JP2010236690A - 変速機の導風構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外気吸気口115は、駆動プーリ63の上方で変速機ケース61Aに設けられ、外気排気口116は、従動プーリ67の上方で変速機ケース61Aに設けられ、変速機ケース61Aの外気吸気口115と外気排気口116との間に、外気の流れ調整用のガイド部材122を設けた。
【選択図】図5
Description
この種のエンジンの変速機には、クランク軸の一側に設けられる駆動プーリと、内燃機関に支持される従動軸の一側に設けられる従動プーリと、駆動プーリと従動プーリ間に掛けられたベルトとを備えたベルト式の変速機がある(例えば、特許文献1参照)。
この変速機では、駆動プーリに一体に回転する送風ファンを設け、変速機ケース前上部に上方に指向する吸気口を設け、変速機ケースの後下部に下方に指向する排気口を設け、送風ファンにより吸気口から外気を取り入れて排気口から排気させるようにしている。
この発明によれば、吸気口は、駆動プーリの上方で変速機ケースに設けられ、排気口は、従動プーリの上方で変速機ケースに設けられ、変速機ケースの吸気口と排気口との間に、外気の流れ調整用のガイド部材を設けたので、変速機ケース内にスムーズに外気を流すことができる。
また、上記構成において、前記変速機ケースの一側方には、カバー部材が設けられ、このカバー部材には、前記変速機ケースに設けられるガイド部材と対向するようにカバー側ガイド部材が設けられるようにしてもよい。この構成によれば、外気の流れ調整用のガイド部材の面積を広く確保でき、変速機ケース内の外気を流れをよりスムーズにできる。
また、上記構成において、前記ガイド部材と前記カバー側ガイド部材との間には、前記ベルトが通るスペースを設けてもよい。この構成によれば、ベルトを避けつつガイド部材とカバー側ガイド部材とを配置できる。
また、上記構成において、前記ガイド部材と前記カバー側ガイド部材とは、前記クランク軸と前記従動軸との間であって、前記駆動プーリと前記従動プーリとの下部間をつなぐ接線よりも側面視で上方に位置するようにしてもよい。この構成によれば、少なくとも変速機ケースの内底近傍を流れる外気を排気側へ流すことができ、スムーズに排気させることができる。
また、上記構成において、吸気口と前記排気口とは、平行に延出するようにしてもよい。この構成によれば、吸気経路と排気経路を直線的にして排気抵抗を減らすことができ、また、鋳造時にスライド型を同一方向に抜くことができ、吸気口と排気口が形成しやすい。
また、前記吸気口と前記排気口が車体斜め後方向きに延出するようにしてもよい。この構成によれば、省スペースでの配置を可能とし、導風方向が極端に曲がることなくスムーズな吸排気にすることができる。
また、前記吸気口と前記排気口の断面形状が楕円であり、少なくとも一方の長径方向が斜めであるようにしてもよい。この構成によれば、内側のスペースを確保でき、車体側の部品を避けることができる。
また、内燃機関は、クランクケースを備え、このクランクケースにクランク軸を支持し、変速機は、クランクケースの右側方に設けられ、駆動プーリは、右側面視で時計回りに回転するようにしたので、吸気口からの外気を、変速機ケースの内壁に沿わせて送ることができ、排気口から排気し易くすることができ、さらに従動プーリによって外気を排気口へより導風し易くできる。
また、変速機ケースの一側方には、カバー部材が設けられ、このカバー部材には、変速機ケースに設けられるガイド部材と対向するようにカバー側ガイド部材が設けられるので、外気の流れ調整用のガイド部材の面積を広く確保でき、変速機ケース内の外気を流れをよりスムーズにできる。
また、ガイド部材とカバー側ガイド部材との間には、ベルトが通るスペースを設けるので、ベルトを避けつつガイド部材とカバー側ガイド部材とを配置できる。
また、ガイド部材とカバー側ガイド部材とは、クランク軸と従動軸との間であって、駆動プーリと従動プーリとの下部間をつなぐ接線よりも側面視で上方に位置するので、少なくとも変速機ケースの内底近傍を流れる外気を排気側へ流すことができ、スムーズに排気させることができる。
また、ガイド部材とカバー側ガイド部材とは、後下方に指向するので、同長さで前下方に指向する場合よりも、変速機ケースの内底に沿って流れる外気以外の外気を効率よく遮断することができる。
また、吸気口と排気口が車体斜め後方向きに延出するので、省スペースでの配置を可能とし、導風方向が極端に曲がることなくスムーズな吸排気にすることができる。
また、吸気口と排気口の断面形状が楕円であり、少なくとも一方の長径方向が斜めであるので、内側のスペースを確保でき、車体側の部品を避けることができる。
なお、以下の説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印Fは車体前方を、矢印Rは車体右方を、矢印Uは車体上方をそれぞれ示す。
図1は、本発明の実施形態を適用した自動二輪車1の側面図である。
この自動二輪車1の車体フレーム2は、車体前部のヘッドパイプ3と、同ヘッドパイプ3から後方へ斜め下向きに傾斜して延出する1本のメインフレーム4と、同メインフレーム4の後部に下方へ向けて延出固着される左右一対のピボットブラケット5と、メインフレーム4の後部でピボットブラケット5の固着位置の前付近から後方へ斜め上向きに延出して途中で屈曲して後端に至る左右一対のシートレール6と、ピボットブラケット5と上記シートレール6の中央部との間を補強する左右一対の補強フレーム7とを備えている。
また、クランクケース24の左側面後部には、エンジン20の出力軸31がその先端を露出させて軸支されている。この出力軸31の先端には、駆動スプロケット32が取り付けられ、この駆動スプロケット32と、後輪15に一体に設けられた従動スプロケット33との間に動力伝達チェーン34(図1参照)が巻回されてチェーン伝動機構が構成される。したがって、このエンジン20の出力軸31の回転は、チェーン伝動機構を介して後輪15へ伝達される。なお、このチェーン伝動機構は、各スプロケット32、33の歯数比によって出力軸31と後輪軸との間の減速比(二次減速比)を設定する二次減速機構としても機能する。また、図中、符号35はチェーン伝動機構を覆うカバーである。
また、この自動二輪車1には、エンジン20を始動するキック式始動装置140の一部を構成するキック部材(始動系部材)37がクランクケース24左側方に配設されている。すなわち、このキック部材37は、クランクケース24に先端を露出させて軸支されたキック軸38に取り付けられたキックアーム39と、このキックアーム39の先端部に回動自在に取り付けられたキックペダル40とを備え、運転者がキックペダル40を踏むことによってキック軸38を回転させてエンジン20を始動できる。
さらに、この自動二輪車1には、キック式始動装置140に加えて、エンジン始動用のスタータモータ41も配設されている。このスタータモータ41は、クランクケース24上面前部に取り付けられており、このスタータモータ41を作動させることでエンジン20を始動できる。すなわち、この自動二輪車1では、キック式およびスタータモータ式のいずれの方法でもエンジン20を始動することが可能に構成されている。
図2および図3に示すように、エンジン20のシリンダ部22は、クランクケース24前面に連結されるシリンダブロック22Aと、シリンダブロック22A前面に連結されるシリンダヘッド22Bと、シリンダヘッド22Bの前面を覆うヘッドカバー22Cとを備える。シリンダヘッド22Bには、燃焼室22Dと、燃焼室22Dにつながる不図示の吸気ポートと排気ポートが形成され、燃焼室22Dに先端が臨むように点火プラグ23が配置され、吸気ポート入口に上記吸気管26が接続され、排気ポート出口に上記排気管29が接続されるようになっている。また、図2中、符号22Fは、シリンダ部22に設けられる放熱フィンであり、この放熱フィン22Fによりシリンダ部22が空冷される。
このクランク軸51は、回転中心となるクランクジャーナル51Aと、クランクジャーナル51Aよりも大径に形成されるクランクウェブ51Bと、このクランクウェブ51Bを介して支持されるクランクピン(偏心軸)51Cとを備え、クランクウェブ51Bおよびクランクピン51Cが、左右一対の軸受45、45間に位置する。また、クランクウェブ51Bには、回転バランスをとるためのバランスウエイト(以下、ウエイトという)51Dが設けられている。
詳述すると、クランク軸51の左端は、左クランクケース24A内を左方に延出し、この左クランクケース24Aの左側開口(外側開口)を覆うように取り付けられた発電機カバー25近傍まで延出し、この発電機カバー25と左クランクケース24Aとによって囲まれる空間内に発電機180を収容する。この発電機180は、クランク軸51に固定されるロータ181と、ロータ181内に配置されるステータ182とを備え、ステータ182は発電機カバー25に固定される。
詳述すると、クランク軸51の右端は、右クランクケース24Bを貫通して更に右方へ延出し、この右クランクケース24Bの右側にボルト連結された変速機ケース61Aを貫通し、変速機ケース61Aに連設される変速機カバー61B近傍まで延出し、この右端部が、ベルト式無段変速機60の駆動プーリ軸(駆動軸)51Rとして使用され、この駆動プーリ軸51Rに駆動プーリ63が取り付けられる。
この従動プーリ軸64には、従動プーリ67が取り付けられ、駆動プーリ63と従動プーリ67との間にVベルト68が掛け回され、駆動プーリ63の回転が従動プーリ67へと伝達される。なお、変速機収容部61と各プーリ軸51R、64との間には、クランクケース24側のエンジンオイルが変速機収容部61内に侵入するのを阻止するためのシール部材69A、69Bが介挿されており、変速機収容部61がクランクケース24との間でシールされる。
ベルト式無段変速機60の従動プーリ67は、従動プーリ軸64とともに回転する固定半体67Aと可動半体67Bとを有し、固定半体67Aが可動半体67Bよりも左側に固定される。可動半体67Bは、従動プーリ軸64の右端部に環状スライダ71を介して軸方向に移動自在に配置され、コイルばねである付勢部材72により左方(固定半体67A側)に付勢されている。このため、駆動プーリ63の両半体63A、63B間に挟まれたVベルト68の巻き掛け径が大きくなると、反対に従動プーリ67の両半体67A、67Bの間隔がコイルばね72の付勢力に抗して拡がり、Vベルト68の巻き掛け径を小さくし、自動的に無段変速が行われる。
遠心クラッチ80は、エンジンオイルにより各部の潤滑および冷却が行われる湿式のクラッチであり、従動プーリ軸64にスプライン嵌合されるクラッチインナ83と、従動プーリ軸64の左端部に相対回転自在に設けられたクラッチ出力ギア84に連結されたクラッチアウタ85とを備えており、クラッチインナ83の外周端側に突設された複数の支軸86にクラッチウエイト87が設けられている。このため、従動プーリ軸64の回転速度が所定速度を超えた場合に、遠心力により遠心方向に移動するクラッチウエイト87がクラッチアウタ85に係合し、従動プーリ軸64と一体にクラッチアウタ85を回転させてクラッチ出力ギア84を回転させる。
なお、図中、符号88は、クラッチアウタ85が遠心方向へ拡がるのを抑えるためのクラッチ補強用プレートであり、符号90は、クラッチ出力ギア84と従動プーリ軸64との間に配置されるリテーナである。このリテーナ90は、周方向に間隔を空けて配置される軸受用ローラのローラ列を、軸方向に2列有しており、この2列のローラ列によってクラッチ出力ギア84を従動プーリ軸64に対して相対回転させる。
出力軸31は、左右のクランクケース24A、24Bに支持された左右一対の軸受(転がり軸受)96、96に支持される。この出力軸31には、ファイナルギア95が回転自在に設けられ、このファイナルギア95の回転がギアダンパ97を介して当該出力軸31に伝達されるようになっている。
そして、このクランク室R0とクラッチ室R1とが、エンジンオイルによる潤滑や冷却が行われる室とされており、クランクケース24下部と変速機ケース61A下部とにオイル溜まり部が形成される。
また、このクラッチ室R1の右隣には、変速機ケース61Aと変速機カバー61Bとで囲まれる空間(以下、変速機室R2という)が形成され、この変速機室R2は、エンジンオイルによる潤滑や冷却が行われない室とされる。つまり、このエンジン20では、エンジンオイルが介在する室と介在しない室とが車幅方向で明確に区画されている。
詳述すると、延出部106は、変速機収容部61の本体部を構成する変速機ケース61Aからシリンダ軸線L1に略沿って車体前側に延出し、この延出部106には、油路カバー107がボルト連結される。この延出部106と油路カバー107との間には略環状のオイル通路108が形成されると共に、放熱フィンが設けられ、この放熱フィンによりオイル通路108を流れるオイルが走行風で効率よく冷却され、また、延出部106および油路カバー107の断面係数が高くなり、剛性が十分に確保される。つまり、延出部106および油路カバー107は、エンジン一体型の小型のオイルクーラ105(図2、図3参照)として機能する。
図4は、図2のIV−IV断面を示す図であり、キック式始動装置140の機構部分を周辺構成とともに示している。このキック式始動装置140は、エンジン20下方(主にクランクケース24下方)に収容されている。
キック軸38は、従動プーリ軸64の前下方であって、大径に形成される従動プーリ67と側面視で重ならない位置に配置されており(図2参照)、左右のクランクケース24A、24Bに形成された軸受部(本例では貫通孔で形成されたすべり軸受)141、142に回転自在に軸支されている。このキック軸38の左端部は左クランクケース24Aの壁部に形成された軸受部141を貫通して左方に突出し、この貫通軸部38Aに、キックペダル40を先端に取り付けたキックアーム39の基端部が固定される。また、左クランクケース24Aには、キック軸38との間の隙間を塞ぐシール部材143が設けられる。このクランクケース24内において、キック軸38の右側部分には、キック軸38をキック方向とは逆方向に付勢するリターンスプリング145と、このリターンスプリング145の付勢力で回転するキック軸38をキック操作開始位置で停止させるストッパ146とが配設されており、キック軸38の左側部分には、軸受部141に隣接する大径のキックドライブギア147が設けられている。
第1キック中間軸151は、図2に示すように、従動プーリ軸64とクランク軸51との中間位置下方であって、大径に形成される従動プーリ67と側面視で重なる位置に横置き配置され、図4に示すように、左右のクランクケース24A、24Bに設けられた左右一対の軸受部(本例では非貫通孔で形成されたすべり軸受)161、162に回転自在に軸支される。この第1キック中間軸151は、クランクケース24内に完全に収容され、キックドライブギア147に噛み合う小径の第1キック中間軸従動ギア(キックドリブンギア)163が一体に形成されると共に、このギア163の右方に第1キック中間軸従動ギア163よりも大径の第1キック中間軸駆動ギア(第1アイドルギア)164が隣接して固定される。
したがって、キックペダル40が踏み込まれ、キック軸38がリターンスプリング145の付勢力に抗して回転すると、キック軸38の回転が第1キック中間軸151および第2キック中間軸155のギア列を介して伝達され、飛び込みギア171をキック始動用従動ギア172に噛み合う方向へと移動してクランク軸51を強制的に回転し、エンジン20を始動させることができる。
そして、このオイル通路110から流出したオイルは、右側の軸受45とクランク軸51との間に形成されたオイル通過用溝51Mを通ってクランクケース24内に入り、クランクピン51Cに形成された不図示のオイル通路を通ってコンロッド21Bの大端部へと供給される。
すなわち、本構成では、クランク軸51の外周面に、右側の軸受45との間に隙間を形成してクランクピン51C側へオイルを通過させるオイル通過用溝51Mを形成することによって、クランク軸51内にオイル通路を形成することなく、コンロッド21Bの摺動面などへオイルを供給することが可能に構成されている。なお、オイル通過用溝51Mは、クランク軸51の周方向に間隔を空けて複数本形成してもよいし、十分に潤滑可能なときは一本でもよい。
これに対し、本構成では、キック始動用従動ギア172と上記カラー172Aとが別体であり、これら部品間にOリング175を配置するため、Oリング175をクランク軸51の組み付け位置に組み付けた後、カラー172Aをクランク軸51に挿入すればよい。従って、Oリング175を位置ずれなく容易に組み付けることができ、Oリング175の組付性が向上する。
この場合、同図に示すように、カラー172Aの内周側の隙間(クランク軸51との間の隙間)がOリング175でシールされ、カラー172Aの外周側の隙間(変速機ケース61Aとの間の隙間)がシール部材69Aでシールされるので、変速機収容部61とクランクケース24との間のシール性を十分に確保できる。
変速機室R2、つまり、変速機収容部61内には、外気が導入され、この導入した外気でベルト式無段変速機60を冷却するように構成されている。
図6は変速機ケース61Aを右側から見た側面図であり、図7は変速機ケース61Aの一部上面図であり、図8は、図6のVIII−VIII断面を示す図であり、図9は図6のIX−IX断面を示す図である。
図6に示すように、駆動プーリ63の上方に相当する変速機ケース61Aの前上部には、外気吸気口(図2および図3参照)が設けられ、従動プーリ67の上方に相当する変速機ケース61Aの後上部には、外気排気口116が設けられる。これら外気吸気口115および外気排気口116は、前後に間隔を空けて設けられ、車体斜め後方向きに上方へ平行に延出するダクト部115A、116Aを有しており、変速機ケース61Aに一体に形成されている。そして、これら外気吸気口115および外気排気口116の上端部には、図示せぬダクトが接続され、このダクトを介して外気が流通自在に構成される。なお、図6中、符号62は、変速機ケース61A内(変速機室R2内)の水を排出するための水抜き部である。
また、外気吸気口115は、図8に示すように、変速機ケース61Aの変速機室R2に直接連通するのではなく、この変速機室R2の上部に形成された上部空間R2Aに直通し、この上部空間R2Aを介して変速機室R2に連通するようになっている。
また、図11は、従動プーリ67から外気排気口116に至る連通路を周辺構成と共に示している。図9および図11に示すように、外気排気口116は、変速機ケース61Aの変速機室R2に直接連通する。直接連通すれば、その分、変速機室R2と外気排気口116との間の空気の流れをスムーズにできる。なお、図10および図11には、空気(外気)の流れを矢印で示している。
さらに、変速機収容部61内の従動プーリ67の固定半体67Aにも、従動プーリ67を送風ファンとして機能させるための送風用フィン67Cが設けられており、送風用フィン67Cの回転により、外気吸気口115から取り込まれた外気を変速機室R2内で従動プーリ67側へと引き込むことができ、外気排気口116から排気させることができる。これによって、変速機室R2内に駆動プーリ63側から従動プーリ67側へと向かう外気の流れが生じ、ベルト式無段変速機60が強制空冷されるようになっている。
この場合、外気は、軸心C3より前側では、外気が通過可能な空間が比較的狭いので、変速機ケース61Aの内側前壁61A1に沿って略一様に流れるものの、軸心C3より後方では、変速機室R2の内部空間が拡がるなどの理由により、そのままでは様々な向きの流れが生じてしまい、例えば、図6に示すように、変速機ケース61Aの内底61A2に沿って流れる後方略水平向きの流れ(符号αで示す)の他に、後斜め上方向きの流れ(符号βで示す)が生じたり、上方向きの流れ(符号γで示す)が生じたりする。
このような様々な方向の流れが生じると、外気排気口116から直ぐに排気されない外気が生じ、従動プーリ67の回転の影響(従動プーリ67と一体に回転する送風用フィン67Cの影響も含む)を受けて乱流が発生するなどして排気効率の低下を招くと考えられる。例えば、符号βで示す外気の流れは、外気排気口116手前で従動プーリ67と一体に回転する送風用フィン67Cによって外気排気口116へ流れることができなくなる。
より具体的には、図12に示すように、このガイド部材121は、変速機ケース61Aに設けられるガイド部材(ケース側ガイド部材)122と、変速機カバー61Bに設けられるガイド部材(カバー側ガイド部材)123の左右一対で構成される。なお、図12では、変速機カバー61Bを、ガイド部材123周辺部分だけを示している。
ここで、変速機カバー61Bのガイド部材123は、変速機ケース61Aのガイド部材122に対向する側面視同形状かつ同一に設けられる板部材であるため、以下、変速機ケース61Aのガイド部材122を説明する。
このため、このガイド部材122は、図6に示すように、駆動プーリ63の送風用フィン63Cによって送られた外気のうち、変速機ケース61Aの内底61A近傍を流れる外気を排気側(従動プーリ67側)へ流し、変速機ケース61Aの内底61Aから上方へ離れた外気については、排気側(従動プーリ67側)への流れを遮断する。
これによって、本構成では、図6に示すように、外気吸気口115から変速機ケース61Aの内壁(内側前壁61A1、内底61A2、内側後壁61A3)に沿って外気排気口116に向かう流れを形成することができ、変速機ケース61A内にスムーズに外気を流すことができ、ベルト式無段変速機60の冷却効率を向上することができる。
また、ガイド部材122、123の車幅方向の突出量は、図3および図12に示すように、従動プーリ67およびVベルト68に接触しない位置までとされる。つまり、変速機ケース61Aのガイド部材122と、変速機カバー61Bのガイド部材123とは、その間に、従動プーリ67およびVベルト68が通るスペースを空けて配設され、これによって、従動プーリ67およびVベルト68が通るスペースを確保している。この場合、ガイド部材122、123が、従動プーリ67およびVベルト68が通るスペースを確保しつつ変速機室R2の幅方向に渡って延在するので、変速機ケース61Aの内底61Aから上方へ離れた外気が排気側(従動プーリ67側)へ流れるのを幅方向全体に亘って十分に遮断できる。
また、ベルト式無段変速機60を、クランクケース24の右側方に設け、駆動プーリ63は右側面視で時計回りに回転するようにしたので、外気吸気口115からの外気を、変速機ケース61Aの内壁(内側前壁61A1、内底61A2、内側後壁61A3)に沿わせて送ることができ、外気排気口116から排気し易くすることができる。この場合、駆動プーリ63と同方向に回転する従動プーリ67の回転によって、上記外気を外気排気口116へより導風し易くでき、排気効率をより向上することができる。
また、ガイド部材122、123は、変速機ケース61Aと変速機カバー61Bの各々の上部より下方に延出するので、駆動プーリ63の上部側から従動プーリ67側への外気の流れを遮断できる。また、ガイド部材122が上部より下方に延出するシンプルな板形状なので、製作が容易であり、変速機ケース61Aや変速機カバー61Bに一体に形成する構成だけでなく、別体に形成して後付けしたり、仕様に応じて長さを変更したり、といった各種設計変更が容易である。
また、本構成では、ガイド部材122、123の下端を、駆動プーリ軸51Rの軸心C1と従動プーリ軸64の軸心C2とを結ぶ直線LAよりも上方に位置するので、駆動プーリ軸51R側から従動プーリ軸64の軸心C2より上方へ向かって流れる外気(例えば、符号βで示す外気)が排気側へ流れるのを遮断し、この流れが外気排気口116へ向かう流れに影響を及ぼす事態を回避できる。
また、外気吸気口115と外気排気口116とが平行に延出するので、吸気経路と排気経路を直線的にして排気抵抗を減らすことができると共に、鋳造時にスライド型を同一方向に抜くことができ、吸気口と排気口が形成しやすいなどの効果を奏する。
また、外気吸気口115と外気排気口116が車体斜め後方向きに延出するので、省スペースでの配置を可能とし、導風方向が極端に曲がることなくスムーズな吸排気にすることができる。
また、外気吸気口115と外気排気口116の断面形状が楕円であり、少なくとも一方(本例では外気排気口116)の長径方向が車体前後方向に対して斜めであるため(図7参照)、内側のスペースを確保でき、車体側の部品を避けることができる。
図3に示すように、駆動プーリ軸51Rの右端部には、このプーリ軸51Rに挿入される各部品を軸方向左側に押さえるナット124が締結されており、変速機カバー61Bには、このナット124の中心軸(=駆動プーリ軸51Rの軸心C1)に略沿って駆動プーリ軸51Rの右端面近傍まで延出するスタッド125が形成されている。このスタッド125は、駆動プーリ軸51Rよりも小径であり、変速機カバー61Bに一体に設けられている。
また、従動プーリ軸64の右端部にも、このプーリ軸64に挿入される各部品を軸方向左側に押さえるナット126が締結されている。本構成では、このナット126の左側に隣接して該ナット126で従動プーリ軸64に固定される被固定部材127が、ナット126の外周を囲って変速機カバー61Bの内側面近傍まで延出する筒部127Aを有している。
この被固定部材127の筒部127Aの外周部には、従動プーリ67を左方向に付勢する付勢部材72の右端を押さえる環状の押さえ板128が周方向の相対回転可能に配設され、この押さえ板128の右側に隣接して筒部127A外周にサークリップ129を嵌め込むことで押さえ板128が筒部127Aに固定される。ここで、図13は、サークリップ129を周辺構成と共に示す図である。この図に示すように、押さえ板128のサークリップ129側の面には、サークリップ129の両端部129A、129Bの外側に位置する2つの突起128A、128Bを有しており、この2つの突起128A、128Bにより、押さえ板128に対するサークリップ129の取付位置を位置決めすることができ、また、サークリップ129の両端部129A、129Bの拡がりを回避することができる。
また、上記実施形態では、自動二輪車のエンジン20に適用される変速機の導風構造に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、自動二輪車以外の他の車両のエンジンなどに使用される変速機の導風構造に本発明を適用することも可能である。
20 エンジン(内燃機関)
22 シリンダ部
24 クランクケース
24A 左クランクケース
24B 右クランクケース
31 出力軸
51 クランク軸
51R 駆動プーリ軸(駆動軸)
60 ベルト式無段変速機
61 変速機収容部
61A 変速機ケース(クラッチケースを兼ねる)
61B 変速機カバー(カバー部材)
63 駆動プーリ
63C 送風用フィン
64 従動プーリ軸(従動軸)
67 従動プーリ
67C 送風用フィン
68 Vベルト
81 動力伝達機構
115 外気吸気口
116 外気排気口
122 ガイド部材(ケース側ガイド部材)
123 ガイド部材(カバー側ガイド部材)
140 キック式始動装置
Claims (10)
- 内燃機関に支持されるクランク軸の一側に設けられる駆動プーリと、内燃機関に支持される従動軸の一側に設けられる従動プーリと、駆動プーリと従動プーリ間に掛けられたベルトとを備えるベルト式の変速機であって、駆動プーリに一体に回転する送風ファンを設けると共に変速機ケースに吸気口と排気口とを設け、送風ファンにより吸気口から外気を取り入れて排気口から排気させる変速機の導風構造において、
前記吸気口は、前記駆動プーリの上方で前記変速機ケースに設けられ、前記排気口は、前記従動プーリの上方で前記変速機ケースに設けられ、前記変速機ケースの前記吸気口と前記排気口との間に、外気の流れ調整用のガイド部材を設けたことを特徴とする変速機の導風構造。 - 前記内燃機関は、クランクケースを備え、このクランクケースに前記クランク軸を支持し、
前記変速機は、前記クランクケースの右側方に設けられ、前記駆動プーリは、右側面視で時計回りに回転することを特徴とする請求項1に記載の変速機の導風構造。 - 前記変速機ケースの一側方には、カバー部材が設けられ、このカバー部材には、前記変速機ケースに設けられるガイド部材と対向するようにカバー側ガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の変速機の導風構造。
- 前記ガイド部材と前記カバー側ガイド部材とは、前記変速機ケースと前記カバー部材の各々の上部より下方に延出することを特徴とする請求項3に記載の変速機の導風構造。
- 前記ガイド部材と前記カバー側ガイド部材との間には、前記ベルトが通るスペースが設けられることを特徴とする請求項4に記載の変速機の導風構造。
- 前記ガイド部材と前記カバー側ガイド部材とは、前記クランク軸と前記従動軸との間であって、前記駆動プーリと前記従動プーリとの下部間をつなぐ接線よりも側面視で上方に位置することを特徴とする請求項4又は5に記載の変速機の導風構造。
- 前記ガイド部材と前記カバー側ガイド部材とは、後下方に指向していることを特徴とする請求項4に記載の変速機の導風構造。
- 前記吸気口と前記排気口とは、平行に延出することを特徴とする請求項1に記載の変速機の導風構造。
- 前記吸気口と前記排気口が車体斜め後方向きに延出することを特徴とする請求項8に記載の変速機の導風構造。
- 前記吸気口と前記排気口の断面形状が楕円であり、少なくとも一方の長径方向が斜めであることを特徴とする請求項8又は9に記載の変速機の導風構造。
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