本発明に係る物品保管設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2及び図9に示すように、ガラス基板Gを収納する容器Pを保管する複数の保管部Sを縦横に備える物品保管棚としての棚Rと、容器Pを棚Rに対して出し入れするスタッカークレーンKとが備えられて保管設備が構成されている。そして、スタッカークレーンKが、搬出入部Wと保管部Sとの間で容器Pを搬送するように構成されている。ちなみに、このような保管設備は、一般に、ガラス基板Gを加工処理する処理設備が設置されたクリーンルーム内に設置されて、加工処理前のガラス基板G、加工処理途中のガラス基板G、及び、加工処理済みのガラス基板Gを保管するために用いられることになる。
スタッカークレーンKは、図3にも示すように、左右一対の走行レール1にて案内され且つ走行用モータ21にて走行駆動される走行台車2、走行台車2の前側部分及び後側部分の夫々から立設されるマスト3、そのマスト3に昇降自在に案内され且つ昇降用モータ22にて昇降駆動される昇降キャリッジ4を備え、その昇降キャリッジ4に、保管部Sとの間で物品としての容器Pを移載する物品移載装置としての移載装置5が装備されている。
昇降キャリッジ4には、容器Pの移載方向で両端部にはみ出しセンサゲート16が設けられている。はみ出しセンサゲート16は、上部取付ガイド16U及び下部取付ガイド16Dと、移載方向と交差する横方向に分散して上部取付ガイド16U及び下部取付ガイド16Dに複数対設けられた投受光式のはみ出しセンサ17が設けられている。容器Pが、スタッカークレーKにより搬送される時に位置すべき移載装置5における適正な位置としての搬送用載置位置に位置しているときは、全てのはみ出しセンサ17がオフとなるように、複数のはみ出しセンサ17の取り付け位置が調整されている。
移載装置5は、昇降キャリッジ4の昇降作動により棚Rの前面側において昇降操作自在に、かつ、走行台車2の走行作動により棚Rの前面側において棚横幅方向に移動操作自在に設けられている。
移載装置5は、図5及び図6に示すように、保管部Sに対する移載方向で容器Pの下面に対して搬送作用するローラ式搬送装置32を移載装置5本体に対して位置固定状態で備え、このローラ式搬送装置32の複数の搬送ローラ33を卸し用回転方向又は掬い用の回転方向にて回転作動させることで容器Pを移載方向に載置搬送する載置搬送部M、及び、移載方向と交差する横方向に伸びる状態で容器Pの底部に位置する被係合部としての容器構成用枠体6(図9参照)に下方から係合する係合部としてのローラーフック44を備えている。移載装置5は、このローラーフック44を移載方向に沿って出退作動させることにより容器Pを保管部Sから載置搬送部Mに引き移動させ且つ容器Pを載置搬送部Mから保管部Sに押し移動させる押し引き搬送部Nを備えている。
容器Pは、図9に示すように、格子状に枠組みされた上部枠体P1と格子状に枠組みされた下部枠体P2とを、左右の両側部において上下方向に延びる複数の側枠7にて接続して構成されるものである。そして、左右に位置する側枠7に亘ってガラス基板Gを載置支持するワイヤ又は棒体等の支持体8が、前後方向に並ぶ状態で複数段に設けられており、複数枚のガラス基板Gを上下方向に並べる状態で且つ前後方向に出し入れする状態で収納するように構成されている。そして、下部枠体P2には、上述の如く、移載方向と交差する横方向に伸びる状態で容器Pの底部に位置する容器構成用枠体6が、前後方向に沿って複数備えられ、それら複数の容器構成用枠体6のうちの端部のものに対して、押し引き搬送部Nのローラーフック44が備える一対の回転ローラDが下方から係合することになる。
棚Rの保管部Sは、図4に示すように、棚Rを構成する柱状体9(図2参照)に支持される左右一対の支持枠10を前後の連結枠11にて接続して構成されるものであって、左右の支持枠10の夫々には、容器Pの移載方向と交差する横方向に沿う軸芯回りで自由回転自在な複数のローラ12が、移載方向に沿って並べる状態で設けられている。また、左右の支持枠10には、容器Pの横側面を案内するガイドローラ13を支持するローラ支持体14が取り付けられている。
保管部Sにおける左右の支持枠10は、ローラ12にて容器Pの底面における移載方向に交差する容器横幅方向の両側端部箇所を載置支持する。すなわち、本願の棚側載置支持部が左右の支持枠10にて構成されている。このように、本実施形態の物品保管設備では、物品としての容器Pを載置支持する棚側載置支持部を備えた保管部Sが上下に複数並べて構成された物品保管棚が設けられている。
左右の支持枠10における保管部出入口側部分には、出口側ほど外開きとなるガイド体15が取り付けられている。図示は省略するが、このガイド体15には、上下に大径部を備える第1ローラが間隔を隔て設けられ、且つ、第1ローラの上下の大径部の間に入り込ませる大径部を備える第2ローラが、隣接する第1ローラの間に位置させる状態で設けられている。さらに、左右の支持枠10における保管部Sの奥側に対応する部分には、容器Pを受け止めるストッパー18が設けられている。
また、保管部Sの出入口側箇所には、収納された容器Pが外部側に移動するのを受け止め阻止する受止め体(図示せず。)が、受止め姿勢と受止め解除姿勢とに切換え自在且つ受止め姿勢に復帰付勢された状態で設けられている。そして、移載装置5に、詳細は後述するが、受止め体を復帰付勢力に抗して受止め解除姿勢に操作する受止め体操作手段Uが設けられており、保管部Sに対して容器Pを移載するときには、この受止め体操作手段Uにて、保管部Sの出入口側端部に設けられた受止め体を受止め解除姿勢に切換えるように構成されている。
前記移載装置5について、図5〜図7に基づいて説明する。昇降キャリッジ4が、左右の主枠体30を連結枠31にて接続して構成され、載置搬送部Mを構成する左右一対のローラ式搬送装置32が、左右の主枠体30に装着されている。
ローラ式搬送装置32は、容器Pの搬送方向に並ぶ複数の搬送ローラ33、コンベヤ作動用モータ34、及び、そのコンベヤ作動用モータ34の駆動力にて搬送ローラ33を駆動するローラ駆動用チェーン35を備えて構成され、そして、コンベヤ作動用モータ34を正逆に回転させることにより、容器Pを左右いずれの方向にも搬送できるように構成されている。
なお、ローラ式搬送装置32の移載方向の両端部に相当する箇所は、保管部Sに備えさせたガイド体15と同様な構成を備えるガイド体36が設けられ、また、ローラ式搬送装置32の搬送中間部に対応する箇所には、容器Pの横側面を案内するガイドローラ37が設けられている。
押し引き搬送部Nは、昇降キャリッジ4の連結枠31に昇降自在に案内される平面視形状が梯子状の主枠体40、その主枠体40を昇降駆動する係合部用昇降操作手段41、主枠体40の上面側に容器Pの移載方向に移動自在に支持される移動枠42、移動枠42を容器Pの移載方向に駆動する出退操作手段43、及び、移動枠42に設けられたローラーフック44を備えて構成されている。
前記係合部用昇降操作手段41は、図7に示すように、フック昇降用モータ45、及び、そのフック昇降用モータ45にて駆動される一対のラックアンドピニオン式の昇降駆動部46を備えて、フック昇降用モータ45の正逆作動によって、昇降駆動部46にて主枠体40を昇降させるように構成されている。
連結枠31の上面には、センサ取付ブラケット20が設けられており、センサ取付ブラケット20の上端には、主枠体40が昇降下限高さに位置することを検出する下限検出センサ28が取り付けられている。
下限検出センサ28は、主枠体40に取り付けられたドグ29を検出することで、主枠体40が昇降下限高さに位置することを検出する。ドグ29は、平面が上下方向に沿う板状体にて構成され、主枠体40が下降することで、ドグ29の上端部が下限検出センサ28の検出位置よりも下方に下がると、下限検出センサ28の検出信号の出力状態がオンからオフに切り換わる。これにより、主枠体40が昇降下限高さに位置することを検出する。
なお、図示は省略するが、センサ取付ブラケット20には、下限検出センサ28の他に、下降限度位置センサ及び上昇限度位置センサが設けられており、これらのセンサが、ドグ29の隣接するように主枠体40に取り付けられた昇降限度検出用ドグに対して検出作用することで、主枠体40が昇降下限高さより低く設定されている下降限度高さまで下降したことや、主枠体40が基底高さより上方側の昇降範囲の上端よりも高く設定されている上昇限度高さまで上昇したことを検出できるようになっている。
そして、フック昇降用モータ45及び昇降駆動部46にて主枠体40が昇降下限高さより上方側で昇降操作されることにより、主枠体40に備えられたローラーフック44を、移載装置5本体に対する基底高さBTMより上方側の昇降範囲Z(本実施形態では上下方向に105[mm]の幅としている。)内で移載装置5本体に対して昇降操作するように構成されている。
基底高さBTMは、ローラーフック44の回転ローラDの上端高さが、載置搬送部Mに載置支持されている容器Pの容器構成用枠体6の下端高さよりも下方に位置する高さに設定されている。これにより、移載装置5が掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1や卸し移載用の移載開始用昇降位置に昇降させた場合に、ローラーフック44が基底高さBTMに位置していると、載置搬送部Mに載置支持されている容器Pや保管部Sにおける支持枠10に載置支持されている容器Pについての容器構成用枠体6に対してローラーフック44は係合しない。また、ローラーフック44が、基底高さBTMより上方側の昇降範囲Zの上端に位置していると、容器Pについての容器構成用枠体6に対してローラーフック44が係合する。つまり、昇降範囲Zの上端が係合用高さTOPとなっている。
このように、係合部用昇降操作手段41の作動により、ローラーフック44が、容器Pの容器構成用枠体6に係合しない基底高さBTMと容器構成用枠体6に係合する係合用位置TOPとの間で上下方向に沿って移動操作される。したがって、係合部用昇降操作手段41は、本願発明の係合操作手段に相当し、本実施形態では、係合操作手段についての切換方向は上下方向となっている。
前記出退操作手段43は、図7に示すように、フック出退用モータ47及びこのフック出退用モータ47によって容器Pの移載方向に回動操作される駆動ベルト48を備え、この駆動ベルト48に移動枠42が接続されており、フック出退用モータ47の正逆駆動によって、ローラーフック44を移載方向に正逆に移動させるように構成されている。
前記ローラーフック44は、容器構成用枠体6の左右2箇所に係合すべく、移載方向と交差する横方向に沿って左右一対設けられ、さらに、スタッカークレーンKの左側に位置する棚Rに対して容器Pを移載するための左側移載用フック44Lと、スタッカークレーンKの右側に位置する棚Rに対して容器Pを移載するための右側移載用フック44Rとが各別に備えられている。つまり、4つのローラーフック44が移動枠42に備えられている。
各ローラーフック44は、容器Pの移載方向と交差する横方向に沿う軸芯回りで自由回転自在な回転ローラDを、容器構成用枠体6が挿脱可能な間隔を隔てて並べて構成されており、さらに、図8に示すように、回転ローラDが、容器構成用枠体6の移載方向に沿う幅Hよりも大径となるように、回転ローラDの直径L(本実施形態では130[mm]としている。)が、容器構成用枠体6の移載方向に沿う幅H(本実施形態では50[mm]としている。)よりも大きくなるように構成されている。
一対の回転ローラDの間に形成される隙間は、それらの間に容器構成用枠体6が挿入した状態において、大きな融通が生じないような幅にすることになり、具体的には、容器構成用枠体6の移載方向に沿う幅Hよりも大きく、かつ、その幅Hの1.5倍以下にすることが好ましい。本実施形態では、一対の回転ローラDの中心ピッチは190[mm]としており、一対の回転ローラDの間に形成される隙間の移載方向の幅は60[mm]となっている。そして、回転ローラDの直径Lが130[mm]で容器構成用枠体6の移載方向に沿う幅Hが50[mm]であるから、一対の回転ローラDの間に容器構成用枠体6が挿入した状態において、回転ローラDと容器構成用枠体6との間には、最大で10[mm]の隙間が形成される。なお、図8では、一対の回転ローラDの回転軸心の中心位置と容器構成用枠体6の移載方向に沿った幅の中心位置とが一致して、容器構成用枠体6にローラーフック44が係合した状態を示している。このとき、容器構成用枠体6の端面と回転ローラDと間に5[mm]の隙間が形成される。
出退操作手段43は、昇降範囲Z内に位置するローラーフック44を移載装置5本体に対して棚R側に突出する突出位置と移載装置5側に引退する引退位置との間で物品の移載方向に沿って出退操作する。ここで、突出位置は、掬い用突出位置TPrと卸し用突出位置の2つが夫々設定されている。また、引退位置は、卸し移載の終了時及び掬い移載の開始時に位置する掬い用待機位置RPrと、掬い移載の終了時及び卸し移載の開始時に位置する卸し用待機位置RPsの2つが夫々設定されている。
掬い用突出位置TPrは、棚Rの保管部Sの保管位置に適正に位置する状態で保管部Sにおける一対の支持枠10により載置支持されている掬い移載対象の容器Pの容器構成用枠体6のうちのスタッカークレーンK側の端部のものに、ローラーフック44の移載方向の中心箇所が位置するようなローラーフック44の位置である。ローラーフック44を基底高さBTMで掬い用突出位置TPrを目標突出位置として突出させたときに、ローラーフック44が掬い用突出位置TPrに正確に位置すれば、ローラーフック44をそのまま上昇させることで、容器Pの容器構成用枠体6の端部のものが、押し引き搬送部Nのローラーフック44が備える一対の回転ローラDの隙間に挿入されるようになっている。
卸し用突出位置は、この掬い用突出位置TPrよりも出退方向で所定量(本実施形態では5[mm])だけ引退側に寄った位置が卸し用突出位置である。この卸し用突出位置と掬い用突出位置TPrとの差は、一対の回転ローラDの中心ピッチ及び回転ローラDの直径L並びに容器構成用枠体6の幅Hに基づいて設定されている。つまり、掬い用突出位置TPrは、図8に示すように、一対の回転ローラDの回転軸心の中心位置と、保管部Sの保管位置に適正に載置支持されている掬い移載対象の容器構成用枠体6の移載方向で中心位置とが一致するローラーフック44の位置であり、卸し用突出位置は、一対の回転ローラDの移載方向で引退側の回転ローラDの同突出側の外周端部が容器構成用枠体6の出退方向(移載方向)で引退側の端面に当接した状態で保管部Sにおける保管位置まで適正に押し移動させるローラーフック44の位置であるから、一対の回転ローラDの間に形成される隙間の移載方向の長さと、容器構成用枠体6の移載方向の幅Hとの差に応じた分だけ、卸し用突出位置と掬い用突出位置TPrとで、上記の通り異なる位置となっている。
また、掬い用待機位置RPrは、ローラーフック44が載置搬送部Mからはみ出ない位置に移動枠42が位置するときのローラーフック44の位置である。卸し用待機位置RPsは、掬い用待機位置RPrよりも載置搬送部Mの移載方向での中心側に寄った位置に移動枠42が位置するときのローラーフック44の位置である。
移動枠42は、スタッカークレーンKの左側に位置する棚Rにおける保管部Sに容器Pを卸し終わった後は、左側移載用フック44Lが移載装置5本体から左側外方にはみ出ない左側待機位置に位置し、スタッカークレーンKの左側に位置する棚Rにおける保管部Sから容器Pを掬い終わった後は、右側移載用フック44Rが移載装置5本体から右側外方にはみ出ない右側待機位置に位置している。同様に、移動枠42は、スタッカークレーンKの右側に位置する棚Rにおける保管部Sに容器Pを卸し終わった後は、右側移載用フック44Rが移載装置5本体から右側外方にはみ出ない右側待機位置に位置し、スタッカークレーンKの右側に位置する棚Rにおける保管部Sから容器Pを掬い終わった後は、左側移載用フック44Lが移載装置5から左側外方にはみ出ない左側待機位置に位置している。
したがって、例えば、スタッカークレーンKの左側に位置する棚Rにおける保管部Sに容器Pを卸し終わった後に、スタッカークレーンKの左側に位置する棚Rにおける保管部Sから容器Pを掬う場合の掬い移載では、直近の卸し移載により掬い用待機位置RPrとして左側待機位置に位置しているローラーフック44をそのまま掬い用突出位置TPrに突出させ、その後、引退作動により左側待機位置に引退させる。また、例えば、スタッカークレーンKの右側に位置する棚Rにおける保管部Sに容器Pを卸し終わった後に、スタッカークレーンKの左側に位置する棚Rにおける保管部Sから容器Pを掬う場合の掬い移載では、直近の卸し移載により掬い用待機位置RPrとして右側待機位置に位置しているローラーフック44を左側待機位置まで移動させて、さらにその移動方向と同じ方向に掬い用突出位置TPrに突出させ、その後、引退作動により左側待機位置に引退させる。このように、掬い移載において、ローラーフック44の突出が開始される引退位置については、直近の卸し移載と同じ側の棚に対する掬い移載か、異なる側の棚に対する掬い移載かによって、異なる位置となっている。
ローラーフック44が突出位置に位置していることを検出する突出位置センサ38が、主枠体40に設けられている。突出位置センサ38は、左側の棚Rにおける保管部Sに対する移載時においてローラーフック44が突出位置に位置していることを検出する左側移載用のものと、右側の棚Rにおける保管部Sに対する移載時においてローラーフック44が突出位置に位置していることを検出する左側移載用のものとが設けられている。突出位置センサ38は光電センサであり、移動枠42の裏面における出退方向で中央箇所に下向きに垂設された突出位置検出用ドグ49に対して検出作用するように、検出光が横向きとなる状態で主枠体40に設置されている。
このように、移載装置5は、物品としての容器Pを載置支持する移載装置側載置支持部としての載置搬送部Mと、容器Pの容器構成用枠体6に係合するローラーフック44を突出位置と引退位置との間で容器Pの移載方向に沿って出退操作する出退操作手段43と、ローラーフック44を容器構成用枠体6に係合させるための係合用位置TOPと係合解除用位置として基底高さBTMとの間で移載方向と交差する上下方向に沿ってローラーフック44を移動操作する係合操作手段としての係合部用昇降操作手段41とを備えている。
出退操作手段43は、掬い移載時において、ローラーフック44が容器構成用枠体6に対して移載方向での適正係合位置にて係合した状態でローラーフック44を移載方向に沿って引退位置まで引退させる。
ローラーフック44を容器構成用枠体6に係合させた状態で引退させる場合、ローラーフック44における一対の回転ローラDのうち移載方向で保管部S側(ローラーフック44の出退方向で突出側)の回転ローラDにおける移載方向で移載装置5側(同出退方向で引退側)の外周面が、容器構成用枠体6における移載方向で保管部S側(ローラーフック44の出退方向で突出側)の端面に当接する位置関係(図12(c)参照。)が維持されながら容器Pが引き操作される。つまり、容器Pがローラーフック44にて引き操作されるときの、ローラーフック44の容器構成用枠体6に対する相対位置が移載方向での適正係合位置である。
ローラーフック44における一対の回転ローラDの夫々は、ローラーフック44を掬い用突出位置TPrに位置させた時点でローラーフック44が容器構成用枠体6に対する適正係合位置から移載方向でずれた位置に位置している場合において、ローラーフック44を上下方向に沿って係合用位置TOPへ上昇させるときに容器Pにおける容器構成用枠体6に当接するように設けられている。すなわち、本実施形態では、被当接部が容器構成用枠体6にて構成され、この被当接部に当接する当接部が一対の回転ローラDの夫々にて構成されている。したがって、係合部としてのローラーフック44における回転ローラDの夫々が当接部を兼用することで、係合部と当接部が一体移動自在に構成されている。
そして、図12に示すように、後述する掬い移載制御において、ローラーフック44を掬い用突出位置TPrに位置させた時点でローラーフック44が容器構成用枠体6に対する適正係合位置から移載方向でずれた位置に位置している場合に、当接部としての回転ローラDが容器Pの被当接部としての容器構成用枠体6に当接することで、出退方向に関して微小トルクで位置保持されているローラーフック44が出退方向に移動操作され、例えば、図12(c)に示すように、一対の回転ローラDの間に容器構成用枠体6が位置するようになっている。
前記受止め体操作手段Uは、図5に示すように、昇降キャリッジ4における左右の主枠体30の一方に支持ブラケット50を介して連結されたガイド体51、そのガイド体51にて移載方向に移動自在に支持される長尺状体52、及び、その長尺状体52に形成したラックに係合するピニオンを正逆に回転する受止め体操作手段作動用モータ53を備えて構成されるものであり、受止め体操作手段作動用モータ53の作動により長尺状体52が突出操作されると、長尺状体52の端部に形成された押圧部Bが、保管部Sの出入口側の端部に設けられた受止め体を受止め解除姿勢に操作する。
次に、スタッカークレーンKの制御構成について説明する。スタッカークレーンKは、走行台車2に搭載されたクレーンコントローラCCを備えている。
図10の制御ブロック図に示すように、クレーンコントローラCCには、各種のセンサ類及び各種の電動モータが接続されており、図外の地上側のコントローラと光通信により指令される入庫指令や出庫指令に基づいて、走行台車2の走行作動、昇降キャリッジ4の昇降作動、及び、移載装置5の移載作動を制御するように構成されている。すなわち、クレーンコントローラCCは、昇降操作手段としての昇降用モータ22及び昇降キャリッジ4、並びに、移載装置5の作動を制御する制御手段として機能する。
走行用レーザ距離計23は、走行台車2に設けられ、地上側の基準位置に設置される図外の反射板に測距用レーザ光を反射させて、自身から地上側の反射板までの距離を計測する。クレーンコントローラCCは、走行台車2の走行作動を制御するための走行制御部をプログラム形式で備えており、この走行制御部が、走行用レーザ距離計23の測距情報からスタッカークレーンKの走行位置を判別し、走行台車2の走行位置に基づくフィードバック制御により、走行用モータ21の作動を制御して、スタッカークレーンKを移載対象の保管部Sの夫々について予め設定された移載用の走行位置に走行させる走行制御を行う。
昇降用レーザ距離計24は、走行台車2に設けられ、昇降キャリッジ4の底部に設置される図外の反射板に測距用レーザ光を反射させて、自身から昇降キャリッジ4底部の反射板までの距離を計測する。クレーンコントローラCCは、昇降キャリッジ4の昇降作動を制御するための昇降制御部をプログラム形式で備えており、この昇降制御部が、昇降用レーザ距離計24の測距情報から昇降キャリッジ4の昇降位置を判別し、昇降キャリッジ4の昇降位置に基づくフィードバック制御により、昇降用モータ22の作動を制御して、昇降キャリッジ4に搭載された移載装置5を移載対象の保管部Sの夫々について予め設定された移載用の昇降位置に昇降させる昇降制御を行う。
昇降制御において、クレーンコントローラCCは、移載の種別によって移載用の昇降位置を選択的に決定する。つまり、移載の種別が載置搬送部Mに物品を移載する掬い移載であれば、昇降制御において移載装置5を掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1に位置させるべく、昇降キャリッジ4の昇降作動を制御し、移載の種別が載置搬送部Mから保管部Sや搬出入部Wへ物品を移載する卸し移載であれば、昇降制御において移載装置5を掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1よりも設定高さだけ高い位置に設定された卸し移載用の移載開始用昇降位置に位置させるべく、昇降キャリッジ4の昇降作動を制御する。なお、走行制御では、移載の種別によらず、移載対象の保管部Sや搬出入部Wの夫々について設定されている移載用の走行位置にスタッカークレーンKを走行させる。
容器Pの移載時の様子を示す図11では省略しているが、容器Pの移載時に容器Pの移動方向で下流側の先端部が移載先の載置支持部と衝突する事態を回避するべく、掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1は、載置搬送部Mの載置面が保管部Sの支持枠10の載置面より若干低くなるように設定されており、卸し移載用の移載開始用昇降位置は、載置搬送部Mの載置面が保管部Sの支持枠10の載置面より若干高くなるように設定されている。
前述のコンベヤ作動用モータ34、フック昇降用モータ45、フック出退用モータ47、受止め体操作手段作動用モータ53の夫々もクレーンコントローラCCにより制御される。
フック出退制御用ロータリエンコーダ25は、フック出退用モータ47の回転駆動に伴って変化するパルス列を出力することで、フック出退用モータ47の回転駆動量情報を出力する。同様に、フック昇降制御用ロータリエンコーダ26は、フック昇降用モータ45の回転駆動量情報を出力し、コンベヤ作動制御用ロータリエンコーダ27は、コンベヤ作動用モータ34の回転駆動量情報を出力する。
フック昇降タイミングセンサ39は、容器Pの卸し移載時に、載置搬送部Mにより棚Rの保管部Sに向けて移動する容器Pにおける容器構成用枠体6に対してローラーフック44をスムーズに係合させるために、基底高さBTMで卸し用待機位置RPsに位置するローラーフック44についての昇降作動及び突出作動を開始するフッキングタイミングを検出するための光電センサである。
フック昇降タイミングセンサ39は、載置搬送部Mのローラ式搬送装置32の搬送作動により移動する容器Pについての載置搬送部Mにおける移載方向での位置が、ローラーフック44を上昇開始及び突出開始させるのに適切な位置となるフッキングタイミングになると、容器Pの移載方向で上流側(載置搬送部M側)の後端部を直接検出するように取り付けられている。
また、フック昇降タイミングセンサ39は、容器Pの掬い移載時における載置搬送部Mの搬送作動を減速するタイミングを決定するための減速準備用のタイミングを検出するためにも用いられる。すなわち、棚Rの保管部Sから掬い移載により移載装置5側に移動してくる容器Pが載置搬送部Mに載置支持される状態になった後、載置搬送部Mの搬送速度を減速するタイミングを検出する。具体的には、載置搬送部Mにおける移載方向での容器Pの位置が、載置搬送部Mの搬送作動を減速させるのに適切な位置よりも移載方向で設定距離だけ保管部S側の位置となる減速準備用のタイミングとなると、容器Pの移載方向で下流側(載置搬送部M側)の先端部を直接検出するように取り付けられている。
クレーンコントローラCCは、載置搬送部Mのローラ式搬送装置32の搬送作動並びにローラーフック44の昇降作動及び出退作動を制御するための移載制御部をプログラム形式で備えている。この移載制御部が、フック出退制御用ロータリエンコーダ25及び突出位置センサ38の検出情報に基づいて、フック出退用モータ47の駆動を制御してローラーフック44を左側待機位置と突出位置との間で出退作動させ、フック昇降制御用ロータリエンコーダ26並びに下限検出センサ28及びフック昇降タイミングセンサ39の検出情報に基づいて、フック昇降用モータ45の駆動を制御してローラーフック44を昇降範囲Z内で昇降作動させ、コンベヤ作動制御用ロータリエンコーダ27並びにフック昇降タイミングセンサ39及びはみ出しセンサ17の検出情報に基づいて、コンベヤ作動用モータ34の駆動を制御して載置搬送部Mのローラ式搬送装置32を搬送作動させる。
そして、容器Pを保管部Sから移載装置5に移載する掬い移載を行うときや、容器Pを移載装置5から保管部Sに移載する卸し移載を行うときには、昇降制御部、及び、移載制御部が協働して機能することにより、昇降キャレッジ4の昇降作動及び移載装置5の移載作動が制御される。クレーンコントローラCCは、上述した走行制御部、昇降制御部、及び移載制御部を協働させて、走行台車2の走行作動、昇降キャレッジ4の昇降作動、及び、移載装置5の移載作動を制御するのであるが、以下の説明では、単にクレーンコントローラCCがこれらの作動を制御するものとして説明する。
クレーンコントローラCCは、地上側コントローラから、ある保管部Sに保管されている容器Pを保管部Sから取り出して搬出入部Wまで搬送する出庫指令が指令されると、搬送対象の容器Pが保管されている保管部Sについての移載用の走行位置及び掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1に移載装置5を位置させるべく、走行台車2の走行作動及び昇降キャリッジ4の昇降作動を制御し、移載装置5を保管部Sについての移載用の走行位置及び掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1に位置させた後、容器Pを保管部Sから移載装置5へ移載させる掬い移載制御を行う。
その後、当該出庫指令に基づいて、移載装置5を搬出入部Wについての移載用の走行位置及び卸し移載用の移載開始用昇降位置に位置させるべく、走行台車2の走行作動及び昇降キャリッジ4の昇降作動を制御し、移載装置5を搬出入部Wについての移載用の走行位置及び卸し移載用の移載開始用昇降位置に位置させた後、容器Pを移載装置5から搬出入部Wへ移載させる卸し移載制御を行う。
また、クレーンコントローラCCは、地上側コントローラから、搬出入部Wに載置支持されている容器Pを搬送して、ある保管部Sに保管する入庫指令が指令されると、容器Pが載置支持されている搬出入部Wについての移載用の走行位置及び掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1に移載装置5を位置させるべく、走行台車2の走行作動及び昇降キャリッジ4の昇降作動を制御し、移載装置5を搬出入部Wについての移載用の走行位置及び掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1に位置させた後、容器Pを搬出入部Wから移載装置5へ移載させる掬い移載制御を行う。
その後、当該入庫指令に基づいて、搬送対象の容器Pを保管する保管部Sについての移載用の走行位置及び卸し移載用の移載開始用昇降位置に移載装置5を位置させるべく、走行台車2の走行作動及び昇降キャリッジ4の昇降作動を制御し、移載装置5を保管部Sについての卸し移載用の移載開始用昇降位置に位置させた後、容器Pを移載装置5から保管部Sへ移載させる卸し移載制御を行う。
容器Pを保管部Sから移載装置5へ移載させる掬い移載制御では、クレーンコントローラCCは、図11(a)及び図14に示すように、基底高さBTMで掬い用待機位置RPrに位置するローラーフック44を、保管部Sの支持枠10に載置支持されている容器Pの容器構成用枠体6に係合させるため、移載装置5を掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1に位置させた状態で、掬い用突出位置TPrまで突出させた後、係合用位置TOPまで上下方向に沿って上昇させるべく、フック出退用モータ47及びフック昇降用モータ45の作動を制御する。また、掬い移載制御では、クレーンコントローラCCは、図11(a)〜(c)及び図14に示すように、ローラーフック44による容器Pの引き操作及び載置搬送部Mによる容器Pの搬送により容器Pを保管部Sの支持枠10における保管位置から載置搬送部Mにおける搬送用載置位置まで移動させるべく、フック出退用モータ47及びコンベヤ作動用モータ34の作動を制御する。
容器Pを移載装置5から保管部Sへ移載させる卸し移載制御では、クレーンコントローラCCは、図示は省略するが、移載装置5を卸し移載用の移載開始用昇降位置に位置させた状態で、載置搬送部Mを搬送作動させ、基底高さBTMで卸し用待機位置RPsに位置するローラーフック44を、載置搬送部Mに載置搬送される容器Pの容器構成用枠体6に係合させるため、突出作動させながら係合用位置TOPまで上昇させるべく、フック出退用モータ47及びフック昇降用モータ45の作動を制御する。また、卸し移載制御では、クレーンコントローラCCは、ローラーフック44による容器Pの押し操作及び載置搬送部Mによる容器Pの搬送により容器Pを載置搬送部Mにおける搬送用載置位置から保管部Sの支持枠10における保管位置まで移動させるべく、フック出退用モータ47及びコンベヤ作動用モータ34の作動を制御する。
掬い移載制御において、ローラーフック44の移載方向での位置を掬い用突出位置TPrにすべくローラーフック44の突出作動を制御しても、実際には、制御系における停止精度に応じたばらつきの影響や、掬い対象の容器Pが保管部Sで保管位置からずれた位置にて載置支持されている影響や、棚Rや移載装置5等の組み付け精度の影響等、種々の要因で、ローラーフック44が図8に示すような位置に位置せず、例えば、図12(a)に示すような位置となる場合がある。
そこで、クレーンコントローラCCによるローラーフック44の出退制御を、ローラーフック44の出退方向での操作力が微小トルクを維持するトルク制御モードにて行っている。これにより、容器構成用枠体6にローラーフック44を係合させるために上下方向に沿ってローラーフック44を上昇操作するときには、容器構成用枠体6との当接により回転ローラDに作用する移載方向に沿った操作力によるローラーフック44の移載方向に沿った移動を許容する状態となるように、出退操作手段43の作動を制御する
すなわち、クレーンコントローラCCにより実行される掬い移載制御において、ローラーフック44を掬い用突出位置TPrに突出させるときには、フック出退用モータ47の作動は位置制御モードにて制御されるので、掬い用突出位置TPrを目標突出位置としてフック出退用モータ47の作動がフック出退制御用ロータリエンコーダ25の検出情報に基づいてフィードバック制御される。ローラーフック44を掬い用突出位置TPrまで突出させた後は、フック出退用モータ47の作動をトルク制御モードにて制御する。
クレーンコントローラCCは、掬い移載制御において、上下方向に沿ってローラーフック44を移動操作するときは、出退操作手段43によるローラーフック44についての移載方向の操作力が、保管部Sにおける支持枠10に載置支持されて静止している容器Pを移載方向に移動させるのに必要な力よりも小さくなるように、出退操作手段43の作動を制御する。すなわち、トルク制御モードでは、出退操作手段43におけるフック出退用モータ47についての出力トルクが設定トルクに維持されるように、フック出退用モータ47の駆動回路における電流値に基づいてフィードバック制御が行われる。
そのため、フック出退用モータ47の回転駆動力にて出退操作されるローラーフック44についての移載方向の操作力が容器Pを移載方向に移動させるのに必要な力よりも小さくなるように、設定トルクを決定することで、容器Pが保管部Sの支持枠10上で移載方向に移動させることができるほどの操作力が発生しないようにすることができる。そのため、微小トルクを設定トルクとするトルク制御モードにて出退操作手段43を制御しておけば、容器構成用枠体6との当接により回転ローラDに作用する移載方向に沿った操作力によるローラーフック44の移載方向に沿った移動が許容される状態となる。これにより、ローラーフック44から容器Pに伝達される力のうち移載方向の分力により容器Pが移載方向で移動することなく、当該分力の反作用により発生する移載方向の操作力にてローラーフック44が移載方向に移動操作されることになる。
したがって、ローラーフック44の移載方向での位置を掬い用突出位置TPrに突出させたときに、ローラーフック44が、図12(a)に示すような位置となっても、容器構成用枠体6にローラーフック44を係合させるために上下方向に沿ってローラーフック44を上昇操作されると、ローラーフック44は、図12(b)に示す如く出退方向にも移動し、ローラーフック44が係合用位置TOPに位置するときには、ローラーフック44は容器構成用枠体6に対して移載方向での適正係合位置にて係合した状態となる。
上記設定トルクは実験的に決定してもよいし、容器Pの重量や保管部Sの支持枠10に設けられたローラ12についての転がり抵抗、並びに、ローラーフック44の構造等を考慮して理論的に決定してもよい。また、ローラーフック44が容器構成用枠体6に接触するまでに、ローラーフック44の移載方向での位置が不安定にならないように、基底高さBTMからの上昇作動により発生する移載方向に沿ったローラーフック44についての静止慣性力よりも大きい値にすることが好ましい。
なお、図12(a)〜(c)においては、ローラーフック44を掬い用突出位置TPrに位置させた時点でローラーフック44が容器構成用枠体6に対する適正係合位置から移載方向で移載装置5側(出退方向で引退側)にずれた位置に位置している場合に、ローラーフック44が移載方向で保管部S側(出退方向で突出側)に移動操作されることについて説明している。この他、ローラーフック44を掬い用突出位置TPrに位置させた時点でローラーフック44が適正係合位置から移載方向で保管部S側(出退方向で突出側)にずれた位置に位置している場合には、例えば、図8に示すような位置であれば、ローラーフック44における一対の回転ローラDのいずれもが容器構成用枠体6に当接することがないので、ローラーフック44は、移載方向に沿って移動操作されることなく係合用位置TOPまで上昇する。また、ローラーフック44が適正係合位置から、図8に示す位置よりもさらに移載方向で保管部S側(出退方向で突出側)にずれた位置に位置している場合に、ローラーフック44が基底高さBTMから係合用位置TOPに上昇すると、ローラーフック44における一対の回転ローラDのうち移載方向で移載装置5側(出退方向で引退側)の回転ローラDの移載方向で保管部S側(出退方向で突出側)の外周部に容器構成用枠体6が当接することで、ローラーフック44が移載方向で移載装置5側(出退方向で引退側)に移動操作され、容器構成用枠体6がローラーフック44における一対の回転ローラDの間に収まることになる。
また、図12に示すように、ローラーフック44は、基底高さBTMから掬い用突出位置TPrまで上昇操作されることにより、回転ローラDが容器構成用枠体6に当接する場合は、回転ローラDが容器構成用枠体6に当接する前の移載方向の位置から距離Wだけ移動することになる。この移動量Wは、フック出退制御用ロータリエンコーダ25にて検出できるので、引退操作を開始するときのローラーフック44の位置を検出できる。これにより、ローラーフック44が容器構成用枠体6に対して移載方向での適正係合位置にて係合した状態でローラーフック44を移載方向に沿って、引退位置としての卸し用待機位置RPsまで引退させるときには、移動量Wだけ補正した引退操作量とすることができる。
以下に、棚Rの保管部Sの支持枠10に載置支持されている容器Pを移載装置5の載置搬送部Mに取り出す場合にクレーンコントローラHにより実行される掬い移載制御について、スタッカークレーンKの左側に位置する棚Rにおける保管部Sに対して容器Pを移載する場合を例に、図13及び図14に示すフローチャート及びタイミングチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明では、フローチャートにおける各ステップを参照する場合、「ステップ」という記載を省略し、ステップ番号だけで該当ステップを参照することにする。
掬い移載制御では、まず、移載装置5が掬い対象の容器Pが収納されている保管部Sについての掬い移載用の移載開始用昇降位置Hr1に位置している状態でローラーフック44を掬い用の突出位置TPrまで突出させる(#rF1〜#rF3)。
そして、ローラーフック44の掬い用の突出位置TPrまで突出が完了すると、#rF4で出退操作手段43のフック出退用モータ47についての制御モードをトルク制御モードに切換えてから、掬い用の突出位置TPrで基底高さBTMとなっているローラーフック44を保管部Sの支持枠10に載置支持されている容器Pの容器構成用枠体6に係合させるため、係合用位置TOPまで上昇させる(#rF5〜#rF7)。
#rF5〜#rF7において、ローラーフック44が係合用位置TOPまで上昇する際に、ローラーフック44の出退作動は、フック出退用モータ47の出力トルクが微小になるようにトルク制御モードで制御されるので、ローラーフック44が適正係合位置から移載方向で保管部S側又は移載装置5側にずれた位置に位置していても、ローラーフック44における一対の回転ローラDのいずれかが容器構成用枠体6と当接することにより、容器構成用枠体6が、ローラーフック44における一対の回転ローラDの隙間に収まることになる。
#rF8において、ローラーフック44の移載方向の位置が適正範囲内であるか否かを、フック出退制御用ロータリエンコーダ25の検出情報に基づいて判別する。このようにローラーフック44が適正範囲に位置しているかを確認するのは、ローラーフック44を掬い用突出位置TPrに位置させた時点で、例えば、図12(a)で示す容器構成用枠体6NGとローラーフック44との相対位置関係のように、ローラーフック44が容器構成用枠体6に対して異常に大きくずれた相対位置関係になった場合には、ローラーフック44が上昇することで、ローラーフック44における一対の回転ローラDの並び方向で外側に容器構成用枠体6が位置することが考えられる。そこで、ローラーフック44を上昇させた後のローラーフック44の移載方向の位置が適正範囲内であることを確認してからローラーフック44を引退させるようにしている。
なお、ローラーフック44の移載方向の位置が適正範囲内でなければ、#rF14に移行して、リトライ処理が実行される。このリトライ処理は、ローラーフック44を一旦基底高さBTMに下降させてから、フック出退用モータ47についての制御モードをトルク制御モードから位置制御モードに切換えて、掬い用待機位置RPrまで引退させ、その後、改めて、ローラーフック44の出退操作及び昇降操作に関してのみ、#rF1〜#rF7の処理を実行するものである。なお、リトライ処理は一回の掬い移載制御で一度だけ実行が許容されており、リトライ処理を実行してもなお、ローラーフック44が適正範囲内に位置しなかった場合は、異常停止するようになっている。
#rF8において、ローラーフック44の移載方向の位置が適正範囲内であれば、引退作動に備えて、フック出退用モータ47についての制御モードをトルク制御モードから位置制御モードに切換える(#rF9)。
#rF1〜#rF7ローラーフック44の突出作動及び上昇作動と並行して、受止め体操作手段Uにて保管部Sにおける受止め体を受止め解除姿勢に切換える(#rB1〜#rB3)。その後、載置搬送部Mを掬い用回転方向で作動させるとともに、ローラーフック44の引退作動を開始する(#rV1及び#rF10)。ここで開始された載置搬送部Mの搬送作動は#Vr7で停止されるまで継続する(図14参照。)。
引退作動するローラーフック44が、係合解除用位置を越えると#rF11でローラーフック44を基底高さBTMまで下降させてローラーフック44を容器構成用枠体6から離脱させる。ローラーフック44は容器Pの容器構成用枠体6に対する係合が外れ、その後は、容器Pは、載置搬送部Mの搬送作動のみによって載置搬送部Mにおける搬送用載置位置まで搬送される。
#rF11でローラーフック44を下降させるとき、ローラーフック44の引退速度と載置搬送部Mの搬送速度は同じ速さ(本実施形態では20[m/分]に設定されている。)に維持されている(図14参照。)。これにより、ローラーフック44を容器構成用枠体6からスムーズに離脱させることができるようになっている。ローラーフック44を基底高さBTMまで下降させた後は、ローラーフック44を、卸し用待機位置RPsまで引退作動させる(#rF12及び#rF13)
載置搬送部Mの搬送作動は、ローラーフック44を引退作動させる移動枠42の引退作動によりフック昇降タイミングセンサ39がオンして減速準備用のタイミングとなった後(#rV2)、所定時間のタイマ1がカウントアップする(#rV3)と、搬送速度が通常の搬送速度(本実施形態では20[m/分]に設定されている。)から停止準備用の低速度(本実施形態では3[m/分]に設定されている。)に減速される(#rV4)。その後、容器Pの移載方向で移載元である保管部S側のはみ出しセンサ17が検出状態から非検出状態に変化することにより容器Pの移載方向で後端部がはみ出しセンサ17の検出位置を通過したと判別(#rV5)されてからタイマ2がカウントアップする(#rV6)と、容器Pが載置搬送部Mの搬送用載置位置まで搬送されたとして、載置搬送部Mの搬送作動が停止する(#rV7)。
なお、載置搬送部Mの搬送作動の減速・停止と並行して、フック昇降タイミングセンサ39がオン(#rV2)した後、所定時間のタイマ3がカウントアップする(#rB4)と、受止め体操作手段Uにて保管部Sにおける受止め体を受止め姿勢に切換える(#rB5〜#rB7)。
〔別の実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。
(1)上記実施形態では、係合操作手段として、係合部を上下方向に沿って昇降操作するものを例示したが、係合操作手段の具体的構成はこれに限られるものではなく、例えば、係合部を左右方向に沿って移動操作するものであってもよい。また、上記実施形態では、被係合部が物品の底部に位置する物品構成用枠体にて構成されたものを例示したが、被係合部の具体的構成はこれに限られるものではなく、例えば、物品の横側部に設けられた凹入部にて構成することもできる
(2)上記実施形態では、係合部が備える一対の回転ローラの夫々にて当接部が兼用されたものを説明したが、当接部を係合部とは別個に設けてもよい。例えば、上記実施形態の移動枠42における平面視で中心箇所に当接部を設けてもよい。当接部としては、被当接部が当接する一対の傾斜面が対向するように板状部材を折り曲げ加工して形成した縦断面がV字状の部材等でもよく、当接部の具他的構成は適宜変更可能である。また、当接部が当接する被当接部についても、上記実施形態の如く被係合部でなくてもよく、物品に対して固定状態で設けられた部材等、被当接部の具体的構成は適宜変更可能である。
(3)上記実施形態では、制御手段が、係合部を突出位置に位置させた後に、基底高さからの上昇を開始させるものを例示したが、制御手段が、突出位置への突出作動が完了するまでに基底高さからの上昇を開始させるように構成されたものであってもよい。この場合、制御手段は、係合部の上昇作動により当接部が被当接部に当接するまでの間に、係合部が突出位置に位置するように、出退操作手段及び係合操作手段の作動を制御するように構成すればよい。そして、制御手段は、係合部が突出位置に位置するまでは、係合部の上昇作動中であっても、出退操作手段を位置制御モードにて制御し、係合部の上昇作動中において係合部が突出位置に位置した後は、出退操作手段をトルク制御モードにて制御するように構成すればよい。
(4)上記実施形態では、一対の係合部が、移載方向と交差する横方向に沿って分散配置されているものを例示したが、3つ以上の係合部が移載方向と交差する横方向に沿って分散配置されたものであってもよい。また、物品移載装置が、単一の係合部を備えたものでもよい。
(5)上記実施形態では、物品移載装置の載置搬送部を、ローラ式搬送装置を用いて構成する場合例示したが、ベルト式搬送装置やチェーン式搬送装置を用いて、載置搬送部を構成してもよい。
(6)上記実施形態では、物品移載装置における係合部を、移載方向と交差する横方向に沿う軸芯回りで自由回転自在な一対の回転ローラを用いて構成する場合を例示したが、突起状の係止体を、容器構成用枠体が挿脱可能な間隔を並べて構成するようにしてもよい。
(7)上記実施形態では、物品移載装置における係合部を係合操作手段にて物品移載装置本体に対して移載方向と交差する上下方向に沿って昇降させて、物品を載置搬送部にて載置搬送しながら、係合部を物品の被係合部に対して係脱させるようにする場合を例示したが、係合部を物品移載装置本体に対して昇降駆動できないように構成して、物品移載装置を昇降操作する昇降操作手段の機能を用いて、保管部に収納された物品に対して係合部を係脱させるようにしてもよい。つまり、切換方向が上下方向であれば、昇降操作手段が切係合操作手段を兼用することもできる。このように構成する場合には、物品が載置搬送部に載置されている状態では、係合部が物品の被係合部に継続して係合することになる。
(8)上記実施形態では、棚側載置支持部を、移載方向と交差する横方向に沿う軸心回りで自由回転自在なローラを移載方向に複数の並べて構成する場合を例示したが、容器の底部を摺動自在な状態で支持する支持板を設ける形態で棚側載置支持部を構成してもよい。