JP2010239005A - 裏面照射型撮像素子の製造方法、その製造方法により製造された裏面照射型撮像素子及びそれを備えた撮像装置 - Google Patents

裏面照射型撮像素子の製造方法、その製造方法により製造された裏面照射型撮像素子及びそれを備えた撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができるという効果を有する裏面照射型撮像素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】チップ101の裏面101a側にp型の光電変換層102が設けられ、光電変換層102上にn型の電荷収集層103が設けられ、チップ101の表面101b側の外周縁付近にp型の周辺領域107が設けられ、チップ101の外周面には、p型の光電変換層102にn型の電荷収集層103が積層された界面と、n型の電荷収集層103にp型の周辺領域107が積層された界面とが存在し、これらの界面はステルスダイシングによって破砕層が生じない切断面として形成されたものであって、これらの界面上にp型の被覆層110が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、裏面照射型撮像素子の製造方法、その製造方法により製造された裏面照射型撮像素子及びそれを備えた撮像装置に関する。
チップの電極等が配置された面(表面)とは反対側の面(裏面)から可視光等の入射線を入射させる裏面照射型撮像素子が知られている(特許文献1参照)。この裏面照射型撮像素子では、各画素の変換部(例えば入射線が可視光線である場合には光電変換部)がチップの裏面側に設けられ、A/D変換器や信号蓄積部のような信号電荷に何らかの処理を行う部分(電荷処理部)がチップの表面側に設けられる。100%近い開口率が得られる裏面照射型撮像素子は高感度化や撮影速度の高速化を図る上で有利であるため、裏面照射型撮像素子に関する種々の試みがなされている。例えば、本発明者らは、画素内又はその近傍に直線状の信号蓄積部を備える画素周辺記録型撮像素子(In-situ Storage Image Sensor:ISIS)の原理を適用した裏面照射型撮像素子を開発している(特許文献2、3参照)。
この裏面照射型撮像素子では導電型がp型の層とn型の層とが積層された構造が必ず存在する。特に、前述の画素周辺記録型撮像素子のように電荷処理部を高機能化させる場合にはp型層、n型層及びp型層を順次積層した構造が不可欠である。しかしながら、素子の切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面、すなわちn−p界面やp−n−p界面による空乏層領域が存在すると、この空乏層領域が電気的なノイズの発生源になることが知られている。
これは切断面では結晶構造の崩れのためにp−n接合によるダイオードが形成されず、逆方向電圧が印加されると比較的大きなリーク電流が流れることに起因する。一般的なブレードダイシングにおいては、切断面において破砕層と呼ばれる結晶構造の崩れた部位が生じてしまうため、ここに比較的大きなリーク電流が生じることがわかっている。
このリーク電流のため、p−n接合が切断面に露出するような構造を持つ裏面照射型撮像素子は実用に供することが難しい。この構造を採らざるを得ない場合は、バイアス電圧を印加するために、十分にリーク電流分を流しうる電圧源が必要となる。また、リーク電流によるノイズが画素部に影響しないよう、画素部と切断面との距離を十分に確保しなければならず、裏面照射型撮像素子が大型化してしまう。
特開9−331052号公報 特開2001−345441号公報 特開2006−121058号公報
本発明は、前述のような事情に鑑みてなされたもので、切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができる裏面照射型撮像素子の製造方法、その製造方法により製造された裏面照射型撮像素子及びそれを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、基板の一方の面上に第1及び第2の導電型の層を含む複数の半導体層を形成したウエハを製作するウエハ製作工程と、前記第1及び前記第2の導電型の半導体に印加するバイアス電位により前記第1の導電型の半導体と前記第2の導電型の半導体との境界から予め定めた距離広がる空乏層領域をへき開する切断手法によって前記ウエハから裏面照射型撮像素子となるチップを切り取る切断工程とを含む構成を有している。
この構成により、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、切断工程において、第1の導電型の半導体と第2の導電型の半導体との境界付近に広がる空乏層領域をへき開する切断手法によってウエハから裏面照射型撮像素子となるチップを切り取ることにより、破砕層と呼ばれる結晶構造の崩れた部位が切断面に発生しにくくなるので、切断面に生じるリーク電流を抑制することができる。したがって、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができる裏面照射型撮像素子を提供することができる。
また、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、前記切断工程において前記切断手法によって形成される切断面に前記第1及び前記第2の導電型のいずれか一方の不純物イオンを注入し、前記不純物イオンに応じた単一の導電型を有する被覆層を形成するイオン注入工程と、前記被覆層にアニールを施すアニール工程とを含む構成を有している。
この構成により、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、切断面に注入された不純物イオンに応じた単一の導電型を有する被覆層を形成することにより、空乏層領域を端面に露出させない構造となるので、切断面に生じるリーク電流をさらに抑制することができる。したがって、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができる裏面照射型撮像素子を提供することができる。
さらに、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、前記切断工程において前記切断手法によって形成される切断面を酸化する切断面酸化工程を含む構成を有している。
この構成により、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、切断工程において切断手法によって形成される切断面を酸化することにより、切断面に生じるリーク電流をさらに抑制することができる。したがって、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができる裏面照射型撮像素子を提供することができる。
さらに、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、前記切断工程が、前記空乏層領域とは異なる前記ウエハの内部領域にレーザを集束させて前記内部領域に改質層を形成し、形成した前記改質層に沿って前記ウエハをへき開する工程を含む構成を有している。
この構成により、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、ウエハの内部にレーザを集束させてウエハの内部に切断の起点となる改質層を形成する技術であるいわゆるステルスダイシング(Stealth Dicing)を利用することによって、破砕層と呼ばれる結晶構造の崩れた部位が切断面に発生しにくくなるので、切断面に生じるリーク電流を抑制することができる。
なお、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、前記アニール工程において、局所的なアニール法によって前記被覆層にアニールを施すのが好ましい。
また、本発明の裏面照射型撮像素子の製造方法は、前記切断面酸化工程において、前記切断面を400℃以下の温度で酸化するのが好ましい。
本発明の裏面照射型撮像素子は、裏面照射型撮像素子の製造方法で製造される裏面照射型撮像素子であって、前記切断手法によって形成される切断面を有する構成を有している。
この構成により、本発明の裏面照射型撮像素子は、破砕層と呼ばれる結晶構造の崩れた部位が切断面に発生しにくくなる製造方法で製造されるので、切断面に生じるリーク電流を抑制することができる。したがって、本発明の裏面照射型撮像素子は、切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができるので、従来のものよりも撮影画像の品質を向上させることができる。
本発明の撮像装置は、裏面照射型撮像素子を備えた構成を有している。
この構成により、本発明の撮像装置は、切断面に生じるリーク電流を抑制することができる裏面照射型撮像素子を備えることとなる。したがって、本発明の撮像装置は、従来のものよりも撮影画像の品質を向上させることができる。
本発明は、切断面に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができるという効果を有する裏面照射型撮像素子の製造方法、その製造方法により製造された裏面照射型撮像素子及びそれを備えた撮像装置を提供することができるものである。
本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子の外周縁の部分断面図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子のウエハ製作工程の説明図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子のステルスダイシング工程の説明図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子のステルスダイシング工程においてへき開後の断面を示す説明図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子のイオン注入工程の説明図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子の具体的なイオン注入工程の説明図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子のアニール工程の説明図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子の具体的なアニール工程の説明図 本発明の第1実施形態における裏面照射型撮像素子の薄片化工程の説明図 本発明の第2実施形態における裏面照射型撮像素子のへき開切断工程の説明図 本発明の第2実施形態における裏面照射型撮像素子のへき開切断工程後の切断面を示す説明図
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本実施形態における裏面照射型撮像素子(以下「チップ101」という。)の構成を図1に基づき説明する。図1は、本実施形態におけるチップ101の外周縁の部分断面を示すものである。
図1に示すように、チップ101の裏面(入射面)101a側には、p型の光電変換層102が設けられている。また、光電変換層102上には、n型の電荷収集層103が設けられている。この電荷収集層103から表面101bに向けて電荷集積部104が延びている。
チップ101の表面101b側では、電荷収集層103に隣接してp型の電荷阻止層105が設けられている。この電荷阻止層105に電荷集積部104から電荷の蓄積等の処理を行う電荷処理部106が設けられている。また、チップ101の表面101b側の外周縁付近にもp型の周辺領域107が設けられている。また、チップ101の表面101b側には、電荷処理部106の駆動等のための電極108と、p型オーミック電極109と、この図には図示しないn層につながるn型オーミック電極とが設けられている。後に詳述するように、チップ101の外周縁にはp型の被覆層110が設けられている。図1では、チップ101の外周縁の一部のみが図示されているが、この被覆層110はチップ101の外周縁の全体に設けられている。
図1において、本実施形態における裏面照射型撮像素子は、図中の矢印Aで模式的に示すようにチップ101の裏面101aに光が照射されると、光電変換層102で電荷信号(本実施形態では電子)が発生し、発生した電荷信号は電荷収集層103及び電荷集積部104を介して電荷処理部106に送られる。
チップ101の外周面には、p型の光電変換層102にn型の電荷収集層103が積層された界面と、n型の電荷収集層103にp型の周辺領域107が積層された界面とが存在する。換言すれば、チップ101の外周面にはp−n−p界面が存在する。
この構成において、p型オーミック電極109とこの図には図示しないn層につながるn型オーミック電極とにバイアス電位を印加すると、p−n界面付近に生起する空乏層が端面まで露出してしまい、その結果、通常はリーク電流が発生し、このリーク電流により電気的なノイズが発生する。しかしながら、後述するように、本実施形態では、端面をブレードダイシングではなくへき開によって得られる破砕層のない切断手法で得る構成としているので、リーク電流を抑えることができる。さらに、p型の被覆層110をチップ101の外周面に設ける構成としているので、空乏層を端面に露出させることなく、リーク電流をさらに抑止して電気的なノイズの発生を確実に防止する構造となっている。
次に、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法を説明する。
[ウエハ製作工程]
図2に示すように、まず、例えばSiからなる、厚みが一定の基板201の一方の面201b上に複数の半導体層を形成したウエハ205を製作する。具体的には、基板201の一方の面201b上に光電変換層102に対応するp型のエピタキシャル層202を形成し、その上に電荷収集層103及び電荷集積部104に対応するn型のエピタキシャル層203を形成する。さらに、イオンドーピングによって電荷阻止層105及び周辺領域107に対応するp型のドープ層204を形成する。また、図示を省略したが、電極108、p型オーミック電極109、n型オーミック電極をウエハ205のドープ層204側の表面に設ける。
[ステルスダイシング工程]
ウエハ製作工程においてウエハ205上に形成した、裏面照射型撮像素子となるチップをステルスダイシングを利用して切断する。このステルスダイシングは、図3に示すように、ウエハ205の内部にレーザ301を集束させ、ウエハ205の内部に切断の起点となる改質層302を作り出す。この改質層302に沿ってへき開することにより、所望の領域に破砕層が生じない切断面303を得ることができる。ここで、改質層とは、レーザを局所的に集光・加熱し、結晶Siを非晶質化することによって得られる層である。
ここで、図4に示すように、改質層302はp型のエピタキシャル層202とn型のエピタキシャル層203との境界付近に形成される空乏層領域401以外の位置に形成させる必要がある。空乏層領域401の広がりは、p型のエピタキシャル層202及びn型のエピタキシャル層203のイオン不純物濃度と、それぞれに印加されるバイアス電位とにより決定される。したがって、p型のエピタキシャル層202とn型のエピタキシャル層203との境界を基準として空乏層領域401の広がる距離を前もって計算により導出しておく必要がある。
なお、チップを切断する際には、まず一般的なブレードダイシングを使用してチップを切断し、続いてチップの4辺をステルスダイシングを利用して再度切断する方法をとってもよい。その場合、ステルスダイシングを利用して再度切断するためのエリアを数百μm程度確保しておく必要がある。
[イオン注入工程]
次に、図5に示すよう、ステルスダイシングを利用して4辺を切断されたチップ101の切断面303に不純物イオン、例えばp型のボロンイオンを注入することにより、被覆層110を形成する。この際、イオン注入装置501を使用するが、通常、イオン注入装置501は水平方向にイオンを加速するため、図6に示すように、チップ101の切断面303にイオン注入するには棚状のホルダ601を用意し、チップ101は、その表面101bを上にした状態で棚状のホルダ601上に水平方向に配置すればよい。
また、このとき、被覆膜110としてn型のリンイオンを注入してもよい。この場合、被覆層110はn型となる。この構成により、前述と同様に、p−n界面付近に形成される空乏層が端面に露出することを防ぐことができる。
[アニール工程]
切断面303にボロンイオンを注入した後、図7及び図8に示すよう、レーザアニール装置701を使用して局所的なアニールを行う。具体的には、レーザアニール装置701は通常、鉛直方向上方からレーザを照射する構成となっているので、図8に示すようにチップ101を設置して、レーザ801をチップ101に照射するのが好ましい。すなわち、ダイシングテープ802を用いて、チップ101の裏面と、金属ブロックなどの支持体803の側面とを接着し、チップ101を鉛直方向に配置して固定するのが好適である。
レーザ801を照射するエリアは、チップ101の切断面303の全領域となるよう設定する。また、ボロンイオンの注入深さに応じてアニール処理の深さを調整する必要があるので、それに応じて使用するレーザの波長も選択する必要がある。ボロンイオン注入が比較的浅い場合、波長が比較的短いレーザ、例えば532nmのグリーンレーザなどが好適である。また、レーザエネルギー密度は、2J/cm付近に設定することにより、より好適なアニール効果が得られる。
アニール工程では、前述のレーザアニール装置701によるものに替えて、他の局所的なアニール法を用いることができる。例えば、レーザの照射強度を適切値に調整したレーザマーカーでも代用することができる。レーザマーカーは通常、ガルバノミラーでスキャンする機能が付与されており、レーザ照射エリアをチップ切断面に限定して照射することができるため、チップ101の切断面303の局所的なアニールに好適である。また、例えば、高温、短時間でのアニール処理が行えるRTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いてチップ101の切断面303を局所的にアニールする手法を用いることもできる。
[薄片化工程]
次に、図9において矢印Bで示すように、チップ裏面側をグラインディング、ポリッシングなどで薄片化する。グラインディング、ポリッシングなどの手法はブレードダイシングと同じく破砕層を発生させるので、最終的には化学的エッチングで破砕層を取り除く必要がある。その際、エピタキシャル層構造の不純物濃度の差を利用して電気化学エッチング手法を使用して薄片化するのが好適である。
以上のように、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法によれば、ウエハ205の内部にレーザ301を集束させ、ウエハ205の内部に切断の起点となる改質層302を作り、その改質層302に沿ってへき開する工程を含むので、空乏層領域401において破砕層を生じさせないで裏面照射型撮像素子となるチップ101を切断することにより、裏面照射型撮像素子として動作させる際に切断面303からのリーク電流を抑制することができる。
また、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法によれば、切断面303にP型の不純物イオンを注入し、さらに切断面303にレーザアニールを施し、切断面303の表面に注入された不純物イオンに応じた単一の導電型を有する被覆層110を形成することにより、裏面照射型撮像素子として動作させる際に切断面303からのリーク電流をさらに抑制することができる。
したがって、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法によれば、切断面303に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができる裏面照射型撮像素子を提供することができる。
また、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法で製造された裏面照射型撮像素子は、従来のものとは異なり、電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができるので、従来のものよりも撮影画像の品質を向上させることができる。
したがって、本実施形態における裏面照射型撮像素子を備えた撮像装置は、従来のものよりも撮影画像の品質を向上させることができる。特に、本実施形態における裏面照射型撮像素子は、被覆層110を有し、小型化が図れるので、複数の素子同士を隣接させて受光面を大面積化する用途に好適であり、例えば、隣接する素子同士がなるべく近接して配置されるように工夫された、バッタブル(buttable)型と呼ばれる撮像装置に、好適に適用することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法を説明する。
本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法は、第1実施形態におけるステルスダイシング工程の手法に替えて、へき開切断工程を含むものである。したがって、本実施形態におけるへき開切断工程を説明し、その他の工程の説明は省略する。
[へき開切断工程]
本実施形態におけるへき開切断工程は、ウエハ製作工程の後、図10に示すように、チップをへき開して切断面303を得る手法である。具体的には、チップ外周に沿って直線状にへき開するために、基板201の他方の面(以下「ウエハ205の裏面」という。)201a側からブレードダイシングにてV字溝1001を形成する。その後、ウエハ205の裏面201aにダイシングテープ(図示省略)を貼り付け、ダイシングテープを伸張させることにより、V字溝1001の頂点を起点としてウエハ205を分割し、切断面303を得る。
ここで、ブレードダイシングにてV字溝1001を形成する際、破砕層1002がV字溝1001の深さ方向に生じるが、この破砕層1002がp型のエピタキシャル層202とn型のエピタキシャル層203の境界付近に形成される空乏層領域401(図4参照)に及ばないようにV字溝1001の深さを設定する必要がある。
前述のへき開切断工程後に得られる切断面303は、図11に示す形状となる。このとき切断面303は完全にフラットな面である必要はない。
以上のように、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法によれば、形成したV字溝1001を基準にチップをへき開して切断面303を得るへき開切断工程を含むので、空乏層領域401において破砕層を生じさせないで裏面照射型撮像素子となるチップ101を切断することにより、裏面照射型撮像素子として動作させる際に切断面303からのリーク電流を抑制することができる。
したがって、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法によれば、切断面303に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができる裏面照射型撮像素子を提供することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法を説明する。
本実施形態における製造方法は、第1実施形態におけるステルスダイシング工程と、イオン注入工程との間に、切断面を酸化するための切断面酸化工程を含むものである。したがって、本実施形態における切断面酸化工程を説明し、その他の工程の説明は省略する。
[切断面酸化工程]
本実施形態における切断面酸化工程は、ステルスダイシング工程において形成された切断面303(図4参照)を酸化する工程である。この切断面酸化工程においては、400℃以下の酸化法が望ましく、例えば自然酸化による酸化が好適である。自然酸化以外の手法としては、オゾンを導入して行うオゾン酸化、プラズマにてラジカルな酸素を発生させて酸化を行うプラズマ酸化などがさらに好適である。
なお、本実施形態における切断面酸化工程を、第2実施形態におけるへき開切断工程の後において実施してもよい。
以上のように、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法によれば、ステルスダイシング工程において形成された切断面303を酸化する切断面酸化工程を含むので、空乏層領域401において破砕層を生じさせないで裏面照射型撮像素子となるチップ101を切断することにより、裏面照射型撮像素子として動作させる際に切断面303からのリーク電流をさらに抑制することができる。
したがって、本実施形態における裏面照射型撮像素子の製造方法によれば、切断面303に互いに異なる導電型の層が積層された界面が存在することによって生じる電気的なノイズを確実に除去ないしは低減することができる裏面照射型撮像素子を提供することができる。
なお、本発明は、前述の実施形態1〜3に限定されず種々の変形が可能である。例えば、裏面照射型撮像素子は光線以外の電磁波、電子線以外のイオン正孔のような荷電粒子の流れ、並びにX線に加えα線、γ線、β線、中性子線を含む放射線等が入射線として入射するものであってもよい。また、信号電荷は正孔であってもよく、この場合半導体層の導電型は前述の実施形態1〜3の場合とは逆になる。
101 チップ
101a チップの裏面
101b チップの表面
102 光電変換層
103 電荷収集層
104 電荷集積部
105 電荷阻止層
106 電荷処理部
107 周辺領域
108 電極
109 p型オーミック電極
110 被覆層
201 基板
201a 基板の他方の面
201b 基板の一方の面
202 p型のエピタキシャル層
203 n型のエピタキシャル層
204 ドープ層
205 ウエハ
301、801 レーザ
302 改質層
303 切断面
401 空乏層領域
501 イオン注入装置
601 ホルダ
701 レーザアニール装置
802 ダイシングテープ
803 支持体
1001 V字溝
1002 破砕層

Claims (8)

  1. 基板の一方の面上に第1及び第2の導電型の層を含む複数の半導体層を形成したウエハを製作するウエハ製作工程と、前記第1及び前記第2の導電型の半導体に印加するバイアス電位により前記第1の導電型の半導体と前記第2の導電型の半導体との境界から予め定めた距離広がる空乏層領域をへき開する切断手法によって前記ウエハから裏面照射型撮像素子となるチップを切り取る切断工程とを含むことを特徴とする裏面照射型撮像素子の製造方法。
  2. 前記切断工程において前記切断手法によって形成される切断面に前記第1及び前記第2の導電型のいずれか一方の不純物イオンを注入し、前記不純物イオンに応じた単一の導電型を有する被覆層を形成するイオン注入工程と、前記被覆層にアニールを施すアニール工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の裏面照射型撮像素子の製造方法。
  3. 前記切断工程において前記切断手法によって形成される切断面を酸化する切断面酸化工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の裏面照射型撮像素子の製造方法。
  4. 前記切断工程は、前記空乏層領域とは異なる前記ウエハの内部領域にレーザを集束させて前記内部領域に改質層を形成し、形成した前記改質層に沿って前記ウエハをへき開する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の裏面照射型撮像素子の製造方法。
  5. 前記アニール工程において、局所的なアニール法によって前記被覆層にアニールを施すことを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の裏面照射型撮像素子の製造方法。
  6. 前記切断面酸化工程において、前記切断面を400℃以下の温度で酸化することを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の裏面照射型撮像素子の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の裏面照射型撮像素子の製造方法で製造される裏面照射型撮像素子であって、
    前記切断手法によって形成される切断面を有することを特徴とする裏面照射型撮像素子。
  8. 請求項7に記載の裏面照射型撮像素子を備えたことを特徴とする撮像装置。
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