ヒドロキシフェニルベンジル(メチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(51ミリモル)をアセトニトリル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン5.7g(56ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド9.0g(58ミリモル)を10分で滴下する。3時間反応後、溶媒を蒸留して除いた粘性液体にアセトニトリル200mlを加え攪拌する。得られた固体をメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルオキシ)フェニルベンジル(メチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート26.1g(収率 92.7%)を得た。
融点 154〜157℃
IR (KBr)cm-1 1739,1171,1267,1213,842,1063,559,1494,1611
NMR
2.42ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.15ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.72〜4.81ppm(d,2H,フェニルメチレン)
7.12〜8.10ppm(m,13H,ベンゼン核)
IR (KBr)cm-1 1739,1171,1267,1213,842,1063,559,1494,1611
NMR
2.42ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.15ppm(s,3H,スルホニウムメチル)
4.72〜4.81ppm(d,2H,フェニルメチレン)
7.12〜8.10ppm(m,13H,ベンゼン核)
4−(4−トルオイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファートの合成
4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(67ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン7.08g(70ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド10.81g(70ミリモル)を15分で滴下する。3時間反応後、生成した固体をろ取し、酢酸エチル、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート23.6g(収率 84.6%)を得た。
4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート20.0g(67ミリモル)を酢酸エチル200mlに溶解させ、10℃以下でトリエチルアミン7.08g(70ミリモル)を加え、10℃以下を保ちながら、4−トルオイルクロライド10.81g(70ミリモル)を15分で滴下する。3時間反応後、生成した固体をろ取し、酢酸エチル、次いでメタノールで洗浄し、乾燥させる。白色の4−(4−トルオイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート23.6g(収率 84.6%)を得た。
融点 204〜208℃
IR (KBr)cm-1 1737,1175,1212,1266,838,1065,1006,559,1496,1611,3042
NMR
2.46ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.15ppm(s,6H,スルホニウムメチル)
7.26〜8.10ppm(m,8H,ベンゼン核)
IR (KBr)cm-1 1737,1175,1212,1266,838,1065,1006,559,1496,1611,3042
NMR
2.46ppm(s,3H,トルオイルメチル)
3.15ppm(s,6H,スルホニウムメチル)
7.26〜8.10ppm(m,8H,ベンゼン核)
重合試験例1
実施例に記載の化合物または下記比較例に記載の化合物 1g、溶剤としてγ−ブチロラクトン2gを混合した。この混合物0.3gを、JER828(ジャパンエポキシレジン株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂の商品名)10gと混合して、JISK7071(1988)の手法に準じて所定の温度におけるゲル化時間を測定した。
実施例に記載の化合物または下記比較例に記載の化合物 1g、溶剤としてγ−ブチロラクトン2gを混合した。この混合物0.3gを、JER828(ジャパンエポキシレジン株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂の商品名)10gと混合して、JISK7071(1988)の手法に準じて所定の温度におけるゲル化時間を測定した。
また、実施例に記載の化合物または下記比較例に記載の化合物1g、溶剤としてγ−ブチロラクトン2gを混合したものを、エポキシ樹脂JER828 100gと混合して、120℃で2時間、次いで150℃で2時間かけて硬化させ、樹脂のシートを調製した。この試料を140℃の恒温槽に100時間置き、試験前後で当該硬化物のマンセル値を判定する方法による長期耐熱性着色性試験を実施した。マンセル明度が変わらないものを○、マンセル明度が1段低下したものを△、2段以上低下したものを×で表記した。着色により試験後のマンセル値変化しているものは、エポキシ樹脂の特性である透明性が維持できていないところから、耐熱性が低いものと判断される。
以上の結果を下記にまとめる。比較例の重合開始剤は、比較例1が4-ヒドロキシフェニル(1-ナフチルメチル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナート、比較例2が4-ヒドロキシフェニル(2-メチルベンジル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートで、いずれも先行特許文献3に記載のものである。
また、比較例3が、4−ヒドロキシフェニルベンジル(メチル)スルホニウム ヘキサフルオロアンチモナートで、公開特許公報平成2−1470に記載のものである。比較例4は、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファートである。
化合物 温度 ゲル化時間 マンセル値変化
実施例1 190℃ 16分0秒 ○
実施例2 90℃ 0分48秒 ○
実施例3 100℃ 1分10秒 ○
実施例4 120℃ 1分47秒 ○
実施例5 190℃ 13分30秒 ○
比較例1 90℃ 1分25秒 ×
比較例2 100℃ 1分41秒 ×
比較例3 120℃ 1分47秒 ×
比較例4 190℃ 20分0秒 △
実施例1 190℃ 16分0秒 ○
実施例2 90℃ 0分48秒 ○
実施例3 100℃ 1分10秒 ○
実施例4 120℃ 1分47秒 ○
実施例5 190℃ 13分30秒 ○
比較例1 90℃ 1分25秒 ×
比較例2 100℃ 1分41秒 ×
比較例3 120℃ 1分47秒 ×
比較例4 190℃ 20分0秒 △
重合試験例2
エポキシ樹脂JER828をセロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製 エポキシ樹脂の商品名)に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様にして温度はすべて80℃でゲル化時間を測定した。また、エポキシ樹脂JER828をセロキサイド2021に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様に、マンセル値判定試験を実施した。結果を下記にまとめる。
エポキシ樹脂JER828をセロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製 エポキシ樹脂の商品名)に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様にして温度はすべて80℃でゲル化時間を測定した。また、エポキシ樹脂JER828をセロキサイド2021に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様に、マンセル値判定試験を実施した。結果を下記にまとめる。
化合物 ゲル化時間 マンセル値変化
実施例2 0分45秒 ○
実施例3 1分15秒 ○
実施例4 4分32秒 ○
比較例1 1分37秒 ×
比較例2 2分09秒 ×
比較例3 4分45秒 ×
実施例2 0分45秒 ○
実施例3 1分15秒 ○
実施例4 4分32秒 ○
比較例1 1分37秒 ×
比較例2 2分09秒 ×
比較例3 4分45秒 ×
重合試験例3
エポキシ樹脂JER828をオキセタン樹脂OXT−121(東亞合成株式会社製 キシリレンビスオキセタンの商品名)に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様にして温度はすべて60℃でゲル化時間を測定した。また、エポキシ樹脂JER828をオキセタン樹脂OXT−121に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様に、マンセル値判定試験を実施した。結果を下記にまとめる。
エポキシ樹脂JER828をオキセタン樹脂OXT−121(東亞合成株式会社製 キシリレンビスオキセタンの商品名)に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様にして温度はすべて60℃でゲル化時間を測定した。また、エポキシ樹脂JER828をオキセタン樹脂OXT−121に変更した以外は重合試験例1に記載の方法と同様に、マンセル値判定試験を実施した。結果を下記にまとめる。
化合物 ゲル化時間 マンセル値変化
実施例4 1分16秒 ○
比較例3 1分13秒 ×
実施例4 1分16秒 ○
比較例3 1分13秒 ×
本発明の新規化合物はカチオン重合性物質の重合開始剤として有用であり、特に、酸重合性または酸硬化性物質、とりわけエポキシ樹脂やオキセタン樹脂、ビニルエーテル樹脂などに有効に作用する。また、前記実施例からも理解されるように、本発明の化合物は硬化後のエポキシ樹脂においてその透明性を維持するところから、長期耐熱性が良好な硬化物を与えるものと判断される。
Claims (6)
- 化1で表されるスルホニウム化合物。
- 請求項1に記載の化合物が、4-ベンゾイルオキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート、ベンジル-4-(4-トルオイルオキシ)フェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファート、4-(4-トルオイルオキシ)フェニルメチル(1-ナフチルメチル)スルホニウム ヘキサフルオロホスファート、(2−メチルベンジル)-4-(4-トルオイルオキシ)フェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスファートのいずれかであるスルホニウム化合物。
- カチオン重合性物質の一種または二種以上と、請求項1に記載のスルホニウム化合物を含み、その比が、カチオン重合性物質100重量部に対して当該スルホニウム化合物が0.01〜20重量部である重合性組成物。
- カチオン重合性物質が、エポキシ基を有する化合物、オキセタン基を有する化合物、ビニルエーテル基を有する化合物、カチオン重合性ビニル化合物から選ばれた1種または2種以上である請求項3に記載の重合性組成物。
- 請求項1に記載のスルホニウム化合物を主成分とするカチオン重合性物質の重合開始剤。
- カチオン重合性物質の一種または二種以上に、請求項1に記載のスルホニウム化合物の一種または二種以上を開始剤として加え、これを熱および/または放射線により重合させることを特徴とするカチオン重合性物質の重合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009092754A JP2010241733A (ja) | 2009-04-07 | 2009-04-07 | スルホニウム化合物ならびに重合開始剤 |
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Publications (1)
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JP2010241733A true JP2010241733A (ja) | 2010-10-28 |
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2009
- 2009-04-07 JP JP2009092754A patent/JP2010241733A/ja active Pending
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